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2025年10月29日水曜日

アンチョビのスパゲッティ


今日の(CIR)の料理は“アンチョビのソースとレモン風味のスパゲッティ”。
リチェッタの写真と日本語訳はP.5。
いかにも南イタリアの味のパスタです。

アンチョビとパン粉のスパゲッティ。

アンチョビのスパゲッティ。南のスパゲッティの基本。

イタリアで人気のアンチョビはスペインのカンタブリコ産。

イタリア産派もいます。

カンタブリコ海のアンチョビ
歴史的にもつながりが深いスペインは、産物もかぶったりして時にはライバルでもあります。例えばオリーブオイル。昔、スペイン産オリーブオイルとイタリア産オリーブオイルはどこが違うか、という記事を訳したことがあります。その記事の中で覚えているのは、スペインのオリーブオイルは大規模なオリーブ畑を所有する元貴族や領主などが主体となる大規模生産で値段の安い製品を大量に作っている、ということ。対してイタリアは、小規模の農家がアルティジャナーレな製法で少量作るオリーブオイルが多く、とことん質にこだわっている、ということ。量か質かというかなり根源的な問題で、どちらが正解か、答えはすぐには出ない問題です。物価には世界情勢や政治もかなり影響してきます。最終的には消費者がどちらを選ぶか、時流と併せての判断が必要です。
古代から行われている漁法、メナイカのアンチョビ

チレント(カンパーニア州)のアンチョビ

リグーリアのモンテロッソはアンチョビの塩漬けで有名

アマルフィ海岸のイワシのコラトゥーラはアンチョビよりシンプルなパスタソース。

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2025年10月20日月曜日

ナポリのディタリーニのカーチョ・エ・ウオヴァはナポリ版カルボナーラ

(CIR5月号)から、ナポリのショートパスタの料理を紹介しました。
“パスタ・エ・パターテ”と、ズッキーニのパスタ、“パスタ・アッラ・ネラノ”は

パスタ・アッラ・ネラノ

パスタ・エ・パターテ

ショートパスタとスパゲッティを使うナポリの定番料理ですが、どちらもポイントはプロヴォローネというチーズ。
もうすぐ発売の(CIR)6月号には、パスタ・エ・パターテで使うショートパスタ、ディタリーニを使ったズッキーニのパスタのリチェッタがあります。
じゃがいもをズッキーニに変えて、パスタをショートパスタにすれば、ナポリ料理のバリエーションが出来上がります。ただ、必要なのはプロヴォローネ。
プロヴォローネはモッツァレラと同じパスタ・フィラータというタイプのチーズ。
正確に言うと、カチョカヴァッロと同じタイプ。違うのは、熟成させている、という点。

パスタ・フィラータのチーズ、モッツァレラ。

カチョカヴァッロ

パスタ・フィラータのチーズはナポリなど南イタリアの料理には欠かせないチーズ。



ナポリ料理の本、『クチーナ・ディ・ナポリ

には、ショートパスタを使ったナポリのパスタが色々載っています。
例えば、パスタ・エ・ピゼッリpasta e piselli。
パスタはトゥベッティ

パスタ・カーチョ・エ・ウオヴォ。こちらもトゥベッティ。

ローマのカルボナーラをナポリのカーチョ・エ・ウオヴァにするには、パスタとチーズがポイント。

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2025年10月18日土曜日

ブローヴォローネ・デル・モナコ、産地のモンティ・ラッテリは、ローマ人との戦いに敗れて追放された人々が住む荒れた未開地でした。

今日のお題はブローヴォローネ・デル・モナコ。
名物ナポリ料理のベースになっている名物チーズ。
工場で大量生産する現代のプロヴォローネ。
この工場では、一日に600トンの牛乳を加工しているそうです。


アルティジャナーレなプロヴォローネ・デル・モナコ。

牛乳のチ―ズです。
ソレント半島のラッタリ山で飼育されている牛のミルクから作ります。
ソレンティーナ半島は、アマルフィ、ナポリ、カプリというカンパーニアの観光の中心地。

プロヴォローネ・デル・モナコの産地、アジェロラとモンティ・ラッタリ。
名物プロヴォローネの産地は、手つかずの自然が広がる観光地とは別世界。

モンティ・ラッタリ、ソレント半島、アマルフィ海岸。この地方の美食の震源地。

正直言って、モンティ・ラッテリよりアマルフィを見ていたいですが、ソレント半島の最初の住人は、古代ローマ人との闘いに負けて、マルケからこの地に追放されたそうです。歴史的にはピセンテスと呼ばれる古代イタリア人だそうです。
この古代人の複雑な歴史を見ると、ローマと戦ってやがてカンパーニア地方に吸収されて消えていきます。ピセンテスは古代から芸術センスが高い民族で、遺跡からは多くの芸術品が発掘されています。

ローマ人との戦いに敗れてマルケからこの地に追放された古代人たちは、このわずかな土地を耕して畑にし、農業と牛の飼育を始めました。この土地の牛乳は、山のミルクと呼ばれて人気が高かったようです。
プロヴォローネがどうやってできたかは分かっていませんが、デル・モナコはこの古代人たちが創り出したようです。18世紀には、月に300~400キンタルのプロヴォローネがナポリに運ばれていました。このチーズの主な販売先はナポリでした。地元の農民にとって、このチーズは高価すぎて売り先がなかったのです。ここからナポリまで行くのに当時使われた最適の手段は船でした。長くてハードな旅でした。出発するのは真夜中。ラバにのせて砂浜まで運ぶ羊飼いや商人は、海の湿気から身を守るような大きなマントを着ていました。これが修道士(モナコ)の服のように見えたので、彼らが運ぶチーズは、“プロヴォローネ・デル・モナコ”と呼ばれるようになりました。

プロヴォローネ・デル・モナコ。


プロヴォローネ・デル・モナコはパスタ・フィラータのセミハードチーズ。
アジェロラ種の牛乳(最低20%)とフリゾナ、ブルーナ、ジャージー、ポドリカ種などのミルクから作ります。

アジェロラ種、とても野性的な品種、現在では数が減っていて、消滅に瀕しています。

プロヴォローネは甘くてバター質、かすかに心地よい辛さ。

レモン水、オーリオ、プロヴォローネのスパゲッティーニ。

このチーズの典型的な料理はスパゲッティ・ネラノ。
動画の人、手を振らないと話せない典型的ナポリ人。


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2025年10月17日金曜日

パスタ・エ・パターテ・エ・ブローヴォラ

(CIR5月号)の今月のリチェッタにはナポリのショートパスタのリチェッタがあります。
それはP.7の
“パスタ・パターテ・ブローヴォラ、パンチェッタとローズマリー風味Pasta, patate, provola , pancette e rosmarino”です。
パスタはディタリーニ。

確かにロングでもショートでもないパスタです。

ダイスを通す作り方はこんな感じ。

ディタリーニのようなパスタが大量生産されるようになったのは、ダイスからニョロっと出てくるパスタを回転する刃で切るカッターが発明されたからです。
パスタが生まれると、今度は最高の組み合わせのソースが考え出されました。

バリラにはスープパスタというシリーズがあるようです。つまりスープにピッタリのパスタです。

ナポリの人が考えたのは、パスタ・エ・パターテです。
クチーナ・ディ・ナポリ

を見ると、ナポリのズッパやプリ―ミには、パスタ・エ・〇〇というリチェッタがたくさんあります。
その中の一つ、パスタ・エ・パターテですが、バリエーションは無数にあります。
このナポリの伝統料理の特徴は、ブローヴォラと組み合わせることにあります。
パスタ・エ・パターテ・エ・プローヴォラpasta e patate e provola。
パスタとじゃがいもだけじゃなくてパスタとじゃがいもと“プローヴォラ”までが正式名。
パスタ・パターテ・エ・ブローヴォラ。


ブローヴォラ・アッフミカータ・ディ・アジェローラ。

プロヴォローネ・デル・モナコ・ディ・アジェローラ

ブローヴォラのナポリのパスタと言えば、パスタ・アッラ・ネラノ。

ナポリのパスタとブローヴォラが結びついたところで登場。
パスタ・エ・パターテ・アッラ・ナポレターナ

パルミジャーノじゃなくて、おろしたブローヴォラをかけると、とろーと糸を引く料理になる。

次回はブローヴォラ・デル・モナコの話。

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2025年10月16日木曜日

ロングやショートという分類に入らないパスタ。

ショートパスタについて、
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・エ・スーゴ』から、ロングパスタとショートパスタという分類に入らないパスタがある、ということまで説明しました。
例えば、ルマーケ、トルティリオーニ、フジッリ、コンキリエなどです。

ルマーケ



トルティリオ―二



コンキリオ―二


ショートパスタ各種



(CIR5月号)のリチェッタの中にもショートパスタのリチェッタがあります。例えば“パスタ・パターテ・ブローヴォラ”。リチェッタの日本語訳はP.7。
パスタ・パターテ・エ・ブローヴォラはナポリのパスタ。
この話は次回。

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2025年9月5日金曜日

料理には大変めんどくさいナポリ人ですが、ラグーもナポリ風とボローニャ風があり、ナポリ人にラグーを語らせるととても面倒くさいことになる。

ナポリのパスタの話が出たところで、次のお題は“ナポリとボローニャのラグー”です(CIR5月号の記事の日本語訳は、P.17)。
イタリアでは、ラグーはragoutとragúの2つがあります。前者のラグーはフランス語で、小さく切った肉や魚、野菜を長時間煮込んだ料理のこと。イタリアではあまりragoutは使いません。イタリアでラグーという時は、ragúのことです。フランス語のラグーが語源ですが、フランス料理のラグーとは違う、と自負しています。

フレンチラグー。


ラグー・アッラ・ボロニェーゼ。
下の動画でもわざわざナポリのラグーじゃない、自分のオリジナルのラグーだと断ってます。
ラグーという時は、ナポリ風かボローニャ風か、断る必要があるんですね。
ちなみにボローニャ風をミートソースと呼ぶことは料理雑誌ではほとんど見ません。
下の動画では、野菜をひたすらみじん切りにする作業は退屈だとぼやいてますが、それでも機械は使いません。そのあたりがイタリア人のこだわり。


ラグー・アッラ・ナポレターナ。


ナポリのラグーは日曜日の料理の定番ソース。ナポリのラグーはソースではなく、歴史で詩。
この考えを広めたのは、ナポリ生まれのイタリアの天才劇作家エドアルド・デ・フィリッポの『土曜、日曜、月曜』という喜劇。ナポリのある平日に、家族の夕食に出されるラグーについての議論が展開される。


『土曜、日曜、月曜』のラグー。


『土曜、日曜、月曜』で登場するナポリ風ラグーの議論は、もはやおとぎ話。よそ者にはちょと理解不能だけど、ナポリの空気はよく分かる。


デ・フィリッポ監督はナポリの食文化をとても愛した人でした。彼の話でナポリのコーヒーはとにかく濃さが重要ということを知りました。


ナポリのラグーの話をする時にはエドアルド・デ・フィリッポ監督の話は避けて通れない。彼の作品からは強烈なナポリ愛を感じます。

彼の代表作の一つ、『幽霊たち』

次回はボローニャのラグーの話。

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クリスマスのオリジナルドルチェ

今日からの(CIR)の記事は、“クリスマスのオリジナルドルチェ”です。 クリスマスのケーキと言えば、ブッシュ・ド・ノエル。 クリスマスの丸太というその意味からは、パネットーネの話で登場した、ミラノのクリスマスの伝統の儀式を思い起こさせます。ブッシュ・ド・ノエルは、イタリアでもクリ...