ニュートンシリーズの『ニュートン・ドルチ・ナポレターニ』の前書きを訳しています。
イタリアのドルチェは、フランスの影響を受けたピエモンテ派、アラブの影響を受けたシチリア派、そして北からは南、南からは北といわれる中間のナポリ派、この3つの柱の上に構築されている、という話から始まり、
ナポリのドルチェは大きく4つに分けられる、という分析から、1つめの農民のドルチェの話まで訳しました。
それでは続きです。
「ナポリのドルチェの特徴の2つ目は、アラブ文化にルーツを持つ点です。
特に揚げ物、ゼッポレやストゥルッフォリなどのフリットは、家庭でも短時間で作れて
食べ歩きができるドルチェとして普及しました。
今日では、カロリーを気にする傾向から、ゼッポレをオーブンで焼く人もたくさんいます。
揚げ物が人気なのは、ナポリの人々が少なくとも4世紀に渡って飢えに苦しめられてきた証拠と言うことができます。
ある日突然、食べるものがなくなる怖さが、農村には常にありました。
3つめは、歩きながら食べるドルチェです。
スフォリアテッラ、ババ、ゼッポレ、クリームを詰めたシューといった職人が作る中産階級のドルチェがこれにあたります。
これらは都市特有のドルチェです。
南部の小さな村の職人がナポリにやってきてこれらを学び、故郷に帰って店を開きました。
カンパーニアのパスティッチェリーアはこうして、工場での大量生産が始まる前にイタリア中に広まりました。
4つめは、パリから伝わった貴族のドルチェです。
モンズーが作るドルチェは、複雑で、その製法は極秘にされました。
家庭や修道院の秘伝のドルチェは最高の菓子工房によって代々受け継がれたのです・・・」
なるほどと思う説です。
農民のドルチェで、都市のドルチェで、アラブとフランスの影響を受けていると、矛盾した要素をたくさん含んでいるんですね。
南部の小さな村の職人がナポリで学んで、故郷に帰って店を出して広めていったという話は、現代のピッツァにも当てはまる話ですね。
農民、中産階級、フランス貴族、アラブの食文化と、どんなものでも取り込んでしまう懐の広さ。
確かに、世界中に広く受け入れられる要素があります。
それはナポリがイタリアで一番人口の多い大都市だったこととも無縁ではないはず。
この前書きを書いたのは、ナポリのMattino誌の記者のルチアーノ・ピーニャターロ氏。
エスプレッソのレストランガイドやツーリング・クラブのワインガイドなどに参加し、南イタリアの食とワインについて多くの著書があります。
最新作のピッツァについて語るピーニャターロ氏。
↓
ピッツァ以外も
↓
ナポリの食文化に関しては、強い影響力と発言力がある人物。
シチリアのドルチェの本の内容も気になったのですが、
前書きがびっしり書かれているので、じっくり取り組んで「総合解説」に載せたいと思います。
ピエモンテのドルチェの話も忘れてないですよ。
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