2018年12月10日月曜日

アサリとムール貝に合うワイン

今日はワインの話。

お題は「アサリやムール貝に合うワインは?」
味も歯ごたえも違う貝ですが、一緒に料理にすると、互いに補完し合って、厚みのある味の貝の料理を生み出します。
で、貝のミックスに合うワインはと言うと、『サーレ・エ・ぺぺ』誌のソムリエによると、イタリアの白は、様々な味を活かすことができる多様性があるのが特徴で、こういうテーマは得意なんだそうですよ。
特に、サルデーニャ北部のものが貝のソフトさや塩気とよく合うのだとか。

ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ



総合解説」でお勧めしている4種類のワインのうち、アサリに合うと紹介されたマルケのパッセリーナ。



ムール貝の産地としても知られるサレント地方のワイン、ネグロアマーロ・ロゼは、ムール貝とじゃがいものティエッラなど、陸と海のミックスの料理にぴったり。




最後はサント・イシドロ・ロザート。
マルケ南部の、モンテプルチャートとサンジョヴェーゼを栽培するカンティーナの両方のぶどうの個性が感じられるミステリアスなロゼ、だそうです。



プーリアのロゼが大ブームになったこともありましたよね。
イタリア中でロゼがブームなのかと思ってあちこちで飲んでみましたが、プーリアのロゼは品質が別格でした。
プーリアでロゼを飲むとはまります。



サルーテ~!


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“貝に合うワイン”の記事の日本語訳は「総合解説」2018年7月号に載っています。
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2018年12月7日金曜日

ナポリのドルチェの意外な4本柱。

ニュートンシリーズの『ニュートン・ドルチ・ナポレターニ』の前書きを訳しています。

イタリアのドルチェは、フランスの影響を受けたピエモンテ派、アラブの影響を受けたシチリア派、そして北からは南、南からは北といわれる中間のナポリ派、この3つの柱の上に構築されている、という話から始まり、
ナポリのドルチェは大きく4つに分けられる、という分析から、1つめの農民のドルチェの話まで訳しました。
それでは続きです。

「ナポリのドルチェの特徴の2つ目は、アラブ文化にルーツを持つ点です。
特に揚げ物、ゼッポレやストゥルッフォリなどのフリットは、家庭でも短時間で作れて
食べ歩きができるドルチェとして普及しました。
今日では、カロリーを気にする傾向から、ゼッポレをオーブンで焼く人もたくさんいます。
揚げ物が人気なのは、ナポリの人々が少なくとも4世紀に渡って飢えに苦しめられてきた証拠と言うことができます。
ある日突然、食べるものがなくなる怖さが、農村には常にありました。

3つめは、歩きながら食べるドルチェです。
スフォリアテッラ、ババ、ゼッポレ、クリームを詰めたシューといった職人が作る中産階級のドルチェがこれにあたります。
これらは都市特有のドルチェです。
南部の小さな村の職人がナポリにやってきてこれらを学び、故郷に帰って店を開きました。
カンパーニアのパスティッチェリーアはこうして、工場での大量生産が始まる前にイタリア中に広まりました。

4つめは、パリから伝わった貴族のドルチェです。
モンズーが作るドルチェは、複雑で、その製法は極秘にされました。
家庭や修道院の秘伝のドルチェは最高の菓子工房によって代々受け継がれたのです・・・」

なるほどと思う説です。
農民のドルチェで、都市のドルチェで、アラブとフランスの影響を受けていると、矛盾した要素をたくさん含んでいるんですね。

南部の小さな村の職人がナポリで学んで、故郷に帰って店を出して広めていったという話は、現代のピッツァにも当てはまる話ですね。
農民、中産階級、フランス貴族、アラブの食文化と、どんなものでも取り込んでしまう懐の広さ。
確かに、世界中に広く受け入れられる要素があります。
それはナポリがイタリアで一番人口の多い大都市だったこととも無縁ではないはず。

この前書きを書いたのは、ナポリのMattino誌の記者のルチアーノ・ピーニャターロ氏。
エスプレッソのレストランガイドやツーリング・クラブのワインガイドなどに参加し、南イタリアの食とワインについて多くの著書があります。
最新作のピッツァについて語るピーニャターロ氏。
 ↓


ピッツァ以外も
 ↓


ナポリの食文化に関しては、強い影響力と発言力がある人物。

シチリアのドルチェの本の内容も気になったのですが、



前書きがびっしり書かれているので、じっくり取り組んで「総合解説」に載せたいと思います。
ピエモンテのドルチェの話も忘れてないですよ。



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2018年12月5日水曜日

ナポリのドルチェについて、ニュートンシリーズの本から教わってみた。

今日紹介する本は、再入荷の本です。
ニュートン・クチーナ・レジョナーレシリーズの『ドルチ・ナポレターニ』。



このシリーズでは先日、『1000シリーズ』のパスタも紹介しましたが、さすがにドルチェは300点です。


ニュートンのドルチェシリーズは、3冊しかありません。
ナポリ、シチリア、ピエモンテです。
そして、この3つの州のドルチェこそ、イタリアの国民的ドルチェとしてイタリア中に広まりました。
ババやカンノーリは、北イタリアのパスティッチェリーアでも定番です。
そのあたりのことが『ドルチ・ナポレターニ』の前書きに書かれています。
ナポリのドルチェは大好きですが、イタリアのドルチェについてその背景を深く考えたことがなかったのですが、前書きを読んでいてなるほど~と引き込まれました。

「ナポリのパスティッチェリーアは、イタリア都市部のドルチェの3本の柱の1つだ。
北部にはフランスの影響を強く受けて、クリームやチョコレートが特徴のピエモンテ派がある。
南部にはアラブの影響を受けて偉大な伝統を誇るシチリア派がある。
ナポリは、地中海沿岸の他の南の地方から見ると、北部の影響が感じられる。
ブルボン王朝のモンズーの伝統をナポリに伝えたパリから見ると、ナポリはエキゾチックな南の地方だ。

この3つ地方に共通する他の地方のドルチェとの違いは、農村ではなく都市が生み出したものという、イタリアの他の町にはない特徴だ。
例えば、スフォリアテッレやババは特殊な技術や知識を必要とする複雑なドルチェで、家庭では作るのは難しい。
都会の市場のようなコミュニケーションの場が必要だ。
ナポリは大都会だった。
有名なパスティッチェリーアやトラットリアが鉄道駅の周辺や、貴族や新興市民が住む街の中心部で誕生したのも偶然ではない。
ナポリのドルチェを含む食文化の伝統は、ナポリがイタリア最大の都市だった19世紀に基礎ができた。

ナポリのドルチェは、大きく4つに分けることができる。
1つは農民が生み出したドルチェで、パンや穀物を使い、例えばパスティエーラに代表される。
現在は一年中食べるが、昔はパスクアの時期のドルチェで、春の再来や豊穣の祝いの意味があった。
パンドーロ、パネットーネ、パンフォルテなど、パンで作った日曜や祝日の農家の伝統のドルチェがナポリに伝わったのは、70年台に大型の市場ができて北部の製品がイタリア中に輸送されるようになってからだった。
イタリアの田舎のドルチェは、大量生産や輸送網の発達、テレビのコマーシャルなどの恩恵を受け、都会の市場で人気が出た。
現在は、品質や地産地消が重視されるようになり、アルティジャナーレ(職人技)やカンパーニアとの結びつきが重視されるようになった。
例えば、リモンチェッロ風味のパネットーネなどだ。

2つ目は・・・」

ふう、ちょっと長くなりましたが、面白いですねー。
続きは次回に。


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2018年12月3日月曜日

メッザネッリ・ラルディアーティ

前回のブログで、たまたま、カリフラワーのパスタのリチェッタを探していたら、メッザネッリというパスタに出会いました。
聞いたことのない名前だったのですが、ネットで調べるとナポリの伝統的パスタだということはすぐに分かりました。
多分聞いたことはあっても記憶に残っていなかったんだな、
なんて思いながら写真を見ると、穴開きパスタです。
実は、私が一番苦手なパスタはブカティーニ、つまり穴開きパスタ。
あまり広まらなかったパスタなんだなあ、なんて勝手に思いながら本をペラペラめくってみたら、
“MEZZANELLI LARDIATI”という料理を発見。
パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド』という本の1品でした。

南イタリアの人気店のパスタとシェフたちの人間性が伝わってくる、とてもおもしろいガンベロ・ロッソの本です。

ブカティーニより細くて腰がありそうなパスタです。
なんだかとても気になりました。

さらに調べてみると、ナポリの代表的、歴史的パスタの1つで、ラルドを使っているのがポイントのようです。
この料理が誕生したと言われている18世紀頃は、ナポリの農民にとって、豚の脂身というのは贅沢な食材でした。
自家製で塩漬けにして保存していたのです。
そのラルドが主役のこのパスタは、ご馳走でした。
この料理のポイントは、上質のラルドを手に入れること。
ラルドはナポリやイタリア中部の料理には欠かせない食材ですが、
現在のナポリでは、旧市街の一部の店でなら、ハイクオリティーのアルティジャナーレのラルドが手に入るそうです。

『パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド』の”メッザネッリ・ラルディアーティ”では、コロンナータのラルドを使っています。
ご存知の通り、コロンナータはトスカーナ州。
本を読むと、
「お父さんのラルドがまだ出来上がっていなかったので、代用品として使いました」とくやしそうなコメントが。
リチェッタを提供したのはナポリの北にあるジュリアーノという町の、トラットリア・フェネスタ・ヴェルデのラウラとルイザ姉妹。
 1948年創業の人気のトラットリアで、窓の縁の色が緑色だったことからこの店名をつけたのだそうです。
母親から娘へ受け継がれたリチェッタで料理を作る、紙に書かれたメニューはない、典型的なナポリの家族経営の店です。

ミラノ万博にもカンパーニア代表で参加。
 ↓


“メッザネッリ・ラルディアーティ”は、他のパスタ、ツィーティやペンネなどでも応用可。
ラルドは生ハムの脂身を使っている動画もありました。
 ↓



それではトラットリア・フェネスタ・ヴェルデのリチェッタをどうぞ。

【メッザネッリ・ラルディアーティ/MEZZANELLI LARDIATI】

材料/4人分
 メッザネッリ・・350g
 ラルド・スタジョナート・・200g
 おろしたてのパルミジャーノ・・20g
 玉ねぎ・・1/2個
 バジリコ・・1束
 塩
ラグー・ディ・カルネ;
 ブロックの子牛肉・・150g
 玉ねぎ・・1個
 赤ワイン・・1/2カップ
 トマトのパッサータ・・250g
 EVオリーブオイル、塩

・ラグーを作る。テラコッタの鍋で玉ねぎのみじん切りを油大さじ2でソッフリットにする。色がつきだしたら子牛肉を加えて焼き色をつける。
ワインをかけてゆっくり弱火でアルコール分を飛ばし、トマトのパッサータを加えて塩をする。蓋をして弱火で半分に煮詰める(約2時間)。
・パスタをゆでる。その間にラルドのソースを作る。
・ラルドを覆っている余分な塩を落として細かく刻む。玉ねぎもみじん切りにする。
・フライパンにラルドと玉ねぎを入れて弱火で色がつかないように溶かし、ラルドがクリーム状になったら(約5分)レードル2杯のラグーとパスタのゆで汁大さじ1を加えてマンテカーレする。
・硬めのアルデンテにゆでたパスタをフライパンに加える。パルミジャーノも加えて1~2分強火で混ぜる。
・ちぎったバジリコを散らして熱々をサーブする。

ラルドのお勧めはコロンナータのラルドだそうです。
カンパーニア産ならカゼルタの黒豚のラルド。

カゼルタの黒豚のとんかつ
 ↓



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2018年11月30日金曜日

“ニュートン・クチーナ・レジョナーレ・1000”シリーズ『パスタ』

今日は、新入荷の“ニュートン・クチーナ・レジョナーレ・1000シリーズの『パスタ』から、リチェッタを訳します。


このシリーズは、お手軽価格がポイントなので、とにかく経費削減で、膨大な数のリチェッタを分厚い1冊にぎゅぎゅ~っと詰め込んであります。
というわけで1つ1つのリチェッタは驚きの短さ。
イタリア語の料理書に馴染みのない人でも、スラスラ読めます。
料理の写真はありませんが、イラストが随所に散りばめてあって、決して読みにくくはありません。

それではいくつか訳してみましょう。
最近カリフラワーが安いので、カリフラワーのパスタなんてどうでしょう。
まずは巻末の目次(Indice)の野菜のパスタPasta con le verdureの欄からカリフラワーcavolfioreを探してみます。
するとブカティーニ、ディタローニ、メッザネッリ、ペンネが見つかりました。
まずはカリフラワーのペンネからです。


【カリフラワーのペンネ/Penne al cavolfiore】

材料6人分
 ペンネ・・450g
 黒オリーブ・・150g
 アンチョビ・・100g
 カリフラワー・・1個
 オリーブオイル、バター、塩

・カリフラワーを10分塩ゆでして小さく切る。
A.オイルとバター少々を熱し、小さく切ったアンチョビを加えて溶かす。カリフラワーと種を抜いて小さく切ったオリーブを加える。
・パスタをアルデンテにゆでてAであえる。


【カリフラワーのブカティーニ/Bucatini con il cavolfiore】

材料6人分
 ブカティーニ・・500g
 カリフラワー・・大1個
 レーズン・・大さじ2
 松の実・・30g
 サフラン・・1袋
 玉ねぎ・・1個
 塩漬けアンチョビ・・50g
 EVオリーブオイル、白ワイン
 塩、こしょう

・カリフラワーを小房に分けて10分塩ゆでする。
・玉ねぎのみじん切りをオイル1/2カップでしんなり炒め、塩抜きして骨を取ったアンチョビを加えてフォークで押しながら溶かす。
・レーズン、松の実、カリフラワーを加えて中火で炒める。サフランを溶いたカリフラワーのゆで汁1カップをかけ、塩、こしょうで調味して15分煮る。
・カリフラワーのゆで汁でパスタをアルデンテにゆでてカリフラワーのソースであえる。
・2分休ませてサーブする。


【カリフラワーのディタローニ/Ditaloni al cavolfiore】

材料6人分
 ディタローニ・・450g
 カリフラワー・・1個
 玉ねぎ・・1個
 にんにく・・1かけ
 サフラン・・1袋
 アンチョビ・・3尾
 パン粉
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう

・軽く塩を加えた湯でカリフラワーをゆでる。ゆで汁はパスタ用に取っておく。
・玉ねぎとにんにくのみじん切り、塩抜きして骨を取って小さく切ったアンチョビをオイルでソッフリットにする。
・アンチョビが溶けたら芯を取って小さく切ったカリフラワー、少量の湯で溶いたサフランを加えて弱火で約10分煮る。
・パン粉を少量のオイルで炒める。
・カリフラワーのゆで汁でパスタをアルデンテにゆでる。
・パスタを取り出してオーブン皿に入れ、カリフラワーをかけてパン粉を散らす。オーブンで数分焼いてすぐにサーブする。


【カリフラワーのメッザネッリ、シナモン風味/Mezzanelli con il cavolfiore alla cannella】

材料6人分
 メッザネッリ・・500g
 カリフラワー・・1個
 にんにく・・2かけ
 EVオリーブオイル
 唐辛子
 イタリアンパセリ・・1房
 おろしたペコリーノ・・大さじ3
 シナモン
 塩 

・カリフラワーを小房に分けてアルデンテに塩ゆでし、保温する。
・にんにくとイタリアンパセリを乳鉢ですり潰し、油大さじ5と唐辛子1片(最後に取り除く)でソッフリットにする。
・シナモン一つまみを散らし、カリフワラーを加えて数分なじませる。
・パスタをアルデンテにゆでてカリフラワーのソテーパンに加え、ペコリーノを散らして1分マンテカーレする。

メッザネッリはナポリのパスタ



カリフラワーのパスタは、アンチョビ思っていましたが、意外とバリエーションがあるんですね。



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2018年11月27日火曜日

フィレンツェのサンタンブロージョ市場


今月訳した料理書は、『トスカーナの市場料理』です。



前書きを訳しながら、イタリアの市場というのは、村人がみんなやってくる場所で、週に一度の情報交換の場だったんだと知りました。
トスカーナで育った人なら、おじいちゃんやおばあちゃんに連れられて毎週市場に行き、クロッケッテとポルケッタを食べた思い出を持っているんだそうで、もちろんトスカーナだけでなく、イタリア中でメルカートは故郷の思い出として刻まれているのですね。

この本で最初に登場するのは、フィレンツェのサンタンブロージョの市場。



観光客でいっぱいのおしゃれなフードコート風市場より、店の人との会話が楽しめる暮らしに根付いた雰囲気がいいですねー。

著者はシエナのヴァル・デルサの出身で、初めて出た賑やかな都会に、目がくらみながらもすぐに夢中になった田舎娘だったと自分のことを語っています。
美味しいジェラートを食べながら中心部を歩き回り、トリッパやランプレドットの屋台で学生や観光客が並んでいるのを眺め、ドゥオモのクーポラや老舗のカフェを待ち合わせ場所にして、夕暮れ時にアルノ河沿いを散歩するという、典型的な観光コースを巡っていた彼女が、市場の魅力に気づき、晩春のいちごの香りや秋のポルチーニなどの森の香りを堪能するようになり、さらには売り子たちとおしゃべりするようになり、彼らの豊かな知識やリチェッタを共有するまでになったのです。
そしてとうとう、この魅力的な本を出版したのでした。

訳した料理の1品目はパーネ・トスカーノ。
2品目のカラバッチャはフィレンツェ風オニオンスープ。
カテリーナ・デ・メディチのお気に入りの料理として知られています。



この動画ではパンチェッタ入りですが、訳したリチェッタは乾燥グリーンピース入り。

グリーンピースといえば、フィレンツェ風。




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『トスカーナの市場料理』の一部のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年7月号に載っています。
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2018年11月26日月曜日

ロモロ・アル・ポルト

今日は、今月の「総合解説」で紹介している店、アンツィオのロモロ・アル・ポルトの話。
ガンベロ・ロッソの記事です。

アンツィオとはラツィオ州のローマのちょっと南にある、ティレニア海と水平線が溶け合ったような町。
聞いたことがあるようなないような町でしたが、記事では誰もが知っている町として書かれています。
第二次世界大戦さなかの1944年、アメリカ連合軍が上陸した町として知られています。
皇帝ネロの生誕地でもあるんですね。

現在のアンツィオ
 ↓


映画『アンツィオ』のトレーラー
 ↓


そしてロモロ・アル・ポルトはこの町ではかなり有名な店のよう。




店の創業者のロモロが60年台に考え出した料理、ズッパ・ディ・ペッシェの一種が大ヒットして人気店になり、現在は2代目のマルコ・シェフ、ワインとサービス担当のヴァルテルの兄弟が受け継いでいます。

上の動画はワインの夕べのよう。
きっとヴァルテルのお得意さんが集まったのでしょう。
初代は市場で売れないような、それでもとびきり新鮮な魚を使った漁師料理が人気だったようですが、2代目たちは、市場の魚に畑の旬の野菜を組み合わせたモダンな料理を出しているようです。
ただし、静けさとは無縁の店のようで、そのあたりは昔のままといったところでしょうか。


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“マルコ・トゥッリオ(ロモロ・アル・ポルト)”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年6月号に載っています。
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2018年11月23日金曜日

シチリア人気質とカポナータ

今日はカポナータの話。
「総合解説」の記事“カポナータ”を読むと、この料理のことをイタリア人がどう思っているか、よーく分かります。

「カポナータは曖昧な料理で、その有名で独特な名前からしてそうだ。
食材や調味料のこと、つまりなすやビネガーのことは意味していない。
砂糖やセロリの意味もない・・・」

じゃあ結局何なの?

よく聞く説は、ペッシェ・カッポーネ(ホウボウ)が語源というもの。

でも、今回『サーレ・エ・ペペ』が発表したのは新説ですよ。
カポーネというのはシチリアの方言で魚のシイラだというのです。
どちらの説も貴族の食卓によく登場した魚で、それを庶民がアレンジしてなすや玉ねぎを増量したら魚はなくなっちゃった、という、つっこみどころ満載の料理というのは、全国統一の見解。

シチリア料理のシイラのトマトソース煮
 ↓


さらには、あまりの不味さから、刑務所の乾パン(カッポーニ・ディ・ガレーラ)と呼ばれていた航海用乾パンが、あるソースをかけると別物のように美味しく生まれ変わったから、カポナータという名前が生まれたとか・・・。

航海用乾パンといえば、カッポン・マーグロなどリグーリア料理が有名。
リグーリアのシェフによると、どちらかというと観光客が物珍しがって食べるけど地元の人はあまり食べないとか。
でも、下の動画によると、リグーリアの乾パンはフォカッチャを乾燥させたものだそうですよ。
シチリアの刑務所の乾パンよりははるかに美味しそう。
 ↓



どの説も、シチリア人気質が現れていて、それらしいですねー。
とにかくカポナータというのはなすの意味もビネガーの意味もない。

シチリア人気質
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“カポナータ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年7月号に載っています。
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2018年11月21日水曜日

アサリとヴォンゴレは別物

今日はアサリの話。
アサリは旬とは関係なく夏のイタリア料理に欠かせない、イタリアのバカンスを象徴する食材。

ヴォンゴレという呼び方が一般的ですが、細かく言うと、ヴォンゴレは一年中出回っている養殖物の太平洋のアサリ。
「総合解説」でもさらっと触れていますが、地中海の品種の数が環境の悪化などで大幅に減ったために、1983年のヴェネチアの潟を皮切りに商業用に地中海に導入されたインド太平洋の品種、venerupis philipinarumです。
日本で普段食べているアサリと同じ品種ですね。
アドリア海北部の環境に適して繁殖しました。

地中海の品種は、ヴォンゴレ・ヴェラーチと呼びます。
どちらも姿はよく似ていますが(2本の水管が離れているのがヴェラーチ、くっついているのがphilipinarum)、venerupis philipinarumはヴォンゴレ・ヴェラーチより大きくなることもありますか、味がデリケートで加熱しすぎると固くなります。
なのでさっと加熱する料理のスパゲッティには最適です。

ヴォンゴレ・ヴェラーチとヴォンゴレは、細かく言うと、別の品種。
ヴォンゴレ・ヴェラーチ
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アサリのスパゲッティはナポリ料理の傑作。
ナポリに敬意を評してナポリのクリスマス料理のアサリのスパゲッティ
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“アリとムール貝”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年7月号に載っています。
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2018年11月19日月曜日

リグーリアの夏のオリジナル料理

今日のテーマは、今月の「総合解説」の最初のリチェッタの記事、
リグーリア東海岸の夏のオリジナルメニュー。
イタリア人にとって、夏のリグーリア東海岸のイメージは、チンクエ・テッレ。
今回紹介するのはその中央付近にあるコルニリア。

コルニリアの名物、382階段。
 ↓


ここに住む友人の家でパーティーでもするイメージです。
まさに空と海の間。



リグーリアの夏を代表する食材の三種の神器は、アンチョビ、バジリコ、松の実。

1品目は、やはりリグーリアを代表する食材、チェーチにアンチョビとリコッタを加えたパテ。
松の実も入ってますが、ひまわりやかぼちゃの種も加えます。
柔らかいパテと歯ごたえの違いを楽しめます。

2品目はルニジャーナのチーズがメインで、作るのはチーズに添えるジャム。
ルニジャーナというのはリグーリアとトスカーナのミックスゾーン。
チンクエテッレのちょっと先にあります。

この地方のチーズの名物の一つはペコリーノ。
ルニジャーノのチーズメーカー
 ↓


これらのチーズの盛り合わせにりんご、パプリカ、唐辛子のジャムを添えます。

アンティパスティの3品目はグラスに注いだトマトのジェラティーナ。
間に緑色のペスト・ジェノヴェーゼをはさんで冷やし固めます。
ペスト・ジェノヴェーゼは3種の神器のうちバジリコと松の実が入っています。

パスタはブラウンシュガーを散らしたローストトマトをにんにく、ミント、レモンバーベナ、油、塩、こしょうで調味します。

次のサラダはトマトとパーネ・ロスティッチャート。
角切りのパンをにんにくとセージで炒め、水、塩、こしょう入りの卵液を吸わせます。
これを少量の油でカリッと炒めてトマトに加えます。
トマトは油、塩、こしょう、バジリコ、ミントで調味しておきます。

さらに、パプリカのリピエーニとボリュームのある野菜料理が続き、メインはヤリイカのファルチート。

詰め物は、パン、乾燥ポルチーニ、イタリアンパセリ、マジョラム、ケッパー、ペコリーノなど。

デザートはパンナ・コッタのサフラン風味、ラズベリーソースと、桃とピスタチオのタルト。
香りが豊かでヘルシーとボリューミーのバランスが絶妙なコースメニューです。

空と海の間で食べたくなります。

記事の写真はこちら


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“リグーリア東海岸の夏のオリジナルメニュー”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年7月号に載っています。
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2018年11月16日金曜日

フィレンツェでビステッカ・フィオレンティーナを食べる

「総合解説」2016年7月号発売しました。
今月は、新しい雑誌、『フード&トラベル イタリア版』が加わりました。


最初に訳した記事は“フィレンツェでビステッカを”というわけで、フィレンツェでビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを食べようと思っている人には役に立つ記事です。
フィレンツェは国際的な観光地なので、お上りさん相手の変な店もあるのは事実。
驚くほど安い店は要注意だそうですよ。
相場はキロあたり€50、キアニーナ牛は€60~70なのに、€15なんて店もあるそうです。

ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナのカット
 ↓


骨付きフィレットとコントロフィレットの、厚さが最低指3本分の切り身。
指3本?
ちょっと自分の指3本並べてみてくだい。
訳し間違いかと思いますよね。
でも、この動画を見る限り、本当に3本。

どうせならキアニーナ牛のステーキを食べたいけど、リムーザン牛やファッソーネ牛、土着のカルヴァニーナ、マルキジャーナなどの上等の部位も適しているそうです。
牛の品種なんて気にしたことなかった、というか、フィレンツェでフランスの牛肉を食べている可能性もあったんですね。
ちなみに、牛の品種を明記していない店はたくさんあるそうです。

さらに、ステーキにマルドンの塩を散らしているのは邪道、なんて上級の指摘も。
マルドンの塩はすぐに溶けるので、味の薄い肉をごまかすのに使うことができるとか。
もう誰も信じられない。

お勧めの有名トラットリア、ココ・レッツォーネ
 ↓


マリオーネ
 ↓


セルジョ・ゴッツィ
 ↓


ほんの一部ですが、とりあえず。


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“フィレンツェでビステッカを”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年7月号に載っています。
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2018年11月14日水曜日

ジェンティーレ、ストーリア・ディ・ファブリカンティ・ディ・マッケローニ

グラニャーノの話が出たので、グラニャーノのパスタメーカー、ジェンティーレの本、『ジェンティーレ/ストーリア・ディ・ファブリカンティ・ディ・マッケローニ


を見てみたら、いきなり、グラニャーノのメインストリートでパスタを乾燥させている白黒写真が載っていました。
この写真を見たくて色々探したのですが、ネット上では見つからず、想像するにも限界があったのですが、この写真は、あたかもナポリの路地で洗濯物を干しているかのような、通路の上に紐を渡すのではなく、通路に物干し台をずらっと通りの端から端まで並べているこの光景は、南国の人ならではの、太陽を目一杯活用した干しっぷりで、見とれてしまいしました。
さらに、もともと大型の本なのですが、その大きなページ目いっぱいにパスタをドアップで撮った写真が何点も。
これは、ブロンズのダイスの効果ですね。
見事にざらざらの表面。
数ミリの太さの麺を数cmに拡大して見せる徹底ぶり。
その後に続くリチェッタは、これぞ王道のナポリのパスタというリチェッタばかり。

著者はこの女性。
 ↓




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“グラニャーノのパスタ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年6月号に載っています。
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2018年11月12日月曜日

硬質小麦粉と地元の地下水で作るグラニャーノのパスタ

今月のメイド・イン・イタリーの食材は、グラニャーノのパスタ。
何度も取り上げてきた話題です。

グラニャーノがパスタの町になったのは、1841年に地すべりが起きたのがきっかけでした。

そういえば、今年のヴェネチアは大変なことになってるようですね。
店も客も根性ありすぎ
 ↓


大量生産の時代を迎えて町の主要な産業になっていたパスタのために、グラニャーノは災害復興もパスタ産業優先で考え、町のメインストリートをパスタを大量に乾燥させやすいように作り変えたのでした。

グラニャーノを車で通り抜けるタイムラスプ動画。
こ怖~い。
 ↓



どこがどうパスタ向きなのか、素人目にはまったくわからない。

さらに、1861年のイタリア統一後は、グラニャーノを来訪する王様のためにグラニャーノまで鉄道が通り、パスタを北イタリアに運ぶことができるようになりました。

グラニャーノのパスタの原料はタンパク質の含有量が多い硬質小麦のセモリナ粉と地元の地下水。
水源のラッタリ山地
 ↓


麺はモダンなテフロン製ではなく伝統のブロンズ製のダイスを通し、40~80℃でゆっくり、最高で60時間かけて乾燥させます。

アルティジャナーレと大量生産とが適度にミックスされているのがグラニャーノのパスタ。

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“グラニャーノのパスタ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2018年6月号に載っています。
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2018年11月9日金曜日

matcha と umami

今日は、今月の「総合解説」で訳していて面白かった記事、マッチャの話です。
マッチャmatcha、そう抹茶です。
昔は「ミルク?レモン?」と聞いたものですが、今は「緑?黒?」なんだそうです。
そして人気なのは緑だそうです。
テ・ヴェルデです。

紅茶はテ・ネロで、どちらも学名チャノキの葉ですが、テ・ネロは発酵させて特有の香りを生み、テ・ヴェルデは逆に発酵の過程を抑えています。
ネロと比べてカフェインは・・・
と、ミニ知識とうんちくがたっぷり詰まった記事で、テ・ヴェルデの中でもパルム・ドールに値するのがマッチャだと、すごい高評価。

マッチャに対するかなり専門的な知識を紹介し、しかも、マッチャは至高のお茶と、恥ずかしくなるほどの称賛ぶり。
高い抗酸化作用があり、色素としても使え、金と同価値があったスパイスや香りの良い染料のように貴重だ、と言っています。

ここまでマッチャ推しの記事には初めて出会いました。
日本の食材の浸透ぶりは目を見張る物があります。

 

そういえば、先日訳した某シェフの料理には umami di pomodoroなんて言葉が登場してました。
海辺の漁師料理を出す人気トラットリアの料理でした。

ウマミ、この言葉が広まるのも早そうです。
リストランテ・ウマミなんて店もあります。



最近、和食の食材やテクニックが怒涛のように広まっているのを感じます。
次は何がくるかなー。


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“マッチャ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2018年6月号に載っています。
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2018年11月7日水曜日

米の粉のパスタ

今週紹介しているのは、筋金入りのベジタリアンが、母親の発病をきっかけにセリアック病の人のために小麦粉以外の、グルテンを含まない、あるいは含有量がわずかな粉の料理の研究に取り組み、その結果をまとめた美しい本。
ディ・ファリーナ・イン・ファリーナ』です。

今日はリチェッタを何点か訳してみます。
使っている粉は、アマラント、オートミール、ファッロ、そば粉、カムート、とうもろこし、キビ、大麦、キヌア、米。

まず米の粉はどうでしょう。

「米の起源は古すぎて不明だが、人間の歴史の中で米ほど世界中で代々受け継がれてきた穀物はない。
 現在、イタリアでは北部の一部の地域で大量に栽培されている。
米は長い栽培、精米の過程を経て流通する米になる。
穀物の中でも完璧なものの一つで、消化しやすく、デンプンが豊富だがタンパク質は少なく、グルテンを含まないのでセリアック病の人でも食べることができる。
 米を挽いた粉は、大抵の料理に使うことができる。
本のリチェッタ、“パン・ブリオッシュのコルネッティ”ではファッロの粉をミックスして、ふんわりした軽い生地にした。
“マルタリアーティ”は軽くてマイルドなプリーモになった」

マルタリアーティ/Maltagliati
ショートパスタはあまり好きではないが、米粉だけで作ったマルタリアーティは実はとてもお気に入りのパスタだ。
マルタリアーティは不揃いの小さなひし形のパスタで、エミリア地方の代表的なショートパスタ。
エミリア地方ということは、このパスタはしっかり打ち粉をした麺棒で伸ばすとても柔らかいパスタということ。
グルテンを含まないパスタだが、慎重に作る必要がある。
このリチェッタでタリアテッレやラビオリの生地を作るのは無理。
お勧めはトマトとチェーチやいんげん豆などの豆のソース。

材料/2人分
パスタ;
 米粉・・100g
 片栗粉・・60g
 卵・・1個
 ぬるま湯・・30ml
 EVオリーブオイル・・大さじ1
 塩
ソース;
 いんげん豆(ボルロッティ)・・300g
 皮むきカットトマト・・300g
 玉ねぎ・・1個
 セロリ・・1本
 野菜のブロード・・500ml
 おろしたパルミジャーノ・・50g
 EVオリーブオイル
 塩
サーブ用パルミジャーノ

・ボールに米粉と片栗粉を混ぜて中央をくぼませ、塩一つまみ、油、卵を加える。
・フォークで溶いて粉を端から混ぜ込み、ぬるま湯を少しずつ加える。
・台にあけてなめらかな生地になるまでこねる。
・台に打ち粉をして綿棒で厚さ2mmに伸ばし、カッターで不揃いの小さなひし形に切る。粉を軽く散らす。
・ソースを作る。豆をたっぷりの塩を加えない水で柔らかくなるまでゆでる。
・火を止めて塩を加える。
・鍋に油大さじ2を熱し、玉ねぎとセロリのみじん切りを3~4分しんなり炒める。
・薄く焼き色がついたらトマトを加えて数分煮る。
・豆を加えて濃いソースになるまで煮る。
・野菜のブロードを加えて沸騰させる。
・マルタリアーティを弱火でゆでる。
・パスタがゆで上がったらソースであえてパルミジャーノを加え、味を見て塩味を整える。
・深さのある皿に盛り付け、パルミジャーノを散らしてすぐにサーブする。


著者が初めて作った小麦粉以外の粉の料理、キヌア粉のチェリーパイ

チェリーのクロスタータ/Crotata di ciliegie
大好きなキヌアの粉で作った大好きなチェリーパイ。
とても独特で強い香り。
キヌアの粒をミキサーで粉にして、底の厚い口の広いフライパンで弱火で炒って作りました。
キヌアの粉が売られていたら良かったのですが。
クロスタータは一番手早く出る生地ですが、あまり特別な生地ではありません。
このパイを特別なものにしたのは炒る作業です。
これによって香りがぐんと引き立ちました。

材料/6人分
パスタ・フロッラ;
 キヌア(粒)・・100g
 ファッロの粉・・100g
 室温のバター・・50g
 グラニュー糖・・80g
 卵・・1個
 ノーワックスレモン・・1個
 ベーキングパウダー・・小さじ1
 塩
詰め物;
 チェリー・・500g
 グラニュー糖・・150g
 シナモンスティック・・1本
 アガー・・小さじ1

・パスタ・フロッラ(タルト生地)を作る。キヌアをミキサーで粉にし、口の広いフライパンでとろ火で炒る。焼き色がついたら火から下ろし、陶器のボールに入れて冷ます。
・冷めたらファッロの粉、塩一つまみ、ベーキングパウダーを加えて混ぜ、台にあける。
・中央をくぼませて砂糖とバターの小角切りを入れ、クリーム状になるまで練る。
・卵とレモンの皮のすりおろしを加える。最初はフォークで粉を縁から混ぜ込む。次に手早くこねてまとめ、ラップで包んで冷蔵庫で一晩休ませる。
・オーブンを180℃に予熱する。
・直径25cmの底取れ型にバターを塗って粉をまぶす。
・パスタ・フロッラを2枚の軽く打ち粉をしたオーブンシートではさみ、伸ばす。
・これを型に敷き込み、縁を押して型にぴったりつける。底をフォークでピケする。
・アルミ箔を敷いて乾燥豆を重石にし、オーブンで20分焼く。縁に焼き色がついたら豆とアルミ箔を取り除き、さらに5分焼いて均一に焼き色をつける。オーブンから出して冷ます。
・詰め物を作る。チェリーの形をできるだけ崩さないように種を抜き、鍋に入れる。砂糖とシナモンスティックを加え、弱火で10分煮る。
・チェリーが適度に柔らかくなって煮汁がシロップ状になったらチェリーをすくい取る。
・アガーを少量の水で溶き、シロップに加える。ホイッパーで混ぜながら5分煮て冷ます。
・チェリーを半分に切って切り口を下にしてクロスタータに入れ、シロップを均一にかける。完全に冷めたらカットする。

この人、面白いのはコメント。
作り込んでいる自らの経験が伝わってきます。


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総合解説
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2018年11月5日月曜日

キヌア粉のチェリーパイ

さて、小麦粉以外の粉ですが、今日は『di Farina in farina』という本から。


実はちょっと前に入荷していたのですが、内容があまりにも専門的でボリュームもすごいので、日本では売れないだろうと、紹介しないでいました。
小麦粉以外の粉のリチェッタを、知りたいと思う人がいるのかなあ、というのが正直なところです。

でも、この本の著者が、小麦粉以外の粉を研究するようになった経緯を綴った前書きを読んで、少しずつでも紹介してみようか、という気になりました。

著者が小麦粉以外の粉に関心を持ったきっかけというのは、母親の突然の病気だそうです。
病気というのは、大抵が突然ですよね。
そしてそうなってみて初めて、我が身のことと思うようになります。
幸か不幸か、イタリアにはいわゆる一般的な小麦粉、00番の小麦粉を受け付けない人がたくさんいて、その種の研究が進んでいます。
それを活かせないのはもったいない。

著者が初めて作ったのは、キヌア粉のチェリーパイでした。
それは今まで知らなかった新しい味のパイだったそうです。
粉にしたキヌアを炒ると、驚くほど味と香りがたつのです。
母親がこのパイを食べた時の笑顔は、何よりも美しかったと綴っています。
その最初の1歩が、この立派な分厚い本へとつながっていったのです。

小麦粉以外の粉を使いこなすとは、イコール新しい味と香りを生み出すことで、創造力が問われます。
失敗を恐れずに、創造をやめないで、というメッセージがこの本には込められています。

手作りキヌア粉の作り方
 



『di Farina in farina』より、キヌアの解説文

キヌアはアンデスの標高3000m以上で栽培されている植物で、植物性タンパク質や鉄分を豊富に含み、アンデス文明以前から用いられていた。
サポニンで覆われているので、使う前によく洗って取り除く必要がある。
穀物ではなく、ほうれん草やビーツと同じアカザ属の植物。
リジンが豊富で低血糖指数の炭水化物、カリウムや鉄分は豊富。
グルテンは含まず、セリアック病やグルテンにまつわる障害のある人向きの食材。
この章の“チェリーパイ”は私がキヌアから最初に作った料理。
キヌアをミキサーにかけ、粉を大きなフライパンで弱火で炒ると、すでに香ばしかったキヌアの香りが独特のものになって広がった。
アマラント粉やそば粉のように味が強いので慣れるには時間もかかる。
しかし、くるみやヘーゼルナッツなどナッツとの組み合わせは抜群だ。
パン用の他の粉を15~25%加えるとパンやフォカッチャもできる。


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“小麦粉以外の粉”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年6月号に載っています。
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2018年11月2日金曜日

小麦粉以外の粉

今日は小麦粉以外の粉の話。
イタリアは、グルテンフリー食品の開発にはとても積極的です。
グルテンフリーというと、日本人にはダイエット用、というイメージが強いと思いますが、イタリアでは、主にグルテン過敏症やセリアック病の人のための食べ物です。
「総合解説」では、以前“グルテン過敏症とセリアック病”の記事を訳しています。
 ↓
こちら
イタリアではセリアック病の人のために国が給付金を出しているそうです。
それだけこの病気の人が多いということなのでしょう。
でも、遺伝の要因が大きいこの病気、日本人にとっては、まだまだ他人事。

最近目にするアマゾンのCM。
確か、小麦粉の代わりに米粉を使って料理を作る、というものでしたが、今月の「総合解説」で紹介した「小麦粉以外の粉」の記事は、グルテンを全く、または微量しか含まない粉として、オートミール粉、きび粉、そば粉、黒米粉、白米粉、キヌア粉、とうもろこし粉、アマラント粉、コーンスターチを紹介しています。
この詳細さを見ただけでも、イタリアのグルテンフリー対策は本気だ、と感じます。
米の粉も、黒米と白米の粉があるんですね。
色が違うのはもちろんのこと、香りや味、栄養価も違います。

そうそう、ヨーロッパの中でも米の生産が盛んなイタリアにはヴェーネレという品種の黒米があります。



『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事には、色々な粉のリチェッタが載っていたのですが、スペースの関係から、数点に絞って訳しました。

キビ粉のグリッシーニと米粉とオートミール粉のカントゥッチです。

ちなみに米粉は肌理が細かい粉になるので、パスティチェリーアでよく使われているそうです。
キビ粉はデンプンの含有量が多く、他の粉より塩気があり、強い香りと香ばしさが特徴。
今回は小麦粉とそうでない粉、という分け方ですが、小麦粉の中でも、ファッロやカムートといった古代小麦の粉も小麦粉の代用品としてイタリアでは使われています。
次回はこれらの小麦粉のリチェッタを紹介します。

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“小麦粉以外の粉”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2016年6月号に載っています。
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2018年10月31日水曜日

トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ1巻

新着書籍のご案内です。

トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ/1巻北・中央イタリア 英語版
が入荷しました。
というか、新入荷の本は、まず「総合解説」の定期購読をご利用の皆様にご案内するのですが、その時点で売り切れたので、現在入荷待ちです。
もうすぐ入荷します。
この本、実は第2巻の
トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ/2巻スッド・エ・イーゾレ

をクレアパッソで発売した時点で、もう売り切れていたので、私もお目にかかるのは初めてでした。
期待を裏切らない内容です。
今回入荷したのはイタリア語版ではなく、英語版ですが、それ以外の内容はまったく同じです。
というか、イタリア語版は中古が出るのを長期間待つ状態でしたが、この英語版は今ならすぐに手に入ります。
逆に、2巻は、今後手に入りづらい状態になりました。
とにかく見つけた時が買い時の本です。

この本の魅力は写真です。
すべての料理がとびきり美味しそう。
英語やイタリア語がわからなくても、問題ありません。
というわけで、1巻の英語版、お薦めです。
1巻のイタリア語版はありません。
数年待ってもいいという方は予約してください。
そしてうちの凄腕バイヤーに奇跡が舞い降りるのを待ってください。
2巻は英語・イタリア語版共にごく少量だけあります。


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2018年10月29日月曜日

イタリア料理は口伝の料理

今日はオリーブ入りのパスタのリチェッタを。

地方料理のリチェッタの中から探すとしたら、ガエータのあるラツィオ、タッジャスカの産地のリグーリア、ギリシャの植民地がたくさんできたシチリアあたりが面白そうです。

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズのローマとラツィオ料理の本、『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ

をパラパラめくってみると、黒オリーブがゴロゴロはいっているスパゲッティが目に止まりました。
“プッタネスカ”です。
オリーブ入りパスタといえば、これですよね。

「このパスタは作り方が簡単なので、使う素材の質の良さがとても重要になる。
風変わりな料理名も込みでイタリア中に知られているので、各地にバリエーションがある。
ローマでは、アンチョビを使うのが特徴。
ローマでは必ず入るが、他の地方では加えないことが多い」
とあります。

イタリア料理は口伝のリチェッタが多い料理です。
フランス料理のように天才が書き残したレシピが広まるということが滅多にありません。
母から娘へと口頭で伝えてきました。
こういう料理はバリエーションが多いのが特徴。
母親の数だけリチェッタがあります。
それなのに、時にはこういう地域限定のリチェッタも生まれるんですね。

イタリア料理界の大家、パオロ・ペトローニの『スパゲッティ・アモーレ・ミオ

には、オリーブはガエータの黒オリーブとあります。
ということはローマ風か?
アンチョビは・・・入りますねー。

皆さんが作っているプッタネスカはどうですか?

ペトローニ氏のリチェッタでは、最初ににんにくをオイルでソッフリットにして、そのオイルでアンチョビを溶きます。
そこにトマト、ケッパー、オリーブを加えて煮てソースにします。

プッタネスカの発祥地は、一説によるとカンパーニアのイスキア。
イスキア風プッタネスカ(クレアティーヴァ・バージョン)
 ↓


アンチョビどころか生のイワシやイワシの骨まで入ってます。
まったく、イタリア料理にはこれが正解というリチェッタは皆無ですねー。
発祥地がここ、という説も、まず疑ってかからないと。




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“生食・料理用オリーブ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年6月号に載っています。
書籍ガイド
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2018年10月26日金曜日

イタリアのギリシャオリーブ?

料理用オリーブは、黒のガエータが知られています。
このオリーブの原産地ガエータは、ラツィオ州の町ですが、イタリア人を初めとする多くの人々の中では、ギリシャというイメージ。

おそらくそれは、ギリシャの植民都市でオリーブ栽培が広まって古代ローマに受け継がれた歴史のせいでしょう。
ガエータはギリシャ人が比較的初期に植民地化した町でしたが、ローマに近いという場所のせいか、ほどなくローマに征服されて皇帝たちお気に入りの避暑地となりました。
ギリシャ語では Καιέτα/カイエータと言うそうです。

オリーヴァ・イトラーナとして知られるガエータのオリーブ
 ↓



イトラーナという名前もいかにもギリシャのオリーブ的ですが、語源はラテン語で、イトラーナは、イトリとういうラツィオの町のことです。
イタリアのオリーブなのにギリシャ産みたい問題はまだあります。
「総合解説」でも指摘されていた“グレカ・ヴェルデ”。
直訳すればギリシャのグリーンオリーブ、という名前ですが、シチリアで栽培されています。

なぜこうなったのかは、腰を据えて調べないとはっきりしたことは言えないので、今回は深入りは避けます。

今回のテーマは料理用オリーブだったので、オリーブの料理でもさがしてみます。
代表的なのは「総合解説」でリチェッタを紹介しているサラダやフォカッチャ、アンティパスト。
グレカ・ヴェルデがシチリアで栽培されているというので、
グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズのシチリアを

パラパラめくってみたら、オリーヴェ・フリッテというのが目にとまりました。
アスコラーナのように衣をつけて揚げるのではなく、にんにく、タイム、ビネガー風味で10分素揚げにした黒オリーブです。
唐辛子やフィノッキエット・セルヴァティコ、玉ねぎを加えるバリエーションもあります。
バッカラもオリーブと相性が良い食材。
シチリア風バッカラは、クリスマスイブの伝統的料理。
玉ねぎのソッフリットにバッカラとワイン、トマトを加えて煮込み、じゃがいも、種抜き黒オリーブ、ケッパー、松の実、レーズンを加えてさらに煮込んだ1品。
バッカラのように白い食材には黒オリーブがよく映えます。

シチリアを代表するワイナリーのプラネタ家のリチェッタ集、


には、ブラックオリーブ入のオレンジのサラダが。
白いフィノッキオ、オレンジ、黒いオリーブのはっきりした色合いの地中海のサラダです。

オリーブはパスタととても相性が良いようで、リチェッタは地方料理も創作料理も、様々あります。
詳しくは次回に。


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“生食・料理用オリーブ”の生地の日本語訳は、「総合解説」2016年6月号に載っています。
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2018年10月22日月曜日

オリーブのクンツァータとパッソローニオリーブ

オリーブの保存方法ですが、元も一般的なのはサラモイア漬け。
塩水とハーブ、スパイスなどで漬ける方法です。
日本語だと、ちょっと素っ気ないけど、塩水漬けですか。
それと、もう一つよくあるのが、クンツァータ。
これも塩水とハーブ、スパイスで漬けるのですが、サラモイアとの違いがさっぱりわかりません。

クンツァータ
 ↓


クンツァータはシチリアの方言でコンディーレ、味付けする、という意味が。

どうやらイン・サラモイアは塩水に漬ける、という意味で、味付けするという意味は薄く、クンツァータは味付けするという意味で塩水につけるという意味は薄い、こんな解釈でOK?

もう一つの保存方法は、オーブン焼き。
 ↓


オリーブに切り込み位を入れて網に入れ、毎日水を替えながら4~5日漬けます。
水を替えてさらに4~5日漬けます。
水気を切り、塩、にんにく、ローリエで調味して毎日かき混ぜながらさらに4~5日なじませます。
2~3時間水気を切り、弱火のオーブンに入れて混ぜながら乾かすように焼きます。
完全に冷まして出来上がり。
これはもっとも手の込んだ保存方法かも。

黒オリーブは完熟してから収穫するのでそもそも収穫時期がグリーンオリーブとは数ヶ月違い、それをさらに何日も水にさらしてアク抜きし、調味してマリネしてからオーブンで焼いて水分を飛ばして味を凝縮させたオリーブです。



「総合解説」にはオーブン焼きのオリーブをさらにオレンジ、唐辛子、タイム、オリーブオイルでクンツァータするリチェッタもあります。
かなりスペシャルなオリーブになりそう。

こうして保存したオリーブを使って、数々の美味しい料理ができるわけです。

リチェッタにはオリーブの品種を指定しているものもあります。
一般的なのはリグーリアのタッジャスカと、生食用の代表的品種ガエタ。
今回の記事には“パッソローニ”という品種も登場します。
巨大なノチェッラーラ・デル・ベリチ種を黒ずんだ紫色になるまで熟させたオリーブです。







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“生食・料理用オリーブ”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年6月号に載っています。
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2018年10月19日金曜日

生食用オリーブ

総合解説」2016年6月号発売しました。
リチェッタの最初の記事は“生食・料理用オリーブ”。
オリーブは、摘みたては苦くて食べることができないのですが、地中海の人は古代から何世紀もかけて美味しい食べ方を試行錯誤してきました。
保存方法も、古代ローマ時代にはすでに考え出されていました。

その前に、熟し具合ですが、一番青いのは夏の終わりに収穫した実で、黒いものは完熟してから秋の終わりに収穫します。
ふっくら膨らんで柔らかいものはオイルをたっぷり含んでいます。

摘みたてを食べる
 ↓


洗って1分ゆでて塩、オリーブオイル、イタリアンパセリ、にんにく、唐辛子で調味します。

アク抜き
 ↓


洗って蓋付き容器に入れて水に漬け、朝晩水を替えながら30日間漬けます。
これをサラモイア(塩水とハーブやスパイス)で漬けます

サラモイア漬け
 ↓


プーリア風塩漬け
 ↓


洗って傷んだものを取り除いて塩をまぶし、毎日最低1回かき混ぜながら15日漬けます。
ざるに移して混ぜ、一晩休ませます。
オリーブオイル、イタリアンパセリ、にんにく、唐辛子のみじん切りで調味したら2時間休ませて瓶に詰めます。

量は全部目分量。
リチェッタは家族ごとに秘伝のものが受け継がれていそうですね。

オリーブの保存方法はまだあります。
続きは次回に。

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“生食・料理用オリーブ”の記事の日本語訳は「総合解説2016年6月号」に載っています。
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2018年10月17日水曜日

グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ・シリーズ

本を紹介する水曜日。
今日は、“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの
新入荷
『エミリア・ロマーニャ』と『トスカーナ』です。







このシリーズ、『ウンブリア』が一番最初に品切れになりました。
次は『エミリア・ロマーニャ』で、3番目が『トスカーナ』。
実はこの3冊は、当分手に入らないだろうと思っていました。
なので、今回入荷したこの2冊は、かなり貴重な本です。
2010年版なので多少経年感はありますが、
このシリーズのコンプリートを目指している方にはお薦めです。



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2018年10月15日月曜日

エミリア街道が発展させた食文化と本家争い

ポー河は、エミリア・ロマーニャ州の北側の縁を流れています。
東西に長いエミリア・ロマーニャの真ん中を貫いているのは、via Emilia=エミリア街道です。
グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズ
『エミリア・ロマーニャ』の前書きの第2章は、エミリア街道の話です。

商人、兵士、巡礼、無法者を運びながら、エミリア街道の歴史は流れていきました。
時は流れても街道は変わらず、今も平野を横切っています。

紀元前2世紀に、ローマの執政官マルコ・エミリオ・レピドによってポー河とアペニン山脈の間に通された街道は、ピアチェンツァとリミニを結んでいます。
エミリア街道は人の名前が語源だったんですね。
軍需的目的でしたが、経済活動も担いました。
北西と南東を結び、山と平地を結び、ポー河の支流の町を結び、エミリア・ロマーニャの発展に大いに貢献してきた街道です。

町は中世のシニョリーアの時代には僭主の住む都となり、ヨーロッパ諸国と結びつきのある貴族たちが台頭してきました。
ルネサンスの時代には、これらの街がさらに力を増し、ボローニャ、モデナ、パルマなど、街ごとに独自の食文化を発展させたのです。

料理の本家争い、というエミリア・ロマーニャではよくある話も、隣町同士の間で繰り広げられるなど、街ごとのプライドがすごく強いのは、この時代の栄光の名残かも。

エミリア街道の22世紀
 ↓



さて、次は食材の話。
まず最初は、サルーミ。
次はバルサミコ酢、そしてトルテッリーニ。
こうして食材を並べるだけで自然と、パルマ、モデナ、ボローニャと、エミリア街道を北から南へと移動できますねえ。

エミリア・ロマーニャのバルサミコ酢とパルミジャーノ
 ↓


エミリア・ロマーニャの町の紹介
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2018年10月12日金曜日

プロシュットはないけど、クラテッロならあります。

豚肉はトスカーナかな、なんて言いましたが、あれ、やっぱりエミリアだっけと、もう気持ちが揺らいでいます。

グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの、
長らく欠品していた『エミリア・ロマーニャ』が入荷して、最初のページを読んだのです。

「なにがあるんだい?」
「柔らかい豚肉のロースト、美味しいコテキーノ・フレッドがあります」
「プロシュットは?」
「プロシュットはありませんが、クラテッロならあります」
リカルド・バッケリ著『ポー河の水車小屋』より

映画化もされた有名な小説のワンシーンで始まるエミリア・ロマーニャの紹介。
この短い会話で、ここがイタリアの養豚業の伝統の地だということを思い出させますねー。
本は、この地方の料理は陽気で賑やかな、祭り(festa)の料理だ、と続きます。
トルテッリもラザーニャも、アノリーニもタリアテッレも、ラグーもザンポーネも、仲間と食べるのにぴったり。

確かに。
トスカーナとの大きな違いは、どれも職人技が生かされた料理ばかり。
さらにエミリア・ロマーニャにはポー河があるという決定的な違いもありました。

ポー河
 ↓


このシリーズは、リチェッタもいいですが、各州の特徴をまとめた前書きがととても優秀です。
読み返す度に発見があって、ずっと手元に置いておきたくなる本です。
さて、エミリア・ロマーニャについては、どんな事が書いてあるのでしょうか。

ざっと予習
 ↓






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2018年10月10日水曜日

トスカーナの豚肉料理アリスタ、ロスティンチャーネ

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『トスカーナ』から

トスカーナの肉料理を紹介しています。
ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナの次は、チンタ・セネーゼの料理を訳してみましょうか。

まずは
“チンタ・セネーゼのアリスタ/ARISTA DI CINTA SENESE”

アリスタはトスカーナで生まれた豚の部位の名前で、共通語だと“カレcarré”にあたります。
フランス語のキャレのイタリア訛り、つまりあばら骨付きロース。
チンタ・セネーゼのアリスタは、チンタのアリスタと省略する派と、・・・産チンタ・セネーゼのアリスタと、さらに詳細にこだわるシェフとに別れているようです。
最近訳したシェフはオルヴィエト産チンタ・セネーゼにこだわっていました。

参考までに、アリスタのロースト 
 ↓


それではチンタのアリスタのリチェッタに戻ります。

材料/5人分
チンタのアリスタ・・1kg
にんにく・・2かけ
EVオリーブオイル・・大さじ2
白ワイン・・1カップ
ローズマリー、セージ
塩、こしょう

・アリスタは骨付きなら開く。肉と骨の間にローズマリー、セージ、潰したにんにくをはさんでタコ糸で縛る。骨なしの場合は通常のローストの要領で香草はタコ糸の下にはさみながら縛る。
・塩、こしょうする。
・油を引いたソテーパンで表面全体を焼き、白ワインを加えて1時間焼く。オーブンで焼いてもよい。

シンプルですね。
そう思いながらページをめくったら、こんがり焼けた山盛りの豚の骨付きリブローストの皿の上に肘を付きながら肩寄せあって骨付きリブを両手で持ってかぶりつく母子の写真が。

超美味しそう、と思って本を見直すと、チンタのアリスタの横に、
“ロスティンチャーネ/ROSTINCIANE”
という料理のリチェッタがありました。
きっとこの料理です。

本によると、トスカーナではコストレッテのことをロスティッチャーネROSTICCCIANEとか、ロスティンチャーネROSTINCIANEと呼ぶそうです。
コストレッテはアリスタを切り分けたもの。

材料/4人分
豚コストレッテ・・1.2~1.5kg
ローズマリー
塩、こしょう

・炭火で焼くが、なければオーブンでも可。
・ローズマリーで香りをつけて約30分焼く。
・焼き上がったら塩、こしょうする。

アリスタもロスティンチャーネもトスカーナ生まれで全国的に広まった豚肉料理。

ロスティンチャーネとサルシッチャのグリル
 ↓


バーベキューの王様だあ。


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2018年10月9日火曜日

ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ

今、秋だっけ夏だっけ・・・。
年々秋と春が短くなっている気がしますが、秋を飛ばして冬になるのは、やっぱり無理です。
秋になると毎年『アウトゥンノ』を紹介するのが風物詩ですが、


今年は“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『トスカーナ』
なんてどうでしょう。


トスカーナの料理は秋が似合うような気がします。

トスカーナの市場料理


も秋が似合う料理が満載です。

どうして秋が似合うのか・・・ページをめくってみると、ビステッカ・フィオレンティーナからチンタ・セネーゼ、トリッパまで、美味しそうな肉料理のオンパレードで、添えられたパンと、具沢山のズッパと、濃いワインがあれば、トスカーナの田舎で貴族の狩り参加したような気分になります。

さすがに市場料理の本にはキアニーナのステーキは載っていないので、今日は、グイド・トンマージの本のリチェッタを訳してみます。

リチェッタのタイルは、
“ビステッカとコスタータBISTECCA E COSTATA”

「フィレンツェのビステッカは、フィレンツェの外ではフィオレンティーナと呼ばれている。
ビステッカ・フィオレンティーナとは、キアニーナ種の24月齢以上のヴィテッローネの肉で、熟成庫で15~20日熟成させたもの。

カットは背肉の尾に近い側をT字型の骨付きで切ったもので、肉はヒレ(filetto)とサーロイン(controfiletto)に分かれる。
ヒレとサーロインに分けられないものはコスタータとなる。
重さは1.5kg、厚さは4~5cm以内。

焼く時にオイルでマリネしたり、焼く前や後にオイルを塗ったり、フォークやナイフで穴を開けてはいけない。
焼くのに理想的なのはオークやオリーブの炭火で、鉄板等は厳禁。
網は炭から10cm離す。
焼き具合はアル・サングエ(レア)のみ。
片面5分が目安だ。
調味は焼いた後に塩、少量のこしょうのみ。
オイルやレモンは使わない」

リチェッタは人によってかなりバリエーションがあります。
参考動画



赤身肉バンザイ!

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2018年10月5日金曜日

イタリアの定番肉料理

今日のお題は本、
グランディ・クラシチ』です。


イタリア料理の定番を集めて1冊にぎゅっとまとめた、シンプルだけど読みやすい本。
総合解説」では肉のセコンド・ピアットを訳しました。
この本のリチェッタの訳しやすさは素晴らしい!
イタリア語初心者に優しい本で、お薦めです。
と言っていたのですが、とうとうこの本も売り切れのようです。
いい本ほどすぐ売り切れるイタリアでは、売り切れは内容の良さの証明。

今後は中古品になりますが、注文があれば探しますので、イタリア時間でのんびり待てる、という方は、ぜひご利用ください。

訳したリチェッタの1つ、鶏のレンガ焼き。
 ↓



確か昔はアッラ・ディアヴォラと読んでいた料理ですよね。

うさぎのイスキア風も、イタリア料理の定番。
 ↓


よく聞くけど、食べたことなかったなあ。
そういえば、ゴリツィア風グーラッシュもよく聞くけど食べたことない料理。
 ↓


ゴリツィアという名前が登場することも稀です。
フリウリ=ヴェネチア・ジューリア州の街。



異国情緒に溢れた国境の町。

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グランティ・クラシチ』のリチェッタの日本語訳
総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年10月3日水曜日

白肉のスペッツァティーノに合うワイン、カラブリアのチロー

今日はワインの話です。
テーマは白肉のスペッツァティーノに合うワイン。

白肉は鶏、七面鳥、うさぎを代表として、子牛、豚、子羊などが続きます。
スペッツァティーノは、小さく切った肉や、その煮込みのこと。
ざっくり言うなら、シチュー。

この料理と相性がよいのは、まず、イタリア中部の白。
大地のエネルギーが感じられる中部の白は、放し飼いのうさぎや七面鳥のスペッツァティーノにぴったりだそうです。
さらに、力のあるぶどうから作られたロゼの、酸味とタンニンの組み合わせは、脂ののった白肉に合います。

そして野菜と肉の複雑な組み合わせの料理には、エレガントな赤、地中海風味の料理なら、チロー・ロッソ・クラッシコ・スーペリオーレが合うそうです。

という訳で、『サーレ・エ・ぺぺ』お勧めのチローは、どんなワインでしょうか。
まず、チローはカラブリアの町。
東側のイオニア海に面した町。
 ↓


ワイン
 ↓


カラブリアのワインは、まず、カラブリアらしさを追求し、次に各カンティーナが個性を追求し、市場が大きくなると国際市場でも受け入れられるような技術をこぞって取り入れ、その結果個性がなくなり、現在は新しい視点での個性、他がやっていない独自の路線を追求している最中のようです。
そんな流れの中の注目カンティーナ、テヌータ・デル・コンテ。
 ↓



チロー・ロッソ・クラッシコ・スーペリオーレと組み合わせたスペッツァティーノは、豚肉、紫玉ねぎ、ソラマメのビネガー煮。

紫玉ねぎはしんなり炒める。
小麦粉とレモンの皮とこしょうをまぶした豚肩肉を焼き、玉ねぎとビネガー、ブロード、ちぎった食パンとローズマリーを加えて弱火で30分煮る。
ソラマメをゆでて薄皮をむき、スペッツァティーノが煮上がる10分前に加える。
仕上げに塩、こしょうで味を整えて出来上がり。

スペッツァティーノを含む肉料理の入門書。
アッロスト&コー



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“白肉のスペッツァティーノに合うワイン”の日本語訳は「総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年10月1日月曜日

マウラ・ゴジオシェフ、クールマイユールのアルタ・クチーナ

総合解説」の最新号で紹介したシェフは、クールマイユールのホテル・レストラン、ローヤル・エ・ゴルフの女性シェフ、
マウラ・ゴジオさんです。

こんな人
 ↓


『ガンベロ・ロッソ』の記事でした。
ガンベロ・ロッソはミシュランの星付きのアルタ・クチーナのシェフを好んで取り上げます。

今月のシェフは、クールマイユールのレストランのシェフでした。
クールマイユールは、ヴァッレ・ダオスタの山の上というか、西ヨーロッパで一番高い山、モンブランの麓の町です。
標高4810m。

クールマイユール
 ↓


こういうところの星付きシェフは、どんな料理を作るのでしょうか。
「総合解説」を読んでいただければ、かなり頭のいい人だということが分かります。
料理学校に一切行かずに、これだけ複雑で繊細な料理を作るのですから。

専門知識が豊富で地元や世界中の特殊な食材を使いこなすシェフたちのリチェッタは、時にとても哲学的です。
今回は、1品目に“腐葉土”が登場します。
本物の土ではなく、ドライ黒オリーブ、ドライトマト、パーネ・ブリオッシュ、黒パンをミキサーにかけて土そっくりにした、とても美味しそうな、でも見た目は土です。

この土を地元のリラ川で取れた身が締まったマスのマリネに散らします。

リラの滝
 ↓


2品目のパンのニョッキは、パーネ・プリエーゼのカネデルリをゆでて、中に地元の山羊のフレッシュチーズをサイフォンで絞り出して詰めたゴルフボールのような形のニョッキです。

肉料理のアルナ産ホロホロチョウは、すべてを使いきり、自家製りんごのタタンも料理の中に取り込んでいます。
アルナはラルドが有名なヴァッレ・ダオスタの町。
アルナのラルド
 ↓


アルナのホロホロチョウのレバーのヴェネチア風を、モンブランの麓でいただくのは、面白そうな体験。
ホロホロチョウもマスもシェフがイタリアで一番と自信を持っている食材です。

頭脳派だけれどユーモアもある個性的な女性シェフですが、どうやら去年、店を変わったようです。
60歳の彼女が去った後、店は20代の若いシェフが大抜擢されました。
今後どうなるか、彼の頑張り次第ですね。

イタリアのトップ・シェフたちの本
チェント・ペル・ディエーチ


「イタリア料理を変えた100人のシェフ」という副題。
2005年から2015年の10年間に活躍した、イタリアの100人のシェフを紹介する本。


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“マウラ・ゴジオシェフ”のリチェッタは「総合解説」2016年5月号に載っています。
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アサリとムール貝に合うワイン

今日はワインの話。 お題は「アサリやムール貝に合うワインは?」 味も歯ごたえも違う貝ですが、一緒に料理にすると、互いに補完し合って、厚みのある味の貝の料理を生み出します。 で、貝のミックスに合うワインはと言うと、『サーレ・エ・ぺぺ』誌のソムリエによると、イタリアの白は、様...