2020年2月16日日曜日

シチリアにはすべての鍵がある


シチリアの伝統料理を集めたミニ料理書、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ『シチリア・イン・ターヴォラ』
には、イタリアの南の島をイメージするパスタがたくさん載っています。
あまりにどれも美味しそうなので、よく考えてみたら、シチリアは、イタリア料理とパスタにとってとても重要な地でした。

地方料理のパスタなら、
ディチェコの『パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア

イタリア各州の乾麺のパスタについて語りながら、各州を代表するシェフがパスタのリチェッタを披露している本です。
シチリアは、どんなことが書いてあるでしょうか。

シチリアについて、
ゲーテは『イタリア紀行』の中で、そこにはすべての鍵がある、と書いています。

ゲーテがイタリアを旅した時の紀行文は、イタリアを訪れる外国人だけでなく、偉大な芸術家の目にイタリアはどう見えているのか気になるイタリア人にも大人気で、何かと引用されます。
シチリアにはすべての鍵があるというのは有名な一文で、多くの人が鍵を求めてシチリアにやってきます。

世界中が惹かれるイタリア

“すべての鍵がある”シチリアには、パスタの鍵もありました。
シチリアは、地中海の食文化がアラブの食文化と出会って奇跡が起きた場所です。
“マッケローニ”が生まれて以来、島の農業や漁業や羊飼いの産物を活かし、遠くの文明やシチリアの民衆を感じさせるパスタシュッタが作られてきました。
イワシのパスタのように最も貧しくて質素で、シチリア以外にはどこにもないものから、スペインとイスラムの文化の影響を受けて誕生し、カターニア生まれのオペラ作家、ベッリーニに捧げられて島の外へと知られていった“”パスタ・アッラ・ノルマpasta alla Norma”、
ちなみにこのパスタは、音楽に捧げられたのではなく、料理の極意(ノルマ)を知り尽くした主婦に捧げられたという説もあります。
“パスタ・コン・イ・ブロッコリ・アッリミナーティpasta con i broccoli arriminati”は、揚げなすとツナのスパゲッティかジーティ
“パスタ・ナッシャータnasciata”(は、パントリーにあるなす、グリーンピース、子牛のスーゴ、卵、チーズなどの)パスタ。
パスタ・ムッディカpasta muddica”はパンのクラムのパスタ。
作家のランペドゥーザで知られる高級なマッケローニのティンバッロなど、パスタにはどの料理にも長い歴史があります。
シチリア料理はケタ外れで独創的で、伝統的で、優美。

ノルマ風パスタのこんな話を聞くと、どんなパスタだったか気になります。
チッチョ・スルタノシェフのリチェッタでどうぞ。

パスタから手打ちの力作。


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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア
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2020年2月15日土曜日

オーブン焼き以外には使えないパスタ、アネレッティ

きのう、シチリアのパスタ、アネッレッティのオーブン焼きのリチェッタを訳しましたが、忘れていたことがありました。
パスタに独特のこだわりを抱くシチリア人ならではのことがあったのです。
このパスタ、アネッレッティはオーブン焼きのために考え出された形のパスタで、普通のパスタソースをかけて食べることはしない、のでした。
だから、たまたま手に入ったからと言って、トマトソースをかけて食べたりしないように。
まあ、普通はしないよね。

それにしても、このあたりの頑固さや融通のきかなさが、シチリア料理がいまいちマイナーな理由でしょうか。
それでは今日は、『“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア』
のリチェッタをどうぞ。

イルダッツァのパレルモ風ティンバッロ IL TIMBALLO PALERMITANO DI ILDAZZA
リチェッタの説明文は・・・、
リチェッタを提供したイルダッツァさんは、世界一働き者でいい人なのですが、厳格なシチリア西海岸(パレルモ)派で、リチェッタを少しでも変えると、それは東海岸の作り方で、西海岸ではそんな作り方はしないと抗議したそうです。
作りやすさなどは考慮せず、ひたすらパレルモ風にこだわるとこうなります。

よそ者には理解できない、パレルモの人の譲れないプライド。

アネッレッティのオーブン焼き

シチリア東部

シチリア西部

パレルモ風ティンバッロ
材料8~10人分

アネッリーニ・・1kg
ブラザート用牛肉・・1kg
トマトソース・・1ビン
トマトペースト・・大さじ1(量はソースの濃度による)
厚さ2~3cmのカチョカヴァッロ・フレスコのスライス(小角切りにする)・・3枚
おろしたカチョカヴァッロ・スタジョナート・・1/4個
揚げ油(ピーナツ油)
モルタデッラの薄切り・・9~10枚
粒黒こしょう入りサラミ・・12~15枚
縦に厚さ1~2cmにスライスしたなす・・6~8枚
塩、黒こしょう
EVオリーブオイル、パン粉
玉ねぎ、にんにく、ローリエ

・玉ねぎ、にんにく、ローリエ数枚を油大さじ3でソッフリットにし、肉を入れて表面全体を焼く。
・トマトソースとトマトペーストを加え、最低2時煮る。
・その間にナスは皮をむいて縦に厚さ1cmにスライスし、塩をしてザルに入れ、重石を乗せてアクを出す。
・洗って水気をふき取り、熱した油で揚げる。
・シートにとって油を切る。
・肉を包丁で刻み、ソースに加えて10分煮る。必要なら水少々を加える。
・底の外せる型に油を塗ってパン粉をまぶす。
・底と側面を揚げたナスで覆う。
・アネレッティを硬めのアルデンテにゆでてスーゴと混ぜる。
・型にアネレッティ、チーズ、モルタデッラ、サラミを重ねながらカチョヴァッロを散らす。パスタで覆ってナスで閉じる。200℃のオーブンで20~30分焼く。
・粗熱を取って型から出す。


次はタルト・生地で覆う山猫風ティンバッロ。
これでもかなり簡略化したバージョン。
 TIMBALLO DI MACCHERONI
材料6~8人分
パスタ・フロッラ
小麦粉・・300g
バター・・125g
砂糖・・125g
卵・・1個+卵黄2個
マルサラ
塩・・少々
卵・・1個

詰め物
太いマッケローニ・・600g
トマトソース・・200g
ベシャメル・・300g
ゆでたグリーンピース・・200g
鶏のレバーと内臓・・300g
乾燥ポルチーニ・・100g
カチョカヴァッロ・・150g
ハムの細切り・・150g
サルシッチャ・・100g
バター・・大さじ1
マルサラ
ローリエ・・2枚
塩、こしょう

・材料をこねすぎないでパスタ・フロッラを作り、覆いをして冷蔵庫に入れておく。
・べシャメルとトマトソースを作る。
・鶏レバーをバター少々とローリエで炒める。ぬるま湯で戻したポルチーニを加え、マルサラをかけて数分煮る。
・大きなボールでサルシッチャ、ハム、カチョカヴァッロ、グリーンピースを混ぜる。冷めたレバーのラグーを加える。
・パスタ・フロッラの3/4を直径25cm、厚さ1cmの円形に伸ばし、スプーンの背で抑えながら底取れ型に敷き込む。
・マッケローニを固めのアルデンテにゆでて水気を切り、トマトソースとベシャメルであえる。
・型にパスタを詰め、表面をパスタ・フロッラで覆う。縁を閉じ、好みの飾り付けをする。溶き卵を塗り、180℃のオーブンで約1時間焼く。

パスタ・フロッラで覆われたこんなに見事なティンバッロは、この本以外では見たことないです。(P.44~45)
でも山猫のティンバッロはたしか数段重ねで、もっと豪華でした。

ルキノ・ヴィスコンティ監督の『山猫』トレイラー


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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
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2020年2月14日金曜日

シチリアのパスタのほぼ最終形態、アネッレッティのオーブン焼き

初めて聞いたシチリアの出版社の、小さな小さなシチリア料理書が、なかなかおもしろいんですよこれが。

ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ『ターヴォラ
小羊の腸の炭焼きなんて、羊飼いが近所にいないと作れない料理に始まって、専用の特殊な道具を使うクリスマスのドルチェで終わるあたりは、
シチリアの住民以外は完全に置いてけぼり。
でも、どの料理もやたら美味しそう。

今日はパスタです。
まず、シチリアのパスタの象徴と言えば、イワシのパスタですが、メカジキのスパゲッティやカヴァティエッディもあります。
さらに、ウニ、イカスミ、アンチョビとパン粉、ボッタルガ、ドライトマト、ソラマメとリコッタ、アネレッティのオーブン焼き、ティンバッロ、ズッキーニのフリット、トラパニ風クスクス、エビ入りペストと、ノルマ風しか思いつかなかった自分がなさけない。

私にとってシチリアのパスタと言えば、その派手な見栄えと『山猫』で有名な貴族の料理、ティンバッロなのですが、この本のティンバッロは庶民的で家庭的で、一番定番のマカロニのティンバッロ。

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア』には、アネッリーニのパレルモ風ティンバッロやお米のティンバッロも載っています。
マカロニのティンバッロもあるのですが、マカロニを包むタルト生地の飾りが豪華で、すごく貴族風です。

貴族で思い出しました。

プラネタも貴族の家系でした。その秘伝のリチェッタを集めた

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ

のティンバッロも、ゴージャスです。

ラグーのアネッレッティのティンバッロについては、こう書いてあります。

アネッレッティのティンバッロは、我が家に取っては復活祭の料理だった。アネッレッテイはシチリアの外ではめったにお目にかからない硬質小麦粉のパスタで、オーブン焼きにすると美味しい。
“ティンバッロTimballo”はアラビア語のTimallaが語源で、シチリアの平らな筒型の太鼓(ティンバレス)のこと。
表面はパン粉で覆うが、私たちは、厚いのは好きではなく、薄くして軽く仕上げた。

というわけで、シチリアのパスタ、まずはアネッレッティ。

復活祭の料理という時点で気づくべきでした。
復活祭はとびきりのごちそうを食べる日。
手が込みまくった、シチリアのパスタの最終形態ですよね、これ。
でも、表面がパン粉なので、まだラストの一歩手前。
ちなみにこれで6人分。

真の最終形態は、タルト生地で包んだこのタイプ。

それでは、『シチリア・イン・ターヴォラ』の
アネッレッティのオーブン焼きAnelletti al fornoを訳します。
材料/4人分
アネッレッティ・・600g
牛と豚の合い挽肉・・500g
玉ねぎ・・1個
にんじん・・1本
セロリ・・2本
イタリアンパセリ・・1房
クローブ・・2個
ローリエ・・2枚
トマトペースト・・250g
おろしたペコリーノ
フレッシュのグリーンピース・・250g
白ワイン・・1/2カップ
ベシャメル・・1/2L
パン粉
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・玉ねぎ、にんじん、セロリ、イタリアンパセリのみじん切りを油でソッフリットにする。
・挽肉を加えて強火で炒め、ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・ローリエ、クローブ、ぬるま湯少々で溶いたトマトペースト、塩、こしょうを加えて煮る。
・グリーンピースをゆでて煮上がったラグーに加える。
・ベシャメルも加える。
・アネッレッティをアルデンテにゆでて水気を切り、ラグー(仕上げ用に少量別にする)とおろしたペコリーノであえる。
・オーブン皿に油を塗ってパン粉をまぶす。アネッレッティを入れて取っておいたラグーで覆う。
・ペコリーノと小片にしたバターを散らし、180℃のオーブンで約30分焼く。
表面にしっかり焼き色がついたら焼き上がり。

これはなすを省略して動画よりもっとシンプルにしてあります。

ラグーでパスタをあえてオーブン焼きにすると、ボローニャ風ラザーニャですが、揚げたなすとパン粉で包むと、あっという間にシチリア風ですね。
次回はさらにタルト生地で包む貴族料理風リチェッタを訳してみます。

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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
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2020年2月13日木曜日

ピッツァでもフォカッチャでもないシチリアのスカッチャ

きのうちょっとだけ紹介したシチリア料理、今日はリチェッタを訳そうと思ったのですが、いきなりつまづきました。
1品目のスティッギオーレの材料、
小羊の腸・・4m
誰が作るんだって話です。

スティッギオーラstigghiola

これはシチリアの歴史的4大市場の一つ、ブッチリアの映像。
初めてシチリアに行ったまだ若かりし頃、この市場がやたら怖くて、それ以来、市場がトラウマです。
チャンバーになった今は平気ですが・・・。

とにかく、スティッギオーレのリチェッタが知りたい人は、
シチリア料理書の隠れた名作、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『ターヴォラ』を読んでください。

次は誰でも作れそうな料理、ブロッコリーのスカッチャータです。
スカッチャータscacciata

動画でも言っているように、シチリアの人にはとても日常的な料理ですが、島の外での知名度はいまいち。
具はブロッコリー、ほうれん草、カリフラワーなど。
この本は、美味しそうな料理ばかり載っているのですが、何しろ格安なので、あまり詳しい説明はありません。
そこで、写真も説明も素晴らしい本、

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの
料理の名前はスカツチェscacce(フォカッチェfocacce)。

スカッチャと書いてフォカッチャと読むのか。
すとんと納得。

そしてこうありました。
「ピッツァでもフォカッチャでもないが、イタリア中に無数のバリエーションがある。
ルーツはもちろんイタリアだ。
詰め物や生地の厚さ、形が場所によって変わりながら国中に広まった。
名前もパスティエーリpastieri、パストゥレッディpastureddi、リッリアーリアllialia、
ンッフィジュラーティ'nffighiulati、スフィッギュラータsfigghiulata、ブッカトゥレッディbuccatureddi゛などに変わった。すべて列挙するのは不可能なほどだ。
中でも個性的だったのが、“ムーア人の頭Testa di moro゛と呼ばれたターバン型のパスタのパイだった。」

この本のスカッチャのリチェッタは、シチリアの有力ワインメーカーで貴族の家系のプラネタに伝わるもの。
とても洗練された料理に仕上がっています。

それではリチェッタをどうぞ。
スカッチェscace
材料;6人分
リマチナートのセモリナ粉・・500g
00番の小麦粉・・500g
生イースト・・20g
EVオリーブオイル・・大さじ3
ぬるま湯・・1カップ

詰め物;
サルシッチャ・・250g
ゆでたじゃがいも・・200g
プローヴォラ・・150g
玉ねぎ・・1個
EVオリーブオイル

・2種類の粉小麦粉をフォンタナに盛り、油、塩、ぬるま湯1カップで溶いたイーストを入れる。
・まずフォークで、次に手でこねてなめらかな生地にする。
・最低10分こねてまとめ、1時間休ませる。
・少量ずつ丸めて打ち粉をし、麺棒で薄く伸ばす。
・片側に詰め物をのせ、残りの生地をかぶせる。
・短い辺の縁を押して閉じ、再び折って多層にする。
180~200℃のオーブンで30分焼く。

プラネタのリチェッタはトマトが入らないビアンコタイプ。
動画の詰め物は、トマトのパッサータ、バジリコ、ナスの輪切りのグリルかフリット、おろしチーズ。

どちらのタイプも手で持って歩きながら食べれるストリートフード。
ちなみに、

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア』によると、シチリアのピッツァ、“ピッツァ・シチリアーナ”は、伝統的なピッツよりやや小型の生地をオーブンで焼くのではなく、油で揚げる。
揚げてからトゥーマとアンチョビをのせるタイプと、カルチォーネのように閉じるタイプがある。
ザッフェラーナ・エトナはZafferana Etnaはピッツァ・シチリアーナで有名な街。

ザッフェラーナ・エトナのピッツァ・フリッタ


シチリアにはまだまだ知らない美味しい料理が隠れていそう。


2020年2月12日水曜日

知ってる人は知ってるディープなシチリア料理

きのうの発見、buccellatiはブチャラティかもが、思いのほかツボって、もうbuccellatiはブチャラティしか考えられなくなりました。
分からない人には全然わからないのが残念。

ブッチェッラーティについてさらに調べてみたら、意外なことに、ある小さな本にディープなシチリアの伝統料理がたくさん載っていることを改めて発見しました。

ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『シチリア・イン・ターヴォラ』です。
あまりにお手軽なミニサイズ本だったので、紹介するのを忘れてお蔵入りになっていました。
シチリアの出版社が、とにかくこだわりのシチリア料理を集めた本です。
ブチャラティなんてマニアックな料理も写真付きです。
表紙がイワシのパスタというのもこだわりの選択。
それにしてもあの庶民的なイワシのパスタも青と黄色のマヨルカ焼きの皿に盛り付けると、こんなに素敵になるんですね。
本の中の料理は、ブロッコリーのスカッチャータ(ブロッコリーの具入りのパン)、炭焼きスティッギオーラ(ネギに巻きつけて焼いた子羊の内臓)、ニューオーリンズの名物パンになったごま付きパンのムッフレッタなど、徹底的にシチリアの伝統にこだわっています。

スティッギオーラstigghiola

ブロッコリーのスカッチャータscacciata con i broccoli

ムッフレッタsmuffletta

ストリートフードに挑戦しないと、味わえないものばかり。
とりあえず今日は、ブチャラティの話に戻ります。
「総合解説」で訳したリチェッタは、パレルモの有名パスティッチェリーアのものです。
webページはこちら

パスティッチェリーア・カッペッロpasticceria cappello

見てるとセロトニンがドバドバ出てくるよー。

そしてこの人がマエストロのトト。

hpの店の歴史を読んでみると、カンノーリとブチャラティが評判だったとあります。そもそもご先祖はミルク用の山羊を育てていたそうで、
最初のヒット商品はヤギのミルクで作ったジェラート。
長いけど、話が面白い人ですねー。
ビジネスの才能もあって、新店舗も次々に拡大しています。

シチリアでパスティッチェリーア巡りをしない人はいないと思うけど、パレルモは、そのためだけに行ってもいい街。
ストリートフードは怖くてとっつきにくいという人も、パスティッチェリーアなら安心して行ける。
パレルモの美味しいもの巡り



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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
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2020年2月11日火曜日

コルヴォの街、カステルダッチャ


シチリアのドルチェ、ブッチェッラート・シチリアーノBuccellato siciliano。

初めて聞いた名前で、目にするのも初めて。
ちょっと衝撃的なくらい美しくて、どうやってこの網目模様を作るのか不思議でした。
多分ひと目見たら忘れないと思うのに、なぜ、今まで出会わなかったのか・・・。
このピンセット、欲しくなる~。

実際に作っている動画を見て、ようやく網目模様の謎が解けました。
ところが、もっと詳しく調べようとしても、情報が殆ど見つからないのです。
これは貴重なドルチェですよ。
シチリアで出会ったら、ぜひ味見をしておいたほうがいいです。

そもそも、これはクリスマスのドルチェだそうで、ドライフルーツがベースの詰め物を、パスタ・フロッラ(タルト生地)で包むという、クリスマスの時期にあちこちで見かけそうなドルチェです。
さらに、ブッチェッラートはバターではなくラード入り、というのも特徴。
ラードは、20世紀後半まで、イタリアの農村部で手に入る唯一の油脂でした。
ルーツが謎のドルチェで、リチェッタも様々あるらしいと、分からないことだらけのドルチェです。

ところが、『サーレ・エ・ペペ』誌
で明かされた手がかりは、2011年にパレルモ郊外のカステルダッチャCasteldacciaで作られた、とやたら詳細。
それでは、この手がかりを元に、ブッチェッラートとはどんなドルチェなのか、探ってみます。
まず、Buccellatiはカステルダッチャのde.co.(denominazione comunali)製品=特定のコムーネにゆかりの製品、でした。

カステルダッチャとアルタヴィッラ

カステルダッチャはシチリアを代表するデイリーワイン、フロリオグループのドゥーカ・ティ・サラパルータのコルヴォの本拠地。

ドゥーカ・ディ・サラパルータ


コルヴォはお手軽で手に入れやすいシチリアワインの代表。

カステルダッチャのドゥーカ・ディ・サラパルータのカンティーナ

カンティーナを訪れるついでにブッチェッラーティも探してみて。

完全に横道にそれました。
ブッチェッラーティのこと調べていたはずなのに、コルヴォの話になってしまった。
ドゥーカ・ディ・サラパルータのwebページはこちら

ちなみにネット上ではブッチェッラーティのことをなぜかスペルがよく似たブチャラティと呼んでいて、これは有名なあの漫画のキャラクターなのです。
その漫画の登場人物にはみんなイタリア料理の名前がつけられているのだけど、これはまさかね。
いくらなんでも上級すぎる。

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総合解説
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2020年2月10日月曜日

シチリアのバロックなビスコット、ブッチェッラート



紹介してきた2冊の本、オステリエ・ディ・イタリア新版

は、スローフードのメンバーのトスカーナのオステリアのメニューを通して、トスカーナの伝統の暮らしにふれたような、とても内容の濃い本でした。
さらに

ルフィーノのトスカーナ』は、

トスカーナ料理の傑作として後世に残るような大作。

地方料理の本は地方の文化と伝統を紹介するものがほとんどですが、節約精神に満ちたトスカーナ料理の話をする時、家庭料理の話は不可避。
子供の頃の家庭料理がこんなにおもしろいのか、おばあちゃんのレシピのホームメードケーキって、なんて美味しそうなんだろう、
ということを久々に思い出しました。
そして1冊の本を思い出しました。
マンマミーア』です。
その名の通り、家庭料理の本。
家族の写真が満載の異色の料理書ですが、イタリア人のおばあちゃんがいない私でも、イタリアの家庭って暖かそうだなあ、と思える本です。
特にドルチェはお誕生日のケーキとか、家族の特別な日の思い出と重なって、古い写真がとても魅力的。

カントゥッチーニについては、こう書いてありました・・・。
紅茶とお菓子の儀式は、カントゥッチーニの場合は美味しい甘口ワインと組み合わせる。
ワインは、日曜日の雰囲気を温めてくれるならヴィン・サントでなくてもいい。

もし毎週やってくる友達がいるのなら、先週のものを少し残しておけばよい・・・。
突然の来客用のビスコッティだったんですね。


今日からは話題が変わって「総合解説」から、シチリアのドルチェ。
ブッチェッラートbuccellatoです。
聞いたことのない名前ですが、一目見ると、忘れられなくなるインパクトがあります。

シチリアのクリスマスのビスコットだそうですが、トスカーナの質実剛健なビスコットの後だと、眩しいくらい華やか。

ブッチェッラート


シチリアのドルチェのこの華やかさは、シチリア人の特性でしょうか。
何ができるのか、ワクワクしますね。
このようなシチリアのドルチェは、よくバロックなドルチェと形容されます。

詳しいリチェッタは「総合解説」2018年1/2月号、P.32をご覧ください。
このドルチェは、最後の仕上げて、あっと驚くどんでん返し。
初めてみた時はどうやって作るのかわからなくて、魔法なのかと思いましたよ。

シチリアバロック


シチリアは、バロックというテーマで旅をするととても興味深い島です。
パレルモにも傑作が多数あります。
シチリアのドルチェというテーマは、もっと興味深いはず。


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総合解説

オステリエ・ディ・イタリア新版

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2020年2月9日日曜日

ヴィンサントの相棒、カントゥッチーニ

それではカントゥッチーニcantucciniの話です。

トスカーナ料理の知りたいことが全部書いてある素晴らしい本、
『ルフィーノのトスカーナ』から。
カントゥッチーニは、プラート生まれのビスコッティなので、別名、カントゥッチーニ・ディ・プラートとも呼ばれます。
プラートはフィレンツェから20km離れた隣町。

プラート

カントゥッチーニとは切っても切れない間柄なのが、ヴィンサント。
レーズンから作る甘口ワインで、聖ワインという意味のヴィンサントという名前は、1439年に開催されたフィレンツェ公会議の間に考え出されたから、とも言われています。
公会議とは東と西に分裂した教会の問題を解決するために開かれる重要で有名な会議。
そんな場で出された甘くて美味しいワインを飲んだ偉い聖職者が、思わず「'e di Xantos」「こ、これはサントスのワインだ!」と叫んだというのです。
サントスとはギリシャ語で黄色のこと、またはギリシャのサントリーニ島のこと。
別説では、santa messaの間に使うワインだから、というのもあります。
santa messa ??
復活祭かクリスマスがらみかな・・・。

サントリーニ島
xysl\i

サントリーニ島のワイン、という意味だとしたら、この聖職者、いつ飲んだんでしょう。
一生に一度は行って島で飲んでみたいなあ。
さて、ほとんどのグルメはカントゥッチーニをヴィンサントに浸して食べますが、香ばしいビスコッティが溶けてヴィンサントの中に落ちるのを嫌がる人は、浸さないで食べます。
本ではこの問題を解決して、マスカルポーネにヴィンサント、削ったビターチョコレート、カントゥッチーニを加えた21世紀版を提案しています。
ヴィンサントの濃い黄色でマスカルポーネがクリーム色になって、チョコレートとカントゥッチーニが一段と映えます。
きれいなグラスに入れるとさらにゴージャス。

それではリチェッタです。
“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ』
より

ビスコッティ・ディ・プラートBISCOTTI DI PRATOをどうぞ。
バリエーションは無数にあります。
今回は、フォルネッロクラブ・プラート支部の公式リチェッタです。

材料/8人分
小麦粉・・500g
皮つきアーモンド・・500g
砂糖・・470g
卵・・4個+卵黄2個
ヴィンサント・・大さじ2
蜂蜜・・大さじ1
ベーキングパウダー・・1/2袋
塩・・1つまみ

・熱したオーブンでアーモンドを数分トーストして冷ます。
・小麦粉とベーキングパウダーをふるってフォンタナに盛り、砂糖、蜂蜜、ヴィンサント、塩、卵3個、卵黄2個を入れてよく溶く。
・小麦粉を少しずつ加えて均質の生地にする。
・アーモンドを加えてよく混ぜる。
・生地を分けて幅約5cm、厚さ1.5cmの棒状にし、間を空けてオーブンシートに並べる。
・残りの卵を溶いて生地に塗り、180℃のオーブンで約20~25分焼く。
・オーブンから出して斜めの輪切りにし、再びオーブンに入れて二度焼き(ビスコッターレbiscottare)する。

ビスコッティ・ディ・プラート
xysl\i

失敗しなくて簡単にできます。
トスカーナ料理の話、今回はここまで。

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総合解説
“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ』
『ルフィーノのトスカーナ』
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2020年2月8日土曜日

トスカーナの自家製ドルチェの定番はチャンベッローネ。

トスカーナの人気オステリアのメニュー、肉料理まできました。
次は最後のドルチェです。

ルフィーノのトスカーナ』にはこんな話が・・・。


オステリアのドルチェは、自家製fatti in casaなのが重要。
つまり、家庭にある質素な材料(砂糖、チョコレート、蜂蜜、ジャムなど)を使って、主婦の手で作ったドルチェ。
日曜日になると家中に広がるケーキの香りは、すべてのトスカーナ人の子供の頃に共通の思い出。
トスカーナ人にとって、家庭の手作りドルチェの定番中の定番が、日曜日になるとおばあちゃんが家族ややってくる友人のために作る、小麦粉、牛乳、バター、卵、砂糖の“チャンベッローネciambellone”。

ノンナのチャンベッローネCiambellone della nonna

・レーズン75gをオレンジジュースで戻す。
・00番の小麦粉500gとベーキングパウダー15gをふるっておく。
・ボールの下に湿らせた布巾を敷く。
・室温のバターの小角切り250gを入れる。
・オレンジ1個とレモン1個の皮のすりおろし、バニラ1本の種を加える。
・ホイッパーで混ぜながら砂糖300gを少しずつ加える。
・5分混ぜたら卵275gを1個ずつ加える。
・粉の材料を大さじ1ずつ加える。
・牛乳250gを少しずつ加える。
・レーズンの水気を切り、小麦粉をまぶす。
・オレンジピール50gの小角切りと混ぜる。レーズンやオレンジピールの替わりにチョコレートでもよい。
・バターを塗って小麦粉をまぶしたエンゼル型に生地を入れて表面を平らにし、その上に
・混ぜた材料を散らす。これを繰り返す。
・180℃のオーブンで約1時間焼く。
・冷めたら型から出して粉糖を振りかける。

ふわふわで経済的で簡単につくれるケーキです。
リチェッタは家庭ごとに違い、牛乳やコーヒーに浸して朝食代わりに食べたりします。
本では近所の松の木に実った松の実を表面に散らしてアイシングで覆っています。
これだけでかなりゴージャス。

一番プレーンなバージョンだと牛乳に浸して食べますが、やや豪華だとココア。おばあちゃんやお客さんはヴィン・サント。
お客用の“カントゥッチーニcantuccini”は常に欠かさないように買っておきます。

カントゥッチとヴィンサント

そいてトスカーナのドルチェには欠かせないのがヴィンサントVinsanto。

秋には栗の粉で作るカスタニャッチョcastagnaccioやフリッテッリーネfrittelline。
2月はカーニバルの揚げ菓子のチェンチcenci。
冬のフィレンツェの家庭のもう1つのドルチェはスキアッチャータschiacciata

家にあるもので作る経済的で簡単なドルチェ。
トスカーナ人の倹約精神徹底してます。
次回はカントゥッチ。

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総合解説

ルフィーノのトスカーナ

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2020年2月7日金曜日

キアンティの焼き物職人のもったいない精神のシチュー、ペポーゾ


トスカーナのオステリアの料理から代表的なトスカーナ料理を見てきましたが、今回は肉料理です。
肉食系のトスカーナには、肉料理がたくさんありますが、今回、パーネ・ディ・トスカーノのリチェッタを探して様々な料理書を読み、一番印象に残ったのは、キアンティ地区の伝統料理、ペポーゾpeposoでした。

トスカーナに行った時、この料理のことを知っていたら・・・、
と軽く後悔しています。
そもそも、あの頃はビステッカのことしか知らなかったなあ。

ペポーゾ

主役の肉は牛のすね肉。
普通はボッリートに使う経済的な部位。
これを赤ワインとこしょうで煮る、シンプルで経済的なトスカーナ気質たっぷりの料理です。
この料理を考えだしたのは、キアンティの焼き物職人たち。
テラコッタの壺や瓦を作っていた人たちです。
有名な焼き物の村、インプルネータ・イン・キアンティの職人は、持ち前のトスカーナ人の節約気質で、テラコッタが焼き上がった後も十分に熱い窯の火を有効利用出来ないかと考えたのです。
そこでテラコッタの鍋に牛の安い部位のすね肉と地元キアンティの赤ワインと黒こしょうを入れて、窯の入り口に置いたのです。
あとは、放っておけば、ゆっくりじっくり煮上がります。
ゆっくりであればあるほど肉はジューシーで柔らかくなりました。

トスカーナ人のもったいない精神、侮れない。
さらに、焼き物作りは重労働だったので、こってりした、脂が溶け込んだ料理が人気でした。
インプルネータのテラコッタ工房

それでは、

オステリエ・ディ・イタリア新版』から、

マンジャンド・マンジャンドのリチェッタで、
ペポーゾ・アッラ・フォルナチーナPeposo alla fornacinaをどうぞ。
材料/6人分
牛すね肉・・1kg
にんにく・・2玉
キアンティ・クラッシコ・・3L
粒こしょう・・100g、塩

・この料理の唯一のポイントは肉の質。
肉を小さく切って鍋に入れ、ワインで覆う。
・丸ごとのにんにくとこしょうを加える。
・火をつけて肉が十分柔らかくなるまで煮る。
・火を止めて30分休ませてサーブする。

すごいほったらかし料理だった。
鍋は陶器の鍋が理想的。底に牛脂を入れておいて煮ている間に溶かす。
ちなみにフォルナチーナfornacinaとは焼き物職人のこと。


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総合解説

オステリエ・ディ・イタリア新版

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2020年2月6日木曜日

イタリアのパン、サワードウのパーネ・トスカーノ

パーネ・トスカーノのリチェッタを訳そうと気軽に考えていましたが、リチェッタが全然見つからなくてびっくり。
唯一見つけたのが、スローフードの本、

パーネ・ピッツェ・フォカッチェのリチェッタ


パーネ・トスカーノはDOP製品。
管理組合のwebページはこちら
作るより買ってね、ということかな。



それでは本のリチェッタを訳してみます。
pane toscanoパーネ・トスカーノ
preimpasto
0番でw220の軟質小麦粉・・500g
生イースト・・5g
水・・300ml

impasto
0番でw220~240の軟質小麦粉・・1kg
水・・300ml

・12~15時間前に室温で発酵させたpreimpastoを用意しておく。
イーストを水で溶いて小麦粉に加え、10分こねる。
・preimpastoに水と小麦粉を加えてこね、なめらかな生地にする。
・暖かい場所で湿らせた布巾で覆って約1時間休ませる。
・台にあけて約600gに切り分け、10分休ませる。
・細長く伸ばして布巾で覆い、約1.5時間発酵させる。
・220℃のオーブンで湿気は加えずに30分焼く。



この動画のパンは、だいたい本のリチェッタと同じ作り方です。
ただ気になるのが、リチェッタのpreimpastoとか動画のビーガbigaなどの言葉。
パンの話をするには、どうしても専門的な話になりますが、ド素人なので

パーネ・ピッツェ・フォカッチェで勉強しながら訳していこうと思います


まず、発酵方法には、
diretta(ストレート) indiretta(中種法) madre(天然酵母)の3種があり、
indirettaにはpoolish(ポーリッシュ)とbiga(ビーガ)があります。
preimpastoとbiga,poolischは同じもの。
ビーガとポーリッシュは似ていますが、ビーガの特徴は必要とする水分が少ない、ということ。必要な粉をすべて加えて作り、その後で塩など他の材料を加えます。イーストも最小限の量です。
堅い生地で手でこねるには力が必要ですがタンパク質に空気がたくさん含まれます。
ただし発酵には時間がかかります。

パーネ・トスカーノの天然酵母のDNAを解析



文字通りトスカーナの酵母から造られているパンなんですね。
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総合解説

パーネ・ピッツェ・フォカッチェ

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2020年2月5日水曜日

フィレンツェを追放されたダンテに故郷を思い出させた塩気のないパン

トスカーナ料理を見ていると、パンの役割の大きさに驚きます。
パンは多くの古代文明にとって、もっとも基本的な食べ物。
さらにキリスト教にとって、パンはキリストの体のシンボル。
パンはキリストの愛と奇跡。
聖体拝領の儀式は、難解なキリスト教の儀式の代表格。

キリスト教にとっては大事な儀式だということは分かる。


ルフィーノのトスカーナ』によると、古代ローマのポンペイは、町がまるごとパンの町だったそうで、約50軒のパン屋があったそうです。
さらに、オスティアの港はローマ帝国の小麦の交易港として有名でした。
小麦を粉にする水車小屋は無数にあり、パン屋では様々なパンを毎日焼いていました。

ポンペイの遺跡のパン屋

オスティア・アンティカ

ただし、現代のトスカーナのパンは、古代のパンとルーツは一緒でもはかなり違うもの。
塩が入らないパン、パーネ・ショッコはフィレンツェのパンとしても知られています。
塩も、保存や調味の基礎となる大切な食材でした。
輸送に使われた街道は塩の道via salariaと呼ばれました。

中世に、フィレンツェのライバルのピサが、塩の港を長期間封鎖するという出来事がありました。
ところが、なにもないところから美味しい物を作り出すことには慣れていたフィレンツェの農民は、その天才的な才能から塩の入らないパンを作り出したのです。
高価な塩は主に豚肉の保存のために使われました。

なんと、前回登場した質素なパン粉のパスタ、ブリーチョレのピチが、ここで見事につながりました。
何もなければパスタにパン粉をかけるほどたくましいフィレンツェ人は、パンは捨てるところなどない、と言って、古くなった残り物のパンも全部有効利用しました。
ニュートラルな味が風味の強いトスカーナ料理にはよく合ったのです。
というか、味の強いトスカーナ料理に合わせるためにパーネ・ショッコを作ったという説もあります。

暖かい季節はパッパ・アル・ポモドーロ、冬はリボッリータ、夏はパンツァネッラ。
本当に万能な組み合わせが可能なパンです。


ダンテはフィレンツェ生まれの偉大な詩人ですが、権力争いに敗れてフィレンツェを追放されます。
彼の祖父は『神曲』で、将来、孫が塩気のあるパンを食べるとこになる、と予言しました。
つまりフィレンツェを出ていく、ということを、こんなに粋に表現したのです。
実際にはもっと文学的な表現ですが、私は読んだことがないので詳しいことはわかりません。wikiにちらっとありましたが・・・。
とにかく、フィレンツェ人にとって、パーネ・ショッコは中世にはすでに故郷の味になっていたのでした。

ダンテの時代から現代のフィレンツェにタイムスリップ?なんとダンテの家博物館のPV


パーネ・トスカーノはサワードウ、水、胚芽入りの軟質小麦の0番の粉からトスカーナの伝統的な製法で作るパンです。
塩気がなくて軽い酸味があるパンで、この味のことをショッコscioccoと呼びました。

パーネ・ショッコの誕生を実写で説明する動画。

パンに塩を入れないというのはトスカーナだけの習慣。
そもそも、先住民のエトルリア人の時代から、パンに塩を入れる習慣がなかった、という説もあります。
トスカーナの中世の話は需要があるようで、実写がたくさんあって横道にそれまくりました。
リチェッタは次回です。

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総合解説
ルフィーノのトスカーナ
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2020年2月4日火曜日

アーリオ・オーリオをトスカーナ風に豪華にしたピチ・アッラ・ブリチョレ

それではトスカーナの手打ちパスタ、ピチの話。
ピチは御存知の通り、うどんのように太いスパゲッティです。
このパスタを打つ作業が名前の語源です。 トスカーナ南部生まれのパスタで、定番のソースは、にんにくとトマト入りスーゴ・ディ・カルネの“アッラリオーネall'aglione”。

ピチ・アッラリオーネ

本のP.61の写真では、赤唐辛子の輪切りを少量加えてアクセントにしています。 この料理はpici con le briciole。
 bricioleはパーネ・トスカーノを細かい小角切りにしたもの。 それをオリーブオイルで炒めてパスタとあえます。
つまり、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノのパン粉がけです。
そもそもアーリオ・オーリオは家になにもなくても、なんとかして美味しい料理を作ろうという究極の節約料理。
それに貧乏人のチーズと呼ばれるパン粉を散らしてちょっと豪華にするのは、シチリアなどでよくある手。
トスカーナには名物のパンとオリーブオイルがあるから、ブリチョレは、 パーネ・トスカーノとトスカーナ産オイルで作るわけです。
これはアーリオ・オーリオが美味しくなる予感。

ピチ・コン・レ・ブリチョレ
フェットゥンタやクロスィーニをよく作る人は、トスカーナ産オリーブオイルを常備しておくと、美味しくなるかも。

トスカーナ産EVオリーブオイル
つぎはパーネ・ショッコの話。

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総合解説
ルフィーノのトスカーナ
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2020年2月3日月曜日

フィレンツェから見たパスタの歴史

ルフィーノのトスカーナ』のパスタの章の続きです。
本当のトスカーナを知っているのは自分たちだという、世界的トップワイナリーのプライドが詰まったちょい難しい本ですが、頑張って読んでみると面白い。

メソポタミアから始まるご存知のパスタの歴史ですが、トスカーナのトップワイナリーの視点で見ると、別の歴史が見えてきます。
ナポリや南イタリア中心で語られることが多いパスタが、トスカーナではこう見えていたんですね。

フィレンツェでは、中世には職業組合が誕生し、その中でも最も信頼されていたのが「料理人とラザニャーリ職人」の組合でした。
ラザニャーリは古代ローマのラザーニャのラガーナのこと。
16~17世紀頃、フィレンツェにパスタ職人と初期のパスタメーカーの組合が出来ました。
ナポリとその周辺のグラニャーノやトッレ・アンヌンツィアータといった町が、マカロニで有名になりつつありました。

トッレ・アンヌンツィアータ
'
グラニャーノ

ジェノヴァ

ナポリ港

港湾都市のジェノヴァはパスタ・ルンガの貿易港でした。
ナポリとジェノヴァの2つがイタリアのパスタ産業を牽引した都市になりました。
パスタはイタリア中の家庭に広まり、国民食になります。
もちろん各家庭に受け継がれた、愛された自慢のリチェッタがありました。
パスタへの情熱は国境を超えて世界共通のものになっていきます。

パスタの章で最初に取り上げたパスタは、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノAGLIO OLIO PEPERONCINOです。

シンプルで質素なパスタですが、地中海料理のベースが詰まっています。
パスタは硬質小麦粉のスパゲット。さらにEVオリーブオイル、にんにく、イタリア料理ではあまり多用されないが栄養が豊富な唐辛子。
唐辛子はアメリカから伝わって南イタリアの名物食材にまでなりました。

次のパスタはトマトとハーブのソースのセミ・インテグラーレのスパゲットーニGLI SPAGHETTONI SEMI INTEGRALI AL POMODORO ED ERBE AROMATICHE

トマトとバジリコのソースは典型的なスパゲッティのソース。さらに、古代小麦や特殊な穀物の全粒粉(インテグラーレ)やセミインテグラーレの粉がイタリアでは常に人気が高かった。
この料理は太いスパゲットーニを、蜂蜜を加えて甘みを足し、バジリコも隠し味ではなくたっぷり使ったトマトソースであえる。
トスカーナの田舎屋の特徴は、みじん切りにして乾燥させたハーブの香りが部屋中に満ちていることだった。

徐々にトスカーナのパスタの姿が浮かび上がってきました。
次は白肉のラグーのフジッリ・ルンギです。
フジッリは南イタリア(カンパーニア、モリーゼ、シチリア)で誕生した初期の人気パスタです。
鉄の棒(編み棒やつむぎ棒のフーゾ)に巻きつけてカールさせます。
ソースはトマトが入らない白肉(豚・家禽など)のソースで、仕上げにパルミジャーノを散らします。

フジッリ

スバゲットーニ、フジッリときて、次はピチの話。



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総合解説
ルフィーノのトスカーナ
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2020年2月2日日曜日

ルフィーノの本気の本、『ルフィーノのトスカーナ』、パスタの歴史

今日はトスカーナ料理の本の傑作の紹介です。

ルフィーノのトスカーナ

素晴らしい本なのですが、紹介する機会がなくて、ほぼお蔵入り状態でした。
タイトルからも分かる通り、トスカーナの大手ワイナリー、ルフィーノが作った本です。
自ら、料理書ではなく昔話の本と説明。
リチェッタより料理の背景にあるトスカーナの料理哲学を熱く語る本です。


イタリア料理を象徴するのがナポリ料理とピッツァであるとしたら、トスカーナ料理も、イタリア料理を世界中に広めた立役者です。
その背景にある巨大な力はワインでした。
ルフィーノはトスカーナを代表するワインメーカーとして、トスカーナ料理のすべてを世界中に伝える役割を担おう、と決心したようです。
そしてトップのワインメーカーというプライドと力のすべてを注いで作り上げたのがこの本です。

キアンティ・クラッシコとルフィーノの物語

トスカーナの日常の暮らしと食文化を、美しい数々の写真と、学者たちの専門的な話と共に伝えています。
元々ワインメーカーの料理の本は素晴らしいものが多いですが、その中でもトップを目指したことがはっきり分かるレベルの高さです。
だから、内容まで格調高くしちっゃたのが、本当に残念。
格調高い話を読んでいるうちに挫折して、リチェッタまでたどり着きません。

ちょうどトスカーナのパスタの話に入っていたので、この本のパスタの章の前書きをちょっとだけ訳してみます。

パスタと言うと、世界中の人はすぐにイタリアの様々な形のパスタを連想する。
そして様々なパスタが世界中の食卓に上っている。
離乳食もその1つだ。
グランシェフのような偉大な理想がなくてもいつでもどこでも誰でも作ることができるのがパスタだ。
穀物の粉と水がベースの発酵させない生地、パスタは、古代のほぼすべての民族の栄養源になった。
中には異種のものと混ざり合いすぎて、現在の私たちが考えるパスタとはかけ離れたものもあるが・・・。

パスタは中東のチグリス・ユーフラテス川にはさまれた肥沃な三日月地帯で生まれた。
小麦や大麦が自生し、人類最初のその栽培が始まった地域、メソポタミアだ。
この文明の基本の食べ物は、パスタ・セッカによく似ているものだった。
中東で生まれたパスタは、この後数世紀かけて近隣に普及していく。

小麦に含まれるグルテンとデンプンの構造から、パスタ・フレスカはヌードル(スパゲッティ)とダンプリング(パスタ・リピエーナ)の2種類に大別されるようになる。
イタリアの場合、パスタはアラブ人によってシチリアに伝わった。
硬質小麦の栽培はそれより前に地中海全域に伝わって、すでにパスタに似たものが生まれていた。
アラブとイタリアの出会いによって1本の糸状のアジアの麺とは違うパスタ・セッカが生まれ、様々な形の無数の軟質小麦粉のパスタ・フレスカが生まれた。

トスカーナでは、イタリアの古代民族エトルリア人がマカリアmakariaと呼ばれるパスタを作っていた。
これはマッケローニmaccheroniの語源だ。

なんと、アラブ人と出会ったイタリアではパスタは様々な形に進化し、アラブ人と出会わなかった東南アジアでは、1本の細長い麺の形は変化しなかった、という説です。
イタリア人はそう思っているんですねー。
さらに、マカロニの語源はエトルリア語のマカリアという学説も披露していますが、これが長~いうんちくの片隅にさらっと語られているから出会うのが大変でした。

パスタの話、次回に続きます。


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「総合解説」

ルフィーノのトスカーナ

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2020年2月1日土曜日

アペニン山脈の向こうとこっちじゃ、ラグーもパスタも違うんだから

それでは、
猪肉のスーゴのパッパルデッレPappardelle sul cinghialeです。
材料
パッパルデッレ・・1.2kg
猪肉・・1kg
にんにく・・1玉
セージとローズマリー・・各50g
トマトペースト・・小さじ1
赤ワイン・・1L
ブロード
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・肉を細かく切る。
・広いソテーパンに油を熱し、にんにく1かけ、セージ、ローズマリーを加える。にんにくに焼き色がついたら肉を入れてよく炒める。ワインをたっぷりかけてアルコール分を飛ばし、レードル1杯の熱いブロードで溶いたトマトペーストを加える。蓋をして、時々かき混ぜながら2時間煮る
・パッパルデッレをアルデンテにゆでてスーゴであえる。


トスカーナのスーゴについて、イタリア料理アカデミーの本、『スーゴとソース
にはこうあります。

トスカーナはパンと野菜がべースの様々なミネストラで知られる州で、これらはパスタ用のソースでもある。
最も重要なのはスーゴ・ディ・カルネsugo di carne alla toscanaだが、これはラグー・ボロニェーゼragu bolognese(ミートソース)によく似ている。
あるいは、肉の入らない貧しいミートソース、スーゴ・フィントsugo fintoとも呼ぶ。
肉を煮た煮汁はスーゴにして、肉はセコンドにする食べ方だ。
祝日には、うさぎや野うさぎ、鴨やガチョウで美味しいスーゴを作った。
ナポリ風ラグーはこの方式として有名だが、他の地方でも同様に作っていた。 

キアニーナ牛のラグーのパッパルデッレ

この料理にこんなにトスカーナ料理の真髄が詰まっているとは知らずに、完全にスルーしていました。
猪のラグーのパスタなら、細いパスタじゃなくてやっぱりパッパルデッレですよね。
ちなみに、誰かカールさせる方法を知らないかなとおもって探したけど、どれもシンプルな幅広麺でした。
トスカーナ料理のお薦め本、“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ
には、トスカーナの家庭で手打ちするパッパルデッレは、アペニン山脈の向こう側とは違って、伝統的な方法で作るもっと幅広で素朴な麺だ。
トスカーナではタリアテッレよりパッパルデッレのほうが人気がある、と、

いきなり、むき出しの対抗意識。
どうやらトスカーナの人にとって、アペニン山脈の向こうかこっちかというのは大問題のよう。
トスカーナを北と南に横断する北アペニン山脈
地図はこちら
山を超えるとパスタは職人技のタリアテッレになり、山の手前では幅広で厚い無骨なパッパルデッレ。
ちなみにラグー・ボロニェーゼは牛肉と豚肉の贅沢なラグー、トスカーナ風は猪。


キアニーナのラグーのパッパルデッレの動画で、ワインにマルサラを使っているのが気になりました。
やはりトスカーナの赤ワインじゃないとね。
あ、そうだ、突然思い出したけど、全然紹介していないルフィノの本があった。
次回はこの本から・・・。

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総合解説
スーゴとソース
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ
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2020年1月31日金曜日

料理人の守護聖人、聖ロレンツォとパッパルデッレ

それでは今日は、キアンティ地方のオステリアのパスタのリチェッタを

オステリエ・ディ・イタリア新版

から訳します。
トスカーナのパスタは、いつも問題です。
州別にグランシェフのパタを集めた本、
パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリアによると、
トスカーナの人は、肉やジビエや豆やパンは大好きですが、スパゲッティにはさほど興味を抱かないとか、グルメならトスカーナでパスタシュッタを注文する時は用心しろ、などと言った作家もいるほどです。
そんなトスカーナを代表するパスタとして知られているのは、パッパルデッレpappardelleです。

パッパルデッレは幅5~6cmのラザーニェの一種で、片側だけ波打っています。
風変わりな名前の語源はpappareパッパーレ(たらふく食べる)。
狩りの獲物であるうさぎのラグーに釣り合うような幅広で大きなパスタです。

ファブリのパッパルデッレ

このパスタを手打ちで作るのは、考えただけでも大変そうですね。
基本はタリアテッレですが、トスカーナでは、普通のタリアテッレより数cm幅広でやや厚めに打ちます。多分ジビエのラグーに合わせるとそうなるのですね。
トスカーナの定番は野うさぎのラグーですが、鴨などの野鳥のラグーもあります。

料理人やパン屋の守護聖人としても知られる聖ロレンツォは8月10日に殉教したとされ、この日にはパッパルデッレを作る習慣がありました。

彼についてのwikiはこちら
フィレンツェの共同守護聖人でメディチ家の守護聖人でもあります。

8月10日のパレード



鉄格子の上で火炙りにされるという殉教時の壮絶な様子が語り継がれていますが、これがビステッカ・フィオレンティーナのルーツだという話まであります。
横道にそれちゃったのでリチェッタは明日訳します。

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総合解説
パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア

オステリエ・ディ・イタリア新版

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2020年1月30日木曜日

フェットゥンタからピッツァへと続くクロスティーニの進化

地方料理シリーズの力作、“グイド・トンマージのクチーナ・レジョナーレ”シリーズのトスカーナに、びっくりなクロスティーニがありました。
ちなみに、この本の表紙の料理はきのこと豆のズッパの上にクロスティーニ、という伏線がすごい構造。ちなみにこのクロスティーニはズッパに入れて食べます。
この本はこんな風に写真にフラグが詰め込まれていて、それに気がつくと、すごーく楽しい。

トスカーナ料理は、その象徴でもある幾多のクロスティーニから始まりますが、
そのうちの1品に、なんだか変な料理がしれーと混ざっていました。
“黒キャベツのクロストーネCrostone con cavolo nero”です。
たいてい黒キャベツのクロストーネと聞けば、こんな料理を想像します。
クロストーネは大きなクロスティーニ。
 ↓

それでは本のリチェッタをどうぞ
黒キャベツのクロストーネCrostone con cavolo nero
材料/4人分
薪で焼いた天然酵母のパーネ・トスカーノ・・4枚
黒ャベツの葉・・大4枚
キャベツのゆで汁
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・キャベツの葉は大きくてきれいなものを選ぶ。
・これを塩少々を加えた湯でゆでて崩さないように取り出す。ゆで汁は取っておく。
・パンを炙ってキャベツのゆで汁をかける。皿に広げ、その上にキャベツを1枚のせる。
・こしょうとEVオリーブオイルをかける。

出来上がりは、こんな感じ
つまりクロストーネの上にはみだすほど大きな黒キャベツがデーンと1枚のっているだけなのです。
その下のクロストーネはもっとシンプル。新オリーブオイルのフェットゥンタFettuna con olio nuovo

薪で炙った天然酵母のパーネ・トスカーノににんにくをこすりつけて塩、こしょうし、緑色の新オイルをかけてすぐにかじりつく、というもの。

固形の具はなにもなく、いわばガーリックブレッド。
こうやって誕生したのですね。
さらに、トマトやチーズ、オリーブ、ケッパーをのせれば、ピッツァに限りなく近づきます。
逆にガーリックトーストもフェットゥンタと呼べばトスカーナ風に・・・。

フェットゥンタ、ブルスケッタ、クロスティーニの盛り合わせ

すごくピッツァに近いものを感じます。

次は、オステリアのリチェッタに戻って、パスタの話です。

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総合解説
グイド・トンマージのクチーナ・レジョナーレ”シリーズのトスカーナ
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2020年1月29日水曜日

トスカーナの基本の前菜、ブルスケッタ

トスカーナの前菜、クロスティーニの次は、ブルスケッタです。
2つがどう違うのかは、いくら考えてもズバリな答えは見つからないので、今は無視します。
語源はクロスティーニはトーストで、ブルスケッタはブルスカーレ(炙る)、という程度で、ほぼそっくり。
リチェッタを訳していると、料理の最後にペースト状にした料理をトーストにさっと塗ってクロスティーニにして添える、という表現はよくあるけど、ブルスケッタにして添える、という表現は、今まで出会ったことないです。
クロスティーニのリチェッタは無数に見つかるけど、ブルスケッタのリチェッタはなかなか見つかりません。

今日もリチェッタはイタリア料理初心者のバイブル、
ブルスケッタBruschetta
ブルスケッタはイタリアの伝統的な前菜で、軽く乾燥したパンから作る。
一番シンプルなものは熱いパンににんにくをこすりつけてEVオリーブオイルをかける。
これにトマトやきのこ、なすなどの具をのせる。

材料/12個分
パーネ・プリエーゼなどの田舎パン・・大6枚(半分に切る)
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル
トマトとバジリコのブルスケッタ:
熟したトマト・・4個
ちぎったバジリコ・・大さじ1
ブルスケッタ・・4枚
きのこのブルスケッタ:
EVオリーブオイル・・大さじ2
ミックスきのこ(スラテスしたポルチーニ、ピオッパレッリ)・・400g
潰したにんにく・・2かけ
タイム・・小さじ山盛り1
ブルスケッタ・・4枚
・ブルスケッタを作る。パンをトーストか炭火でこんがりグリルして両面ににんにくをこすりつけてオリーブオイルをたらす。
・トマトとバジリコのブルスケッタを作る。トマトを粗く刻み、バジリコと混ぜて塩をする。これをブルスケッタにのせる。
・きのこのブルスケッタ。熱した油できのこを強火で炒めて塩、こしょうする。きのこをは数回に分けて炒めて水分が出すぎないようにする。
・きのこの水気が飛んだらにんにくとタイムを加えて1分炒める。ブルスケッタにのせて熱いうちにサーブする。
・なすのブルスケッタ:やや厚くスライスにしたなすの両面を柔らかくなるまでグリルする。
・にんにく、油、レモン汁、ミント、塩でマリネ液を作る。
・皿に並べたなすにマリネ液をかけて最低30分マリネする。
・ブルスケッタになすを2枚ずつのせてマリネ液小さじ1をかける。

クスティーニではなく、クロストーネという言い方もあります。
次回は面白いクロストーネのリチェッタを訳します。



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総合解説
クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブラインブリッジ
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2020年1月28日火曜日

キアンティ地方で食べたい(イタリアで食べたい編) クロスティーニ

それでは、キアンティ地方の人気オステリアはどんな料理を出しているのか

オステリエ・ディ・イタリア新版

のマンジャンド・マンジャンドのリチェッタを訳してみます。
店のwebページはこちら
メニューは、
・鶏レバーのクロスティーニ
・猪肉のパッパルデッレ
・トスカーナ風パスタ・エ・ファジョーリ
・ペポーゾ・アッラ・フォルナチーナ
・アリスタのオーブン焼き
・カントゥッチーニのセミフレッド、ヴィン・サントのソース

さすがに、キアンティ地方までやってきて、地元の食通の間で人気の店で食事をしようという人たちが食べたいものを、よく知ってますね。
すべてこの地方の最高の食材を使った伝統料理です。

そもそもトスカーナというのは、イタリアで最も外国人に人気の地方です。
イタリアを代表するワインの産地でもあります。
それではトスカーナで食べておきたいトスカーナ料理をざっと説明します。

最低限知っておきたいのは、
トスカーナでは上質のオリーブオイルとワインが造られ、
トスカーナ人は肉が大好きで、
巨大なビステッカで知られる牛肉や貴重な豚肉の料理があり、
豆も大好きで、その代表がいんげん豆のボルロッティ、
そして肉料理に添えるのは塩気のないパーネ・トスカーノ。
このパンはスープにも入れます。
スープはパッパ・アル・ポモドーロやリボッリータ、アックアコッタなど個性的。
太いパスタのパッパルデッレに合う定番のソースは、野うさぎ、鴨、猪といったジビエのソース。
魚料理は沿岸部のズッパ・ディ・ペッシェ。
ドルチェで有名なのはシエナ。
名物はパンフォルテやリッチャレッリ。
フィレンツェはズッコット誕生の地。
そしてカントゥッチはトスカーナ中にあって、デザートワインのヴィン・サントに添える伝統のビスコッティ。

カントゥッチとヴィンサント、ビステッカ・フィオーレンティーナ、パン、そしてキアンティワインはマスト中のマスト。

それではリチェッタです。
レバーのクロスティーニCrostini neri di fegatini di pollo
材料/8~10人分
鶏レバー・・1kg
玉ねぎ・・2個
にんじん・・4本
セロリ・・4本
ケッパー・・一握り
アンチョビ・・6枚
赤ワイン・・1カップ
固くなったパーネ・トスカーノ
EVオリーブオイル

パーネ・トスカーノ

・玉ねぎ・にんじん・セロリをみじん切りにし、油を熱したソテーパンできれいな焼色がつくまでソッフリットにする。
・アンチョビとケッパーを加え、さらにレバーを加えて全体を炒める。
・ワインをかけて弱火で30分煮る。
・ミキサーにかけてパンに塗れる程度のクリーム状にする。
・焼きたてのパンに塗る。


クロスティーニはトスカーナの(イタリア料理の)前菜の定番中の定番。
ついでなので、イタリア料理の基本中の基本が充実した本


クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ

のクロスティーニのリチェッタを訳してみます。
クロスティーニはスライスしてオーブンで焼いたブルスケッタ用のパンよりやや小さめのパンのトスカーナの前菜。トッピングはブルスケッタ用でも応用できる。

クロスティーニCrostini
材料/50個分
2日経ったチャバッタかパーネ・プリエーゼ
EVオリーブオイル・・200ml
※乾燥したパンはスライスしやすく、トースト時間も短い。

タプナードのクロスティーニcrosstini con tapenade:
種抜きブラックオリーブ・・250g
フィレ・アンチョビ・・50g
ケッパー・・小さじ1
潰したにんにく・・2かけ
ちぎったバジリコ・・15g
レモンの汁と皮のすりおろし・・1個分
EVオリーブオイル・・200ml
クロスティーニ・・1ポーション

パプリカのクロスティーニCrostini ai peperoni:
EVオリーブオイル・・大さじ3
玉ねぎのみしじん切り・・1個
薄い輪切りにした赤パプリカ・・2個
潰したにんにく・・2かけ
バルサミコ酢・・大さじ2
粗いみじん切りにしたイタリアンパセリ・・大さじ1
クロスティーニ・・1ポーション

鶏レバーのクロスティーニCrostini di fegatini di pollo:
鶏レバー・・200g
EVオリーブオイル・・大さじ3
玉ねぎのみしじん切り・・小1個
潰したにんにく・・2かけ
セージのみじん切り・・大さじ1
マルサラ・セッコ・・大さじ2
マスカルポーネ・・大さじ2
クロスティーニ・・1ポーション

・クロスティーニを作る。オーブンを180℃に予熱する。
・パンをスライスして4つに切る。
・両面に油をかけてオーブンでカリッとトーストする。
・タプナードのクロスティーニを作る。
・オリーブ、アンョビ、ケッパーを刻む、またはミキサーにtかけ、にんにく、バジリコ、レモンの汁と皮、オリーブオイル、塩を加える。
・サーブの直前にクロスティーニに塗る。

・パプリカのクロスティーニを作る。
・玉ねぎを油でソッフリットにし、パプリカを加えて15分炒めて塩をする。
・にんにくを加えて1分炒め、ケッパーとバルサミコ酢を加えて水気を飛ばす。
・サーブする直前にイタリアンパセリを散らしてクロスティーニに塗る。

・レバーのクロスティーニを作る。
・レバーを下ごしらえして筋を取る。
・玉ねぎを油でしんなり2分炒め、片側に寄せて火を強めてレバーを入れる。
・両面に焼き色がつくまで炒め、セージとにんにくを加えて1分炒める。
・マルサラを加えて水分を飛ばし、塩味を整える。
・包丁で刻み、またはミキサーにかけてペースト状にしてマスカルポーネを加える。
・熱い、または冷めたクロスティーニに塗ってサーブする。

トスカーナ風レバーのクロスティーニ


次はブルスケッタのリチェッタです。


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総合解説

クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ

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2020年1月27日月曜日

キアンティの農家とレストランの結びつき

前回は、キアンティ地方の有名オーナーシェフの店、マンジャンド・マンジャンドのオーナーシェフの料理と店に対する熱い思いを、

オステリエ・ディ・イタリア新版』から訳しました。

今回は、食材を店に納入している造り手の話です。

ヴァッローネ・ディ・チェチオーネは、グレーヴェ・イン・キアンティにある小さな農場で、現在は30歳のフランチェスコ・アニキーニが父親から受け継いで経営している。
彼は土地に対する明確な考えと情熱を持った人物。
彼の父親は50歳の時に25年働いて借りていた土地を手に入れ、夢を実現させた。
最新の農業技術に精通し、約700本のオリーブと4ヘクタールのぶどう畑を有機栽培で栽培し、完全なビオダイナミック農法を目指している。
少量のキアンティ・クラッシコとオリーブオイルを生産していたが、明らかに量より質が目標だった。土壌への自然なバランスを考慮して、大麦、ルーコラ、マスタード、グリーンピースなど数種類をミックスして栽培していた。

いつも感じることですが、イタリアのシェフたちの生産者への思いは、深いです。父親の功績まで熟知しています。

宿泊も受け入れているようで、ネットの口コミサイトには情報が溢れてます。
動画もすぐに見つかって、これが他の地方、特に南イタリアの農家との大きな違い。
ドローンで撮影した農場。


トスカーナのキアンティはピエモンテのランゲ地方に似ています。
世界中からグルメな客がやってきて、伝統の美食文化を体験し、革命的な試みが評価されています。

パンツァーノPanzano



次はいよいよリチェッタを訳してみます。

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総合解説

オステリエ・ディ・イタリア新版

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2020年1月25日土曜日

伝統は不変だが、常に改革されている。

先日のリボッリータribollitaの話題の時、『サーレ・エ・ペペ』
がリチェッタを紹介する店として選んだのは、グレーヴェ・イン・キアンティのマンジャンド・マンジャンドMangiando Mangiandoでした。

どんな店かリチェッタを探してみたら、

スローフードの会員を紹介する豪華な本、『オステリエ・ディ・イタリア新版』に載っていました。

オーナーシェフのサルヴァトーレ・トスカノさんは、
「歴史が感じられる料理を作りたい、人生も店も、地元との強い結びつきから生まれたものを使って造り上げたい、と語っています。
子供時代を過ごして彼に強い影響を残した地は、グレーヴェ・イン・キアンティ。

グレーヴェ・イン・キアンティ


料理に最高の食材だけを使う、という考えは、彼の父親の影響。
シチリア出身の父親は、いつも土曜と日曜だけ肉を料理した。その時は、窓も扉も開け放して、ご近所に、うちでも週2回は肉を料理していることが分かるようにしたのだった。
彼は行きつけの肉屋でチッチャciccia(クズ肉)を買うのが好きだった。野草を探して摘むのも習慣だった。
料理上手な母は、毎日7人分の料理を作った。日曜には父も加わった。
そこで私は、フィレンツェで最初に始めた店ダニー・ロックDanny Rockのメニューに、
子供時代の日曜日のメニューを再現した料理を加えた。他の曜日に食べていた料理も忘れられなかった。

ダニー・ロックを締めた頃、妻は、グレーヴェの中央広場の一角に小さくて美しい惣菜屋を見つけていた。そこで私は、少ないテーブルとオープンキッチンの店をやりたいという長年の夢を実現させた。最高の生産者が作った食材で料理を作る。これがこの店の哲学だ。重要なのは地元と季節。伝統は普遍でアンタッチャブルだ。
だが、伝統は博物館の展示物ではなく、生きていて、絶えず改革が繰り返される。
そして重要なのは人間だ。
歴史を感じない料理に興味はない。
私にとって今の時代に料理人をやるということはその土地と仕事を愛する、というこだと確信している。
手間ひまかけて生産物の品質を上げることに取り組み、仲間と環境に配慮する。
私はサッカーで言うなら、トップのフィニッシャーだが、後ろで走ってボールを奪うセンターやウイングがいなければなりたたない。
私の店のセンターとウイングは肉屋のエンリコ・リッチ、オイルの生産者のパオロ・プルネッティ、ビオワインの作り手、フランチェスコ・アニキーニ、パスタメーカーのジョヴァンニ・ファッブリ、生乳のチーズメーカーのマルコ・カッシーニたちだ。
どの料理も最低2人前で、おいしいワインと一緒に食べるように作ってある。
食事は人との出会いを楽しむ場でもある。
私の店がその機会を提供できれば光栄だ」

かなり熱い人なので、話も長い。
突然サッカーの話が始まるし・・・。
でも面白いので次回に続きます。

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総合解説

オステリエ・ディ・イタリア新版

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2020年1月24日金曜日

料理の香りが満ちる路地には、本物の暮らしがある。

イタリアのストリートフードには、粉ものと内臓の2つの柱があります。
粉ものの代表はピッツァ。
内蔵で人気なのは、フィレンツェのランプレドット。
でも、さほど内臓に精通していないと、なぜ、フィレンツェのランプレドットがこんなに人気なのか、正直言って、不思議です。
牛の胃袋が、なぜここまで愛されるのか。


お手頃価格でもとても充実した内容の本、『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
で、フィレンツェの有名店、チブレオのオーナーシェフが語ったトリッパのサラダのリチェッタが印象的でした。
店のwebページはこちら

トリッパのサラダのリチェッタは、こんな説明で始まります。
ヨーロッパを半分横断して運ばれてくる苛性ソーダで洗った白いトリッパでなく、フィレンツェの職人が蒸し器で下ごしらえした1キロのピンクのトリッパを、流水で5回洗って不快な匂いのもとになる脂を落とす。そして幅0.5cm、長さ4cm以内に切り、ビネガー1/2カップを加えたたっぷりの水に10分さらす。これがフィレンツェのトリッパ職人の下ごしらえだ。

チブレオの厨房
 

シェフは超個性的。


ファビオ・ピッキシェフはさらにこう語ります。
私はビジネスマンの料理人は信用しない。
それよりはバンで田舎を回って料理の香り付けにするネピテッラやローズマリーやセージを摘んでいるシェフを信用する。
ありがたいことにフィレンツェのトリッパ職人は市場の中にいることを選んでいる。
スリートフードの香りが路地を満たすとエンドルフィンが最高に高まるのは世界共通だ。
パレルモの市場やベネチアのバカロやエルベ島のバールには、本当の人生がある。


トリッパは、イタリア各地に名物料理がありますが、こんなに地元愛が強い食材だとは知らなかった。
ローマ風トリッパ

ファビオ・ピッキシェフのトリッパのサラダは、こう続きます。
本物のトリッパのサラダとは、フィレンツェの市場で、フィレンツェの農民がフィレンツェの畑で育てた野菜と前述のトリッパを混ぜ、フィレンツェのオリーブオイル大さじ4と上質のヨーグルト大さじ2、パルミジャーノ大さじ1弱、塩をハンディブレンダーで撹拌したソースをかける。

トリッパのサラダの材料は/10人分
トリッパ・・1kg
赤玉ねぎ・・小2個
にんじん・・2本
セロリ・・1株
EVオリーブオイル・・1/2カップ
イタリアンパセリのみじん切り・・大さじ1
にんにく・・2かけ
赤ワインビネガー・・大さじ4
白ワインビネガー・・1/2カップ
塩、こしょう、唐辛子

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総合解説
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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2020年1月23日木曜日

リボッリータとランプレドットはつながっていた

リボッリータの話を続けます。
リボッリータはトスカーナの野菜と固くなった残り物のパンと白インゲンの質素な冬の料理。
パスタ・エ・ファジョーリと同じようにスプーンを刺しても倒れないくらい、トロトロに煮ます。
料理は、まず豆を一晩水に浸して戻すことからスタートして、豆の皮がむけないように、塩は最後に加えます。
地元の農家の暮らしと強く結びついている料理で、肉が入らないマーグロな料理です。
農家で肉が入らない質素なスープをリッチにするには、ベーコンでも入れるのかな、と思いがちですが、ベーコンよりもっとお手軽な食材、トリッパを入れます。
イタリア中で造られている料理です。

バジリカータ料理の農家風トリッパ・エ・ファジョーリtrippa e fagioli alla contadinaファジョーリ・エ・トリッパ


材料/4人分
下ゆでしたトリッパ・・1kg
いんげん豆・・300g
ホールトマト・・500g
玉ねぎ・・1個
にんじん・・2本
セロリ・・1本
にんにく・・1かけ
唐辛子(好みで)・・1本
EVオリーブオイル
塩、黒こしょう

・玉ねぎ、にんじん、セロリの粗いみじん切り、潰したにんにく1かけ、唐辛子1本を深い鍋で油でソッフリットにし、細く切ったトリッパを加えて炒める。
・さっと撹拌したトマトと野菜のブロード、塩少々を加え、蓋をして弱火で30~35分煮る。塩味を整える。
。ゆでて水気を切った豆とこしょうを加え、蓋を取ってとろ火で最低20~30分煮る。煮込むと美味しくなる。翌日煮直してもよい。

トリッパ料理と言えば、フィレンツェ風トリッパのリチェッタも気になります。


基本は同じですね。

そしてフィレンツェのトリッパと言えば、ランプレドット。
ランプレドットとは、牛の第4胃のフィレンツェでの名前ですが、リチェッタを調べると、第1胃など他の胃袋を使うリチェッタもあります。


少しでも若くて胃袋が丈夫なうちに食べておきたいイタリアの内臓系スリートフードの代表格。
上の動画は『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』←この本に載っているリチェッタの解説です。
さらに、トリッパのサラダと言えば、チブレオ。
詳しくは次回に。


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総合解説
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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2020年1月22日水曜日

グランシェフがテイクアウトしたリボッリータ

今月は、トスカーナ人の豆好きを証明する料理としてパスタ・エ・ファジョーリをすでに紹介していましたが、今月の「総合解説」では、もう1品、トスカーナの代表的な豆料理を取り上げています。
“リボッリータribollita”です。
この料理の主役は皮が薄くて柔らかい白いんげんのカンネッリーニcannellini、またはトスカネッリtoscanelli、
冬の霜が降りると美味しくなる黒キャベツcaboro nero 、別名 braschetta。
そして塩気のないパーネ・トスカーノ、またはパーネ・ショッコsciocco、別名sciapo。

天気予報で雪が降るかもなんていってる日にはぴったりの料理。


田舎の家庭料理そのもののこの料理をちょっと特別なものにしているのは、黒キャベツ。
その別名はケール。ケールやサボイキャベツで代用も可です。
黒キャベツの下ごしらえ
 ↓

さらに「総合解説」ではミラノ万博の際にトスカーナ料理の代表としてリボッリータを作ったグレーヴェ・イン・キアンティのオステリア・マンジャンド・マンジャンドのシェフの話も載せています。
店のwebページはこちら

シェフのサルヴァトーレさん。


異色の地方料理書の力作、『カルロ・クラッコの地方料理
で取り上げているトスカーナ料理は、まずリボッリータでした。
シェフは
「トスカーナ料理を代表する定番の1品、リボッリータは、質素な畑の冬野菜のズッパで、料理の出来は、料理人の経験と野菜の質によって決まる」と書いています。
私が食べた最高のリボッリータは、とても寒い冬の日にアレッツォのラウラの家で食べたもので、さんざん食べて満腹になった後に出されたが、一口食べて夢中になり、あまりに美味しかったので、家に持ち帰ったほどだ。
ここではそのラウラのリチェッタを紹介しよう。
すでに完璧だったので、何も手を加える必要はなかった」

リボッリータRIBOLLITA
材料/8人分
戻した白いんげん(カンネッリーニ)・・500g
カーヴォロ・ネロ・・400g
キャベツ・・100g
じゃがいも・・100g
スイスチャードかエルベッテ・・100g
トマト・・3個
セロリ・・3本
玉ねぎ・・大2個
にんじん・・大2本
パーネ・トスカーノ・・8枚
にんにく・・3かけ
セージ、ローズマリー
トスカーナ産EVオリーブオイル
塩、こしょう、唐辛子
トロペアの赤玉ねぎ(好みで)

・玉ねぎ、にんじん、セロリをみじん切りにして陶器の鍋で油少々、セージ、ローズマリー、皮付きにんにく1かけ(最後に取り除く)でソッフリットにする。白いんげんを加え、水で覆って煮る。
・豆が柔らかくなったら半量を取り出してミキサーにかける。
・鍋に小さく切ったトマトと香味野菜のみじん切り、小さく切ったカーヴォロ・ネロ、キャベツ、じゃがいも、スイスチャード、塩少々、ミキサーにかけた豆、水気をきった丸ごとの豆を加えて再び水で覆い、中火で蓋をして30分煮る。野菜が十分柔らかくなって混ざり合うまで煮る。こうなったらパーネ・トスカーノを加えて2分沸騰せる。火から下ろして冷まし、休ませる。
・翌日、リボッリータと油少々を鍋に移し、唐辛子を加えて塩、こしょうで味を調える。
・弱火で約20分煮て水気を飛ばす。
・皿に盛り付けてトスカーナ産EVオリーブオイルをまわしかけ、生のトロペアの赤玉ねぎ1/2個の薄切りを散らす。

※この料理はパンがスープを吸って溶けるまで最低1~2日必要。
私はフォークで食べることができるくらい水気が少ないバージョン(アッシュッタasciutta)が好きだ。このスープはバジリカータ発祥のトリッパ(センマイ)がベースの歴史の古いスープに似ている。野菜は殆ど入っておらず、ペコリーノでつないで唯一の野菜、セネージ唐辛子のパプリカで調味する。質素だが風味豊かな1品だ。


確かに、リボッリータには肉が入っていないので、ベジタリアンでも食べることができるスープ。

農家で豆のスープをちょっとリッチにする時は、トリッパを加えるんですね。
これは次回のテーマに・・・。

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総合解説
カルロ・クラッコの地方料理
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シチリアにはすべての鍵がある

シチリアの伝統料理を集めたミニ料理書、 “ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ『シチリア・イン・ターヴォラ』 には、イタリアの南の島をイメージするパスタがたくさん載っています。 あまりにどれも美味しそうなので、よく考えてみたら、シチリアは、イタリア料理とパスタ...