2017年9月29日金曜日

イシデとロマーノシェフのラ・パロリーナ

今日は今月の「総合解説」で紹介したご夫婦シェフ、イシデとロマーノのご紹介。
店の名前はラ・パロリーナ。
店の場所はラツィオ、トスカーナ、ウンブリアの州境、と解説には書きましたが、正確にはヴィテルボ県のトレヴィナノという町にあります。
ラツィオ州です。
名物料理が“卵のカルボナーラ”だというのも納得。




動画に登場しているのは奥様。
ご主人はシャイな性格なんだそうです。
奥様はバリバリに活躍中のシェフと勝手に想像してたら、とっても優しそうで謙虚な人。
料理は素朴な地方料理とクリエイティブなアルタ・クチーナのぎりぎりの境目あたり。
自然体で落ち着きます。

イシデの動画はいくつもあるのですが、ロマーノが写っているのは下の動画くらい。
質問にてきぱき答える奥様と、無邪気な笑顔でニコニコ答えるご主人、いいコンビだなあ。



ラ・パロリーナの料理
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卵のカルボナーラ
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卵白はメレンゲにして、卵黄は揚げて、グアンチャーレのチッチョリとこしょうを散らした1品。
地方料理と創作料理の境界線上の料理。


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“イシデとロマーノ”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2015年5月号に載っています。
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2017年9月25日月曜日

エミリア・ロマーニャのパスタ、ピザレイ

今月の「総合解説」から、まずはピアチェンツァのパスタ。

ソラマメと生イクラのピザレイです。
こんな料理。

ピザレイは、小粒のニョッキで、ルネサンス時代に流行したパンのニョッキに似ているそうです。
材料が小麦粉とパン粉、というのを聞いただけでも質素な農民料理ということが想像できます。
でも、イクラのおかげてモダンでゴージャスな1品に仕上がっています。



カヴァテッリによく似てますねー。
ピザレイの方がせっかちな人向けかも。


次は同じく今月の「総合解説」の地方料理で取り上げたカッチュッコ・アッラ・リヴォルネーゼ。

そういえば、世界中で水害がおこっていますが、リヴォルノでも、今月初めに大きな被害が出たそうです。




カッチュッコについては何度も取り上げてきましたが、この料理が生まれた由来について、記事にはさらっと新説が取り上げられていました。
この料理は魚の種類が多いことで知られるズッパ・ディ・ペッシェですが、それは、海で死んだ漁師の未亡人のために、その日の水揚げから少しずつ魚を分け与えると言う習慣があったからだというものです。
これだけの団結力があれば、水害も乗り越えていけるはず。
この料理のイメージがちょっと変わりました。




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“ソラマメと生イクラのピザレイ”のリチェッタと“カッチュッコ・アッラ・リヴォルネーゼ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年5月号に載っています。
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2017年9月21日木曜日

秋のパスタ

台風が過ぎた後、秋が駆け足で近づいているような今日この頃ですね。
最近の異常な夏や冬を経験した後では、快適な春や秋は短いかもしれない、貴重な季節になったなあ、と思うようになりました。

秋のイタリア料理と言えば、お勧めの本は、その名も『アウトゥンノ』です。


そこで今日は、この本の中から、秋のパスタをピックアップしてみました。

アルファベット順なので、一番最初はアニョロッティagnolottiです。
アルバの白トリュフのアニョロッティ。


ピエモンテ風アニョロッティ
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キャベツが入ると餃子感が増しますねー。

栗のクリームとポルチーニのソースのカッペッラッチ。
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カッペッラッチは北イタリアの詰め物入りパスタの一種。
フェッラーラあたりが本場で、カッペッラッチという名前は農民がかぶっていた麦わら帽子の名前で、形が似ていたところからつきました。

秋のパスタはラビオリを初めとする詰め物入りパスタ、軟質小麦粉の手打ちパスタ()、白トリュフ、栗、ポルチーニなどのフレッシュきのこ、うさぎやイノシシなどのジビエ、サルシッチャなどの秋の食材のボリュームのあるソースが特徴。

そんなソースに合うパスタの一つ、パッバルデッレ。
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さらに、料理の名前にアッラ・カッチャトーラ(狩人風)とかアッラ・ボスカイオーラ(木こり風)とかつくと、ぐんと秋感が増します。
パリア・エ・フィエーノも季節的には秋がぴったり。

イタリアの家庭的な秋のパスタの代表はペンネッテ・アッラ・ボスカイオーラ。
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秋のパスタは秋に食べたいもの。
今年の秋は長く続くといいけど。

秋はニョッキもリゾットもミネストラも美味しい季節。
プリーモ・ピアット全般が食べ時ですね。


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2017年9月19日火曜日

グラニャーノのパスタメーカー、ジェンティーレのフジッリ

昨今のクラフトビールのブームは、世界的な傾向。
ところで、クラフトビールとは、どういう意味なんでしょう。
クラフトには技能とか技と言う意味があります。
イタリア語では、クラフトビールは、birra artigianale。
ビッラ・アルティジャナーレ。

このアルティジャナーレという言葉は、イタリア料理のポイントとなる言葉です。
イタリア料理に接していると、何度となく耳にする言葉です。
辞書で調べると、手工業の、とか職人の、といった意味です。

つまり、機械で大量生産するの反対で、熟練した技を持つ人の手で、一つ一つ手間をかけて作られたもののことです。
製品に作った人の考えがストレートに反映される特徴があります。
イタリアは、こういう職人を尊敬してきた国です。
特に芸術やファッション、車などの分野では、アルティジャナーレの世界的巨匠を大勢生み出してきました。

食の世界にもアルティジャナーレな作り手がたくさんいます。

ノルチャのクラフトビールの一例、修道院ビール




今日紹介するのは、アルティジャナーレのパスタです。

パスタには職人が作る手打ち麺と、工場で大量生産される乾麺がありますよね。
さらに、乾麺の中にも、職人が作る麺と、全部機械で作る麺とがあります。

手打ち麺はイコール・アルティジャナーレなパスタですが、乾麺にもアルティジャナーレなパスタがある、という訳です。

イタリアには、パスタの町として知られるグラニャーノがあります。
グラニャーノのパスタは、アルティジャナーレなパスタとして知られています。




そこで今日紹介するのは、上の動画にも登場するグラニャーノの、アルティジャナーレなパスタの造り手として有名なジェンティーレの、パスタではなく、本です。



新入荷の1冊です。『ストーリア・ディ・ファブリカンティ・ディ・マッケローニ
ジェンティーレの経営者一族の女性のナポリの伝統料理の力作のリチェッタ集。

上の動画で女性たちが1本ずつ手で造っていたのはフジッリ。
ナポリの代表的な伝統パスタです。
本の表紙になっているのも、そのフジッリ。

グラニャーノのパスタの本質を知るには、1本ずつ手でねじったフジッリを味わわなくては。
ショートパスタのフジッリとは、まったく別の食べ物ですね。
表紙のフジッリの盛り付け方は、私が見た中ではナンバーワンの美しさ。



表紙のフジッリは、リコッタとトマトのソースです。
美しいパスタにからめるのは、固形物が入らなくても濃い風味のソース。




使う食材にはナポリの味が詰まっていそう。
ピエンノーロのトマト、水牛のモッツァレッラ、ナポリ種のバジリコ・・・。
余談ですが、イタリアのバジリコは、主にジェノヴァ種とナポリ種の2品種なんだそうです。

このジェンティーレの本は、写真が信じられないくらいドアップです。
実物の数倍ありそうなのもあります。
見開きの2ページに巨大なパスタの断面がドーンとのっていたり、
全てお見せしましょうという心意気が感じられる面白い超大型本です。



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2017年9月14日木曜日

ヌビアの赤にんにく

総合解説」5月号を発売しました。
まずは2ページの“5月の食材”のページから。

ヌビアの赤にんにく。
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トラパニの自然保護地区の塩田の近くのヌビアで栽培されているにんにくです。
日本でも栽培されているんですね。
他のにんにくよりアリシンが多いので風味が強く、トラパニ風ペストには欠かせません。

ペスト・アッラ・トラパネーゼ
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地中海料理大学長のリチェッタ。
歴史背景の説明など、さすがにとても学術的。
中盤からキャリアウーマンとおじちゃまの漫才みたいになってるけど
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トラパニ風ペストはシチリアの言葉だと、アッギアータ・トラパニサ。
アッギアータはにんにくのこと。
トラパニ風ペストのポイントはにんにくなんですね。

次はアカシアの花のフリット。
きれいな花ですね。フリットにして食べるんだ。




イタリアにはまだまだ知らない食材がたくさんあるなー。



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“5月の食材”の日本語訳は、「総合解説」2015年5月号に載っています。
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2017年9月11日月曜日

ナポリ料理

「総合解説」の料理書の翻訳、ここしばらくは、ナポリとカンパーニア料理のリチェッタを訳しています。
それにしても、イタリア料理のイメージはナポリ料理そのものだな、と、リチッタを読めば読むほど感じます。
ナポリは、王国の首都で大都市、港があって人や食材を世界各地に運び、温暖な気候で農業が栄えて、ピッツァのような独自の普遍的な料理を作り出す豊かな想像力がある人々が暮らすとても魅力的な街。

典型的なナポリ料理
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さらに、訳しているニュートンシリーズは、リチェッタがシンプルで読みやすい。
イタリア人に最も親しまれている地方料理書だけあって、すごくとっつきやすくて、すらすら読めます。
4月号はセコンド・ピアットを訳しましたが、肉より魚料理のほうが圧倒的に多いですね。

スズキのアックアパッツァからヒラメのブラザートまで、イタリアの魚料理の基本中の基本のリチェッタを、たくさん訳しました。

今回だけでは紹介しきれなかったので、また新たな機会に続きを訳す予定です。

今日は、4月号で訳した料理の一部の動画をどうぞ。


タコのアッラ・ルチャーナ
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この料理はナポリのサンタ・ルチア地区の漁師が考え出した歴史の古い料理。


スズキのアックア・パッツァ
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ムール貝のグラティナーテ
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パランツァのフリット
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パランツァとは網に引っ掛かるような小魚のこと。

肉料理も
牛ステーキのアッラ・ピッツァイオーラ。
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もうすぐ発売の5月号では、コントルノとドルチェを訳しています。
ピッツァは6月号で訳す予定です。


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ナポリとカンパーニア料理のリチェッタは、「総合解説」2015年3~6月号に載っています。
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2017年9月7日木曜日

マルケのパスタ

マルケのグルメガイド、今日はマルケのパスタの話。

さて、マルケのパスタって、何がありましたっけ。
マイナーな州のような気がしますが、ありますよー、名物パスタ。



そう、マッケロンチーニ・ディ・カンポフィローネ。
このブログで以前に取り上げていますので詳細はそちらをご覧ください。

アックアラーニャの白トリュフのマッケロンチーニ・ディ・カンポフィローネ
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マルケはトリュフの産地としても有名。
サマートリュフから白トリュフまで、1年中採れます。
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さらに、ロマーニャ料理として知られるパッサテッリも、マルケ版があります。




パッサテッリはにんにく絞りのような道具で生地を押し出して作る、個性的なパスタ。
チーズやレモンの皮入りです。
パッサテッリ専用の道具がなくてもポテトマッシャーで代用できます。

他には、ラザーニャの一種のヴィンチスグラッシ、タリオリーニの一種のtajuli pilusiなどがあります。
後者は発音が不明なので分かる人教えてください。
字ズラはタヤリンによく似てますね。

cioncioni(チョンチョーニ)というソラマメの粉入りの平麺もあります。

マルケのパスタ、知れば知るほど面白そう。


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“グルメガイド~マルケ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年4月号に載っています。
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2017年9月4日月曜日

マルケ、ウルビーノ

今日は、「総合解説」のグルメガイド、マルケのビジュアル解説。
まずは、ウルビーノ。



緑に囲まれた丘の上の町。
一番上にあるパラッツォ・ドゥカーレは凄い存在感。

パラッツォ・ドゥカーレは知らないという人も、この建物を建てた人フェデリコ・ダ・モンテフェルトロのことなら見たことあるかも。
少なくとも彼の顔を一度見た人は、忘れられなくなります。
この人です。




イタリアで一番有名な鼻だそうです。

描いた人はピエロ・デラ・フランチェスカ。
フィレンツェのウフィッツィ美術館にあります。
槍の試合で片目を失ったため、このような構図の肖像画が多いのだそうです。
勇猛な武将として名をはせ、彼の宮廷はヨーロッパ一洗練されていると評されるなど、人気の高い名君でした。

そして彼が統治する時代のウルビーノで誕生した名物チーズ、カッショッタ。
甘みのあるソフトチーズ。




ウルビーノの美味しいもの




マルケの話、次回に続きます。


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グルメガイド“マルケ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年4月号に載っています。
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マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...