2018年10月22日月曜日

オリーブのクンツァータとパッソローニオリーブ

オリーブの保存方法ですが、元も一般的なのはサラモイア漬け。
塩水とハーブ、スパイスなどで漬ける方法です。
日本語だと、ちょっと素っ気ないけど、塩水漬けですか。
それと、もう一つよくあるのが、クンツァータ。
これも塩水とハーブ、スパイスで漬けるのですが、サラモイアとの違いがさっぱりわかりません。

クンツァータ
 ↓


クンツァータはシチリアの方言でコンディーレ、味付けする、という意味が。

どうやらイン・サラモイアは塩水に漬ける、という意味で、味付けするという意味は薄く、クンツァータは味付けするという意味で塩水につけるという意味は薄い、こんな解釈でOK?

もう一つの保存方法は、オーブン焼き。
 ↓


オリーブに切り込み位を入れて網に入れ、毎日水を替えながら4~5日漬けます。
水を替えてさらに4~5日漬けます。
水気を切り、塩、にんにく、ローリエで調味して毎日かき混ぜながらさらに4~5日なじませます。
2~3時間水気を切り、弱火のオーブンに入れて混ぜながら乾かすように焼きます。
完全に冷まして出来上がり。
これはもっとも手の込んだ保存方法かも。

黒オリーブは完熟してから収穫するのでそもそも収穫時期がグリーンオリーブとは数ヶ月違い、それをさらに何日も水にさらしてアク抜きし、調味してマリネしてからオーブンで焼いて水分を飛ばして味を凝縮させたオリーブです。



「総合解説」にはオーブン焼きのオリーブをさらにオレンジ、唐辛子、タイム、オリーブオイルでクンツァータするリチェッタもあります。
かなりスペシャルなオリーブになりそう。

こうして保存したオリーブを使って、数々の美味しい料理ができるわけです。

リチェッタにはオリーブの品種を指定しているものもあります。
一般的なのはリグーリアのタッジャスカと、生食用の代表的品種ガエタ。
今回の記事には“パッソローニ”という品種も登場します。
巨大なノチェッラーラ・デル・ベリチ種を黒ずんだ紫色になるまで熟させたオリーブです。







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“生食・料理用オリーブ”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年6月号に載っています。
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2018年10月19日金曜日

生食用オリーブ

総合解説」2016年6月号発売しました。
リチェッタの最初の記事は“生食・料理用オリーブ”。
オリーブは、摘みたては苦くて食べることができないのですが、地中海の人は古代から何世紀もかけて美味しい食べ方を試行錯誤してきました。
保存方法も、古代ローマ時代にはすでに考え出されていました。

その前に、熟し具合ですが、一番青いのは夏の終わりに収穫した実で、黒いものは完熟してから秋の終わりに収穫します。
ふっくら膨らんで柔らかいものはオイルをたっぷり含んでいます。

摘みたてを食べる
 ↓


洗って1分ゆでて塩、オリーブオイル、イタリアンパセリ、にんにく、唐辛子で調味します。

アク抜き
 ↓


洗って蓋付き容器に入れて水に漬け、朝晩水を替えながら30日間漬けます。
これをサラモイア(塩水とハーブやスパイス)で漬けます

サラモイア漬け
 ↓


プーリア風塩漬け
 ↓


洗って傷んだものを取り除いて塩をまぶし、毎日最低1回かき混ぜながら15日漬けます。
ざるに移して混ぜ、一晩休ませます。
オリーブオイル、イタリアンパセリ、にんにく、唐辛子のみじん切りで調味したら2時間休ませて瓶に詰めます。

量は全部目分量。
リチェッタは家族ごとに秘伝のものが受け継がれていそうですね。

オリーブの保存方法はまだあります。
続きは次回に。

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“生食・料理用オリーブ”の記事の日本語訳は「総合解説2016年6月号」に載っています。
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2018年10月17日水曜日

本を紹介する水曜日。
今日は、“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの
新入荷
『エミリア・ロマーニャ』と『トスカーナ』です。







このシリーズ、『ウンブリア』が一番最初に品切れになりました。
次は『エミリア・ロマーニャ』で、3番目が『トスカーナ』。
実はこの3冊は、当分手に入らないだろうと思っていました。
なので、今回入荷したこの2冊は、かなり貴重な本です。
2010年版なので多少経年感はありますが、
このシリーズのコンプリートを目指している方にはお薦めです。



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2018年10月15日月曜日

エミリア街道が発展させた食文化と本家争い

ポー河は、エミリア・ロマーニャ州の北側の縁を流れています。
東西に長いエミリア・ロマーニャの真ん中を貫いているのは、via Emilia=エミリア街道です。
グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズ
『エミリア・ロマーニャ』の前書きの第2章は、エミリア街道の話です。

商人、兵士、巡礼、無法者を運びながら、エミリア街道の歴史は流れていきました。
時は流れても街道は変わらず、今も平野を横切っています。

紀元前2世紀に、ローマの執政官マルコ・エミリオ・レピドによってポー河とアペニン山脈の間に通された街道は、ピアチェンツァとリミニを結んでいます。
エミリア街道は人の名前が語源だったんですね。
軍需的目的でしたが、経済活動も担いました。
北西と南東を結び、山と平地を結び、ポー河の支流の町を結び、エミリア・ロマーニャの発展に大いに貢献してきた街道です。

町は中世のシニョリーアの時代には僭主の住む都となり、ヨーロッパ諸国と結びつきのある貴族たちが台頭してきました。
ルネサンスの時代には、これらの街がさらに力を増し、ボローニャ、モデナ、パルマなど、街ごとに独自の食文化を発展させたのです。

料理の本家争い、というエミリア・ロマーニャではよくある話も、隣町同士の間で繰り広げられるなど、街ごとのプライドがすごく強いのは、この時代の栄光の名残かも。

エミリア街道の22世紀
 ↓



さて、次は食材の話。
まず最初は、サルーミ。
次はバルサミコ酢、そしてトルテッリーニ。
こうして食材を並べるだけで自然と、パルマ、モデナ、ボローニャと、エミリア街道を北から南へと移動できますねえ。

エミリア・ロマーニャのバルサミコ酢とパルミジャーノ
 ↓


エミリア・ロマーニャの町の紹介
 ↓



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2018年10月12日金曜日

プロシュットはないけど、クラテッロならあります。

豚肉はトスカーナかな、なんて言いましたが、あれ、やっぱりエミリアだっけと、もう気持ちが揺らいでいます。

グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの、
長らく欠品していた『エミリア・ロマーニャ』が入荷して、最初のページを読んだのです。

「なにがあるんだい?」
「柔らかい豚肉のロースト、美味しいコテキーノ・フレッドがあります」
「プロシュットは?」
「プロシュットはありませんが、クラテッロならあります」
リカルド・バッケリ著『ポー河の水車小屋』より

映画化もされた有名な小説のワンシーンで始まるエミリア・ロマーニャの紹介。
この短い会話で、ここがイタリアの養豚業の伝統の地だということを思い出させますねー。
本は、この地方の料理は陽気で賑やかな、祭り(festa)の料理だ、と続きます。
トルテッリもラザーニャも、アノリーニもタリアテッレも、ラグーもザンポーネも、仲間と食べるのにぴったり。

確かに。
トスカーナとの大きな違いは、どれも職人技が生かされた料理ばかり。
さらにエミリア・ロマーニャにはポー河があるという決定的な違いもありました。

ポー河
 ↓


このシリーズは、リチェッタもいいですが、各州の特徴をまとめた前書きがととても優秀です。
読み返す度に発見があって、ずっと手元に置いておきたくなる本です。
さて、エミリア・ロマーニャについては、どんな事が書いてあるのでしょうか。

ざっと予習
 ↓






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2018年10月10日水曜日

トスカーナの豚肉料理アリスタ、ロスティンチャーネ

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『トスカーナ』から

トスカーナの肉料理を紹介しています。
ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナの次は、チンタ・セネーゼの料理を訳してみましょうか。

まずは
“チンタ・セネーゼのアリスタ/ARISTA DI CINTA SENESE”

アリスタはトスカーナで生まれた豚の部位の名前で、共通語だと“カレcarré”にあたります。
フランス語のキャレのイタリア訛り、つまりあばら骨付きロース。
チンタ・セネーゼのアリスタは、チンタのアリスタと省略する派と、・・・産チンタ・セネーゼのアリスタと、さらに詳細にこだわるシェフとに別れているようです。
最近訳したシェフはオルヴィエト産チンタ・セネーゼにこだわっていました。

参考までに、アリスタのロースト 
 ↓


それではチンタのアリスタのリチェッタに戻ります。

材料/5人分
チンタのアリスタ・・1kg
にんにく・・2かけ
EVオリーブオイル・・大さじ2
白ワイン・・1カップ
ローズマリー、セージ
塩、こしょう

・アリスタは骨付きなら開く。肉と骨の間にローズマリー、セージ、潰したにんにくをはさんでタコ糸で縛る。骨なしの場合は通常のローストの要領で香草はタコ糸の下にはさみながら縛る。
・塩、こしょうする。
・油を引いたソテーパンで表面全体を焼き、白ワインを加えて1時間焼く。オーブンで焼いてもよい。

シンプルですね。
そう思いながらページをめくったら、こんがり焼けた山盛りの豚の骨付きリブローストの皿の上に肘を付きながら肩寄せあって骨付きリブを両手で持ってかぶりつく母子の写真が。

超美味しそう、と思って本を見直すと、チンタのアリスタの横に、
“ロスティンチャーネ/ROSTINCIANE”
という料理のリチェッタがありました。
きっとこの料理です。

本によると、トスカーナではコストレッテのことをロスティッチャーネROSTICCCIANEとか、ロスティンチャーネROSTINCIANEと呼ぶそうです。
コストレッテはアリスタを切り分けたもの。

材料/4人分
豚コストレッテ・・1.2~1.5kg
ローズマリー
塩、こしょう

・炭火で焼くが、なければオーブンでも可。
・ローズマリーで香りをつけて約30分焼く。
・焼き上がったら塩、こしょうする。

アリスタもロスティンチャーネもトスカーナ生まれで全国的に広まった豚肉料理。

ロスティンチャーネとサルシッチャのグリル
 ↓


バーベキューの王様だあ。


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2018年10月9日火曜日

ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ

今、秋だっけ夏だっけ・・・。
年々秋と春が短くなっている気がしますが、秋を飛ばして冬になるのは、やっぱり無理です。
秋になると毎年『アウトゥンノ』を紹介するのが風物詩ですが、


今年は“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『トスカーナ』
なんてどうでしょう。


トスカーナの料理は秋が似合うような気がします。

トスカーナの市場料理


も秋が似合う料理が満載です。

どうして秋が似合うのか・・・ページをめくってみると、ビステッカ・フィオレンティーナからチンタ・セネーゼ、トリッパまで、美味しそうな肉料理のオンパレードで、添えられたパンと、具沢山のズッパと、濃いワインがあれば、トスカーナの田舎で貴族の狩り参加したような気分になります。

さすがに市場料理の本にはキアニーナのステーキは載っていないので、今日は、グイド・トンマージの本のリチェッタを訳してみます。

リチェッタのタイルは、
“ビステッカとコスタータBISTECCA E COSTATA”

「フィレンツェのビステッカは、フィレンツェの外ではフィオレンティーナと呼ばれている。
ビステッカ・フィオレンティーナとは、キアニーナ種の24月齢以上のヴィテッローネの肉で、熟成庫で15~20日熟成させたもの。

カットは背肉の尾に近い側をT字型の骨付きで切ったもので、肉はヒレ(filetto)とサーロイン(controfiletto)に分かれる。
ヒレとサーロインに分けられないものはコスタータとなる。
重さは1.5kg、厚さは4~5cm以内。

焼く時にオイルでマリネしたり、焼く前や後にオイルを塗ったり、フォークやナイフで穴を開けてはいけない。
焼くのに理想的なのはオークやオリーブの炭火で、鉄板等は厳禁。
網は炭から10cm離す。
焼き具合はアル・サングエ(レア)のみ。
片面5分が目安だ。
調味は焼いた後に塩、少量のこしょうのみ。
オイルやレモンは使わない」

リチェッタは人によってかなりバリエーションがあります。
参考動画



赤身肉バンザイ!

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2018年10月5日金曜日

イタリアの定番肉料理

今日のお題は本、
グランディ・クラシチ』です。


イタリア料理の定番を集めて1冊にぎゅっとまとめた、シンプルだけど読みやすい本。
総合解説」では肉のセコンド・ピアットを訳しました。
この本のリチェッタの訳しやすさは素晴らしい!
イタリア語初心者に優しい本で、お薦めです。
と言っていたのですが、とうとうこの本も売り切れのようです。
いい本ほどすぐ売り切れるイタリアでは、売り切れは内容の良さの証明。

今後は中古品になりますが、注文があれば探しますので、イタリア時間でのんびり待てる、という方は、ぜひご利用ください。

訳したリチェッタの1つ、鶏のレンガ焼き。
 ↓



確か昔はアッラ・ディアヴォラと読んでいた料理ですよね。

うさぎのイスキア風も、イタリア料理の定番。
 ↓


よく聞くけど、食べたことなかったなあ。
そういえば、ゴリツィア風グーラッシュもよく聞くけど食べたことない料理。
 ↓


ゴリツィアという名前が登場することも稀です。
フリウリ=ヴェネチア・ジューリア州の街。



異国情緒に溢れた国境の町。

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グランティ・クラシチ』のリチェッタの日本語訳
総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年10月3日水曜日

白肉のスペッツァティーノに合うワイン、カラブリアのチロー

今日はワインの話です。
テーマは白肉のスペッツァティーノに合うワイン。

白肉は鶏、七面鳥、うさぎを代表として、子牛、豚、子羊などが続きます。
スペッツァティーノは、小さく切った肉や、その煮込みのこと。
ざっくり言うなら、シチュー。

この料理と相性がよいのは、まず、イタリア中部の白。
大地のエネルギーが感じられる中部の白は、放し飼いのうさぎや七面鳥のスペッツァティーノにぴったりだそうです。
さらに、力のあるぶどうから作られたロゼの、酸味とタンニンの組み合わせは、脂ののった白肉に合います。

そして野菜と肉の複雑な組み合わせの料理には、エレガントな赤、地中海風味の料理なら、チロー・ロッソ・クラッシコ・スーペリオーレが合うそうです。

という訳で、『サーレ・エ・ぺぺ』お勧めのチローは、どんなワインでしょうか。
まず、チローはカラブリアの町。
東側のイオニア海に面した町。
 ↓


ワイン
 ↓


カラブリアのワインは、まず、カラブリアらしさを追求し、次に各カンティーナが個性を追求し、市場が大きくなると国際市場でも受け入れられるような技術をこぞって取り入れ、その結果個性がなくなり、現在は新しい視点での個性、他がやっていない独自の路線を追求している最中のようです。
そんな流れの中の注目カンティーナ、テヌータ・デル・コンテ。
 ↓



チロー・ロッソ・クラッシコ・スーペリオーレと組み合わせたスペッツァティーノは、豚肉、紫玉ねぎ、ソラマメのビネガー煮。

紫玉ねぎはしんなり炒める。
小麦粉とレモンの皮とこしょうをまぶした豚肩肉を焼き、玉ねぎとビネガー、ブロード、ちぎった食パンとローズマリーを加えて弱火で30分煮る。
ソラマメをゆでて薄皮をむき、スペッツァティーノが煮上がる10分前に加える。
仕上げに塩、こしょうで味を整えて出来上がり。

スペッツァティーノを含む肉料理の入門書。
アッロスト&コー



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“白肉のスペッツァティーノに合うワイン”の日本語訳は「総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年10月1日月曜日

マウラ・ゴジオシェフ、クールマイユールのアルタ・クチーナ

総合解説」の最新号で紹介したシェフは、クールマイユールのホテル・レストラン、ローヤル・エ・ゴルフの女性シェフ、
マウラ・ゴジオさんです。

こんな人
 ↓


『ガンベロ・ロッソ』の記事でした。
ガンベロ・ロッソはミシュランの星付きのアルタ・クチーナのシェフを好んで取り上げます。

今月のシェフは、クールマイユールのレストランのシェフでした。
クールマイユールは、ヴァッレ・ダオスタの山の上というか、西ヨーロッパで一番高い山、モンブランの麓の町です。
標高4810m。

クールマイユール
 ↓


こういうところの星付きシェフは、どんな料理を作るのでしょうか。
「総合解説」を読んでいただければ、かなり頭のいい人だということが分かります。
料理学校に一切行かずに、これだけ複雑で繊細な料理を作るのですから。

専門知識が豊富で地元や世界中の特殊な食材を使いこなすシェフたちのリチェッタは、時にとても哲学的です。
今回は、1品目に“腐葉土”が登場します。
本物の土ではなく、ドライ黒オリーブ、ドライトマト、パーネ・ブリオッシュ、黒パンをミキサーにかけて土そっくりにした、とても美味しそうな、でも見た目は土です。

この土を地元のリラ川で取れた身が締まったマスのマリネに散らします。

リラの滝
 ↓


2品目のパンのニョッキは、パーネ・プリエーゼのカネデルリをゆでて、中に地元の山羊のフレッシュチーズをサイフォンで絞り出して詰めたゴルフボールのような形のニョッキです。

肉料理のアルナ産ホロホロチョウは、すべてを使いきり、自家製りんごのタタンも料理の中に取り込んでいます。
アルナはラルドが有名なヴァッレ・ダオスタの町。
アルナのラルド
 ↓


アルナのホロホロチョウのレバーのヴェネチア風を、モンブランの麓でいただくのは、面白そうな体験。
ホロホロチョウもマスもシェフがイタリアで一番と自信を持っている食材です。

頭脳派だけれどユーモアもある個性的な女性シェフですが、どうやら去年、店を変わったようです。
60歳の彼女が去った後、店は20代の若いシェフが大抜擢されました。
今後どうなるか、彼の頑張り次第ですね。

イタリアのトップ・シェフたちの本
チェント・ペル・ディエーチ


「イタリア料理を変えた100人のシェフ」という副題。
2005年から2015年の10年間に活躍した、イタリアの100人のシェフを紹介する本。


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“マウラ・ゴジオシェフ”のリチェッタは「総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年9月28日金曜日

カルロ・クラッコの子羊のレバーのたこ焼き

さて、アブルッツォの羊版焼き鳥、アッロスティチーニですが、
カルロ・クラッコの地方料理

には、こう書かれています。
クラッコシェフは、羊肉の串焼きをどう料理するのでしょうか。

アッロスティチーニは、羊肉の角切りを串に刺して炭火で焼いた山の料理だ。
現在では子羊肉も使うが。
羊肉は本物のアブルッツォ料理の食材だ。
それと同時に山の食材でもある。
もう1つの典型的山の食材、それは内臓だ。
私のアッロスティチーニにも子羊の内臓を使う。
もちろん、1本の串に肉と内臓を刺して焼くのではない。
肉と内臓(トリッパ、腸、レバー、胸腺)は別々に串に刺す。
私はこれにパプリカで香りをつけた濃厚なアブルッツォ産オリーブオイルのペーストを添えるのが好きだ。


リチェッタを見ると、肉は羊や子羊のもも肉。
内臓はビネガーを加えた湯で下ゆでして小さく切り、セージ、パンチェッタと交互に串に刺します。
これを軽い炭火でオレンジ色にならないように焼きます。
直接グリルに串を載せてもいいですが、子羊とよく合うアロマのハーブ、タイムの束を網にのせてその上に串をのせて焼いてもいいでしょう。
2~3分で火が通ります。
ソースはパプリカ、オイル、水を撹拌したペーストです。


前回、キタッラのリチェッタで子羊の骨で取ったフォンドからラグーを作るリチェッタを紹介しましたが、クラッコシェフも、この料理の切り落としをバター、にんにく、玉ねぎで炒めてフォンドかブロードを加え、1時間煮てラグーにしたものをキタッラのソースにすることを勧めています。

本で紹介されているもう1品のアブルツォ料理は子羊のレバーのフリッタータです。
クラッコシェフにはアブルッツォ出身の同僚や友人がいて、それでこのマイナーな地方の料理もよく知っているのだそうです。

初めてオステリアで食べた時は、何のフリットかわからずに、子羊の内臓だと知った時には驚いたそうです。
でも、今まで食べたことのあるフリットとはぜんぜん違う味と姿で、深く記憶に刻まれたそうです。

彼はこれに独自のアレンジを加えて、シリコンの半球型を使うことにしました。
そしてさらに深く考察していくうち、どうもこれは日本のフリッタータが原型なのでは、と考え出します。
四角い鋳鉄に木の取手がついたフライパンで、底が半球型になっているもので焼きます。
あ、そ、それはあれですね。
シェフは家に新品のものがあるけれど、一度も使ったことはない、と告白しています。

たこ焼きならぬ、子羊の内臓焼きだー。
イタリアの人にとっては、あれはフリッタータの一種なんですね。

本を読む限り、彼はたこ焼き食べたことないのではと思うのですが、子羊のレバーのフリッタータは、たこ焼き器を使って作ります。
アブルッツォのオステリアで食べたフリッタータにとりつかれた彼は、たこ焼きをイタリアンのアルタ・クチーナにアレンジしてしまったのでした。

リチェッタはちょっと複雑ですが、読んでるだけで美味しそう。


ほんとこの人の本は面白いわ。
料理のことを語りだすと止まらない。




クールにしたいならエシャロットを使う』もお勧めです。





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2018年9月26日水曜日

アブルッツォの農家料理の定番、パロッテ・カチェ・オーヴェ

アブルッツォ料理を調べていたら、cac'e ove/カチェ・オーヴェという料理に出会いました。

動画も色々ありました。
特に“パッロッテ・カチェ・オーヴェ”という料理がアブルッツォ名物のようです。

パッロッテとはポルペッテのこと。
カチェ・オーヴェはチーズと卵。
パン粉とおろしたチーズ、卵のダンプリングです。
見事なまでに質素な農家の家庭料理の食材。
これをアブルッツォではどんな料理にするのでしょうか。
 ↓


質素な食材だけでできているとは思えない。

スローフードのオステリエ・ディ・イタリア

にはモリーゼ(!)のリチェッタがありました。

“パッロット・ディ・パーネ”
PALLOTTO DI PANE

材料/4人分
 パンのクラム・・150g
 小麦粉
 イタリアンパセリ・・1房
 卵・・1~2個
 牛乳・・1カップ
 ペコリーノ・スタジョナート・・200g
 塩
ソース;
 トマトソース・・300g
 玉ねぎ・・小1個
 にんにく・・1かけ
 ペコリーノ・スタジョナート
 EVオリーブオイル、塩

・パンを崩して牛乳に浸す。
・玉ねぎをみじん切りにしにんにくと一緒にソッフリットにする。
・トマトソース、塩一つまみを加えて蓋をして弱火で20分煮る。
・チーズをおろして軽く溶いた卵に加える。
・よく絞ったパン、塩一つまみ、イタリアンパセリのみじん切りも加えてこね、柔らかくて腰のある状態にする。柔らかすぎる時は小麦粉少々を加える。
・手で小さく丸めて小麦粉をまぶす。
・香りが強すぎないたっぷりの油で揚げる。
・シートに取って油を切る。
・トマトソースにパッロッテを入れてよく混ぜ、10分なじませる。
・仕上げにペコリーノを散らす。

そう言えば、『カルロ・クラッコの地方料理』には、

マイナーなアブルッツォ料理は何が紹介されているだろうと思って見てみたら、意外なことに“アッロスティチーニ”が取り上げられていました。
この羊版焼き鳥を、クラッコシェフはどう料理するのでしょうか。
訳は次回に。


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2018年9月24日月曜日

アブルッツォのリストランテとオステリア

アブルッツォの要チェックレストラン。
その1、ヴィッラ・マイエーラ。

地方料理とアルタ・クチーナが出会ったティナーリ一家の店。
14室のエレガントな客室付きのホテル・レストランです。




アブルッツォと言えば、ディ・チェッコ。
ディ・チェッコが企画した各州の有名なシェフのパスタを紹介する本、『パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア
で、アブルッツォのシェフとして紹介されているのが、このヴィッラ・マイエーラのシェフのペッピーノ・ティナーリ。

アブルッツォの魅力的なもてなしを体験できる素敵な店。
昔ながらの懐かしさのある伝統の味を、現代の最先端の食材で再現しています。

本のリチェッタを訳してみます。

“子羊のラグー・ビアンコ、セイボリー風味のキタッラ
chitarra al ragù bianco di agnello al profumo di santoreggia

材料/6人分
 マッケローニ・アッラ・キタッラ・・500g
 子羊の肩か首肉・・600g
 子羊の首の骨・・200g
 葉玉ねぎ・・80g
 セロリ・・50g
 ローリエ・・1枚
 セイボリー・・2枝
 にんにく・・1/2かけ
 EVオリーブオイル・・150ml
 白ワイン
 野菜のブロード・・1L
 塩
 完熟トマト・・3個
 にんにく・・1/4かけ
 EVオリーブオイル・・100ml
 削ったペコリーノ

・ソテーパンに油を熱し、骨をじっくり焼く。葉玉ねぎとセロリのみじん切り、潰したにんにくを加えて炒める。
・次に1cm角に切った肉、ローリエを加えてワインをかけ、アルコール分を飛ばす。野菜のブロード少々をかけながら45分煮る。
・骨を取り除いて塩味を整え、セイボリー少々を加える。
・にんにくと油を熱し、皮と種を取って小さく切ったトマトを加えて10分煮る。塩味を調え、裏漉ししてクリーム状にする。
・パスタをゆでて子羊のソースであえる。
・皿にトマトのクリームを注ぎ、その上にパスタを盛り付ける。セイボリーとペコリーノの薄片で飾る。

コロコロの子羊肉の存在感があるパスタです。
子羊のフォンドで作るソースも濃厚そう。

子羊というと、ローマのアバッキオが有名ですが、ローマのアバッキオはほとんどがサルデーニャ産。
ペコリーノ・ロマーノもサルデーニャ産、という厳しい現実がありました。
ところが、山を挟んで反対側は、子羊料理のパラダイスがまだ現存していそうです。

スローフードの『オステリエ・ディ・イタリア2017

によると、ラクイラのオステリア・ディ・アンティカ・ムーラの子羊料理はこんな料理。

子羊のカーチェ・オーヴェ
Agnello cac'e ove

材料/4人分
 子羊のももか肩肉・・1kg
 卵・・3個
 ローズマリー・・1枝
 レモン・・1個
 ペコリーノ・スタジョナート・・50g
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう

・肉を小さく切る。油とローズマリーで焼いて塩、こしょうする。
・卵を溶き、おろしたペコリーノとレモン汁を加える。
・これを子羊のソテーパンにかけて全体が固まるまで素早くマンテカーレする。
・熱した皿に盛り付けてすぐにサーブする。

※別名“子羊のブロデッタート”とも呼ばれるアブルッツォの(復活祭の)名物料理。
ソッフリットににんにくを加えたり、肉に白ワインをかけるなどのバリエーションがある。

これはフリカッセのアブルッツォ版。
アブルツォではカーチェ・オーヴェ(cac'e ove)と呼ぶのですね。
チーズと卵ですね。

カーチェ・オーヴェの話、次回にづきます。


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2018年9月21日金曜日

焼き鳥の羊版、アブルッツォのアッロスティチーニ

今日はアブルッツォ料理の話。
「総合解説」のグルメ旅がアブルッツォなので。

さてと、アブルッツォ料理といえば、キタッラ。

そう言えば、アブルツォは1963年まではモリーゼと一緒で1つの州だったのでした。

「山と平野と海があって、移牧の伝統があり、シーフードや子羊、仔山羊料理が名物」と、地方料理の個性的なロングセラー、

クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジにはあります。



さらに、地方料理には質素な食材を使うものが多く、野菜はアブルッツォはじゃがいもが名物。他にはサフラン、オリーブオイルが世界的に有名。
パスタを大量に消費する、といった南イタリア特有の食文化の特徴もあります。
ディ・チェコはアブルツォが誇る世界的パスタメーカー。

個人的には食べたいアブルッツォ料理ナンバー1は、羊肉の串焼き、焼き鳥の羊肉版、
アッロスティチーニ。
 ↓


この煙が美味しそう!
串も炭も中国からの輸入品だそうです。

アブルッツォの最後の羊飼いが語る“移牧”
牛の移牧とは、ちょっと違いますね。
 ↓


サルデーニャの羊飼いの世界が舞台の映画、『パードレ・パドローネ』を観て以来、羊飼いが素晴らしい自然に囲まれたのんびりした仕事だなんて、とても思えなくなってしまいました。
でもアッロスティチーニは単純に美味しそう。
リチェッタを訳した“ペルチャテッリ”は、アブルッツォ版ブカティーニ。
ナポリ発祥のパスタが違う名前で広まっているのをみると、アブルッツォは地理的には中部イタリアに属するけれど、食文化は南に近い、複雑で興味深い地方のようです。



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2018年9月19日水曜日

地方料理のシリーズ本

ニュートンの地方料理シリーズを、久しぶりに更新したら、新シリーズの表紙が料理の写真に変わって、とても賑やかになっていました。

クレアパッソのニュートンのページはこちら

このシリーズは、何度もデザインを変更しながら、昔から続いてきました。
表紙を頻繁に変える割にはリチェッタは一切手を加えず、頑なに昔のままという、
頑固な職人気質のシリーズです。

魚料理を集めたディ・マーレ・シリーズの次に売り出したのが、アンティパスト、パスタ、ドルチェというテーマで集めたシリーズ。

あとは野菜とカルネが出れば、コンプリート。

それにしても1000点のリチェッタというのは相当な数です。
他の地方料理のシリーズ書との大きな違いは、この数。
リチェッタと比べると写真の数は少ないですが質はいいです。

質と言えば、表紙がふかふかな仕様なのはなぜでしょう。
表紙だけは100年もつように作ってあります。

一方、ニュートンとは対象的なのが“グリバウド”シリーズ。
数をぐっと絞って、基本的な料理をコンパクトにまとめています。
シリーズを全部揃えても本棚の一角を埋めるだけ。
手軽で手に取りやすいいいシリーズですが、売り切れ間近です。


さらに、新入りの“イン・クチーナ”シリーズは、
リチェッタにも写真にも惜しみなくお金をかけた、とても豪華な本。

英語とイタリア語の2カ国語版で、世界中で売ることを念頭に作られています。
大力作。

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2018年9月17日月曜日

ヴィテッロ・トンナートじゃなくてトンノ・ヴィテッラート

今日のお題はヴィテッロ・トンナート。
いや、正確に言うと、トンノ・ヴィテッラート。

なんじゃこりゃ、と思いますよね。
ヴィテッロ・トンナートのバリエーションの話をする時、イタリア人の心に必ず浮かぶダジャレが、これなんですわ。
以前にも訳したことがあるんです。このどーしようもないダジャレ。

マグロのソースをかけた子牛肉があるなら、子牛のソースをかけたマグロがあってもいいじゃん、
というか、ゴロが面白ければ、味なんてどうだっていいじゃん、というラテン系なノリが見えるこのネーミング。

今回も、大真面目に訳しちゃいましたよ。
総合解説」2016年5月号P.15をご覧ください。

動画もちらほらあります。
 ↓



それにしても、tonnoやvitelloの語尾に~toをつけると、食材がソースに変わるのって、便利だなあ。
解説に載せたもう1品は、鴨の胸肉のアグルマータ。
agrumiは柑橘フルーツのことだから、レモンやオレンジのソースです。
でも、これはダジャレじゃなく、柑橘フルーツのミックスジュースのことをアグルマータというのでした。
 ↓



もう1品の七面鳥のヨーグルトソースはヨーグルタートじゃなくてアッロ・ヨーグルトallo yogurtでした。
ひょっとしたら、トンナートというのは珍しい言い方なのかも、
と思って他の名前を探してみたら、意外と~toとい言い方はなかった・・・。
トンノがたまたまトンナートに変化させやすい言葉で、
ヴィテッラートは、言ったもん勝ちのダジャレだったんですね。

お口直しに、市販のマヨネーズを入れない伝統的なリチェッタのヴィテッロ・トンナートをどうぞ。
この料理はフランス料理ではなく、ピエモンテ料理だったんだなあ。
 ↓


ゆでないので肉がジューシーに仕上がります。
ソースの油分は少量加えるだけ。
盛り付けも斬新で、別の料理のようですね。

お勧めの料理書は
スローフードの『オステリエ・ディ・イタリア2017




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“ヴィテッロ・トンナートのバリエーション”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年9月14日金曜日

パスタのお焼き、トルテッリ・アッラ・ラストラ

訳して以来、気になっていた料理、“石板焼きトルテッリ”。

聞いたことのないパスタだったので、動画もないだろうと思っていたら、意外とあって、ちょっと意外。
ひょっとして、知らなかったのは私だけ?
こんなパスタです。
 ↓


何も知らないと、この動画を見ても???ですが、『サーレ・エ・ペペ』の記事では、このパスタが誕生したいきさつを詳しく説明しています。
なるほどの歴史があったのです。

ちなみに上の動画は、「総合解説」で、「毎年石焼きトルテッリの祭りが開かれる町」と紹介されているアレッツォ県のコレッツォのもの。

さらに、蛮族が超えたというトスコ・ロマニョーロの山脈はこんな感じ。
 ↓


この地方の羊飼いが移牧の時に用いる調理方法が、石板焼きトルテッリ。

鍋に水を張ってゆでるよりは、このあたりで取れる砂利まじりの石の板を熱してその上で焼いたほうが簡単なのか。

これは一種のお焼きですね。

お焼きは餡を生地で包んで焼きますが、このトルテッリも、詰め物はトマトソース入りマッシュポテトで、餡という言葉がぴったり。

祭りには欠かせないストリートフードだそうで、これはぜひコレッツォで食べてみたい。
それにしても、ここまでどうやって行くのでしょうか。

去年の祭りの告知
 ↓




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“石板焼きトルテッリ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年5月号に載っています。
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2018年9月12日水曜日

春のジェノヴァ料理とスペッツァティーノ

総合解説」2016年5月号発売しました。


5月号の記事なので、春の料理が中心です。
イタリア料理は、夏はシチリア、秋はピエモンテ、冬はヴァッレ・ダオスタというイメージがありますが、春はリグーリア、中でもジェノヴァなんですねー。

最初の記事、“ジェノヴァのホームパーティー”は、ジェノヴァの伝統料理を取り入れた春のメニュー。
それにしても、ラッテ・ブルスコ、フリッシェウ、コンディッジョン、シュメッテと、聞いたことがない料理ばかりでした。

リグーリア料理、まだまだ開拓されていないですね。

もちろんリチェッタには松の実のソースのコルゼッティもあります。



地方料理はトスコ・ロマニョーラ地方の石板焼きトルテッリ。
知ってましたか?
焼きパスタです。
以前に揚げパスタ(プーリアのチーチェリ・エ・トリア)を紹介した時も、パスタにはすごい種類があると感じたものですが、石焼きは想定外でした。
何十年やっていても、新しいパスタとの出会いがあります。

フレッシュチーズも春を感じさせる食材なんですね。
でも、白いソフトチーズを白い皿にのせて白いテーブルの上で撮影する感性、理解できない。
写真がほぼ真っ白なんですけど(汗)。

ソラマメとサラミは、この季節の定番の組み合わせで、毎年記事に登場する度に、イタリア人どんだけ好きなんだろうと思っていました。
カルボナーラに入れたり、ピッツァのトッピングにしたりと、応用方法も無限にあります。

スペッツァティーノは、「春の」と季節を限定。
主役は白肉と春野菜です。

ワインも白肉のスペッツァティーノに合うワインの提案。

「豚肉・赤玉ねぎ・ソラマメのビネガー煮」に組み合わせるのは、
カラブリアのテヌータ・デル・コンテのチロー・ロッソ・クラッシコ・スーペリオーレ。




訳した料理書は『グランディ・クラシチ』の肉のセコンド12品。


国民的イタリア料理の肉料理をほぼ全部訳しました。
スペースの関係で載せられなかったのは、サルデーニャの『子豚のロースト』。



全部は紹介しきれません。
今月も盛りだくさんです。
詳しくはこちらのページで。

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2018年9月10日月曜日

エトナ山麓の旅、カターニア

今月のグルメ旅はエトナ産の麓。
これまでにも度々登場している地方です。
近年、注目度がかなり上がっているようです。

ビジュアルガイドのまず最初は、訳していて、ごめん何言ってるのかわかんない、状態だったのが、
イカ墨のリゾットとリコッタを噴火しているエトナ山の形に盛り付けたripiddu nivicatu。
そもそも読めないしね。
意味は雪をかぶった火山。

ネットで調べると、シチリアの有名料理だそうですよ。

こんな料理

インスタばえっ、ちゅーやつじゃないの。

読めないと言えば、nから始まる、ncaciata。

どちらもエトナ産の麓の美食の街、カターニアの名物パスタです。

他にも、青魚の稚魚のパスタpasta con il muccu、
豚肉とレモンのジェラティーナ zuzzu、
など、面白そうで発音が難しそうなものが一杯。
「総合解説」に写真は載せたけれど、解説しないとちょっと分からないのが、カターニアの守護聖人に捧げられたドルチェのサンタガタのミンネ。

聖アガタはカターニアの有名な殉教者。
乳房を切り落とされるというとんでもない拷問を受けます。
衝撃的だったゆえか、多数の伝説が生まれ、
病いからの再生のシンボルとされて、熱い宗教心を捧げられるようになりました。
乳がんの守り神とされるのも納得です。
乳房をかたどったドルチェも、看護婦などの、見守って支えてくれる愛情を表現した、究極の母性の表現。
「総合解説」に写真を載せたものは、素朴で優しくて美しいミンメ。




種明かしをすれば、カッサータの一種ですが、カターニアの守護聖人に捧げられたこのドルチェは、カターニアで食べてこそ。

エトナ山の麓をぐるっと走るチルクメテネア鉄道は、こんなに立派になっていました。
ビックリ。




エトナ山の麓巡りも楽しそうです。


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“グルメ旅~エトナ山麓”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年4月号に載っています。
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2018年9月7日金曜日

ヴェローナ、カーサ・ペルベッリーニ

今月の「総合解説」の二人目のシェフは、ジャンカルロ・ペルベッリーニさん。
ヴェローナのカーサ・ペルベッリーニのシェフです。

この記事で一番目を引いたのは、1品目の料理名。

suschi di maccheroni・・・/マカロニのスシ
とありました。

しかもソースはpesto di alga nori/海苔のペスト(と、わさびマヨネーズ)

です。

さて、どんな料理を想像しましたか?
2016年4月号の『ガンベロ・ロッソ』に載った記事でした。
2年前の記事ですが、オープンはその2年前の2014年。
現在は注目度がもっとアップしているよう。
すごい勢いで注目されてきたようです。
この1年くらい前のミラノ万博の頃から、イタリア人の日本料理への関心は、目に見えてた高まってきたように感じます。
しかも以前は、観光で日本を訪れて日本料理に初めて出会った、といった印象が強かったのですが、その専門色はどんどん強くなっています。
この料理は、ちょうどその両方を足して割ったような料理です。

カーサ・ペルベッリーニの繊細な料理。
 ↓


シェフのジャンカルロ・ペルベリーニとマグロのパスタ。
 ↓


マグロは可能だったらpinna blueを使うと言っています。
ピンナ・ブルーはタイセイヨウクロマグロのことです。
今では絶滅の危惧や世論から、入手はさらに難しくなっていることでしょう。
しかも、その上におろしかけているのはマグロのボッタルガ。
これも近年、お目にかかりません。

下ごしらえは、ミニトマトの皮を湯むきして小さく切ります。
玉ねぎは薄い輪切りにして塩とバター、油を加えて崩れない程度に柔らかくなるまで炒めます。
マグロはスカロッパに切って塩をし、片面だけさっと焼いてスライスします。
これにおろしたボッタルガとこしょう、オイルをかけます。
パスタをゆでている間に、にんにくと唐辛子少々をオリーブオイルで炒め、香りが立ったらミニトマト、野菜のブロード、トマトソースを加えて炒め煮にして、にんにくを取り除きます。
ここにゆでたパスタを加え、少量のオリーブオイルをかけてマンテカーレします。
皿にマグロを盛り付け、中央にレードルとトングを使って巻いたスパゲティを、横にしてトングを抜く方法で楕円形に盛りつけます。
最近トレンディーになっているお手本のようなパスタの盛り付けです。
その上にミニトマトのソースを縦長にのせます。
さらに玉ねぎをのせ、その上にマグロをのせてシブレットを散らします。

ちなみにイタリア料理の普通のツナのスパゲッティはこんな1品。
 ↓


この違いがミシュランの星付きシェフの料理と家庭料理の違いなんでしょうか。

とにかく、ペルベッリーニシェフ、繊細な料理というものを理解していますねー。

マカロニの寿司のリチェッタは、「総合解説」2016年4月号を御覧ください。

リストランテ・カーサ・ペルベッリーニのhpはこちら

グラン・シェフのパスタの力作を集めた本、『パスタ・レボリューション』もお勧めです。



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“ジャンカルロ・ペルベッリーニ”シェフのリチェッタは「総合解説」2016年4月号に載っています。
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2018年9月5日水曜日

入門編でもやけに本格的な本

もうすぐ発売の次号の「総合解説」には
グランディ・クラシチ
のリチェッタの翻訳を載せました。

国民的イタリア料理を集めたこの本は、協力がイタリア郵便局です。

郷土愛の強いイタリアで、国民的イタリア料理を決めようと思っても、みんな地元の料理が一番、と言うに決まっています。
単純な人気投票では、人口の多い大都市が断然有利。

そんな時、イタリア全土を網羅している郵便局が投票に協力すれば、田舎の過疎地の声も取り上げやすいはず、というナイスなアイデア。

確かに、選ばれた料理はどれも対等な扱いです。
例えば、今回はセコンドピアットを中心に訳しましたが、本に載っている最初の料理は
ヴァッレダオスタ風フォンドゥータ。
 ↓


確かに、南イタリアの人も国民的イタリア料理と認めるに違いない料理。
フォンドゥータは、イタリアだけでなく、フランスやスイスでも広まっている多国籍料理。
国民的イタリア料理の中には、明らかに外国から伝わった料理もありました。
例えば、ゴリツィア風グーラッシュ。



これはトマトとパプリカ入りビーフシチュー。
イタリア料理にシチューという名前は定着しなかったけれど、グーラッシュが、発祥地ハンガリーからイタリアで一番近い州、フリウリ・ヴェネチア・ジューリアで広まって、結局イタリア料理に取り込まれたのには歴史を感じますねー。

国民的イタリア料理を1冊に集めた『グランディ・クラシチ』は、イタリア料理の入門編、とも言える本です。
もう1冊、不思議な魅力を持った入門編の本があります。











イギリス人が著者なのに、イタリアでロングセラーのイタリア料理の本、です。

最初に紹介されているのが、野菜の前菜、シーフードの前菜、肉の前菜、クロスティーニ、ブルスケッタ、ズッキーニの花のフリット、バーニャ・カウダ、カルパッチョと、
イタリアンレストランではおなじみでも、地方料理書では一緒に並ぶことがない、無国籍、かつインターナショナルなイタリア料理。

野菜のグリッリアータ・ミスタ、オーブン焼き、オイル漬けの盛り合わせを一番最初に紹介する本。



この本がイタリアで売れている理由がなんと何分かります。
地方の伝統料理とレストランで食べたいイタリア料理は、きっと微妙に違うんですね。
この本で取り上げている料理は、一見するとイタリア料理だけど、よーく見るとインターナショナル料理。
入門編の料理の間に、うずらのぶどうの葉巻きローストなど、やけに専門的な料理が混ざっています。
一番最初のセコンドは、子豚の骨付き背肉のミルクロースト。



実は子豚のローストはサルデーニャ料理の国民的イタリア料理。
『グランディ・クラシチ』にも載っていました。


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2018年9月3日月曜日

「総合解説」のレストランとショップ情報

今日はナポリのレストラン、ティンパニ・エ・テンプラの話。

この店の名前、かなりインパクトありますよね。
総合解説」を作ってかなりたつのですが、その当初から、この店の名前を訳していたことを記憶しています。

今回の記事によると、1987年オープンだそうですよ。
もう30年前の話だったんですねー。

「総合解説」では、レストランやショップの情報は、なるべく訳すようにしています。
私自身、イタリアで食べる店を探す時は、いつも「総合解説」の情報を頼りにしていました。
イタリアで食べ歩きする時に、日本発の観光客向けの情報ではなく、イタリア発のグルメなイタリア人向けの情報で店を選びたかったからです。

実際に行ってみて、今までで一番記憶に残っているレストランは、ローマのユダヤ料理の記事で紹介された店です。
ローマ料理にとって、内臓料理とユダヤ料理は大きな柱。
ユダヤ料理の店なんて、興味はあっても想像もつかなかったのですが、イタリアの料理雑誌じゃなきゃこんな特集組まないですよ。

記事を頼りに探し出して入ってみて、周囲の客を見渡す余裕も出てきた頃、あることに気が付きました。
男性客が全員、頭の後ろに小さな帽子をのっけているんです。
ニュースなどで見たことがある、どうして落っこちないのか不思議なあの小さーな帽子です。

ローマのユダヤ人街は、観光地の真ん中にあるので、観光客がいっぱいいる店だろうと思っていたら、ど直球のユダヤ人向けレストランでした。
観光客らしき外国人もいましたが、彼らもユダヤ人でした。

トスカーナのワインを頼んだら、ラベルがへブライ語でした。
ユダヤ教ではユダヤ教徒が作ったワインを飲む、異教徒が触れたワインは飲まない、なんてことを知ったのは、旅行から帰ってからでした。
なにしろ体験が強烈過ぎて、激しく興味を持ち、遅まきながら調べてみたのです。
それにしても、その時はすべてが驚きで、ドキドキしながら食事をしました。
これが普通のイタリア人向けの記事なんだから、他の記事も当然、超ディープです。

ローマのゲットー
 ↓


観光客にとっても魅力的。

もう1軒、8年前、ヴィッサーニが仕入れているブッラータの店がプーリアのアンドリアにあるという記事があったので、その店に行った時も、超面白かったです。
そのチーズ屋は、常にお客で店がいっぱいの大繁盛店。
店員は頑固な職人気質で愛想は皆無。
ブッラータの注文の仕方も知らないド素人が買いに行くと、店員とお客が総出で、絶対冷蔵庫に入れてはいけないよ、と何度も念を押され、その日はブッラータが入った袋を持ちながらプーリアを歩き回るというハードな1日になりました。

でも、冷蔵庫に一度も入れないブッラータの味は、格別でした。
バターに生クリームが溶け込んだような濃厚でフレッシュなあのブッラータは、ぜひ、食べてほしいなあ。

どちらの店も、一生記憶に残る出来事になりました。

こんな風に、「総合解説」のレストランとショップ情報は、実は超ディープなんです。
強烈な異文化体験ができる情報源としてもお薦めです。

そんなレストラン情報で30年前から気になっていた店、ティンパニ・エ・テンプラ。
シェフの奥さんが日本人なのかな、ぐらいにゆるく考えていましたが、違いました。
この店名には深い意図があるそうです。

まず、ティンパニはマカロニを使ったカンパーニアの修道女の古い伝統料理でした。
シチリアではティンバッロと呼ばれる料理の一種です。
店ではこれを小さな一人前サイズにして、さらに生地で包んでテイクアウトできるようにしていました。
リチェッタは「総合解説」にのせています。

テンプラは、ナポリのストリートフードとしての揚げ物に、日本のテンプラからインスピレーションを受けた軽い揚げ物のテクニックを取り入れていることを表明している、とても高度な専門技術を持つ自信に満ちた名前だったのです。

ティンパニ・エ・テンプラ
 ↓


という訳で、
総合解説」は強烈な異文化体験をしてみたい人にもお勧めです。


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“アントニオ・トゥベッリ(ティンパニ・エ・テンプラ)”の記事の日本語訳は
総合解説」2016年4月号にのっています。
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2018年8月31日金曜日

フィリグラナのパスタ

今月の「総合解説」で一番気になったリチェッタは、“イースターのラザーニャ”の記事の1品目、
“ハーブの透かし模様のエビとズッキーニのラザニェッテ”です。

ハーブを生地に練り込んだパスタはマルケージが好みそうな、グラン・シェフのアルタ・クチーナのテクニックの一つ。
でも、このテクニックを何と呼ぶかはずっと謎でした。
このリチェッタ、イタリア語では
“Lasagnette con filigrana di erbe, gamberi e julienne di zuccchine”です。

filigrana/フィリグラナ を辞書で調べると、
フィリグリー、金線細工、銀線細工、透かし(模様)だそうです。
 ↓


これはお札の透かし模様そっくりですねー。
フィリグラナはヨーロッパ発祥のテクニックのようですが、これをパスタに応用すると、芸術的なパスタになります。

パスタといってもタリアテッレのような細い麺ではなく、板状のラザーニャ。
フィリグラナのテクニックをそのまま応用するのではなく、出来上がりのイメージが透かし模様になっています。

「総合解説」でイースターの春のパスタに使ったハーブはセルフィーユ、ヘンルーダ、ディル。
これを伸ばしたパスタの1枚に埋め込み、もう1枚パスタを重ねてパスタマシンで薄く伸ばします。
そうするとパスタの中に薄緑色のハーブの透かし模様が出来上がります。
特に難しいテクニックではないので、グラン・シェフでなくても作れます。

詳しいリチェッタは、ぜひ「総合解説」を御覧ください。

ハーブの透かし模様の入った薄いパスタの間に赤いエビと緑のズッキーニをはさんで、エビのビスクをかけたパスタです。

こちらはイタリアンパセリ入り

リグーリアのカンポ・リグレは銀線細工のフィリグラナで昔から有名。
 ↓



ため息が出るような美しさ。
さすがは伝統のイタリアの職人技。
動画まで芸術的。
カンポ・リグレはリグーリアのジェノヴァ近くの町だそうですよ。

パスタからは外れてしまいましたが、イタリアのトップシェフのパスタを集めた本
パスタ・レボリューション


もお勧めです。


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“イースターのラザーニャ”のリチェッタは、
総合解説」2016年4月号に載っています。
詳細・ご購入はこちら
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2018年8月27日月曜日

フライパンで調理する薄切り肉料理、グラッサーレ

今日のお題はグラッサーレglassare。
『クチーナ・イタリアーナ』の“スクオラ・ディ・クチーナ”の記事からです。

グラッサーレは料理をグラッサで覆って味を濃くして艶を出す調理方法のここと。
フライパンで肉や魚を調理することが少ないイタリア料理では少数派の、
フライパンで調理する基本のテクニック。

ベースは肉や魚の焼き汁。作り方の過程は、
・肉や魚の切り身を下ごしらえする。
・焼き汁をデグラッサーレdeglassareして焼き汁やメイラード反応した焦げを溶かす。
・小麦粉(繊維があるので不透明なソースになる)やデンプン(透明なソースになる)、生クリーム(脂肪分とソースの水分が乳化してとろみがつく)などを加えてつなぎながら煮詰めてボティーを出す。
・火を止めたら仕上げに香草や香料を加える。

と、基本中の基本。

この料理に適した食材は、薄切り肉や筒切りの魚。
子牛のスカロッピーネ、白ワインソース
 ↓



イタリア料理の初心者向き本を見ると、セコンドの入門は、まず鶏や鴨の解体から。
イタリア料理の入門書としてイタリアで昔から人気の本、『クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ

によると、肉のセコンドは、まず鳥pollameから、
鶏、鴨、七面鳥、ガチョウ、鳩、うずら、ホロホロチョウ、雉の解体の仕方、
オーブン焼きやグリル用下ごしらえ
そしてブロードのとり方、
と続いていきます。
鶏の次がカルネcarneです。
薄切り肉の料理には、なかなかたどりつかない。

ロースト、牛肉のブラザート、オーブン焼き、ボッリート・ミストなどの地方料理が次々と紹介されて、初めて登場したフライパン料理は、レバーのヴェネチア風でした。

薄切り肉を使った伝統料理の代表はサルティンボッカ。
 ↓


かなり変形版ですが、基本はグラッサーレ。
子牛肉のマルサラ風味もそう。
 ↓


グラッサーレとはちょっと違うけれど、フライパンを使った薄切り肉料理の1つ、ナポリ料理の肉のピッツァイオーラ風。
鶏から豚肉までどんな肉にも合います。
動画は牛肉版。
 ↓


鋳鉄の鍋にトマトソースを入れてその中に薄切りの牛肉を広げて煮ています。
こ、これひょっとして、基本はすき焼きと同じではないですか。
学会に発表したくなるレベル。

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“グラッサーレ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年4月号に載っています。
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2018年8月24日金曜日

フォカッチャのバリエーション

フォカッチャの話の続きです。
総合解説」のフォカッチャの記事を読み返して、フォカッチャには大きく分けて3つのタイプがあることに気が付きました。

元々は料理をのせる皿のような役割のパンから、
フォカッチャ・ジェノヴェーゼのように皿に特化して皿だけを味わうもの、
ピッツァ・シーマのように具を挟むタイプのもの、
スフィンチョーネのように具をトッピングするタイプのもの、の3つです。
この記事はタイプの違うフォカッチャをちゃんと選んで取り上げていたんですね。

フォカッチャは朝から夜中まで、一日中どんな機会に食べても合う食べ物です。
フォカッチャ・ジェノヴェーゼは朝食にぴったりのタイプに進化しました。
そう言えば私も、フォカッチャ・ジェノヴェーゼをジェノヴァのホテルの朝食で初めて食べた時、日本で何度も食べたことのあるフォカッチャとまったく違う、想像を超えた美味しさにびっくりしました。
食べる直前に軽く温めたフォカッチャは、カリッと香ばしいのに中はふんわり。軽い塩気とオリーブオイルの風味だけで十分にコーヒーに合います。
トッピングも具も排除して、生地だけで完結する美味しさを目指して造られている味でした。

これとは逆に、具を取り込んでナポリの特産品の数々を一緒に味わえるように進化したのがナポリのピッツァ。
姿も食べ方も全く違う両者ですが、食べた時の驚きには共通点がありました。
ちなみに、私が食べて衝撃を受けたパンは、あともう1品、プーリアのパーネ・ディ・アルタムーラです。
イタリアのパンの奥深さは素晴らしい。

ストリートフードのお勧め本『ストリートフード・アッラ・イタリアーナ』には、

フォカッチャ・・ジェノヴェーゼは、
「16世紀にサン・ロレンツォ大聖堂で結婚式や祭りがあるときにフォカッチャの香りが充満したので、大司教が禁止令を出したほど。ストリートフードというより教会の食べ物だった。各パン屋に秘密のリチェッタがあるが、重要なのは生地への愛だ」
と書かれています。
(諸説あり)

サン・ロレンツォ大聖堂
 ↓


具をトッピングするタイプのフォカッチャとして「総合解説」でリチェッタを紹介しているフォカッチャは、パレルモのスフィンチョーネです。

クリスマスに食べる名物で、ラテン語のspongiaが語源。
スポンジャ?というくらいだからスポンジのように高く発酵させたふわふわした柔らかい生地のフォカッチャです。



前述の『ストリートフード』によると、
スフィンチョーネを考え出したのはサン・ヴィート修道院の修道女だそうです。

この他に、生地に食材を練り込むタイプのフォカッチャもあります。
ぶどうのスキアッチャータ。
下の動画はボンチバージョン。
 ↓


ぶどうのスキアッチャータは、生地に練り込むタイプで、さらにもう1つのタイプのフォカッチャでもあります。
フォカッチャ・ドルチェです。
フォカッチャ・ドルチェについては2012年9月号の「総合解説」でリチェッタを訳しています。
ぶどうのスキアッチャータはキアンティとフィレンツェ地区で9、10月のぶどうの収穫期に作るフォカッチャ。
残ったパン生地、砂糖、フルーツが材料の質素な農民料理がルーツです。
いちじくもフォカッチャと相性がよいそうです。
生地は00タイプの軟質小麦粉が一般的ですが、発酵させやすいマニトバ粉を加えてもOK。
田舎風ならそば粉、とうもろこし粉、ファッロの粉など数種類の粉を混ぜます。

結局5つのタイプがありました。

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“フォカッチャ”の生地の日本語訳は、「総合解説」2016年4月号に載っています。
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2018年8月22日水曜日

『ピッツァ』から

クレアパッソで販売している本の翻訳をする水曜日。
今日は最近入荷したお勧め本、スローフードの『ピッツァ/グランデ・トラディツィオーネ・イタリアーナ』から。


エンツォ・コッチャさんの話は度々訳しましたが、彼は上質の食材を使って生地にこだわったピッツァを作って、新しいナポリ・ピッツァの一時代を築いた人です。

彼の後に続いてナポリ・ピッツァに大きな影響を与えた人物は、
まずはサルヴォ・ファミリー。
次男のチーロ・サルヴォは限界まで弾力のある生地を作りました。
これだけ水分の多い生地は、以前は適する粉がなかったので作れなかったそうです。

チーロ・サルヴォのピッツァ
 ↓



チーロの兄と弟のフランチェスコとサルヴァトーレのピッツェリア
 ↓


3代続くピッツェリアの家系で、ナポリでもこれほど大成功を収めたファミリーは他にいないそうです。

そして新しいナポリ・ピッツァの主役はダヴィデ・チビティエッロさん。
世界最大のナポリ・ピッツァの流派を作り上げてナポリ・ピッツァを世界中に知らしめた人。




ピッツァは庶民の食べ物ですが、ピッツァイオーリはとても尊敬される職業になりました。

ところで、今週のブログではフォカッチャの記事を取り上げています。
この本にはピッツァに関することがマニアックなまでに詳しく調べられています。
フォカッチャ・リグレについては、こんなことが書いてありました。

「フォカッチャ・ジェノヴェーゼは、方言ではフガッサfugassaとも言う。
主な材料は上質の小麦粉とエクストラヴェルジネのオリーブオイル。
特徴は、厚さは2cm以内。
外はこんがり焼けていて、中は柔らかい。

古代から広まっていたフォカッチャ・ジェノヴェーゼからピッツァ・ジェノヴェーゼは生まれた。
ルーツはリグーリア東海岸のオネッリア。
海軍大将のアンドレア・ドリアの生まれ故郷だ。
ピッツァ・アッランドレアは、彼に由来すると考えられている。
このピッツァはジェノヴァ県一体に広まった。
その結果、ピッツァとフォカッチャが混ざり合い、厚みのある生地のピッツァが生まれた。



ピッツァ・アッランドレアのトッピングはアンチョビ、イワシ、トマト、玉ねぎ、バジリコ、にんにく、タッジャスカの黒オリーブ。
別名サルデナイラとも呼ばれるが、これは昔、小イワシの頭だけで作っていた時の名残り」

ピッツァとフォカッチャがミックスされたことがよく分かるサルデナイラ
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どっちかと言うと、フォカッチャかなあ。



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総合解説
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2018年8月20日月曜日

地方料理のフォカッチャ

今月の「総合解説」、次の地方料理はフォカッチャです。

イタリア料理と出会ったばかりの頃は、フォカッチャというと、指でくぼませた穴が特徴の平らなパン、と思っていました。
これはフォカッチャ・ジェノヴェーゼ。



ピッツァのドウの伸ばし方に似ています。
というか、そっくりです。
引っ張ったり麺棒で押し潰したりしないので、結果的に指で押したくぼみがたくさんできます。
このくぼみは“オンブリサッリ(ombrisalli/へそ)”と呼ばれます。
ここにリグーリア産のデリケートなオリーブオイルがたまって、香ばしいシンプルな生地を一段とおいしくします。

ピッツァ生地の伸ばし方
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フォカッチャは、パンとピッツァの中間で、原料は小麦粉、オリーブオイル、水。
イタリア料理のエンブレムの一つです。
「総合解説」でも、これまでに度々取り上げてきました。
ここではスローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パーネ・ピッツェ・フォカッチェ』から、引用してみます。


そもそもフォカッチャは、一説ではパンより古く、発酵やかまどが発明される前のもので、熱した石板の上で焼きやすいように、生地を薄く平らに伸ばしたもの。
元々は皿の代わりに料理をのせて、最後には食べてしまえるものとして使われていました。
フォカッチャの語源は古代の焼いた食べ物という意味のfocusと言われています。
でも、どうも古すぎて、はっきりした証拠はみつかっていないようです。

「総合解説」“2015年3月号”では、フォカッチャの基本について少し詳しく解説しています。

フォカッチャに最適な粉は、イタリアの分類では00タイプでW270の小麦粉でした。
Wとは粉に含まれるタンパク質を表す数字で、含有量が多いと小麦粉は“強く”なります。
つまり、長時間の発酵に耐えて、卵やバター、砂糖を加えたリッチな生地に適します。
一般的にパンにはw150必要で、強力なカナダのマニトバ粉はw500あります。

生地に加える水分の量は、生地が水を吸い込む力にもよりますが、小麦粉500gにつき250~300mlが一般的。

十分発酵した生地は2倍に膨らみます。
発酵時間が長すぎると焼いている間にたるみ、酵母が不快な匂いを発します。

小麦由来の糖分、モルトを使うと他の砂糖より心地よいアロマが生まれます。

フォカッチャのバリエーションは、まず、詰め物をしたフォカッチャ・リピエーナ。
「総合解説」2012年6月号に“具をはさむフォカッチャ”のリチェッタを載せています。
主に野菜の具です。
さらに、“じゃがいも入り生地のフォカッチャ”があります。
じゃがいも入りの伝統的フォカッチャとして、「総合解説」13/14年7月号では、プーリアのフォカッチャを紹介しています。
これは、硬質小麦がプーリアに広まる前から造られていました。

じゃがいもというのは、飢饉の時の農民の命綱で、どこの村でも育てていました。
とても身近で、手に入りやすい、庶民料理には欠かせない食材だったのです。
さらに生地を柔らかくする効果もありました。

フォカッチャ・プリエーゼ
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今月の「総合解説」で紹介している地方料理のフォカッチャは、シチリアのスフィンチョーネと、アブルッツォのピッツァ・シーマです。
イーストを加えない、発酵させないパンです。
ルーツはユダヤの発酵させないパン、scemaシェーマと言われています。
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イタリア各地で個性的なフォカッチャが造られているんですね。
フォカッチャの話、次回に続きます。

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“フォカッチャ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年4月号にのっています。
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2018年8月17日金曜日

パイヤータのリガトーニ

総合解説」2016年4月号発売しました。

今月の「総合解説」で取り上げた地方料理の1品目は、ローマのパイヤータのリガトーニ。

“パイヤータpajata”は、小腸のローマの方言(標準語はpagliataだけど、ローマ方言の名前のほうが一般的じゃないでしょうか)。

貧しい食材を美味しい料理に変えるという庶民料理の本質を守りながらも、
内臓という最近では食通に人気の食材が主役のこの料理は、
グルメな人々の心をがっちり捉えていました。

しかも、BSEの影響で15年に渡って販売が禁止され、解禁されたのは2015年と、まだ最近の話。
禁止されれば食べたくなるのが人間。
パイヤータは、伝説の食材になりかけていました。

小腸を食べたーいと熱望しているローマの人々に教えてあげたい。
日本にはこてっちゃんがあるよー。

でも、日本のこてっちゃんも一時は2年間販売を休止したというから、あの頃は、日本のホルモン好きも、振り回されたんだろうなあ。

腸の販売が禁止されたのは腸を食べる習慣がある国だけでした。
こてっちゃんの原料の腸はアメリカやオーストラリア産。
ということは、これらの国では食べる習慣がない。

こてっちゃん、BSE問題時にはこんな努力が・・・。

イタリアは、前回のブログで紹介したサルデーニャの羊の腸の炭火焼き、コルドゥーラなど、地方によってはよく食べていました。
地方どころか、ローマに関しては、小腸はトラステヴェレ生まれでない人には馴染みのない食材だそうですよ。
私も、こてっちゃんを使えばパイヤータのリガトーニができると考えてる時点で、食べる習慣がない人でしょうか。

パイヤータを見栄えの良い料理にするには、完璧な下処理が必要だそうです。
小腸を長さ20~25cmに切ってリング形に結ぶ
こんな面倒な作業があったんですねー。
知らなかったー。
ローマの肉屋さんはリクエストがあればこの下処理もやってくれるそうです。
馴染みの店が必要ですね。
こてっちゃんの会社なら、結んだこてっちゃんを売り出していたはず。

ローマの肉屋の教祖と言われているボッテガ・リベラーティのロベルト・リベラーティさんは、こんな人。
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もう1本どうぞ。



さすがに解禁されてまだ3年のパイヤータは、料理の動画がほとんどないですねー。
解禁されたとは言え、まだ豊富に出回ってはいないそうです。
この料理が消滅する前に戻ってきてよかった。




最後は、パイヤータのリガトーニがお勧めの店の1軒
フラヴィオ・アル・ヴェラヴェーヴォ・デットのフラヴィオさん。
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ローマの伝統的なオステリアのシェフです。


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“パイヤータのリガトーニ”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年4月号に載っています。
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オリーブのクンツァータとパッソローニオリーブ

オリーブの保存方法ですが、元も一般的なのはサラモイア漬け。 塩水とハーブ、スパイスなどで漬ける方法です。 日本語だと、ちょっと素っ気ないけど、塩水漬けですか。 それと、もう一つよくあるのが、クンツァータ。 これも塩水とハーブ、スパイスで漬けるのですが、サラモイアとの違いが...