2023年3月31日金曜日

シチリアのカターニア風カリフラワーのアッフォガートは、ただゆでるんじゃなかった。こんなカリフフラワー料理見たことない。カリフラワーはシチリアの紫カリフラワー。

魚にも野菜にも肉にも地中海料理にも和食にも合う、と宣言しているワイン、ペコリーノ。

今月の(CIR)の記事にはお勧め料理が3点載っていますが、(P.53)
海の幸と山の幸を組み合わせたモンテ・エ・マーレな料理だったり、鶏肉とカリフラワーのフリットや、チェーチとラルドのキタッラなど、農家風で、かつワインが進みそうな1品でした。
モンテ・エ・マーレな料理はイカのリピエーニ。典型的な地中海料理です。
下の動画は基本のイカのリピエーニのフライパン焼き。パンのクラムじゃなくてパン粉入りバージョン。詰め物にじゃがいものピューレを加えるとボリュームがかなりアップ。
イカのリピエーニのトマトソース煮。

下の動画のアマルフィ風イカのリピエーニは、ゆでたじゃがいもにズッキーニを加えています。

アマルフィの名物パスタ、ネラノ風スパゲッティのイカ版アレンジです。

ネラノ風スパゲッティ。動画ではペコリーノを加えてますが、正当派ならプロボローネ・デル・モナコを加えます。忘れる所でしたが、これはペコリーノというワインに組み合わせる料理でした。
2品めは鶏肉とカリフラワーのフリット。農家の鶏肉のフリットは美味しそう。
下の動画のジョルジョーネシェフは、自分の本にもチキンのフリットを載せている人。店では家禽を育てながら畑も耕しています。彼は鳥を育てるのが好きで屋外で天然の餌を自分で探してついばむとても美しい動物だと語っています。そういえば、本にはガチョウ料理もありました。
ジョルジョーネの鶏肉のフリット。

チキンのフリットも美味しそうだけど、本のリチェッタは、カリフラワーのフリットも添えています。紫カリフラワーと黄カリフラワーのフリットです。シチリアの冬野菜。白いカリフラワーより味が濃いんだそうです。

カリフラワーのアッフォガート、カターニア風。

シンプルにゆでるのかと思ったら、アンチョビ、葉玉ねぎ、オリーブ、ペコリーノを挟みながら鍋に重ね、途中でワインも加えながら重石を載せて蒸し煮にする、という味の想像ができない料理でした。どれも地中海の農家風の料理です。ペコリーノワインが進みそう。
最後の1品、チェーチとラルドのキタッラは次回に。

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2023年3月30日木曜日

野菜、魚介、鶏、和食と、アドリア海から日本まで、どんな料理でもござれなのはチーズじゃなくてワインのペコリーノ。アルべレッロ仕立ての甘いぶどうは移牧の羊たちの食事にはぴったりだった。



今日のお題は今月のワイン、“ペコリーノpecorino”です。
チーズじゃなくてワイン。
マルケ南部やアブルッツォのぶどう品種で、山の幸にも海の幸にも両方に合う白ワインとして最近注目度が上がっているワインです。
30年前、最初にこの品種に注目したのは、グイド・コッチ・グリフォーニというカンティーナ。
マルケのテヌータ・グイド・コッチ・グリフォーニ。

ペコリーノは歴史の古い品種だが、脚光を浴びて栽培が盛んになったのはここ20年ほどのこと。
その名はアブルッツォ名物の羊の移牧に由来する。羊は新鮮な牧草を求めて毎年山から海まで群れで移動する。その途中にこの糖分が豊富でアルべレッロ仕立てで低く栽培されているぶどうを食べていた。
だからペコリーノと呼ばれるようになったという説や、アーリと呼ばれる左右に塊ができるぶどうの房の形が子羊の顔のようだから、という可愛い説もある。

移牧はユネスコの無形文化遺産。

アブルッツォのワイン。

19世紀末には、トレッビアーノやパッセリーナといったもっと歩留まりのよい丈夫な品種に取って変わるほど栽培量が増えた。
この勢いは最近ではさらに強くなっている。
それどころか、熟成に耐える白ワインができる重要な品種とされている。作り手は、2011年のビンテージ以降はDOCGワインになるよう要請している。

ペコリーノ。

作り手たちがめざしているのは市場の様々な要求にこたえられるワイン。
熟成にはステンレスのタンクも木の樽も使う。絞り粕に浸して熟成するものもある。
ぶどうはボディーが豊かで糖分をためることができる。酸度も個性を出せるほどの強さがあり、香りもよい。アドリア海沿岸や内陸の風味が強い料理によく合う。軽いタイプでもアブルッツォやマルケの強い料理と相性がよい。特にスズキやタラなどのアドリア海の魚のフリットや煮込みに合い、これらのパスタソースやサラダ、フレッシュチーズにも合う。もっと複雑な穀物や豆、タコ、イカ、貝のズッパにも合う。
野菜、魚介、鶏、さらには和食にも合う幅の広さだ。
熟成もセメントから木まで、どんな容器でもOKで最低2年。

移牧自体も大好きだし、移牧の羊が好きだったぶどうのワインなんて、飲んでみたい。


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2023年3月29日水曜日

ポー河流域の家庭の冷蔵庫には、グラナ・パダーノの皮が溜まっちゃうらしい。そうだ、美味しいブロードをとろう。

ようやく、タリオリーニ・イン・ブロードの話です。
ポー河流域の名物パスタ。
この地域はタリアテッレに代表される軟質小麦粉の手打ちパスタの本場。タリアテッレは幅8㎜程度の平麺ですが、太さや名前(フェットゥッチーネ、パッパルデッレなど)は地方によって変わります。

ボローニャのスフォリーネ協会長のパスタ。

ソースはローストの肉汁やラグーが一般的。
このパスタを使ったトルテッリーニなどの詰め物入りパスタは、“イン・ブロード”スタイルで、ブロードでゆでてブロードをかけて食べます。

タリオリーニ・イン・ブロード。

タリオリーニはタリアテッレの細麺。地方によってはタリエリーニtaglieriniとかタヤリンtajarinと呼びます。

ブロードは肉、野菜、魚のゆで汁のことで魚のゆで汁、ブロード・ディ・ペッシェbrodo di pesceは別名クールブイヨンcourt-bouillonやフメットfumettoと呼びます。肉の場合はシンプルにブロードbrodoです。
ブロード・ディ・カルネは牛肉から取ります。

ブロード・ディ・カルネ。

ブロード・ディ・ポッロはひね鶏から。
タリオリーニ・イン・ブロード・ディ・ポッロ。

もつと甘くしたい時は去勢鶏capponeを加えます。
ブロード・ディ・カッポーネ。

エミリア地方では各種の肉を使うブロード・ディ・カル二・ミスティbrodo di carni misti(牛、ひね鶏、去勢鶏)。乾燥豆からブロードを取る野菜のブロードもあります。

ブロード・ディ・カル二・ミスティ。

そして今回の料理、“タリオリーニ・イン・ブロード・ディ・フォアグラ・エ・グラナ・パダーノ”の場合は、野鳥からブロードをとります。
野鳥は、狩るのがそもそも大問題ですが、肉を柔らかくして料理するために寝かせる、下処理する、などの作業が必要になります。若い鳥や小型の鳥なら寝かせる必要はありませんが、成鳥の場合は羽はつけたまま足を上にして吊るして血を頭に集め、下に置いたたらいで血を受けて3日間冷蔵庫で寝かせます。肉は血に浸らないように網にのせます。
野鳥の料理はこのやっかいな下処理が必要ですが、これができる人は少ないので、まさに料理人の腕の見せ所。美味しいブロードは料理の秘訣とも言えます。固形ブイヨンとはまったく違う味になると、シェフは皆言います。動画も見つかりませんでしたが、基本は鶏と一緒です。野鳥は脂肪が少ないので、脂を取る作業は必要ありません。

さらにこの料理の場合はグラナ・パダーノからもブロードを取ります。

グラナ・パダーノの皮のブロード。


水に皮を入れて1時間ほどゆでる。・・・これだけ。

パルミジャーノのブロード。
こちらはパルミジャーノの皮4枚をにんじん4本。玉ねぎ2個、セロリ4本、粒こしょう、イタリアンパセリと一緒に水2ℓで40分ゆでる。

野鳥のブロードとグラナ・パダーノのブロード計1/2ℓを熱します。
タリオリーニをブロードでゆでてスープ皿に盛り付けます。
フォアグラを小さく切ってさっと焼き、タリオリーニにのせておろしたパルミジャーノを散らします。
写真を見るとラーメンにそっくりだけど、ポー河の恵みで造ったこれだけ手の込んだ料理だとは想像してなかった。


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2023年3月28日火曜日

ガチョウに感情移入しすぎると料理の話にならない。北アフリカまで、無事に渡って行くんだよー。

ガチョウが鴈の仲間と知り、野生のガチョウの料理はジビエと言えることに気が付きました。
ジビエ料理と言えば、お勧めの本があります。
イグレス・コレッリシェフの『カッチャジョーネ』です。

これまでも何度か紹介してきましたが、その度に、この本で一番注目している料理を取り上げました。
その料理はフォアグラのラグーとグラナ・パダーノ入りタリオリーニ・イン・ブロードです。そして、ガチョウがポー河流域に生息する野鳥、と知った今、実は、この料理のことを何も理解しいてなかったことに気が付きました。
まず、この料理はポー河の食文化から生まれた料理です。
そもそもは、タリオリーニ・イン・ブロード。
細い手打ち麺タリオリーニを鶏のブロードでゆでてブロードをかけてサーブするパスタです。

タリオリーニ・イン・ブロード
イン・ブロードのパスタはトルテッリーニなどの詰め物入りパスタが有名。ポー河流域の名物パスタで、今ではイタリア料理を代表する1品になっています。

詰め物入りパスタ、トルテッリーニ・イン・ブロードはボローニャやモデナの名物。

もう一つのこの料理の主役はグラナ・パダーノ。
実はイタリア料理好きは、ポー河の恵みにほぼ毎日接しているのです。その名前からして一目瞭然、パルミジャーノとグラナ・パダーノです。
この地域にこのイタリアを代表するチーズが生まれたのは、ポー河流域の灌漑や干拓が進み、農業や牧畜業がさかんになり、牛乳が有り余るほどとになったことと、ベネディクト会の鉄のおきて、貧しい農民のためのミルクを1滴たりとも捨ててはいけない、という教えがあったからです。そして生まれたのが、数か月から数年の熟成に耐えて長期間食べることができる硬質チーズでした。

パルミジャーノとグラナ・パダーノ。

ガチョウからパルミジャーノまで、豊かな恵みをもたらすポー河。
ポー河の水源から河口まで。

ここ数日ガチョウの動画を山のように見てたらガチョウに羽ばたき方を教えてるこのおじちゃんの気持ちが分かるようになりました。

長い渡りの旅が待ってると思うと羽ばたき方教えるのにも熱が入るね。

北アフリカに渡って越冬するガチョウはその前に地中海で休憩します。
ガチョウを守るには、休息地の保護も欠かせません。国際協定で守られています。
ガチョウはポー河の生物多様性のたまものでもありました。

次はちっょと気を取り直してブロードの話。


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2023年3月27日月曜日

ガチョウは豚と同じで捨てる所がない。豚肉が禁じられているユダヤ教では代わりにガチョウを使った。放牧地で牧草を食べて放し飼いされるガチョウの肉は長時間加熱しても柔らかい。

前回は、確か“ガチョウのロースト”の話をするつもりで始めたのに、ガチョウがジビエだということが衝撃すぎて、話が大幅に横道にそれてしまいました。

イタリア料理の百科事典『グランデ・エンチクロペディア

によると、ガチョウは飼育しやすい動物で、ヨーロッパやイタリアの草が豊富な場所では豚なみにおなじみの家禽で、ユダヤ料理では、ガチョウは脂を取るために育て、肉はサル―ミにしたそうです。
まさに、ザ家禽だったのですね。
鶏以外の家禽は思いつかないけど・・・。
豚との共通点が多いガチョウですが、豚はユダヤ教では食べるのが禁じられています。
ということは、ユダヤ料理ではガチョウはかなり重宝されていたということが想像できます。

私の中ではガチョウは羊飼いが育てる羊に匹敵してます。
みんなガチョウにメロメロ。

毎朝の放牧。

ガチョウの飼育は機械化できないそうで、庭で鶏飼うのとは大分イメージが違います。
豚より羊に似てるかも。ガチョウは牧草地で牧草を探して歩き回り、自然の草を食べて育ちます。
いわば放し飼い。だから肉は柔らかいんだそうです。

野生のガチョウ。

ガチョウのロースト。

ガチョウのサラミ。

結局またリチェッタまでたどり着かなかった。


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2023年3月25日土曜日

ポー河沿岸では、グラナ・パダーノやパルミジャーノも作ってるけど、アヒルも育ててます。生ハムで知られるこの地方のアヒルは豚と同等の利用価値があると言われてきた。

今日のお題は(CIR2月号)の2月のリチェッタから、“ガチョウのロースト”です。
正直言って、ガチョウ料理は北京ダックしか知らないし・・・。
ここで質問です。ガチョウって何色?
ガチョウには、家禽と野生があって、野生のガチョウはジビエの一種です。
北ヨーロッパからアジア一帯に生息し、冬は地中海~中央ヨーロッパの開けた平原や湿地で越します。そこに葦で巣を作り、見つけたものは虫でも芽でも小魚でも、何でも食べます。
産卵は1回だけ、3月末~5月に4~9個の卵を産み、雄も共に冬まで子育てします。
でも、ガチョウってどんな鳥だっけ。
正直言って、ガチョウ料理は北京ダックしか知らないし・・・。
ここで質問です。ガチョウって何色?
ガチョウには、家禽と野生があって、野生のガチョウはジビエの一種です。
北ヨーロッパからアジア一帯に生息し、冬は地中海~中央ヨーロッパの開けた平原や湿地で越します。そこに葦で巣を作り、見つけたものは虫でも芽でも小魚でも、何でも食べます。
産卵は1回だけ、3月末~5月に4~9個の卵を産み、雄も共に冬まで子育てします。
雄は全長90㎝、翼を広げると2mにもなります。

野生のガチョウ。
背は灰~茶色、胸は白っぽい。こんな色してるんですね。

ガチョウの飛ぶ姿は、V字型の隊列が美しい。鴈として知られる鳥ですね。

ガチョウが白いと思った人は、たぶん家禽のガチョウを思い起こしていた。アヒルですね。彼らは飛べません。
ガチョウは肉と羽を利用するために大昔から飼われていました。イタリアの家禽のガチョウはパドバ種のガチョウとも呼ばれます。

アヒル。

その名の通り、ポー河沿岸のバッサ・パドバ―ナ地方はガチョウの飼育でも知られています。

ガチョウの肉は豚肉のように扱われて、捨てる所がない、と言われます。育てやすいしすぐに大きくなる、とも言われています。
フォアグラでもおなじみのガチョウですが、ガチョウの脂は風味がよいことで知られています。さらに、放し飼いの鳥なので、長時間加熱しても柔らかい、という特徴があり、去勢鶏や七面鳥で代用できるそうです。ガチョウの肉はかなり高く評価されていますが、中でも若いガチョウの胸肉が柔らかくて重宝されます。

ガチョウが飼育されているポー河沿岸の、右岸ではパルミジャーノが造られていますが、左岸ではグラナ・パダーノが造られています。
なので、この地方ではご当地食材を使ってフォアグラとグラナ・パダーノのブロードがとれます。
このブロードをかけたタリオリーニ・イン・ブロードは、かなりおいしそうですよ。
ただし、この話をするには、まずはブロードの話からしないと・・・。


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2023年3月24日金曜日

カッペッラッチは大きな帽子のことだけど、お百姓が畑仕事の時にかぶる帽子という説とエステ家の宮廷で貴婦人がかぶる帽子という説がある。

フェラーラの話の締めくくりです。
モンフェッラートからフェラーラに至るポー河沿岸の名物、詰め物入りパスタの話です。

海まで続くポー河沿岸の旅。その途中にあるルネサンスが花開いた街、フェラーラ。
ポー河沿岸は、イタリアの食文化上はアドリア海沿岸と同じくらい重要な地区。

そしてこの地区の名物が、詰め物入りパスタ、パスタ・リピエーナです。
パスタ、詰め物、成形、スーゴ、ブロードと、様々なテクニックが盛り込まれた家庭料理を代表するご馳走で、この地方の主婦の腕の見せ所として、クリスマスには欠かせない料理です。
詰め物入りパスタの生地は軟質小麦粉、塩、水の生地。
詰め物入りパスタは軟質小麦粉のパスタです。
(CIR2021年2月号)で、フェラーラの詰め物入りパスタとして紹介しているのは、カボチャのカッペッラッチのラグーがけ(リチェッタはP.42)。
詰め物入りパスタの代表は、ビーナスのへそことモデナのトルテッリーニ。
モデナのトルテッリーニ。

フェラーラの詰め物入りパスタは大きくてラグーをかけるのが特徴。
その形はキリストを妊娠中のマリアのお腹、と言われているが、おそらく、その名の通り大きな帽子がモデル。帽子にはエレガントというイメージがあり、エステ家の宮廷を思い起こさせる洗練された食べ物だったのでしょう、と思っていたら、1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ

という本には、まったく逆のことが書いてありました。確かに大きな帽子なのですが、それは農民が畑で作業するときにかぶる帽子だと言うのです。農作業用の帽子か、貴婦人の帽子か、実はご近所に大きな帽子かぶって毎日庭いじりをする人がいて、もうそれ以外考えられない。
英語だとパンプキン・ラビオリpumpkin ravioli。
帽子の話はきれいさっぱりカットされてますが、このパスタの主役はカボチャの詰め物です。カボチャの甘さが特徴の料理です。セージバターやラグー、サルシッチャのスーゴでいただきます。

フェラーラのカボチャのカッペッラッチのラグーがけ。



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2023年3月23日木曜日

フェラーラ名物サラマ・ダ・スーゴは味わい方を知らないと出された料理を前に呆然とすることに。

フェラーラの名物食材を何点か紹介しましたが、その中でも謎なのが、サラマ・ダ・スーゴsalama da sugoです。クラテッロにそっくりのその形からして、豚の膀胱に詰めた腸詰だということはわかりますが、どうやって食べるのか、どんな味なのか、という疑問は、たぶん、フェラーラに行くまで解決されないだろうなあ。
ちなみに、豚の膀胱というのは豚1頭につき1個しか取れないので膀胱に詰める腸詰は、それだけでかなりの高級品の証。

そもそもサラミは豚肉を保存するために考え出されたもの。
サラマ・ダ・スーゴはエステ家の宮廷料理人、クリストフォロ・ダ・メッシスブーゴが考え出したルネサンスのサラミ。
サラミ造りのポイントは気温、湿度、風。つまり産地の気候条件によって、出来上がるものが違う。そしてこのサラマ・ダ・スーゴには、どんな要因が働いて創り出されているのか。

とりあえず注文して、出されたその膨大な量に絶望するということを何度も経験してきた身としては、なんだかこのサラミ、レストランで一人で注文しちゃいけないような気がします。

ポー河周辺の農家では大抵豚を飼っていて、毎年冬になるとしめてサラミにしました。
プロの職人だけでなく家族総出の2~3日かかるお祭りのような作業でした。
冬が寒くて霧が出る地方では塩分が少なくて甘いサラミができました。南下して気温が上がるほど使われる塩とスパイスは増えました。生ハム、パンチェッタ、チッチョリ用などの部位を別にした残りの肉、レバー、舌などを挽いて調味して膀胱に詰めたら芸術的姿に縛り、吊るして最低1年熟成させます。そもそも豚肉のもっとも重宝された部位は肉ではなく脂身でした。当時の定番の脂はラードだったのです。
熟成させたサラミは一晩水で戻して6時間ゆでてから食べられるようになります。ゆでて食べるサラミというのはイタリアではこれだけだそうです。
ゆでたら上部を切り取って、中身をスプーンで皿に取り出して食べます。

サラマ・ダ・スーゴの産地として知られるマドンナ・ボスキのサラミ造り。

マドンナ・ボスキのサラマ・ダ・スーゴ祭り。

何も知らずにサラマ・ダ・スーゴ・アル・クッキアイオ(リチェッタはCIR2月号P.43)を地元の名物料理だと思って注文すると、スプーンが刺さった一つ数㎏のサラマ・ダ・スーゴがどーんと出てくることになり、絶望で真っ青になります。ちなみに定番の付け合わせはゆでたじゃがいも。
2年熟成させたサラミーナもあるそうで、味が凝縮されていて爆弾みたいだそうです。コッピア・フェラーレーゼを添えます。
まあフェラーラの名物を食べる時には欠かせないのでしょうが、サラミと一番相性が良いのはパンで、どんなパンを組み合わせるのかは大問題です。生ハムやクラテッロにはクラムが白くて甘いパンが合う、というのが通説ですが、正反対のクラムが締まっていて硬いコッピア・フェッラレーゼを敢えて組み合わせるフェラーラの人、胃袋頑丈。
これはつまり6時間ゆでて溶け出たサラミの脂を硬いパンに吸わせて味わう、ということですね。
おまけはサラマ・ダ・スーゴの料理を出しているフェラーラのお薦めレストラン。カ・ドフラーラCa d'frara(webページはこちら)。


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2023年3月22日水曜日

ルネサンスの最も洗練されたエステ家の女性が収めた小さな街、ルネサンスのひときわ輝く文化の中心地、フェラーラ。

今月のグルメガイドはフェラーラFerraraです(CIR2021年2月号P.41
~)。
エミリア・ロマーニャのルネサンスの街です。

エステ家が収めた世界遺産の街、フェラーラ。
イタリアの他のルネサンスの街の中でもひときわ輝く文化の中心地でした。
ルネサンスのイタリアを代表する女性の一人として知られるイザベラ・デステのお母さんはナポリ王女でナポリで生まれ育ち、父親はフェラーラ公。

エステ家は、この街を理解するためのキーワード。
そして要塞化したエステ家の城は、厨房を訪れないと城を見たとは言えない、と、城のガイドでは聞いたことがない言葉で説明されるように、エステ家の大公は、食事にこだわる美食家として有名でした。
フェラーラの宮廷料理人は、マスター・オブ・セレモニーでもあり、数世紀たった後の世でも傑作と評価されている。
特にクリレストフォロ・ダ・メシスブーゴCristoforo da Mesisbugoはイタリア料理史上に輝く有名な料理書を書いたことでも知られる宮廷料理人だった。
フェラーラの名物は、エステ家のために造られた独特の形をしたパン、

コッピア・フェラレーゼCoppia Ferrarese。

さらに、これも独特の形をしたサラミ、サラマ・ダ・スーゴSalama da sugo。

さらにポー河沿岸のこの地方は詰め物入りパスタも名物。カボチャのトルテッリやアノリーニ。この地方の詰め物入りパスタはコクがあるのに脂っこくないリッチなブロードで煮てブロードをかけるのが特徴。

クリスマスの家庭の味の象徴、アノリーニanolini。

そしてデザートはチョコレートケーキのトルタ・テネリーナtorta tenerina。もちろんこれもただのチョコレートケーキじゃない。これらの料理のリチェッタはCIR2月号P.42~にあります。

トルタ・テネリーナ。

フェラーラのお薦め店。トラットリア・ダ・ノエミ。

コッピア・フェッラレーゼがお勧めのパン屋、パニフィーチョ・ぺルドナーティ。


コッピア・フェッラレーゼはパスタ・ドゥーラという堅い生地から造ります。
パスタ・ドゥーラはサルデーニャのパンにも用いられています。
サルデーニャのパンコッコとコッピア・フェッラレーゼの共通点は、その独特の造形。
この複雑な形を保つには、ふんわりした通常のパン生地では無理。小麦粉の50%の水分を加えた生地です。
このタイプのパンは、気温が低すぎて発酵がうまくいかない北イタリアで作られました。でも、日持ちがしない、クラムが硬いなどの理由で数は減っています。正直言ってコッピア・フェッラレーゼは好奇心から一口食べたけど、あの硬さは苦手かも。
サルデーニャのコッコ。



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2023年3月20日月曜日

そばは一時アルプスの経済をさえるくらい広まったが急速に消えていった。そして今地元の農家が再注目している。

今日の料理はピッツォッケリpizzoccheriです(CIR2021年2月号P.46)。
ヴァルテッリ―ナ地方(ロンバルディア州)の貧しい農民料理から生まれたそば粉のパスタ。
現在のロンバルディアのそば栽培の中心地はテーリオ。

テーリオのそば畑。
そばの花のことを、アンデルセンは童話の中でりんごの花のように素晴らしいと表現しました。

そばは17世紀末に東ヨーロッパやバルカン半島からバルテッリーナやベルガモの渓谷に伝わったので、grano saraceno(サラセンの小麦)と呼ばれたが、タデ科の植物で小麦ではない。
厳しい自然条件の元と重労働で栽培する穀物。そば粉はグルテンフリーでデンプンが豊富で味が強い粉。脂肪も少ない。小麦粉よりアミノ酸が多く、黒ずんでいてアロマがある。食糧難の時代に手に入る数少ない食材の1つだった。
そばは寒さに強く、高地の段々畑でも容易に栽培できた。ライ麦や大麦を収穫した後の畑で夏の短い間に成長し、アルプス地方の経済をささえる産物になった。


ピッッォッケリはそば粉のパスタを高原のチーズとバターで調味する栄養価の高い農民料理。わずかなものを使って栄養価の高いものを作る農民料理の真髄が現れた料理だ。
伝統的にピッッォッケリのソースは、じゃがいも、サボイキャベツ、カゼーラというバルテッリ―ナのチーズ、グラナ・パダーノ、溶かしバター。モダンバージョンではゴルゴンゾーラやプロポローネ・ドルチェなどのとろみがつくチーズや、芽キャベツ、チーメ・ディ・ラパ、カボチャなどの様々な野菜を使うようになった。(リチェッタはCIR2021年2月号P.47~)

ヴァルテッリ―ナの牛のミルクから造るビットとバルテッリーナのカゼーラ。ピッツォッケリの重要な食材。

テーリオのピッツォッケリ・アカデミーのピッツォッケリ。

そば粉の栽培は、手間がかかりすぎると劇的に減少したが、グルテンフリーなどの点が注目されて復活しつつある。

テーリオのピッツォッケリアカデミー会長の店Combolo。そば粉がベースの各種の料理を出す。ドルチェもある。




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2023年3月18日土曜日

クロスタータから広がる軟質小麦粉のドルチェ。ベースは季節のフルーツ。


北イタリアのドルチェ、つまり軟質小麦粉のドルチェがここ最近のブログのお題です。
特にパスタ・フロッラのクロスタータを見てきました。
パスタ・フロッラはパスタ・スフォーリア(パイ生地)と並ぶパスティッチェリーアの基本の生地。
クロスタータの具は、季節のフルーツ。フルーツのジャムの上にあんず、チェリー、いちご、ラズベリー、メロン、ブルーベリー、桃、プラム、ぶどうなどのフレッシュフルーツやミックスフルーツのマチェドニアを飾るように並べたり、カスタード・クリームやヨーグルト、リコッタと混ぜたクリームや、溶かしたチョコレートやジェラ―トで覆ったり、他の季節ならオレンジ、みかん、キウイー、りんご、洋梨などを使います。くるみ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、ピスタチオといったドライフルーツは、具だけでなく仕上げに散らして余分な水分を吸わせたりします。

クロスタータの定番、アンズジャムのクロスタータ。

アマレーナのクロスタータ。

オーストリアやドイツのリンツァートルテはレッドカラントのクロスタータ。

フルーツのクロスタータは、パスタ・フロッラを敷かなければ、フルーツのグラタン。
フルーツをクレーマ・シブーストで覆って粉糖を振りかけ、オーブンでこんがりグラティナーレします。
フルーツのグラタン。

りんごで作るタルト・タタンの生地はパスタ・ブリゼ。


パスタ・ブリゼ。

フルーツのマチェドニアのトルタ。

りんごのドルチェは地方色がとても豊かで北から南まで様々なものがあります。
りんごのドルチェをテーマにイタリア中を食べ歩くのも面白そう。
クロスタータの話はここまで。

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2023年3月17日金曜日

マントバはカボチャが有名だけど、スイス人パティシエが移り住み、ルネサンスの宝石と呼ばれる洗練された世界的なドルチェの街だった。

硬質小麦粉と軟質小麦粉の話をする前に、粉の強さについて、ちょっと解説。
以前にも同じ説明をしているので、詳しくはこちらをどうぞ。
粉の強さとは、たんぱく質の含有量の違いによって生まれる。

この力はWがシンボルで、ショパンのアルベオグラフ値で計ることができる(作曲家のショパンとは関係ない)。
値が高いと発酵に耐える力が強くなり、粘りが強く、グルテン強度も高い粉。
強さは粉が生み出すことのできるグルテンの量で、水を吸い込める量で左右される。
小麦のたんぱく質の豊かさと関連していて、グルテンが多ければ多いほど生地も膨らむ。
Wの値によって小麦粉は薄力、中力、強力に分けられ、それぞれに適した生地がある。

グルテンとか膨らむとかいう言葉が頻繁に出てきますね。
パスティッチェリーアの場合は、ビスコッティ、グリッシーニ、パスティッチ―ニ、クレープ、クロスタータなど軽い生地に向く薄力粉、つまりW90~70の、水分が少なくて発酵が短いものが適しています。

それではこのあたりで今回のお題のドルチェ、トルタ・サッビオーザに戻ります。
パスタ・フロッラがベースのマントバのドルチェでした。
マントバには、もう一つ、トルタ・ズブリゾラーナというとても興味深いケーキがあります。

トルタ・サッビオーザ。リチェッタはCIR2月号P.14。

そしてトルタ・ズブリゾローナ。

マントバ派のドルチェで、ロンバルディアからベネトまで、ポー河流域に広まって、ベースは軟質小麦粉、とうもろこしの粉、刻みアーモンド、卵のパスタ・フラッロのドルチェですが、バターでなくラード、卵やアーモンドが入らず白ワインを加える、などのバリエーションがあります。
ロンバルディアの街、マントバは、ルネサンスの宝石と呼ばれるゴンザーガ家の街。
さらにスイスから移り住んだパティシエが店を出して大成功し、ヒット製品も生み出してヨーロッパ中に知られるスイーツの街となった。
マントバのスイス人パティシエの店とその人気ドルチェ、トルタ・エルヴェツィアTorta elvezia。エルベツィアとはスイスのという意味。

マントバのアグリトゥーリズモ。

スイス人パティシエというと、ナポリに移り住んだ人たちが有名ですが、彼らはチョコレートがスペチャリタでした。マントバ派の職人たちは、ズブリゾローナを始めとする各種のトルタの傑作を生み出しました。
マントバのスイス系パスティッチェリーア・ラ・トゥール・ダル・スカ―。


マントバにはイタリアを代表する三ツ星の有名リストランテがあります。ダル・ペスカトーレです。
リストランテ・ダル・ペスカトーレ。

店の経営者のサンティーニ家の息子マウリツィオはパスティッチェリーアの道に進みました。
マントバ系ドルチェのことを何も知らない時に、彼の本を仕入れて、『我が家のドルチェ』というタイトルの家庭料理のリチェッタなのに、とても洗練されていて完成度が高かったことに驚きました。
でも、マントバのドルチェの歴史を知った今は、それも納得です。
次回はこの本の紹介です。



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2023年3月16日木曜日

セモリナ粉のパスタと軟質小麦粉とバターのドルチェでは、基本から違います。パスティッチェリーアの基礎編。3種類のパスタ・フロッラ。

今日の料理はCIR2月号から、トルタ・サッビオーゾです(リチェッタはP.14)。
初めて聞く名前ですが、どうやらマントヴァ(ロンバルディア州)のポー河に近いチッツォロという村のドルチェのようです。

村の名前も聞いたことないけど、チッツォロを紹介するこんな動画がありました。

トルタ・サッビオーゾ。

先日の洋梨のティンバッロの話の時、パスタ・フロッラの話をちょっとしました。
ドルチェの基礎の生地です。

今日はスローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの本から、『ドルチ・ダ・フォルノ』

の一部を訳してみます。
まず、パスタ・フロッラは軟質小麦粉、バター、砂糖、塩、卵黄をこねた生地で、焼くと、柔らかくてもろい生地になる。
ビスコッティからクロスタータまで、パスティッチェリーアの多くのドルチェのベース。8世紀頃からあったが、最初はパスティッチョや肉のティンバッロなど、甘くない料理に使われていた。
生地をもっと締まった、堅い生地にしたい時は砂糖を、もろくしたい時はバターを多く加える。酵母は加えない。
生地を作るときは手の熱がバターに伝わって脂肪から水分が分離されないように短時間でこねるのがポイント。さらに熱は生地の弾力を減らして生地が伸ばしにくくなるので、伸ばす前にラップで包んで冷蔵庫で最低30分休ませることが必要。休む時間は長いほうが良いのでできれば前日に生地を作って冷蔵庫で2~3日休ませる。または冷凍する。

これまで、南イタリアの、硬質小麦粉のパスタの話ばかり見てきたので、軟質小麦粉のドルチェの話は新鮮です。
南と北のドルチェは、基本からだいぶ違います。
小麦粉は00番の150~180Wのグルテンが少ないタイプを使います。
まずパスタ・フロッラですが、クラシコclassico、サッビアートsabbiato、モンタートmontatoという3種類があります。卵とバターが入っている生地を時間をかけてこねすぎると、グルテンが形成されてゴム状の生地になります。この生地は焼くと堅くなります。リチェッタによっては栗の粉、トウモロコシの粉、ファッロの粉など、性質が違う粉を加えるリチェッタもあるので、粉の性質を知っておくことが大切。性質の違う粉を混ぜる時は、少量の溶いた卵白や水を加える。
それでは次は、小麦粉、砂糖、バター、卵という同じ4種類の材料から、3種類のパスタ・フロッラができる、という話です。

■まずはクラシコil classico。
まず、バターと砂糖をこねて卵を加え、最後に小麦粉を加えます。締まって扱いやすい生地です。材料は泡立てずに加えます。
イジニオ・マッサーリのパスタ・フロッラのレッスン。

■そしてサッビアートil sabbiato。
まず小麦粉とバターをこねてそぼろ状にします。ここに砂糖と卵を加えてややつながった生地にします。



バターの重要性が急にわかってきました。南イタリアはピッツァという絶対王者があるけど、北イタリアのドルチェも、ひょっとしたらすごいのかも・・・。

■最後はモンタートil montatoです。

まず電動ホイッバーでバターをホイップします。さらにホイップしながら粉糖、溶いた卵、最後に小麦粉を加えます。休ませる必要がない生地で絞り袋に入れて広げます。とてもさくさくのビスコッティになりますが、もっとサクサクにしたければゆで卵の黄身を振るって加えます。オヴィス・モッリスovis mollisというパスタ・フロッラです。

■おまけのオヴィス・モッリス。


パスタで硬質小麦粉をきわめた南伊ですが、バターがある北イタリアの軟質小麦粉も独自の美味しい発展を遂げました。
トルタ・サッビオーゾの話、次回に続きます。


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2023年3月15日水曜日

モンブランの主役はホイップクリームじゃなくてヴァッレ・ダオスタの小粒でおいしい栗。ということは冬じゃなくて秋のドルチェだった。

今日はまず訂正から。
きのう、勘違いをしてしまい、今日のドルチェのことを冬のドルチェと言ってしまいました。
きょうのお題のドルチェはCIR2月号P.18のドルチェです。
それはモンテビアンコMontebianco。フランス語でいえばモンブランMontblanc。
標高4807.81mのヨーロッパアルプスで一番高い山。ということはイタリアで一番高い山です。
この姿を想像して、冬、とつい言ってしまったのですが、

モンテビアンコの頂上。

ドルチェのモンテビアンコには、その姿以外に冬の要素は何にもなかったのでした。まあ、この白い山を味わ合うのに最適なのは冬だとは思うのですが。


モンテビアンコはヴァッレ・ダオスタ州にあります。このドルチェの主役はホイップクリームじゃなくて栗です。
ヴァッレ・ダオスタの栗は小粒だけど美味しいことで有名。

ヴァッレ・ダオスタの栗。

栗が主役ということは、標高45mの東京湾に面した丘の上に住んでる私でもわかります。秋のドルチェでした!


どうせ食べるなら、シチリアより、ヴァッレ・ダオスタのモンテビアンコの麓あたりの街、例えばクールマイユールあたりで食べてみたい。

クールマイユール。

モンテビアンコ、フランス語ではモンブランというこのドルチェはサヴォイア家のパティシエが考え出したと言われています。栗のピューレをホイップクリームで覆ってモンテ・ビアンコ山を再現したドルチェ。本格的に作ろうとすると、材料もリチェッタも超大変。特にムラング作りが。なので、CIRのリチェッタのような簡易版が広まっています。

巨匠イジニオ・マッサーリの娘、デボラが教えるモンテビアンコ。

材料/4人分
《メレンゲ》
室温の卵・・6個
砂糖・・420g
《ホイップクリーム》
生クリーム・・375g
砂糖・・30g
バニラビーンズ・・1本
マロングラッセ・・400g
マロンクリーム・・400g
室温のバター・・80g

・卵を黄身と白身に分ける。
・オーブンシート1枚に直径12㎝、10㎝、8㎝、6㎝のセルクルを置いて円を描く。
・メレンゲを作る。室温の卵白と10%の砂糖を泡立てる。泡が白くなったら残りの砂糖を少しずつ加えてホイップする速度をやや早める。卵は日にちが立ちとカルボン酸が減るので堅くて白いメレンゲにする時はレモン汁小さじ1を加える。
・小さな口金をつけた絞り袋に入れ、オーブンシートの円の内側に絞りだす。
・100℃のオーブンで1時間30分焼く。オーブンの扉を開けて半日置く。
・表面と側面をパスティッチェリア用おろし金で削って平らにする。
・冷えた生クリームに8%の砂糖を加えてホイップする。
・バニラを開いて種を取り、ホイップクリームに加える。
・一番大きなムラングに縁がやや高くなるようにホイップクリームを絞り出す。
・マロングラッセをたっぷりのせる。小さなムラングを重ねて同様にする。
・側面にも絞り出して隙間を埋め、表面を平らにする。
・バニラを加えて栗をホイップしたマロンクリームに室温の20%のバターを加えて絞り袋に詰め、ドルチェの周囲に底から絞り出す。一番下には星口金から絞り出す。金箔で飾る。


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生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...