2023年6月30日金曜日

ミラノのミートボール、モンデギリは子牛肉のミートボールだって。さすがにこんなミートボールはイタリアでもミラノにしかない。しかもこれでも残り物の料理。

さて、(CIR)4月号ベルパエーゼの記事(P.22)から、ロンバルディアのグルメガイドです。
イタリアのハイトレンドが集まる国際都市の料理なら、イタリアでは、ミラノがトップだと思いますが、イタリアでイタリア料理を食べる醍醐味は、地方料理や家庭料理を味わうことだと思います。
最新のトレンドじゃなくてミラノで典型的な家庭料理を食べたい人もいるはず。
そんな人にお勧めのミラノの郷土料理の一つがモンデギリmondeghiliです。

(CIR)の記事には、ミラノのトラットリアで味わうべき料理がちょっとだけ紹介されていました。
その1つがミラノ風ミートボール、モンデギリmondeghili。
モンデギリはミラノの家庭の味を代表する1品。ローストやボッリートの残り物で作ります。
ロンバルディアのミートボールは、他の州のミートボールとはちょっと違います。牛肉(子牛肉)がベースで、さらにモルタデッラやサルシッチャを加えます。肉は生ではなく、火を通したもの。
モンデギリの語源mondeghiloは、ミラノがスペインに統治されていた時代の数少ない名残。アラビア語が語源のalbondigaがスペイン語でポルペッテという意味のalbondeghitoが、さらにmondeghiloと変化したと言う、かなりこんがらかっている名前。

昔はブロードをとった後の子牛肉とブロードの野菜で作りました。前菜やセコンドとしてサーブします。付け合わせの定番はポテトピューレ。


シチリアあたりならともかく、ミラノにまでアラブとスペインが影を落としていました。
これにナポレオンとハプスブルグが加わると、もう複雑過ぎて手に負えなくなります。

ミラノの昔ながらのトラットリア。

この店も食べてみたい。




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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2023年6月29日木曜日

IGPのブレザーオラは、ヴァルテッリ―ナ生まれ。料理に使う方も、堂々と宣言する。

ミラノなどロンバルディアに行ったら食べておきたいロンバルディアの名物食材は、
バルテッリーナ地方のシンボル、

ヴァルテッリ―ナのブレザーオラ。

ブレザーオラの人気のポイントは、豚肉ではなく牛のもも、ヒレなどを軽く塩漬けにしたサルーミで、アルプスの干し肉の伝統から生まれたサルーミです。ヴァルテッリ―ナだけでなく、イタリア中で造られていますが、ヴァルテッリ―ナで造られたものはIGP製品に認定されています。塩気が軽く、自然な味でとても人気があります。
イタリアでは、ブレザーオラの語源は、一説では、“塩漬け”を意味するブリーザbrisa。肉に粗塩と造り手独自の配合の天然の香料(にんにく、ナツメグ、ローリエ、クローブ、シナモン、ジュニパーなど)、ワインをまぶして10日間寝かせ、腸詰にして吊るして1~3ヵ月熟成させます。サーブする時は薄くスライスしてそのまま、またはオイル、レモン汁、バルサミコ酢、こしょう、オレガノ少々などで調味します。

ブレザーオラIGPのピッツァ。

ブレザーオラの後にわざわざIGPとつけるケースがとても多いです。IGP認定は類似のコピー品でないことの証明にもなっています。
IGPはindicaione geografica d'origineの略。保護指定地域表示。他にDOP denominazione di origine protetta保護指定原産地表示もあります。
DOPは主要食材の産地、飼育、加工が具体的に決められている地域内で明確に定められた法律に基づいて行われている製品。その結果、五感や栄養的特徴が製品に現れている。サルーミの場合は、子豚の誕生から製品の出荷までがイタリア内で行われているので製品の衛生管理が行政の手で最大限把握されている、安全が保障されている製品。
IGPは産地以外の2つの条件を満たしている製品。

ヴァルテッリ―ナはロンバルディアの中でも個性的な食文化がはぐくまれた地方。食べ歩きの観光にもぴったり。高原の放牧地を代表するチーズ、ビットの産地でもある。ビットはマイルドで山のハーブの味がする。
ヴァルテッリ―ナのビット。

ブレザーオラIGPとビットDOPのリゾット。

そうそう、チーズと言えば、グラナ・パダーノもロンバルディア生まれの硬質チーズでした。ただし今はイタリア中で造られています。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2023年6月28日水曜日

アラブ人がシチリアに伝えた米は、ルネサンスの時代にポー河沿岸地方に広まった。


(CIR)の記事、“ベルバエーゼ”は、イタリアで食べ歩きをするには欠かせない地方料理の貴重な情報満載の記事です(記事の日本語訳は4月号P.22~)。昨日は、ロンバルディアのグルメ情報を元に動画を探していたら、イタリアで食べ歩きをするヒントがたくさん見つかりました。
例えば今回のテーマはリゾットですが、まず考えるのは、地産地消。生物多様性同様、イタリアの食文化を語る上での大切なポイントです。
食べたいものがあったら、その産地に行くこと。
今回は、米の産地、ロメッリーナ地方のビジェバノで、この地方の農作物や伝統のサルーミを使ったリゾットを見つけました。
もちろんここ以外にも米の産地はあります。もっとイタリアの米料理を知りたくなったら、次は米の品種を知ることが必要になります。

ロンバルディアやミラノは米と強く結びついた地方ですが、ミラノだけでなく、ポー河沿岸の地方は、米の産地です。
クチーナ・ミラネーゼ

によると、米はミラノのシンボルとなる穀物で、北イタリアには120種の米が栽培されているそうです。最初の田んぼが登場したのは16世紀後半。マントヴァ、パヴィア、ヴェルチェッリ、ノヴァーラ、といった歴史的にはトリノの影響下の地方がミラノの米蔵となりました。

下の動画はヴェルチェッリの水田で季節労働をする女性たち。彼女たちはモンディ―ネと呼ばれ、泊まり込みで早朝から一日中重労働に携わった。主な仕事は苗の田植えと秋の収穫に備えた雑草抜き。北イタリアの米を作った人たち。今はその姿は消えた。

ミラノ料理で活躍した米はカルナローリCarnaroli。

米はルネサンスの作物と言われています。この時代に栽培が始まり、栽培が急速に広まったからです。ちなみに米はアラブ人によってまずシチリアに伝わります。そして北イタリアの米に魅せられた研究熱心な領主たちのおかげで、新しい栽培方法がどんどん創り出されて、今やイタリアは、ヨーロッパの米作りの中心地にまでなりました。
北イタリアで米を栽培するということは、水路なども必要で、それまでヨーロッパで行われていた農業とは根本的に考え方を変える必要がありました。先進的な考え方の領主は、よほど面白かったのか、技術だけでなく、米作りの詩まで作って米の栽培をバックアップしました。
カルナローリ米。


それにしてもこの本『クチーナ・ミラネーゼ』、いつも思うんですが、料理にイラストを多用してるんですよ。リゾット・アッラ・ミラネーゼをイラストで描いて、て言われたイラストレーターが描いた絵が、すごい力作。カルナローリの特徴である、粒が大きくて煮崩れしないというのをイラストで表現しきってるんです。つまりリゾットの米が一粒ずつ描いてある。ちょっとやりすぎるけど、頑張った。


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2023年6月27日火曜日

ロンバルディアでリゾットの旅をするならスタートはパヴィア県、ロメッリーナ地方のヴィジェバノ。

さて、ロンバルディアに行くなら、多分絶対訪れるであろう街が州都のミラノ。世界の美食のハイトレンドが集まる街なので、そういう料理を探検してみたい人は、最新の店を体験してみることができる街。
でも、(CIR)4月号で勧めていた場所は(P.22)、伝統の農業が行われている地方。
パヴィア県の水田地帯、ロメッリーナ地方です。
ミラノ観光は、ブランド店でのショッピングや湖観光、アートの街、ベルガモ・アルタなどが人気の場所ですが、食に興味があるなら、ロンバルディアの米文化と観光が融合した場所
ロメッリーナなんてどうでしょう。
パヴィア県ロメッリーナ。

もちろん、この地方のキーワードは米、そしてリゾット。他の場所とは一味違ったリゾットが味わえる場所。どうやらミラノ人もあまりよく知らない場所のよう。
週末には、自然、米と城、ポー河のテーマでロメッリーナのガイド付きツアーも行われている。米料理のプランツォ付き。


この地方の第2の都市、ヴィジェバノ。

全然知らなかったけど、美しい街。イタリアで一番美しい、と言われる広場、Piazza Ducaleとヨーロッパ最大の城がある。

この地方のユダヤ人のコミュニティーの特産品の一つ、“モルタラのガチョウのサラミSalame d'oca di Mortara”。
ユダヤ人が禁じられている豚肉の代わりにガチョウで造ったサラミ。腸ではなく、ガチョウの首の皮で包む。


ロメッリーナの米のリゾット。「米はロメッリーナのすべて、伝統、経済、文化なのです・・・」。この地方で栽培されている米はリゾットの王様とも呼ばれるカルナローリCarnaroli米。

米の次にリゾットに欠かせない食材は地元産の大きな玉ねぎ。生産者は地元の農家の14人。昔ながらの、修道士から教わった機械を使わない方法で人力で栽培している。ホワイトアスパラガスもこの地方の特産品。さらにロメッリーナ地方の中心地、モルターラの名物はガチョウのサラミ。地産地消が行き渡っているこの地方では、リゾットの材料も自然と決まる。シェフはリゾットを世界に広めたいという野望を持つ人。
一粒一粒味わえるカルナローリのリゾットを食べると、日本の米とは別物、ということを実感します。こういう米も病みつきになりますねー。


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2023年6月26日月曜日

イタリアで食べたい、ロンバルディア入門。

今日は(CIR)4月号のイタリア各州の食文化を紹介する連載記事、“ベルパエーゼ”から、まずはロンバルディアLombardiaです(P.22)。いつも1行で各州の姿をずばっと言い表していて、しかもイタリア人じゃなきゃ言えないような自虐ネタで笑わしてくれますが、ロンバルディアは、
『バカンスを過ごそうと思う人は誰もいないけど、観光地としての魅力はたくさんある』でした。うまいこと言うねえ、と思いましたが、よく考えればバカンスに人気の場所もあります。
ロンバルディアの観光地のスターは、コモ湖。
コモ湖畔の町、レッコ。シニアにピッタリの落ち着きのある場所。


ロンバルディアの州都ミラノは国際都市で、イタリアに入る人のほとんどが訪れる土地。さらにミラノは世界の美食のハイトレンドが集まる街。世界中のエスニック料理もまずミラノに集まる新しさとトレンドに対する敏感さ、楽しさがある街で、しかも伝統の聖域でもあります。
最新のリゾートホテルは水田が見渡せる部屋や、地方の食材を活かした料理を出すレストランがあることで知られていて、リゾットが美味しいことでも評判。
水田が見えないホテルに泊まっても、ミラノにいてリゾットを食べないなんて、ありえないです。

部屋から水田が見えるホテルのシェフが作るガチョウのリゾット。つなみにこのホテルは、ミラノのトルッサルディ(トラサルディ)ホテルを手掛けた人の最新ホテル。

ミラノのゴージャスホテルトップ10。
欧米の高級ホテルは、金にいとめをつけない人向き。庶民すぎる気分でいると革命起こしたくなる。

ロンバルディアの地理。

ロンバルディアは河が多くて気候は温暖。平野は冬は寒くて霧が出ます。夏は暑いです。イタリアで最も工業化が進んだ州の一つで、もっとも人口が多い州。シチリア、ピエモンテ、サルデーニャに次いで4番目に広い州。その多くの部分がパダーナ平野と呼ばれる平野。農産物はオルトレポー・パベーゼのぶどう、牛や豚の飼育やその乳製品、サルーミなどの生産が盛ん。ミラノはファッションの分野で有名で、イタリアの経済の中心地。工業は、食品、機械工学、薬品、繊維、ファッション、モバイルなどの他、銀行、出版業、ラジオ、テレビ局、都市部の観光業やウインタースポーツなども盛ん。

ロンバルディアにも人気のバカンス地はあります。それは湖畔。イタリア最大のガルダ湖やコモ湖などがあり、湖畔は高級バカンス地です。

始めてミラノを訪れた時は、まだイタリアで見るものすべてが珍しかった時期で、ほんとに退屈とは無縁の場所でした。でも、やがて何度も同じ場所ばかり行くようになり、思いきってコモ湖まで足を延ばしました。すると、騒がしいミラノと比べるとあまりにも落ち着いていて、寂し~くなってしまいました。湖の中の白鳥がいる優雅な島なんか一人で巡っていると涙がこぼれそうで・・・。

レッコ。

ミラノ。

ロンバルディア。

ロンバルディアの名物。

ロンバルディア観光の話、続きます。

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2023年6月24日土曜日

南のドルチェは、人の手で造っていることを感じさせるのがポイント。完璧な美しさは求めない。素朴であればあるほど愛が伝わる。

きのうはイースターエッグがらみのイースターのドルチェ、クッツーパ・カラブレーゼの話をしましたが、今日は、ナポリの復活祭の卵入りのパンの話。
カザティエッロcasatielloです。
ナポリではパスクエッタのピクニックに欠かせない食べ物。ドルチェではなく、サラートな1品。カザティエッロという名はナポリの方言でチーズcacioという意味の言葉が語源。
チーズもたっぷり入ります。ペコリーノ、ラード、サラミなどが入った生地で、殻付き卵を編み込んだリング型のパン。復活祭が祝う豊穣と春と再生をイメージさせる発酵生地の食べ物。卵は十文字にした生地でベースに止めます。
カザティエッロCASATIELLO

材料/直径24㎝の型1個分
水・・375g
小麦粉・・650g
生イースト・・10g
塩・・15g
黒こしょう
ラード・・25g
EVオリーブオイル・・25g
《詰め物》
サラメ・ナポレターノ・・150g
ペコリーノ・・150g
飾り用卵・・4個

・イーストを水で溶いてニーダーに入れ、ラード、オリーブオイルを加えて低速でこねる。小麦粉の半量を少しずつ加え、塩も加える。生地がまとまったら手でこねて(人の手で造っていると感じさせる生地にする)締まった生地にする。
・詰め物を用意する。唐辛子入りのナポリサラミとペコリーノが最適だが、なければ他の物でもよい。これらを大きめの小角切りにする。
・生地を少量別にし、残りの生地にサラミとチーズの小角切りとこしょうを練り込む。サラミをゆでて皮をむいたソラマメにすると軽く仕上がる。
・直径24㎝のリング型にバターを塗り、棒状に伸ばした生地を入れる。殻付き生卵を埋め込む。
・別にした生地を小さな棒状に伸ばして卵に十文字型にかぶせて生地にとめる。布巾をかぶせて1~1.5時間発酵させる。ほぼ2倍になったら170℃のオーブンの下段で75分焼く。

出来上がりの絶妙なぶきっちょ感があったかい。

逆に複雑で精工すぎて人間の手で造ってるとは思えないナポリのドルチェ、スフォリアテッレsfogliatelle。

機会で造ってても超大変。


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2023年6月23日金曜日

最初のイースターエッグは聖金曜日の祝福を与えた卵だったが、ロシア皇帝が造らせたプラチナの中に金の卵が入ったえげつないものあたりから芸術品となっていく。

復活祭のある月で春の訪れを祝う雰囲気に満ちた4月に取り上げた地方料理は、
クッツーパ・カラブレーゼcuzzupa calabrese(リチェッタはP.41)。
カラブリアの復活祭のシンボルのドルチェです。
クッツーパ・カラブレーゼ。

卵は命の復活、春、希望の象徴で、復活祭の必須アイテム。
一般的なイースターエッグは、ゆで卵を天然色素を使って着色する方向に特化した。

ゆで卵に色をっけるくらいなら素朴で可愛いもんですが、ロシアの貴族たちは、イースターエッグを宝石で造りました。ロシアの皇帝が彫金師、ピーター・カール・ファベルジュに作らせたプラチナの中に金の卵が入ったものがイースターエッグの始まり。

まあ、芸術は支配者の庇護のもとで発展していくのは、ルネサンスを始めとする世界中の芸術がたどった道ですが、卵は宝石化の一方で、南イタリアの農家では、ドーナッツ型の甘いパンの巣に籠った姿に進化した。

高価な宝石とは縁がありませんが、マンマたちの温かい手作りの、ある意味とても貴重なドルチェ。

昔、南イタリアではバターさえも高級品でした。油脂はラードかオリーブオイルです。
小麦粉、砂糖、ラードという究極にシンプルなパスタ・フロッラのドルチェを特別なものにしているのは、女性たちが編み込んだりして作り上げた複雑で愛情あふれたその形。素朴であればあるほど、胸を打たれます。宝石の卵とは究極にある卵です。プレゼントにもなり、復活祭の卵としての最初の目的も果たしました。

クッツーパはアラビア語でパンという意味のkhubzが語源だとか。ギリシャ語の王冠という言葉が語源のものもあるし、ラテン語のカッコウを経由したものもある。
超高級な宝石の卵より、農家の女将さんの創造力で形造られるパスタ・フロッラの籠のほうが、いかにも南イタリア的。

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2023年6月22日木曜日

マルツォリーノは5月限定という大量生産しにくい幻のチーズだけど、例によってカテリーナ・デ・メディチが結婚する時にフランスに持って行ったという強力なお墨付きで国際的に知られたペコリ―ノ・トスカーノ。

今日のお題は、ペコリーノ・トスカーノpecorino toscanoです。

他のペコリーノより甘いのが特徴と言われています。料理には、グラナgranaと呼ばれる他の硬質チーズと一緒に使います。グラナは味の良さと保存性の高さから大ヒットしたチーズです。代表的なグラナはパルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノ。
イタリア料理には欠かせないチーズ。
パルミジャーノは長期熟成させてアロマを強めるチーズ。硬質チーズがしっかり熟成されているかは塩が姿を変えた小さな白い結晶、チロシンで分かります。味を豊かにして消化しやすくするアミノ酸です。
硬質チーズは料理にコクや複雑な味わいを与え、はスタやリゾットを白く覆い、オーブンで焼けば香ばしい焼き色もつく。

今日紹介するペコリーノ・トスカーノは、マルツォリーノ・デル・キアンティmarzolino del chianti。マルツォリーノとは、5月(マルツォ)のトスカーナで造るペコリーノ。放牧地の草の風味が一段と引き立つ季節のチーズです。カードも子羊の酵素ではなく、野生のカルドンの花がその役割をします。機械化もされておらず、家族単位で自然のリズムに合わせて造るチーズ。製造期間も限定されているので、数が減っている貴重なチーズ。
マルツォリーノ。


ペコリーノ・ディ・ピエンツァもマルツォリーノの一種。現在は1年を通じて造られている。歴史の古いチーズで、フィレンツェではカテリーナ・デ・メディチがお気に入りで、フランス王との婚礼に際して持参した、と言い伝えられている。トリュフ風味や唐辛子風味などがあり、明らかにインターナショナルな市場を目指しているチーズ。ハーブの風味が特徴なので、ソラマメにはよく合う。
蜂蜜とジャムなど甘いものとも組み合わせられる。






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2023年6月21日水曜日

羊のミルクには人間が体内で造ることができない脂肪酸、オメガ3が豊富に含まれていた。青魚だけじゃなかった。

ペコリーノの話、続けます。
そもそもの大前提、このチーズは羊のミルクのチーズです。

羊の飼育。市場を牽引しいるのはフランスですが、新人が参入する余地がたっぷりある新しい市場。

羊のミルクはイタリアの全ミルクのわずか5%ですが、羊が放牧される環境は年々関心が高まり、人間によって整備され、守られています。その結果、とても栄養価の高いミルクになります。例えば、オメガ3は牛乳より多く含むことが知られています。
これはDHA、ドコサヘキサエン酸、青魚に含まれていることが知られるあの栄養素です。

代表的な羊乳のチーズは、ペコリーノ・ロマーノ、サルド、シチリアーノ、トスカーノ。
ソフトなフレッシュと、おろして使う熟成タイプがあります。
ペコリーノ・ロマーノは、現在はほぼ90%がサルデーニャ産。ローマとナポリの生産者がラツィオと気候が似通ったサルデーニャで製造を始めたのがきっかけでした。現在はペコリーノ・ロマーノの管理組合もサルデーニャにあります。
ヨーロッパで最初にDOPが認められた羊のチーズで、外国の市場で偽物がもっとも出回っているチーズ。塩気が強いのが欠点でしたが、2013年には塩分が5%以下の製品が新発売されています。

おろして使うタイプのチーズは、“パスタ・コッタpasta cotta”と呼ばれる製法で造ります。この製法を用いないチーズはパスタ・クルーダpasta cruda。
カッティングしたばかりの凝乳物(カード)を48~55℃で加熱してからホエイを出す製法です。
この方法を用いると、弾力のあるカードになります。ペコリーノ・ロマーノ、グラナ・パダーノ、パルミジャーノ・レッジャーノもこの製法で造られます。これらのチーズは水分の排出量を多くするためにカードを細かくカッティングすることも共通しています。製品の水分含有量は40%以下。水分が少ないと、長期間熟成させることが可能になります。

ペコリーノ・ロマーノの熟成期間は、テーブルチーズは最低5ヵ月、おろして使うタイプは8ヵ月。パルミジャーノは最低12ヵ月で22か月以上熟成させると複雑な風味になります。グラナ・パダーノも最低12ヵ月。若いペコリーノ・ロマーノは、白~麦わら色で、サルデーニャやラツィオの牧草地のハーブの香り。やや辛口で、洋梨のコンポート、蜂蜜、ドライフルーツ、田舎パンとサラミ、フルーツと野菜などと相性がよく、定番の組み合わせはソラマメとパンチェッタ。
最低8ヵ月熟成させたペコリーノ・スタジョナートは、生地は若いタイプより締まっていてやや粒状。辛さがもっとはっきりしているので、ブリーモ・ピアットの味付けには完璧。特にローマの定番プリーモのカーチョ・エ・ペペ、カルボナーラ、アマトリチャーナには欠かせない。それだけでなく、じゃがいものニョッキ、ラビオリ、リゾット、ズッパにも合う。
というわけで、ドコサなんちゃらが豊富なペコリーノ、青魚の代わりに食べたくなりました。


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2023年6月20日火曜日

ペコリーノの国の傑作ペコリーノの旅。その1.ペコリーノ・ディ・フォッサ。

カーチョ・エ・ペペのカーチョはペコリーノのこと。
羊飼いの国、イタリアを代表するチーズです。
羊と自然と人とのかかわりを強く感じさせるチーズで、羊がミルクを出さなくなる期間、つまり授乳期間が終わってからの保存食。

エミリア地方のアペニン山地の羊飼いの暮し。

ペコリーノ・ディ・フォッサはエミリア・ロマーニャのチーズ。
羊のミルクを夏から冬まで穴の中で熟成させたズ。チーズを穴から出す瞬間を見に、観光客が集まる。
エミリア・ロマーニャの家の床や庭には、はるか昔、蛮族が侵略してきた時代に、財産を隠しておくための穴が彫られていた。この密閉された穴の中で熟成させたのが、ペコリーノのフォルマッジョ・ディ・フォッサ。熟成の間、チーズは家や庭の香りを吸い込んでいった。チーズはナイフですぱっと切らずに、パルミジャーノのようなカッターで割り、チーズの中にたまったミルクの脂肪分を逃さない。 
甘さの中に辛さがあるペコリーノ・ディ・フォッサ。
下の動画のレナート・ブランカレオー二のペコリーノ・ディ・フォッサは芸術品のようなチーズと評されている。ロンコフレッド(フォルリ・チェゼーナ県)の造り手。ミルクは餌や季節によって味が変わる。

フォルマッジョ・ディ・フォッサとサンジョベーゼのソースのリゾットrisotto con le riduzione di sangiovese e formggio di fossa

材料/
カルナローリ米・・320g
エシャロット・・4個
サンジョベーゼ
フォルマッジョ・ディ・フォッサ

・エシャロットのみじん切りと塩少々を油でソッフリットにし、ワインをかけて20分煮る。水て溶いたコーンスターチ大さじ1を加えてとろみをつける(サンジョベーゼのソース)。
・リゾットを作る。鍋に米を入れて強火で1分炒め、ブロード・ディ・カルネ(玉ねぎ、にんじん、セロリ)をかけながらリゾットに煮る。
・10~12分煮て米に半ば火が通ったら大さじ2杯のサンジョベーゼのソースを加えてさらに煮る。
・煮上がる1分前、米がアッロンダになったら(水分を適度に残した状態)火から下しておろしたてのたっぷりのフォルマッジョ・ディ・フォッサでマンテカーレする。
・皿に盛り付けてサンジョベーゼのソースをかけ、フォルマッジョ・ディ・フォッサを散らす。

ちなみに、今月のリチェッタ(P.5)のリゾット・カーチョ・エ・ペペもリチェッタの基本は同じ。
ペコリーノの話、まだまだ美味しいチーズがあります。


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2023年6月19日月曜日

チーズを数種類のペコリーノ・ロマーノのミックスに、こしょうをマレーシアのサラワク産にすると、いつものカルボナーラやカーチョ・エ・ペペもランクアップする。

(CIR)4月のリチェッタのプリーモ1品目は、卵黄を10個も使うタヤリン、つまりピエモンテの伝統パスタのアレンジでした。
しかもさりげなくソラマメ入りで、5月の料理であることを猛アピール。
毎月のリチェッタは、ちょっと一ひねりした地方料理が多いので、それを発見するのも楽しいです。
さて、ブリーモ2品目は、リゾット・カーチョ・エ・ペペです(リチェッタはP.5)。
これはどこの地方の料理でしょうか。
ちょっと簡単でしたかね。
カーチョ・エ・ペペと言えば、ローマそしてラツィオの名物。
カーチョはチーズでペペはこしょう。カルボナーラの系列なのは一目瞭然。
ローマのチーズと言えば、ペコリーノ・ロマーノのこと。
さらにダメだしともいえるのが、リゾットのトッピングの野菜、プンタレッレ。

プンタレッレ。

ローマの名物野菜のチコーリアの芽です。アンチョビソースでサラダにするのが一般的ですが、こんな風に、リゾットのトッピングにもなるんですね。
カーチョ・エ・ペペはシンプルな料理だけに、バリエーションも豊富。

カーチョ・エ・ペペ。


カーチョ・エ・ペペのリチェッタでいつも思い出すのは、カルロ・クラッコシェフが、その著書『クラッコの地方料理

の中で語っていること。パスタの基本ともいえるこの料理を、シェフは色々試してみたそうですが、今一つ、納得できません。
そこで、先輩で大親友のパエロ・ロプリオーレシェフのアドバイスを取り入れてみました。
パオロ・ロプリオーレシェフのカルボナーラ。

彼のアドバイスは、数種類のペコリーノを混ぜてみる、ということでした。
こんなシンプルなアドバイスに従ったところ、たちまちシェフは開眼しました。
ペコリーノは羊のミルクのチーズのこと。羊飼いと移牧の国、イタリアには、たくさんのペコリーノが造られています。
しつものパルミジャーノをペコリーノにするだけでも新鮮な体験だと思いますが、こしょうに関しても同じことが言えます。
こしょうについては、酢漬けのグリーンペッパーについて、シェフは、長い間しまいっぱなしのグリーンペッパーは、かなり劣化しています。美味しいはずがありません。と、スパイスと言えども納得のいく品質のものを使うようにアドバイスしています。

ペコリーノ・ロマーノ。

クラッコシェフの本の“カーチョ・エ・ペペ”のリチェッタでは、ペコリーノ・ロマーノとロマーニャ地方のペコリーノ・ディ・フォッサが使われていました。
ペコリーノ・ディ・フォッサ。


おろして使うチーズのポイントは、あらかじめおろしておかないこと。乾燥したり余計な香りを吸い込まないようにするためだ。レストランでおろす前のチーズがでてきたら、チーズの熟成具合を客が確認できるという訳で、そういう店は好感が持てる。

値段で判断するのはちょっとえげつないけど、世界で一番高価なこしょう、というのがサラワクのこしょうの一番の宣伝文句。

チーズもこしょうもサーブも客の前で行うのは、いいもの使っているという自信の表明でもある。

ローマのカルボナーラで有名な某店は、サラワクのこしょうを使ってるのが売り。
次回はペコリーノの話をもう少し。

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2023年6月17日土曜日

米か小麦粉か、どちらを育てるか決めた時は、米にグルテンがないなんて知らなかったよね。

パスタ入門。
パスタは粉と水から作ります。
小麦粉に水を加えてこねると、グルテンが形成され、形態が安定してゆでても崩れなくなります。
でも、軟質小麦粉と水だけの生地は、かなり珍しく、出来上がったパスタはかなり質素で素朴なものになります。このパスタは、煮崩れて問題のない料理、主にミネストラに加えます。
この生地をさらに完成させるのは湯を加えた生地です。きのうのブログで動画をいくつか紹介しました。
湯は小麦粉の中のデンプンをゲル化して結晶分子の巻き戻しと伸長を促して長い網目構造ができます。こうして作られた生地は調理に耐えます。
実はこの製法がもっとも用いられているのはアジアの米の麺。
グルテンがない米の麺は小麦粉の麺とはまったく違う作り方をしていて、調理方法も違います。


米粉の麺の製造過程は小麦粉のパスタとはあまりにも違うので、パスタの造り方は科学的に詳細に解説しているスローフードの本でも「製造過程はとても複雑で家庭で作るのには適さない」と、完全にお手上げ状態。
アジアの麺は、アラブが伝えたパスタ文化とはまったく違うものだったのですね。

食文化も全然違うものになった。
下の動画、残念ながら何を造っているのか全然わからない。

粉と水のパスタの次は、粉、水、卵のパスタです。
この進化のポイントとなるのは卵黄のレクチンです。
パスタの生地では、レクチン分子は互いに絡み合って格子状になり、形状を維持するようになります。
この作用のために、ピエモンテのクーネオあたりでは、卵白は加えずに卵黄をたっぷり加えたパスタ、タヤリンtajarinを作るようになりました。
卵黄40個のタヤリン。

ビーフンとは対極にある麺。
今月のリチェッタ(CIR4月号P.5)は卵黄10個のタリオリーニ。タリオリーニはタヤリンのこと。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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喉の病気を治す聖人、2月3日の聖ビア―ジョの日に、毎年聖人の奇跡の話をしながらノンナが作るドルチェ。こうして聖人の話は現代まで語り継がれてきた。

今日はアブルッツォのドルチェの話。 (CIR2月号P.32~の記事です) そのドルチェの名前はサン・ビア―ジョのチャンベッラ。 サンは“聖”ということ、つまり聖人です。聖人とは徳の高い人で、殉教などによって教皇が公式に聖人と認定した人。 チャンベッラはドーナッツ状のリング形のもの...