2023年3月4日土曜日

ミラノは繊維産業の次に牛の飼育が広まった。その結果子牛肉はミラノ料理のスターになった。安い外国産に押されても、国産品との違いをよく知っていた肉屋が守った。

今日の料理は“rustin negaa”です。なんて発音するんでしょうねえ。
これはミラノの方言です。
今月のCIRのリチェッタのテーマは、トラットリアの料理。
方言の名前の料理を社交の場でもあるミラノのリストランテで出すとは思えないので、名前からしてこれはトラットリアの料理です。
それではどう発音するのか、みごとな巻き舌と共にお聞きください。
ロスティン・ネガ―と言ってますね。
標準語で言うとロスティン・アンネガーティだそうです。
アンネガートとは“溺れた”、という意味。
煮込みほどじゃないけど適度な水分で湿らせた料理。
ミラノ料理のお勧め本、『クチーナ・ミラネーゼ

によると、
ミラノ料理の主役は子牛肉。
かつてのミラノでは牛肉より子牛肉のほうが多く消費されていました。
ミラノでは繊維業産業の次に農業や酪農が広まっていました。
でも、子牛のような可愛い生き物を食べるのにミラノ人は心を痛めていたそうです。
子牛肉は贅沢品で、骨や脂身も残さず食べなきゃもったいない、という訳で、これらは庶民が食べる部位、肉はもっと上流階級が食べる部位、とされてました。

ミラノのトラットリア。

子牛肉も次第に安いオランダ産に押されるようになったが、オランダとイタリアでは子牛肉に対する考え方がかなり違った。
肉屋は国産子牛のみを扱うところが多かった。なぜなら、イタリアの子牛は生後12ヵ月齢以内でさばくが、生まれてからずっと母親のミルクのみで育てる。ところが流通している外国の子牛は水と粉末ミルクで育てたので、品質がかなり劣ったのだ。

ミラノの子牛料理の代表、コストレッタ・アッラ・ミラネーゼ。

ロスティン・ネガア。

すねの軟骨、ネルベッティのサラダ。

骨髄入りのオッソブーコ。

下の動画の料理は、盛り付けによっては肉じゃがにも見えるけど、これもミラノの庶民の子牛肉料理、子牛肉とじゃがいものスペッツァティーノ。

筋の多い安い部位の子牛肉の煮込み。ミラノ料理だけでなく、イタリア料理の定番でもある。
肉とじゃがいものスペッツァティーノSpezzatino con patate
材料/
牛肩肉・・1.2㎏
じゃがいも・・600g
玉ねぎ・・150g
トマトペースト・・30g
白ワイン・・120ml
ブロード・ディ・カルネ
EVオリーブオイル・・大さじ4
塩、黒こしょう

・肉を小さく切って小麦粉をまぶす。今回はじゃがいもを加えるのではぶく。
・肉を全部入れても重ならない大きさの鋳鉄の鍋に油を熱して肉を強火で焼く。
・その間に玉ねぎを薄く切る。
・肉にワインをかけてアルコール分を飛ばし、鍋底の焼き汁をデグラッサーレする。
・玉ねぎを加えて弱火にする。トマトペーストとブロードを加える。
・蓋をして最低1時間煮る。粗く切ったじゃがいもを加える。小さなものは溶けるので大きさをそろえる必要はない。塩をし、蓋をしてさらに煮る。

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