2018年4月30日月曜日

春の前菜、プリーモ

快晴のゴールデンウイーク序盤には、なんとなくウキウキ分で春めいたイタリアンなんか食べたくなります。
そこで、季節ごとに料理を紹介するの本をぺらぺらめくりながら、コース料理を選んでみました。
オステリアやトラットリアのガイド本、“マンジャロッツォ”でおなじみのカルロ・カンビ氏の本、『ミリオーリ・リチェッテ・デッラ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ』には、


英語とイタリア語の完全2か国語表記で、内容もぐっと読みやすくなった豪華仕様版があまりす。


この本から選んでみましょうか。
まず前菜は、アンチョビ料理なんてどうでしょう。
アンチョビは海深くにいて、産卵期になると海面近くに上がってきます。
この時期のアンチョビが一番美味しい。
イタリアでは春から夏です。

春の代表的アンチョビ料理は、リピエーネのフリットやマリネ。
リピエーネのフリットは、ジェノヴァの伝統料理。
そこでニュートンのクチーナ・イタリアーナシリーズの『リグーリアの魚料理』を見てみると、


料理写真の一番最初に、詰め物で丸々と太ったイワシの香ばしそうなフリットの写真が。
アンチョビの詰め物は“acciughe ripiene”。
aから始まるから、一番最初でした。
ジェノヴァの海辺の地区、フォーチェのリストランテ・ドゥエ・パッシ・ダル・マーレの名物料理はアンチョビのリピエーナ。
 ↓


印象的な店名の“ドゥエ・パッシ・ダル・マーレ”は「海から2歩(すぐ前)」という意味。
ベーシックなリチェッタなのでバリエーションは無数にありそうです。
一方、アンチョビのマリネは、美味しい旬のアンチョビを味わう最善の方法。

次はニョッコ・フリット。


モデナの名物料理です。
モデナでは前菜として、サラミやクラテッロ、ラルド、生ハムと一緒にランブルスコで味わいます。
生ハムやサラミと一緒にニョッコ・フリットを食べると病みつきになりますよね。

新野菜の季節は野菜のフリット・イン・パステッラの盛り合わせも美味しいですよね。
カルロ・カンビさんは『ミリオーリ・リチェッテ』の中で、日本の天ぷらに激しいライバル心を燃やしています。
でも、もちろんカルロさんに言わせればイタリア料理の勝ちです。
そういえば、カルロ・クラッコシェフの本にも天ぷらの衣についての解説がありました。
イタリア人のグルメたちは、寿司の次に天ぷらを発見して、徹底的に研究したようです。

プリーモは、トスカーナのアクアコッタから始まって、ヴェネトの鴨のビゴリ、グリーンピースのクレーマ、ムール貝のパッケリ、チェーチのピーペ・リガーテ、イカ墨のリゾット、ゴルゴンゾーラのリゾット、ツナのスパゲッティ、タリアテッレ・パリア・エ・フィエノ、ワイルドアスパラガスのタリアテッレ、じゃがいも、ムール貝、米のティエッラなど。

鴨のビゴリ
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イカ墨のリゾット
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この盛り付けは子供はウキウキしそうですね。
それではBuon golden week!!


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2018年4月27日金曜日

イタリア料理とカルチャーギャップ

今日は前菜の話。
前菜はコース料理の始まりの料理で、イタリアでもアントレやオードブルという呼び方が定着しています。
『サーレ・エ・ペペ』誌によると、
そもそも、前菜は古代ローマ時代にもあった古い料理ですが、オードブルとして広まったのは、フランスでロシア料理の前菜が広まったのが始まり。
ウオッカを飲みながらキャビア、シーフード、パテ、ビニェ、サラダなど好きなものを取ってつまむ、というスタイルだったそうです。
ロシアの革命の影響で亡命貴族がパリに大挙して逃げてきたのは、フランス革命時に、フランスの貴族がロシアに亡命して、フランスの貴族文化を伝えていた影響があるとか。

フランス貴族がロシアに与えた影響が感じられる「戦争と平和」。
主人公のピエールの発音はロシア語ならピョートル。
でもフランス文化が広まっていた貴族の間ではフランス語風にピエールと呼びました。by wiki



イタリアの定番の前菜は、生ハムやサラミの盛り合わせに酢漬けやオイル漬けの野菜添え、生ハムとメロン、レバーのクロスティーニ、ブルスケッタなど。
フランスからの亡命貴族の影響を強く受けた州はピエモンテなので、ピエモンテの前菜を調べると、フランスの影響が感じられるはず。

これらのことをまとめると、
アンティパストとオードブルの違いは、ざっくり言うと、フランスの影響が感じられるかどうか、ということのよう。
フランスの影響とは、貴族文化こと。
という訳で、snsが広まりを見せる昨今、イタリア料理に大きな変化が訪れています。
家庭料理がルーツのイタリア料理でも、洗練された料理とか、見た目が美しい料理を意識する人が増えているようです。
もちろんプロの料理は常に見た目の美しさを追求していましたが、家庭料理にも、この波は押し寄せたようです。

料理を美しく盛り付けるのは、当たり前のことと思いそうですが、日本のこだわり方は、世界的にみると、かなり異例。

ミラノのリストランテ・ダニエルのシェフは、新店舗のコンセプトのヒントを東京の現代イタリア料理の店から得たそうです。
 ↓


かなり攻めていますね。
外国料理を取り入れるのには保守的な国の人にしては、相当画期的です。
個人的には、保守派にも賛同できますが。
保守派の主張
ピッツァにパイナップルを入れるとボロクソ言われます。
 ↓


下の動画、www、チョー受ける。
フランス料理を褒められてイタリア料理愛が止まらない・・・。

フランス料理は世界中に広まってるでしょ。
イタリア料理はパスタとピザだけじゃない。

パスタは何百種類もあるんだよ。
ソースも同じだ。
地中海沿岸のすべての国は、とても健康的な地中海料理を食べているんだよ、
唯一の例外がフランスさ。
しかもイタリアのピッツァ消費量は世界10位だけど、1位はフランスなんだよ。
こんな調子で熱く続きます。
 ↓


ピッツァ・ナポレターナvsアメリカン・ピッツァ
 ↓


ナポリ・ピッツァのピッツァイオーロがアメリカのピッツァを前にして鼻で笑いながらボロクソに言ってます。

イタリア人の盲目的な祖国愛は、アメリカのマフィア映画にも欠かせないネタ。
「ソプラノズ」でイタリア系のマフィアたちが、フランス系のカフェでコーヒーを注文しながらぼやくボヤク。
オーダーの仕方が難しくて
普通のコーヒーくれ、と言ったら、
カフェ・ド・ジュールはニュージーランドピーベリーです。
と言われてマフィアが絶句(www)




イタリア料理も外国の食文化を取り入れながら現在の姿になったことを伝えたかったのですが、イタリア料理のカルチャーギャップねたが面白すぎて脱線しました。


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“魅せる前菜”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2015年12月号に載っています。
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2018年4月25日水曜日

『プーリア・イン・クチーナ』

今日は新入荷の本、『プーリア・イン・クチーナ』の紹介。
地方料理の新しいシリーズの冊です。
このシリーズの特徴は、イタリア語と英語の2か国語表記



写真が秀逸で装丁が立派な豪華本です。
プーリア料理を象徴する光景と言えば、これ。
道端にテーブルを出してのパスタ作り。



この本の道端のパスタ作りの光景は、赤ちゃんを抱いた若い女性とその母親と思しき女性の、ほほえましい写真です。

プーリアの名物野菜、チコーリアを収穫する人たちは、どや顔でほほ笑んでいます。
プーリア人のプライドも感じられるいい写真。

ソラマメとチコーリア
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チコーリアはとても興味深い野菜です。
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この本は、料理の間にプーリアの暮らしや伝統が感じられる写真をたっぷり挟んでいます。
いわば、見る料理書です。

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2018年4月23日月曜日

スタージュ

今月の総合解説は12月号なので、クリスマス料理の記事が中心でした。
クリスマスはイタリアでは家族が勢ぞろいしてプランゾを食べる貴重な機会。
今年の記事はイタリアの家族あるあるが、なかなか面白かったです。
なぜ他の季節には家族が勢ぞろいしないのかというと、まず、お父さんは相変わらず仕事が忙しいんだそうです。
息子たちは外国でスタージュ中だそうですよ。
独身の娘たちは、クルーズ船で旅行中。

なんだか外国の話とは思えませんねー。
息子や娘たちは、どこの国でも外国でスタージュ中なんですね。

このスタージュという言葉、とても印象に残りました。
スタージュはインターンシップのこと。
イタリアの学生も、どんどん外国での研修に出ています。



料理人にも欠かせない、若い時でないとできない体験。



一流レストランのシェフたちが、ハイクラスの料理人を目指すイタリアの若者向けの団体も作りました。
そこでのスタージュ体験を語ってます。



クルーズ旅行に出かけてる人もいる一方で、将来を見据えている人もいるんですね。
実際にスタージュ中の人も大勢いるはず。
頑張ってください。
お母さんにはあまり心配かけないでねー。



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”伝統を取り入れたクリスマスのプランゾ”の記事の日本語訳は「総合解説」2015年
12月号に載っています。
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2018年4月20日金曜日

モンテ・ヴェロネーゼ

ヴェネトの話題が続いたところで、今月の食材もヴェネトのチーズです。
モンテ・ヴェロネーゼ
 ↓



歴史の古いDOPチーズで、その名の通り、ヴェローナ北部の山岳地帯で造られています。
レッシーニ山地やバルド山で飼育されている牛乳から作るチーズです。




イタリアのDOPの山のチーズの中では、もっとも重要と見なされています。
フレスコとアッレ―ヴォの2種類がありますが、特徴が強く表れているのは山の放牧地で過ごした牛の夏のミルクから造り、1~2年熟成させたダッレーヴォ。
長く熟成させたものはおろして使うこともできます。
高原の草や花の香りが特徴。

ラディッキオ・ロッソと米というヴェネトの名物食材を使うリゾットには、ヴェネトのチーズ、モンテ・ヴェロネーゼがぴったり合いそうですね。
ラディッキオの味を消さないようにマイルドなフレスコタイプを使います。
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座って料理を作る人たち、初めて見ました。


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モンテ・ヴェロネーゼを紹介しているのは「総合解説」2015年12月号の"今月の食材"です。 [creapasso.comへ戻る] =====================================

2018年4月18日水曜日

『パスタ』の新着本

今日は新入荷の本の紹介です。

パスタ・レボリューション


パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア









『パスタ・レボリューション』は、副題が"pasta conquista l'alta cucina"。
アルタ・クチーナのパスタの本です。
『パスタ・ヴィアッジョ』は、副題が"Viaggio in Italia in compagna di grandi chef"
20州の20人のシェフによる、乾麺の地方料理の本。

『ヴィアッジョ』は地方料理という縛りがありますが、どちらも有名シェフたちによる饗宴。
『レボリューション』は乾麺のパスタという縛りだけで、シェフの個性が咲き乱れています。
『ヴィアッジョ』はイタリアの地方料理をインターナショナルな知名度にしたいと言う、トップパスタメーカーの野望が感じられます。
『レボリューション』は、農民と主婦が作り上げてきたイタリア料理の最終形態の一つを感じます。
どちらもパスタはイタリアが生んだワールドクラスの食文化というプライドが強烈に感じられますが、その考察が、本格的でとても面白いのです。

例えば、こんな一文。
"小麦粉と水があれば誰でも作ることができるパスタだが、イタリア人だけが、これを乾燥させた。"

プーリアのオレッキエッテ、ナポリのパッケリ、トスカーナのピチ、リグーリアのトロフィエなどのようにパスタの形は地域主義のメタファー。
対外的には"マカロニ"と総称で呼ばれることを許しても、イタリア人の中では、反グローバリズモの流れが常にあります。

パスタの主要な"地域"は、シチリア、ナポリ、ジェノヴァ、ボローニャ。
イタリアには、方言を含めて1238種類のパスタの名前があるそうです。
さらに、どのパスタも偶然生まれて偶然生き残ったのではなく、必ず生み出された理由があります。

『レボリューション』は、写真も面白いんです。
ゲイリー・クーパー主演の『マルコ・ポーロの冒険』という1938年の映画のワンシーンは、中国人とおぼしき人物が箸で麺を持ち上げているのを、イケメンのマルコ・ポーロが見つめている、という興味深い写真。
実際にこんなシーンあったかもね。

マルコ・ポーロは、西洋人に取ってこんなイメージ?
 ↓


まるでゲーム・オブ・スローンズの世界。
さらに、アングロ・サクソン系の女性がスプーンとフォークで悩みながらスパゲッティを食べるポスターのような写真もあります。
イタリア人のパスタに対するプライドの高さは、昨今の日本食ブームを体験した日本人にはよくわかるのでは。

とにかくじっくり読みたくなる面白い本です。


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2018年4月16日月曜日

ハリーズ・バーのベッリーニ

今日は「総合解説」12月号より、ハリーズ・バーのベッリーニの話。

日本からの観光客にとっては、ただのバカ高いピーチのネクター入りシャンパン、ということになるかも知れません。

でも、ハリーズバーのことを良く知ると、イメージが変わるかも。

まずバカ高いのは、ベネチアのような国際的で高級なリゾート地では、物価も超べらぼうなので、頭に来てるうちはあなたも庶民、ということですかね。
次は、もっと小遣いを貯めて乗り込みましょう。

ハリーズバー
のことは、とても面白かったのでいろいろなところで訳を載せてきました。
この店が誕生した経緯を知ってハリーズ・バーでベッリーニを飲むと、一段と美味しく感じると思いますよ。

それではカクテルのリチェッタです。
動画は、世界中の色んな人が上げていますが、どうもハリーズ・バーとしては上げていないようですね。



「総合解説」を読んでいただければよくわかりますが、そもそもハリーズバーのベッリーニは、白桃が一番美味しくなる季節、つまり7月にだけ出していたそうです。
桃は皮ごとシノワかマッシャーで潰してピューレにします。
ミキサーにかけると空気が入るので使いません。
細かいこだわりがあったんですねー。
旬の白桃が手に入る人は、ぜひトライしてみて。

「総合解説」ではチョコレートケーキのリチェッタも訳しました。
ハリーズバーのチョコレートケーキはなかなか人気のようですよ。
もちろんカルパッチョのリチェッタも訳しました。
この料理が誕生した時の有名なエピソードにも、ちょとした裏話がありました。






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『ハリーズ・バー』のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2015年11月号に載っています。
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2018年4月13日金曜日

春の野菜

今日はイタリア便りをどうぞ。
それではSegnalibroさん、お願いします。

すっかり春になりました。
先週、私の住む町では春の植木市祭りが開催され、人口約16,000人の田舎町が8万人の人出で賑わいました。
窓辺にお花を飾るドイツ語圏の人たちとは違って、北イタリアの人々はあまりお花に興味がないのかと思っていましたが、大勢の人がお花や苗木を両手に抱えて買う買う買う!
雰囲気にのまれて、私も小さなチューリップを買ってしまいました。
お花って、見ているだけで幸せな気持ちになれるから不思議です。

Noale in Fiore

Noale in Fiore

春が来るとウキウキするのは、新しいことが始まる季節だからでしょうか。
先日、町の広場に面した一角に若者3人が八百屋さんをオープンしました。
植木市祭りは日曜日でしたが、この日も張り切って出店中。
左のお兄さんは、カルチョフィを剥くプロです。お店で剥いたのを売ってくれるので、ここに来てから、面倒なカルチョフィの下処理をしなくて済むようになりました。冬の間楽しんだカルチョフィも、そろそろ終わりです。

negozio frutta verdura

bruscandoli

ヴェネトの春野菜、ブルスカンドリを初めて見ました。
ブルスカンドリはこの地方での呼び名だそうで、イタリア語ではルッポロ。ホップの若芽で、フリッタータやリゾットに入れて食べるのだそうです。
ヴェネトの春の野菜、メルカートやスーパーでは、見慣れない聞き慣れない野菜がたくさん並んでいて戸惑います。

Mercato

お野菜と言うより雑草感が半端ない陳列ですが、ロゾレという野菜はあっという間に売り切れていました。
ロゾレって何?
お店の人に聞くと、ロゾレは方言でPapavero(ヒナゲシ)とのこと。え、丘の上のヒナゲシの若芽~♪って食べられるの?
ケシと聞くと、食べたらラリってしまいそうな成分が含まれているような気がしましたが、調べてみると、どうやら若芽ではラリれないみたいです。
試しに生でかじってみると、見事に草の味。生で食するのではなく、火を通してから食べるのが正解なんだそうです。

先日、お庭の草むしりをしたというお友達が、イラクサにやられちゃって、とぼやいていたら、それを聞いた別の友人が、イラクサは食べれるし、化粧水にもできるのよ、とアドバイスしていました。

イタリアの短い春、楽しみます!!

Grazie Segnalibroさん。
ロゾレというのは初めて聞きました。
チューリップ、こちらでも咲いてますよー。
イラクサは庭の雑草扱いなんですね。
イラクサを料理して食べる日は来るのでしょうか。



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2018年4月11日水曜日

ヴェネトとヴェネチア

今月の地方料理はヴェネト料理。
グリバウドの地方料理シリーズの『ヴェネト』
ニュートンシリーズの『クチーナ・ヴェネタ・ディ・マーレ
ハリーズ・バー
のリチェッタを主に訳しました。

ラツィオのローマ、カンパーニアのナポリと並んで、ヴェネトといえば、ヴェネチア。

ヴェネチアとヴェネトは、同じもののようで全然別物。

ヴェネト州の都市
 ↓


ヴェネトの自然
 ↓


ヴェネチアは昔から欧米人の憧れの地だったので、情報量もすごい。



ヴェネト料理
 ↓


ヴェネチア料理
 ↓



訳してみて感じたのは、やっぱり主役は圧倒的にヴェネチア料理。
国際的な観光地なだけあって、ゴージャスで魅力的な料理に溢れています。

特にチケーティのような料理が生まれるだけあって、冷えた白ワインに合いそうなシーフードのつまみ料理が多い!

代表的チケーティ料理、バッカラ・マンテカート。
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“ヴェネト料理”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2015年11月号に載っています。
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2018年4月9日月曜日

モディカ


ラグーザ県のグルメガイド、続けます。

ラグーザ県
 ↓


ラグーザ県はチョコレートで有名なモディカがある地方。
モディカのチョコレートはシチリアの大きな観光地でなら売っているとは思いますが、やはり一度は現地のアンティカ・ドルチェリーア・ボナイユートを訪れてみたいもの。



砂糖のじゃりじゃりした砂のような食感がある溶けないこのチョコレートを使ったモディカの名物ドルチェは、“'mpanatigghi/ンパナティッギ”。
モディカのチョコレート、砂糖、アーモンド、牛挽肉の詰め物のパスタ・フロッラのラビオローニ。
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パスタ・フィラータのチーズ、ラグザーノDOPなども有名。



モッツァレッラに代表されるイタリアならではの特徴的なチーズで、長期間保存できるタイプ。
豊富な牧草があった地方のパルミジャーノなどとは全く違う、地中海の硬質チーズ。
保存方法も、塩漬けではなく、長期熟成、という方法を用いています。

独特の形にして柱にかけて乾燥させるところからついた名前が、カチョカヴァッロ。
カチョはチーズ、カヴァッロはまたがるという意味。
地中海式のチーズを熟成させる知恵が詰まったチーズです。
香りを味わってください。
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モディカのアグリトゥーリズモ イル・グラナイオ。
レストランは要予約。




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“グルメ旅~ラグーザ県”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年11月号に載っています。
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2018年4月6日金曜日

イタリアで一番愛されている警部、モンタルバーノ

今月のイタリアグルメ旅は、ラグーザ県です。
テレビの人気シリーズ、“モンタルバーノ警部”の家がある地方で、番組の撮影もこの地方で行われているそうです。
“モンタルバーノ警部”はアンドレア・カミッレーリ原作の人気ミステリーで、以前、ブログでも取り上げています。→こちら
このシリーズ、シチリア料理もうまく使われていて、なかなか面白いのです。
日本語の文庫本もあります。
初回が放送されたのは1999年。2018年現在も続いています。

こんなドラマ
オープニング

人気ドラマに欠かせないスピンオフシリーズもあります。
“ヤング・モンタルバーノ”のトレイラー
 ↓


聖地巡礼も盛んな人気番組。
シチリアの美しい街と美味しい食べ物が満載なだけでも興味津々。



これは行きたくなりますねー。
行く前に、この地方の特産品のチェックも忘れずに。
名物の話は次回です。

おまけの動画
このドラマのおかげでアランチーニが世界中に知られるようになったという声まである「モンタルバーノのアランチーニ」
聖地の一つ、モンタルバーノの家の隣でも売っています。
 ↓



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“グルメ旅~ラグーザ県”の日本語訳は「総合解説」2015年11月号に載っています。
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2018年4月4日水曜日

ボッタルガのスパゲッティ

今朝の検索ワード上位は、youtube襲撃関連が並ぶ中、いきなりボッタルガが5位!?
どうやらもこみちくんが今朝の料理で使ったらしい。

それにしても、ボッタルガって何?
東京の人のご家庭にはボッタルガが常備されてるの?
みんなボッタルガ知ってる前提でもこみちくんが説明せずに料理するから、ボッタルガって何と大量に検索されたらしい。
あの番組の影響力、すごーい。

ボッタルガは昔はマグロの卵で作ったけど、今はマグロが貴重すぎて日本同様、主にボラで作ります。
味は強くてアーモンドのようなほろ苦い後味があります。
ボラのボッタルガはマグロのものより味がデリケート。
サルデーニャの名物ですが、他にはシチリア、カラブリア、トスカーナなど、マグロ漁の伝統がある地域で造られていました。



ボラの卵巣を洗って塩漬けして干して型押し、乾燥させながら4~5ヵ月熟成させたものです。
我が家は横浜ですが、近所のスーパーではボッタルガパウダーを売っています。
多分、今までそのその存在を知らなかっただけで、気を付けて探せば案外売っているかも。

偶然ですが、今日はパオロ・ペトローニ著『スパゲッティ・アモーレ・ミオ』からリチェッタを紹介しようと思っていたので、迷わず、この本からボタルガのスパゲッティをチョイス。
もこみちくんの人気に便乗させていただきます。

パオロ・ペトローニ氏はイタリア料理アカデミーの会長さんで、料理書の著書も多数あり、世界的に有名なイタリア料理界の重鎮のジャーナリストです。



【ボッタルガのスパゲッティSpaghetti alla bottarga】

 4人分

 スパゲッティ、またはリングイーネ、ブカティーニ・・350g
 ボラのボッタルガ・・60g
 にんにく・・1かけ
 オリーブオイル
 塩、粒白こしょう

・丸ごとのにんにくをオイル大さじ6で炒め、軽く焼き色がついたら取り出してフライパンを火から下ろす。
・ボッタルガの半量をおろしながら直接オイルに加える。軽く塩をしてよく混ぜる。
・パスタをアルデンテにゆでてフライパンに入れ、パスタのゆで汁とオイルを加えながら弱火でなじませる。
・すぐにサーブする。チーズは散らさない。挽き立ての白こしょう少々とおろしたボッタルガを散らす。




ボッタルガの主なリチェッタは、おろしてスパゲッティに入れるかスライスして前菜としてサーブするかぐらいですが、
サルデーニャつながりで、アサリとボッタルガのフレーグラをどうぞ。




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2018年4月2日月曜日

バーリのブラックチェーチとボローニャのモルタデッラ

今月の「総合解説」の今月の食材に、初めて見るものがありました。

ムルジャ・バレーゼ地方のチェーチ・ネリ、ブラックチェーチです。
戻し時間や調理時間が長いことなどから扱いにくく、農家で自家用に栽培されている程度でしたが、鉄分や食物繊維が豊富な良質植物性たんぱく質である点などがアピールされて生産量を増やしつつあるようです。
チェーチ・ネリの単数形はチェーチェ・ネロなんですね。
 


一見すると小豆みたい。
甘くてコクがある味。
バーリ県のアックアヴィーヴァ・デッレ・フォンティのチェーチェ・ネロの収穫祭。
 ↓


野菜が美味しいプーリアのムルジャ地方の産物が満載の豆のスープ。
 ↓



小皿で何皿もサーブするのは都会のサーブ方法で、農家では様々な食材を混ぜて大皿にどーんと盛り付ける、という話、面白いですね。

話は変わって、今月のメイド・イン・イタリーの食材は、モルタデッラです。
モルタデッラの一番の特徴は、オーブンで温風で乾燥させて長期保存できるようにしている点。
脂身はのどの固い部分。
この大きな形は豚の膀胱に詰めるから。



モルタデッラのローマ風ピッツァ
 ↓


焼き立てのローマ風ピッツァのサクサク感、音だけでも美味しそうです。


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“今月の食材”と“モルタデッラ”の記事の日本語訳は「総合解説」2015年11月号に載っています。
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生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...