『カルロ・クラッコの地方料理』
には、こう書かれています。
クラッコシェフは、羊肉の串焼きをどう料理するのでしょうか。
アッロスティチーニは、羊肉の角切りを串に刺して炭火で焼いた山の料理だ。
現在では子羊肉も使うが。
羊肉は本物のアブルッツォ料理の食材だ。
それと同時に山の食材でもある。
もう1つの典型的山の食材、それは内臓だ。
私のアッロスティチーニにも子羊の内臓を使う。
もちろん、1本の串に肉と内臓を刺して焼くのではない。
肉と内臓(トリッパ、腸、レバー、胸腺)は別々に串に刺す。
私はこれにパプリカで香りをつけた濃厚なアブルッツォ産オリーブオイルのペーストを添えるのが好きだ。
リチェッタを見ると、肉は羊や子羊のもも肉。
内臓はビネガーを加えた湯で下ゆでして小さく切り、セージ、パンチェッタと交互に串に刺します。
これを軽い炭火でオレンジ色にならないように焼きます。
直接グリルに串を載せてもいいですが、子羊とよく合うアロマのハーブ、タイムの束を網にのせてその上に串をのせて焼いてもいいでしょう。
2~3分で火が通ります。
ソースはパプリカ、オイル、水を撹拌したペーストです。
前回、キタッラのリチェッタで子羊の骨で取ったフォンドからラグーを作るリチェッタを紹介しましたが、クラッコシェフも、この料理の切り落としをバター、にんにく、玉ねぎで炒めてフォンドかブロードを加え、1時間煮てラグーにしたものをキタッラのソースにすることを勧めています。
本で紹介されているもう1品のアブルツォ料理は子羊のレバーのフリッタータです。
クラッコシェフにはアブルッツォ出身の同僚や友人がいて、それでこのマイナーな地方の料理もよく知っているのだそうです。
初めてオステリアで食べた時は、何のフリットかわからずに、子羊の内臓だと知った時には驚いたそうです。
でも、今まで食べたことのあるフリットとはぜんぜん違う味と姿で、深く記憶に刻まれたそうです。
彼はこれに独自のアレンジを加えて、シリコンの半球型を使うことにしました。
そしてさらに深く考察していくうち、どうもこれは日本のフリッタータが原型なのでは、と考え出します。
四角い鋳鉄に木の取手がついたフライパンで、底が半球型になっているもので焼きます。
あ、そ、それはあれですね。
シェフは家に新品のものがあるけれど、一度も使ったことはない、と告白しています。
たこ焼きならぬ、子羊の内臓焼きだー。
イタリアの人にとっては、あれはフリッタータの一種なんですね。
本を読む限り、彼はたこ焼き食べたことないのではと思うのですが、子羊のレバーのフリッタータは、たこ焼き器を使って作ります。
アブルッツォのオステリアで食べたフリッタータにとりつかれた彼は、たこ焼きをイタリアンのアルタ・クチーナにアレンジしてしまったのでした。
リチェッタはちょっと複雑ですが、読んでるだけで美味しそう。
ほんとこの人の本は面白いわ。
料理のことを語りだすと止まらない。
『クールにしたいならエシャロットを使う』もお勧めです。
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