2022年8月31日水曜日

卵のマリネはクラッコシェフの代名詞になり、彼に幸運と名声をもたらした。

ザバイオーネは湯煎にかけて沸騰しない程度に加熱しながら煮詰めるソース。
“湯煎bagnomariaバニョマリーア”は、4世紀にマリア・ジュデーアという錬金術師によって考え出されたとする記録が残っているそうだが、この人物が実在した記録はない。
13世紀にマリア・ディ・アレッサンドリアが発明したという説もある。どうもマリアさんが怪しい。
湯煎と言う方法が、蒸留技術にもつながる実に科学的なものであること、パスティッチェリーアの基本的なテクニックであることは、普段はまったく意識しない。
でも、リストランテ・アンバッシャータのロマーノ・タマーニシェフは、客の前で7分間ホイップしてザバイオーネを作り、錬金術を再現した。下の動画は別の人ですが。
トリノのビチェリンやカンビオと言ったトリノを象徴する老舗カフェやレストランでは、店特性のザバイオーネが味わえます。ビチェリン(webページはこちら)ではマルサラ、モスカート、バッシートなど様々なピエモンテ産ワインで数種類のザバイオーネを作っています。ザバイオーネはコッパに入れてビスコッティかフルーツを添えてサーブします。ビスコッティの定番はサボイアルディ。
ティラミスにも欠かせないピエモンテの名物。

ザバイオーネの主役は湯煎の技と卵。カルロ・クラッコシェフの本、(料理のベースの食材について書かれた)『卵が先か小麦粉が先か』に、卵に関する自身の子供のころのこんな思い出がありました。

《とても古い思い出だが、私の祖母はいつも「鶏が卵を産んだか見に行こう」と言って私を鶏小屋へ連れて行きました。まだ幼かった私は、あまり頭のいい子でははなく、鶏と卵の関係が分からず、いつもどういうこと?と感じていました。祖母は鶏小屋に入って見渡すと、鶏を1羽抱き上げて、「見つけた!」と言います。時には卵がない時もあって、卵を見つけると、それまでなかったものが出現していて、何か神聖なものを見たような気がしました。私にとっては卵は今も不思議な食材です。殻の中に命が入っているのも、外が堅くて中が液体なのも神秘的でした。
卵は基本の食材です。ドルチェからサラートまで、前菜からパスティッチェリーアまで様々な料理に使えて、泡立てるとふんわりして、生でも、ソースにも、炒り卵にもなり、卵白だけ別にするとメレンゲになり、パスタやパンになり、小麦粉と水に加えると様々な形になり、小さなうずらの卵から、大きくて風味の強いがちょうの卵まで、無数のバリエーションがありました。卵に魅せられて、私を象徴する料理は“卵のマリネ”と言われるまでになりました。私に幸運をもたらしてくれた料理です。
でも、私にはもっと前から象徴と言える卵料理がありました。蒸した卵のクリームUovo alla crema cotta al vaporeです。
マルケージの最初のシェフ、カラシュテンの元にいたときに考え出したものです。白トリュフと卵というクラシックな組み合わせに自分の個性と考えを加えたものでした。
卵のマリネの次に、生まれたもので・・・》
この後は、この料理の作り方の説明が続くのですが、卵を加熱する温度と時間の話が続き、私の頭がついていくのをやめてしまいました。

クラッコシェフのリチェッタの卵のマリネ↓
鶏小屋に卵が出現することを不思議がっていた少年が、卵のマリネで世に名前を知られるようになったのですねー。料理人は理系だなあ。

でも、本にはこの料理は技術ではなく経験とわずかな職人技から生まれた。創作力があれば大きな結果を出して新しいものを発見できる、と言っています。
卵のマリネの次は、マヨネーズ、そしてクレーマ・コッタ(クレーマ・カタラナ)へと続いていきます。基本中の基本の食材として選ばれた卵ですが、シェフの関心は次の食材、小麦粉へと展開していきます。機会があれば、少しずつ訳してみます。



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2022年8月30日火曜日

イタリア料理の傑作、ザバイオーネはスペイン人の聖人がトリノの宮廷で考え出した湯煎して造るソース。湯煎の方法を考え出したのは錬金術師の女性と言い伝えられている。

今日の料理はザバイオーネZabaione。
イタリア料理の入門編です。リチェッタは(CIR10月号P.15)
ピエモンテの伝統的定番クリームですが、フランス料理のザバイヨンとしてのほうが知名度は高いかも。というか、フランス料理だと思っている人も多いかも。でも、ピエモンテのサボイア家の宮廷生まれで、考え出したのはトリノの宮廷の天才パスティッチェーレ。イタリアではイタリア料理の傑作の一つ、と考えられています。
ザバイオーネという名前は、菓子職人の守護聖人、サン・ジョバンニ・バイロンからつけられたそうです。彼は16世紀にトリノに移り住んだスペイン人の聖人で、料理が大好きで夫への不満を懺悔した女性に進めたクリームとも言われています。ダ・サン・バイロンがトリノなまりになってサバイヨンと呼ばれるようになったという下世話な説もあります。
トリノのサン・トンマーゾ教会↓に祭られている聖人です。


イタリア・パスティッチェーレ・アカデミーの副会長でプラートのカフェ・ヌオボ・モンドのパスティッチェーレ・パオロ・サッケッティのリチェッタでどうぞ。
材料/
ヴィンサント・・75g
卵黄・・90g
砂糖・・25g

・一般的なマルサラではなく、地元の酒、ヴィンサントを使っています。(リキュールはラム酒、コニャック、キルシュ、モスカートなどが一般的で、シャンパンやスプマンテを加えて軽くすることもできます)。小鍋にアルコール分が飛ばない程度に熱したヴィンサントと砂糖の半量を加る。別のボールに卵黄を入れて残りの砂糖を加え、ホイッバーで混ぜる。
グランマニエやアニゼットのような甘みの強いリキュールを加える時は砂糖の量を減らす。香りを軽くしたい時は白ワインにオレンジ化レモン汁を加える。白ワインのザバイオーネはオレンジの皮のすりおろし、ラム酒、ホイップクリームを加えて凍らせてサーブしてもよい(アッラ・クレオーラalla creola)コーヒー風味ならマルサラの代わりに濃いアイスコーヒーを加える。
・ヴィンサントの砂糖が溶けたら少量を卵黄に加えて湯煎にかけて手早く混ぜ、残りのヴィンサントを加える。手早く混ぜるほど空気が入ってふんわりしたクリームになる。ふんわりして滑らかなクリームにする。
・卵黄を殺菌するには湯煎にかけて60℃~、82~83℃で熱する。ホイッバーでクリームを持ち上げることができたら適温の状態。今度は氷に当てて冷やす。艶のあるふんわりした滑らかなクリームの状態を保ちながら冷やす。手早く冷まさないと膜ができる。

カフェ・ヌオボ・モンド(webページ)

ザバイオーネはお客の前で作るのがトレンドにもなりました。

詳しくは次回に。

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2022年8月29日月曜日

ドラゴンを倒してお姫様を救った聖人は羊飼いや牛乳配達人、あるいはミラノの守護聖人としてミラノ人に愛され、聖人ゆかりの古いドルチェ、パン・ディ・メイ―ノも消滅を免れている。

今日もロンバルディアのドルチェの話です。
(CIR10月号P.29)のパン・メイ―ノPan meino、ミラノのドルチェです。共通語だとpan al miglioとなります。miglioとは“粟あわ”のこと。ミラノ料理のお勧め本、『クチーナ・ミラネーゼ

には、市場で手に入れやすいとうもろこし粉で代用したリチェッタが載っていますが、21世紀のミラノで、アワの粉のドルチェなんて作る人がいるとは思えません。おそらく、消えつつあるドルチェだと思います。(CIR)のクラッコシェフのリチェッタもトウモロコシの粉で作ります。

朝食にミルクやクリームと一緒に食べるドルチェで、夜はパッシートワインに添えます。
このドルチェのキーワードはサン・ジョルジョという聖人。
彼は竜殺しの騎士として知られていて、竜を倒しててお姫様を救うとか、その伝説は、とにかくカッコいい。
彼は世界中で信仰されている聖人で、ミラノの、あるいは牛や羊飼いの、さらには牛乳配達人の守護聖人として信仰されています。街によって違いますが一般的に4月23日が聖ジョルジョの日です。
牛や羊が移牧に出発する日もこの日に設定されます。
この伝統を守って、この日にはミラノの老舗パスティッチェリーアではこのドルチェを作ります。ちょっと古いこのドルチェが消えないのは、ひとえにミラノ人に愛されている証明なのですね。

聖ジョルジョの伝説↓



カンパーニアの町の聖ジョルジョの日。子供たちのヘアスタイルが大人びてる~。




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2022年8月28日日曜日

パン・ディ・スパーニャはスペイン王の誕生日のためにジェノバのパティシエが考え出した特別なケーキだった。同じものがフランスではジェノワーズと呼ばれた。

今日の料理はリグーリアのケーキ、“サクリパンティーナsacripantina”です(CIR10月号P.28)。


クラッコシェフの本『カルロ・クラッコの地方料理

にはこう書いてありました。
ちなみに、彼にパン・デイ・スパーニャの名前の由来を教えたのは、イタリアのパスティッチェーレの父と呼ばれる人物、イジニオ・マッサーリ師匠だそうです。

マッサーリのパン・ディ・スパーニャ。

彼の本『イジニオ・マッサーリ


にはリチェッタの詳細があります。

パスティッチェリーアのベースの一つ、pan di Spagna(パン・ディ・スパーニャ)は、その名の通り、スペインの王の誕生日を祝うために特別なものを作るように依頼されたジェノバの宮廷のパスティッチェーレによって作り出されました。
同じリチェッタはフランスにもあり、こちらはパティシエの出身地からジェノワーズgénoiseと呼ばれました。
パン・ディ・スパーニャは薄くスライスしたり円形を筒切りにして砂糖がベースのアルコールやバラの香りを含むシロップに浸して使います。
サクリパンティーナという名前は、有名な叙事詩的騎士道文学(オルランド・フリオソ)の登場人物でサラセンの戦士サクリパンテが語源。サクリパンテはマッチョで自信家で食いしん坊で実質的な騎士で、つまり、ちょっと癖が強い人。これはこのケーキにも当てはまる特徴だった、と、マッサーリ師匠は教えてくれたそうです。


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2022年8月27日土曜日

グランシェフは世界中のスタッフと世界中のお客のために料理を作るので、料理の知識も国際的。


さて、肉料理なら北のシェフ、という結論にたどり着きましたが、今月号の特集記事でクラッコシェフが紹介した肉料理のリチェッタは、エミリア・ロマーニャ州の“うさぎ肉のベリー添え(P.19)coniblio ai frutti di bosco”でした。
彼の著書、『カルロ・クラッコの地方料理

にも載せている料理です。本には料理の写真はないので、この記事の写真でベリーの色がとても印象的な料理、ということを初めて知りました。
クラッコシェフの解説には・・・。
「うさぎ肉はフレッシュな白い肉で、イタリアではとても人気があります。有名なのは、イスキアのアナうさぎconiglio di fossa、カルマニョーラの灰色うさぎgrigio di Carmagnolaなどが知られています。
一般的には、このエミリア地方のリチェッタのようにカットして煮込み、野菜を添えてサーブします。けれど、おそらくうさぎがペットとして広まるにつれてうさぎ料理は姿を消しつつあります。この現象はかつて日本でも起こりました。昔の日本ではウナギは家庭で飼育する動物で、誰も食べようなどとは思わなかったのです。今回紹介したリチェッタには伝統的なリチェッタに小さなアレンジを加えて私なりに変えていますが、食べる価値ありですよ。
おそらく、彼の料理を食べにやってきた顧客か、一緒に働いた日本人スタッフが、うさぎは可愛いから日本では食べない、とか言ったのではないでしょうか。でも、昔のエミリア・ロマーニャ地方では、うさぎ肉は豚肉に次いで消費量の多い肉だったそうです。うさぎ肉は大人にも子供にも合う甘みのあるマイルドな肉で暖炉でコトコト煮るのに適した、家庭では人気の肉でした。
ことの真偽は別にして、イタリアの地方料理どころか世界各国の伝統料理の知識を持っているのですね。
うさぎ肉のリチェッタでは、アラを使ったスープのとり方から各部位の肉の説明などもあります。
ウサギ肉のロマーニャ風煮込みConiglio in umido alla romagnola。

材料/4人分
うさぎ・・1羽
にんにく・・2かけ
ローズマリー・・1枝
ローリエ・・1枚
EVオリーブオイル、塩、こしょう、ビネガー
パキーノのミニトマト・・200g

・うさぎ肉は流水とビネガーで洗って切り分け、水気を切る。
・鍋に肉、レバー、全部のハーブ、油、にんにく、塩、こしょうを鍋に入れ(陶器の鍋を使うとまったく違う味になります)、肉を裏返しながら強火で15分焼いてビネガーをかける。ビネガーはワインより安く(昔はワインではなくビネガーをかけるのが一般的だった)、甘みがある。水気が飛んだら蓋をして約20分、ビネガー少々をかけて焼き色をつけながら煮る。
・半分に切ったパキーノトマトを加えて10分煮る。
ベリーのコントルノは肉料理の付け合せの定番。肉を焼いたフライパンでベリーを炒めてワインでデグラッサーレすれば、中央ヨーロッパのジビエ風。



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2022年8月26日金曜日

新鮮野菜は南伊、メイラード反応なら北伊のシェフの得意技。

今月の(CIR)のクラッコシェフの記事、2つめは“クラッコが選ぶトマトのスパゲッティ”です(日本語訳はP.31~)。
例によって、3Dな盛り付けがあまりにも素晴らしかったので、その写真も載せました。
フレッシュトマトのスパゲッティは、彼の本、『クールにしたいならエシャロットをつかう

で、子供時代の思い出とともに詳細に語られています。
その内容を訳したものはこちらのブログにのせました。

彼にとって、トマトソースのスパゲッティは母親の料理そのものだそうです。
それにしても仕上げにバジリコの千切りを散らす時、すんごい上から散らしてますねえ。
追いバジリコのこの高さは、そもそものパスタがこんもりと高く盛り付けられているから可能な技。今回の記事では、キタッラを横に倒して盛り付ける、ソースをパスタの下に敷くなどの盛り付けの新しいアイデアも紹介しています。

それにしてもこのトマトソース、水分が少ないなあ、と感じていたら、そういえば、彼が本の中でメイラード反応について語っていたことを思い出しました。

次の動画は、ナポリ出身でミラノのパークハイアット・ホテルの料理長、アンドレア・アプレアシェフのトマトソースの伝統的なトマトのスパゲッティとコンテンポラリーなトマトのスパゲッティを比べることができます。
個人的には、ナポリの人は、トマトへの思い入 れがハンパじゃないので、トマトソースのスパゲッティの話はナポリの人に聞くべきだと思っています。
最先端を知りたかったらミラノのシェフ。
なので、トマトソースのスパゲッティの何を主役にするかで出来上がる料理が違います。 

カンパーニアのヴィーコ・エクエンセでトマトを栽培しながらオステリアの料理を作るシェフ、ペッペ・グイダ。トマトの産地のトマトソースはフレッシュでジューシーです。一方、思い出したのが、クラッコシェフが本で語ったメイラード反応Reazione di Maillard。彼はこの反応のことを料理の基礎として料理の基礎を教える本、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』の中で解説しています。
メイラード反応は、クラッコシェフが若手シェフに最初に教えたこと。


ペッペ・グイダのトマトソースのスパゲッティ。


キアニーナ牛のタリアータを作りながらメイラード反応の説明をする動画↓

トマトの扱い方は、南伊のシェフならdnaに書き込まれてるけど、メイラード反応なら北伊のシェフの得意技。北伊では、ステーキのメイラード反応も、肉を焼く上では大切なポイントとみんな知っている。



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2022年8月25日木曜日

普通のなすとはまったく違うバジリカータのなす。戦後にエチオピアから伝わりました。バジリカータは情報が少ないのでなにもかもが面白い。

今月のフィーチャリングシェフ、カルロ・クラッコシェフは、自分の生まれ故郷だけでなく、イタリア全国の地方料理に詳しく、本も出しています『カルロ・クラッコの地方料理』。

この本のバジリカータ州のページでシェフが紹介しているのは、ナスです。
普通のナスとは完全に違うナスです。ナスと言うより柿みたいななすナスで、手に入れるのは難しいようです。

ロッサ・ディ・ロトンダ↓
ロッサ・ディ・ロトンダmelanzane rossa di Rotondaと言います。
ロトンダはバジリカータ内陸部の、ポッリーノ国立公園に近い小さな村。
このなすは、第二次大戦時に兵士がエチオピアから種を持ち帰ったんだそうです。
最初は緑で熟すにつれてオレンジ色になるナス。
バジリカータは情報が少ないせいか、何を見ても面白い州です。普通のなすよりほろ苦くて味は軽く、サボテンのような後味や軽い辛味が特徴。サボテンのような後味て、サボテンの味も説明するのが難しい。
収穫するのは種ができて苦さが強くなる前。一般的にはフリッテッレやズッパにするそうですが、シェフは豚肉に添えるのが好きだと語っています。

メランザーネ・ロッサのカルパッチョ↓

ポッリーノ国立公園。


ポッリーノのアグリトゥーリズモ。

彼がどうしてイタリア中の料理に精通するようになったのか、それは、彼の顔の広さや人情に篤い性格のせいで、イタリア中の、地元の食材の普及に熱心なシェフに知り合いができたからのようです。バジリカータ料理の知識をクラッコシェフに教えたのは、下の動画で語っているFederico Valicentiというシェフだそうです。




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2022年8月24日水曜日

ペペローニ・クルスキの料理は油がポイント。

今月の(CIR)でピックアップしているのは、カルロ・クラッコシェフ。
そして特集記事の1つは、“クラッコが選ぶ伝統の地方料理”(P.17~)。
ピエモンテからサルデーニャまで、イタリアの各州の料理のリチェッタを20点、載せています。どれもシェフの思い出と重なるシェフが好きな古い味の料理を独自の感性でモダンに再現したものです。この中のバジリカータ料理が、“ペペローニ・クルスキとバッカラ”でした。
でも正直言ってバジリカータ料理は、全然ピンときません。
バジリカータの食文化↓
バジリカータの食を紹介するこの動画は、まず広大な小麦畑、そしてパーネ・ディ・アルタムーラ、セモリナ粉が登場します。ペペロー二・クルスキとバッカラも登場しました。この組み合わせはバジリカータ料理の代表選手なのですね。典型的な地中海料理の香りがします。
バジリカータで一番有名な観光名所、世界遺産の洞窟住居、マテーラも登場しますが、マイナーなバジリカータのメジャーな場所、マテーラに行ったら、パーネ・ディ・アルタムーラとペペローニ・クルスキとバッカラを食べておくことをお勧めします。この町は世界中のグルメな観光客がやってくるので、レストランのレベルが高い町です。

リチェッタ(P.26)によると、クラッコシェフのペペローニ・クルスキとバッカラに使うのはペペローニ・セッキ・ディ・セニーゼとあります。
つまり、干してから揚げたペペローニ・クルスキではなく、干して揚げる前のピーマンですが、料理には揚げて使います。この揚げ油で戻したバッカラも揚げます。ピーマンの風味が溶け込んだ油がポイントのシンプルな料理。
真っ白いバッカラと深紅のペペローニ・クルスキの対比が美しい料理です。ペペローニ・クルスキとバッカラはバジリカータのクリスマス料理。

バジリカータのエノガストロノミア。

ペペローニ・クルスキとバッカラPeperoni cruschi e baccalà。

今月の魚のリチェッタの1品、“マトウダイとレモンのオーブン焼き”(P.10)は、クラッコシェフがデュカスシェフの元の修業時代に作っていた料理。ヒラメなど他の白身魚で応用できる。

記事でシェフが取り上げたイタリア地方料理は、ピエモンテ料理の鉄板“白トリュフのタリオリーニ”など、有名どころもあるが、フリウリ・ベネチア・ジューリアのフリーコや、アブルッツォのアッロスティチーニなど、観光客に人気の料理もしっかり押さえている。
フリウリのフリーコ↓

アブルッツォのアッロスティチーニ↓

料理を選びながらも楽しかったことでしょう。
 
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2022年8月23日火曜日

カラブリア名物の干しピーマン、ペペローニ・クルスキは、干してから揚げるピーマンのチップス、クルスキはカリカリという意味。つまりカリカリ・ピーマン。かじってみるとわかる。

今日は(CIR10月号)に登場した聞きなれないイタリア野菜の話。
まずは“クルスキ・ピーマンpeperoni cruschi”。P.9のトピナンブールのリチェッタに登場します。カラブリアのアルティジャナーレな名物野菜です。

ピーマンと唐辛子のミックスで中間のようなピーマン。カラブリアのピーマン、ペペローニ・セニーゼは水分が少なく、辛くなくて細長くて皮が薄いのが特徴。皮が本体です。言い換えれば干すのに最適。これを完熟する前に収穫してヘタと種を取り除きながら縦に2~3つに分けて長くつなげ、太陽が照り付ける7月に天日で干します。そして少量ずつ油で揚げて塩をします。
クルスキとはカリカリという意味。干してから揚げると、カリカリピーマンになります。

バジリカータのペペローニ・クルスキメーカー。

ペペローニ・セニーゼのペペローニ・クルスキ作り。


ペペローニ・クルスキの下ごしらえ。
動画では揚げ油で目玉焼きを焼いていますが、(CIR)のリチェッタも、この油がポイント。リチッタでは、“クルスコ油”と呼んでいますが、揚げ油ではなく、40~50℃のひまわりオイルとクルスコピーマンをミキサーにかけた赤いオイルです。

確かに果肉がないこのピーマンの本体は、皮です。揚げるにはこつがいるようで、強い匂いが出るので換気扇をつけて、短時間でさっと揚げます。

ペペローニ・クルスキとコラトゥーラのパスタ。


材料/4~5人分
パッケリ・・500g
ペペローニ・クルスキ・・10個
コラトゥーラ・・大さじ2
にんにく・・2かけ
パンのクラム・・一握り
唐辛子、EVオリーブオイル

・パスタをゆでる。
・油大さじ4~5で潰したにんにく1かけと唐辛子少々をソッフリットにする。
・ペペローニ・クルスキを崩しながら加える。種が多い時は別にする。焦げないうちに粉にしたパンを加えてなじませる。にんにくと唐辛子を取り除き、ペペローニとパン粉を別にする。
・ゆで汁少々とパスタを加えてなじませ、ペペローニとパン粉、コラトゥーラ大さじ1を加える。

ペペローニ・クルスキのオレッキエッテ↓

南イタリアの野菜、まだ続きます。


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2022年8月22日月曜日

コラトゥーラ料理の基本はアーリオ・オーリオ・コラトゥーラ。

今日のお題は(CIR10月号)のフリット用のイタリア風ソースです。リチェッタはP.8。
料理の写真を見ると、ソースが入った容器を皿の中央に置いて、料理の主役感をかもしだしています。材料は、イワシのコラトゥーラ、トマトペースト、フィノッキエット、ケッパー、レモンの皮のすりおろしがベースで、とてもイタリア的。イタリア野菜じゃなくても、イタリア風になっちゃいますね。フリットには塩とレモンという常識が、フリットにはコラトゥーラに代わるかも。

アマルフィ海岸のチェターラのコラトゥーラcolaturadi Cetara。


コラトゥーラは野菜やパスタに合うソース、魚醤。
チェターラのコラトゥーラ料理で有名なのはイタリアでも最高のトラトリアの1つと言われているパスクアーレ・トッレンテシェフのアル・コンベント。


アーリオ・オーリオ・コラトゥーラはコラトゥーラ料理の基本中の基本。
動画に出てきたの陶器の碑文は、世界大戦中にナチの犠牲になったユダヤ人についての追悼。ここにもユダヤ人コミュニティーがあったのですね。彼らが生み出したソースなのでしょうか。料理は、ブラッディ・マリー、プッタネスカ、マグロのタタキとバラエティー豊か。
・チェターラのイワシのプッタネスカのリチェッタは、
・フライパンににんにく、オリーブオイル、オリーブ、ミニトマトを入れてソッフリットにする。
・イワシは開いてオイルとコラトゥーラを塗り、マリネする。
・ゆでたパスタとゆで汁少々を加えてマンテカーレし、皿に盛り付けてイワシを添える。
・マグロのタタキはコントルノのハーブを乳化した油とコラトゥーラで調味してスライスしたマグロのタタキに添え。マグロにもコラトゥーラを垂らす。
・コラトゥーラのブラッディ・マリーはサン・マルツァーノ・トマトのパッサータにコラトゥーラ、ウオッカこしょう、バジリコ、氷のカクテル。


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2022年8月21日日曜日

地方色が豊かな野菜のフリット・ミスト。

今日のお題は野菜のフリット・アッラ・イタリアーナです。

リチェッタは(CIR10月号、P.8)。
どこがアッラ・イタリアーナかと言うと、ソースです。
野菜はズッキーニ、にんじん、トロペアの赤玉ねぎ、カリフラワー、カボチャ、チーメ・ディ・ラバ、ポロねぎ、ポルチーニ。

イタリアのフリットは、野菜に衣pastellaをつけて揚げるのが一般的。

フリット・ミストにも地方色があります。
ローマ野菜のフリット・ミスト↓

夏のビーチの料理というイメージだけど、ローマではクリスマス料理。
野菜はブロッコロ・ロマーノ、アーティチョーク、じゃがいも、りんご。
ブロッコロ・ロマーノは刻んで衣でつなぐかき揚げ。
カルチョーフィは卵と小麦粉をつけて揚げますが、ローマにはアーティチョークのフリットの名物料理があります。

アーティチョークのユダヤ風、カルチョーフィ・アッラ・ジュディアです。
ローマには、ヨーロッパで最大のユダヤ人のコミュニティがあります。さらに、ローマ特産のアーティチョーク、マンモラがあります。ユダヤ風は衣をつけない素揚げ。茎を上にして盛り付けます。
ローマのユダヤ人街で、あの小さな帽子をちょこんとのっけた人たちに囲まれて、勇気を出して食べたユダヤ風アーティチョークは、やたら油っこかったなあ。

ピエモンテ名物、ピエモンテ風フリット・ミスト↓
家畜を捌いたときに作る農民のご馳走で、甘いのとしょっぱいのが同時にありました。
肉や内臓は豊富なのに対して、野菜が根菜ばかりで葉っぱがない。野菜も食べなさい、と言いたくなる。

ポルチーニはパン粉をつけて揚げるカツ風。

チーメ・ディ・ラバはプーリアの名物野菜。
茎、葉、花蕾と、かなり状態の違う部位からなるので忍耐強い下ごしらえが必要。
揚げる前に下調理してしんなりさせ、衣と混ぜてかき揚げに。

次回はソースの話。


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2022年8月20日土曜日

イカ墨はリゾットにするための最高の食材。パスタとリゾットでは、使い方も違う。

今日の料理は小イカのリゾットです。
リチェッタは(CIR)10月号、P.7。ちなみに、イカ墨のリゾットは、夏の料理だそうです。
普通イカのリゾットというとイカ墨のリゾットのことで真っ黒ですが、このリゾット、白いです。
イカ墨のリゾットrisotto al nero di seppia。

・上の動画はリゾットの作り方の基本も抑えています。
・フライパンにEVオリーブオイルを入れて中~強火にかけ、刻んだイカを加えてさっとソッフリットにする。
・にんにく1かけのみじん切り、塩、こしょう、唐辛子少々を加える。火を止めてイタリアンパセリのみじん切りを散らす。イタリアンパセリは熱すると苦みが出るのでソッフリットにはしない。
・狭くて深さのある鍋でリゾットを作る。
・油や水分を加えずに米を炒める(tostatura a secco)。EVオリーブオイル少々、バター少々、エシャロット章1個のみじん切りを加えて炒める(seconda tostatura)。
・米に焼き色がついたら野菜か魚のブロードをかけ、常にかき混ぜて米のデンプンを溶かしながら強火で煮て(夏は18分)水気を飛ばす。
・2杯目のブロードをかけてかき混ぜながら煮る。
・イカ墨は、墨袋1個でリゾット3、4人前。
・リゾットに炒めたイカを加える。焼き汁をブロード少々でデグラッサーレしてリゾットに加える。
・火を止めて墨袋を破かないで加え、抑えながら混ぜる。リゾットの水分が多すぎる時は火をつけてかき混ぜながら水気を飛ばす。混ぜれば混ぜるほどイカ墨に艶が出る。
・火を止め、冷えたバターの小片を加えて仕上げのマンテカーレをする。
・皿にリゾットを盛り付けて広げ、イタリアンパセリのみじん切りを散らす。

(CIR)のリチェッタでは、リゾットが煮上がる2分前に水で溶いた米粉を加えます。イカ墨が入らない分、こうしてでんぷんを補強するのですね。墨がない小イカもこれならリゾットにできます。
逆に言うと、イカ墨にはリゾットをつなぐデンプンの役割があったのでした。

イカ墨が入らないイカのリゾットはリゾット・ビアンコrisotto bianco。
イカのリングイーネを作り、残ったイカでリゾット・ビアンコ↓を作るようです。

・にんにくを潰してバターでソッフリットにし、米を加えて炒める。白ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・イカ、イタリアンパセリ、こしょうを加え、ブロードで米を覆う。リゾットをかけながら15~18分煮る。
・火から下して1分休ませる。
・バターの小片を加えてマンテカーレし、イタリアンパセリのみじん切りを加える。

イカ墨を加えないリゾット・ビアンコより圧倒的にリゾット・ネロのほうが美味しそう。
イカ墨ってすごかったんだ。

イカ墨はコウイカ(seppiaコウイカ)の墨ですが、(CIR)のリチェッタでは、カラマレッティ・スピッロcalamaretti spilloという小型のイカを使っています。
イタリア料理のイカというと、スミを使うセッピアseppiaコウイカか、イカリングにするカラマーロcalamaroヤリイカですが、カラマレッティ・スピッロはcalamaretti spilloはミニサイズのヤリイカのこと。
各サイズのカラマーロ。

イカ墨のスパゲッティとリゾットでは、イカ墨の存在がかなり違う。パスタの場合はイカ墨はソースの一種。リゾットの場合はフォンド。別名ブロードが重要。ブロードは米に吸いこませいて米と一体になる。
下の動画はミラノのシェフのスパゲッティとリゾット。


この動画の解説に、ピーノ・クッタイアシェフの歴史的なエピソード、と書いてありました。やっぱり気になるので次回はシェフの話。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2022年8月19日金曜日

パスタ・エ・ファジョーリを洗練された1品にするシェフたちのアイデア。

今日のお題は今月の(CIR)のリチェッタから、イタリア料理を代表する料理の一つ、パスタ・エ・ファジョーリPasta e Fagioliです。
すごく素朴で家庭的で気取ったところが一つもない普段着の料理です。
豆とパスタという栄養的にもすぐれたこの料理は、都会でデスクワークをしている家庭の料理ではなく、一日中肉体労働をした農民が、一日の終わりに食べる、栄養満点の家庭料理です。
リチェッタの詳細は(CIR)P.6をご覧ください。

10月号の『クチーナ・イタリアーナ』はフィーチャリング・カルロ・クラッコ。
この料理の写真も、すごく美しくて洗練されています。
パスタ・エ・ファジョーリが洗練されてる、てどういうことかとも思いましたが、よく見ると、お皿はジノリです。リムにてとも繊細な花が描かれています。料理はこの花と溶け込むような美しい、立体的な盛り付けになっています。

ジノリの花に飾られると、田舎風料理もアートになるのですわ。

さらに、パスタをかなりこんもり盛って軽快な動きがあるショート・マルタリアーティを料理の主役にしています。
今月は、クラッコシェフのトマトのスパゲッティの記事もありますが、何の変哲もないトマトソースのスパゲッティも彼が盛り付けると、アートになります。

パスタ・エ・ファジョーリはイタリア中に広まっている料理ですが、パスタの産地、ナポリのパスタ・エ・ファジョーリはほかの地方とは違います。何が違うかというと、パスタです。ナポリではパスタ・エ・ファジョーリ用のミックスパスタが売られています。
クラッコシェフがパスタ・エ・ファジョーリに使ったのはショート・マルタリアーティです。普通のマルタリアーティは幅広の平麺ですが、パスタ・エ・ファジョーリ用には縁が縮れたタイプを使っています。料理が立体的になって動きが出ることを考えて選んでいることが分かります。

ナポリ風パスタ・エ・ファジョーリ。
パルミジャーノの皮を加えるリチェッタ。


パスタ・エ・ファジョーリのバリエーションの1つ、パスタ・エ・パターテもミックスパスタでできる。

ベローナの星付き店、リストランテ・カーザ・ベルベッリーニのジャンカルロ・ベルベッリーニシェフのパスタ・エ・パターテpasta e patate。ベローナのシェフはナポリの庶民料理をどうアレンジするのでしょうか。

材料/4人分
エシャロット・・2個
ベーコン・・30g
じゃがいも(デンプンが豊富な古いもの)・・180g
パスタ(今回使っているのはグラニャーノのメッゼ・マ二ケだが、折れたスパゲッティやロングパスタを手で折ってもよい)・・220g
鶏のブロード・・1ℓ
バター・・20g
EVオリーブオイル
パルミジャーノ・・40g
帆立て貝・・8個
モッツァレラ・ディ・ブファラ・・150g
塩、こしょう

・エシャロットのみじん切りを油でソッフリットにする。
・じゃがいもをパスタよりやや大きな角切りにしてソッフリットに加え、なじませる。
・ベーコンを加えて炒める。リゾットの要領でデンプンを溶かしながらじゃがいもを煮る。
・じゃがいもが煮上がる3、4分前にパスタをゆでる。
・パスタを取り出してじゃがいものゆで汁に入れてアルデンテにゆでる。
・ホタテの貝柱に塩をして両面を油で焼く。
・パスタ・エ・パターテにグラナ・パダーノ少々を加えてマンテカーレする。
・皿に盛り付けて4つに切ったホタテ貝を加える。こしょうをかけて油を回しかける。
・仕上げにモッツァレラのスプーマをサイフォンから絞り出す。

ベルベッリーニシェフはパスタ・エ・パターテにリゾットの製法調理方法を応用しました。
最後のほうは、リゾット造っていると勘違いするくらいリゾットの製法です。これは可能性が広がりますね。
ベルベッリーニシェフの店、カーザ・ベルベッリーニの特徴はオープンキッチン。
キッチンとホールが一体になったかなり独特な雰囲気。



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2022年8月18日木曜日

シチリアのアランチーニやパンの惣菜はミニ化が止まらない。


今日のお題はモダンなアランチーニ。

(CIR)10月号P.3のリチェッタです。
まずはエリチェ(トラパニ)の惣菜店の伝統的なアランチーニ。
形は丸いオレンジ型と先端がとがったしずく型があり、昨今は揚げ油の量が多くなるしずく型は減っているよう。具はラグーかモッツァレラとグリーンピース、ハムなどのミックス。

(CIR)のリチェッタは、ずばり、ミニ・アランチーニ。リチェッタではあんず大、と説明していました。ミニサイズにするだけで、ぐっと今時。

下の動画はオリーブとチーズのミニアランチーニ。
具を詰めるのではなく、リゾットに混ぜ込む、というだけで、大きさからは解放されて、一口大になります。ちなみに、(CIR)のリチェッタはエビとさやいんげん。



パレルモのロスティッチェリアのリチェッタ。シチリアのパン系惣菜店、ロスティッチェリアは、ロレッタrolletta、ピッツェッテpizzette、カルツォンチー二calzoncini、クロスティーニcrostiniなど、ミニサイズの惣菜の宝庫。
生地は1個30gで、ミニオンと呼ばれるサイズ。

材料/30gのミニオン60個分
マニトバ粉・・1㎏
水・・580ml
砂糖・・100g
ラード・・100g
生イースト・・50g、ドライイーストは14g
塩・・20g

アランチーニに話を戻すと、ミニサイズにして具はシーフードなど軽くするのがモダンなアランチーニ。

ロブスターのアランチー二。


アランチーニがリゾットボールだとすると、具はもっと自由に。例えばイカ墨のアランチーニ。

おまけの動画は、イカの卵。
小学生がイカの卵を見つけた、というニュースで思い出したのが、シチリアのピーノ・クッタイアシェフです。彼の店は、“イカの卵uovo di seppia”という名前です。何のことかと思って動画を探たのですが、当時はイカの卵の動画は見つかりませんでした。店のマークがイカの卵だったということも、今ならわかるけど、当時は、クッタイアシェフって何者!?と思ったものです。ちなみにイカの卵は今ではすっかり彼のトレードマークになりました。

ピーノ・クッタイアシェフ。



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2022年8月17日水曜日

プロポローネ・デル・モナコの産地は、働き者で器用で地元を強烈に愛するカンパーニアの貧しい農民、イタリア料理を世界中に広めたイタリア移民たちのふるさと。

今日はズッキーニのスカペーチェつながりで、ナポリのズッキーニのパスタの話です。
スカペーチェscapeceというのはスペイン系の野菜を保存しながら美味しくする技術。
ズッキーニのスカペーチェはイタリア料理の代表的なコントルノです。


ナポリにはズッキーニのパスタにも、有名なリチェッタがあります。
ネラノ風ズッキーニのパスタSpaghetti alla Neranoです↓




この料理のポイントは、プロポローネ・デル・モナコを使っていること。
プロポローネはモッツァレラと同じパスタ・フィラータのチーズを熟成させたもの。
モナコとは言ってもフランスのモナコではなく、発祥地はナポリ郊外のソレント半島にある海辺の村、ネラノ。この地区の酪農家が、修道士(モナコ)のようなマントを着て寒い早朝に港を出てナポリまで出稼ぎに行って売っていた、ナポリを代表するチーズがプロポローネ・デル・モナコでした。


プロポローネ・デル・モナコの産地、アジェロラの貧しい農民は、移民となって世界中に散ってナポリ料理を広めた人たち。働き者で器用で地元愛が強烈な彼らの中にはチーズメーカーになって世界的な成功を収めた人もいます。
下の動画は、アジェロラの、ある意味夢のような世界を見せてくれます。プロポローネ・デル・モナコは10%だけ地元品種の牛乳を使っているので風味が特別だと語っています。ナポリやカンパーニアの人たちのプライドが詰まったチーズです。



イタリアには、ほかにも野菜を美味しく保存するリチェッタがあります。
ベネチアのイン・サオールin saorです。漁師や船乗りの料理でした。
今ではベネチアを象徴する料理です。
ベースは玉ねぎ、ビネガー、レーズン。

キオッジャのリストランテ・ダルセナ・ル・サリーヌ(webページ)のシェフが作るイワシのインサオール。
材料/4人分
イワシ・・500g
玉ねぎ・・500g
ビネガー・・1カップ
レーズン・・100g
松の実・・30g
塩、こしょう、オリーブオイル

・イワシから頭と内臓を取り、小麦粉をまぶして揚げる。
a.玉ねぎの薄切りを油、ビネガー、塩、こしょうで火を通しすぎないように炒め煮にし、レーズンと松の実を加える。
・オーブン皿にaを敷いてイワシをのせる。これを材料がなくなるまで重ねて24時間マリネする。

イン・サオールのバリエーション。ニシンのイン・サオール。



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バッカラ・アッラ・ビチェンティーナ。

今日の料理はベネトのシンボル的1品。きのうのトウモロコシの産地、マラノは、正確にはマラノ・ビチェンティーノといいます。その名の通り、ビチェンツァ県にあります。 ビチェンツァは世界的天才建築家、パッラーディオPalladioが手掛けた世界遺産の町。 彼の建築様式はパッラーディオ様式...