2018年12月28日金曜日

アンドリアのブッラータIGP


今日のお題はメイド・イン・イタリーの食材、ブッラータ。
おっと、ブッラータ・ディ・アンドリアでした。
2015年にIGP製品になって、burrata di Andriaが正式名称になりました。

取り合えず、アンドリア以外で作ったブッラータは類似品で、ブッラータの産地はアンドリア、ということが公式に発表されたわけです。

『サーレ・エ・ペペ』の記事はちょっと辛口でした。
なにしろ、ブッラータが作り出されたのは、味をよくしようという発想からではなく、モッツァレッラを作る時にできる残り物を有効利用して商品にする、という、身も蓋もない現実的な理由から生み出されたものだったのです。

アンドリアのロレンツオ・ビアンキーノさんがブッラータを作り出したのは約100年前。
今では、地元ムルジェ地方の牛乳だけでは生産がまかないきれないほど広まりました。
なので、アンドリアのブッラータという名前の割には牛乳の産地には指定がないなど、igp製品といえど、ドイツやフランス産の牛乳から造られている可能性もあるという異常事態。



そもそも、アンドリアのブッラータは、ムルジェ地方の牧草を食べた牛のミルクから作るので、独特の香りが特徴、と言って売っていたのです。
プーリアの人はなかなか現実的な発想をします。

ムルジェ地方の牛
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どこの牛乳から作ろうと、美味しければいいですが、ブッラータは作ってから24時間以内に食べるチーズ。

美味しいブッラータを食べたかったら、やっぱりアンドリアに行くしかない。



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“アンドリアのブッラータ”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年8月号に載っています。
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2018年12月26日水曜日

パレルモの人気ストリートフード、パネッレとカッツィッリ

今日のお題はシチリアを代表する大人気ストリートフード、パネッレとカッツィッリ。

両者とも揚げ物です。
チェーチの粉のソフトなフリッテッレ、パネッレpanellleのほうが多分よく知られているかも。
もう一つのカッツィッリcazzilliは、聞き慣れない名前ですが、その実態はじゃがいものコロッケ、別名クロッケcrocchè。
揚げ物屋さんで人気なのもうなずけますねー。

パネッレは、シチリアの食文化を語るときに必ず登場するアラブの影響を受けた食べ物。
アラブ人がチェーチの粉と水を混ぜた生地を焼いて作っていたものがルーツ。

さらに、これらはストリートフード、つまり屋台で売る食べ歩きできる食べ物、ということは農村部ではなく都会の食べ物であること、というわけで、パレルモの名物になったのも納得の一品です。

カネッリ



片手で握って作る細長い俵型が独特です。

パネッレ



パネッレの屋台、パネッラーロ
 ↓




休み時間になると何百個と売れるんだそうです。

余ったパネッレやクロッケの生地で作るラスカトゥーラ。
 ↓





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“パネッレとカッツィッリ”の生地とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2018年8月号に載っています。
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2018年12月24日月曜日

カゼンティーノの豚肉

今日のお題は豚のスペアリブ。
あばら肉はイタリア語では“costine/コスティーネ”。
「総合解説」で訳しているのは『サーレ・エ・ペペ』の記事。

記事の中に登場する、最高の肉に情熱を捧げているアレッツォ県のカゼンティーノで4代続く肉屋、フラカッシの店主、シモーネ・フラカッシさん。
 ↓



シモーネさんが扱っている豚肉は、カゼンティーノのチンタとラージホワイトの交配種、と記事にはあります。
チンタはチンタ・セネーゼ種のことですよね。
ラージホワイトは、別名大ヨークシャー種とも呼ばれます。
ヨークシャー種なら、聞いたことありますよ。




19世紀から20世紀にかけて、日本を含む世界中に広まった品種だそうです。
カゼンティーノ地方に伝わったラージホワイトは、トスカーナの土着品種チンタ(またはロマーニャのモーラ・ロマニョーラ種)との交配によって、ガゼンティーノ特有の品種として広まりました。
その飼育方法は、厳格に伝統的な昔ながらの方法、つまり、栗やトキワガシの森で放し飼いされ、ドングリや木の実、果実や木の根など自然のものを食べて自由に動き回った豚です。
豚の放し飼い
 ↓



シモーネさんは、こうやって育てた豚は、肉が柔らかくて風味が豊かになる、と語っています。

さらに、コスティーネ料理のポイントは、急がないこと。
低温でゆっくり焼くのだそうですよ。
半野生の豚肉が手に入る人は、是非、この方法で調理してみてください。

おまけの動画
そもそもカゼンティーノって?



シモーネさんも出てますねー。
この地方は生ハムも半野生の豚肉を使ってるんですね。

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“豚スペアリブ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2016年8月号に載っています。
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2018年12月21日金曜日

チネマ・イン・ジャルディーノ

「総合解説」の2つめの記事は、“庭で野外映画のピクニック”がテーマ。

暖かくなると野外映画のシーズンがイタリア各地でスタート。
人気のイベントなんですね。
 ↓



広い庭があればDIYで。



今月のホームパーティーは、オンライン映画が普及した昨今、庭の木の間に即席のスクリーンを張って、夏の夜に野外で映画を見ながらピクニックをするという、一生の思い出になりそうなイベントの提案です。

映画を見ながら食べるのは手づかみで食べる料理。
ブルスケッタの盛り合わせ、モッツァレッラとスイカとメロンのサラダ、木の枝に刺したチキンのミートボール、ババを閉じ込めたパンナコッタというメニューで、大人と子供が一緒に楽しめるファンタジーという映画の内容に合わせたもの。
森の中、海辺や湖岸、山の中では、食べる料理も美味しくなりそうですね。

どうやら大規模な野外映画は過去のものとなりつつあるようですが、個人で楽しむ方法が急速に広まってきたようです。

おまけの動画です。
野外映画といえばこれ。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のトレイラー。





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2018年12月19日水曜日

フィーコ・ディンディアとスコルゾーネ

今月(8月)の食材の筆頭は、フィーコ・ディ・インディア。
インドのいちじく。
そう、ウチワサボテンの実です。




なぜサボテンがインドのいちじくなのか、その答えは有名なコロンブスの壮大な勘違いのせい。
インドに着いたと信じていたんですねー。
インディァンに始まる彼の勘違いはこれだけではありません。
インドの鶏、gallina d'Indiaと呼ばれる鳥もいます。
答えは七面鳥。

次の食材はスコルゾーネscorzone。
5~10月に熟すサマートリュフです。
収穫は5月末から9月



冬のトリュフと比べると香りが弱いので、価格はほぼ1/10。
ただし、その違いは専門家でないと分からない程度の場合もあります。
なので上質のサマートリュフはお買い得かも。
黒なので、白と違って加熱にも適するのでソースにも最適。

スコルゾーネのタリアテッレ
 ↓




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2018年12月17日月曜日

ベネチアのモエケとマサネーテ

「総合解説」はそろそろ2016年8月号が発売になります。
最初の記事、今月の食材で紹介している8月が旬の食材の中で、個人的に初めて名前を聞いたのは、“masanete”でした。
マサネーテ。
さて、何でしょう。

カニの女性型のベネチア訛りだそうですよ。

ベネチアのカニというと、モエケが有名ですが、モエケは春と秋に脱皮した潟のカニ。
日本語の学名はチチュウカイミドリガニというカニだそうです。

一方マサネーテは、チチュウカイミドリガニのメスが8月末から12月の受精後の卵を抱いた時の名前です。
チチュウカイミドリガニは地中海に生息するカニですが、特にベネチアの潟にたくさんいます。



モエケは主にフリットにして食べますが、マサネーテはゆでてサラダにするそうです。



正直言って、モエケよりマサネーテ食べてみたい。


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2018年12月14日金曜日

『ディアマンテ・デッラ・グランデ・クチーナ・ディ・シチリア』

今日は再入荷の本のご案内です。
入荷したのは
イル・ディアマンテ・デッラ・グランデ・クチーナ・ディ・シチリア』。
多分「?」ですよね。


初版が出版されたのは1976年。
それ以来、シチリア料理の料理人に読まれ続けている人気の本です。
今回入荷したのは2006年版。 
何度も版を重ねていますが、人気には追いつかず、常に品切れ状態で、ここ数年、市場には出回っていません。
それをうちのスーパーバイヤーが、ゲットしました。

実は、写真がない本で、シチリアの方言丸出しなので、決して読みやすいとは言えません。
なのに、ちょっと前にシチリアで修行していた人なら、みんな見かけているのでは、と思うくらい、シチリア人の間に広まりました。

シチリア料理に興味のない人には、まったく価値がわからない、ちょっと謎な本です。
それがまっさらの新品状態で入荷しました。
ただ、残念ながらがらカバーには傷みがあります。

そうです。
この本、カバーがあるのです。
料理書でカバーがあるのは、アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダの『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』とこの本ぐらいです。




それにしても、中身のほぼ新品の状態から推測すると、この本は、シチリア以外の書店の倉庫で何年もデッドストック扱いされて、ひっそりと眠っていたのでしょうね。
著者のピーノ・コッレンティ氏は作家で舞台監督。
さらに、イタリア調理師協会シチリア支部の名誉会長でもありました。
シチリアの食文化の先生として、シチリアの人々から尊敬されていました。
この本は彼の代表作です。

そんな通好みの本をなぜ知ったかと言うと、シチリアから戻った料理人の方から、問い合わせを数件いただいたからです。

問い合わせが複数の場合は、スーパーバイヤーに探してもらっていますので、そんな本がある人は、ぜひご連絡ください。
ただし、イタリア時間でのんびり待てる方に限ります。


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2018年12月10日月曜日

アサリとムール貝に合うワイン

今日はワインの話。

お題は「アサリやムール貝に合うワインは?」
味も歯ごたえも違う貝ですが、一緒に料理にすると、互いに補完し合って、厚みのある味の貝の料理を生み出します。
で、貝のミックスに合うワインはと言うと、『サーレ・エ・ぺぺ』誌のソムリエによると、イタリアの白は、様々な味を活かすことができる多様性があるのが特徴で、こういうテーマは得意なんだそうですよ。
特に、サルデーニャ北部のものが貝のソフトさや塩気とよく合うのだとか。

ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ



総合解説」でお勧めしている4種類のワインのうち、アサリに合うと紹介されたマルケのパッセリーナ。



ムール貝の産地としても知られるサレント地方のワイン、ネグロアマーロ・ロゼは、ムール貝とじゃがいものティエッラなど、陸と海のミックスの料理にぴったり。




最後はサント・イシドロ・ロザート。
マルケ南部の、モンテプルチャートとサンジョヴェーゼを栽培するカンティーナの両方のぶどうの個性が感じられるミステリアスなロゼ、だそうです。



プーリアのロゼが大ブームになったこともありましたよね。
イタリア中でロゼがブームなのかと思ってあちこちで飲んでみましたが、プーリアのロゼは品質が別格でした。
プーリアでロゼを飲むとはまります。



サルーテ~!


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“貝に合うワイン”の記事の日本語訳は「総合解説」2018年7月号に載っています。
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2018年12月7日金曜日

ナポリのドルチェの意外な4本柱。

ニュートンシリーズの『ニュートン・ドルチ・ナポレターニ』の前書きを訳しています。

イタリアのドルチェは、フランスの影響を受けたピエモンテ派、アラブの影響を受けたシチリア派、そして北からは南、南からは北といわれる中間のナポリ派、この3つの柱の上に構築されている、という話から始まり、
ナポリのドルチェは大きく4つに分けられる、という分析から、1つめの農民のドルチェの話まで訳しました。
それでは続きです。

「ナポリのドルチェの特徴の2つ目は、アラブ文化にルーツを持つ点です。
特に揚げ物、ゼッポレやストゥルッフォリなどのフリットは、家庭でも短時間で作れて
食べ歩きができるドルチェとして普及しました。
今日では、カロリーを気にする傾向から、ゼッポレをオーブンで焼く人もたくさんいます。
揚げ物が人気なのは、ナポリの人々が少なくとも4世紀に渡って飢えに苦しめられてきた証拠と言うことができます。
ある日突然、食べるものがなくなる怖さが、農村には常にありました。

3つめは、歩きながら食べるドルチェです。
スフォリアテッラ、ババ、ゼッポレ、クリームを詰めたシューといった職人が作る中産階級のドルチェがこれにあたります。
これらは都市特有のドルチェです。
南部の小さな村の職人がナポリにやってきてこれらを学び、故郷に帰って店を開きました。
カンパーニアのパスティッチェリーアはこうして、工場での大量生産が始まる前にイタリア中に広まりました。

4つめは、パリから伝わった貴族のドルチェです。
モンズーが作るドルチェは、複雑で、その製法は極秘にされました。
家庭や修道院の秘伝のドルチェは最高の菓子工房によって代々受け継がれたのです・・・」

なるほどと思う説です。
農民のドルチェで、都市のドルチェで、アラブとフランスの影響を受けていると、矛盾した要素をたくさん含んでいるんですね。

南部の小さな村の職人がナポリで学んで、故郷に帰って店を出して広めていったという話は、現代のピッツァにも当てはまる話ですね。
農民、中産階級、フランス貴族、アラブの食文化と、どんなものでも取り込んでしまう懐の広さ。
確かに、世界中に広く受け入れられる要素があります。
それはナポリがイタリアで一番人口の多い大都市だったこととも無縁ではないはず。

この前書きを書いたのは、ナポリのMattino誌の記者のルチアーノ・ピーニャターロ氏。
エスプレッソのレストランガイドやツーリング・クラブのワインガイドなどに参加し、南イタリアの食とワインについて多くの著書があります。
最新作のピッツァについて語るピーニャターロ氏。
 ↓


ピッツァ以外も
 ↓


ナポリの食文化に関しては、強い影響力と発言力がある人物。

シチリアのドルチェの本の内容も気になったのですが、



前書きがびっしり書かれているので、じっくり取り組んで「総合解説」に載せたいと思います。
ピエモンテのドルチェの話も忘れてないですよ。



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2018年12月5日水曜日

ナポリのドルチェについて、ニュートンシリーズの本から教わってみた。

今日紹介する本は、再入荷の本です。
ニュートン・クチーナ・レジョナーレシリーズの『ドルチ・ナポレターニ』。



このシリーズでは先日、『1000シリーズ』のパスタも紹介しましたが、さすがにドルチェは300点です。


ニュートンのドルチェシリーズは、3冊しかありません。
ナポリ、シチリア、ピエモンテです。
そして、この3つの州のドルチェこそ、イタリアの国民的ドルチェとしてイタリア中に広まりました。
ババやカンノーリは、北イタリアのパスティッチェリーアでも定番です。
そのあたりのことが『ドルチ・ナポレターニ』の前書きに書かれています。
ナポリのドルチェは大好きですが、イタリアのドルチェについてその背景を深く考えたことがなかったのですが、前書きを読んでいてなるほど~と引き込まれました。

「ナポリのパスティッチェリーアは、イタリア都市部のドルチェの3本の柱の1つだ。
北部にはフランスの影響を強く受けて、クリームやチョコレートが特徴のピエモンテ派がある。
南部にはアラブの影響を受けて偉大な伝統を誇るシチリア派がある。
ナポリは、地中海沿岸の他の南の地方から見ると、北部の影響が感じられる。
ブルボン王朝のモンズーの伝統をナポリに伝えたパリから見ると、ナポリはエキゾチックな南の地方だ。

この3つ地方に共通する他の地方のドルチェとの違いは、農村ではなく都市が生み出したものという、イタリアの他の町にはない特徴だ。
例えば、スフォリアテッレやババは特殊な技術や知識を必要とする複雑なドルチェで、家庭では作るのは難しい。
都会の市場のようなコミュニケーションの場が必要だ。
ナポリは大都会だった。
有名なパスティッチェリーアやトラットリアが鉄道駅の周辺や、貴族や新興市民が住む街の中心部で誕生したのも偶然ではない。
ナポリのドルチェを含む食文化の伝統は、ナポリがイタリア最大の都市だった19世紀に基礎ができた。

ナポリのドルチェは、大きく4つに分けることができる。
1つは農民が生み出したドルチェで、パンや穀物を使い、例えばパスティエーラに代表される。
現在は一年中食べるが、昔はパスクアの時期のドルチェで、春の再来や豊穣の祝いの意味があった。
パンドーロ、パネットーネ、パンフォルテなど、パンで作った日曜や祝日の農家の伝統のドルチェがナポリに伝わったのは、70年台に大型の市場ができて北部の製品がイタリア中に輸送されるようになってからだった。
イタリアの田舎のドルチェは、大量生産や輸送網の発達、テレビのコマーシャルなどの恩恵を受け、都会の市場で人気が出た。
現在は、品質や地産地消が重視されるようになり、アルティジャナーレ(職人技)やカンパーニアとの結びつきが重視されるようになった。
例えば、リモンチェッロ風味のパネットーネなどだ。

2つ目は・・・」

ふう、ちょっと長くなりましたが、面白いですねー。
続きは次回に。


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2018年12月3日月曜日

メッザネッリ・ラルディアーティ

前回のブログで、たまたま、カリフラワーのパスタのリチェッタを探していたら、メッザネッリというパスタに出会いました。
聞いたことのない名前だったのですが、ネットで調べるとナポリの伝統的パスタだということはすぐに分かりました。
多分聞いたことはあっても記憶に残っていなかったんだな、
なんて思いながら写真を見ると、穴開きパスタです。
実は、私が一番苦手なパスタはブカティーニ、つまり穴開きパスタ。
あまり広まらなかったパスタなんだなあ、なんて勝手に思いながら本をペラペラめくってみたら、
“MEZZANELLI LARDIATI”という料理を発見。
パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド』という本の1品でした。

南イタリアの人気店のパスタとシェフたちの人間性が伝わってくる、とてもおもしろいガンベロ・ロッソの本です。

ブカティーニより細くて腰がありそうなパスタです。
なんだかとても気になりました。

さらに調べてみると、ナポリの代表的、歴史的パスタの1つで、ラルドを使っているのがポイントのようです。
この料理が誕生したと言われている18世紀頃は、ナポリの農民にとって、豚の脂身というのは贅沢な食材でした。
自家製で塩漬けにして保存していたのです。
そのラルドが主役のこのパスタは、ご馳走でした。
この料理のポイントは、上質のラルドを手に入れること。
ラルドはナポリやイタリア中部の料理には欠かせない食材ですが、
現在のナポリでは、旧市街の一部の店でなら、ハイクオリティーのアルティジャナーレのラルドが手に入るそうです。

『パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド』の”メッザネッリ・ラルディアーティ”では、コロンナータのラルドを使っています。
ご存知の通り、コロンナータはトスカーナ州。
本を読むと、
「お父さんのラルドがまだ出来上がっていなかったので、代用品として使いました」とくやしそうなコメントが。
リチェッタを提供したのはナポリの北にあるジュリアーノという町の、トラットリア・フェネスタ・ヴェルデのラウラとルイザ姉妹。
 1948年創業の人気のトラットリアで、窓の縁の色が緑色だったことからこの店名をつけたのだそうです。
母親から娘へ受け継がれたリチェッタで料理を作る、紙に書かれたメニューはない、典型的なナポリの家族経営の店です。

ミラノ万博にもカンパーニア代表で参加。
 ↓


“メッザネッリ・ラルディアーティ”は、他のパスタ、ツィーティやペンネなどでも応用可。
ラルドは生ハムの脂身を使っている動画もありました。
 ↓



それではトラットリア・フェネスタ・ヴェルデのリチェッタをどうぞ。

【メッザネッリ・ラルディアーティ/MEZZANELLI LARDIATI】

材料/4人分
 メッザネッリ・・350g
 ラルド・スタジョナート・・200g
 おろしたてのパルミジャーノ・・20g
 玉ねぎ・・1/2個
 バジリコ・・1束
 塩
ラグー・ディ・カルネ;
 ブロックの子牛肉・・150g
 玉ねぎ・・1個
 赤ワイン・・1/2カップ
 トマトのパッサータ・・250g
 EVオリーブオイル、塩

・ラグーを作る。テラコッタの鍋で玉ねぎのみじん切りを油大さじ2でソッフリットにする。色がつきだしたら子牛肉を加えて焼き色をつける。
ワインをかけてゆっくり弱火でアルコール分を飛ばし、トマトのパッサータを加えて塩をする。蓋をして弱火で半分に煮詰める(約2時間)。
・パスタをゆでる。その間にラルドのソースを作る。
・ラルドを覆っている余分な塩を落として細かく刻む。玉ねぎもみじん切りにする。
・フライパンにラルドと玉ねぎを入れて弱火で色がつかないように溶かし、ラルドがクリーム状になったら(約5分)レードル2杯のラグーとパスタのゆで汁大さじ1を加えてマンテカーレする。
・硬めのアルデンテにゆでたパスタをフライパンに加える。パルミジャーノも加えて1~2分強火で混ぜる。
・ちぎったバジリコを散らして熱々をサーブする。

ラルドのお勧めはコロンナータのラルドだそうです。
カンパーニア産ならカゼルタの黒豚のラルド。

カゼルタの黒豚のとんかつ
 ↓



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マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...