2024年1月31日水曜日

dieta alpina。とうもろこし、じゃがいもの次はライ麦と栗。


dieta alpinaの話をしていますが、とうもろこし、じゃがいもときて、次は栗の話です。
(CIR11月号)によると、栗は“パンの樹”とも呼ばれるそうです。
フルーツが育たない山の上では、栗は1年のわずかな時期しか手に入らない貴重品。でも、高山でもとれて、下の渓谷から買い入れることができた栗は、例外でした。
(CIR11月号)には栗入りパンのリチェッタ(P.33)が載っていますが、山の上で、一番普及した穀物はライムギでした。ライ麦パンこと黒パンは、年に数回しか作らない祭りの食べ物でした。ピエモンテやヴァッレ・ダオスタでは、ライムギパンは冬の初めに、質素な穀物の粉に栗、種、ドライフルーツなどを加えて家庭で作る1日がかりの作業でした。
最初の数日はフレッシュのパンを食べましたが、その後は1年かけて納屋で乾燥させ、パンコットなどにして食べました。
想像してるより、かなり厳しい暮らし。

ライ麦パン

パン・コット

プーリアやカラブリアなど南イタリアの堅くなったパンを使う料理、“チーメ・ディ・ラパと卵入りパンコット”。

ヴァッレ・ダオスタのライ麦パン。
この地方のライ麦は別名ヴァッレ・ダオスタの小麦、標高1700mで育つそうです。でも、生産量は減っています。もっと栽培しやすくて収穫量が多くてお金になる作物に取って代わられてます。ベースの穀物が消えかかっているということは伝統の食文化も危機、ということで、多様性を保つ様々な方法が考えられています。

焼き栗と言えば、カルダッロステcaldattoste。

(CIR11月号P.15)の“カルダッロステのパンチェッタ巻き”は、単なる栗のベーコン巻きを超えた1品。

さらにP.33の栗入りパンは、栗入り羊羹のようなスペシャル感。

最後はトレンティーノ地方のじゃがいものトルタ。じゃがいもへの愛が止まらない。

山の上も美味しそう。


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2024年1月30日火曜日

標高3000mでも栽培できるじゃがいもは、山の上で最も普及した野菜。ニョッキのバリエーションは今も昔も南や中部イタリアでも盛んに作られている。片栗粉や抹茶入りニョッキも登場しています。

(CIR11月号)の山の食事dieta alpinaの記事(P.31)の解説をしています。
まずは山の料理の象徴、とうもこしの粉のポレンタの話でした。
次は、とうもろこし(18世紀後半)よりさらに後の18世紀から19世紀にかけて、新大陸からヨーロッパの山の上(標高3000m)に届いた食材、じゃがいもが主役の料理、ニョッキです(P.23)。
ちなみに、富士山より高いこれだけの高地で栽培できたものは少ししかありませんが、高地でもっとも普及した野菜はじゃがいも、もっとも普及した穀物はライムギでした。
ニョッキは粉と水をこねた生地をちぎって熱湯でゆでた料理です。
次第に様々な形になり、材料も、小麦、とうもろこし、そば、パン、リコッタなど、様々なものが使われました。ピエモンテ、ヴェネト、フリウリ、エミリア地方などが発祥地と考えせれていますが、名前は地方によって違い、トレンティーノではカネデルリ、サルデ―ニャはマッロレッドゥス、中部イタリアではストロッツァプレーティ、リコッタのニョッキ、セモリーノのニョッキなどが普及します。
味付けも地方によって違い、ピエモンテではフォンティーナとバターや肉の煮込みの煮汁ヴェネトでは肉のラグー、フリウリではカンディート、シナモン、ココアパウダー、溶かしバターとパルミジャーノ、トマトソース、きのこのラグー、トリエステではドライプラム、マルケではラグーやサルシッチャ、シチリアのエリチェでは硬質小麦粉入りのニョッキにアーモンドとバジリコのソースをかけるなど、地方色豊かに様々なバリエーションが誕生しました。

ちなみに、『木曜はニョッキ

という本のローマ在住の作者は、「私にニョッキを教えてくれたピーナおばあちゃんは、毎週ニョッキを作ったが、木曜日ではなく、たいてい日曜日だった。
日曜日は家族全員が集まってご馳走を食べる日で、一番簡単なメニューがニョッキだったのだ」と書いています。
ちなみにこの言い回しはローマの伝統で、木曜はニョッキ、金曜は魚、土曜はトリッパと続きます。家族全員のためにおばあちゃんが考え出した木曜の料理は、簡単であると同時に経済的であることが条件。金曜はキリスト教徒が肉食を禁じられた日。トリッパは経済的だけどボリューミーな食材、内臓。日曜日は家族そろってご馳走を食べる日。
つまりニョッキはどう考えてもご馳走じゃなくて、むしろ経済的な1品。戦後の食糧難の時代に生まれた、なんともスマートなスローガンでした。

定番のニョッキはじゃがいものニョッキ。記事ではさらに、“卵入り”、“マッシュポテトのニョッキ”、“片栗粉入りニョッキ”といった、とても今時のニョッキも紹介しています。


地方料理の代表的ニョッキ、“トレンティーノ地方のカネデルリ”。残り物で作る素朴なニョッキ。ブロードをかけるのが一般的だが、セージバターをかけてもよい。



トスカーナのニョッキ、ニューディGnudiは皮のないラビオリのようなリコッタとほうれん草のニョッキ。


カボチャが名物のマントバでは、カボチャのニョッキが名物。


ニョッキ・アッラ・ロマーナはセモリーノのニョッキ。

ニョッキ・アッラ・パリジーナは、ビニェと同じ材料、同じ製法で作るニョッキ。パリ風という名前からして何かを期待させるおしゃれ感。

ニョッキ・アッラ・ソレンティーナは、南イタリア版ニョッキ。


動画は見つからなかったけど、上の本『ジョヴェディ・ニョッキ』で紹介していたマッチャのニョッキは、かなりモダンで美しい1品でした。

片栗粉入りニョッキ。

なんだかニョッキも進化してるんですね。

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2024年1月29日月曜日

チーズのバローロことビットは、ビット・ストリコから今ではストリコ・リベッレという名に変わったロンバルディアの豊かな乳製品を象徴するチーズ。

ポレンタ・コンチャ。
山のイタリア料理を代表する料理。
チーズとバター入りの熱々のポレンタは農民の伝統食。

(CIR11月号)のリチェッタによると、チーズはビット・ジョーバネとフォンティーナ入りでした。
ビットとは、“チーズのバローロ”と呼ばれるチーズ、ということを知りました。
つまり、バローロのように長期間熟成させる、ということです。

そもそもこのチーズ、ビットはビット・ストリコと呼ばれ、現在では“ストリコ・リベッレSTORICO RIBELLE”という名前になっています。

下の動画の主人公のビットの生産者は夏はずっと家にいるから海には行かないよ、とさらっと言っています。小さなチーズだけど世界的な製品で、生産者の犠牲の上に出来てるんだそうです。小さなことが蓄積されて偉大なチーズが生まれると語る、根っからの山の男です。

ストリコ・リベッレはロンバルディアはヴァルテッリ―ナ地方のチーズ。
ヴァルテッリ―ナValtellina。

ビットは保存期間が長い、マイルドな味のチーズで、テーブルチーズとしても、おろして料理に加えるチーズとしても使えます。
古代ローマ人に追われてヴァルテッリ―ナの山の上に逃げたケルト人が考え出したチーズと言われています。山の財産、ミルクを保存するために考え出されました。牛乳だけでなく、オロビカ種という消滅しかかった山羊のミルクも10~20%加えます。熟成期間が10年以上と長い世界的にも貴重なチーズです。
ヴァルテッリ―ナの名物料理は“ピッォッケリpizzocchfi”、最適のワインはヴァルテッリ―ナDOC。
オロビカ種の山羊。


ピッツォッケリpizzocccheri。そば粉入りの太いタリアテッレ。

質素な貧しい料理であるピッツォッケリを特別な料理にするポイントは、ヴァルテッリ―ナ産の上質の食材、中でもバターとチーズです。ん?これはポレンタの時にも言ったような・・・。
(CIR11月号)の《山の食事》の記事によると、そばは十字軍によってヨーロッパに伝わった。
イタリアの山の食文化は、山脈でつながる他の地方や国の文化との交流もあった。
酪農業は近隣の国々から影響を受けた。現在アルプス地方で盛んに飼育されているブルーナ・アルピーナという品種はスイスのシュウィーツという州の品種、16世紀初めのベルガモの羊飼いはレンネットの使用方法をスイス西部の羊飼いから学んでアルプス地方全域に広め、フォンティーナが生まれた。

ブルーナ・アルピーナ。


さらにスイスのエンガディン地方のパティシエは、まずベネチアに移り住み、そこからイタリア各地に広まって、ジェラートなどを広めた。

ベネチアのパスティッチェリーア。

さらに、山の草を使ったアマーロなどの蒸留酒は、サボイア家の修道院のフランス人修道士たちが造り、エルミタージュやトリノに運ばれて、オーストリアやスイスへと伝わった。

アマーロ。

ヴァルテッリ―ナDOC、DOCGは、別名アルプスのネッビオーロ。


アルプスの食文化も、十字軍やロシアの貴族、スイス人パティシエなどとつながっていた。

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2024年1月27日土曜日

放牧された牛のミルクと鍋選びがポレンタ・コンチャのポイント。チーズは搾乳する場所のすぐ近くで作るので、ほとんど移動しない。高原の状態が直接味に表れるので、移動距離の短さが品質のよさの証になっている。


今日のお題はポレンタ・コンチャです。
ベースはポレンタですが、チーズとバター入り。
チーズとバターは山の料理の宝。
(CIR11月号)の記事(P.20)では、放牧された牛のミルクの選び方が、この料理のポイントとあります。
記事で選んだのは、花や野草、干し草を食べるペッツァ―タ・ロッサ種の牛の手搾りのミルクの表面に分離した脂肪分から、昔ながらの手作業で作り、木製の型に詰めるバター。
知ってるバターとは全然別物のような気が・・・。

山小屋のバター。

今時ユーチューバーの酪農業1日体験とバター造り。

早朝の作業でも、牛に話しかけながら、なんだか楽し気な手作業の乳搾り。この地方の人は誇らしげにうちのミルクは手で絞る、と語ります。

ポレンタ・コンチャのために選んだバターは、コルティーナ・ダンぺッツォのミシュラン1つ星のリストランテがあるアグリトゥーリズモ、サン・ブライトで造っているもの。200ℓの牛乳から3㎏しかできない貴重品。

サン・ブライトのシェフ、リッカルド・ガスパリ。

子ルティーナ・ダンぺッツォのアグリトゥーリズモ、サン・ブライト。

ペッツァ―タ・ロッサは、そのミルクの質の良さからイタリアの山を代表する牛として世界的に知られている。
ペッツァ―タ・ロッサ。

ポレンタ・・コンチャのチーズはビットとフォンティーナ。
ビットは、オロビカ種の牛乳に少量のヤギ乳を加えて6月1日から9月30日の間だけ造られるチーズ、ビット・ストリコ・リベッレBitto Storico Ribelle。
チーズは搾乳する牧場のすぐ近くで作るので、ほとんど移動しない。熟成は長いもので10年に及ぶというスペシャルなチーズ。チーズのバローロと呼ばれています。
ビット・ストリコ・リベッレ。

ビット・ストリコ。

チーズのバローロ、ビット。
もう少し知りたくなりました。

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2024年1月26日金曜日

ポレンタ・コンチャはイタリア北部の傑作で人気の料理

イタリア料理は地中海料理だけでなく、山の料理とセットで1つなのでした。
山の料理を象徴するのは、ポレンタ。
スペイン人によって新大陸からイタリアに伝わって、歴史が3世紀ほどしかないとうもろこしは、山の食事に大革命をもたらしました。
とうもろこしの粉は、グルテンを含まず、たんぱく質は小麦粉より多いと、農家の主食になりました。
とうもろこし(maisマイス)は、イタリア語ではgrano turco(トルコ小麦)とも呼ばれますが、これは勘違いからつけられた名前だそうです。
ポレンタは粉の細かさや水の量によって堅さが変わります。
とうもろこしとそば粉など、2種類の粉をミックスすることもあります。

ポレンタは“テーブルの金”とも呼ばれ、その黄色い色も特徴ですが、
フリウリやベネトには白いとうもろこしの粉もあります。


とうもろこしはベネトなどイタリア北~中部に広まりました。
ベネトのチケッティの定番、バッカラ・マンテカートはポレンタかパンにのせます。
白いトウモロコシは黄色いものと比べてやや風味が強く、ほろ苦さがやや少ない。


トレンティーナ地方のストーロという渓谷の粉は最高と言われています。
とうもろこしの粉には、皮ごと挽いた全粒粉(インテグラーレ)、皮を取って粗く挽いた粗挽き(ブラマ―タ)、細挽き(フィオレット)などがあります。
ブラマ―タは40~50分煮る粉。煮るには高温を保ち、温度が均一に伝わる銅鍋が最適と言われています。また、鍋肌にかなり厚くこびりついてお焦げができ、これもポレンタの大事な要素になっています。

ストーロのポレンタ祭り。

トウモロコシの粉各種

アルプス地方でもっとも人気のポレンタはヴァッレ・ダオスタの料理として知られるポレンタ・コンチャ。(CIR11月号)のリチェッタはP.21。簡単に言うならチーズとバター入りポレンタ。農民の伝統食でカロリー源。
アルプスとまでは言わないまでも、新鮮な牛乳がたっぷり手に入る場所でなら、食べてみたいですねえ。
ポレンタコンチャ。

(CIR11月号P.20)のポレンタ・コンチャの記事は、ポレンタ・コンチャのための食材を厳選すると、何を選ぶか、という記事。
まず、とうもろこしの粉。
ベルガモに17世紀から存在するという赤いとうもろこしの粉を選んでいます。
こんな聞いたこともないような地元の逸品を、緑肥で栽培するような農家を探し出しているんですね。


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2024年1月25日木曜日

新大陸から伝わったとうもろこしは、スペイン人の地主が北イタリアに伝えた。北イタリアに南米の新しい産物が広まったきっかけは飢饉。それまでは豚の餌にしていたが、生きるためには食べる。


今日のお題は、高山の食事のシンボル、とうもろこしの粉のお粥、ポレンタです。


昔はpaioloと呼ばれる大鍋に入れたとうもろこしの粉を常にかき混ぜながら40分煮込んで作りました。

今時のポレンタはインスタントポレンタの粉や圧力鍋を使ってあっという間にできる。

かき混ぜるのも自動。

古代ローマ人は日常的にポレンタを食べていましたが、それはラテン語で“粥”という意味の“プルスplus”て呼ばれていました。水と粉と火があれば手軽に作ることができるプルスは、元々はソラマメ、チェーチ、大麦、ファッロ、小麦などから造られていました。
プーリアの美味しい名物、ファーヴェ・エ・チコーリアは乾燥ソラマメのクリームとチコーリア。


そこにとうもろこしが中央アメリカら伝わって、鍬も使わずに耕すことができて、たった3か月で収穫できるとうもろこしは、どんな食物よりも豊かに実り、一国の国民丸ごとの腹を満たすほどでした。ヨーロッパに渡ってから約3世紀弱しかたってない食べ物が、スペイン人の地主たちによって山の上や南イタリアにも到着して栽培されて、さらに料理まで考え出されてきました。
全然山の上じゃないけど、なぜかナポリにも広まったポレンタ。
スカリオッツィ・ナポレターニScagliozzi napolenati。

とうもろこしはイタリア北部や中部に広まって、民衆の主食になりました。

18世紀には新世界からじゃがいもが伝わりました。それまではじゃがいももトウモロコシもない世界で、山の上でどうやって暮らしていたのか。
じゃがいもは寒さに強く、冬でも長期間保存できました。山の土壌に適合して、栽培されるようになりますが、ハンセン病を引き起こすという偏見から、簡単には受け入れられませんでした。ちなみにとうもろこしは、ナイアシンが欠乏するペラグラ病を引き起こしました。

じゃがいもは主に豚の餌として利用されていましたが、大飢饉が起きて、山の住民は、じゃがいもで飢えをしのぎ、徐々に受け入れられるようになります。とうもろこしも、寒さに強い品種が開発されて北部へと広まっていきます。標高2000mまではとうもろこしを栽培することができました。じゃがいもの原産地は標高3000mあります。

大飢饉で豚の餌まで食べるほど困った山の住民は、とうもろこしゃじゃがいもを食べました。次第においしく食べるリチェッタが考え出されます。

北イタリアのアルプス地方でもっとも人気のポレンタは、ポレンタ・コンチャです。
この話は次回に。


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2024年1月24日水曜日

秋は、バカンスの浮かれた思い出からきっぱり決別する季節。地中海の住民が、冬にそなえて生き残ることに本気になる季節。キリギリスがアリに変身しています。

(CIR2012年11月号)のリチェッタの解説です。
今までのテーマは、各地の特産物を使った料理(9月号)とか、各地の伝統料理をモダンにアレンジ(10月号)とか、バカンスで訪れたビーチの名物や名物料理などと、バカンスの楽しい思い出に浸りきっていて、はたで見てても、いつまでも引きずってるなあ(笑)という感じでした。
それが、11月号のテーマは、「残り物を出さない料理」ですよ!
何が起きたんだ、と思いますよね。でも、ちょっと落ち着いて考えれば、分かります。
どうやら、イタリアに、秋が訪れたんです。
それにしても、イタリアで秋が訪れるというのは、寒くなって紅葉が始まる、なんていうこと以上の変化、なんですね。
それがよ~く分かったのは、今月の(CIR)の記事、《山の食事》を読んだ時でした。

イタリアの主役が海から山に移るこの季節。
地中海地域のイタリアの生活圏は、アルプスの高山地帯まで、上ります。

アドリア海。


アルプスの冬。


海も山も美しいけど、住むなら、やっぱり海辺。でも、きれいだなあ、なんて言ってるようじゃ、まだ甘い。冬の山の生活は、命かかってます。
残り物を出さない料理を笑う人は、残り物に泣くのです。
大げさと思ってる場合じゃないです。真剣に取り組まなくては。
アリがキリギリスに変身しようとしています。

(CIR)の今月のリチェッタには、基本的には切り落とし野菜などを有効利用した、もったいないの精神に満ちた、冬の山の暮しを乗り切るための心構えが詰まっています。
でも、まずは《山の食事》の記事を読んでください。イタリアの山で冬を過ごすために、どんな食文化が生まれたのかを見てみましょう。

ロンバルディアの山の食事。ディエータ・アルビーナdieta alpina(山の食事)はユネスコの無形文化遺産にノミネートされています。アルプス周囲の7か国がパートナー。


ちなみに地中海の食事はdieta mediterraneaこれも無形文化遺産。



厳しい気候と痩せた土地、物流が困難な地域であるアルプスの食事のシンボルは、牛乳、ポレンタ、野菜のミネストラ。渓谷ごとにわずかな食材で作る本質的で個性的な自然との結びつきを象徴する料理。
地中海料理に欠かせない温室で育てた野菜、柑橘果実、オリーブオイルはありません。

まず、なんと言ってもポレンタです。



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2024年1月23日火曜日

(CIR11月号)発売しました。

(CIR11月号)発売しました。


11月号にもなると、イタリア料理の世界から、賑やかで楽しかった海の気配はきれいさっぱり消え去りました。つまり、イタリア人の中では、バカンスのシーズンは終わりです。
そしてやってくるのが山の季節です。
11月のリチェッタのテーマは、なんと“残り物を出さない料理”です。
アリとキリギリスじゃないけど、キリギリスも賑やかに羽根を震わすのをやめて、冬を越す準備を始めます。
スゴイ切り替えの早さと強烈さ。冬はさすがに準備しないと越せない。命かかってますもんね。
記事のテーマは、“栗”、“ポッロ・アッラ・マレンゴ”、“チーズ入りポレンタ”、“フィリンデウ”、“ニョッキ”、“スーゴと肉料理”、“山の食事”、“マントバ”、“ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ”と、山と地中海が絶妙な割合でミックスされてます。

山の食事。

地中海でのバカンスもいいけど、アルプスでチーズ造るのもいいかも。
11月号を読み込む頃には、あなたもアルプスに移住できる、か・・・。

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2024年1月21日日曜日

国境とアルプスとベネト平野とカルスト台地とアドリア海に囲まれたフリウリ・ベネチア・ジューリアは、東の端だけど興味が尽きない州。

フリウリ=ベネチア・ジューリアのワイン、カルソの話をしてますが、フリウリの料理なんて、実はなにも知らないけど、ちょっと面白そう。

フリウリ=ベネチア・ジューリア。

フリウリの地理。イタリアで一番東にある州。北がフリウリで南がベネチア・ジューリア。北は高い山、南はべネト平野と海(アドリア海)にはさまれています。北はオーストリア、東はスロベニア、西はベネトという国境地帯。公共語はイタリア語、フリウリ語、スロベニア語、ドイツ語の4つ。山は寒さが厳しく、平野は大陸性気候で、沿岸部は温暖、夏は暑い。州都のトリエステは強い北東の季節風“ボーラbora”が吹き、土壌はカルソと呼ばれるカルスト台地。ぶどうの栽培が盛んで上質のワインの産地として知られる。牛や豚の飼育も盛んで、サン・ダニエーレの生ハムなど、サルーミの名物も多い。

サン・ダニエーレの生ハム。


ギリシャとベネチアを結ぶ中間点のフリウリは、ワインでつながっていました。
きのうの料理、フリウリの代表的料理、フリーコは、残り物のチーズを有効利用する料理で、フリウリの一番北の地方、カルニアの山間部発祥の料理。

カルニア地方。

観光業も盛んです。
個人的にエキゾチックで大好きな州。

フリーコにはじゃがいもなしや玉ねぎなしなど、数多くのバリエーションがあります。そもそもフリーコ自体が、カルニア地方の代表的料理チャルソンズcjarsonsのバリエーションの一つだと言われています。必ず添えられるのがトウモロコシのポレンタ。薄く、カリッと焼くタイプは、チーズだけで作ります。モンタジオのフォンドゥータに森のきのこのミックスを添えるのが定番。

チャルソンズ。

動画で見る限りはラビオリの一種です。具は手に入る様々なものを使いますが、ソースは溶かしバターと硬質リコッタ。山の暮しから生まれた料理。ちなみにイタリアのラビオリは、閉じ方が色々あります。というか、イタリアの詰め物入りパスタは、閉じ方がポイント。これは半円形の生地に具をのせて半分に折るメッザルーナmezzaluna形。ラビオリの閉じ方の中でも、一番シンプルなもの。
ちなみにこの料理を再発見して広めたジャン二・ゴゼッティシェフは、イタリア地方料理書、『リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』

を書いた『クチーナ・イタリアーナ』誌の元編集長、アンナ・ゴゼッティさんのお父さん。
(CIR10月号のカルソの記事)で紹介していた料理は、“フリーコ”と“ズッキーニとジャマールチーズのニョッキ”でした。
ズッキーニのクリームとニョッキは、よくあるリチェッタの用ですが、問題はジャマールチーズ。
造り手らしき酪農場のhpによると、どうやらこの酪農場が作りだしたオリジナルチーズのよう。しかも、強烈な味と香りが特徴で、どうやらかなり特殊でくせのあるチーズ。ジャマールとは、カルスト地方独特の地形から形成される洞窟のことで、その中で熟成させたチーズだそうです。

お勧めのカルソワインはマルコ・タヴカルのマルバジーア。

ここはイタリアのはずなのに、すごいアウェー感。マルバジーアは、Marvagiaじゃなくて
Malvazijaだって。クロアチア語らしい。

カルソのストラーダ・デル・ヴィーノ。

なんだかポアロかホームズでも登場しそうなミステリアスでロマンチックな場所。

(CIR11月号)は1月23日発売予定です。


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