ピッツァイオーロの話の流れから、今日の料理は“ビステッカ・アッラ・ピッツァイオーラbistecca alla pizzaiola”です。
(CIR10月号P.33)のリチェッタを見ても分かる通り、肉を焼いてトマト、にんにく、オレガノ風味のスーゴに入れてなじませた料理。
トマト、にんにく、オレガノと言うのは、ピッツァ・アッラ・マリナーラの定番調味。そしてピッツァ・アッラ・マリナーラはナポリピッツァの基本のピッツァ。
というわけで、これはナポリのピッツァと深いつながりがある料理です。
普通はカルネ・アッラ・ピッツァイオーラと言い、肉料理ではあるけど、何の肉か、詳しく特定はしていません。
でも、このリチェッタでは、“ビステッカ”つまり牛肉のステーキだとはっきり言っています。
つまり牛肉とトマト、にんにく、オレガノ、EVオリーブオイルだけで作る料理です。
イタリア料理でビステッカと言えば、誰もが思い浮かべるのがトスカーナのキアニーナ牛のステーキ。
でも、よく考えてみればこれはトスカーナの産物。はたして、ナポリのピッツァイオーロは何の肉でビステッカを作るのでしょう。というか、ビステッカというもの自体がトスカーナの料理で、ナポリでは、薄~い肉を使います。
肉は薄くスライスしたランプ。1枚100g。
食材の選び方を紹介する(CIR)の記事では、ピエモンテ牛を使っています。
ピエモンテ牛は巨大になる遺伝子を持つ牛。3~4か月の授乳期の後、子牛は干し草と季節の穀物で育ちます。肉が柔らかい月齢20~24ヵ月で屠畜され、15日寝かせます。
ピエモンテ牛。イタリアの中ではかなり高く評価されている牛肉。
今月のナポリの牛肉のピッツァイオーラには、ミラノの一流肉屋L'Annunciata Macelleriaから仕入れたピエモンテ牛のランプが使われていました。
ミラノのランヌンチャータ。ミラノの中心部にあって、プロだけでなく、グルメな一般市民にも愛されている店。ミラノの肉屋の人気商品は、パン粉をまぶしたコトレッタ・ミラネーゼ用の肉など。
ミラノの肉屋のピエモンテ牛がナポリのピッッァイオーラになっていると考えると面白いけど、20年前の開業当時と今では消費者の需要はかなり変わっているようで、その話も面白いです。20年前は肉にチーズをはさむのが人気だったけど、今はカルパッチョやタルタル、ハンバーグなどのリクエストがあるようです。それに従って売れる肉も完全に変わったそうです。
次はトマトです。ナポリ人はトマトに世界一こだわりのある人たちです。今回選び出したの葉、エミリア・ロマーニャで栽培されて7~9月に収穫されたミニトマトのパッサータ。の無添加の瓶詰ボローニャで1978年創業の無添加農業のパイオニア、アルチェ・ネロのダッテリーニです。
ボローニャのアルチェ・ネロAlce Nero。
手つかずの自然が残るマレッティ島。
そしてオリーブオイルは、カラブリアの注目の農園、ロベルト・チェラウド農園のオイル。
最初は超シンプルな料理に見えたけど、ピエモンテの牛肉からカラブリアのオリーブオイルまで、イタリアには魅力的な食材が国中にあるんですね。近所の食材を使うだけではなく、国中にアンテナを張り巡らしているシェフは大変そうだけど・・・。
改めて、ナポリ出身のシェフが作る肉のアッラ・ピッツァイオーラ。
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