2019年10月16日水曜日

ベルガモが街を上げて観光の目玉にしたパスタ、カゾンチェッリ

前回のブログで取り上げたパスタ・リピエーナ/詰め物入りパスタのカゾンチェッリcasoncelliですが、これ、カゾンセイcasonseiという呼び方もありました。
あれこれ疑問点も出てきたので、もう少し詳しく見てみます。

1001スペチャリタ』によると、

カゾンセイはミラノの北東にある街、ベルガモの名物パスタとして知られていますが、名前の語源は謎。

ベルガモ

形がショートパンツ(calzonciniカルゾンチーニ)に似ているから、とか、昔は詰め物はチーズ(カーゾcaso)が一般的だったから、などの説があります。
昔は日曜やお祭りの日に食べる料理でしたが、今では一年中作られているそうです。

パスタの具は、挽いたサラミ、パン粉かグリーッシーニ、挽いたローストビーフ、グラナ・パダーノ、卵、サルタナレーズン、アマレッティ、スパイス(こしょう、ナツメグ、シナモン)、レモンの皮、にんにく、イタリアンパセリ。
パスタは00番の軟質小麦粉、セモリナ粉、卵、水。

味はマイルドでレーズン、洋梨、アマレッティの軽い甘味があります。
形は半月形で、一般的にはたっぷりのグラナ・パダーノとバター、パンチェッタ、セージのソースをかけます。
フルーツやジャムを加えたドルチェ版もあります。


ベルガモでは、3年前の5月に地域産業振興協会と商業会議所が、ベルガモのパスタ・リピエーノ誕生650周年を祝うイベントを開催。
5月13日(イベントの日)をカゾンチェッロの日と定めたそうです。
カゾンチェッロはメイド・イン・ベルガモのパスタだから、
カゾンチェッロで観光客を呼び込もうと、めちゃマジ。
でも、スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』によると、

カゾンセイはベルガモ以外にもブレッシャ、ヴァルカモニカ、ベッルーノなど、各地にオリジナルのカゾンセイがあって、個性を競っているようです。
なので、ベルガモも、カゾンチェッロ祭りを開いて観光客を集め、歴史的根拠を学者の先生が紹介する、という大イベントを開いたようです。

ベルガモ風カゾンチェッリ

イベントでは、カゾンチェッロの語源についても新説が発表されたようです。
すごく回りくどくて学術的な話を要約すると、殆どのパスタはその形が名前の由来になっているので、カゾンチェッロの場合もそうだと考えられる。
古い文書にはCassoncellumと書かれているものがあるが、これは小箱という意味だ。
という訳で、小箱が語源ではないか・・・。
どう思います?
ちなみに肉が入るのがベルガモのカゾンチェッリの大きな特徴です。

こんな話を読んでいたら、パスタ・リピエーナの歴史を確認したくなりました。
次回に続きます。



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総合解説
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2019年10月14日月曜日

高級ワインの産地で湖と森の産物に恵まれたフランチャコルタは観光地としても面白そう


 さて、今日の話題は、フランチャコルタです。「総合解説」P.48。

フランチャコルタは、高級なスパークリングワインというイメージがありますが、
ロンバルディアのイゼオ湖に面したブレッシャ近郊にある地域の名前です。

フランチャコルタ地域とイゼオ湖の美味しいものを味わいながら巡るグルメ列車。
Treno dei Saporiのwebページはこちら
メチャクチャ楽しそう。



フランチャコルタという地名の由来はちょっと独特。
中世にこの、湖周囲の丘陵地帯にあった修道院が、領主に税金を払っていなかった、つまり、免税地区だったのです。
免税地区はfrancae curtesと呼ばれました。
これが時と共に変化してしてfranciacortaになったのでした。
丘から湖へと続く土壌は、モレーンと呼ばれる氷河が削られて堆積した土壌で、この地帯はかつて沼地でした。
現在はトルビエーレ自然公園になっています。


ここではベネチアやミラノの貴族のためのワインが造られていました。
なるほど、元々高級志向だったのですね。
しかも免税地。
日常のワインではなく、贅を尽くした高級ワインが生まれる環境は整っていました。
高山の森林地帯、オリーブとブドウ畑、漁師の村が混在するという、マーレ・エ・モンティの変形版、ラーゴ・エ・モンティ。
海のない北イタリアにできた南イタリアの豊かな自然と田舎の環境を感じさせる場所だったのですね。

ロンバルディア州はこの地域の観光にも力を入れていています。
フランチャコルタワインのwebページはこちら

フランチャコルタの食材


フランチャコルタがミラノとベネチアの貴族のためのワインだったのは、その2つの都市の間にある、という地理的な特徴があったからかも。
ミラノからフランゃコルタ経由でベネチアに行く、というセレブ気分を味わえる旅はいかがでしょう。
お薦めレストランの情報は「総合解説」にあります。

「総合解説」にもリチェッタは載っていますが、ロンバルディアの代表的料理の一つ、カゾンチェッリ

ブレッシャ風カゾンチェッリの材料は、
パスタ;000番の小麦粉、卵、卵黄、塩、水
詰め物;パン粉、グラナ・パダーノ、バター、にんにく、イタリアンパセリ、ブロード・ディ・カルネ
ソース;バター、セージ

・潰した皮付きにんにくとバターを熱する。
・イタリアンパセリをみじん切りにしてバターに加える。
・パン粉とグラナ・パダーノを混ぜてバターを加える。
・にんにくの皮を取り除き、こししょうとナツメグを加える。
・ブロード・ディ・カルネを加えて柔かくて締まった詰め物にし、数分休ませてしっとりさせる。
・生地を厚さ1mmに伸ばし、四角く切って詰め物を絞り出す。
・生地の上辺に水を塗り、三角形に折って閉じる。底辺から巻き、両端をキャラメル形にとめる。
・カゾンチェッリを3~4分ゆでる。
・バターとちぎったセージを熱する。カゾンチェッリを加えてなじませる。
・皿に盛り付けてグラナ・パダーノを散らし、残ったバターをかける。

「総合解説」のリチェッタは挽肉やモルタデッラ入りですが、ブレッシャ風は、パン粉とチーズのシンプルなタイプのよう。




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“グルメガイド~フランチャコルタ”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号P.48~に載っています。
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2019年10月11日金曜日

ナポリのピッツァのアンダー30

今日のお題は『ピッツェリエ・ディ・イタリア2018』。
総合解説」はP.47です。


ガンベロ・ロッソのあれこれある格付け本の中の1冊で、ピッツェリアのガイドブックです。

月刊誌の『ガンベロ・ロッソ』でも、特集記事が組まれていました。
冒頭、いきなり、イタリア人のサッカー脳が炸裂。
なにしろ、ナポリのピッツァをサッカーに例えるとブラジルだ、
と、迷いなく言い切ります。
つまり世界一の名門だということですね。
そしてアンダー30(そんなのあるんかい)には、イタリアの北から南から、信じられないくらい大勢が招集されてやってくる、と胸を張るのです。
日本からナポリのピッツェリアを目指すアンダー30候補も、ガンバレー。

ピッツァイオーロという職業をイタリアの20歳を少し過ぎた若者が選ぶ理由は、家業を継ぐためとか、子供の頃からの夢だったなどだそうで。
さて、どんなアンダー30がいるのでしょうか。

まずはポッツオーリの10のディエゴ・ヴィタリアーノ。店のwebページはこちら

ピッツェリアの家庭に育った叩き上げで、
彼の店はナポリの人にとても愛されているようです。

次はピッツァフリッタの女王、イザベラ・デシャム。

ピッツァ・フリッタは、エンツォ・コッチャやジーロ・ソルビッロなどの大御所たちで知られていますが、娘のような若者たちに、見事に受け継がれていたのですね。

次はシーロ・オリヴァ。
家族のピッツェリアを継ぎ、さらに自らの店を開いて革新的ピッツァを作るという、根っからの改革者。

さらに、ナポリからトスカーナにやってきたのはマルコ・マンズィ。

みんな迷いのない真っ直ぐな目をしてピッツァのことを語りますね。
おばちゃん感心しました。



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“ピッツェリア・ディ・イタリア2018”の生地の日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号に載っています。
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2019年10月9日水曜日

カフェの中のカフェ、ナポリのガンブリヌス

新入荷の本のご案内です。

本のタイトルは『ガンブリヌス』。

ナポリの歴史的カフェです。

ただ、料理書ではないのでカフェのリチェッタ等はありません。
ガンブリヌスの現オーナーが監修した、この歴史的カフェの歴史と、ナポリのコーヒー文化の頂点を歴史的写真で記録した本です。

この素晴らしいカフェに訪れたことのある人なら、その時の記憶がよみがえり、ナポリで過ごした幸せな時間に浸れるでしょう。

私がガンブリヌスを知ったのは、多分、有名ガイドブックにナポリで一番歴史的で有名なカフェだと書いてあったからだと思います。

そして、そのゴージャスな世界に魅せられて、ナポリに行く度に訪れるようになりました。

ある時、私は友人のピアノの先生と、その仕事仲間と3人でナポリを訪れました。
つまり、ピアノの先生2人が一緒でした。
バックパッカーで貧乏学生の一人旅しかしたことのなかった私は、高級な場所で場違いな思いにかられて、悔しい思いをしたことが何度もありましたが、この二人がいればクラシック音楽の素養がまったくない私でも、ヨーロッパのハイソな場所も全然臆することなく、足を踏み入れることができました。
無敵の旅仲間だったのです。

その日、ガンブリヌスに入ると、何やら店の奥からピアノの音が聞こえてきました。
その音に惹きつけられるかのように、なんのためらいもなく、私たちはそれまで足を踏み入れたことがない奥の部屋に入っていきました。

大通りに面した表の部屋と違って、ほとんど人気のない、静かな部屋の奥に、グランドピアノがあり、それを正装した見目麗しい一人の青年が弾いていました。

ピアノの正面の奥まったテーブルに座って、彼がかなでる音楽を堪能している私たちは、ベルエポックの世界にどっぷり浸っていました。
やがて演奏は終わり、夢から覚めました。
少なくとも私は。
ところが、ピアノの先生Bは、覚めるどころか、「あの人と話がしたい」と乙女の目で私に懇願するのです。
お嬢様のピアノの先生は、ナポリの美しいカフェでピアノを奏でる王子様にすっかり心をときめかせてしまったのでした。
でも言葉ができないので、私に代わりに話しかけろというのです。
お嬢様、ごめん。ナポリで逆ナンなんてそんなハードルの高いこと、できるわけないじゃないですか。
おかげで私までドギマギしちゃいましたよ。

それ以来、私のガンブリヌスの思い出は、イケメンピアニスト一色でした。

奥の部屋のグランドピアノ!!!

この本は、ガンブリヌスがカフェの中のカフェと呼ばれる場所だったことを思い出させてくれました。

ナポリの社交の場だっただけでなく、カメリエーレたちも素晴らしいし、コーヒーも美味しそう。


ナポリのカフェ文化を研究したい人にお薦めの本です。




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総合解説
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2019年10月7日月曜日

シチリアのマーレ・エ・モンティな料理

グリバウド・クチーナ・レジョナーレシリーズの『シチリア』によると、

シチリア内陸の農業は主に、大農場による穀物栽培、沿岸部は柑橘果実、果実、ぶどう、オリーブ、野菜など、様々な作物に特化して発展しました。

ニュートン・クチーナ・レジョナーレシリーズの『ディ・マーレ』によると、

 シチリアの魚料理はギリシャの植民地時代から知られていて、シンプルなのに素材の味を活かすことに長けていました。
調味料が、ビネガーと香草がベースで必要最低限なところがとても洗練されている、と考えられていたようです。
メカジキやマグロなどの伝統漁は姿を消しつつありますが、シチリア料理に強い影響を残しました。
ギリシャ、オリエント、スペイン、アラブ、フランスからも影響を受けています。

シチリアがアラブに支配されていたのは9世紀始めから1000年頃まで。
この間に、アグロドルチェな味付けが広まりました。
クスクスはアラブ・ベルベル人の食文化のシンボルで、トラパニやメッシーナではズッパ・ディ・ペッシェを添えて広まりました。
シチリア沿岸部では、魚を生で食べる習慣が広まり、さらに干したり塩漬けにして保存する方法も各地で生まれました。

海に囲まれたイタリアでも、ニュートンのディ・マーレシリーズに取り上げられているのは、シチリア、ナポリ、リグーリア、サルデーニャ、ヴェネト、カラブリアと数州です。
イタリアの地方料理の担い手は、農民で漁師でシェフな人々。

それでは、ニュートン・クチーナ・レジョナーレシリーズの『ディ・マーレ』の膨大なマーレ・エ・モンティなリチェッタから、カポナータをどうぞ。
シチリア料理の代表的アンティパストを魚料理に変身させた1品です。

小ダコ入りカポナータCaponata con i polpetti(カポナータ・コン・イ・ポルペッティ)

材料/4人分
なす・・2本
ゆでた小ダコ・・600g
葉つきセロリの芯・・1株
種抜きグリーンオリーブ・・100g
ケッパー・・大さじ1
松の実・・大さじ1
レーズン・・大さじ1
トマトソース・・1カップ
ビネガー・・1/2カップ
砂糖・・大さじ1
バジリコ・・1枝
玉ねぎ・・1個
トーストしたアーモンド(好みで)・・100g
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・なすを小角切りにしてザルに入れ、塩をして1時間置いてアクを出す。
・洗って水気をシートでしっかり切り、たっぷりの油で揚げる。黄金色になったらシートに取る。
・セロリを小さく切って玉ねぎの薄切りと一緒に油大さじ5でソッフリットにする。玉ねぎに色がつく前にトマトソース、バジリコ、オリーブ、ケッパー、松の実、ぬるま湯で戻して絞ったレーズン、塩、こしょうを加えて弱火で10分煮る。
・ビネガーと砂糖を加えて混ぜ、軽く水気を飛ばす。なすと小ダコを加えてさっとなじませる。
・冷めたら刻んだアーモンドを散らしてサーブする。

ベースのカポナータ


ニュートンのクチーナ・レジョナーレシリーズのシチリアのお薦めは、ディー・マーレとドルチェ。

マーレ・エ・モンティな料理とドルチェはシチリア料理の重大な柱。


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2019年10月4日金曜日

寿司が流行るずっと前から魚は生で食べていたと胸を張るマザーラ・デル・ヴァッロの漁師さん

シチリアの話が続きますが、今月のシェフもシチリアの人。
『ガンベロ・ロッソ』の記事です。

タオルミーナのベルモンド・グランド・ホテル・ティメオのシェフ、ロベルト・トロ。

セレブ御用達の高級ホテル、ベルモンド・グランド・ホテル・ティメオ

テラスからの眺めが素晴らしい。
は~行きたいなあ。
小さな国際リゾート、タオルミーナは、なぜか家庭的な雰囲気がする町です。

シチリアの農家出身のシェフは、シチリアのマーレ・エ・モンティの伝統、つまり海の幸と畑の作物を組み合わせる料理からインスピレーションを受けた料理を作っています。

訳したリチェッタの1品めは帆立貝と豆の組み合わせ、“帆立貝のチェーチのクリームと青りんごのピューレ、ボッタルガ添え”。

シチリア料理の主役の一つは、海。
10月のシチリアを象徴するものとして記事で揚げているマザーラのエビとは、こんなエビ。
ガンベロ・ロッソ・ディ・マザーラの漁

水深700mから最新の技術で引き上げられたエビは、慎重に丁寧に選別、冷凍されます。
生で食べるのが一番美味しいので、タルタルや寿司がお薦め。
シチリアの漁師さんなら寿司職人が求めるネタが完璧に理解できそう。

マザーラとは、トラーパニ県のマザーラ・デル・ヴァッロMazara del Valloのこと。
シチリアの西の端の町です。
トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ2』によると(P.88)

「チュニジアの海岸からわずか200kmの、アラブのカスバを連想させる町、マザーラ・デル・ヴァッロでは、食事が始まる時間になると奇跡が起こる。
海辺の漁師町の運河に沿った魚屋が、魔法のようにレストランになるのだ・・・
町のシェフは、ここではいつでも魚は生で食べていたよ。
寿司が流行するずっと前からね、と強調する・・・」


あらやだ、シチリアの漁師さん、カッコイイ。
ここでは、生魚の調味は、オリーブオイル、挽き立てのこしょう、そしてレモン汁。
レストランでは生魚は急速冷凍して、氷を作らないように冷やしながら細菌を無害にしているので青魚も安心。


トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ2』で、マザーラのシェフとして紹介されているのは、上の動画にも登場したヴィート・マルモレオさん。
魚の話が止まらない。

Ristorante Marmoreoは人気のレストランのようです。



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“ロベルト・トロシェフ”のリチェッタは、「総合解説」2017年9/10月号P.41~に載っています。
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2019年10月2日水曜日

カルタジローネの陶器と珍妙なトリナクリナはシチリアのシンボル

新着本です。

パスティッチェリーア・シチリアーナ

ブランカートという初登場の出版社の、クチーナ・シチリアーナシリーズの1冊です。
クレアパッソで販売している他の本と比べると、とても小さくて薄くて、かなりお手軽サイズです。
当然お値段もお手頃。
パスティッチェリーアの他に、ルスティケリーア、ターヴォラ、ペッシェの3冊があります。

このシリーズ、表紙のデザインも象徴的です。
まず、左側のタイルのデザインは、アラブから伝わったマヨルカ焼きのもの。

シチリアの陶器の町と言えばカルタジローネ。




カルタジローネと言えば、サンタ・マリア・デル・モンテの大階段。

ルミナーリアは町の守護聖人の日(7月24、25日と8月14、15日)のイベント。

さらに、本の表紙の右上の、頭に足が3本ついている珍妙なデザインは、最近では大河ドラマのopで見ますよね。
その度に、あれなんて言うんだっけ、シチリアのマークだよね、なんて思っていたのですが・・・。
シチリアでは、トリナクリナと呼びますが、フランスのブルターニュのシンボルでもあるのか・・・(by wiki)。


どうやらこれはゴルゴーンという見ると石になるギリシャ神話の登場人物の3姉妹をデザインしたもので、メデューサはその末娘。
シチリアの三角形の島の形が、昔の人にはよほど珍しかったのか、それがちょうど当時広まっていたギリシャ神話の3姉妹の話と結びいて、この三脚巴がシチリアのシンボルとして定着したとかしないとか。
他にももっともらしい説には事欠かないようですが。

実はこの2つは、シチリア料理の本にはかなりの確率で登場するんです。
きっとシチリアの人も誇りに思っているものなんですね。

最後にカルタジローネのレストランを1軒。
ミシュラン1つ星のリストランテ・コーリアです。


シェフは2人。
上の動画に登場したのはカルタジローネ出身のフランチェスコ。
チッチョ・スルターノのリトランテ・ドゥオモで共にセコンド・シェフとして働いた二人が、2008年に独立してカルタジローネに店を持ちました。
シチリア料理のバイブル、ジュゼッペ・コーリアの『プロフーミ・ディ・シチリア』という料理書からインスピレーションを受けた料理を出しているそうです。
店にも彼の名前をつけています。



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2019年9月30日月曜日

ピエモンテのペペローネ料理


それでは、料理書の中からペペローニのリチェッタを。

まずはお薦め本、『トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ/1巻北・中央イタリア 英語版』から、
ピエモンテの名店グイドの、ペペローネ・リピエーノ。
アスティやカルマニョーラのクアドラートと呼ばれる甘くてとろける果肉の四角いパプリカの料理です。

以前にも紹介した気がするのですが、とりあえず20ページの写真を見てください。
中央の写真は焼く前のパプリカ。
その下は焼き上がったパプリカ。
完全に潰れてますが、このくらい柔らかくなるまで焼くのだそうです。

ペペローネ・リピエーノPeperone ripieno
材料/6人分

赤と黄色のパプリカ・・大3個
骨を取った塩漬けアンチョビ・・2尾
上質のできればイタリア産ツナのオイル漬け・・1カップ
塩抜きした塩漬けケッパー・・5粒
自家製マヨネーズ・・大さじ3
イタリアンパセリのみじん切り・・一握り
ビネガー・・大さじ1

・パプリカに薄く油を塗り、150℃のオーブンで、下段の写真のようにパプリカが崩れるまで30分焼く。
・アンチョビを流水で洗い、ツナ、ケッパーと一緒に包丁でみじん切りにしながら混ぜ合わせる。
・これをマヨネーズ、イタリアンパセリ、ビネガーと混ぜる。
・パプリカの皮をむき、長さを4つに切る。種と綿を取り除き、混ぜた材料大さじ1を塗って巻いてすぐにサーブする。
※ピエモンテではアンティパストの1品だが、ガーデンサラダを添えてメインディッシュにしてもよい。

アスティのペペローネ・クアドラータは生食に適していて、バーニャ・カウダに欠かせない重くて肉厚のパプリカ。

次はスローフードの『オステリエ・ディ・イタリア2017』から。

ペペローニ・コン・バーニャ・カウダPeperoni con bagna cauda
(グリンザーネ・カブールのトラットリア・ノンナ・ジェニアのリチェッタ)

材料/4人分
赤と黄色のペペローニ・コルノ・ディ・ブエ・・4個
にんにく・・3玉
塩漬けアンチョビ・・200g
牛乳・・1L
EVオリーブオイル

・パプリカをオーブンで焼いて皮をむく。種と綿を取り、12枚に切って天板に並べる。
・バーニャを作る。にんにくの芽を取り、牛乳で10分煮る。水気を切って潰し、鍋に入れる。
・オリーブオイルと洗って骨を取ったアンチョビを加え、均質のクリーム状になるまで煮る。
・パプリカをソースで覆って120℃のオーブンでさっと焼く。熱々をサーブする。

ペペロナータPeperonata
(ヴォ・ディ・ピアデーナ/クレモナのトラットリア・デル・アルバのリチェッタ)
 
材料/6人分
赤・黃・緑のパプリカ・・各1個
にんじん・・小2本
玉ねぎ・・小2個
にんにく・・1かけ
ホールトマト・・6~7個
バター・・100g
EVオリーブオイル・・大さじ4
塩、こしょう

・玉ねぎの薄切りをバターと油で炒める。
・しんなりしたらにんにく、にんじんの薄切り、小さく切ったトマトを加える。
・半ばで小さく切ったパプリカを加えて塩、こしょうし、じっくり煮る。
・粗熱を取って、または冷やしてサーブしてもよい。

パプリカは南米原産で、ヨーロッパに伝わってから品種改良を繰り返しながら広まったので、ペペロナータがイタリアのどの地方の料理かというのはややこしい問題です。
シチリアなど南イタリアという説が有力ですが、リグーリアという説もあるし、この本で取り上げているのはロンバルディアのトラットリアのものです。
個人的には食べるならピエモンテだな、とも思うし・・・。



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“ペペローニ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号に載っています。
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2019年9月27日金曜日

ペペから生まれたペペローネとペペロンチーノ

レモンの次のお題は、これも地中海らしい食材、ペペローネpeperoneです。
昭和の人間は、ペペローネを多分ピーマンと訳すけど、最近じゃ、パプリカって呼ぶんですね。(令和についていくのに必死です)
ペペローネにはこんな歴史がありました。
(こちらのサイトの『vini & liquori』の記事を参照しました。)

ペペローネは、中央~南アメリカ原産で、コロンブスによってヨーロッパにもたらされました。
そしてこしょうのような味だったことから、インドのこしょう、pepe d'Indiaと呼ばれます。
それがやがてpeperoneと変化します。
でも、ペペローネはこしょうとは何の関係もない野菜でした。
しかもこしょうは南米原産ではありません。
ところが、こしょうがなけれペペローネもヨーロッパに伝わらなかったかもしれません。

こしょうはアメリカが見つかるもっとずっと前からヨーロッパに伝わっていました。
そもそもこしょうの原産地の1つがインドです。
こしょうは、アメリカが発見される以前の世界では、貴重な防腐作用のある超高級なスパイスでした。
ベネチアがこしょうなどの東方貿易を独占して繁栄したのは有名な話。
こしょうが原因で戦争も起こっています。
こしょうはインドの主要な交易品で、バスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見は、ポルトガル発展のきっかけとなりました。

アメリカの発見によって、こしょうの立場も変わりました。
ペペローネがインドのこしょう、と呼ばれたのは、こしょうに代わるものを探していたヨーロッパ人の目的にかなったものだったからです。
ペペローネは、こしょうに代わる、ずっと安価なスパイスとして大歓迎されました。
しかも、小さな品種のペペローネには辛味があって、とても重宝されました。
これが小さなペペローネ、ペペロンチーノpeperoncinoです。

ちなみにハンガリーではパプリカと呼ばれました。
ハンガリーに唐辛子が伝わったのは、18世紀。
トルコ支配の時代から栽培されていたスパイスの名前が付きました。

ヨーロッパでは、こしょうの代替品として受け入れられ、同じようにアメリカから伝わったトマトが、受け入れられるまでにだいぶ時間がかかったことと比べると、あっという間に広まります。

でも、正直言って、どこがこしょうなのか、さっぱりわからない。
その後、品種改良が進み、ヨーロッパの人も同じだったようで、辛さよりも甘さが強い品種が登場して需要が増します。
これが現在のペペローネ。

その鮮やかな色は太陽を連想させ、いかにも地中海的な野菜、ペペローネ。
ところが、意外なことにピエモンテもイタリアの有名な産地の一つ。

カルマニョーラ(トリノ県)のペペローネ



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“ペペローニ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号P.22
に載っています。
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2019年9月25日水曜日

シチリアのレモンのジェラート、グラニータ、ソルベット

レモンについて調べれば調べるほど、レモンのことをよく知らないと感じます。
そもそもレモン畑なんて見たことないし。
総合解説」の“レモン”の記事は、
「レモンはイタリアの生活にすっかり定着しているので、その美しさを忘れがちだ」
という文章から始まります。
東北の親戚が、横浜で民家の庭に夏みかんが生っているのを見てテンション上がっていたのを、何が珍しいのかなあという思いで見ていた事を思い出します。

シチリアのレモン畑

ニュートン・クチーナ・レジョナーレ・ドルチェ”シリーズの『シチリア』

が再入荷したので、紹介がてらレモンのドルチェのリチェッタを探してみました。

このシリーズは、お手頃価格(写真はほぼない)でリチェッタ数が豊富なのが特徴。
『シチリア』『ナポリ』『ピエモンテ』があり、イタリアの代表的なドルチェをたっぷり網羅しているだけでなく、北と南のドルチェの違いも一目瞭然。
シチリアのドルチェの最大の特徴は、ジェラート、グラニータ、セミフレッドetc.と、冷たいドルチェが各種あること。
グラニータはシチリアならでは。
レモンの冷たいドルチェならジェラートとグラニータだろうと思ったのですが、レモンのソルベットもありました。

ジェラートの本のお薦めはクレメリア・カポリネアの『ジェラーティ

ですが、ニュートンの地方料理シリーズは、専門店ではなく地方料理という観点からシンプルで基本的なリチェッタをたっぷり収録しています。

まずは
レモンのジェラートGelato al limone

水・・2L
レモン・・6個
砂糖・・900g
卵白・・1個

・砂糖をぬるま湯で溶き、レモン汁と固く泡立てた卵白を加える。
・火にかけて沸騰させ、冷まして冷凍庫で冷やし固める。

レモンのグラニータGranita di limone

水・・500ml
レモン・・10個
砂糖・・500g

・砂糖をぬるま湯で溶き、レモン汁を加える。
・冷凍庫に入れ、時々かき混ぜてかたく固まらないようにしながら冷やす。




レモンのソルベットSorbetto al limone

熟したレモンの汁・・1L
グリーンレモン・・4個
砂糖・・500g
マルティーニ・ビアンコ・・リキュールグラス1杯

・レモン汁、砂糖、グリーンレモンの汁をよく混ぜる。
・マルティーニを加えてソルベッティエラに入れる。
・なめらかでクリーミーなソルベットになったらサーブする。

この本はシチリアのドルチェのリチェッタを450点集めたもの。
どれもこの調子でスーパーシンプル。

『ピエモンテ』からは

レモンのブティーノBudino al limone

材料/4人分
大きなノーワックスレモン・・1個
砂糖・・400g
バター・・100g
卵・・6個

・少量の水で輪切りにしたレモンをゆで、砂糖、室温のバターと一緒にミキサーにかける。
・卵黄を溶き、レモンに加える。
・卵白を固く泡立ててこれも加える。
・プリン型に油を塗って混ぜた生地を流し入れる。
・1時間15分湯煎にかけて沸騰しない程度に空気を入れないようにしながら熱する。
・型ごと冷まして冷蔵庫で冷やし、型から出してサーブする。

ナポリのドルチェはレモン風味だらけ。


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2019年9月23日月曜日

現代のシチリアレモンの象徴、シラクーザIGPのフェンミネッロ

シチリアレモンとシチリア岩塩。
どちらも、よく聞く割には、その実態が全くわからない謎の2トップ。

シチリアは海塩が有名だけど、塩がとれる山の話は聞いたことない。
シチリアレモンは、コンカドーロの歴史を調べて、かつてここがヨーロッパ最大の柑橘果実の産地だったということはわかったけど、現状は?

シチリアのレモンはフェンミネッロ種(栽培量が最も多い)とインテルドナート種が代表的らしいので、イタリア料理の百科事典、『1001スペチャリタ


で調べてみたら、シラクーザのレモンという項目にはこう書いてありました。

歴史的には、シラクーザはシチリアのギリシャ文化の重要な中心地で、レモンは街の最も有名な名産品。
古代ギリシャの街、シラクーザ。

かっこよすぎる動画。

シラクーザの農園のレモン

パザンアグルーミという大手生産者のサイトによると(こちら)
フェンミネッロは実がたくさんなり、年に数回収穫できることが特徴のIGP製品。
フェンミネッロという名前も多産という意味。
水が豊かで湿度が適度で温暖(冬は8、9℃~夏は31℃以下)なシラクーザでは、ジューシーなレモンを一年中収穫することができる。

イタリアのレモンの3個に1つはシチリアレモンで、
シラクーザはヨーロッパ最大の柑橘果実の産地と呼ばれている。
かなり昔から栽培されてきたが、現在もあるのは、イオニア海から10キロ以内で標高210m以内の肥沃な限られた地域。

レモンの収穫は、10月1日~4月14日のプリモフィオーレ、または冬レモン。
4月15日~6月30日のプリマヴェリーレ(春レモン)、またはビアンケット、マイオリーノ。
7月1日~9月30日の夏レモン、またはヴェルデッロ。

楕円形で重さは100g以内、皮は薄く、果肉は明るい緑色~レモンイエローでとてもジューシー。
皮も含めて、サラダやソルベット、ジェラートなど各種の料理に使うことができる。

パザンアグルーミのPV

シラクーザIGPレモンのジェラート

シチリアレモンじゃなくてシラクーザIGPレモンて呼んでるんですね。

インテルドナートはメッシーナの品種。
こちらのサイトによると
中~大型の楕円形で、酸っぱさのもとになるクエン酸が少ないので甘くてまろやか。
インテルドナートはこの品種を生み出した人の名前。


レモンの重要な栄養素、クエン酸が少ないということは、一般的なレモンとは全く違う使われ方が考え出されそう。
りんごのように食べるレモンだそうです。

まだリチェッタまでたどり着かない~と焦っていたら、シチリアのドルチェの本が入荷したので、
次回はこの本からリチェッタを探してみます。


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“レモン”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号P.17に載っています。
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2019年9月20日金曜日

コンカドーロとシチリアレモンの千年の繁栄

さて、レモンのリチェッタですが、香りや酸味づけのために無数の料理に使わてはいても、レモンが主役の料理となると、ドルチェ以外では見つかりません。
レモン農家にも言及している唯一の本は、サルヴァトーレ・デ・リーゾの力作『ドルチ・デル・ソーレ』

さすがは、デリツィア御殿を建てただけあって、彼の成功はレモンの上に成り立っていたのでした。

カンパーニアのレモンはリチェッタもかなり簡単に見つかります。

問題はシチリアのレモンです。
こちらのサイトによると、コンカ・ドーロのレモンはフェンミネッロ種やインテルドナート種の一種らしいので、それを唯一の手がかりとしてリチェッタを探すことにしました。
ちなみに、同サイトには、レモンは接ぎ木してから完全に熟すまでに30年かかるとあります。
財力のある大地主でないと栽培できない果実なんですね。

Il paesaggio agricolo nella Conca d'Oro di Palermo』という本によると、

レモンはアラブ人によって伝えられて、16世紀頃コンカ・ドーロに根付いた後は、どんどん実って、シチリアを代表する農作物となり、コンカ・ドーロはヨーロッパ最大の柑橘果実の産地となります。
レモンの他には、オレンジも栽培されていました。
一大産業となって、コンカ・ドーロは大いに栄えます。
19世紀末のコンカドーロは柑橘果実の畑で覆われていました。
産業は国際的になり、水路が巡らされ、輸送用の交通網で覆われ、昔ながらの環境を破壊しながら発展していきました。
ところが20世紀になると、無秩序な畑の拡大や環境破壊が、近代的な技術の導入を困難にし、発展にブレーキがかかります。
千年の繁栄の後に、どっと問題点が噴出したのですね。
その後、コンカ・ドーロの生産者や行政は知恵を出し合って環境を守りながら、ぶどうやオリーブの栽培を取り入れる、国際的な観光地として整備するなど、様々な案にトライしているようです。

コンカドーロが今後どうなっていくのか、楽しみです。
コンカ・ドーロワインなんていうのが生まれるかもしれません。

この歴史を知って思うのは、コンカ・ドーロは国際的な市場のために柑橘果実が栽培されていたので、大量生産の工業製品用の柑橘果実が作られていたのでは、ということです。
そうだとすると、家庭料理にコンカ・ドーロのレモンが取り入れられる可能性は低くなります。

という訳で、コンカ・ドーロから離れて、シチリアの他のレモンの産地を調べてみました。
レモンの話、次回に続きます。



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“レモン”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号にのっています。
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2019年9月18日水曜日

イタリア中で生まれるレモンの新品種

業務連絡です。
2019 921日(土)2300分 から 2019 922日(日)600分頃までメンテナンスのためクレアパッソのホームページがご覧いただけません。


今日のお題はレモンです。
総合解説」2017年9/10月号P.17より。

コンカ・ドーロという言葉、聞いたことありますか。

近頃は聞かない気がするのですが、どうでしょう。
直訳すれば黄金の盆地。
シチリアのパレルモ周辺の盆地で、柑橘果実の栽培が盛んだったことがその名の由来です。
1937年のコンカ・ドーロ。
レモンやオレンジを世界中に輸出していました。
残念ながら白黒。

シチリアの柑橘類の栽培は、やっぱりですが、アラブ人が伝えました。
レモンはもちろん柑橘果実の一種ですが、今回訳した「サーレ・エ・ペペ」の記事によると、ミカン科のレモンは極東原産でpomeloとcedroを交配させて作り出され、アラブ人によってヨーロッパに伝わった、とイタリアでは考えられています。
極東原産て、イタリアのレモンは日本人が知ってるレモンとは違うのか・・・。

pomeloはこちらのページ(日本語)によるとマレー半島原産のミカン科の低木。
人間が栽培した最古の柑橘類として知られていて、この話はイタリアの料理書ではたま~に目にします。
これが日本に伝わって改良され、ブンタン、ザボンとして栽培されているとのこと。
中国語では柚子と呼ぶなど、あちこちで様々な説が生まれそう。

cedro(チェードロ)はフランス語ではシトロン、セドラなどと呼ばれます。
イタリアではカラブリアが特産地として知られています。
日本では馴染みがなくて、訳す時苦労する柑橘果実です。

・・・このあたりで、これはこれ以上追求すると無限の闇に飲み込まれるやばい話だ(つまり正解がない)、と気が付きました。www。
レモンの原産地は不明なようで、レモンが極東原産という、イタリアで信じられている説は、そーっとしておきます。

レモンはイタリアに伝わった後も、品種改良されて様々な品種が生まれました。
昔は柑橘フルーツと言えばコンカ・ドーロという時代もあったようですが、今は色々あります。

プーリアのフェンミネッロ

メッシーナのインテルドナート

ソレントのオヴァーレ・ディ・ソレント

アマルフィIGP


コンカ・ドーロという名前を聞かなくなるわけだ。
新種が次々発表されています。

ところで、レモンの花は何色でしょうか。


レモンの花は年に数回咲くとか、黄色いレモンも緑色のレモンも同じ樹になって収穫の時期が違うだけとか、レモンは知らないことが多すぎます。
という訳で、次回はリチェッタです。



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“レモン”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号P.17~に載っています。
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2019年9月16日月曜日

シチリアとフランスのブリオッシュの違いは

シチリアのブリオッシュ・コル・トゥッポはフランスのブリオッシュ・ア・テトとはどこが違うのか。
見てすぐに分かるのが、フランスは型を使うけど、シチリアは使わないということ。
なので、シャキッとしたフランスのブリオッシュに比べて、シチリアのものはやたらテローンとしています。
こ、これは国民性の違い?
出来上がりも、フランスは固くて、シチリアはソフト。
お団子をつけるのはフランスもシチリアも同じで、誰が見ても、フランスのブリオッシュがシチリアの貴族の家庭に広まったのが発端と思いますが・・・

シチリアの人は、シチリア貴族のフランス人料理人が、ご主人の朝食用に考えだした、つまりシチリア独特のものと信じて疑いません。
そもそもクロワッサンのようなパイ生地はシチリアでは人気がなく、
グラニータとホイップクリームやジェラートに添える柔らかいパンのような生地が好まれたのだそうです。
(byこちらのブログ)
バターでなくラードを使うのも違う点として上げています。

型を使わないからテローンとしているのではなく、シチリアの貴族の家庭で、こういうテローンとした形にしようと思って作ったということでしょうか。

フランス

シチリア

シチリアのブリオッシュはグラニータやジェラートに添えるパンとして誕生したと言われると、フランスのブリオッシュとは違うものに思えてくるなー。

グイド・トンマージの地方料理シリーズの『シチリア

を見てみると、確かにバターじゃなくてラードを使っていました。

それではリチェッタを訳してみます。

ノンナ・アデーレのブリオッシュ・コン・イル・トゥッポ
LA BRIOCHE CON IL TUPPO DI NONNA ADELE

約20個分
小麦粉・・1kg
牛乳・・400ml
砂糖・・160g
ラード・・150g
卵・・4個
生イースト・・30g
塩・・小さじ山盛り1
バニラビーンズ(またはバニッリーナ)・・1本
飾り用卵と砂糖・・2個

・ふるった小麦粉と砂糖を混ぜてフォンタナに盛り、中央に軽く温めてイーストを溶いた牛乳を入れる。
・バニラ、塩を加える。最後に柔らかくしたラード(室温で2時間置く)を加えてこね、生地を20回ほど台にたたきつけて弾力のある生地にする。
・ガラスか陶器の容器に入れて布巾で覆い、冷蔵庫で10~11時間休ませる。
・冷蔵庫から出して手早く20個に丸め、お団子部分をつまみ取ってどちらも丸める。
・大きな生地の中央に小さなくぼみを作り、小さな生地をのせる。
・発酵が進むと小さな生地が落ちたり埋没することがあるので気をつける。
・天板に並べて砂糖入り溶き卵を塗り、布巾で覆って2倍になるまで1~1.5時間発酵させる。
・再び砂糖入り溶き卵を塗り、180℃のオーブンで約15~20分焼く。

※ノンナ・アデーレはパレルモに住む本の作者の友人の祖母で、いつも家でジェラートを挟んだブリオッシュを作っていた。

フランス風ブリオッシュにジェラートを挟んでも、シチリアのものと同じにはならないのでした。


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シチリアのブリオッシュは「総合解説」2017年9/10月号に載っています。
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2019年9月13日金曜日

シチリアのブリオッシュ・コル・トゥッポ

今月の“クチーナ・イタリアーナのリチェッタ”から、最後にデザートを1品。
シチリアのブリオッシュとチョコレートのグラニータです。

正確には、シチリアの夏の朝食です。

さらに正確には、ブリオッシュはブリオッシュ・コン・トゥッポbrioche con tuppo。
トゥッポ付きのブリオッシュ。

トゥッポはお団子に結んだ髪型のこと。
そもそも本家フランスでもブリオッシュにはお団子がついてますよね。
ブリオッシュ・ア・テット。
お団子は、ただ下の大きな生地に小さく丸めたお団子を乗せるだけではなく、取れないようにする工夫もフランスと同じ。
同じものを作っても、フランスの感性とシチリアの感性では、かなり違うものが出来上がります。

フランスのブリオッシュ・ア・テット。

シチリアのブリオッシュ・コル・トゥッポ

メッシーナのバール・トリノの朝食。

ブリオッシュ・コル・トゥッフォの本場、カターニアの町、マスカルチーアのバール・オッタゴノのピスタチオのグラニータとブリオッシュ。

ジェラートはサンドにするけど、グラニータは浸して食べます。


朝の遅い時間に、バールで新聞を読みながら政権に文句を言って、ブリオッシュを生クリームで覆われたグラニータに浸して「まじでうまい」と言いながら食べる、カターニアの男。

シチリアのドルチェがイタリアのドルチェの代表として世界中に広まったのは、シチリアに独特のドルチェの文化があったからではないでしょうか。

リチェッタは次回に。

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ブリオッシュのリチェッタを含む“クチーナ・イタリアーナ”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年9/10月号に載っています。
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2019年9月11日水曜日

カルロ・クラッコシェフのガルガネッリ

ガルガネッリのリチェッタを探してみました。
スローフードの『リチェッテ・ディ・オステリエ・ディ・イタリア』の“パスタ”には、

・田舎風
・ピーマン、パンチェッタ、きのこ
・鳩
・生ハムとグリーンピース

ニュートン・クチーナ・レジョナーレ『1000リチェッテ・ディ・パスタ』には

・レモン
・野菜のラグー
・うさぎのソース
・ロマーニャ風
・クルミとマスカルポーネ
・エビ、ズッキーニ、コーン
・グリーンピース
・エシャロットとキオディーニ

カルロ・クラッコの『クールにしたいならエシャロットを使う』には

・鴨のラグー

がありました。
意外とあるものですね。

ボローニャ県のコドリニャーノという小さな町では、毎年9月最初の週末にガルガネッロ祭りが開催されています。
スタッフが着ている黄色いTシャツは、ガルガネッリの色を表したもの。
卵入り麺ならでは。
形はペンネに似ていても、これは大きな違いです。



リチェッタの中ではクラッコシェフのリチェッタが一番気になったので、訳してみます。
この本は、クラッコシェフが料理哲学の基本を語る教科書的本です。
ガルガネッリは3段階のうちのレベル2の1品。

鴨のラグーのガルガネッリ
garganelli con ragù d'anatra

「鴨がベースのラグー・ビアンコというのはとても特殊なソースだ。
間違っていなければ、ヴィチェンツァ北部のビゴリの典型的なソースだと思うが、
ラグー・ビアンコをガルガネッリと組み合わせるアイデアが気に入った。
多少オリジナルのアレンジも加えることにした。
ガルガネッリはエミリア・ロマーニャ地方の典型的なパスタだ。
成形には独特の木製の道具を使う。
ミニチュアのキタッラのようでとても気に入っている道具だ。
棒を使ってこの上で生地を転がすと、ガルガネッロができる。
両端が大きく開いていて、中央が閉じたショートパスタだ。
美しい動作で作り出す美味しい家庭の手作りパスタで、イタリアにはこのようなパスタが無数にあり、昔は、各家庭で独特の道具を使ってオリジナルの個性的なパスタを作っていた。
ガルガネッリ、コルゼッティ、ビゴリ、フジッリetc.。
手作りパスタを探してイタリアを旅すれば、偉大な食文化の伝統と出会う」

材料/6人分
生ガルガネッリ(リチェッタは別欄)・・850g
鴨の胸かもも肉・・500g
鴨のレバーと内臓
玉ねぎ
葉玉ねぎ
バター・・250g
セージ・・1枝
にんにく
ローリエ
EVオリーブオイル
マルサラ・セッコ、または白ワイン
ブロード・ディ・カルネ、または鶏のブロードや鶏と鴨のブロード


・普通、伝統的なラグーのリチェッタでは、鴨の胸肉は貴重な部位なのでブロードには使わない。
ももや内臓は使うが、内臓を入れると味がかなり強くなる。
今はももだけで売っているので、これを使うと値段も手頃だし、肉はとても美味しい。

・ラグー/ももの骨を取り、肉を粗く2回挽く。脂のコクを出したければ皮も加える。
私は全部挽いて、煮ながら余分な脂を取り除く。
・肉を挽いたらレバーと全部の内臓を手で小さく切る。
肉よりやや大きくなるようにする。
またはもも肉と一緒に挽いて同じ大きさにしてもよい。
・玉ねぎ、葉玉ねぎ、エシャロットをみじん切りにしてバター60g、たっぷりのセージ、にんにく、ローリエでソッフリットにする。
・肉と内臓も油とバター少々で別に炒める。
・ワインか、あればマルサラをかけてアルコール分を飛ばし、ソッフリットの鍋に加える。
・ブロード・ディ・カルネで覆い、残りのバターを加える。
・沸騰してから最低1.5時間煮る(脂が多すぎれば皮を取り除く)。
・レバーと内臓入りの味の強いラグー・ビアンコになる。

・ガルガネッリ/ガルガネッリは、その成形道具から別名マッケローニ・スル・ペッティネmaccheroni sul pettineとも呼ばれるエミリア・ロマーニャ地方の卵入りパスタだ。
マニトバ粉350gとセモリナ粉200gをふるい、水210ml、油20ml、卵2個、卵黄2個、塩20gを加えて5~6分こねる。
・丸めてラップで包み、休ませる。
・綿棒かパスタマシンでごく薄く伸ばし、約3cm角の四角形に切る。
・角の1つから棒に巻きけてペッティネにのせ、軽く押しながら転がして抜き取る。
・残りの生地も同様にする。
・塩を加えたたっぷりの熱湯でゆでてラグーであえる。

アレンジ
・フォアグラの小角切りを炒め、マルサラをかけてアルコール分を飛ばす。
これをラグーであえたガルガネッリにのせる。

ガルガネッリのリチェッタをここまで熱く教えようとする人は他にいません。



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総合解説
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2019年9月10日火曜日

ガルガネッリの型があればマッロレッドゥスもできるかも

9/10月号の「クチーナ・イタリアーナ」のリチェッタ(「総合解説」P.7~)、プリーモは、ガルガネッリgarganelliとマッロレッドゥスmalloreddusです。
ロマーニャとサルデーニャと、発祥地は違いますが、どちらも筋つきのショートパスタです。
見た目から受ける印象は、大きく違いますが、この2つのパスタには意外な共通点がありました。

パスタ・フレスカの教科書とも言える本、スローフードの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』によると、


ガルガネッリは軟質小麦粉と卵の生地を綿棒で薄く伸ばしてからカットし成形する、パスタ・リッシャpasta liscia。
他のパスタ、つまり硬質小麦粉のパスタや、軟質小麦粉と水のパスタ・リッシャと比べると、締まっていて細工しにくい生地です。

そのため、唯一とも言える加工が、生地を薄く伸ばすこと。
タリアテッレやパスタ・リピエーナにすることが多い生地です。
タリアテッレやトルテッリーニなど、ボローニャ名物のパスタが多いですが、このタイプのパスタは北イタリアで発達しました。
煮崩れしにくくアルデンテを保ち、香りが強く、卵の味がして、麺棒で伸ばすとパスタマシンで伸ばすより表面がざらざらになるのでソースがからみやすいのが特徴。

このタイプのパスタ・リッシャを整形する道具は、パスタ・マシン、パスタカッター、ペッティネpettine(櫛)、グラットゥージャgrattugia(おろし器)がありますが、ガルガネッリはペッティネを使います。
木でできた細かい筋をつける道具と生地を巻きつける鉛筆のような太い棒を使い、ニョッキに筋をつけるリーガニョッキragagnocchiに似ています。
ガルガネッリの他に、マッケローニ・アル・ペッティネmaccheroni al pettineという呼び方もします。
この土台用の型が、マッロレドゥス(ニョッケッティ・サルディ)にも使えそうです。
マッロレッドゥスは硬質小麦粉のニョッキの一種。

ガルガネッリ

ぺッティネがあればマッロレッドゥスもできるか

生地の向きを変えればマッケローニ・アル・ペッティネに

この3つのパスタは、どれも名前が形を表しています。
ペッティネは櫛ですが、髪の毛をとかすものではなく、機織りに使う道具です。
ガルガネッリは鶏の気管のロマーニャ地方の呼び方。
いかにも農家で生まれたパスタって名前です。
一節によると、トルテッリーニのような豪華な詰め物パスタの代用品として考え出されたのだそうです。
ソースを吸った姿が詰め物パスタのようになったという訳。
トルテッリーニ用のパスタの切り落としを有効利用したという説もあります。
マッロレッドゥスも一風変わった名前ですが、以前、このブログで由来を紹介したことがあります。(こちら)
小さな子牛という意味でした。

長くなってきたので、今回はこのへんで。
次回はリチェッタを探してみます。



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今回紹介した料理の記事“クチーナ・イタリアーナのリチェッタ”は「総合解説」2017年9/10月号P.8,9に載っています。
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2019年9月6日金曜日

アルト・アディジェのトルゲレン

まず業務連絡。
クレアパッソからのメールが届かないトラブルが発生しています。
お心当たりの方は、お手数ですがその旨をご連絡ください。

「総合解説」2017年9/10月号が、もうすぐ発売です。
最初の記事は、アルト・アディジェ風ホームパーティー。
戸外で取る最後のプランゾです。

秋が早いアルト・アディジェで、秋のパーティーと言えば、トルゲレンTörggelen。

酷暑の中で見るアルト・アディジェ(スッドティロル)はパラダイス。

新ワインの季節のカンティーナや農家の食べ歩き。
山歩きが好きな人にとってはアルト・アディジェを訪れるベストシーズン。
トルゲレンデではワインを飲んで、ビールはオクトーバーフェストで飲むんだって。
海辺のバカンスから戻ったら山に行って新ワインとビールでお祭り。
イタリアは四季によってパーティーも変わるんだなあ。

「総合解説」で紹介しているのはこのトルゲレンをホームパーティーで再現する、という記事。
山の中に住んでいなければ、アンティパストを省略するとよい、とさりげないけど残念なアドバイス。
なにしろ、記事のトルゲレンのアンティパストはフルーツ、ジャム、蜂蜜、焼き栗、パン、チーズ、サラミなどの山の幸のごちそうを板に並べる豪華な盛り合わせ。

その後も、イタリア料理の多様性を感じさせる料理が続きます。
まず、前菜に添えるのはカーニバルのフリットとして知られるクロストリ。
ニョッコ・フリットの一種です。
ニョッコ・フリットはエミリア地方の名物で、主に生ハムやチーズに添えるもの。

生ハムの産地で生まれた美味しい食べ方ですが、これがアルト・アディジェでは、どんな料理になるのでしょうか。
「総合解説」P.3を御覧ください。

プリーモはビールのズッパ。
ビールは栗風味のビールを使います。

セコンドは豚スペアリブのロースト。
付け合せはカブのリピエーノと、フライドポテトより美味しいニョッキのフライドポテト。
そしてデザートは焼き栗のマロンケーキ。

アルト・アディジェに行った気になるなあ。
おまけの動画。
アルト・アディジェ=スッドティロル




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“秋の戸外のプランゾ”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2017年9/10月号P.2
に載っています。
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2019年9月4日水曜日

サリーナ島産でもマルヴァジーア・デッレ・リパリ

今月のグルメ旅ガイドは、サリーナ島です。

シチリアのちょっと北にある火山性のエオリア諸島の島の1つ。
世界遺産です。
7つの島がありますが、火山で世界的に知られるストロンボリ島もその一つ。
8月末にも噴火が。

料理の世界では、マルヴァジーア・デッレ・リパリで知られるリパリ島が有名。
この2つ以外は、正直、名前もよく知りませんが、何に興味を持っているかによって、他の島への関心度も違ってきます。


リパリに続いて2番めに大きなサリーナ島は、料理の世界ではたまーに話題になる島です。
諸島の中でも最も緑色の島で、農村の魂を持った島。
特産品はマルヴァジーアです。
サリーナ島産でもマルヴァジーア・デッレ・リパリ。
ちなみにエオリア諸島はサリーナ島以外全部リパリのコムーネに属しています。


この島のマルヴァジーア造りの詳しい歴史は「総合解説」に載せました。
7世紀頃ギリシャ人がぶどう栽培を広め、19世紀始めに全盛期を迎えるものの、19世紀末にフィロキセラで大打撃。
島の住民の大部分が島外に移り住む事態に。
そして1970年代に、プレッシャ出身のカルロ・ハウナーが島の美しさに魅せられて移り住み、放棄されたブドウ畑を買い取ってワイン造りを始めたのが再生のきっかけに。
甘~いマルヴァジーアは、美味しいですよね~。


島のもう一つの特産物ケッパー。

「総合解説」でも紹介していたダ・アルフレードのパーネ・クンツァート。

なんだか面白そうな島です。



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グルメガイド“エリア諸島のサリーナ島”の日本語訳は、「総合解説」2017年7/8月号P.43に載っています。
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2019年9月2日月曜日

カンパーニアで硬質パスタのメッカと呼ばれる店のシェフ

今日はミシュランの星付きシェフにしては珍しく、スパゲッティに情熱を捧げてきたと語るシェフ、ペッペ・グイダさん。
リチェッタは今月の「総合解説」P.35に載っています。
ちなみにトマトソースのスパゲッティと一緒に2017年8月号の『ガンベロ・ロッソ』の表紙を飾っているのが彼です。



ヴィーコ・エクエンセのリストランテ・ノンナ・ローザのシェフを25年にわたって努め、カプリのマリーナ・グランデの近くにあるリストランテ・ダ・ジェンマ、ナポリノの中心部にあるパスタ・バール・ディ・マルティーノのコンサルタントもしています。
彼の店は、硬質パスタのメッカとみさなれています。
ただし彼が使っているのはグラニャーノのパスティフィーチョ・ディ・カンピのパスタなので、量産型の硬質パスタとはかなり違います。
ノンナ・ローザには夏の間だけ顔を出すそうで、海の近くの人は、夏だけ働いて後はバカンス、という人も多いですよね。

パスタ・バール・ディ・マルティーノ

ノンナ・ローザ

ダ・ジェンマ

ミニトマトのスパゲッティ


おまけの動画
パスティフィーチョ・デイ・カンピのPV
ピッツァィオーロさんたちがかっこよかったので・・・


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“ペッペ・グイダシェフ”のリチェッタは「総合解説」2017年7/8月号P.35に載っています。
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2019年8月30日金曜日

ビールに息子の名前をつけて息子のお披露目もしちゃったテオ・ムッソさん。しかもそのビールが最優秀賞受賞て。

さて、今月の「総合解説」には久しぶりにワインの記事があります。
“グリリアータに合うワインとビール”です。
グリリアータと言えば、バカンスのシンボル料理。
7/8月号には欠かせないテーマです。
まずは魚のグリリアータに合うワインとビール。
元イタリアソムリエ協会長、ジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏のお薦めです。

■カヴァッロットのピンネルPinner。
カヴァッロットはバローロで創業したカンティーナ。
Pinnerはピノ・ネロの白のこと。
組織がある締まったワインでトロピカルフルーツの強い香り。
アペリティーヴォにもなります。

カヴァッロット


■ザッカニーニ・トレッビアーノ・ダブルツォ“カザウラKasaura”

ザッカニーニは世界的に知られるアブルッツォの白ワインの造り手。
カザウラはデリケートな香りが特徴のシンプルな白ワイン。
ビンテージの翌年までに飲むタイプ。

ザッカニーニ


■ティーン・スピリット・ゴールデン・エール/レトルト
次はクラフトビール。
2011年に3兄弟が始めたエミリア・ロマーニャのレトルトという造り手の、ティーン・スピリットという上面発酵で比較的低アルコール度のビールです。

ビッリフィーチョ・レトルト

次のテーマは野菜とチーズのグリリアータに合うワインとビール。

■ファレルノ・デル・マッシコ・ビアンコ2016/カンティーネ・モイオ
まずはカンパーニアのワイン、カンティーネ・モイオのファレルノ・デル・マッシコ・ビアンコ2016。
古代ローマ時代から有名な白ワイン。
ファランギーナがベースのソフトでトロピカルフルーツや蜂蜜、白い花の香りの瓶内で軽く熟成させるワイン。
このワインを有名にしたのは造り手、モイオ家の功績、とヴァッカリーニ氏は言っています。
モイオのファランギーナ

■"イザック"/バラディン
ビールのお薦めは、バラディンのイザック。
テオ・ムッソの息子の名前をつけたビール。

パパの後ろでソワソワしながら本を読んでいるのがイザック。

ビールは若者向けが最近のトレンドだったよう。


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“グリリアータに合うワインとビール”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号に載っています。
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2019年8月28日水曜日

プラネタの料理は世界中のグルメな顧客の好奇心にドンピシャ。

再入荷した本、『シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ』のご案内です。

シチリア料理のおすすめ本です。
この本の最大の魅力は、シチリアの庶民の家庭料理が世界中のグルメ向けのエノガストロノミーを通して、洗練された料理として再現されていること。

プラネタが経営するリゾートホテル、ラ・フォレステリア・プラネタ・エステートに泊まってプラネタのワインと一緒にこんな料理を味わいたい、と読む度に思います。

以前この本のパスタ・アッレ・ヴォンゴレを訳した時、アサリにシェリー・ブリュレをかけて口を開ける、というリチェッタが、とてもゴージャスでシチリアの貴族風で、未だに記憶に残っています。

ラ・フォレステリア・プラネタ・エステート ↓

シチリア各地に広がったブラネタのワイナリーをたどるとシチリアのエノガストロノミーも俯瞰できます。↓

正直言うと、初めてシチリアに足を踏み入れた時、その食文化があまりにもローカルで、カルチャーショックでした。
フィノッキエット・セルヴァティコとイワシの組み合わせのきつい香り、油でギトギトの脾臓のパニーノなど、日本の若者が絶対口にしたことがないようなものでできていたパレルモ料理。
胃袋が慣れるまでには時間が必要でした。
ただ、この島のドルチェやパンの美味しさや、アランチーニのような、家庭的ストリートフードの傑作は、一口食べてすぐに大ファンになりました。

世界中からやってくるプラネタの顧客のための料理は、シチリア料理に対する好奇心と怖いもの見たさを満足させ、新しい食を体験できるものです。
特にお薦めなのは、イタリアのドルチェを代表するシチリアのドルチェ。

レモンのグラニータ、イチゴのジェラートのブリオッシュ、ビアンコマンジャーレなど、美味しそうなものがたくさんありますが、シチリアのドルチェと言えば、やっぱりカンノーリ。

それではプラネタのカンノーリのチェッタをどうぞ。

CANNOLI/カンノーリ
材料/10人分
チャルダ;
00番の小麦粉・・300g
ラード・・10g
砂糖・・10g
マルサラ・・15ml
赤ワインビネガー・・15ml
コーヒーパウダー(好みで)・・小さじ1/2
ココアパウダー(好みで)・・小さじ1/2
卵白(生地の接着用)・・1個
塩・・一つまみ
揚げ油用ピーナッツ油

ファルチャ;
羊のリコッタ・・250g
砂糖・・100g
ビターチョコレート・・20g
飾り用のチェリーとオレンジのカンディート
粉糖

・チャルダを作る。全部の材料を混ぜて均質の生地にし、冷蔵庫で約30分休ませて薄く伸ばす。
・直径10cmの円形に抜き、金属の筒型に巻きつけて軽く溶いた卵白を塗って接着する。
・160℃のたっぷりのピーナッツ油で中まで火が通るまで揚げる。
・きれいな栗色になったらシートに取って油を切る。
・ファルチャのクリームを作る。リコッタを裏漉しし、砂糖を加えてスパテラで混ぜる。リコッタが砂糖を吸ったら刻んだチョコレートを加える。
・サーブする直前にクリームを絞り袋に入れてチャルダに詰める。
・カンディートで飾って粉糖を振りかける。

お薦めワインはパッシート・ディ・ノートdoc

プラネタゆかりの地、メンフィ。


シチリアワインの大ブームで、“シチリアワインの奇跡”の舞台となった町。

シチリアに優れたワインを造るカンティーナはたくさんあるでしょうが、こんなに上質の料理書を出したのは、これまでのところプラネタだけ。


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総合解説
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2019年8月26日月曜日

パーネ・カラザウが造られた目的が壮絶すぎて羊飼いまじリスペクト

今日のお題はイタリアのパン。
総合解説」P.33を御覧ください。

今月のパン、その1は、“ネロ・ディ・セーガレ”nero di segale。
その2は“パーネ・カラザウ”pane carasau。

“ネロ・ディ・セーガレ”はライ麦の黒パン。
北イタリアで造られていますが、一番有名なのがアルト・アディジェのパンなので、アルト・アディジェのパンに分類しています。
ライ麦パンは、ドイツ語を話す人々が暮らす雪に覆われた山の森の中の黒パン。
アルト・アディジェのメルカートとライ麦パン↓

アルト・アディジェ、別名スッドティロルの人気のライ麦パン、シュテルブロット↓

“パーネ・カラザウ”は、サルデーニャの食文化を象徴する薄焼きパン。膨らませて半分に切る作り方が独特。

見るからに古そうな作り方。

今月のパンは、イタリアのパンの中でもアウトサイダーなものつながりです。
ドイツや中央ヨーロッパを感じさせるライ麦パンは、地中海のパンとは違うのはすぐに分かります。
では、サルデーニャのパーネ・カラザウは?
少なくとも、地中海は感じます。
でも、サルデーニャの食文化の最大の特徴、羊飼いの暮らしにどっぷり浸って生まれてきたパンなので、他のイタリアのパンと比べると、やはり異色です。

このパンは、サルデーニャ以外では別名カルタ・ダ・ムジカと呼ばれる、と言われていましたが、今回の記事にはカルタ・ムジカという別名が紹介されていました。
“ダ”がないだけで、意味が大幅に違うようです。
カルタ・ダ・ムジカは音楽用の紙=楽譜で、楽譜のように薄いという意味ですが、
カルタ・ムジカは音がする紙という意味で、割る時や齧った時に賑やかな音を立てるからだそうです。
そもそも、サルデーニャではカラザウと呼ばれているので、カルタだのムジカだのはよそ者がつけた名前。
カラザウとは、仕上げにオーブンで焼いてカリッとさせることを意味しています。
さて、このパンのどこが羊飼いなのかと言うと、移牧の時に馬の鞍で簡単に運べるようにと考え出されたパンなのでした。
1962年のサルデーニャの羊飼い

冬に出発して春に戻る長い移牧の間、唯一持ち運べた食料が、パリパリに乾いたパーネ・カラザウでした。

ライ麦パンもカラザウも、大昔から続く貧しくて厳しい暮らしの中から生み出された食べ物でした。
それにしてもサルデーニャの羊飼いの暮らしは厳しすぎる・・・。
サルデーニャの羊飼いの三男あたりに生まれていたら、グレてたかも。

サルデーニャの羊飼い文化の中心地、バルバージャ。
1969年の様子だけど、かなり不穏。

サルデーニャはアフリカ、ローマ、スペイン、アメリカと支配者の影響を強く受けてきましたが、バルバージャはそれらに抵抗し続けてきたため、独特の文化が保たれてきました。

パーネ・カラザウの変形版、パーネ・グッティアウpane guttiauは、パーネ・カラザウにオリーブオイルをかけてオーブンに通したもの。
パーネ・フラッタウpane frattauは代表的サルデーニャ料理の1つ。
ブロードや水に浸してトマトソースとペコリーノをかけてラザーニャのように使います。

グリバウドの地方料理シリーズの“サルデーニャ”には、

“にんにく風味のパーネ・グッテイアウ”のリチェッタがありました。

パーニ・グッティアウ・アッラーリオ/Pani guttiau all'aglio
・にんにくをフォークで潰し、塩、こしょうする。
・オリーブオイル大さじ8をかけて混ぜる。
・パーネ・カラザウを天板に広げてオイルを全体に均一にかける。
・180℃のオーブンで3分焼いてすぐにサーブする。

※パーネ・グッティアウはパーネ・スゴッチョラートsgocciolato(油を切った)という意味。
サラミとチーズの盛り合わせに添えたり、食事に添えたりする。

パーネ・フラッタウ/ Pane frattau


材料4人分
パーネ・カラザウ・・4枚
玉ねぎ・・1個
皮むきトマト・・600g
バジリコ・・4枚
サフラン・・1袋
ビネガー
卵・・4個
ブロード・ディ・カルネ(できれば羊の)
おろしたペコリーノ・サルド
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・玉ねぎをみじん切りにして油でしんなり炒める。
・トマトとバジリコのみじん切り、水少々で溶いたサフラン、塩、こしょうを加えて蓋をし、弱火で20分煮る。
・鍋にたっぷりの湯を沸かしてビネガー大さじ1を加える。
・皿に卵を割り入れて1個ずつ湯に入れる。
・4分ゆでて穴開きレードルで取り出す。
・沸騰したブロードにパーネ・カラザウをさっと浸して取り出し、くし切りにして皿に敷く。
・トマトソースをかけてペコリーノを散らし、落とし卵をのせてサーブする。

※ブロードの代わりに湯でもよい。

パーネ・カラザウは、単にワインのつまみにしても美味しかったなあ。



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“イタリアのパン”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号P.33に載っています。
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2019年8月23日金曜日

楕円形の甘いミニトマト、ダッテリーニをチェリートマトと呼ぶのには抵抗が・・・

今月の「総合解説」7/8月号から、今日のお題はミニトマト。

小さいトマトだからポモドリーニpomodoriniとも言いますが、
丸いのと楕円形のがあるので、丸いのはチリエジーニCiliegini、楕円のはダッテリーニdatteriniと呼んで区別します。
チリエジーニはもちろんチェリーに似ているから。
ダッテリーニはデーツに似てるから。
チェリートマトはあっても、デーツトマトは無いだろうなあ。

そしていちばん有名なチェリートマトは、シチリア南東部で栽培されているパキーノPachino IGP。
ジューシーで香りが強いのが特徴。
トマトと言えばカンパーニアという現状で、頑張っているシチリア産。

そしてカンパーニアのヴェズヴィオ地区産のピッツテッロpizzutelloは先端が尖ったミニトマト。
尖ったという意味のピッツートが名前の由来。

各種ミニトマトの説明動画

トマトを半分に切る通販みたいなシーンでは、ギザ刃のナイフなら切りやすいと言ってます。
なるほど。
お薦めは甘いダッテリーニ。
皮が薄くて果肉は甘く、種が少ないのが特徴。

このようなミニトマトをサラダで食べる以外のリチェッタを集めたのが、今回訳した記事。
パスタは冷製パスタソースの定番、クルダイオーラcrudaiolaで。

ミニトマトのコンフィも定番





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“ミニトマト”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年8/9月号に載っています。
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2019年8月21日水曜日

ミキサーを使いこなせて、食材を選ぶ目があればペストは超簡単。

新着本です。

ファッチャーモロ・ペスト

グイド・トンマージの地方料理シリーズ(↓)でおなじみの、二人組の著者が

“ピッコリ・スプンティーニ”という、ミニサイズの料理書シリーズから出した最新本です。
リチェッタは、ペスト・ジェノヴェーゼや、トラパニ風ペストから始まって、鮮やかなオレンジ色が美しいパプリカのペスト、カラマタオリーブのパスタにぴったりのギリシャ風、セロリの葉、フレッシュほうれん草、ピスタチオ、マッシュルームとルーコラ、ローズピンクのビーツのペスト、などの定番や
豆腐とスプラウト、ペスト・ピッカンテ、黒にんにく、アボカドとピーナッツ、シチリアの思い出、など、ユニークなオリジナルのペストも。

大部分が生の食材から作るので、食材の新鮮さが大きなポイント。
ミキサーは、スイッチを押しっぱなしにしないでパルススタイルで短時間で加熱しないように撹拌します。
オリーブオイルはほぼすべてのペストに使われる食材で、その品質が出来上がりの質を左右します。
デリケートな風味の上質のオイルを少量ずつ加えるのがポイント。
ナッツもペストには欠かせません。
ジェノヴェーゼには松の実、トラパネーゼにはアーモンドが入りますが、くるみやヘーゼルナッツ、マカダミアナッツなど、定番以外を試すのもお薦め。
ペストはパスタソースの定番ですが、じゃがいもや米、ニョッキ、ブルスケッタにかけてもOK。
ピンツィモーニオやサラダにも合います。
パスタソースにする時は、少量のゆで汁でマンテカーレしてクリーミーに。

主な注意点はこんな程度で、かなり手頃にできる料理だったと再確認。

乳鉢で作るペスト。
ジェノヴァの人じゃないシェフは、リグーリア風と言ってますね。


本でトラパニ風ペストの次に紹介されているのがピキーリョのペスト。
スペインのナヴァーラ特産のピーマン、ピキーリョを使います。

果肉が厚くて甘いピーマンで、スペインに行ったら瓶詰めを買ってきて作ってみて、と書いてありますが、なかったら赤パプリカをローストして皮をむいて種を取って代用できるそうです。
全く同じにはならないけれど、かなり美味しいそうですよ。

ピキーリョのペストPesto del Piquillo

ピキーリョ・・200g入り瓶詰め1ビン
アーモンド・・一握り
芽を取ったにんにく・・1~2かけ
フレッシュタイム
フェタチーズ・・40g
EVオリーブオイル

・ミキサーに全部の材料を入れてオリーブオイルを加えながら均質なクリーム状になるまで撹拌する。
・フェタは必ずしも必要ではない。フェタの代わりに味をみて塩を加えてもよい。
・密閉ビンに入れてEVオリーブオイルで覆い、しっかり蓋をする。
・パスタソースにする時はパスタのゆで汁1/2カップでマンテカーレする。

5分でできるそうですよ。
簡単すぎて拍子抜け。


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総合解説
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2019年8月19日月曜日

アサリのパスタのリチェッタは、シンプルなようで深~い

アサリのパスタの話題は度々取り上げているのですが、今月の「総合解説」P.14
にもある通り、イタリア中どこにでもあって、何州のパスタ、とはとても言いきれません。
でも、多分みんなが考えている通り、イタリア人も本場はナポリ料理だと考えているみたいですね。
ナポリ料理といえば、最近入荷した本、『リチェッテ・ディ・ナポリ

がとても興味深く、そのブログ“WINE & FOOD BLOG”が、エノガストロノミーの分野ではアクセス数がイタリアでナンバー1だというので、早速 このブログのあさりのパスタを探してみました。
そうしたら、「スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレの材料は3品で十分」という記事がありました。
早速訳してみます。
「それはにんにく、オリーブオイル、アサリだ。
トマトやイタリアンパセリなど他の材料はいらない。
アサリの汁の味が全てなので、EVオリーブオイルはできるだけマイルドな風味のものを選び、にんにくは軽く焼き色がつくまで焦がさないように炒める。
そしてなによりも、たっぷりのオリーブオイルがこの料理を引き立てる。
フォークで刺した時や噛んだ時に、つるつる滑るくらいがいい。

スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレSpaghetti alle vongole
Virginia Di Falcoのリチェッタ

材料/2人分
アサリ・・700g
スパゲッティ・・200g
にんにく・・2かけ
EVオリーブオイル・・大さじ6
粗挽きこしょう、塩

・深さのある口の広いフライパンに油とにんにくを入れてよく炒める。しっかり砂抜きしたアサリを入れる。
・蓋をして熱し、貝の口を開ける。
・2個味見してパスタの塩加減を決める。
・にんにくを取り除き、アサリの殻はきれいで大きなものを数個残して全部取り除く。
・料理のポイントとなるスーゴの濃さを調整する。
・オイルが適量で薄すぎる時は2分煮詰める。
・スパゲッティは表示時間より少なくとも3分短くゆでてスーゴのフライパンに加え、30秒なじませる。
・皿に盛り付けてこしょうを挽きながらかけてすぐにサーブする。

おすすめワイン:ビアンコレッラ・ディ・イスキア、グリッロ

なるほど、さすがは作る人の数だけリチェッタがある料理ですねー。
どこにポイントを置いているかがよく分かる料理でもあります。



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総合解説
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2019年8月16日金曜日

プーリア料理は美味しいけど聞いたことないものばかり。今日はルスティコ・レッチェーゼ

今日の料理はルスティコ・レッチェーゼ。
レッチェーゼと言うからには、レッチェの料理ということはよくわかります。
レッチェって、どこにあったっけ。
そうだ、プーリアです。
実は初めてレッチェに行った時、素晴らしいバロック建築や、バールやカフェやパン屋やロスティチェリーアと、どこで食べてもスーパー美味しい食べ物に大感激したくせに、数年後には、話題に登ることが全く無くて、すっかり忘れているという残念なくらいのマイナーさ。
ルスティコ・レッチェーゼも、聞いたことないなあ。


南のフィレンツェと呼ばれているんですね。

「総合解説」の記事は『サーレ・エ・ぺぺ』からですが、
なんとこの記事、
「ルスティコはサレント半島のストリートフードの王様だが、プーリア以外では、いやプーリアでもサレント半島以外ではあまり知られていない・・・」
と、いう自虐ネタで始まります。
レッチェではどのバールやパスティッチェリーアでも売っているそうですが、私は食べた記憶は・・・ない。

レストランのメニューには滅多にないそうですよ。
あくまでもストリートフード。

見た目はヴォロヴァンのよう。
詰め物にはトマトとモッツァレッラにベシャメルを加えます。
どう考えてもフランス風。

ナポリ料理の時にさんざん登場した、ブルボン王朝の影響です。
南イタリアは両シチリア王国(首都はナポリ)の領土でしたから、プーリアにもモンズー(貴族に仕えるムッシューことフランス人料理人)がいたのです。
フランスの貴族料理が南イタリアの庶民の料理と結びついて生まれた料理です。

ルスティコ・レッチェーゼのお勧めの店の一つ、ロスティッチェリーア・モスカータ


もう1軒、カフェ・アルヴィーノ。

パ、パラダイスだ~。





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“ルスティコ・レッチェーゼ”のリチェッタとショップガイドは「総合解説」2017年7/8月号P.25に載っています。
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2019年8月14日水曜日

サルデーニャのビーチでカボチャのスキアッチャータ、コッコイ・エ・コルコリーガを

夏になると海、ですよね。
ヨーロッパには、ブルーフラッグビーチというビーチの格付けがあります。
イタリア語ではバンディエラ・ブルーBandiera blueと言います。
世界40カ国以上で実施されている30年前から続くシステム。
2017年は342箇所のビーチが選ばれました。
当時日本のビーチは皆無でしたが、今は4箇所が選ばれているそうです。

水質だけでなく、サービスの質も評価されます。
人手が入りにくい、アクセスが困難な場所にあるビーチが多いです。
今月の「総合解説」で紹介しているのも、初めて聞いた名前の場所ばかり。

さあ、それでは行った気になれる動画をどうぞ。
まずはサルデーニャのカーラ・ゴロリッツェCala Goloritzé。

次はプーリアのヴィニャノティカ湾。

最後はカラブリアのバイア・ディ・アルコマーニョ。

どこも、周囲の自然と合わせて素晴らしいビーチですね。

さらに、「総合解説」で紹介しているビーチの名物は、ビーチで食べたら美味しそうなものばかり。

まずはサルデーニャの野菜のスキアッチャータ、“コッコイ・エ・コルコリーガcoccoi e corcoriga”

粗くおろした野菜と小麦粉を混ぜて平らに広げて焼きます。
カボチャとズッキーニ入りのお好み焼きみたいですね。
子供の頃、プールに行った帰りに食べた干しエビのお好み焼きが、まさにこんな薄焼きで、四角く切ったのを新聞紙で巻いてあったっけ。
見ただけで夏の思い出が蘇ってくるなあ。
サルデーニャ版はオーブンで焼くのがヨーロッパ的。

この動画のリチェッタは、
小麦粉・・240g
玉ねぎ・・1個
トマト・・1個
にんじん・・小3本
カボチヤ・・1/4個
ズッキーニ・・2本
オリーブオイル・・大さじ4
塩・・小さじ3

野菜と油・塩をよく混ぜて小麦粉でつなぎ、
オーブンシートで覆った天板に広げて平らにしたら
200℃のオーブンで20分焼きます。
冷めて固まったらカットします。

コッコイとはサルデーニャの装飾的なパーネ・ドゥーロの生地のパンのことですが、この料理のようなスキアッチャータもコッコイと呼ぶのですね。
コルコリーガはカボチャやズッキーニなどウリ科の野菜のこと。

プーリアのビーチの料理として紹介していたのは、おなじみ、白インゲンとムール貝のブルスケッタ。
ムール貝のブルスケッタという発想、なかったな。

白インゲンとムール貝の場合、
・にんにく2かけをEVオリーブオイルでソッフリットにし、トマトソース大さじ2を加えます。
・にんじんとセロリ各1片といんげん豆の汁少々を加えて煮詰めます。
・イタリアンパセリのみじん切りと粉唐辛子少々を加えます。
・カンネッリーニ(白インゲン)大さじ6~7を加えてなじませます。
・ムール貝20~25個を加え、蓋をして熱して貝の口を開けます。
・にんじんとセロリを取り除いてパンにのせてサーブします。

一度でいいからビーチで食べてみたい。


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“ビーチの名物”のリチェッタは「総合解説」2017年7/8月号P.22に載っています。
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2019年8月12日月曜日

タリアータとメイラード反応とフロッラトゥーラ

今日のお題はタリアータtagliataです。
「総合解説」2017年7/8月号P.18を御覧ください。
これらの美味しそうな料理の元は、牛のサーロインです。
表面の焦げた焼き色は、メイラード反応のお手本のよう。
香ばしい香りが伝わってきそうです。
スライスすると、ジューシーなアルサングレの赤身肉がぷるぷる現れて、なんて素敵な光景でしょう。
暑くて食欲がなくても、こんな料理を見ると元気が湧いてきます。

サーロインはイタリア語ではコントロフィレットcontrofiletto。
アル・サングエal sangueはレアのイタリア語。

料理学校に通ったことのない私が、メイラード反応Maillard reactionというものを知ったのは、カルロ・クラッコシェフの本、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』でした。

この本は、料理の基本テクニックについて語った本です。
“焼く”についての考察の中で、メイラード反応についてじっくり語られています。
料理の基本中の基本で、学校では必ず教わるのでしょうが、私はこの本を読むまで知りませんでした。
それ以来、私の中ではメイラード反応を教えてくれた人はクラッコシェフです。

美味しいタリアータを作るには、メイラード反応の知識は不可欠。
でも、記事によると、もっと大切なのが肉を熟成させることだそうです。
家庭の冷蔵庫では限界がある肉の熟成。
調理以上にプロの仕事。
 ↓

30日と60日熟成させた肉
 ↓

美味しいタリアータ作りは、熟成のうまい肉屋を探すことから始まるのでした。
肉が手に入ったら、肉本来の味とジューシーさを引き出すように調理します。
「総合解説」には4点のリチェッタをのせています。



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“タリアータ”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号に載っています。
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ベルガモが街を上げて観光の目玉にしたパスタ、カゾンチェッリ

前回のブログで取り上げたパスタ・リピエーナ/詰め物入りパスタのカゾンチェッリcasoncelliですが、これ、カゾンセイcasonseiという呼び方もありました。 あれこれ疑問点も出てきたので、もう少し詳しく見てみます。 『 1001スペチャリタ 』によると、 カゾ...