2010年8月30日月曜日

フィレンツェの老舗カフェ

今日はフィレンツェのカフェの話。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。

この記事で、「イタリアの老舗カフェ」として紹介されている8軒のうちの3軒が、フィレンツェのレプッブリカ広場(共和国広場)にある店。

レプップリカ広場は町の中心部にあって、周囲を建物に囲まれた長方形をしています。
フィレンツェはイタリア王国の首都だったことがあるのですが(1865~1871)、その当時、現在の姿に整備されました。
歴史や芸術の香りが漂うドゥオモ広場やシニョリーア広場と違って、レプッブリカ広場は商業スペースとして多くの人々を集めています。

フィレンツェを訪れた人なら、多分一度はこの広場に足を踏み入れたことがあるのでは。
しかも、この中のどこかのカフェで一服したことがある人も多いはず。


ピアッツァ・デッラ・レプッブリカ Piazza della Repubblica






この広場の老舗カフェの1つが、パスコフスキ Paszkowski。
1846年にビアホールとして開業し、ほどなくして、現在のようなライブ演奏も行うカフェとなります。
内装は20世紀初頭の雰囲気。
1991年に国の文化財に指定されています。

hpはこちら


Paszkowski restaurant



この日の演奏はサンタナのコピー。







2軒目のジュッベ・ロッセ Le Giubbe Rosseは、1897年に、ドイツビール製造業者のライニングハウス兄弟が始めた店。
カメリエーレがウイーン風の赤い上着(ジュッベ・ロッセ)を着ていたところから、言いにくい外国語の正式名ではなく、「ジュッベ・ロッセの店」という呼び方が広まったんだとか。

1913年にフィレンツェの未来派の本拠地に選ばれて以来、著名な文化人の集まる場所として有名。
文学的なイベントの会場にもなっていて、討論会や本の紹介イベントなどがよく開かれています。

hpはこちら








そしてもう1軒は、ジッリ Gilli。
記事では、「もっとも上流志向の店」と紹介しています。
確かに、お値段も上流志向。
1733年に別の場所で開業して、1920年代に現在の場所に移転。
フィレンツェで唯一のベルエポックスタイルの店。

hpはこちら


Firenze


Valentine in Florence
バレンタインのケーキ




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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2008年8月号
「コーヒー」の記事は総合解説'07&'08年8月号に載っています。

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2010年8月27日金曜日

魚のフリットのナンバー1の店

ガンベロ・ロッソが選ぶベスト10シリーズ、前回のフリットナンバー1の店に続いて、今日は2位に選ばれた店の紹介です。

1位はピエモンテ風フリットミストの店で、肉と内臓のオンパレードでしたが、2位は魚のフリット。


2位に選ばれたのは、ダ・ヴィットーリオ Da Vittorio。

ミシュランで3つ星の店ですねえ。
ベルガモ県(ロンバルディア)のブルーザポルトという町にあります。
海のない町の、魚料理が自慢の超高級店の料理がナンバー2とは、ある意味、ガンベロ・ロッソの好みが強く出てますね。

店のhpはこちら

hpによると、店は1966年創業。
創業者は先代のヴィットーリオとブルーナ・チェレーア夫妻で、当時から魚料理を出す店でした。
1970年にはミシュランで1つ目の星がついています。
夫妻には子供が5人いて、長男のエンリコ(通称キッコ)が現シェフ。
ロベルトもシェフ。
フランチェスコはソムリエ。
ロゼッラはホテルとレストランの接客。
バルバラはベルガモ・アルタにあるパスティッチェリーア経営。



Second Generation Family Business - Personal Impressions
店のエントランス。
グランドピアノの上に飾ってあるのはチェレーア家の写真。



Empty Dining Room
店内




魚のフリットゥーラ



インタビューに答えるエリンコの動画。
土曜の夜は110席が埋まるそうで、繁盛してますねえ。
料理を始めたのは7、8歳の時。
お薦めの自慢料理はフラゴリーネ・ディ・マーレ(小型のイイダコ)・アル・ヴェルデ、ベルガモ風ポレンタ添え。







次の動画は、ダ・ヴィットーリオの春のメニュー。
ズッキーニのロワイヤル
じゃがいものクリームと頬肉の煮込み
アスパラガスとスクアックエローネ(フレッシュチーズ)のオルゾット(大麦のリゾット)
ヒラメと子牛の頭肉のテリーヌ
クレーマ・ブリュレ、ピエタチオのクリームとスプーマ・アマーラ、自家製ピッコラ・パスティッチェリーア








ちなみに、ダ・ヴィットーリオは高級店過ぎて手が出ない、という人には、第3位の店はどうでしょうか。

「最高のヴェネチアの海の幸のフリットを出す店」と評された、ヴェネチアのアル・コーヴォ Al Covo。

hpはこちら

“地元の魚と甲殻類のグラン・フリット”
“モエケのフリット”
などがお薦め。

フリットの写真はこちらのページに。
美味しそう!



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2008年7月号
「フリット、ベスト10」の解説は、「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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2010年8月23日月曜日

イル・チェントロのピエモンテ風フリット・ミスト

今日はレストランの話題。

今回は、ガンベロ・ロッソのベスト10シリーズで、「フリットの店ベスト10」のナンバー1に選ばれた店をご紹介。

その店は、イル・チェントロ Il Centro。

ピエモンテ州クーネオ県のプリオッカPrioccaという町にあります。
店のhpはこちら

とても評判の良い店です。

hpの紹介文にはこう書いてあります。

「イル・チェントロは、ロエーロの丘のぶどう畑に囲まれた、プリオッカという小さな村の中心部にある店です。
イル・チェントロの歴史が始まったのは1956年のこと。
リタとピエトロ・コルデーロが居抜きで買い取った店は、やがて息子のエリンコとその妻エーリデに受け継がれ、現在は二人の子供たち、ヴァレンティーナとジャンピエロも加わっています」

シェフはエーリデさん。
ピエモンテの伝統にしっかり軸足を置きつつ、素材を選ぶ確かな目と揺るぎない自信が感じられる料理です。


そしてこれが、ベストフリットと評価されたイル・チェントロのピエモンテ風フリット・ミスト。


この店のフリット・ミストについては、web上でも様々な人が賞賛しています。
たとえば、ラ・スタンパ紙の記事では・・・

「ピエモンテの祝日の定番料理、フリット・ミストは、豚をさばいた日に、全ての部位を無駄なく食べるために作られていた料理だった。
塩味のものと甘いものを組み合わせるのが特徴で、臓物、肉、野菜だけでなく、フルーツ、セモリーノ、アマレッティも揚げる。
そんなピエモンテ風フリット・ミストの最高のものを出す店の一つが、イル・チェントロだ。

この店の料理の美味しさは、グリッシーニや自家製パンをかじってみるだけで分かる。
アペタイザーは、スプーンの上に盛られたヴィテッロ・トンナート。
フリット・ミストはまず、豚足の“バトソア”とセモリナ粉のクリームの“セモリーノ”。
バトソアは口の中でとろけて、バニェット・ヴェルデ(サルサ・ヴェルデ)とよく合う。
セモリーノには、バルバレスコで煮たプルーンのモスタルダがぴったりだ。
他にトマトとピーマンのソースもある。

数が多いので順番ははっきり覚えていないが(忘れているものもあるかもしれない)、続いて豚のレバーとサルシッチャ、フォルマッジェッタ。
そして子羊のコストレッタとカリフラワー、豚肉、鶏のとさか、脳みそ、骨髄、アマレッティ、ズッキーニ、りんご、洋梨と続く。
締めはレモンのソルベット。

フリットは揚げたてが出てくる。
どれも日本の天ぷらにも負けないくらいデリケートで軽い」




イル・チェントロの他の料理の動画をどうぞ。


ゴルゴンゾーラクリームとバルバ・デイ・フラーテの前菜


材料は、牛乳、ゴルゴンゾーラ・ドルチェ、バルバ・デイ・フラーティ(アグレッティ)、うずらの卵、プレッツェーモロオイル(一緒にミキサーにかけたもの)、飾り用のエディブルフラワー。
・牛乳を70~80度に熱し、ゴルゴンゾーラを入れて4~5分かけて溶かす。
・漉して青カビを取り除く。
・バルバ・デイ・フラーティをオリーブオイルと塩で1~2分炒める。
・皿にゴルゴンゾーラのフォンドゥータを敷き、中央にバルバ・デイ・フラーティを巣の形に盛り付ける。
・中央に落とし卵にしたうずらの卵をのせ、花とプレッツェーモロオイルで飾る。




空豆とフレッシュトマトのニョッキ




トッローネ(ヌガー)のスプーマとヘーゼルナッツのソース






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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2008年7月号
「フリット、ベスト10」の解説は、「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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2010年8月19日木曜日

映画界の巨匠のCM

先週、バリラのハリウッド映画並みの壮大なCMを紹介しましたが、面白いのがまだありましたよ~。

バリラは広告宣伝にかなりお金を注いでいて、大物アーティストとのコラボをたくさんやっています。
CMの監督に映画界の巨匠を抜擢するなんてことも大好き。

過去に、デヴィッド・リンチ(『エレファント・マン』)、ジュゼッペ・トルナトーレ(『ニュー・シネマ・パラダイス』)、ヴィム・ヴェンダース(『ベルリン・天使の詩』)といった人たちがバリラのCMを作っています。



では、ヴィム・ヴェンダーズ監督の作品をどうぞ。






『グラディエーター』の予告編じゃないですよ。
パスタのCMですから。
バリラの創立125周年を記念した大作です。




そして次は、なんとあのフェデリコ・フェリーニの作品。
1980年代のものです。
傑作!






まさにフェリーニ。

高級レストランで、フランス料理だらけのプリーモ・ピアットのメニューを、フランス語で、自らに酔いながら並べたてるカメリエーレに、思いっきり色っぽく巻き舌で、「リガトーニ」と注文する上流階級の女。

セルフパロディーもここまで完璧だと、もはや芸術だあ。
いや~、バリラのリガトーニが今すぐ食べたくなりますね~。
ところが、なんとリガトーニはまったく登場していないんです!



おまけ。
フェリーニの『甘い生活』(1960)のトレビの泉のシーン。








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2010年8月16日月曜日

イタリアのブルーチーズ、ストラキトゥント

イタリアのブルーチーズの話、その2です。

2つ目のチーズは、ストラキトゥント Strachitunt(またはストラキトゥンド Strachitund)。

こんなチーズ

ロンバルディア州ベルガモ県のヴァル・ブレンバーナ地方、特にヴァル・タレッジョ地方で作られています。
牛の全乳を使用した“パスタ・クルーダ”のチーズ。

パスタ・クルーダは、前回も説明したとおり、カード(凝乳)をカッティング後に加熱しない製法のチーズで、ゴルゴンゾーラもこのタイプ。

ストラキトゥントとは、ストラッキーノ・トンド、つまり「丸いストラッキーノ」という意味です。

ストラッキーノとは、ゴルゴンゾーラ、タレッジョ、クレシェンツァ、クアルティローロなど、脂肪分の多い牛乳のソフトチーズのこと。
山の放牧地で夏を過ごした後に、麓へ下りてきたばかりの疲れた(地元の方言で“ストラック”)牛のミルクから作るところからこの名がついた、と言われているチーズ。
ただし、この話は言い伝えの一種でそれほど信ぴょう性はなく、チーズの腰がない固さを「疲れた」と表現してこう呼ばれるようになった、という説もあります。

イタリアのブルーチーズの代名詞ゴルゴンゾーラも、ゴルゴンゾーラ村で作ったストラッキーノなので、元々は「ゴルゴンゾーラのストラッキーノ」と呼ばれていました。
けれどその後、チーズの名前は省略されて地名だけが残り、いつしか地名がチーズ名となって、ゴルゴンゾーラ村で作らなくてもゴルゴンゾーラと呼ばれるようになっていった訳です。



ストラキトゥントを作っているベルガモの酪農家








さて、ストラキトゥントですが、このチーズ、カビを植え付けるのではなく、カビを自然に発生させる製法で作られています。
晩に固めて一晩水気を切ったカードと、朝に固めてさっと水気を切ったカードを混ぜるため、濃度の違うカードが完全に混ざりきらずに隙間ができます。
そこに穴をあけることによって空気が入ってカビが発生するという仕組みです。
天然のカビなので、チーズによって発生具合が違い、均一に発生することもありません。


ストラキトゥントはブルーチーズ特有の香りの強いチーズで、通に人気があります。
一度食べるとはまってしまう人も多いようです。
最初はタレッジョのような味で、そこにゴルゴンゾーラの味が加わるところから、「タレッジョの息子でゴルゴンゾーラの父」と言う人もいます。


ストラッキトゥントとカポコッロのリゾット


ストラッキトゥントとくるみのラザーニャ


ストラッキトゥントとじゃがいものタルト




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関連誌;『ア・ターヴォラ』2007年7月号
「ブルーチーズ」の記事の解説は「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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2010年8月12日木曜日

イタリアのブルーチーズ、ブルー・ダオスト

今日はブルーチーズの話。
『ア・ターヴォラ』の記事の解説です。


Salt & Pepper Crackers and Blue Cheese


ブルーチーズはイタリア語で言うと、formaggio erborinato(フォルマッジョ・エルボリナート)。

“エルボリナート”は、ロンバルディアの方言でプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)という意味の“エルボリン erborin”が語源。
カビの色がプレッツェーモロの色に似ていたんですね。

英語やフランス語だと“青(ブルー)”で、イタリア語では“緑”。
なるほど、カビの色も色々あるものですねえ。

roquefort vs. gorgonzola
左がゴルゴンゾーラ、右がロックフォール




イタリアのブルーチーズと言えばゴルゴンゾーラですが、他にもイタリア産ブルーチーズってあるんですねえ。
『ア・ターヴォラ』で紹介しているのは2つ。

まず、ブルー・ダオスト Bleu d'Aoste。

こんなチーズです。
アップ

ヴァッレ・ダオスタ産の牛乳のチーズ。
2005年にヴェローナで開かれた第4回フォルマッジ・ディ・モンターニャ(山のチーズ)オリンピックのブルーチーズ部門で金メダルを取っています。
ミネラルの印象の中に塩気とほろ苦さを含んだ味。
かなり強い味。
新鮮なバターの乳酸の香り、きのこの香り。
なめらかな舌溶け。

普通、ゴルゴンゾーラなどのソフトチーズは、カード(凝乳)をカッティング後に加熱しない(40度以下)“パスタ・クルーダ”という製法で作られます。
このブルー・ダオストは“パスタ・セミコッタ”と呼ばれるタイプで、48度以下に加熱します。
フォンティーナやアジアーゴもこのタイプ。
48~56度に熱するのは“パスタ・コッタ”で、パルミジャーノやグラナ・パダーノなどがこのタイプ。
つまり、加熱すれば保存期間の長いチーズになります。


ブルー・ダオストを使った料理を1品ご紹介。

■牛ステーキのブルー・ダオスト風味 Filetto di manzo al Bleu d'Aoste
(原文はこちらのページ

材料;4人分
 牛ヒレ・・250gが4枚
 ブルー・ダオスト・・200g
 バター・・100g
 洋梨・・2個
 ブロード・・200ml
 小麦粉・・少々
 生クリーム・・大さじ4
 塩、こしょう

・洋梨は皮をむいてくし切りにする。
・肉と洋梨をバターで強火で焼く。一度だけ裏返す。
・肉に薄く小麦粉をつけて再び焼く。ブロード、塩、こしょうを加えて煮詰める。
・水分がほぼ飛んだら肉にスライスしたチーズをのせ、フライパンに生クリームを注ぐ。
・蓋をして弱火で1分熱する。



こちらはアオスタのチーズショップの風景。

ヴァッレ・ダオスタに行ったら、フォンティーナだけでなくブルー・ダオストの味見もお忘れなく。


イタリアのブルーチーズの話、次回に続きます。



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関連誌;『ア・ターヴォラ』2007年7月号
「ブルーチーズ」の記事の解説は「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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2010年8月9日月曜日

パスタサラダ

今日はショートパスタの話。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。


パスタサラダが美味しい季節ですねえ。
サラダに使われている定番パスタと言えば、マッケローニ、コンキリエ、ペンネ、フジッリ、ファルファッレあたりでしょうか。



3色フジッリのパスタサラダ, photo by jacqueline-w


日本ではパスタをマヨネーズで和えたり、オイルとビネガーで調味することが多いですが、イタリアではそういうパスタサラダは少数派。
しっかり主張する具を使い、調味のベースはオリーブオイルと塩。
パスタサラダというより、十分にプリーモ・ピアット一品のボリュームなので、サラダパスタと呼ぶ方が適当かもしれません。



地中海風パスタサラダの動画。
具はツナ、一口サイズのモッツァレッラ、チェリートマト、黒オリーブ、バジリコ。
調味はオリーブオイル、ツナの油、塩、こしょう。
パスタはファルファッレが4人分で320g。
材料を混ぜたら30分ほどなじませます。








ショートパスタには様々なバリエーションがありますが、『サーレ・エ・ペペ』の記事ではちょっと変わった形のパスタを使ったパスタサラダを紹介しています。


まず、“ディスキ・ヴォランティ”。
「空飛ぶ円盤」。

こんな形



“カステッラーネ”。
中世の宮廷で、たっぷりドレープのついたスカートをはいた女性たちが、歩くときにスカートを左腕に巻きつけていた様子のことなんだそうです。
バリラが製品化しています。

こんな形



エピとトマトのカステッラーネ, photo by Jeff Belmonte



次は“ヌーヴォレ”。
「雲」です。

こんな形
確かに、つかみどころがない・・・・。



そして“フィオッキ・ダモーレ”。
「蝶結び」。
パスタ・グラノーロの製品。
グラノーロのhpはこちら

こんな形




おまけの動画。
パスタサラダとはなんの関係もありませんが、バリラの古いCM。
なんだこの壮大なスケールは!







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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2008年7月号
「パスタサラダ」のリチェッタは「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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2010年8月5日木曜日

シチリアのカンノーリ

今日はカンノーリの話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。


「シチリア人にとってドルチェの儀式とはどういうものなのかを理解するには、日曜の朝に、トラーパニのパスティッチェリーアにできる行列に、少なくとも一度は並んで見る必要がある」
(『クチーナ・エ・ヴィーニ』より)

日曜の朝、ミサの後にパスティッチェリーアに寄って、小さなドルチェの盛り合わせをトレー一杯に買って帰る習慣は、イタリア中にあります。
そんなイタリア人から見ても、シチリアのパスティッチェリーアの活気は独特なんですねえ。


下の動画は日曜のマルサーラのパスティッチェリーアの様子。
カンノーリがずらっと並んでます。
なんだか楽しそうですねえ。







シチリアの日曜のドルチェの中でも人気なのがカンノーリ。
トレー一杯に買ったカンノーリは、大人から子供まで皆で食べます。
こちらの動画は、パレルモ郊外の町のパスクアのプランツォでの風景。



町ごとに違うカンノーリのリチェッタ。
仕上げにオレンジピールやチェリーをのせるのはパレルモ風。
ピスタチオやアーモンドをまぶすのはシチリア東部。
リコッタをよく練ってなめらかなクリームにするのは都市部。
クリームが濃くて肌理が粗いのが農村部。



こちらはシチリア東部、メッシーナのカンノーリ。
見ているだけで胸焼けが・・・







こちらはパレルモのカンノーリ。






コーヒーが飲みたくなりました。



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年7月号
「カンノーリ・シチリアーニ」の記事は「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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2010年8月2日月曜日

ノルマ風パスタの名付け親

今日はノルマ風パスタの話。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。

ノルマ風パスタ、Pasta alla Normaと言えば、シチリアはカターニアの名物パスタ。
香ばしく揚げたなす、トマトソース、パスタという、夏の地中海の畑の恵みをぎゅっと凝縮したような一品ですねえ。






なすの種類にもよるのでしょうが、イタリアではなすのあく抜きは塩を振ってしっかりやります。
とにかく、食べた時に苦みが残っていてはNG。
揚げる前に洗って水気をふき取ります。
トマトソースに入れるものは細く切り、飾り用はそのまま使います。

トマトは旬の時期ならソース用のフレッシュトマトを湯むきして使います。
煮崩れたら塩とちぎったバジリコを加えてさらに煮ます。

そして仕上げに散らすのはリコッタ・サラータ。


味はもちろんですが、このパスタをここまで有名にしたのは、何と言ってもその名前。

「ノルマ風」。

ベッリーニのオペラ「ノルマ」にちなんだ名前だということは、ご存知の通り。
そして、ベッリーニがカターニア出身の大作曲家だということも有名。
同郷の大作曲家が誇らしくて仕方がないカターニア人は、素晴らしくて完璧なことを評して「これはノルマだ!」と言う習慣があった訳ですね。
そして揚げたなすとトマトソースのパスタを食べた誰かが、「これはノルマだ!」と言ったのがきっかけで、この料理はノルマ風パスタと呼ばれるようになったのでした。


でも、唯一あまり知られていないのが、このパスタを最初に「ノルマだ!」と呼んだ人のこと。
たいていの都市伝説はそこらへんは曖昧なままですが、実はノルマ風パスタに関しては、誰が最初にこう呼んだか、ちゃんと知られているんですねえ。
ただあくまでも通説であって、決して本当と証明されている訳ではありません。

シチリア料理研究の大御所、ピーノ・コッレンティ氏によると、その人物はカターニア出身の有名映画監督で喜劇作家のニーノ・マルトーリオ(1870-1921)。

イタリア映画史に名を残すほど有名な人だったようですねえ。
つまり、この人もまた、カターニア人が大いに自慢に思っている人です。

そんな彼が、友人の家でこのパスタをふるまわれて、
「シニョーラ、これはまさにノルマですよ!!」と言ったのが、ノルマ風パスタの由来なんだとか。



ニーノ・マルトーリオ監督作『闇に迷った人々』(1914)の復刻アニメ版






『闇に迷った人々』の解説




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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年7月号
「パスタ・アッラ・ノルマ」の解説は、「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...