2020年10月31日土曜日

ランゴバルド族の王国の首都だったロンバルディアの街、パヴィア

今月のグルメガイドはパヴィア「総合解説」(2019年1/2月号P.39)です。

パヴィアってどこにあるでしょう。
ミラノの南にあるロンバルディア州の街です。
ポー河の支流、ティチーノ河左岸に位置しています。


その歴史には、ローマ人、ビスコンティ家やナポレオンのフランス軍、オーストリアのマリア・テレジア、ランゴバルド族などが登場して、重要な痕跡を残していきました。
ランゴバルドはロンバルディアの語源になった民族で、北イタリアを支配しました。
北イタリアの歴史の初期の主人公のゲルマン民族です。
そのルーツは北欧。
ローマ帝国が崩壊して、この民族が登場するあたりから、イタリアの歴史ドラマは雰囲気が変わります。

そしてランゴバルド族の王国の首都がパヴィアでした。



パヴィア大学↓
パヴィア大学はロンバルディアで一番プレステージの高い大学だそうで。
1361年創業と歴史的な大学。特に医学部が有名。


パヴィア料理を知るには、ロンバルディア料理を知らなきゃ、という訳で、
まずは代表的なロンバルディア料理。



ロンバルディア料理は、ミラノやパヴィアといった街の食文化とフランス、スペイン、オーストリアといった支配者たちの食文化の集合体。
ゴンザーガやビスコンティと言った支配階級が存在したが、庶民の料理は地元の食文化と強く結びつき、バリエーションが豊富。
ロンバルディア料理の各街に共通の特徴は、バター。
牛の飼育も盛んでチーズも大量に作られた。
上の動画で紹介している料理は、ストラッキーノのリゾット、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ、リゾット・アッラ・ミラネーゼなど。

動画を探していて、うっかりnetflixの歴史ドラマでゲルマン系民族と古代ローマ人が出てくるのを見つけちゃった。trailerはこちら
これはもうハマるしか無い。



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イタリア・イン・クチーナ
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2020年10月30日金曜日

パスタの映える盛り付け、ニード・アッルンガートnido allungato。

今月のシェフ「総合解説」P.36は、ミラノの話題のお店のシェフです。
食の国際会議を主催するイデンティタ・ゴローゼの企画で、ミラノのスカラ座近くのレストランに日替わりで各地で活躍しているシェフを迎えて料理を提供する、というもの。
今回のシェフの一人は両親はカラブリア出身、本人はパリ育ちでローマのリストランテ・イル・パリアッチョのアントニー・ジェノベーゼシェフ↓。
もう一人はピエモンテのアレッサンドリアのラ・フェルマータのシェフ、アンドレア・リパルドーネ↓

ジェノベーゼシェフがタリオリーニに指定した小麦粉は、グラン・パスタ・ペトラ↓。
初めて聞きました。

彼が今回披露したパスタは卵黄を12個使うピエモンテ名物のタリオリーニ、タヤリン。
パスタを卵黄、塩、こしょう、水少々のソースであえるので、ちょっとしたカルボナーラ。
さらにトッピングはイクラ、白トリュフ、レモンバームのスプラウト。黄色い麺と赤いイクラのトンコラストがとてもきれいです。
さらに、パスタを盛り付けた形はニード・アッルンガートnido allungatoと呼ぶもので、とても美しい。
パスタの映える盛りつけ↓

ルーカ・マルキーニシェフのパスタの盛り付け↓

グラン・シェフたちの圧巻の盛り付けが美しいパスタの本、パスタ・レボリューション



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パスタ・レボリューション
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2020年10月29日木曜日

ドイツ人に大人気のイタリア、南チロル。ドイツとイタリアが融合した世界は、モダンな別世界。

今日のお題はツェルテンです。
総合解説」2019年1/2月号P.33に載っています。
ここのところマイナーな地方の料理が続いてるので、まだ見てくれる人がいるのか不安ですが、大丈夫ですかあ?
今回はアルト・アディジェのドルチェですよー。

ツェルテン↓

クリスマスが近づくと、スーパーのお菓子やパン売り場でよく見かける、ドイツっぽいドライフルーツのケーキ。
そもそも、ツェルテンというのもドイツ語のselten(ゼルテン/珍しい)が語源。
アルプス地方の古い農民料理で、1年に2回だけ焼く珍しいケーキです。
リチェッタはP.35
小麦が育たない北イタリアのパン生地がベースの、ケーキと言うより甘いパン。
現在でも地元では生地をパン屋で買って、各家庭ごとに手に入るドライフルーツや蜂蜜、カッルーベの粉などを加えて作っています。
北イタリアで小麦の代用品と言えば、ライ麦です。
グルテンをあまり含まないライ麦からは、長期間保存できるパンができました。
典型的なパンは、スペックやチーズに添えるパンとしても知られるシッュテルブロートなど。シュッテルブロートSchüttelbrot↓


シュッテルブロートはチャツネやフルーツと一緒にチーズに添えて食べます。

ここがイタリアとは思えないけど、ドイツの人にとって、自分たちに近い文化が普及している南チロルがいかに人気か、よく分かります。↓

南チロルの味はイタリア人にも人気。
最近ボルツァーノにオープンしたサラミやチーズ、パン、ドルチェなどアルト・アディジェ製品専門の繁盛店。プル・スッドティロル↓
店のwebページはこちら

こちらは石臼で挽いた粉と天然酵母のパンやドルチェの店。パニフィーチョ・モデルノ↓
ドイツ系の店は、安心感が違うなあ。
ドイツとイタリアのコラボは最強かも。
そういう意味でもアルト・アディジェは面白い。

地方料理のお勧め本、『イタリア・イン・クチーナ



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イタリア・イン・クチーナ
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2020年10月28日水曜日

サッカーが弱いテーラモが不憫で・・・。パロッテ・カーチョ・エ・オーべ。

テーラモ風ティンバロを訳すことになって初めて知ったアブルッツォの町、テーラモですが、若者の間で知名度があまりにも低くて、びっくりしました。
多分その原因は、サッカーの不振です。
テーラモが何州の町かも知らない若者が、カンパーニアの6個ぐらいある県の名前を全部言えるって、変だよねー。
その原因は、これでした↓

セリエCです。Cってつまり3軍。
初めて見ました。セリエCの試合。
テーラモと連呼されているのが悲しくなるくらい、スタンドガラガラ。
サッカーが強ければ、イタリア中の若者にテーラモの場所を覚えてもらえるのに・・・。
ちなみにセリエCのランクはずーっと下の方。
イタリアでサッカーが弱いってことは、辛いんだねー。

気を取り直して、もっと楽しくて美味しい話題はないか探してみました。
そして見つけたのが、テーラモにあるバッカラの本場の町、サントメロ。
でも、よりによってバッカラ・・・。
バッカラ祭り↓

締めはアブルッツオの名物料理、カーチョ・エ・オーヴェのパロッテpallotte cacio e ove



材料/4人分
おろしたパルミジャーノ・・235g
おろしたペコリーノ・・115g
 チーズは計350g
水少々で湿らせたパンのクラム・・20g
卵・・4個
にんにくのみじん切り・・1かけ
イタリアンパセリ

・卵、チーズ、パンのクラムを混ぜる。
・にんにくとイタリアンパセリを加えて1、2分混ぜる。
・少量ずつ手で丸めて油で揚げる。
・アペリティーボとして、またはトマトとバジリコのソースをかけてサーブしてもよい。



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イタリア・イン・クチーナ
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2020年10月27日火曜日

テーラモ風ティンバロ。テーラモはどこにあるか知らないけどカンパーニア州に県はいくつあるかは知ってるイタリアの若者。さすがはサッカー脳。

きょうの料理はテーラモ風ティンバロです。
ティンバロと言えば、シチリア名物の貴族料理として名高い豪華なタルト。
あと、多分聞いたこと無いのでは?
テーラモ。
アブルッツォ北部の町です。
イタリアの若者にテーラモはどこ?と質問した動画がありました(こちら)。
その答えは、世界中共通の若者の地理音痴がわかる衝撃的なものでした。
モリーゼの州都は、と聞かれて、モリーゼなんてない、という答えが続出。
多分サッカーの強さと関係があるんだろうなあ。

今月の「総合解説」では、アブルッツォ料理は田舎っぽいなどと言いたいこと言われてますが、こんな料理↓

アブルッツォと言えば子羊とキタッラ。
このティンバロは、アブルッツォ名物のポルペッティーネが具のクレープのタルトです。リチェッタはP.29。
テーラモのクレープはクレープより厚く、フリッタータより薄い。
ラザーニャとは違うそうです。
ポルペッティーネはパロッティーネpallottineと呼び、チェーチよりやや大きく、ミートボールよりは小さい。
テーラモ風ティンバッロ↓

田舎ぽいと言うより、むしろ豪華。クリスマスの料理で、テーラモを象徴する料理です。
応用編
パロッティーネのキタッラ↓

お勧め地方料理書イタリア・イン・クチーナ


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2020年10月26日月曜日

パスタ入門、2次元から3次元へ。

立派すぎてちょっと敬遠しがちだけど、読んでみたらなかなか面白い本、パスタ・フォルメ・デル・グラノ


昨日の続きです。

上手なパスタ(スフォーリアsfoglia)とは、完璧に丸くて穴や破れがなく、その大きさでスフォリーナの能力がわかる。
つまり、テーブルいっぱいで、床に着くぐらいの大きさだ。
ブロードで煮るタリアテッレの厚さは麺棒で伸ばせる限界まで薄く、幅はナイフで切れる限界のサイズ。
このスフォーリアからは様々な形のパスタ(フォルマーティformati)が無限に作り出される。
形を作る道具はナイフ、刃の直径が最低20cmのミンサー、またはノンナがよく使う平らで幅広の刃先のないナイフ。
このナイフで板状のラサーニャやカネロニ、大きなひし形(ロンビrombi)、小さな四角形(クアドルッチquadrucci)、ベネトのパパレーレpaparele、さらに歯のついたカッターで、タリアテッレをもっと幅広に切ったトスカーナのパッパルデッレpappardelleを作り出す。
マッケローニmaccheroniやファルファッレfarfarre、バルデーレbardelefは中央をつまんで成形したり、筋付きの型、ペッティネpettineを使って並行の筋をつける。

バッサ・パダナ地方では、毎日スフォーリアを打ち、ブロード用の小さなフォルマーティを作る。
金曜や水曜日に店でパスタ・セッカを買い、日曜日にはタリアテッレを作り、ラグーをかけて食べる。
祝日にはパスタ・リピエーナだ。
詳細は先日のブログをご覧下さい。(こちら)

パッパルデッレ↓

タリアテッレ↓

パスタの麺打ち職人、スフォリーナって、実は麺棒使いなんだね。

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パスタ・フォルメ・デル・グラノ
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2020年10月25日日曜日

『パスタ・レ・フォルメ・デル・グラノ』ノンナのパスタを一番好きだったのはノンノ。

パスタの話が出て読みだした本、パスタ・フォルメ・デル・グラノ
が思いのほか面白かったので、もう少し訳してみます。

スローフードのこの本、イタリア各州のパスタをたっぷりの写真で紹介する力作です。
ただ、百科事典なみに分厚いので、読むとなると抵抗がある人が多いだろうなあ。
と、常日頃から感じていました。
いい機会なので、どんなことが書いてあるのか、ちょとずつ紹介します。

きのうは、おばあちゃんから娘へと受け継がれるパスタの生地作りの話でした。
それでは続きをどうぞ。

私のおばあちゃんは、卵黄にはレシチンが豊富なんてことは知りませんでした。
レシチンが細い糸状のタンパク質で、これがからみあって網になり、卵白と水がのりになって結びついた生地は堅く圧縮させると熱湯でゆでても溶けない、なんてことも知りませんでした。
でも、別のおばあちゃん、例えばピエモンテのランゲ地方のおばあちゃんは、卵は卵黄だけを使うということを知っていました。
小麦粉1kgに対して卵黄を40個以上加えてタヤリンを作りました。
現代人は忙しくて時間がないから、今日打って明日伸ばせばい、と考えがちですが、生地を休ませるのは生地作りの基本の作業だということは、すべてのおばあちゃんが知っていました。
おばあちゃんが亡くなると、仕事を持って忙しい娘は技を受け継ぐことを放棄しました。
現代人なら、パスタマシンを使えばいい。
そうすれば簡単ですぐにパスタができる。
でも、おじいちゃんはパスタマシンで作ったぬるぬるのパスタを食べることを1ヶ月間拒否しました。
今では、誰も麺棒で生地を伸ばそうとしません。
だから表面がつるつるのパスタはソースとよくからまないことに気が付きません。
詰め物入りパスタは普通のパスタの生地より柔らかくする、ということも知りません。

最後はちょっと辛口でした。
パスタマシンのことをボロクソに言ってますが、コンプライアンス発動でこのくらいにしときます。
アルティジャナーレな職人の仕事が尊敬されている国だから、しょうがない。
おばあちゃんの手打ちのビンチスグラッシ(マルケのパスタ)↓


明日に続く。

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パスタ・フォルメ・デル・グラノ
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2020年10月24日土曜日

パスタ入門。麺棒の女王。

そう言えば、スローフードのパスタ・フォルメ・デル・グラノ

は、スクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ

をもっと豪華にした本でした。
小麦粉と卵の生地のページには、こんなことが書いてあります。

生地を伸ばす秘訣は、生地を少しずつ回転させながら大きくすること。
最初は手で回転させるが、次第に生地が大きくなったら麺棒に巻きつけて回転させるのでもっとやりやすくなる。
グラナパダーノの産地のカステルベルフォルテ出身の私のノンナにとって、パスタ作りは毎日のことで、儀式はまず、道具を並べることから始まった。
湾曲しないように杭を埋め込んだ大きな木製のブロックtagliere、長くて細い麺棒materelli 、(南~中イタリアのラガーネ用の麺棒は短くてずんぐりしている)を用意する。

麺棒も台も北と南ではサイズが違うんですね。
パスタ作りの名人は麺棒の女王regina dell mattarelloと呼ばれた。↓

ポー川流域地方のパスタは薄くてシーツのように大きかった。台の杭は最低180cmはあった↓
確かにシーツみたい。
パスタ打ち職人は女性が多く、スフォリーナsfoglinaと呼ばれたが、下の動画の主役は珍しく男性。その場合はスフォリーノsfoglino。


台の中央に小麦粉(軟質小麦粉を1人100g)を盛り、中央をくぼませて大きくて浅い土手を作る。
液体は土手から溢れ出ない量を加える(小麦粉100gにつき卵1個)。
そしてフォークで混ぜ始める。

手でこね始める前に、ノンナは結婚指輪とブレスレットを取って小皿にのせた。
時には、半分に割った卵の殻で1杯の水を加えた。
こうして手で打った生地はパスタマシンの生地より柔らかかった。
生地を丸めたらボールをかぶせて休ませた。
次回に続く・・・。

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パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ
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2020年10月23日金曜日

パスタ入門。パスタ・リッシャから生まれた道具を使って作るパスタ。形を作る目的はソースをたっぷりからめるため。

軟質小麦粉と卵で作るパスタ・リッシャは、低温でじっくり乾燥させること、生地の表面に凹凸を作ること、上質の小麦を使うこと、麺職人の経験などが、上質パスタの条件でした。
麺を薄く伸ばす技を習得したら、その麺からパスタを作ります。

参考にする本は、スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズ、

パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』です。


まずは基本。麺棒と頼りになりそうな2本の腕。↓

一番単純なラザーニャ、細く切るタリアテッレ、タリオリーニ、タヤリン、これに手で捻りを加えたサーニェ・インカンヌッチャーテSagne incannucciate↓

または編み棒を使うマッケローニ・アル・フェレットMaccheroni al rerrettoやフジッリfusilli

独自の進化を遂げたパスタ作りの道具、キタッラ

スタンプを遣うコルゼッティ↓

押出し機を遣うビゴリ↓

筋をつける型を使うガルガネッリ↓


あくまでも軟質小麦粉の基本のパスタですが、それでもかなり色々あります。
道具の次は指を使って作るパスタ。
職人技のアルティジャナーレな世界です。


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パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ

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2020年10月22日木曜日

パスタの歴史。アラブ生まれの麺がラグーと出会うまで。

今日のお題はラグーです。
きのう紹介した動画、面白かったので、もう一度どうぞ。


トルテッリーニはラグーがけじゃなくてイン・ブロード、せめて生クリームがけ、だそうです。
ボローニャ人のこだわりと意地とプライドが詰まった料理だったんですねー。
トルテッリーニ・ボロニェーゼ↓

さらに、今月の「総合解説」の“タリアテッレとタリオリーニ”の記事のサブタイトルは、「ラグーのために生まれたパスタ」ですよ。
タリアテッレはラグーがけで注文しないと。
生パスタの本場ボローニャのみなさんは、パスタとソースの関係には強いこだわりがあるようで。

でも、トルテッリーニのラグーがけなんて観光客しかしないような初歩的なミス、私は何度もやってきたから、人のことは笑えません。

パスタの歴史を詳しく解説した貴重な本、パスタ・レボリューション』には、

こんな話が書かれています。

ナポリでは、17、8世紀まで、パスタは人気はあったがあまり普及していなかった。ナポリ人は肉を食べずに野菜ばかり食べるところからマンジャ・フォーリエ(ナッパ好き)とからかわれていました。
ところが、ナポリ王国崩壊後の食糧危機によって、パスタはナポリの基本の食事になります。
さらに市民の経済状態が回復すると、食事そのものが変化して、“プリーモ”ピアットが誕生します。
それまでのパスタは、今でも外国で見かけるように、肉料理に添える料理の付け合せだったのですが、イタリアでは、18世紀以降、パスタは付け合せではなく主役になりました。
ラグーは、教会が力を持っていた中世に生まれた食べ物で、残り物を有効利用しよう、という発想から生まれました。
さらに、肉食を断つ日を持つ、という教えも厳格に守られていました。
この教えにぴったりだったのがパスタです。

イタリアのパスタの食文化は中世に誕生しました。
画期的な新しい技術を用いいたこの食べ物によって、食事の概念も根底から変わりました。
中東で生まれたパスタは、糸のような形の麺でした。
天日で急速に乾燥させた、発酵の危険がない、保存に適した食べ物です。
特にシチリアの気候は大量生産にも適していたので、イスラム教国にもキリスト教国にも輸出されました。
乾麺は戻して食べることが必要で、最初はオーブンで焼いたり揚げたりして食べていたパスタを、液体やブロード、水、ミルクでゆでるようになり、食べ物の熱い、冷たい、ジューシー、乾燥、という概念が生まれます。
こうして次第にパスタはシチリアを、イタリアを、そして世界を征服しました。

話は変わって、紀元前5世紀ごろのチェルべーテリのエトルリア墓の遺跡から、麺棒と台が発見されていて、これらでおそらくタリアテッレやラザーニャに似た麺が造られていた、と考えられています。
古代ローマ人がパスタを食べていた証拠と考える意見もあります。
だとしたら大発見。
ちなみに当時の麺は硬質小麦の麺。
マルコ・ポーロが中国からイタリアに戻ったのは1295年。
大きな港で輸出用の加工が行われるようになった時代で、まだイタリアの家庭にパスタは広まっていません。
まだじゃがいももヨーロッパにはなかった時代です。
アラブ人の南イタリアへの侵略が活発になった時代の1226年に、現在のバクダットから歴史的な料理書が伝わり、小麦粉と水の生地から薄い麺を創り出して肉、ひよこ豆、レンズ豆のラグーで煮るリチェッタが伝わります。

マルコ・ポーロby netflix↓もアラブの侵略も、エキゾチックな夢物語の世界のような・・・。



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パスタ・レボリューション
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2020年10月21日水曜日

手打ちのタリアテッレのこだわりの数々

パスタを乾燥させるのにポー河の霧が最適だったとは知りませんでした。
そう言えば、最近はディチェコの袋に上質パスタの条件は低温乾燥とブロンズのダイスなんてプリントされていて、低温で長期乾燥させるのが上質パスタの条件、ということが知れ渡ってきているような・・・。
スローフードのパスタの本、パスタ・フォルメ・デル・グラノ』には、パスタの乾燥温度について、こんなことが書かれています。

アルティジャナーレのパスタの乾燥温度は一般的に40~60℃で、工場製品のパスタの乾燥温度は100℃です。

パスタが大衆の空腹を満たす食べ物だった時代は、値段の安さが重要でしたが、その後、研究が進んで上質のものが生み出されるようになると、どうすればパスタは美味しくなるのかが科学的に研究されるようになりました。
そして発見されたのが、ゆっくり乾燥させると、タンパク質を始めとするパスタの栄養価や風味が損なわれず、色もよく、煮崩れしにくくなる、ということ。
これは小麦の質にも左右されます。なので小麦の研究も進みました。
さらに、ソースを絡みやすくするには、表面の凹凸が必要で、この問題を解決したのがブロンズのダイスでした。
らに、手打ちパスタも自然とこの問題を解決していました。
エミリア・ロマーニャでは、麺打ち職人は、スフォリーネと呼ばれます。
軟質小麦粉と卵の生地を薄く伸ばす熟練技を持つ女性職人のことです。
ボローニャの人気店、トッレ・プレンディパルテ(店のwebページはこちら)のシェフが作るタリアテッレ・アッラ・ボロニェーゼ↓

・エミリア地方では小麦粉100gに卵1個がパスタの標準的な配合だが、卵の大きさや湿度などによって微調整する。
・小麦粉と卵を混ぜて均質になったら端の生地を集めながらなめらかな生地になるまでこねる。生地の状態は経験でわかるようになる。
・生地を休ませて伸ばしやすくし、麺棒を中央に置き、生地を回転させながら外側に向かって伸ばし始める。

総合解説」2019年1/2月号P.21にもある通り、作業台で伸ばしたパスタは表面がざらざらになり、ラグーなどのボディーがあるソースを絡めるには理想的な麺になります。
エミリア・ロマーニャでは台の木材にもこだわります。
最適なのはポプラのような柔らかい木。
さらに、打ち上がった麺を巣の形にするのは乾きにくくするため。
打ち粉にセモリナ粉を加えるのも凹凸ができやすくするため。

軟質小麦粉のパスタの特徴は、透き通るほど薄く伸ばせる、ということ。タリアテッレの平均的な厚さは2mm、タリオリーニは3mm。
パスタマシンを使えば簡単でも、手打ちの場合は主婦のプライドをかけた熟練と忍耐が必要な作業。
お母さんがキッチンでふうふう言いながらパスタを薄く伸ばしていたら、尊敬しちゃう~。

次はソース。
下の動画はスフォリーナがシェフの店で、ラグーのトルテッリーニを注文すると、シェフが泣いちゃうよ、トルテッリーニ・イン・ブロードが正解だよ。という動画。

次回はソース。

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 「総合解説
パスタ・フォルメ・デル・グラノ
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2020年10月20日火曜日

タリアテッレとタリオリーニ。霧とパスタ

今日のお題はタリアテッレとタリオリーニ。
タリアテッレと言えば、すべての生パスタの故郷、ボローニャ、そしてエミリア・ロマーニャ地方の名物パスタ。
総合解説」の記事(P.21)は、「エミリア地方の薄いタリアテッレの秘密は、湿度だ」で始まります。

そして、霧とパダナ平野独特の気候がなければ、味を強めるゆっくりした乾燥は不可能だったと続きます。

ポー河の霧↓

そういば最近も、クラテッロのお題の時、霧の話をしました。
豚肉のサルーミ作りにも、この霧は欠かせないものでした。
パスタの乾燥と言えば、硬質小麦と乾麺のふるさとカンパーニアの、パスタの町として知られるグラニャーノは、風通しを良くしてパスタがよく乾くようにするために、街の建物や通りを作り変えたのでした。
グラニャーノ↓
海風が吹き抜けるグラニャーノでは、パスタは街の通りで天日干しするとによって、ゆっくり乾燥しました。街道の両側にはパスタの製麺所が並んでいたそうです。

霧は平野や谷底で、日中の高温が夜間に急に低温になって生まれます。
ナポリの人は、ナポリでも霧は出るけど、ポー河の霧とはぜんぜん違うよ、むしろモヤと自虐的。↓

タリアテッレとタリオリーニというお題だったので、タリオリーニと言えば、タヤリン、と言うわけで、タヤリンの本場、ピエモンテのランゲ地方の霧↓をどうぞ。

こちらの霧は、霧のクッションとも呼ばれて、トリュフが生える柳が育つ水分が多い気候を生み出しています。



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総合解説
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2020年10月19日月曜日

質素で素朴なリグーリア料理の主役、野草のミックス、プレボジョン。

今月の「総合解説」、地方料理の2箇所目はジェノヴァです。

ジェノバの旧市街のストリートフード

ジェノバ料理の定番の形容詞は質素、庶民的。
総合解説」のジェノヴァ料理の1品目は、“野草のリゾット”です(P.18)。
主役は野草。
季節の野草のミックスのことをリグーリアでは“プレボジョンpreboggion”と呼びます。
野草なので、そこらへんに生えている草です。

プレボジョン↓

野草はイタリア中でお馴染みの食材でしたが、次第に知識を持つ人が減り、有毒なものもあることから姿を消しつつあります。
それが伝統料理の食材として受け継がれているのもすごい。
どんな野草のミックスかというと場所によって違うし、名前を上げても聞いたこともない草ばかりなので、地元の人以外、聞いてもわからないと思うのですが、一応、こちらのページのメジャーなものを揚げてみると、ビエトラ・ディ・プラート、ボッラジネ、チコーリア、タンポポ、オルティーカ、ラディッキオ・セルバディコなどです。
そんな野草だらけの緑色のリゾットですが、さすがに質素な食材から美味しい料理を作り上げることにかけては誰にも負けないジェノヴァ料理。
ペースト・ジェノベーゼと鶏のブロードで、立派なリゾットに仕上げています(リチェッタはP.18)。

余談ですが、ジェノバの観光ガイドを少々。
ジェノバの観光の中心地、旧港地区の美しくて印象的なサン・ジョルジョ館↓

この建物の牢獄に捕らえられていたマルコ・ポーロが語った話が、後にベストセラーになった『東方見聞録』。
この近くに、昼時になると行列ができる店、アンティカ・フリッジトリア・カレーガがあります。
揚げ物には炭火を使いますが、かまどでは薪をくべてファリナータを焼いています。
ファリナータはローマ軍の兵士が長い遠征の間にすり潰したチェーチと水を混ぜた生地を盾を使って焼いたのが始まりと言われている食べ物。

アンティカ・フリッジトリア・カレーガ↓

ファリナータ↓


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総合解説
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2020年10月18日日曜日

北イタリアのこと、何も知らなかったなあ。ドロミテの少数民族、ラディーノ。

ベネトのベッルーノ地方の料理、最後はドルチェです。
carfognだそうです(リチェッタは「総合解説」2019年1/2月号P.17)。
なんて発音するのでしょう。カルフォン?
調べたら、こちらのページにベネトのラディーノ語だとありました。
ラディーノは、北イタリアの料理を調べていると度々遭遇する名前です。
総合解説」06/07年5月号によると、
ドロミテ地方の住民で、古代ケルト人などを先祖に持つ。
その言語はイタリア語、フランス語、スペイン語、オーストリア語、ドイツ語の影響を受けた独特の言葉。
少数民族の中では珍しく、ラディーニは自らの個性と伝統を守り育ててきた。
ラディーノ語は学校でも教えている。
その料理にも独特のものが多く見られる。
とありました。
ラディーノ語↓


ラディーノ料理↓

ちなみに、ドロミテは、かつては海に覆われていました。
ドロミテという名前は、トレンティーノ・アルト・アディジェとベネトにまたがる山脈に未知の鉱物が豊富に含まれていることを発見したフランズ人、ドロミューからつけられています。
ドロミテ。世界自然遺産に登録されている素晴らしい大自然だけど、高いところがダメな人には身の毛がよだつ恐怖の映像↓
    
この地方を代表するアルタ・クチーナのシェフ、リストランテ・サントゥベルトゥスのノルベルト・ニーダーコフレルシェフ↓
店のwebページはこちら


ドイツのホテル学校を卒業後世界中を回り、1993年にアルト・アディジェに戻った。
今では山の料理の第一人者として知られている。


地方料理のおすすめ本


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2020年10月17日土曜日

ナポリのパスタ・エ・ファジョーリ用ミックスパスタは、衝撃的に美味しそう。

地方色が意外と豊かなパスタ・エ・ファジョーリ。
南伊のはどんな料理かなあと思ってまずシチリア版を探してみたら、すぐに気がつきました。
シチリアではパスタ・エ・ファジョーリは夏の料理だということを。
都会のおばちゃんなので、缶詰以外のいんげん豆食べたことないし、何なら、湯気が立つ熱々を食べる冬の料理だと思っていたくらいです。
giallozafferanoのこちらのページによると、パレルモでは夏に収穫した柔らかい生のボルロッティを使うのがお約束だそうで、パスタはスパゲッティかレジネッテを手で粗く折って入れます。



わかりやすい動画で大人気の料理サイトの本、『ジャッロ・ザッフェラーノ

ナポリ料理の本、『リチェッテ・ディ・ナポリ』には、パスタ・エ・ファジョーリのリチェッタが4品載っています。
著名なジャーナリストの作者は、パスタ・エ・ファジョーリは都会から田舎に移るにつれて、濃度が薄くなり、スプーンが立つようになった、と書いています。さらに田舎ではフォークで食べていたが、都会ではスプーンで食べる、とも。
極端に言うと、都会の豆のスープはさらさらで、田舎の豆のスープはドロドロだと。
でも、彼はドロドロも好きだそうで、中間の濃度が理想的だと語っています。
ちなみにナポリ風はドロドロ。
ナポリのパスタ・エ・ファジョーリ↓の一番の特徴は、パスタの一大産地ならではの、ミックスパスタ入りという点。
しかもパスタ・エ・アァジョーリ用のミックスパスタが市販されている。



ミックス・パスタが衝撃的に美味しそうでだったので、
おまけの1品。『クチーナ・ディ・ナポリ』から、ムール貝入りパスタ・エ・ファジョーリ。


基本の材料はパスタ・エ・ファジョーリと同じ。
おまけの動画。ムール貝といんげん豆のミックスパスタpasta mista con cozze e fagioli↓

本のムール貝入りパスタ・エ・ファジョーリpasta e fagioli con le cozzeは、
材料/4人分
ムール貝・・800g
乾燥カンネッリーニ・・250g
パスタ・ミスタ・・300g
ピエンノロのミニトマト・・3個
EVオリーブオイル・・大さじ5
黒こしょう(好みで)

・12時間水に浸した豆をゆでる。
・ゆであがったらゆで汁は捨てずにそのまま冷ます。
・ムール貝を下ごしらえし、油や水を加えずにフライパンで強火で熱して開ける。
・片側だけ殻を取り除く。
・汁はガーゼで漉す。
・大きなフライパンでにんにくを油で炒め、小さく切ったトマトを加えて弱火で炒める。
・豆とゆで汁少々を加えて沸騰させ、パスタ、ムール貝と熱した汁を加えて数分煮る。
・水分は少なめに仕上げる。
・塩、こしょうで味を整え、火を止めて1分休ませる。

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クチーナ・ディ・ナポリ
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2020年10月16日金曜日

イタリア各地のパスタ・エ・ファジョーリは個性が現れていて面白い。

いんげん豆編、今日のお題は地方料理のパスタ・エ・ファジョーリです。
パスタ・エ・ファジョーリは、北から南までイタリア各地にあるイタリアの農民の生活を支える基本の料理です。
地元でできる豆やパスタによって使う豆もパスタも変わります。
地方料理書でパスタ・エ・ファジョーリを探してみると、地方の個性が隠れていたりして、なかなかおもしろいです。
総合解説」06/07年11月号の“パスタ・エ・ファジョーリ”の記事によると、
パスタ・エ・ファジョーリは香味野菜をオリーブオイルや脂を含む食材でソッフリットにしたベースで豆をじっくり煮て、一部を裏漉ししてポタージュ状にしたミネストラですが、
脂を含む食材とは、豚皮、パンチェッタ、ラルド、生ハムの骨などがあります。
ベースに動物性の脂を使った時はテーブルでチーズを散らしてコクを出してもよいが、植物性の油の場合は、チーズは散らさずに仕上げにオリーブオイルとこしょうをかけるのが正統とされる。実際にはチーズを散らすこともよくある。

パスタは生麺、乾麺のどちらの場合もあるが、ショートパスタだけでなく、ロングパスタを折って入れてもよい。生麺の場合、北イタリアでは必ず卵入り麺を使う。
パスタの代わりに米や大麦を組み合わせることもできる。
豆と穀物の組み合わせは栄養の面でも優れていて、豆のタンパク質が炭水化物と結びついてバランスの取れた1品になる。

とあります。
なんとも奥が深い料理なんですねー。

ちなみに、イタリア料理の入門書、

クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ

には、いんげん豆の収穫の時期、夏なら、生のいんげん豆で作るのが理想的、とあります。
パスタ・エ・ファジョーリの本場、ベネトの有名店、ハリーズ・バーの本、

ハリーズ・バー』で、アリーゴ・チプリアーニ氏は、



この古いスペチャリタはベネチアではとても面白い料理だ。夏は生のいんげん豆で作ったパスタ・エ・ファジョーリのファンが多い。生のラモーン豆のパスタ・エ・ファジョーリは世界一美味しい、
と語っています。
生の豆のパスタ・エ・ファジョーリ↓



で、ピエモンテのオステリア・デル・ベルボ・ダ・バルドンが紹介しているモンフェラート風パスタ・エ・ファジョーリは、豆はボルロッティ、ベースはラルド入りでパスタはピエモンテ名物の卵がたくさん入る手打ち麺。
アスティの人気オステリア↓


グレーベ・イン・キアンティの“マンジャンド・マンジャンド”のトスカーナ風パスタ・エ・ファジョーリは、豆は小粒の白インゲンのカンネッリーニ、ベースはオリーブオイル、パスタは乾麺のショートパスタ。

オステリア・マンジャンド・マンジャンド↓


次回は南イタリア風。

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2020年10月15日木曜日

いんげん豆入門。ラモーン豆のベネト風パスタ・エ・ファジョーリ。

いんげん豆(ファジョーリ)の話、その2です。
古代ローマ時代から知られていた豆、ファジョーリ・デル・オッキオfagioli dell'occhiof
は、メキシコからスペイン人が伝えたファジョーリに、取って代わられてヨーロッパ中に広まりました。
そしてヨーロッパ各地の気候や土壌に合うように品種改良が繰り返され、現在では約500種類の豆が作り出されています。
総合解説」2004年9月号より。

イタリアのいんげん豆は、大きく4つに分類することができます。
■ボルロッティborlotti
主に中~北部で栽培されている。さやは赤い色でクリーム色の斑が入っている。豆の色はクリーム色からサーモンピンクまで様々。赤や茶色の斑点がある。生も乾燥も美味しい。熟すのは夏から秋。


■ビアンキ・ディ・スパーニャbianchi di spagna
ピエモンテからシチリアまで各地で栽培されている。豆は大粒で生用は濃い緑色をしている。収穫は7月から晩秋。味はボルロッティよりマイルドでウミドやサラダに適している。

■ファジョーリ・デル・オッキオfagioli dell'occhio
ヨーロッパに最初に伝わった豆の子孫。トスカーナにはこの豆を使った料理が多く残っている。

■カンネッリーニcannellini
トスカーナを中心としたイタリア中部が改良品種の原産地で、現在は全国で栽培されている。特にナポリのものが有名。

イタリア中に広まったいんげん豆ですが、中でも人気が高く、イタリアで一番美味しいいんげん豆と言われているのが、先日紹介したベネトのベッルーナ地方で作られているラモーン豆↓です。1532年に教皇クレメント7世から贈られたのがきっかけに広まったという由緒正しいいんげん豆で、皮がとても薄くて甘いのが特徴。

いんげん豆の料理といえば、イタリアの国民的料理、パスタ・エ・ファジョーリ。
パスタ・エ・ファジョーリは、見た目がかなり素朴で、ちょっととっつきにくい料理。
初めて食べる時は、きっと面白い体験ができますよ。
味も見た目も雰囲気も、今まで知っていたイタリア料理とは全然違っていて、おばあちゃんのあったかさや優しさが感じられるような、どこかほっとする料理。

パスタ・エ・ファジョーリはイタリア中で作られている料理ですが、人気があるのがベネトのラモーン豆を使ったパスタ・エ・ファジョーリ。
パスタは、ベネトでは手打ちパスタのマルタリアーティやタリアテッレなどを組み合わせるのが伝統的。煮崩れた豆と麺から溶け出たでんぷんでクリーミーに仕上がる。
他にも北イタリアでは茶色いボルロッティに豚の脂身でコクを加え、グラナを散らす。中部や南部では小粒の白インゲンのカンネッリーニをトマトで煮て仕上げにパルミジャーノではなくオリーブオイルをかけたり、パスタはローマならフェットゥッチーネ、ナポリはムネッッァーリアと呼ばれるミックスパスタ、アブルッツォではトゥベッティーニなどと様々。

ラモーン豆のベネトのパスタ・エ・ファジョーリ↓。

・粗く切った玉ねぎ、にんじん、セロリの小角切り、にんにく、ローリエをEVオリーブオイルで炒める。水かブロードで覆い、戻した豆を加えて数分炒める。粗く切ったじゃがいもを加える。
・玉ねぎ、にんじん、セロリの小角切りを油でソッフリットにし、ローズマリーと唐辛子少々のみじん切りを加える。ソッフリットを取り出して別にする。
・豆の一部を取り出し、残りをハンディミキサーで撹拌する。
・濃すぎるときはブロードで伸ばす。
・パッパルデッレ(または他の卵入りパスタ・フレスカ)を加える。別にした豆とソッフリットの3/4を加える。
・皿に盛り付けて残りのソッフリット、ローズマリーのみじん切り、唐辛子を散らす。

基本は肉の代わりに豆を使った煮込み料理。
豆の味が料理のできを左右します。
それにしてもパスタ・エ・ファジョーリは各地に色々あります。リチェッタは次回。

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総合解説
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2020年10月14日水曜日

スペイン人が南米からヨーロッパに伝えたいんげん豆は、一種の革命を引き起こし、ヨーロッパに最初に伝わった黒目豆より広まった。

ベネト料理2品めは、ちょっと訂正。
訳したリチェッタは今月の「総合解説」P.16に載せましたが、その際、“ラモン豆のズッパ”としました。
でも、正確にはラモーン豆でした。
カモーンと同じ発音です。
ラモンじゃなくてラモーン豆。
初めて聞く名前でしたが、
イタリア料理の情報がたくさん載っている便利な本、1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナによると、
ボルロッティ豆の一種で、ベッルーノ渓谷地方の名物。
ということはいんげん豆のことですね。
ベネトの山岳地帯で栽培されています。
ラモーンLamonとは、栽培が広まった場所の地名。
ベルーノ県の小さな町です。
湿度が低く昼夜の気温差が大きいというこの地方の特殊な気候の元でのみ育つ品種。
ラモーン豆↓
ポレンタになったとうもろこし同様南米から伝わって、貧乏人のパンと呼ばれる貴重な食料としてこの山の中に広まったのでした。

この地方の各種の伝統料理にもたくさん使われています。
中心は、ミネストローネやズッパです。
野菜ととても相性の良い豆ですが、パスタや肉、魚、ボディーのある赤ワインにも合います。
毎年9月の第3週末に市場で行われている展示は料理や使い方を知るチャンス。

「総合解説」のリチェッタはズッパですが、先日紹介した栄養価が優れたオルゾも加えています。
さらにベーコンとじゃがいも入りで、冬の栄養たっぷりのミネストローネです。

ミネストローネと言えば、今月の『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタには“3種のいんげん豆とミネストローネ”のリチェッタもあります。(P.6)
この料理で使っている豆はボルロッティ、カンネッリーニ(白いんげん)、キドニービーンズの3種。
イタリアの冬の料理と言えば、やっぱり山岳地方の豆のスープですよね。

ちなみに、ズッパとミネストラはどう違うのか、という疑問に答えているのが、「総合解説」2012年11月号の小さな記事。
「minestraは、minestrareという言葉が語源。
様々な意味のある言葉だが、その中の1つにスーブを注ぐというものがある、と説明しています。
一方zuppaはドイツ語のsuppaが語源で、スライスしてぬらしたパン、という意味がある」
これらのことから推理して、パンを入れるのがズッパ、という少々無理やりな結論ですが、イタリア人の間でも答えが出ていない疑問のようです。

前述の本、1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナには、ラモーン豆を始めとして様々な種類のいんげん豆が載っています。
イタリア料理には欠かせない食材です。
まずはいんげん豆のことを知っとかないと・・・。

「総合解説」2004年9月号には、こんな記事がありました。

 16世紀初めに征服者のスペイン人が新世界からヨーロッパに持ち帰ったいんげん豆は、一種の革命を巻き起こす。
 この新しい豆は、古代ローマから知られていた小粒のファジョーリ・デル・オッキオfagioli dell'occhio(黒目豆)とは違っていた。
違うだけでなく、もっと優れていた。
 当初は抵抗を受けたものの、結局は古い豆を完全に凌駕してヨーロッパ中に広まり、食の世界で重要な地位を占めるまでになった。
 いんげん豆はタンパク質を豊富に含みながら、肉、魚、チーズより安く、乾燥させれば何年もの間簡単に保存することができる。
 フランス語でいんげん豆を意味する“アリコharicots”という言葉はメキシコのayacotlが語源となっている。
 イタリア語のファジョーリfagioliはラテン語のphasecolusが語源で、これは古代のファジョーリ・デル・オッキオから来ている。

昔、ブラック・アイド・ピーズってバンドがいたけど、今どうしてるのかなあ。令和の子たちは知らないかなあ。
このバンドのおかげで黒目豆のことを知りましたよ。
ファジョーリ・デル・オッキオ↓

ファジョーリ・デル・オッキオはヨーロッパに最初に伝わった豆の子孫で、原産地はアフリカとアジアの熱帯地方。
特にトスカーナではこの豆を使った料理が多く残っています。
他の豆と比べて軽い酸味と青みがあり、サラダに向き、生で食べることもあります。

ちょっと軽い気持ちで足を踏み入れたいんげん豆の世界。
超奥が深そうです。
次回に続きます。


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1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ
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2020年10月13日火曜日

ベネト料理には欠かせないポレンタの定番はマイス・マラーノのポレンタ。

今月の地方料理、まずはヴェネト州です。
スローフードの地方料理書の写真付き版、イタリア・イン・クチーナ』には、
ヴェネト州にはなんでもある、と書かれています。
地形を見ても、アルプスの一部のドロミテ山地、アドリア海、イタリア最大の湖、ガルダ湖、その周囲のワインの産地として知られる丘陵地帯、ポー河とその周囲の独特の野菜が栽培されている広大な平野などなど。
でもなんといってもヴェネトを特別にしているのは、その州都、ベネチアと周囲の潟地方の存在です。

ベネトの観光ポイント↓

ベネトの名物料理↓

地形の特徴は料理の特徴にも当てはまります。
女王のベネチアが別格で君臨し、その周囲にはバリエーション豊かな産物と食文化が広がっています。
総合解説」のヴェネト料理の1品めは、鶏肉のベッルーノ風。

ベッルーノはベネチアのほぼ真北、オーストリアに近い標高約400mの街。

鶏肉のベッルーノ風 Pollo alla bellunese↓は鶏肉をマッシュルーム、内蔵、サラミと一緒に白ワインで煮て、黄色いポレンタを添えた1品。リチェッタはP.15。



ベネト料理に欠かせないのが、ポレンタです。
鶏料理もポレンタを添えればあっという間にベネト風。
伝統的なこの地方のとうもろこしは“マイス・マラーノ”↓という品種。
マラノはこのとうもろこしが品種改良で20世紀初めに生み出された地。
収穫祭は毎年10月中旬に行われています。
とうもろこしは品種改良が盛んなようで、消え去ったものもたくさんあります。
生き残っている品種は産地との結びつきが強かったのかも。

ポレンタはグルテンフリー。
ポレンタとスカモルツァのココット。Cocotte con polenta Marano e scamorza


・塩少々を加えた湯でポレンタ粉(ポレンタ・ブラマータ)をかき混ぜながら30~35分煮る。
後でオーブンで焼くので柔らかめに仕上げる。
・卵をゆでる。
・生食用トマト(カモーネ)を小さく切り。油と塩で炒める。
・スモーク・スカモルツァを薄く切る。
・オーブン皿にポレンタ、スカモルツァ、イタリアンパセリを入れてポレンタで覆い、オーブンで8~10分焼いて焼き色をつける。
・トリュフクリームを加え、ゆで卵の黄身をおろして散らし、トマトを添えてイタリアンパセリで飾る。

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総合解説
イタリア・イン・クチーナ
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2020年10月12日月曜日

イタリアの初代国王の髭の形のクッキー。大ヒットして世界中で愛されています。クルミーリ。

今日のお題はピエモンテのクッキー、クルミーリkrumiri。
アレッサンドリア県のカザーレ・モンフェッラート↓という街の名物です。


このクッキー誕生の経緯は、かなり詳しく知れ渡っています。
それは、1878年にドメニコ・ロッシというパスティッチェーレが、仲間とカフェで大騒ぎをしているときに偶然生まれた、というもの。
その後大ヒットし、クルミーリ・ロッシ↓は、世界的に有名なクッキーになったのでした。


ドメニコ・ロッシは1953年にクルミーリの特許を売ったため、現在はパスティッチェリーア・ポルティナーロという店が権利を持っています。
今も150年前と同じアルティジャナーレな製法で作っています。
もう一つこのクッキーを有名にしたのはその美しくてレトロな缶。
缶に描かれている肖像画は、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世↓です。
イタリア統一の象徴とされるイタリアの初代国王です。

こレだけ詳細に誕生の由来は伝わっているのに、なぜクルミーニという名前なのか、という点については、誰も語りません。
なので、未だに不明です。
ただ、ヒントとなるのが1878年という年。
これは王様が亡くなった年です。
この王様の特徴は、立派な髭。
クルミーニのカーブした形はこの髭を模したものだと言われています。
ただ、もっと他にも説はあります。
詳細は「総合解説」に載せました。
リチェッタはP.13。
このクッキーの形は、ちょっと特殊な製法で造られています。

生地をダイスを通して押し出します。

専用の道具がなければ直径1~1.5cmのシリンジか星口金をつけた絞り袋で長さ6~7cmに、中央をカーブさせて絞り出します。






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総合解説
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2020年10月11日日曜日

アルプスは南の地中海に匹敵する国際的ウインターリゾート地でした。ストランゴラプレーティは大食いの司祭にまつわる料理。


わたくし、トレンティーノ・アルト・アディジェなんて北の端の山の中のド田舎だろう、なんて侮っていました。
大変失礼しました。
たしかにここはアルプスの山の中。
国立公園もたくさんある美しい場所で、冬はウインタースポーツのパラダイスになるのでした。
世界中から観光客がやってくる国際的なリゾート地として発展したきた地方で、グランシェフたちの店も多いのです。

ドロミテ・アルプスのスキー客↓
ステキなところですねえ。
スキーができないのに行きたくなりました。


そんなトレント地方の料理として今月の「総合解説」で紹介したもう1品は、この地方の名物料理、ストランゴラプレーティです。

この地方の料理は、雪に閉ざされる厳しい冬の間は、山が与えるものを最大限に活用します。
さらに、オーストリア・ハンガリー帝国の一部だったため、オーストリアとイタリアの食文化が混ざり合っています。
とは言っても地中海料理よりはドイツ系に近い料理です。
この地方は現在のオーストリアの一部と合わせてチロル地方と呼ばれましたが、第一次大戦後に南部だけイタリアに属するようになりました。

南チロルの料理は味が強く、スパイスを使ったものや燻製料理が多いのが特徴。

ストランゴラプレーティは、司祭の首を絞めるという変な名前の料理。「総合解説」2016年3月号によると、
山の食糧事情が厳しい貧しい農家を訪れて、敬虔な主婦がやりくりして作った熱々のニョッキをご馳走になろうと企んだ不届き者の司祭(プレーテイ)が、大きなニョッキを喉につまられたからこう呼ばれるようになったという、その光景が目に浮かぶような言い伝えが語り継がれています。
ストランゴラプレーティ↓

パンは最低2日経った硬い地元のパン。
これにほうれん草を加えますが、地元のハーブを加えるのが伝統的。

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総合解説
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2020年10月10日土曜日

スッドチロルで断食前の豚肉食べ納めの料理、スマカファム。

今月のグランデ・ファミリアはトレントのスプマンテ長者、ルネッリ家でした。
なので、料理も当然、トレントの料理、つまり、トレンティーノ・アルト・アディシェの料理です。
トレント↓



スッドチロル(チロル地方のオーストリアの部分)↓という名前でも知られる地方。


イタリアの北の端にある州で、小さい割には州名がめちゃ長い。

しかも、トレンティーノ・アルト・アディシェの食文化の本は、いくら読んでも、内容がまったく頭に入りません。
それもそれはず、固有名詞がほぼドイツ語なんです。
背景を理解するために最低限の歴史は知っておこうと思っても、ナポレオンやらオーストリアやらが入り乱れて、あまりにも複雑で、足を踏み入れてはいけない場所としか思えません。
公式言語は3つもあります。
主要な言葉はオーストリアドイツ語。
つまり文化のベースはオーストリアドイツ系で、
今まで学んできたイタリア料理の知識が役に立たない!
複雑なトレンティーノ・アルト・アディジェの歴史↓
大体5分で脱落。
という訳で、トレンティーノ・アルト・アディジェ料理の本は、最後まで読み終えた記憶があリません(www)。

そもそもスッドチロル(オーストリアとの国境の山岳地帯)の人は自分たちがイタリア人だと思ってない。

でも、ドイツ料理に興味がある人なら、イタリア国内で両方を体験できるなんて、かなり面白い。

それでは、「総合解説」2019年1/2月号の料理(P.11)です。

1品目は粉ものから。トレントのカーニバルの始まりの日、ジョベディ・グラッソ(翌日から肉食を断つ断食が始まる)の料理、スマカファム。
断食前に食べる最後のこってりした1品で、ほぐしたソーセージ入りの生地にソーセージの輪切りをトッピングした、見るからにこってりした料理です。
スッドチロルの人の豚肉愛が伝わってきます。

トレントのトラットリアで働くアンナのおじいちゃんのリチェッタのスマカファム↓

イタリアの地方料理書のお勧めは、

イタリア・イン・クチーナ

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イタリア・イン・クチーナ
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2020年10月9日金曜日

イタリアワインのフェラーリはトレントDOCのスプマンテ。

次のお題はグランデ・ファミリア。
イタリアの食品業界の名門一族を紹介する連載記事です。
総合解説」2019年1/2月号P.11~。
今月のセレブは、ルネッリ一族。
ルネッリグループのwebページはこちら

ルネッリを有名にしたのは、トレントDOCのスプマンテ、フェラーリ。
フェラーリのwebページはこちら

世界で一番有名なトレントDOCのスプマンテでエミー賞でもサーブされているそうです。
造っているのはジュリオ・フェッラーリが1902年に創業したカンティーナで、1952年にこのカンティーナを買い取ったのがルネッリ・グループ。

このスプマンテは今やメイド・イン・イタリーの高級品のシンボルで、世界中で評価されている上質スプマンテ。
ちょっとバブリーな響きのある名前のこのスプマンテ、そう言えば、見かける機会が多いような気が。
上の動画によると、グイド・フェッラーリはシャルドネをイタリアに広めてシャンパンに匹敵するイタリアの上質スプマンテ造りを成功させた人物。
イタリアで最初のメトド・クラッシコの造り手。
1902年の創業からちょうど50年後に、子供がいなかったグイドはカンティーナを、トレントのエノテカのオーナーで3人の息子がいたブルーノ・ルネッリに売りました。そして品質を維持しながら生産量を増加させます。
こうしてフェラーリのスプマンテはルネッリの息子たちに受け継がれました。
フェラーリのスプマンテは現在3代目。
私はワインは素人ですが、好奇心から口にしたフェラーリのスプマンテが強烈すぎて軽くトラウマになり、それ以来、お高い超辛口のスプマンテより、ほんのり甘口の微発泡のワインのほうが好き、というおこちゃま庶民路線の自分の味覚を認識しました。
カンティーナ・フェラーリ↓

グイド・フェッラーリの物語は途中からルネッリ家と強く絡まっています。
造り手のフェッラーリとビジネスのルネッリの融合は、大成功だったようです。
人を見る目もあったんですねえ。

ワインガイドのアドボケートで98点を獲得したジュリオ・フェラーリ・ロゼ↓

そのお披露目パーティーの舞台はトレントの中心部にあるミシュラン星付きレストラン、ロカンダ・マルゴン。
元はブルーノ・ルネッリの妻が住んでいた邸宅でルネッリ一族はクリスマスのチェノーネなど年に数回ここに集まる。

アルフィオ・ゲッツィシェフ↓


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総合解説
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2020年10月8日木曜日

メソポタミアで人類が最初に栽培した穀物、大麦は、現代人のメタボ対策に有効な超ヘルシーな食べ物。

今月のリチェッタ2品目は、“スクアックエローネのオルゾットです”(リチェッタは「総合解説」2019年1/2月号P.4)。
リゾットのオルゾ版。
オルゾ↓



オルゾorzoとは、皮がむけやすい裸麦と呼ばれる品種の大麦で、人類が最初に栽培した穀物と考えられている。
地中海の農民の炭水化物源で、食生活のベースの食材だった。
古代の人は、ポレンタにして食べていた。
オルゾは血糖値が上がりにくい食べ物で、オルゾがベースの食事をすると、新陳代謝が刺激されて、脂肪の中の糖質が蓄積されるのを減らすことができる、これにより空腹を感じにくくなり、昼食後のインスリン分泌による眠気を防ぐことができるそうです。

オルゾは水溶性繊維質、特にベータグルカンを多く含む。
食物繊維は腸を食物が移動する時に粘膜を傷つけないという特性があり、心臓脈管系のリスクを減らす。
さらに煮ると大量に水分を吸って膨らむので低ロリーのダイエット食にもなる。
現代人のメタボ対策にも有効な食べ物。
さらにミネラルとビタミンB群が豊富でとてもヘルシー。
痩せた砂利の多い土地でも育ち、過酷な気候でも生き残り、有史以前から世界中に広まった穀物。
中世には貧乏人の穀物と考えられていたが、第二次大戦まではもっとも高貴な穀物とされていた。戦後、小麦など他の穀物に押されて消えていったが、食品の研究が進むにつれて現代人の食生活を補う食べ物としての価値が高く評価されている。
上がったり下がったり、色々あったんだねー。
調理する時は12時間ほど水に浸す必要があるが、皮をとったタイプは15分ほど。
オルゾ・ペルラート↓

野菜のオルゾット↓
作り方はリゾットと同じ。

ただ、今月のリチェッタでは、ターメリックを加えたブロードで煮て、鮮やかな黄色いオルゾットにしている。
リゾットとサフランのリゾットでは見栄えがかなり違うように、黄色いオルゾットはなかなか美味しそう。
さらに軽い酸味があるクリームチーズ、スクアックエローネであえて焼いたグアンチャーレをのせている。

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2020年10月7日水曜日

ピアディーナにお勧めのワインはロマーニャのアペリティーボ、ピニョレット。

今日のお題はピアディーナなんですが、今まで何度も書いてきたので、もうそろそろ書くこともないかな・・・。

今日はイタリアの料理史研究家、ピエロ・メルディーニさんの考察でも。
昔は、ピアディーナは農民にとってのパンだった。
材料は小麦粉やとうもろこしの粉と水。
祭りや田舎を訪れた都会人のためにはラードを加えたリッチなバージョンを作った。
最近の豪華なバージョンでは重曹やイーストを加える。
さらに牛乳、砂糖、蜂蜜、卵、白ワイン、レモンの皮を加えたり、ラードの代わりにオリーブオイルを使う。
伝統的なピアディーナは焼き立てをくし切りにして熱いうちに食べる。
軽いラードの風味があるのでワインを飲みながらそれだけを味わっても美味しい。
具は無数にある。
定番の具はフレッシュチーズのスクアックエローネ・ロマニョーロ、カプリーノ、カチョッタ、ペコリーノ、ブッラータ、クラテッロ・ディ・ジベッロ、サン・ダニエーレの生ハム、モルタデッラ、サラミ、ラルド、サルシッチャ、炒めたりグリルした野菜、フリッタータなど。
珍しいところではスモークサーモン、マグロ、ボッタルガなどの魚類も合う。
肉、パテ、ポレンタも具になる。
さらにジャム、蜂蜜、チョコレート、ヌテラなどの甘いピアディーナもある。

おすすめのワインはロマーニャの土着品種ピニョレット種のぶどうから作る微発泡性の白ワイン。
ピアディーナのための白ワインで、産地が同じでピアディーナの香ばしさとよく合う。
ポローニャの代表的アペリティーヴォ。
ピニョレット↓

ピアアディーナのリチェッタが載っているおすすめの本は


スローフードのスクオラ・ディ・クチーナ”シリーズパーネ・ピッツェ・フォカッチェ





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パーネ・ピッツェ・フォカッチェ
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2020年10月6日火曜日

ロマーニャ地方のフレッシュクリームチーズ、スクアックエローネ。

またやっちゃいました。
確かパスタのカラメッレの話をしていたはずなのに、気がつけば、パスタ・リピエーナの3次元の面白さに惹かれてどんどん脱線してしまいました。
気を取り直して、話を戻します。
今月のパスタ、2品目は、“スクアックエローネのオルゾット”(リチェッタは今月の「総合解説」P.4です)。
これはもう、脱線の予感しかないのですが、まず、強烈に惹きつけられるのは、“スクアックエローネsquacquerone”です。
こんなイタリア語発音したことあります?   
スクアックエローネはポー河北部の限られた地域で作られているエミリア・ロマーニャの牛乳のフレッシュなクリームチーズ。
味はデリケートで甘く、軽い酸味があります。
2~3日しかもたない チーズです。
この言葉に弱いんだなあ。確か、モッァレラもブッラータも、そう聞いて、産地まで食べに行ったものです。
生産地区の端にあるボローニャではピアディーナやティジェッレを始めとして様々な地元の料理に使われています。
スクアックエローネ↓

スクアックエローネと生ハムのピアディーナ↓

モッッァレラもブッラータも自分で作っている人の話題を最近は耳にするようになったので、需要があるかわかりませんが、美味しいピアディーナが食べたい一心で、自家製スクアックエローネのリチェッタを訳してみます。
高温に弱いので夏は製造に向きません。
脂肪分がわずか17%のチーズ。
原文と製造過程の写真はこちら
リチェッタはフォルリのリボルタ農場のもの。
農場のwebページはこちら

材料/10人分、約1.7kg
牛乳・・10L
乳清・・1L(手に入らない時はモッツァレラの製造所に頼んでみる)
レンネッシト・・大さじ1
塩・・2つまみ

スクアックエローネ作りは難しすぎることはないが、とにかく時間がかかる。
・大鍋に低温殺菌されていない牛乳と乳清、レンネットを入れて34~35℃に熱し(温度が高すぎても低すぎてもできない)、よく混ぜて蓋をし、約3時間休ませる。
・スキマーで表面に浮かんだクリームをすくいとる。
・ザルで濾して乳清を別にする(20%の水を加えて次回用やモッツァレラに使う)。
・約10分かけて全部のクリームを取り、2個の型に入れる。
・表面に塩を散らし、覆いをして冷蔵庫に入れる。暑すぎると(15℃以上)固くなってクリーミーさがなくなる。そのため、夏はスクアックエローネ作りには向かない。
・48時間は乳清が出るので型はボールに入れておく。
・6~8時間後に型を裏返して裏側にも塩を散らす。乳清が出なくなったら食べられる。

次回はピアディーナです。
自家製フレッシュチーズの本、

フォルマッジ・フレスキ・ファッティ・イン・カーザ



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フォルマッジ・フレスキ・ファッティ・イン・カーザ

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2020年10月5日月曜日

カッペッレッティの閉じ方は二重閉じ。餃子の耳はイタリア語では鶏のとさか。

パスタ・リピエーナのポイントは、何があっても具が飛びださないように、生地をしっかり閉じること。
一番有名なパスタ・リピエーナ、カッペッレッティにも、そのための工夫が施されています。
さらに、見た目も美しく仕上げるのが、イタリアならでは。

カッペッレッティの閉じ方に注目して、ラビオリとはどこが違うかを見てみると↓

わかりましたか?
これはドッピア・キウズーラという方法だそうです。
まず半分に折って三角形に閉じ、さらに指に巻いて角を合わせます。

ただ、これはもっとも基本の閉じ方で、

パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』には、さらに2種類の閉じ方が載っていました。

これは巻いた後に台に座った状態になるように仕上げます↓
出来上がりの形は違いますが、作業の違いはかなり微妙。
三角形の先端を折り上げるようにして、詰め物がはみ出さないようにしています。


本ではさらにもう1種類の方法も載っていますが、微妙すぎるので省略。
パスタ・リピエーナの形は、最初の生地がどんな形をしていたかでベースが決まります。
カッペッレッティは四角い生地を三角に折ったもの。
次によくあるのは丸い生地を半月形に折ったもの。
これも二重閉じをするのですが、その方法が、とさかを作ると呼ばれるもの。
餃子の耳ですね。

このとさかの部分は変形が自由自在で、詰め物が飛び出さなければ、フォークで筋をつける、ねじって角にする、折り込むなどアレンジし放題。
フリウリのチャルソンズが知られています。

これはサルデーニャのクルルジョネスに似てますが、トルテッリーニ・ピアチェンティーニ・コン・ラ・コーダというパスタ↓

パスタ・リピエーナはシンプルだったことを思い出させてくれるアノリーニ・ピアチェンティーニ↓

これだけ奥が深いパスタ・リピエーナの世界でオリジナルの新作を作り出すのは、かなり大変なことのようで、新作パスタ・リピエーナの話題はあまり耳にしません。
そんな中で、頑張っているのが、ニーノ・ベルジェーゼのラビオローニ↓





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総合解説」 

パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ

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2020年10月4日日曜日

パスタ入門、パスタ・リピエーナ、アニョロッティ・デル・プリンはプリンが重要。

今日のお題はパスタ・リピエーナの地方料理です。

参考にしたのは
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナ・シリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ

イタリアのパスタ・セッカは家庭料理としては不動の位置を確立しましたが、その値段の安さからくるイメージのためか、アルタ・クチーナでは、未だに市民権を得ていない、というのは、グラン・シェフたちが度々語っていること。
その一方で、パスタ・フレスカは、ルネサンスの時代から、貴族の料理として受け入れられて来ました。
詰め物入りパスタの歴史を見ると、貴族の料理人が考え出した料理が地方料理として広まる例がほとんどです。

パスタ・リピエーナの一番シンプルなものは四角いラビオリやトルテッリです。
中でもピエモンテのモンフェッラートのアニョロッティ↓は有名です。
ちなみにこの料理はモンフェッラート公の料理人、アンジェリーノ通称アンジェロットが考え出したと言い伝えられています。
料理の語源もpiatt'angelot(アンジェロットの料理)がanolottoに変化したと言われています。


ピエモンテはフランスとゆかりの深いサボイア家の領地。
ピエモンテとリグーリアは山脈によって区切られてはいても、食文化の結びつきは強く、ピエモンテの食文化のルーツとも考えられている地方です。
さらにサボイア家はサルデーニャも手に入れたので、その料理の影響はサルデーニャにも及びました。
リグーリアのパスタ・リピエーナ、パン・ソーティ↓


という訳で、イタリアのパスタ・リピエーナの発祥地は、有史以前から軟質小麦が生えていたポー河沿岸の平野という説が有力。

北イタリアの気候が合った軟質小麦は硬質小麦と比べると、でんぷんの量が多く、グルテンを始めとするタンパク質、ミネラル、ビタミン、脂肪が少ない小麦です。パンにすると美味しくても、粘り気がありすぎて小麦粉と水を混ぜた乾麺には向きません。
そこで北イタリアの人たちは動物性タンパク質、卵を加えて腰のある生地にしました。
軟質小麦の麺はゆでても煮崩れないでアルデンテになり、チーズや肉のような動物性の食材ともよく合いました。やがてそれらの具を麺で包むようになったのは自然な流れでした。
パスタ・リピエーナの具はグラッソとマーグロがあると書きましたが、ある研究によると、ローマ時代に農業と羊飼いの文化が広まった地域ではリコッタなどのフレッシュチーズや野菜を具にしますが、ロンバルド族に支配された地域では牛と豚の飼育が義務付けられたため、パスタの詰め物にも牛肉や豚肉を使う、という説が発表れさているそうです。

マーグロの場合の味付けは、溶かしたバターとチーズであえるのが主流で、ルネサンス時代には甘味と辛味を混ぜた「ドルチェフォルテ」な調味が流行します。

軟質小麦の麺は薄く伸ばすことができたので具を詰めることができましたが、パスタ・リピエーナの麺にはもう1つ条件があります。具がはみださないようにしっかり閉じることができる、ということです。

具をしっかり閉じ込めるのは、パスタ・リピエーナの基本。
アニョロッティ・デル・プリンは閉じ込め方に工夫を凝らしたパスタ・リピエーナ。
つまむ(plin)という方法がこの料理のミソでした。

詰め物に触れないようにしながらしっかり強くつまむのがポイントですが、シェフごとにしっかり閉じるための小さな秘訣がある。
アニョロッティの女王ことリディア・アルチャーティシェフ↓

硬質小麦粉のサルデーニャのパスタ・リピエーナ。
硬質小麦粉のパスタ・リピエーナは閉じるのが大変。
クルルジョネス↓



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パスタ・レボリューション
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牛乳を1滴たりとも捨ててはならぬ、というベネディクト会の教えからグラナ・パダーノは生まれた。

今日は、9月号を訳していて、一番記憶に残った文章を紹介します。 その記事は、『クチーナ・イタリアーナ』のチーズについてのものでした。 まず、最初の一文がかっこよかった。 「イタリアには500種類のチーズがある。そしてそのトップはパルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノという...