2019年5月31日金曜日

アメリカから伝わったスイートポテトや世界的なチェリーリキュールの産地、パドヴァ

パドヴァにタコ好きが集まる街のイメージ、なかったなあ。
今月のグルメ紀行「パドヴァ」P.52では、この街の食文化の以外な一面を知ることが出来ます。
例えば、パドヴァ南部には馬を飼育する伝統があり、馬肉を出すトラットリアも多いんだそうです。
馬肉の料理の一例のスフィラッチは、馬のももの赤身肉の薄切りを15日間塩漬けにしてから約1ヶ月間天井から吊るしてスモークしたものを叩いて繊維をほぐしたもの。
馬肉を間違って長く干しすぎて硬くなってしまい、高級な肉なので捨てるわけにもいかず、叩いてほぐしたものをポレンタと一緒に食べたら美味しかったというのが誕生のきっかけ。

パドヴァの馬肉のサラミメーカー

パドヴァの珍しい家畜と言えば、ゴージャスな見た目の鶏、ガッリーナ・パドヴァーナ。
飼育数は2000匹足らずととても貴重なのに、外国からも注文が来て、最近の顧客は中東諸国だそうですよ。
もともとイタリアの土着品種ではなく、ポーランドから伝わった鶏です。

野菜なら、グルメ御用達食材のブルスカンドリ。
ホップの芽のベネトでの呼び方です。

ビゴリのブルスカンドリ入りカルボナーラ

さらに、パドヴァはイタリア最大のパタータ・ドルチェ、またはパタータ・アメリカーナ、つまりさつまいもの産地。
イタリアのパタータ・ドルチェは、日本でさつまいもの栽培が広まった18世紀より後の19世紀にイタリアで栽培されるようになりました。
最初に中米から伝わった時は、気候が合わなくて根付かなかったのです。

知ってるさつまいもとはちょっと違うかも。

マラスキーノのメーカーとして知られるルクサルドは、1821年創業で戦争によってベネチア近郊からパドヴァ地方に本拠地を移しました。

18世紀のカクテル文化の誕生とともに世界中に広まり、ルクサルドのマラスキーノはカクテルには欠かせないリキュールになりました。
マニュアル・デル・バーマン』にも、

マラスカチェリーのリキュールマラスキーノは、イタリアの伝統的リキュールの1品として説明されています。

パドヴァって、アメリカのポテトも、マラスカチェリーも根付いちゃうし、ポーランドのゴージャスな鶏も育つ奇跡の気候なんですね。
さくらんぼをリキュールにするためには、グラッパ造りの伝統が活かされました。
ボトルは貴重なムラノガラス製だったので、こもで包むようになったそうです。
ルクサルドのマラスキーノのカクテル、飲みたくなってきた~。

ルクサルド・スプリッツ・ビアンコ


いやーパドヴァの食文化がこんなに面白いなんて、知らなかったなー。
紹介したい動画もっとあったけど、とりあえず、次回に続きます。


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“グルメ気候~パドヴァ”は「総合解説」2017年3/4月号P.52~に載っています。
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2019年5月29日水曜日

歴史的市場、名物食前酒、イタリアを代表する菓子職人の街、パドヴァのグルメ旅ガイド

今月のグルメ旅はパドヴァです。
『クチーナ・イタリアーナ』誌より。
今月の「総合解説」2017年3/4月号のP.52~のビジュアルガイドです。

パドヴァの名物と言えば、スプリッツ、ガッリーナ・パドヴァーナ、カフェ・ペドロッキ、ルイジ・ビアゼットと彼のセッテヴェーリ、ソットサローネあたりでしょうか。

パドヴァは美しくて小さな歴史のある街。

記事の最初に登場するソットサローネは、中世で最初の商業センター。
ところが最近ではスーパーに押されて苦戦中。

次は、ベネトの名物食材、フォルペッティfolpetti。
タコpolpoじゃなくて、小ダコのモスカルディーニmoscardiniのことだそうです。

タコ祭りsagra di folpo

北東イタリア中のタコ好きが集まる祭りだって。

フォルペットをストリートフードにした有名店(屋台)、ラ・フォルペリア。
ピアッツァ・デッラ・フルッタにあります。

2016年8月号の今月の食材でも紹介した潟のカニの受精後の卵を抱いた状態のもの、マサネーテ(3:30)もありましたねー。
このカニのオスの脱皮直後のフリットがモエケです。
食べ方、参考になるなあ。

カニに脱線しそうになりましたが、ぐっとこらえて、食前酒の話でも。

シニョーリ広場で軽食をつまみながら飲むのは、スプリッツ。
ジモティは赤色の濃さでカンパリかアペロールかがわかる。

今日紹介したフルッタ広場もフォルペリアもみんなソットサローネの近く。
シニョーリ広場でフォルペッティつまみにスプリッツ飲んで、カニの話でもしたいものです。

パドヴァの話、次回に続きまーす。

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“グルメ紀行~パドヴァ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2017年3/4月号P.52に載っています。
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2019年5月27日月曜日

フォンティーナの組合のチーズ、個人のチーズ

今日はチーズの話。
最近、朝ドラで牛乳と組合の話を見る度に、そんな問題があるんだ、大変だなあなんて漠然と感じていたのですが、「総合解説」1/2月号のビットの記事の、製法で生産者が対立して一部が組合から脱退した、という話を読んで、俄然現実味が湧いてきました。
それ以来、チーズの記事に頻繁に登場する組合の文字がやたら気になります。
イタリアの伝統チーズ作りは、今、岐路にさしかかっているようです。

今月の「総合解説」で取り上げているチーズはフォンティーナです。

どんなイメージがありますか?
多分、溶けるチーズ、フォンデュー(フォンドゥータ)のチーズ、といった内容ではないでしょうか。
記事(『ガンベロ・ロッソ』)の冒頭は、こんな内容でした。
「フォンティーナは昔ながらの、あまり今どきではないチーズと感じる人もいる。
せいぜいが溶けるチーズか、ハムと一緒にサンドイッチにはさむ用のチーズ、程度の認識だ・・・。」


上の動画を見て、今までなら、ハイジが出てきそうだなあ、なんてことしか感じなかったのですが、今は、こういう自分たちでチーズ作りも熟成も行う作り手は、一見小さな造り手に見えても、とても優秀で研究熱心で貴重だということが分かります。
小さな造り手の場合、造り手ごとに独自の製法も取り入れています。

でも大抵は、自分たちで何でもやることは難しく、協同組合がミルクを集めてチーズを作り、熟成も流通も行うのです。
フォンティーナの場合、全てが自分でできる造り手は、わずか10軒程だそうですよ。

この記事が訴えているのは、フォンティーナの価値を見直そう、ということ。

フォンティーナDOPダルペッジョは、ヴァッレ・ダオスタでのみ作られているDOPチーズ。
つまり放牧、搾乳、製造の全てを山で行う山のチーズです。
5月から9月の夏の間に標高1600m以上の放牧地で、干し草と山の新鮮な草を食べたヴァッレ・ダオスタ土着の、山を歩き回る頑丈な3品種の牛の、加熱殺菌しない、脂肪、タンパク質を始めとする栄養分と風味が豊かなミルクから作ります。

全てのベースは山。
このチーズを作り続けるということは、山の環境を守り続けることを意味しているのです。
改めてフォンティーナを見てください。
そのラベルに描かれているのは、そう、山ですねー。
マッターホルン、イタリア側から見ればモンテ・チェルヴィーノ。

管理組合のPV

組合では、会員からミルクを集めて、チーズを作り、熟成、流通を行っています。
今回の『ガンベロ・ロッソ』のテイスティングで1位になったのは、フォンティーナ造りの中心にいる生産者組合。
約200軒の会員のミルクで年間約30万個のフォンティーナを造っています。

ズッキーニとフォンティーナ入りポテトコロッケ

・じゃがいも4個をゆでる。
・ズッキーニ2本をおろす。
・じゃがいもを潰す。
・ズッキーニ、おろしたパルミジャーノ50g、小麦粉200g、溶かしたバター30g、塩を加える。
・打ち粉をした台に移して麺棒で平らにする。
・三角形に切って底辺に小さく切ったフォンティーナを置き、コルネット型に巻く。
・たっぷりの油で揚げる。




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“フォンティーナ・ダルペッジョ”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年3/4月号P.50に載っています。
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2019年5月24日金曜日

リッチなイタリア料理の代表、ミラノ料理

パンの話が出たところで、今月から『クチーナ・イタリアーナ』で始まった新連載記事、“イタリアのパン”の話です。

最初のパンはミラノのミケッタ。


正直言うと、ミケッタより最初にローマでロゼッタに出会ったので、イタリアのパンと言うと、ロゼッタ。
ミケッタはロゼッタにそっくりのパン、という印象でした。
でも、ミケッタは2007年にミラノのDe.Co.に認定された、正真正銘ミラノのパン。
ちなみにDe.Co.はDenominazione Comunaleの略。
特定の地域の名産品にその地域が与えた名前のことです。
記事によると、ミケッタは最近は印象が薄くなりつあるそうで、ちょっと残念。

その詳しい歴史は「総合解説」をご覧いただくとして、ルーツはローマのロゼッタではなく、オーストリアのカイザーゼンメル、つまりカイザーロールです。
ロゼッタのルーツがミケッタなんですね。
ミラノは18世紀初頭から19世紀半ばまで、オーストリアに支配されていました。
この間に、カイザーロールやウインナーシュニッツェルことコトレッタが伝わります。
ちなみにウインナーシュニッツェルの話は、以前、ブログで取り上げていました。
こちら

カイザーゼンメルは成型の仕方がカッコイイパン。

外見は似てるけど、中にはふんわりしたクラムが詰まっています。

ミラノはイタリアでは、最もヨーロッパらしい街と言われています。
さらに、イタリアで最も外国に開かれた街です。

ニュートンのお手頃価格の地方料理シリーズのミラノ料理の本の序文には、

「・・・バター、生クリーム、マスカルポーネといった脂肪分の多い地元の産物を使った料理はヘルシー志向の現代人に敬遠され、世界中からやてくる外国人が持ち込む外国の食材がミラノ料理に入り込み、本物のミラノ料理は消えつつある。
70年代までは庶民的な値段で典型的なミラノ料理を出すトラットリアがたくさんあった。
サフランのリゾット、ミネストローネ、コタレッタなどのその料理は、ミラノの枠を超えてイタリアを代表する料理になるほどだった・・・」
とあります。
対象的に、ヘルシー志向にぴったりはまった南イタリアの料理が、今やイタリアを象徴する料理です。
確かに、ミラノの料理はリッチな料理です。
イタリアの経済の中心地で、主な農産物は牛肉と乳製品。
さらに薪が豊富に取れた地方で、ストーブにかけて長時間煮る鍋も各家庭に広まっていて、煮込み料理が生まれる下地が整っていました。
オッソブーコのような、肉の高級な部位以外を使った煮込み料理も生まれました。
ケルト人が伝えた豚の飼育も広まり、各家庭で1頭は豚を飼育していました。
豚肉はミラノ料理の王様になりました。
豚肉とサボイキャベツの煮込み、カスーラも、ミラノを代表する料理です。
さらなる特徴は、魚料理がない、あるいはあっても淡水魚かバッカラで、キリスト教の肉食を断つ習慣のために食べられている程度でした。
ミラノ料理によく使われる野菜はカルドン、アスパラガス、サボイキャベツです。
そうそう、ミラノ人はポレントーニと呼ばれるくらいポレンタが好きでした。
ミラノは米の名産地の近くで、パスタより米をよく食べます。
さらにパンも好きです。
こうして見ると、ミラノ人の食事、現代人にかなり馴染んでいましたねー。

オステリアのミラノ料理

北イタリアの料理もなかなかおもしろいです。



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“イタリアのパン”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年3/4月号P.48に載っています。
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2019年5月22日水曜日

復活祭のサルデーニャのパンに込められた意味

マルケのパスクアのパンはチーズケーキのようなパンでしたが、イタリアの復活祭には甘いパンが欠かせません。

パスクアのパンの特徴は、複雑で美しいその形。
典型的なのは三つ編みですが、美しい形にこだわるイタリアならではの複雑な形のパンを、「総合解説」(P.40~)では説明しています。
手先の器用さは全く要求されませんが、文字で説明するのは不可能なので、過程の写真も「総合解説」に載せました。

パスクア(イースター=復活祭)に、なぜパンなのかというと、発酵させて膨らんだパンは、春の豊穣さを象徴しているからです。
あるいは、小麦は冬に種をまいて夏に収穫しますが、このサイクルが、冬は暗い地中で死んでいても、まばゆい夏の光の元で再生する、という、新しく実をつけるために死んで再生する、ということの象徴になっています。
これがキリストの復活にも繋がります。
パンで作る複雑な形は、小麦の穂なんですね。

イタリアのパンは、宗教儀式と結びついています。
サルデーニャでは、結婚式を村で一番のパン屋の手が込んだ複雑なパンで飾るのも伝統。
家庭で焼く復活祭のパンの定番は、三つ編みパンや卵を抱いた鳩。

上の動画のパンの材料は
 ぬるま湯・・270ml
 セモリナ粉・・500g
 塩・・小さじ1
 ゆで卵・・5個
 生イースト・・15g

焼き色は薄くつく程度に焼きます。

アートなパスクアのパン



サルデーニャのパンは、パン生地を陶器のように細工します。
中にはゴジラの第2形態みたいなのもあるけど・・・。
素晴らしくて、いつまででも見ていられます。

サルデーニャのパン屋さん。

パンに宗教的な意味なんて感じたことなかったけど、サルデーニャで暮らしていたら、バリバリに感じそうですね。


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“パスクアの甘いパン”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年3/4月号P.40~に載っいます。
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2019年5月20日月曜日

ランゲの最高の産物をモダンな伝統料理にしたピエモンテの伝説の店、グイド

新入荷の本のご案内です。
『グイド・エ・グイド』

言うまでもなく、ピエモンテのレジェンド級の名店の本です。
北イタリアを代表する料理とワインに出会うためにランゲ地方を訪れた世界中の人が、訪れたに違いない有名店です。
店があるコスティリオーレはイタリア料理のインターナョナルスクールもあるので日本の料理人にもおなじみの場所。

コスティリオーレ・ダスティ


本の序文には、グイドのオーナーシェフ夫妻、グイドとリディアが店を始めた経緯が書かれています。
1961年、コスティリオーレ市役所の向かいにある、現在はグリンザーネ賞文化広場本部になっている名もない建物の小さなトラットリア、カフェ・トラットリア・エウローパで、リディアとグイドは出会います。
ちなみにグリンザーネ・カヴール賞は青少年を読書に親しませることを目的として1982年に創設された文化機関。

リディアはこのトラットリアを経営する母親のピエリーナから、後にリデイアの代名詞的料理となるアニョロッティ作りを教わりました。
グイドは、地元の素晴らしさを、最高の産物のみを使う料理を通じて世間に紹介したいと考えていました。
当時は最先端の発想です。
ピエリーナの店はリディアが受け継ぎました。
1階はリストランテで、2階はカフェ。
そこには「ノンナ・ピエリーナのジェラート」という看板が。

グイドは妥協せずに信念を貫く頑固者でした。
店の入り口には、教会のような厳格さが漂っていました。
予約をしない客は、席が空いていても断りました。
リディアがびっくりしてなぜ断ったのかと尋ねると、
グイドにとってレストランで食事をするというのは熟考が要求されることで、店を偶然に選ぶものではない。だから絶対に予約が必要なのだ!と答えたと言います。

グイドの品質を追求する姿勢や、地元の産物に向ける愛情は、国境を超えて認められていきました。
村の無名のリストランテは次第に有名になります。
リディアはロサンジェルス・タイムズによって“クイーン・オブ・アニョロッティ”と呼ばれるようになりました。
イタリアでも人気の高い日本人の作家吉本ばなな氏が、グリンザーネの招待を受ける条件としてグイドでの食事を2回、予約してほしいとリクエストした、ということもありました。

グイドは地元のエンブレムになりました。
そしてこの本にはコスティリオーレのグイドが作り上げたエノガストロノミアが詰まっているのです。

グイドの厨房でアニョロッティ・デル・プリンを作るリディア・アルチャーティ。


リディアのアニョロッティ、ヴィテッロ・トンナート、ペペローネ・リピエーノといったグイドの名物料理のリチェッタも収録されています。
ちなみに、60点以上あるリチェッタの1つ、鰻のカルピオーネは、ヨーロッパの鰻料理とは思えないほど繊細で美しい1品です。



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2019年5月17日金曜日

マルケのチーズ・ピッツァ、レッコのフォカッチャ、ロマーニャのピアディーナ

ナポリ風、ローマ風、そして最後に残ったマルケ風ピッツァです。

ピッツァの第3の流派として、マルケ風、というのがあるなんて、『サーレ・エ・ぺぺ』で読むまで知りませんでした。

とりあえず、マルケの地方料理でピッツァと言えば、パスクアの朝にサラミと一緒に食べるチーズ入りのパンのような、パネットーネ形の食べ物、別名クレッシャとも呼ばれるものがあります。
クレッシャという名前は発酵によって生地が膨らむ(crescereクレッシェレ)ところからつけられました。
イタリア中部には、パスクアのピッツァという名前のこの種のパンが他にもあります。
中世の修道院で生まれたので、ナポリのピッツァとは何の関係もなさそう。
この他、クリスマスにもクリスマスのピッツァと呼ばれる甘いパンを食べます。
この場合のピッツァとは、トルタtorta/ケーキの意味があるのかも。

ピッツァ・ディ・パスクア

材料/直径22cmのピッツァ2台分
 00番の小麦粉・・1.05kg
 卵・・7個
 塩・・15~20g(ペコリーノの塩分によって加減する)
 ペコリーノ・・105g
 パルミジャーノ・・105g
 オリーブオイル・・225ml
 ドライイースト・・3個(水1/2カップ強で溶く) 

・材料を混ぜる。
・台に移して10分こねる。
・ボールをかぶせて30分休ませる。
・ガス抜きして半分に切り、バターを塗って小麦粉をまぶした型に入れて約3時間発酵させる。
・型一杯に膨らんだら180℃のオーブンで50分焼く。
・型から出し、アルミ箔をかぶせてオーブンで約10分休ませる。

一般的にイメージするチーズのピッツァとは全然違いますね。
サラミがよく合いそうです。
生地に硬質チーズを入れてこねるタイプ。
チーズが美味しいパンはまだあります。

リグーリアのレッコのフォカッチャは、フレッシュチーズを挟んだ薄焼きフォカッチャ。


材料/6人分
 00番のマニトバ粉・・600g
 水・・300ml
 リビエラDOPのEVオリーブオイル・・100g
 フレッシュチーズ・・1kg
 塩
・マニトバ粉、水、塩、オリーブオイルをこねた生地を麺棒で薄く伸ばす。
・油を塗ったオーブン皿にかぶせる。
・フレッシュチーズの小片を並べる。
・その上に薄く伸ばした生地をかぶせて押さえる。ところどころ穴を開けて空気を抜く。
・余った生地を切り落とし、塩少々とオリーブオイルをかける。
・薪のオーブン(または300~350℃になるオーブン)で約6分焼く。

いわゆる典型的なフォカッチャとは違うけれど、フレッシュチーズを美味しく食べるために考え出された形。

ロマーニャ地方のピアディーナは、コンロで焼く薄焼きパン。
チーズやハムをはさむのに最適。


piadinaの材料は
 小麦粉・・500g
 ラード・・100g
 塩・・8g
 重曹・・3~4g
 水・・200~240ml
 ルーコラ、生ハム、クリームチーズ、パルミジャーノかグラナ・パダーノ、ミニトマト

・材料をこねて100~120gにカットし、布巾で覆って約15分休ませる。
・厚さ3mmのできるだけ正確な円形に伸ばす。打ち粉は必要ない。
・生地をピケし、熱した鉄板かフライパンで片面2~3分ずつ焼く。
・クリームチーズを塗り、生ハムとルーコラをのせて削ったパルミジャーノを散らす。半分に折って半分に切る。

マルケのチーズのピッツァは、今ではパスクアだけでなく一年中作られているので、ズッパ・ディ・ペッシェのついでに忘れずに味見を。

おまけの動画。
イタリアンのレストランが舞台のこんなPVありました。
『ジプシー・クイーンズ/イタリアーノ』





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2019年5月15日水曜日

ピッツァ・ナポレターナとローマ風ピッツァの生地作り

前回は、ストリートフードの王道、パニーノの歴史をざっと振り返りましたが、その中で気になる言葉がありました。
ピッツァに、ナポリ派、ローマ派、マルケ派などのスタイルが生まれた、というもの。
マルケ派は置いといて、ナポリとローマのピッツァの違いを動画でざっと確認。

ナポリ派は言うまでもなく、ピッツァの元祖にして本家、ピッツァ・ナポレターナ。

ナポリを代表するカリスマ・ピッツァイオーロ、ジーノ・ソルビッロのピッツァ・ナポレターナは、


 カプートの0番のオーガニック小麦粉・・1.55kg
 塩・・45g
 水・・1L
 生イースト・・1.5g
トッピング;
 オーガニックトマトのパッサータ
 ナポリタイプのフィオルディラッテ
 EVオリーブオイル
 バジリコ

・小麦粉をマディアmadia(伝統的な木製のこね桶)に入れる。
・水1Lにイースト1gを加えて溶く。
・小麦粉に塩を加えて混ぜる。
・イーストを溶いた水を小麦粉に少しずつ加えながら混ぜて適量の水を粉に吸い込ませる。手や木製の桶にあまりつかなくなるまで混ぜる。最初は持ち上げると柔らかくてたれる状態だが、次第にグルテンによってまとまり、混ぜ終わると打ち粉をした台に取り出せるようになる。マディアはきれいにする。
・打ち粉をしながらこねる。生地の塊を伸ばし、台に落として半分にたたむ。こうして水分を多く含む生地の内側を表面に出し、そこに軽く打ち粉をする。こうして生地の水分が均等になったら出来上がり。
・生地をマディアに入れて蓋をし、発酵させる(今回は約1時間)。
・生地を取り出して切り分ける。ピッツァ・ナポレターナは1枚280g、ピッツァ・フリッタは150g。まず棍棒状に切り分け、モッツァレッラのように片手で丸く押し出して区切りながらちぎり分ける。
・1個ずつ手早く丸めてケースに入れ(15個)、8~9時間発酵させる。材料を混ぜた後は、時間をかけて発酵させるうちに材料同士が混ざり合って変化し、280gの生地は300~320gになる。
・1個ずつ切り離して台に置き、打ち粉(生地と同じ粉)をしながら手で広げる。この方法は“スキアッフォschiaffo/平手打ち”と呼ばれる。片手で生地を台に打ち付けながらもう片方の手で伸ばしていく。
・裏漉しトマトを中央にのせ、縁は開けて円を描きながら広げる。バジリコとほぐしたフィオルディラッテをのせてオリーブオイルをまわしかけ、ピッツァ用スコップ/パーラpalaにのせる。
・伝統的な薪のピッツァ窯の入り口に入れた時は約55秒~1分で焼き上がる。

いやーソルビッロさん、熱く説明してくれる人ですねー。

ローマ派ピッツァと言えば、薄いカット・ピッツァ。
最近ではガブリエレ・ボンチさんの活躍もあってその美味しさが知れ渡りました。


 セモリナ粉・・200g
 ファッロの全粒粉・・800g(ファッロは農薬を必要としない穀物)
 水・・600ml
 EVオリーブオイル、塩
 イースト・・少々(粉1kgに約2g)

・ボールに粉を入れてイーストと60%の水(600ml)を加えて木べらをボールに触れさせながら休まずに混ぜる。中央に塩を入れる。
・生地がまとまったら台に移し、オリーブオイル少々をかけ、生地をたたみながらオイルが均一に行き渡るようにこねる。
・18~20℃で18時間発酵させる。
・指先でくぼみを作りながら四角く伸ばし、角に握りこぶしを置いて腕を生地の上に渡す。反対側の角を腕にかぶせて裏返し、天板に移す。油は塗らない。引っ張って天板いっぱいに広げる。
・じゃがいもはスライスして水にさらし、冷蔵庫に24時間入れてカールさせる。これを生地の上に広げる。薄く切ったエリンギも加えて塩をする。290℃のオーブンで15分焼く。
・ピッツァをカットし、炒めたエリンギ、ホップ、スイスチャード、炒り卵、ハム、パセリをのせて出来上がり。

ボンチさんのピッツァはトッピングが特徴的。
ローマ風はナポリほど厳格にリチェッタが定まっていないので、アレンジがかなり自由で豊か。

ローマ風の生地の伸ばし方


伸ばし方が全然違いますね。
指を使って伸ばし、腕を使って裏返します。

最後に残ったマルケ風ですが、マルケ風ピッツァて、なんですか?
チーズ入りのパンのような伝統的なパスクアのパンのことでしょうか。
そう言えば、伝統的なチーズピッツァは、イタリア各地にありますよね。

マルケ風は次回に・・・。

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“ストリートフード”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2017年3/4月号に載っています。
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2019年5月13日月曜日

パニーノの歴史、トラメッジーニからピッツァへ、そして21世紀は・・・

今日はストリートフードの話。
今月の「総合解説」の“ストリートフード”の記事(P.30、『サーレ・エ・ぺぺ』より)は、イタリアで、ストリートフードがブレイクしたこれまでの歴史や、今後どこへ向かうかが、よく分かる記事でした。
21世紀は、ストリートフードと言えど、食材にこだわり、添加物や大量生産と戦いながら進化していくようです。

リチェッタの最初の料理はその象徴のようなタコのパニーノ。

パニーノは、バールで食べる定番の軽食でした。
バールの軽食と言えば、まずはトラメッジーノ(サンドイッチ)。

命名者は作家のダンヌンツィオ。
下の動画は、イタリアのトラメッジーノ発祥の店と信じられているトリノのムラッサーノ。


1926年に誕生したそうです。
当初はホットサンドだったようですね。
最初はバターとアンチョビ、パプリカとアンチョビ、サラミのようなシンプルな具をはさんでいました。
それが次第に、ロブスターのサラダ、サーモンとトリュフクリームとマカルポーネ、ヴィテッロ・トンナートと豪華になっていきました。
パンも特製です。
店の人はこのパンがポイントだと言っていますね。
一番人気はロブスターのサラダだそうです。

次に革命を起こしたのは、ピッツァです。
20世紀に広まりました。
ピッツァの最大の特徴は、仲間と食べるもの、ということ。
家族や友人たちと、イベントの前後にワイワイ賑やかにつまむ食べ物でした。

ピッツァの歴史


この動画によると、
ナポリのピッツァは17世紀に、パンのスキアッチャータをもっと美味しくしようという職人の工夫から生まれました。
最初は、にんにく、ラード、粗塩、またはカチョカヴァロ、バジリコで調味していました。
新大陸からトマトが伝わると、新しいピッツァが生まれます。
トマトとモッツァレッラのピッツァが初めて作られたのは19世紀でした。
公式には1889年となっています(ヴェーラ・ピッツァ・ナポレターナ協会)。
なんでこれだけはっきりしているかと言うと、
イタリア王のウンベルト1世と王妃のマルゲリータがナポリを訪れた際に、当時の最高のピッツァイオーロと言われたラファエレ・エスポジトが3種のピッツァを作り、
ちなみにpizza Mastunicola(マストゥニコラ/ラード、チーズ、バジリコ),
alla marinara(マリナーラ/トマト、オリーブオイル、にんにく、オレガノ) 、
イタリアの国旗と同じ3色で後に王妃の名前をつけたpizza margherita(マルゲリータ/トマト、モッツァレッラ)
の3種でした。
この3番目のピッツァがナポリで大流行し、第二次大戦後に北イタリアにも広まり、その後の移民の増加に連れて世界へと波及していったというわけです。

そして今や、天然酵母や小麦粉の研究が進み、ナポリ派、ローマ派、マルケ派などが生まれています。
ピエンノロのトマト、チェターラのイワシ、アジェロラのフィオルディラッテと、食材へのこだわりも強くなっています。


ティレニア海のチェターラのイワシはアドリア海のイワシより脂肪分が少なく、塩漬けに適しているのだそうです。
下処理も塩漬けも手作業、熟成は3~6ヶ月。

アジェロラはソレント半島のアマルフィの近く。
水牛のミルクではなく牛乳から作るモッツァレッラ、フィオルディラッテ作りの中心地です。
こんな村。


世界中が憧れる地中海式ダイエットの地ですね。
締めはピエンノロトマトとアジェロラのフィオルディラッテのピッツァ





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 “ストリートフード”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年3/4月号P.30に載っています。
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2019年5月10日金曜日

ヴェネチアのバーカロのタコ料理

タコ料理の話、続けます。

グイド・トンマージの『ナポリ』から、
ナポリのタコのパスタをどうぞ。

■タコのアッフォガートのパスタ/VERMICELLI CON SUGO DI POLPI AFFOGATI(P.44)

4人分
 スパゲッティ(ヴェルミチェッリ)・・400g
 小ダコ・・150~180gが4杯
 トマト・・正味500g、または生が手に入らない時期は缶詰
 にんにく・・2かけ
 EVオリーブオイル・・大さじ5
 唐辛子(好みで)、塩

・大鍋でにんにくと唐辛子を油で軽くソッフリットにする。焼き色がついたら取り除く。
・下処理したタコを頭を持って入れ、数分炒める。
・トマトを加えて火を弱め、蓋をして20分煮る。
・その間にパスタを固めのアルデンテにゆでる。ゆで汁は少量取っておく。
・パスタをタコの鍋に加え、ゆで汁少々を加えてマンテカーレする。
・仕上げにイタリアンパセリのみじん切りを散らす。

ヴェネチアもタコ料理が美味しい地方。
ヴェネチア名物のバーカロでも人気のつまみの一つです。

グイド・トンマージの『ヴェネチア』からは、

■小ダコのボイル/FOLPETI CONSI(P.122)
4人分
 小ダコ・・12杯
 EVオリーブオイル・・大さじ6
 にんにくのみじん切り・・1かけ
 レモン・・1個
 ローリエ・・数枚
 塩、こしょう

・タコはくちばしを取り除いて洗う。
・大鍋に水を張り、ローリエと粗塩少々を加えて沸騰させる。タコの頭を持って湯に2回浸し、足をカールさせる。強火で柔らかくなるまでゆでる(約15~20分)。
・取り出して縦に半分に切り、塩、こしょう、にんにくのみじん切り、オリーブオイル、レモン汁で調味する。イイダコも同様に調理できる。

タコはベネチア訛りだとフォルポになるんですね。
ポリポって言うのはどこだっけ。

タコのルチア風の美味しい店として『サーレ・エ・ペペ』誌がお勧めするのは

まずはバコリ(ナポリ)のラ・カターニャ。
カターニャとは、漁師言葉でタコの隠れている場所のことだそうですよ。
こんな名前の店のタコ料理、期待しかない。


さらにサンタガタ・スイ・ドゥエ・ゴルフィのロ・ストゥッツィキーノ。



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“タコのルチア風”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年3/4月号に載っています。
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2019年5月8日水曜日

ナポリのタコのルチア風

今月の地方料理1品めはタコのルチア風Polpo alla luciana。
ナポリの名物料理の一つです。

ルチアとは、サンタ・ルチアのこと、かつ、その地区のタコ漁をする漁師のこと。
ナポリのタコ漁は、テラコッタの壺を夜にしかけて、翌朝引き上げるという方法。
タコをテラコッタの鍋で水を加えずに、タコから出た水分でじっくり煮る歴史の古い料理が、サンタ・ルチア名物のポルポ・アッラ・ルチャーナ。
典型的な漁師料理です。

そう言えば、グイド・トンマージの地方料理シリーズの新着本は、
ナポリ』ですが、これがかなりのタコ推し。
P.28の写真は、真っ黒に日焼けした腕の、まさにナポリのタコ漁師。

サンタ・ルチアは有名な歌から、世界中の人がイメージするナポリ。
こんな風景。卵城の近く。
例の歌を聞きながらサンタ・ルチアを御覧ください。
 ↓

2015年のサンタ・ルチア
 ↓

ナポリにやって来た世界中の観光客が集まる場所のよう。

ナポリの人は日本人よりタコ食べますよねー。
私もナポリで初めてタコ料理を注文したら、小さめのタコが丸々1匹、皿にのって出てきてびっくりしました。
でも、柔らかくてペロッと食べることが出来ましたよ。
この感動は、ナポリで初めてピッツァを食べた時に匹敵しました。



この料理に使うテラコッタの鍋はピニャティエッロpignatiello。
豆を煮る時に使う鍋と同じです。

・鍋に油、潰した皮つきにんにく1かけ、崩した唐辛子1~2本、ケッパーを入れてソッフリットにする。
・その間にミニトマトを小さく切る。おすすめのトマトはピエンノロ・ディ・ヴェスビアーニか皮むきサンマルツァーノ。なめらかな煮汁にする時は裏漉しする。
・ソッフリットにイタリアンパセリの茎を加える。
・下処理したタコを頭を下にして入れる。頭には水分がたっぷり含まれているので、こうして熱して水分を出す。
・オリーブとトマトを加えて少量の塩を加える。オリーブやケッパーはトマトの甘味とのバランスをとるために加える。
・蓋をして火をやや強めて水分を軽く沸騰させる。水分が全部出たら弱火にして約25分煮る。布巾やぬらしたオーブンシートを挟んで鍋に直接材料が触れないようにしてもよい。
・25分煮たら裏返し、蓋をして弱火でさらに20分煮る。裏返したタコの足が柔らかくなって煮汁に沈むようになるまで煮る。
・火を消してイタリアンパセリのみじん切りを加え、15分休ませる。
・皿に盛り付けて煮汁をかける。
・煮汁に浸すパンを添えてサーブする。

小さなタコで作る料理なので、パスタにもよく合います。

ナポリのタコの話、次回に続きます。



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“タコのルチア風”の記事の日本語訳は、「総合解説」2017年3/4月号P.11に載っています。
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2019年5月6日月曜日

段々畑から生まれる甘口オリーブ、タッジャスカ

今月の「総合解説」は3/4月号です。
春の号になると、リチェッタが途端に多くなって、楽しいですねー。

今日は、イタリア料理初心者の人でも、超簡単に料理に地中海の風味を加えることができる料理、オリーブのパテの話です。

あまりの簡単さに、私も作ってみようという気になりましたよ。
詳細は「総合解説」P.8を読んでください。
ただ、材料がオリーブとオリーブオイルの2つだけということは、当然、出来上がりは材料の味に左右される訳です。
お勧めのオリーブは、リグーリアのタッジャスカ。
黒と緑が半々ぐらいの小粒のオリーブで、主にオイル用です。
フルーティーな香りで、甘口でマイルドなオイル。
魚料理やサラダによく合います。
リグーリアのオイルといえば、この甘口でマイルドなタッジャスカのオイルと言えます。
栽培の中心はリグーリアの西の端、インペリア。


海と山にはさまれたリグーリアには平地がわずかしかなく、狭い段々畑でオリーブを栽培するのは、かなりの重労働。
生産量も限られていて、必然的に値段も高め。
そのせいか、リグーリアの農産物は、一手間かけた品質にこだわっているものが多いような気がします。
作り手の情熱も熱くて、リグーリアの製品はなぜマイナーなのに値段が高いのかを、外国人に一生懸命説明してくれます。
タッジャスカの場合は、甘口でフルーティーなオリーブの中では世界一だ、というのが自慢。
オリーブに興味がある人は、リグーリアのインペリアで、ぜひ、タッジャスカオリーブの畑を見てください。
リグーリアの農産物は生産量が少ないために地元の外にあまり出回っていないものが多く、リグーリアに行ったらこのオリーブの味見もおすすめです。

リグーリアの段々畑
 ↓

リグーリアのオリーブ栽培は、この地を支配したローマ人が伝えました。
実は、オリーブの栽培は、ぶどうや他の野菜ほどは広まらなかったのです。
栽培を細々ながら支えたのは修道院ですが、14世紀から19世紀にかけて、段々畑を作る技術が広まって、ようやくオリーブの栽培は爆発的に広まります。

このリグーリアの段々畑で栽培されたタッジャスカオリーブと地元の他のオリーブからとるオイルが、DOPのオリーブオイル・リヴィエラ・リグレです。

タッジャスカオリーブ
 ↓

リグーリアの美味しいもの。
 ↓

タッジャスカ・オリーブは生食でも美味しく、一番簡単なアペリティーヴォは瓶詰めの塩水漬けですかね。
 ↓

2番めに簡単なのが、オリーブのパテ。
下の動画はにんにく入りの南イタリア風。
詳しくは「総合解説」を御覧ください。


ペースト・ジェノヴェーゼはリグーリアの香りで、タッジャスカオリーブのパテは地中海の香り。
オリーブのパテににんにくや唐辛子を加えると南イタリア風、アンチョビとケッパーを加えるとフランスのタプナード風。

リチェッタの1品目は、子羊のコストレッタ。
塩、こしょうした肉にオリーブのパテを塗ってオーブンで焼きます。
これ、絶対に美味しいやつ。




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“オリーブのパテ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年3/4月号P.8~に載っています。
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2019年5月3日金曜日

一口サイズのイタリアンのパーティー料理

「総合解説」3/4月号のホームパーティー料理は、『サーレ・エ・ペペ』誌の創刊30周年を記念した内輪のパーティー料理(P.3)。
お洒落で楽しい、一口サイズのパーティー料理です。

ホームページの「総合解説」のページにちょっとだけ写真も載せました。
1品目はラビオリのフリット、2品目はプンタレッレのテンプラ、3品目はミニモッツァレッラのマカロンです。

ラビオリの詰め物はグラナ・パダーノ入りマッシュポテト。
甘い詰め物のラビオリのフリットはカーニバルの定番。
これはヌテッラのラビオリのフリット。
 ↓


じゃがいものラビオリ
 ↓


プンタレッレのテンプラは、カラフルなピーマンも加えた赤・黃・緑のテンプラ。
小麦粉を菜箸でダマが残るようにざっと混ぜる、という説明がイタリアの料理書に載るなんて画期的。

かつては時々見かけていたプンタレッレですが、最近ではあまり聞かなくなったなあ。
プンタレッレはチコーリアの芽。
下処理してないのを買うとちょっと大変。
 ↓



ミニモッツァレッラのマカロンは、一口大のモッツァレッラを半分に切ってソラマメのペストをはさんだだけ。
ほんとにマカロンみたいに見えます。



こちらはハンドメイド。
フリット、スピディーニなど、使い方は無限。
 ↓


デザートは写真なしですが、レイヤーケーキです。
レイヤーケーキはイタリア語ではtorta multistatoトルタ・ムルティストラートと言います。
でも、段を重ねただけじゃなくて、それをレース模様のホワイトチョコレートの網で覆うというのがイタリア流美意識。


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“記念日のホームパーティー”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2017年3/4月号P.3に載っています。
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2019年5月1日水曜日

春はフレッシュチーズの季節

総合解説」2017年3/4月号発売しました。
春の号になりました。
冬が終わって近づく春の息吹が楽しくてしょうがない、というイタリアの季節感に満ちた号です。
地中海の本領が発揮されだしたようで、リチェッタの数も多くなりました。

恒例、3/4月の食材(P.2)は、まずはちょっと意外だったコリアンダー。
タイ料理に使うイメージが強かったので、東南アジアの香草と思い込んでいました。
地中海原産で、しかも歴史の古ーい香草だったんですねー。

野生のコリアンダーの花


次は、ジュンカータ。
白が背景だとよく見えなくて申し訳ない。
ヤギのミルクから作るフレッシュチーズなので真っ白。


カードを包むのが葦(giunco)なのでこの名になりました。
伊達巻に似てますねー。
この巻きす、中国製かも。

ジュンカータよりもっと白くて見えにくいのが、プレシンセア。


産地でしか味わえないチーズを求めてイタリアを旅する人も多いと思いますが、私にとって、このチーズはそんなチーズの1つでした。
レッコのフォカッチャやトルタ・パスクアリーナの具として欠かせないフレッシュチーズですが、日本で簡単に見かけるものではなく、ジェノヴァで実際口にするまで、その味をあれこれ想像していたチーズです。


ジェノヴァに行ったら忘れずにお味見を。


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“今月の食材”の日本語訳は、「総合解説」P.2に載っています。
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ラビオロ・アベルトは、スパゲッティ・ボンゴレのモダンバージョンになるか。

海のパスタ、2品目は“アンコウと野菜のラビオロ・アベルト”です。日本語のリチェッタは(CIR6月号、P.21)。 ラビオロ・アベルトは、マルケージが考案した革命的パスタ。 パスタにイタリアンパセリの葉をはさんで伸ばし、レースのように美しい模様にしたのが特徴で、マルケージの唯一無二...