2018年9月5日水曜日

入門編でもやけに本格的な本

もうすぐ発売の次号の「総合解説」には
グランディ・クラシチ
のリチェッタの翻訳を載せました。

国民的イタリア料理を集めたこの本は、協力がイタリア郵便局です。

郷土愛の強いイタリアで、国民的イタリア料理を決めようと思っても、みんな地元の料理が一番、と言うに決まっています。
単純な人気投票では、人口の多い大都市が断然有利。

そんな時、イタリア全土を網羅している郵便局が投票に協力すれば、田舎の過疎地の声も取り上げやすいはず、というナイスなアイデア。

確かに、選ばれた料理はどれも対等な扱いです。
例えば、今回はセコンドピアットを中心に訳しましたが、本に載っている最初の料理は
ヴァッレダオスタ風フォンドゥータ。
 ↓


確かに、南イタリアの人も国民的イタリア料理と認めるに違いない料理。
フォンドゥータは、イタリアだけでなく、フランスやスイスでも広まっている多国籍料理。
国民的イタリア料理の中には、明らかに外国から伝わった料理もありました。
例えば、ゴリツィア風グーラッシュ。



これはトマトとパプリカ入りビーフシチュー。
イタリア料理にシチューという名前は定着しなかったけれど、グーラッシュが、発祥地ハンガリーからイタリアで一番近い州、フリウリ・ヴェネチア・ジューリアで広まって、結局イタリア料理に取り込まれたのには歴史を感じますねー。

国民的イタリア料理を1冊に集めた『グランディ・クラシチ』は、イタリア料理の入門編、とも言える本です。
もう1冊、不思議な魅力を持った入門編の本があります。











イギリス人が著者なのに、イタリアでロングセラーのイタリア料理の本、です。

最初に紹介されているのが、野菜の前菜、シーフードの前菜、肉の前菜、クロスティーニ、ブルスケッタ、ズッキーニの花のフリット、バーニャ・カウダ、カルパッチョと、
イタリアンレストランではおなじみでも、地方料理書では一緒に並ぶことがない、無国籍、かつインターナショナルなイタリア料理。

野菜のグリッリアータ・ミスタ、オーブン焼き、オイル漬けの盛り合わせを一番最初に紹介する本。



この本がイタリアで売れている理由がなんと何分かります。
地方の伝統料理とレストランで食べたいイタリア料理は、きっと微妙に違うんですね。
この本で取り上げている料理は、一見するとイタリア料理だけど、よーく見るとインターナショナル料理。
入門編の料理の間に、うずらのぶどうの葉巻きローストなど、やけに専門的な料理が混ざっています。
一番最初のセコンドは、子豚の骨付き背肉のミルクロースト。



実は子豚のローストはサルデーニャ料理の国民的イタリア料理。
『グランディ・クラシチ』にも載っていました。


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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...