2020年2月29日土曜日

ハリーズバーのブイヤベース風ズッパ・ディ・ペッシェ

きのうのグアッゼット、なぜあんなに見栄えのいいズッパ・ディ・ペッシェになったのか、不思議でしたが、リチェッタを読んだらすぐに分かりました。
ブイヤベース方式だったのです。
ブイヤベースはフランスのズッパ・ディ・ペッシェ。
マルセイユの名物料理で、各種の地元の魚をごった煮にした漁師料理。
スープと魚を別にして、魚とは別にサーブします。
このスタイルで、あのカサゴのグアッゼットも、魚各種と貝各種、じゃがいも、トマトを煮て、スープをムーランで漉しているのです。
こうすると、赤く色づいた濃度のある魚のスープになります。
このままパスタにも合いそう。
上に焼いたカサゴの切り身やムール貝をのせても沈まないので、魚のスープのごちゃごちゃ感がなく、カサゴは皮をカリッと焼いているので、香ばしさもアップ。

マルセイユのブイヤベース

アブルッツォのテーラモのブロデット(ズッパ・ディ・ペッシェ)



地元の魚や野菜を使う以外は、ほぼ一緒です。

ズッパ・ディ・ペッシェはアドリア海沿岸の名物料理というわけで、アドリア海と言えば、アドリア海の真珠とも呼ばれたベネチア。
ベネチアと言えば、ハリーズ・バー。
この世界的有名店は、自伝的本『ハリーズ・バー
にすべてを書き残しています。

第4章、ズッパとヴェッルタータ
は、ジュゼッペ・チプリアーニのこんな告白で始まります。
私は子供の頃からミネストラが嫌いだった。
唯一の例外がヴェローナ叔母さんのファッロのミネストローネだった。
叔母さんはカッターは使わず、野菜を全部手で、人間の速さで刻んだ。
私は、違いはここにあったと思っている。
ここに個性が生まれた。
ミネストラは野菜の価値を引き出すには理想的な料理だ。
個人的には小麦粉で濃くしたミネストラは好きではない。
ハリーズ・バーの野菜のミストラは、じゃがいもを少量加えたクリーミーでデリケートなミネストラだ。

ハリーズ・バーには、嫌いと言う割には意外なほど各種のズッパやヴェッルタータ(とろみのあるスープ)があったようで、本のリチェッタの中には、ズッパ・ディ・ペッシェも、ありました。
訳してみます。

ZUPPA DI PESCEズッパ・ディ・ペッシェ

ズッパ・ディ・ペッシェは村や海ごとに個性があり、州によって違うイタリア料理の縮図のような料理だ。
ハリーズ・バーのズッパ・ディ・ペッシェは、フランスのブイヤベースとのアレンジ。
サフラン風味でベネチアの魚を使ったとても軽いスープで、魚だけでなく野菜もたっぷり使っている。
ストラビンスキーのお気に入りの料理だった。

材料/6人分
オリーブオイル・・50ml
セロリのジュリエンヌ・・2本
玉ねぎのジュリエンヌ・・2個
ジュリエンヌにおろしたにんじん・・1本
皮をむいてジュリエンヌに切ったトマト・・1個
小麦粉・・40g+魚の打ち粉
白ワイン・・1カップ
ブロード・ディ・ペッシェ・・2L
カイエンヌ・ペッパー
白身魚2種類・・500gが2尾、または長さ1.5cmに切ったカサゴ、アンコウ、ヒラメ
殻をむいて3つに切ったエビ・・150g
刻んだアンチョビ・・2枚
ローズマリーのみじん切り・・1枝
イタリアンパセリのみじん切り・・3房
にんにくのみじん切り・・1かけ
ローリエ・・1、2枚
粗挽きこしょう、塩

・深さのあるフライパンに油大さじ2を弱火で熱し、セロリ、玉ねぎ、にんじんを加えてしんなり炒める(約5分)。
・トマトを加えて1分煮る。
・小麦粉を加えて2分煮る。
・ワインを加えてアルコール分を飛ばし、かき混ぜながら2~3分煮る。
・ブロード・ディ・ペッシェを熱し、サフランを溶く。野菜、ローリエ1枚、カイエンヌペッパー少々、塩、こしょうを加えて沸騰させる。
・蓋をずらしてのせて火を弱め、20分煮る。
・魚に小麦粉を軽くふりかけて塩、こしょうし、余分な粉を落としてエビと一緒にフライパンを揺すりながら油大さじ2で2~3分焼く。
・シートに取って油を切り、ズッパに加える。
・ソテーパンに油大さじ3、アンチョビ、ローズマリー、イタリアンパセリ、にんにくを入れてにんにくが焦げないように弱火で2~3分熱する。
・香りをつけたこの油をズッパにかける。味を整えてすぐにサーブする。

※とろみのあるスープは嫌いと言う割には、小麦粉でしっかり濃度をつけています。
料理の写真はこちら


トッピングのクロスティーニやブロード・ディ・ペッシェなど、リチェッタは切りがないので今日はここまで。

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「総合解説」
ハリーズ・バー
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2020年2月28日金曜日

アドリア海のズッパ

そろそろ次号の「総合解説」の発売が近づいてきました。
「総合解説」は、『クチーナ・イタリアーナ』
と『サーレ・エ・ペペ』
というイタリアの料理月刊誌を日本語に翻訳して小冊子にまとめたものです。

今月の“『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタ”は魚料理が多く、どれもなかなか美味しそうです。

■まずは、魚と貝のグアッゼット
いわゆるズッパ・ディ・ペッシェですが、カサゴの存在感がすごい1品。

グアッゼット、ズッパ、ブロデットと、色々名前がありますが、どれもアドリア海沿岸の名物料理。
売り物にならない小魚を使った漁師料理です。
北のマルケあたりまではブロデットと呼ぶのが主流ですが、プーリアあたりから南になるとグアッゼットやズッパと呼ばれるようになるそうです。

キーワードはアドリア海。
ブーツの形のイタリアの右側、北のトリエステからベネチアやマルケのアンコーナ、アブルッツォのペスカーラを経由して、プーリアのバリやブリンディジへと続き、イオニア海となる豊かな海です。

アドリア海のズッパは、食べないと後悔する1品で、私はペスカーラ近郊の村までわざわざズッパ・ディ・ペッシェを食べに行ったことがあります。
苦労して山を超えて海辺のオフシーズンのリゾート地まで行って、このあたりでは4時過ぎると交通手段がない(!)ということを知った時、生まれて始めてオワタと思いましたよ・・・。

ところが、ズッパを食べた店の隣のテーブルで一緒に盛り上がっていたイケメンが、窮状を知って、車で送ってくれたのでした。
旅していた仲間はもちろん、このイケメンに運命を感じちゃいました。
という訳で、アドリア海のズッパは、忘れられない料理になりました。

この山を超えました。

ヴァストのブロデット

カサゴはズッパには欠かせない魚。
この鮮やかな赤い色をズッパに活かすのは難しそうですが、「総合解説」の1品は、皿の中央にドーンと盛り付けられたカサゴの切り身の存在感がすごい。
ムール貝は完全に引き立て役です。

カサゴの下ごしらえ


カサゴのグアッゼット

アブルッツォは、羊肉もパスタも美味しいけれど、魚のズッパもあった。
そう言えば、1963年までは、アブルッツォとモリーゼは1つの州でした。
知れば知るほど、美味しいものがたくさんあるのに、あまり知られていない場所、と感じます。

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「総合解説」
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2020年2月27日木曜日

羊の移牧のスタート地、マイエッラ国立公園

今日は、子羊肉のラグーのキタッラのリチェッタを、
ディチェコがイタリア各州の食文化をグランシェフのパスタのリチェッタと共に紹介する力作本、パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア』から、
これまでずっと話題にしてきたアブルッツォのシェフの料理をどうぞ。
そう言えば、ディチェコはアブルッツォの会社でした。
羊肉とパスタとは縁が深いお膝元で選ばれたのは、誰でしょう。

ヴィッラ・マイエッラVilla Maiellaのペッピーノ・ティナリシェフです。
マイエッラはディチェコ創業の地で、国立公園で、移牧のスタート地で、アブルッツォ料理を語る時に欠かせない場所。
マイエッラ

アブルッツォの羊の移牧は、毎年マイエッラから出発し、高いところで2,800mはある山を上り、冬が暖かいプーリア北部のタヴォリエレ平野まで移動します。

ヴィッラ・マイエッラの子羊のラグーのキタッラ

それでは本のペッピーノ・ティナリシェフのリチェッタです。
子羊のラグー・ビアンコのキタッラ、セイボリー風味/Chitarra al ragù bianco di agnello al profumo di santoregia
材料/6人分
マッケロンチーニ・アッラ・キタッラ・・500g
子羊肉(肩と首)・・600g
子羊の首の骨・・200g
葉玉ねぎ・・80g
セロリ・・50g
ローリエ・・1枚
葉の小さいセイボリー・・2枝
にんにく・・1/2かけ
EVオリーブオイル・・150ml
白ワイン・・250ml
野菜のブロード・・1L
飾り用;
熟したトマト・・3個
にんにく・・1/4かけ
EVオリーブオイル・・100ml
ペコリーノの薄片

・ソテーパンに油を熱し、骨を入れてゆっくり焼く。
・玉ねぎとセロリのみじん切り、潰したにんにくを加えて炒め、1cm角に切った肉、ローリエを加える。
・ワインをかけてアルコール分を飛ばし、野菜のブロードを少しずつかけながら45分煮る。
・煮上がったら骨を取り除き、塩味を整えてセイボリーの一部を加える。
・仕上げ用の油とににんにくを小鍋に入れて熱し、にんにくに色がついたら皮と種を取って小さく切ったトマトを加えて10分煮る。
・塩味を整えて裏漉しし、トマトのクリームにする。
・ゆでたパスタを子羊のソースに加える。
・皿の底にトマトのクリームを平らに敷き、その上にパスタを盛り付ける。
・残りのセイボリーとペコリーノの薄片で飾る。

んにくを小鍋に入れて熱し、

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2020年2月26日水曜日

キタッラとの初めての出会いはまるでネタ

イタリア料理書の傑作
トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ/2巻』アブルッツォのページは、

いきなり、アッロスティチーニが1ページ丸ごとのドアップ。


溶けた脂が滴り落ちてて、煙も上がっていて、写真から音と匂いが漂い出て圧巻です。
写真でワインが飲めます。

ところで、この『トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ』は、英語版とイタリア語版があります。
そして英語版に、英語圏の人たちにとって、キタッラとは、どういうイメージの料理なのかが書いてありました。
考えてもみなかったけど、面白いので訳してみます。

「ラクイラの感じの良いトラットリアのテーブルについて、メニューを眺め始めたところを想像してください。
メニューはイタリア語で読めないけれど、まず、マケロンチーニ・アッラ・キタッラmaccheroncini alla citarraという文字が目に入ります。
この文字をアメリカ人がちらっと見ると、マカロニ・チーズ、と見えるらしいです。
お手軽にできるグラタンで子供に人気の国民的家庭料理です。

「マカロニ・チーズ!?」


「いやいやここはイタリアだよ。自然と芸術と詩と音楽の国だよ。
それがマカロニ・チーズて。いや、ナイナイ。」

もう一度見直すと、chitarraという文字が目に止まります。
これはギターという意味のイタリア語だ。
「ギターとマカロニ?」
「テーブルでセレナーデ歌ってくれるの?」

「イタリア人が3本のスパゲッティを優雅にフォークに巻きつけて、簡単に口に運んでいるのを見ながら、これは人間の口に入るようにできているのか、と考えている君は、いや違う、と気づく。
そうだ、彼らはキッチンでギターを弾いているのだ。
だいぶ近づいてきた・・・」

シェフ/ミュージシャンは、ギターと呼ばれる道具でパスタをカットする。
でもまだ疑問が残った。
なぜここアブルッツォでは、断面が四角いこのスパゲッティのようなパスタをマカロニと呼ぶのか。
この質問に答えを出すには歴史的考察が必要だ。
19世紀まで、アブルッッォではスパゲッティのことをマカロニと呼んでいたのだ。

こんな調子で、まじめとジョークを繰り返しながら、アブルッツォ料理の話は進んでいきます。

話に出てきたラクイラのトラットリアは、おそらく、次のページでキタッラのリチェッタを提供しているパチェントロのタヴェルナ・デ・リ・カルドラ。

パチェントロはイタリアの美しい中世の街の一つに選ばれているところ。

パチェントロ

それではトリュフとサフランのキタッラMaccheroncini alla chitarra con tartufi di Carsoli e zafferano di Navelli
Taverna de Li Caldora のリチェッタをイタリア語版から訳します。

材料/6人分
 キタッラ;
 セモリナ粉・・400g
 卵・・4個
 塩

ソース;
  ナヴェッリのサフラン・・12本
 バター・・30g
 EVオリーブオイル・・40g
 トリュフ(黒・白・スコルゾーネなど、季節によって手に入るもの)、塩

・小麦粉をフォンタナに盛り、卵を割り入れる。塩を加えてフォークで少しずつ混ぜ、手で約15分こねる。
・ラップで包んで冷蔵庫で1時間休ませる。
・約4~5mmと厚めに伸ばし、キタッラにのせて麺棒でカットする。
・キタッラがない時は、生地を巻いてタリオリーニのようにカットする。
・塩を加えたたっぷりの湯でゆでる。
・レードル1杯のゆで汁を別にし、サフランを入れる。
・大きなフライパンにバターと油を熱し、パスタとサフランを溶いたゆで湯を加える。水気がなくなるまでマンテカーレし、皿に盛り付ける。
トリュフをおろしながらたっぷり散らす。
※ナヴェッリのサフランは“ラクイラの金”とも呼ばれる特産品。
カルソリのトリュフは季節によってはアルバのトリュフにも匹敵する。


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総合解説
トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ/2巻
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2020年2月25日火曜日

あなたはまだアブルッツォのことを何も知らない

子羊の肉や内臓料理の次は、子羊肉のパスタなんてどうでしょう。
イタリア料理で子羊肉のラグーと言えば、キタッラ。
そしてキタッラはアブルッツォのパスタ。

でも、アブルッツォ料理を語ろうとしてアブルッツォのことを何も知らないことに気が付きました。

こんなに素晴らしいのに外国人はほとんどこないって言ってます。

アブルッツォ料理


イタリアの各地方のスーゴやサルサの本、『イタリア料理アカデミー『スーゴとソース』には、こうあります。

アブルッツォはパスタイ(pastai/パスタ製造業者)の土地と呼ばれていた。
製造所で造られる製品だけでなく、各家庭でのパスタ作りも盛んだった。
アブルッツォ料理は歴史が古く、ハーブ(マジョラム、セイボリー、ローズマリー、セージ、バジリコ、唐辛子など)の香りが特徴の、人間と自然の関わりを重視した優しい味の料理だ。
羊の飼育も盛んで、植物だけでなく、動物との関わりも深い地方だった。
サルサやスーゴは、なにか一つの味が突出することなくバランスよく混ざり合って、家の畑で栽培したハーブ(セージ、クロガラシ、イタリアンパセリ、キャラウェイ、ミント、ディル、フィノッキオ)をたっぷり使い、
地主や貴族たちの宴会で使ったラードや、オリエントからのスパイス(黒こしょう、シナモン、クミン、ナツメグ、しょうが、サフラン、クローブなど)、アメリカから届いた新しい発見品で、料理を根本から変えることになるトマトやピーマンといった食材が使われた。

なるほど、新大陸の食材も、オリエントの高価なスパイスもなしで料理を作ろうとしたら、家の周りに生えているハーブを栽培して使うのでした。
家にあるもので料理を作った、トスカーナやラツィオあたりの大貴族が大勢いた地方の貧しい料理とはちょっと違って、大地と結びついた農民の発想で食材を手に入れて料理を作ったのですね。
それは、シンプルな料理でしたが、貧しい料理ではなかったのでした。

例えば、祝日の料理、“フィント・ラグー(ラグー風)”は、季節のハーブと唐辛子のみじん切りを、聖なるオイルと呼ばれる一番搾りのオリーブオイルに数日間浸しておき、これを肉や魚や豆にかけた。
アブルッツォでも歴史の古いソース、“アダッチャータadacciata”は、ハムの脂身と粗挽きこしょう、にんにく、イタリアンパセリ、唐辛子、塩、こしょうをすり潰し、腸に詰めて保存した。
なるほど、イタリアの地方料理が誕生する過程を見るよう。
祝日の料理の定番、ラグーは、羊のもも肉で作りましたが、この場合の羊は、肉を柔らかくするために(つまり脂肪が多い)若いうちに去勢した羊や山羊、カストラートcastratoでした。
最近では数が少なくなっているそうです。

カストラートのスーゴ

アブルッツォのラグーは、子羊、カストラート、豚、鶏、山羊などすごい種類があります。
リチェッタは次回。

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「総合解説」
イタリア料理アカデミー『スーゴとソース
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2020年2月24日月曜日

ローマ名物のコラテッラとオステリアのノリ

さて、子羊の肉の料理がほぼ終了したら、次は内臓です。


『“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『ローマ・エ・ラツィオ』
には、地元以外ではマイナーと思われるけど、ローマを象徴していて、ローマ人に溺愛されている子羊の内臓料理のリチェッタがありました。
ちなみに、この本の裏表紙が、子羊を先頭に移牧中の羊たちの群れでした。
素晴らしい写真が多いこのシリーズの中でもダントツに素敵な写真。
※コラテッラはローマとラツィオ料理では大人気の部位で、肺、レバー、心臓、腎臓を一緒に調理しますが、部位ごとに最適な加熱時間が違うので、色の薄い部分と濃い部分に分けて加熱します。
下の動画の店、ローマのオステリア・ダ・セッティモでは、仕入れ状況によって週2回~ほぼ毎日出しているそうです。
店のWEBページはこちら


見事なまでのローマのオステリアのノリ
最初はこういうノリが典型的なローマのオステリアとは知らなくてびっくりしたけど、日本から長旅でイタリアに着いた直後で、無理やりテンションのギアを2段ぐらい上げて乗り切りました。
これでもかなりお上品かと。

※アーティチョーク入りのバージョンは春に人気の料理で、玉ねぎの代わりにアーティチョーク4~5個を、硬い部分を取り除いて薄いくし切りにして入れる。
作り方は玉ねぎと一緒で、まず油でソッフリットにしてワインをかけ、コラテッラと他の調味料を調理時間に合わせて加える。

さて、それではリチェッタです。
コラテッラと玉ねぎの白ワイン煮CORATELLA CON LE CIPOLLE E CON I CARCIOFI
材料/4~6人分
コラテッラ・・約600gが3頭分
玉ねぎ・・6~7個
白ワイン・・2カップ
EVオリーブオイル・・大さじ6
塩、こしょう

・コラテッラの部位を慎重に切り分ける。
・玉ねぎの薄切りを油でソッフリットにし、白ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・蓋をして時々かき混ぜながら煮る。
・コラテッラを一番白い部分(肺)から加える。
・次に色の濃い部分を加えてよく混ぜる。
・水1カップ、塩、たっぷりのこしょうを加え、蓋をして最低1時間煮る。


一応、普通の店も・・・。



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総合解説
『“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『ローマ・エ・ラツィオ』
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2020年2月23日日曜日

子羊とじゃがいものオーブン焼き


“グイド・トンマージ”クチーナ・レジョナーレの『ローマとラツィオ』の羊肉料理は、

子羊のスコッタディート、
カッチャトーラと、
徐々にアバッキオの肉のサイズが大きくなっていきました。

今回は、もも肉です。
料理はアバッキオのもも肉とじゃがいものオーブン焼きCOSIOTT DI ABBACCHIO AL FORNO CON LE PAPATE
材料/4~6人分
アバッキオのもも・・大1本
じゃがいも・・800g
にんにく・・2かけ
ローズマリー・・2枝
EVオリーブオイル(肉に塗る用)
マジョラム
塩、こしょう

・包丁の刃先でももに10カ所程度切込みを入れる。
・にんにくとマジョラムのみじん切りを詰めてラルデッラーレする。
・手で油を塗って均一に塩、こしょうする。
・じゃがいもを大きなくし切りにし、油を塗ったオーブン皿に入れてももをのせる。
・ローズマリーを加え、高温に予熱したオーブンで、焼き汁をかけながら約1時間焼く。

子羊と秋野菜のオーブン焼き

子羊とじゃがいもは鉄板の組み合わせ

それにしても、子羊は、なんであんなに可愛いの。
ミルクしか飲んだことのない子羊は、神への生贄にぴったりの無垢の象徴。
しかも、キリスト教では、大罪を世界から取り去るキリストのシンボルとされてきました。
復活祭には、オーブン焼きを始めとして様々な子羊料理が登場します。
子羊にとっては殉教の季節。
今年は4月12日。

子羊のカレはその姿からして特別だけど、あの形にするのはこんなに大変なんだ。

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総合解説
ローマとラツィオ
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2020年2月22日土曜日

山から降りたばかりの羊の匂いを弱めるために考え出されたカッチャトーラ

イタリアで羊肉と言えば、アバッキオ。
イタリア料理を代表する羊肉料理と言えば、前回登場したアバッキオのスコッタディート。
ローマの料理書には、ローマ風アバッキオが必ず登場しますが、それと同じくらい一般的なのが、アバッキオのカッチャトーラ。

ちなみに“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『ローマ
には、アバッキオのコストレッタの炭焼きグリルがローマやラツィオで生まれた料理とは言い切れないが、ローマとその周辺ほど愛されている地方はほかにない、とあります。

農民料理では、羊料理は背肉など上等な部位ではなく、内臓を使います。

一方、アバッキオのカッチャトーラは典型的なローマの伝統料理で、もも肉などのブロック肉には欠かせないアンチョビやハーブなどで、味を強くする、とあります。

さらに、

コスパのよい店を知り尽くしたジャーナリスト、カルロ・カンビの『ミリオーリ・リチェッテ・デッラ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ

には、アッバッキオのカッチャトーラは、羊の群れが山での放牧から戻ってきた秋に作る料理、とある。
ほとんどの子羊は、この時期に一生を終えるのだそうです。
なむ~。
山から降りたばかりの羊は、匂いがきつい(ほんとか!)ので、調味料の味を効かせて弱めたのだとか・・・。
この絶妙の味付けが世界中に受けて、今ではローマを代表する料理になっています。

移牧は世界各地に伝わる文化で、ユネスコの文化遺産にも登録されている

アバッキオのカッチャトーラ

動画の冒頭に、アバッキオはローマ人にとってクリスマスや日曜日の料理で、スコッタディートからローストまで、様々な料理にすると言っています。

それでは、前述のグイド・トンマージのリチェッタを訳してみます。

アバッキオ・アッラ・カッチャトーラABBACCHIO ALLA CACCIATORA
材料4~6人分
あまり小さく切りすぎないアバッキオ・・1kg
白ワイン・・1/2カップ
ビネガー・・1/2カップ
セージ・・3~4枝
ローズマリー・・1枝
塩漬けアンチョビ・・4尾
塩、こしょう

・ボールにセージ、ローズマリー、潰したにんにく1かけ、アンョビを入れてビネガーで覆い、スプーンで潰して覆いをして2時間マリネする。
・底の厚いソテーパンで調理して肉にゆっくりに火を通すと柔らかく仕上がる。
・ソテーパンに油を入れてにんにく1かけをソッフリットにする。
・水気をふき取った肉を入れて木べらでかき混ぜながら焼く。
・肉の色が均一に変わったら塩少々とワインを加え、火を強めてアルコール分を飛ばす。
・とろ火にして蓋をし、時々かき混ぜて必要なら湯少々を加えながら30~40分煮る。
・肉が柔らかくなってきたらビネガーのソースを加え、火を強めてよく混ぜる。
・蓋をして弱火で10~15分煮る。
塩、こしょうで調味して火を止め、最低30分休ませてサーブする。



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総合解説

ミリオーリ・リチェッテ・デッラ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『ローマ
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2020年2月21日金曜日

ローマ料理の基本のセコンド・ピアット、アバッキオのスコッタディート

イタリアには、子羊の飼育や料理の長い伝統があります。
肉も内臓も、捨てるところなくすべてを使い、
シチリアの子羊の腸の料理スティッギオーレなどの子羊の内臓料理は、
ある街の名物料理としても知られています。
それは、アバッキオで知られるローマです。
ローマ料理は農民の料理。
そしてこの地方の料理をよく表しているセコンド・ピアットは、羊飼いの暮らしと結びついたアバッキオのローマ風。

ラツィオの隣、アブルッツォの羊飼いの1日。
後継者は減りつつあります。
 癒やされた~。


ブチャラティを登場させた某有名マンガには、確か、アバッキオという仲間も登場してました。
次々凝ったイタリア料理名のキャラクターが登場して、作者はどんだけイタリア料理が好きなんだと、メチャ楽しかったです。

で、アバッキオですが、ローマのIGP製品で、半放牧されたサルダ種など指定の品種の羊の月齢2ヶ月8~10kg以下の乳飲みの子羊のこと。
肉は柔らかくてピンク色で、香りがよく、グリルにしたものはスコッタディートと呼ばれて、誰もが夢中になるおいしさです。

でも動物愛護の立場から、これが残酷と感じている人は常にいるそうです。

保護されたはぐれ子羊

イタリアでは北から南まで全国で様々な品種の羊が飼育されています。

移牧の動画は大好きなので度々貼っていますが、羊は多分初めて。
移牧中の群れ。
頑張れ子羊。
放牧は一大イベント。


アバッキオのスコッタディートは、子羊肉をちゃちゃっと焼けばいいというものではないようで、まず、フライパンに油を入れてにんにくをソッフリットにします。
1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ』によると、
肉を入れて弱火で焼いて塩、こしょうし、ローズマリー、にんにく、アンチョビのみじん切り、ビネガー少々を混ぜて焼き上がった肉にかけます。
肉とソースをなじませて水気を飛ばしたら出来上がり。
熱々をサーブします。

アッバッキオ・スコッタディート

肉のマリネ液は、ビネガー、砂糖、ハーブ。
ハーブは地元の季節のもの。
マリネは表面に軽く風味をつける程度。
そして水気を拭き取って、脂身の多い面からのせて火をやや強め、表面に焼き色がつくよう、蓋をして約5分焼きます。
肉を裏返して裏側にも焼き色がつくようにオイルを塗り、マリネ液少々をかけてサーブします。

これはもちろんおいしい肉の部分を使う料理ですが、内臓は、コラテッラと呼んで、
ローマ料理のもう一つの得意分野になります。
詳しくは次回に。

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総合解説
1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ
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2020年2月20日木曜日

子羊の腸の薪焼き、スティッギオーレに再挑戦


まず、今回のシチリア料理の話題で最初に取り上げようとして、
材料に子羊の腸4mとあるのを見て、早々に挫折したスティッギオーレですが・・・


下の動画では、ピッコロ・マルコシェフが子羊の腸の代わりにパンチェッタを使って、見事にこの料理を作ります。


シチリアのストリートフードもシチリア人も最高。


やっぱり、シチリア料理の話をする時、スティッギオーレは避けて通れないなあ・・・。

再入荷したシチリア料理の本、

オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・シチリア

にはなんて書いてあるのでしょうか。

スティッギオーレの薪火焼きStigghiole alla brace
パレルモのリストランテ・ホテル・ポミエリのリチェッタ

材料/4人分
小腸・・3本
子羊の腹膜・・1個、または若い子羊の胸腺数個
葉玉ねぎ・・4本
塩、こしょう

・内臓を下ごしらえする。
・腸は広げて中を流水で洗う。
・腹膜の上に胸腺と短く切った葉玉ねぎをのせて塩、こしょうし、全体を腸で包んで結ぶ。
・木炭ではなく薪で焼く。焼きたてをサーブする。

腹膜ですと、余計にハードル上がってる。
でも、調べたら腹膜の代わりに脂身を使うリチェッタもありました。
木炭でなくて薪て、野菜だって薪で焼いたことないのに。
相変わらず、部外者には容赦ない。


※羊飼いの伝統がある南イタリアでは羊や山羊の内臓を多用する。
パレルモではスティッギュラーリstigghiulariと呼ばれる屋台で現在でも移動販売している。
パニーノにはさんでレモン汁と塩をかけるスタイル。
ジョルナーレ・ディ・シチリアのある記者によると、伝統的なスティッギオーレは子牛の腸で造るが、シチリアのストリートフードでは子羊や子山羊の腸を使うのが普通で、子牛のものは見かけなくなったとのこと。
今更、子牛の腸と言われても・・・。

本には興味深いリチェッタがいっぱいです。
その一つ、
ブロッコリーのアッフォガート。broccoli affogato


シチリアではブロッコリーにはアンチョビやペコリーノ。
シチリアの羊の放牧

やっぱり日本でペコリーノが造られる日は遠いか。

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総合解説
シチリア
フィレンツェとキアンティ
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2020年2月19日水曜日

『オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・シチリア』再入荷しました。

今日は再入荷した本の紹介です。
スローフードのリチェッテ・ディ・オステリエ・エ・ジェンティ・シリーズの

シチリア』と
フィレンツェとキアンティ』が入荷しました。

売り切れのシリーズですが、なかなかいいので、中古が出たら仕入れています。
ただ、経年感、使用感は否めません。
ご了承ください。

きのうの続きでパレルモのお薦めトラットリアをどうぞ。
BUATTA CUCINA POPOLANA



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総合解説
シチリア
フィレンツェとキアンティ
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2020年2月18日火曜日

パレルモの今時レストラン

パレルモのパスタの話が出たところで、「総合解説」から、パレルモのグルメガイドの話です。

まずはリストランテ・パラッツォ・ブランチフォルテ。

店のwebページはこちら
考古学博物館の中のレストランという、今どきの店。
シェフはチャールストンに長くいた人。

次は地中海の伝統の食材を活かした店。バイバイ・ブルース。
webページはこちら
シェフはシチリアで最初に星を獲得した女性シェフ。

今度はヴッチリア市場の入り口にある店。ガジーニ・ソーシャル・レストラン。
webページはこちら


これでも「総合解説」で紹介した店のほんの半分。
時代の移り変わりを感じるなあ。

最先端のおしゃれな店もいけど、ドタバタのパレルモ喜劇も、
パレルモ料理を語るパレルモ人も、好きだなあ。
パレルモの朝食


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総合解説
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2020年2月17日月曜日

ちょっとめんどくさいパレルモルールのカリフラワーのパスタ。

今日は、
“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『シチリア・イン・ターヴォラ



から、シチリアのパスタのリチェッタを訳します。
数ある中から選んだパスタは、
Pasta con i broccoli 'arriminati'。ブロッコリーのパスタ・アッリミナーティ。
ところがいきなり問題が。
タイトルにはブロッコリーのパスタとあるのですが、材料にブロッコリーがないのです。
あるのはカリフラワーでした。
間違えちゃたのかな、とネットを調べたら、パレルモ関連の情報のサイト(こちら)に、こんな記事がありました。

まず最初に、これはパレルモ料理なんですね。
ブロッコリーのパスタ・アッリミナーティは、イワシのパスタ、アネッレッティのオーブン焼きに並ぶ代表的なパレルモのパスタです。
パレルモ料理には、パレルモ人独特のルールがある、ということは先日までのブログで取り上げてきたこと。
これが後々重要だったことがわかってきます。
パレルモ人、ちょっとめんどくさい。

さまざまな他の疑問点の答えもありました。
まず、“アッリミナーティarriminati”。これはパレルモの方言で、よく混ぜる、という意味。
ただのパスタじゃなくて、混ぜパスタなんですね。
混ぜることによってソースをクリーミーにする、というマンテカーレに近い意味合いがあるようです。

野菜はブロッコリーじゃなくてカリフラワーの場合もあります。
ついでみたいに、パレルモではブロッコリーのことをカリフラワーとも呼ぶ、とさらっと書いてありました。
しかも材料の欄にはブロッコリー(シチリア人じゃない人のカリフラワー)なんていう注意書きも。
でた、パレルモ・ルール発動です。

この料理は、パレルモ語だとpasta chi vruocculi arriminatiですが、日本語にするなら、
カリフラワーの混ぜパスタPasta con i broccoli 'arriminati'
材料/6人分
マッケローニ・・600g
カリフラワー・・1個
レーズンと松の実・・50g
塩漬けアンチョビ・・4尾
サフラン・・1袋
玉ねぎ・・1個
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・カリフラワーをゆでて、小さく切る。湯で汁はパスタ用に取っておく。
・玉ねぎのみじん切りをたっぷりの油でソッフリットにし、アンチョビ、レーズン、松の実を加えてなじませる。(甘い玉ねぎ、レーズン、松の実と塩気の効いたアンチョビを混ぜる)
・カリフラワーを加えて強火でソッフリットにする。
・ぬるま湯大さじ1で溶いたサフランを加えて塩、こしょうし、レードル1杯のカリフラワーのゆで汁を加えて弱火で5分煮る。
・カリフラワーのゆで汁でパスタをアルデンテにゆでてスーゴであえ、10分休ませる。

ブロッコリー・アッリミナーティのパスタ

上の動画でもブロッコリーやカリフラワーについてまず説明していますね。
さらにレーズンや松の実が他の地方のものといかに違うかも説明。
干しぶどうのことをuvettaと呼んだら、passolinaだと訂正されています。
これこれ、私も昔、体験しましたよー。
どこが違うのか聞いたのですが、動画と同じですっきりした答えは帰ってきませんでした。でも、これがパレルモ人の典型的なこだわりのやりとりだったのですね。パレルモ以外の人には、こう聞かないといられないのですよ、きっと・・・。
しかも、動画ではさらに、パッソリーナと松の実はカップルみたいにいつも一緒だと、新説も加わっています。
ちょっとめんどくさいけど、そのうち慣れるね。


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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア
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2020年2月16日日曜日

シチリアにはすべての鍵がある


シチリアの伝統料理を集めたミニ料理書、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ『シチリア・イン・ターヴォラ』
には、イタリアの南の島をイメージするパスタがたくさん載っています。
あまりにどれも美味しそうなので、よく考えてみたら、シチリアは、イタリア料理とパスタにとってとても重要な地でした。

地方料理のパスタなら、
ディチェコの『パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア

イタリア各州の乾麺のパスタについて語りながら、各州を代表するシェフがパスタのリチェッタを披露している本です。
シチリアは、どんなことが書いてあるでしょうか。

シチリアについて、
ゲーテは『イタリア紀行』の中で、そこにはすべての鍵がある、と書いています。

ゲーテがイタリアを旅した時の紀行文は、イタリアを訪れる外国人だけでなく、偉大な芸術家の目にイタリアはどう見えているのか気になるイタリア人にも大人気で、何かと引用されます。
シチリアにはすべての鍵があるというのは有名な一文で、多くの人が鍵を求めてシチリアにやってきます。

世界中が惹かれるイタリア

“すべての鍵がある”シチリアには、パスタの鍵もありました。
シチリアは、地中海の食文化がアラブの食文化と出会って奇跡が起きた場所です。
“マッケローニ”が生まれて以来、島の農業や漁業や羊飼いの産物を活かし、遠くの文明やシチリアの民衆を感じさせるパスタシュッタが作られてきました。
イワシのパスタのように最も貧しくて質素で、シチリア以外にはどこにもないものから、スペインとイスラムの文化の影響を受けて誕生し、カターニア生まれのオペラ作家、ベッリーニに捧げられて島の外へと知られていった“”パスタ・アッラ・ノルマpasta alla Norma”、
ちなみにこのパスタは、音楽に捧げられたのではなく、料理の極意(ノルマ)を知り尽くした主婦に捧げられたという説もあります。
“パスタ・コン・イ・ブロッコリ・アッリミナーティpasta con i broccoli arriminati”は、揚げなすとツナのスパゲッティかジーティ
“パスタ・ナッシャータnasciata”(は、パントリーにあるなす、グリーンピース、子牛のスーゴ、卵、チーズなどの)パスタ。
パスタ・ムッディカpasta muddica”はパンのクラムのパスタ。
作家のランペドゥーザで知られる高級なマッケローニのティンバッロなど、パスタにはどの料理にも長い歴史があります。
シチリア料理はケタ外れで独創的で、伝統的で、優美。

ノルマ風パスタのこんな話を聞くと、どんなパスタだったか気になります。
チッチョ・スルタノシェフのリチェッタでどうぞ。

パスタから手打ちの力作。


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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア
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2020年2月15日土曜日

オーブン焼き以外には使えないパスタ、アネレッティ

きのう、シチリアのパスタ、アネッレッティのオーブン焼きのリチェッタを訳しましたが、忘れていたことがありました。
パスタに独特のこだわりを抱くシチリア人ならではのことがあったのです。
このパスタ、アネッレッティはオーブン焼きのために考え出された形のパスタで、普通のパスタソースをかけて食べることはしない、のでした。
だから、たまたま手に入ったからと言って、トマトソースをかけて食べたりしないように。
まあ、普通はしないよね。

それにしても、このあたりの頑固さや融通のきかなさが、シチリア料理がいまいちマイナーな理由でしょうか。
それでは今日は、『“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア』
のリチェッタをどうぞ。

イルダッツァのパレルモ風ティンバッロ IL TIMBALLO PALERMITANO DI ILDAZZA
リチェッタの説明文は・・・、
リチェッタを提供したイルダッツァさんは、世界一働き者でいい人なのですが、厳格なシチリア西海岸(パレルモ)派で、リチェッタを少しでも変えると、それは東海岸の作り方で、西海岸ではそんな作り方はしないと抗議したそうです。
作りやすさなどは考慮せず、ひたすらパレルモ風にこだわるとこうなります。

よそ者には理解できない、パレルモの人の譲れないプライド。

アネッレッティのオーブン焼き

シチリア東部

シチリア西部

パレルモ風ティンバッロ
材料8~10人分

アネッリーニ・・1kg
ブラザート用牛肉・・1kg
トマトソース・・1ビン
トマトペースト・・大さじ1(量はソースの濃度による)
厚さ2~3cmのカチョカヴァッロ・フレスコのスライス(小角切りにする)・・3枚
おろしたカチョカヴァッロ・スタジョナート・・1/4個
揚げ油(ピーナツ油)
モルタデッラの薄切り・・9~10枚
粒黒こしょう入りサラミ・・12~15枚
縦に厚さ1~2cmにスライスしたなす・・6~8枚
塩、黒こしょう
EVオリーブオイル、パン粉
玉ねぎ、にんにく、ローリエ

・玉ねぎ、にんにく、ローリエ数枚を油大さじ3でソッフリットにし、肉を入れて表面全体を焼く。
・トマトソースとトマトペーストを加え、最低2時煮る。
・その間にナスは皮をむいて縦に厚さ1cmにスライスし、塩をしてザルに入れ、重石を乗せてアクを出す。
・洗って水気をふき取り、熱した油で揚げる。
・シートにとって油を切る。
・肉を包丁で刻み、ソースに加えて10分煮る。必要なら水少々を加える。
・底の外せる型に油を塗ってパン粉をまぶす。
・底と側面を揚げたナスで覆う。
・アネレッティを硬めのアルデンテにゆでてスーゴと混ぜる。
・型にアネレッティ、チーズ、モルタデッラ、サラミを重ねながらカチョヴァッロを散らす。パスタで覆ってナスで閉じる。200℃のオーブンで20~30分焼く。
・粗熱を取って型から出す。


次はタルト・生地で覆う山猫風ティンバッロ。
これでもかなり簡略化したバージョン。
 TIMBALLO DI MACCHERONI
材料6~8人分
パスタ・フロッラ
小麦粉・・300g
バター・・125g
砂糖・・125g
卵・・1個+卵黄2個
マルサラ
塩・・少々
卵・・1個

詰め物
太いマッケローニ・・600g
トマトソース・・200g
ベシャメル・・300g
ゆでたグリーンピース・・200g
鶏のレバーと内臓・・300g
乾燥ポルチーニ・・100g
カチョカヴァッロ・・150g
ハムの細切り・・150g
サルシッチャ・・100g
バター・・大さじ1
マルサラ
ローリエ・・2枚
塩、こしょう

・材料をこねすぎないでパスタ・フロッラを作り、覆いをして冷蔵庫に入れておく。
・べシャメルとトマトソースを作る。
・鶏レバーをバター少々とローリエで炒める。ぬるま湯で戻したポルチーニを加え、マルサラをかけて数分煮る。
・大きなボールでサルシッチャ、ハム、カチョカヴァッロ、グリーンピースを混ぜる。冷めたレバーのラグーを加える。
・パスタ・フロッラの3/4を直径25cm、厚さ1cmの円形に伸ばし、スプーンの背で抑えながら底取れ型に敷き込む。
・マッケローニを固めのアルデンテにゆでて水気を切り、トマトソースとベシャメルであえる。
・型にパスタを詰め、表面をパスタ・フロッラで覆う。縁を閉じ、好みの飾り付けをする。溶き卵を塗り、180℃のオーブンで約1時間焼く。

パスタ・フロッラで覆われたこんなに見事なティンバッロは、この本以外では見たことないです。(P.44~45)
でも山猫のティンバッロはたしか数段重ねで、もっと豪華でした。

ルキノ・ヴィスコンティ監督の『山猫』トレイラー


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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
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2020年2月14日金曜日

シチリアのパスタのほぼ最終形態、アネッレッティのオーブン焼き

初めて聞いたシチリアの出版社の、小さな小さなシチリア料理書が、なかなかおもしろいんですよこれが。

ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ『ターヴォラ
小羊の腸の炭焼きなんて、羊飼いが近所にいないと作れない料理に始まって、専用の特殊な道具を使うクリスマスのドルチェで終わるあたりは、
シチリアの住民以外は完全に置いてけぼり。
でも、どの料理もやたら美味しそう。

今日はパスタです。
まず、シチリアのパスタの象徴と言えば、イワシのパスタですが、メカジキのスパゲッティやカヴァティエッディもあります。
さらに、ウニ、イカスミ、アンチョビとパン粉、ボッタルガ、ドライトマト、ソラマメとリコッタ、アネレッティのオーブン焼き、ティンバッロ、ズッキーニのフリット、トラパニ風クスクス、エビ入りペストと、ノルマ風しか思いつかなかった自分がなさけない。

私にとってシチリアのパスタと言えば、その派手な見栄えと『山猫』で有名な貴族の料理、ティンバッロなのですが、この本のティンバッロは庶民的で家庭的で、一番定番のマカロニのティンバッロ。

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア』には、アネッリーニのパレルモ風ティンバッロやお米のティンバッロも載っています。
マカロニのティンバッロもあるのですが、マカロニを包むタルト生地の飾りが豪華で、すごく貴族風です。

貴族で思い出しました。

プラネタも貴族の家系でした。その秘伝のリチェッタを集めた

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ

のティンバッロも、ゴージャスです。

ラグーのアネッレッティのティンバッロについては、こう書いてあります。

アネッレッティのティンバッロは、我が家に取っては復活祭の料理だった。アネッレッテイはシチリアの外ではめったにお目にかからない硬質小麦粉のパスタで、オーブン焼きにすると美味しい。
“ティンバッロTimballo”はアラビア語のTimallaが語源で、シチリアの平らな筒型の太鼓(ティンバレス)のこと。
表面はパン粉で覆うが、私たちは、厚いのは好きではなく、薄くして軽く仕上げた。

というわけで、シチリアのパスタ、まずはアネッレッティ。

復活祭の料理という時点で気づくべきでした。
復活祭はとびきりのごちそうを食べる日。
手が込みまくった、シチリアのパスタの最終形態ですよね、これ。
でも、表面がパン粉なので、まだラストの一歩手前。
ちなみにこれで6人分。

真の最終形態は、タルト生地で包んだこのタイプ。

それでは、『シチリア・イン・ターヴォラ』の
アネッレッティのオーブン焼きAnelletti al fornoを訳します。
材料/4人分
アネッレッティ・・600g
牛と豚の合い挽肉・・500g
玉ねぎ・・1個
にんじん・・1本
セロリ・・2本
イタリアンパセリ・・1房
クローブ・・2個
ローリエ・・2枚
トマトペースト・・250g
おろしたペコリーノ
フレッシュのグリーンピース・・250g
白ワイン・・1/2カップ
ベシャメル・・1/2L
パン粉
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・玉ねぎ、にんじん、セロリ、イタリアンパセリのみじん切りを油でソッフリットにする。
・挽肉を加えて強火で炒め、ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・ローリエ、クローブ、ぬるま湯少々で溶いたトマトペースト、塩、こしょうを加えて煮る。
・グリーンピースをゆでて煮上がったラグーに加える。
・ベシャメルも加える。
・アネッレッティをアルデンテにゆでて水気を切り、ラグー(仕上げ用に少量別にする)とおろしたペコリーノであえる。
・オーブン皿に油を塗ってパン粉をまぶす。アネッレッティを入れて取っておいたラグーで覆う。
・ペコリーノと小片にしたバターを散らし、180℃のオーブンで約30分焼く。
表面にしっかり焼き色がついたら焼き上がり。

これはなすを省略して動画よりもっとシンプルにしてあります。

ラグーでパスタをあえてオーブン焼きにすると、ボローニャ風ラザーニャですが、揚げたなすとパン粉で包むと、あっという間にシチリア風ですね。
次回はさらにタルト生地で包む貴族料理風リチェッタを訳してみます。

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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
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2020年2月13日木曜日

ピッツァでもフォカッチャでもないシチリアのスカッチャ

きのうちょっとだけ紹介したシチリア料理、今日はリチェッタを訳そうと思ったのですが、いきなりつまづきました。
1品目のスティッギオーレの材料、
小羊の腸・・4m
誰が作るんだって話です。

スティッギオーラstigghiola

これはシチリアの歴史的4大市場の一つ、ブッチリアの映像。
初めてシチリアに行ったまだ若かりし頃、この市場がやたら怖くて、それ以来、市場がトラウマです。
チャンバーになった今は平気ですが・・・。

とにかく、スティッギオーレのリチェッタが知りたい人は、
シチリア料理書の隠れた名作、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『ターヴォラ』を読んでください。

次は誰でも作れそうな料理、ブロッコリーのスカッチャータです。
スカッチャータscacciata

動画でも言っているように、シチリアの人にはとても日常的な料理ですが、島の外での知名度はいまいち。
具はブロッコリー、ほうれん草、カリフラワーなど。
この本は、美味しそうな料理ばかり載っているのですが、何しろ格安なので、あまり詳しい説明はありません。
そこで、写真も説明も素晴らしい本、

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの
料理の名前はスカツチェscacce(フォカッチェfocacce)。

スカッチャと書いてフォカッチャと読むのか。
すとんと納得。

そしてこうありました。
「ピッツァでもフォカッチャでもないが、イタリア中に無数のバリエーションがある。
ルーツはもちろんイタリアだ。
詰め物や生地の厚さ、形が場所によって変わりながら国中に広まった。
名前もパスティエーリpastieri、パストゥレッディpastureddi、リッリアーリアllialia、
ンッフィジュラーティ'nffighiulati、スフィッギュラータsfigghiulata、ブッカトゥレッディbuccatureddi゛などに変わった。すべて列挙するのは不可能なほどだ。
中でも個性的だったのが、“ムーア人の頭Testa di moro゛と呼ばれたターバン型のパスタのパイだった。」

この本のスカッチャのリチェッタは、シチリアの有力ワインメーカーで貴族の家系のプラネタに伝わるもの。
とても洗練された料理に仕上がっています。

それではリチェッタをどうぞ。
スカッチェscace
材料;6人分
リマチナートのセモリナ粉・・500g
00番の小麦粉・・500g
生イースト・・20g
EVオリーブオイル・・大さじ3
ぬるま湯・・1カップ

詰め物;
サルシッチャ・・250g
ゆでたじゃがいも・・200g
プローヴォラ・・150g
玉ねぎ・・1個
EVオリーブオイル

・2種類の粉小麦粉をフォンタナに盛り、油、塩、ぬるま湯1カップで溶いたイーストを入れる。
・まずフォークで、次に手でこねてなめらかな生地にする。
・最低10分こねてまとめ、1時間休ませる。
・少量ずつ丸めて打ち粉をし、麺棒で薄く伸ばす。
・片側に詰め物をのせ、残りの生地をかぶせる。
・短い辺の縁を押して閉じ、再び折って多層にする。
180~200℃のオーブンで30分焼く。

プラネタのリチェッタはトマトが入らないビアンコタイプ。
動画の詰め物は、トマトのパッサータ、バジリコ、ナスの輪切りのグリルかフリット、おろしチーズ。

どちらのタイプも手で持って歩きながら食べれるストリートフード。
ちなみに、

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア』によると、シチリアのピッツァ、“ピッツァ・シチリアーナ”は、伝統的なピッツよりやや小型の生地をオーブンで焼くのではなく、油で揚げる。
揚げてからトゥーマとアンチョビをのせるタイプと、カルチォーネのように閉じるタイプがある。
ザッフェラーナ・エトナはZafferana Etnaはピッツァ・シチリアーナで有名な街。

ザッフェラーナ・エトナのピッツァ・フリッタ


シチリアにはまだまだ知らない美味しい料理が隠れていそう。


2020年2月12日水曜日

知ってる人は知ってるディープなシチリア料理

きのうの発見、buccellatiはブチャラティかもが、思いのほかツボって、もうbuccellatiはブチャラティしか考えられなくなりました。
分からない人には全然わからないのが残念。

ブッチェッラーティについてさらに調べてみたら、意外なことに、ある小さな本にディープなシチリアの伝統料理がたくさん載っていることを改めて発見しました。

ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『シチリア・イン・ターヴォラ』です。
あまりにお手軽なミニサイズ本だったので、紹介するのを忘れてお蔵入りになっていました。
シチリアの出版社が、とにかくこだわりのシチリア料理を集めた本です。
ブチャラティなんてマニアックな料理も写真付きです。
表紙がイワシのパスタというのもこだわりの選択。
それにしてもあの庶民的なイワシのパスタも青と黄色のマヨルカ焼きの皿に盛り付けると、こんなに素敵になるんですね。
本の中の料理は、ブロッコリーのスカッチャータ(ブロッコリーの具入りのパン)、炭焼きスティッギオーラ(ネギに巻きつけて焼いた子羊の内臓)、ニューオーリンズの名物パンになったごま付きパンのムッフレッタなど、徹底的にシチリアの伝統にこだわっています。

スティッギオーラstigghiola

ブロッコリーのスカッチャータscacciata con i broccoli

ムッフレッタsmuffletta

ストリートフードに挑戦しないと、味わえないものばかり。
とりあえず今日は、ブチャラティの話に戻ります。
「総合解説」で訳したリチェッタは、パレルモの有名パスティッチェリーアのものです。
webページはこちら

パスティッチェリーア・カッペッロpasticceria cappello

見てるとセロトニンがドバドバ出てくるよー。

そしてこの人がマエストロのトト。

hpの店の歴史を読んでみると、カンノーリとブチャラティが評判だったとあります。そもそもご先祖はミルク用の山羊を育てていたそうで、
最初のヒット商品はヤギのミルクで作ったジェラート。
長いけど、話が面白い人ですねー。
ビジネスの才能もあって、新店舗も次々に拡大しています。

シチリアでパスティッチェリーア巡りをしない人はいないと思うけど、パレルモは、そのためだけに行ってもいい街。
ストリートフードは怖くてとっつきにくいという人も、パスティッチェリーアなら安心して行ける。
パレルモの美味しいもの巡り



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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
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2020年2月11日火曜日

コルヴォの街、カステルダッチャ


シチリアのドルチェ、ブッチェッラート・シチリアーノBuccellato siciliano。

初めて聞いた名前で、目にするのも初めて。
ちょっと衝撃的なくらい美しくて、どうやってこの網目模様を作るのか不思議でした。
多分ひと目見たら忘れないと思うのに、なぜ、今まで出会わなかったのか・・・。
このピンセット、欲しくなる~。

実際に作っている動画を見て、ようやく網目模様の謎が解けました。
ところが、もっと詳しく調べようとしても、情報が殆ど見つからないのです。
これは貴重なドルチェですよ。
シチリアで出会ったら、ぜひ味見をしておいたほうがいいです。

そもそも、これはクリスマスのドルチェだそうで、ドライフルーツがベースの詰め物を、パスタ・フロッラ(タルト生地)で包むという、クリスマスの時期にあちこちで見かけそうなドルチェです。
さらに、ブッチェッラートはバターではなくラード入り、というのも特徴。
ラードは、20世紀後半まで、イタリアの農村部で手に入る唯一の油脂でした。
ルーツが謎のドルチェで、リチェッタも様々あるらしいと、分からないことだらけのドルチェです。

ところが、『サーレ・エ・ペペ』誌
で明かされた手がかりは、2011年にパレルモ郊外のカステルダッチャCasteldacciaで作られた、とやたら詳細。
それでは、この手がかりを元に、ブッチェッラートとはどんなドルチェなのか、探ってみます。
まず、Buccellatiはカステルダッチャのde.co.(denominazione comunali)製品=特定のコムーネにゆかりの製品、でした。

カステルダッチャとアルタヴィッラ

カステルダッチャはシチリアを代表するデイリーワイン、フロリオグループのドゥーカ・ティ・サラパルータのコルヴォの本拠地。

ドゥーカ・ディ・サラパルータ


コルヴォはお手軽で手に入れやすいシチリアワインの代表。

カステルダッチャのドゥーカ・ディ・サラパルータのカンティーナ

カンティーナを訪れるついでにブッチェッラーティも探してみて。

完全に横道にそれました。
ブッチェッラーティのこと調べていたはずなのに、コルヴォの話になってしまった。
ドゥーカ・ディ・サラパルータのwebページはこちら

ちなみにネット上ではブッチェッラーティのことをなぜかスペルがよく似たブチャラティと呼んでいて、これは有名なあの漫画のキャラクターなのです。
その漫画の登場人物にはみんなイタリア料理の名前がつけられているのだけど、これはまさかね。
いくらなんでも上級すぎる。

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総合解説
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2020年2月10日月曜日

シチリアのバロックなビスコット、ブッチェッラート



紹介してきた2冊の本、オステリエ・ディ・イタリア新版

は、スローフードのメンバーのトスカーナのオステリアのメニューを通して、トスカーナの伝統の暮らしにふれたような、とても内容の濃い本でした。
さらに

ルフィーノのトスカーナ』は、

トスカーナ料理の傑作として後世に残るような大作。

地方料理の本は地方の文化と伝統を紹介するものがほとんどですが、節約精神に満ちたトスカーナ料理の話をする時、家庭料理の話は不可避。
子供の頃の家庭料理がこんなにおもしろいのか、おばあちゃんのレシピのホームメードケーキって、なんて美味しそうなんだろう、
ということを久々に思い出しました。
そして1冊の本を思い出しました。
マンマミーア』です。
その名の通り、家庭料理の本。
家族の写真が満載の異色の料理書ですが、イタリア人のおばあちゃんがいない私でも、イタリアの家庭って暖かそうだなあ、と思える本です。
特にドルチェはお誕生日のケーキとか、家族の特別な日の思い出と重なって、古い写真がとても魅力的。

カントゥッチーニについては、こう書いてありました・・・。
紅茶とお菓子の儀式は、カントゥッチーニの場合は美味しい甘口ワインと組み合わせる。
ワインは、日曜日の雰囲気を温めてくれるならヴィン・サントでなくてもいい。

もし毎週やってくる友達がいるのなら、先週のものを少し残しておけばよい・・・。
突然の来客用のビスコッティだったんですね。


今日からは話題が変わって「総合解説」から、シチリアのドルチェ。
ブッチェッラートbuccellatoです。
聞いたことのない名前ですが、一目見ると、忘れられなくなるインパクトがあります。

シチリアのクリスマスのビスコットだそうですが、トスカーナの質実剛健なビスコットの後だと、眩しいくらい華やか。

ブッチェッラート


シチリアのドルチェのこの華やかさは、シチリア人の特性でしょうか。
何ができるのか、ワクワクしますね。
このようなシチリアのドルチェは、よくバロックなドルチェと形容されます。

詳しいリチェッタは「総合解説」2018年1/2月号、P.32をご覧ください。
このドルチェは、最後の仕上げて、あっと驚くどんでん返し。
初めてみた時はどうやって作るのかわからなくて、魔法なのかと思いましたよ。

シチリアバロック


シチリアは、バロックというテーマで旅をするととても興味深い島です。
パレルモにも傑作が多数あります。
シチリアのドルチェというテーマは、もっと興味深いはず。


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総合解説

オステリエ・ディ・イタリア新版

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2020年2月9日日曜日

ヴィンサントの相棒、カントゥッチーニ

それではカントゥッチーニcantucciniの話です。

トスカーナ料理の知りたいことが全部書いてある素晴らしい本、
『ルフィーノのトスカーナ』から。
カントゥッチーニは、プラート生まれのビスコッティなので、別名、カントゥッチーニ・ディ・プラートとも呼ばれます。
プラートはフィレンツェから20km離れた隣町。

プラート

カントゥッチーニとは切っても切れない間柄なのが、ヴィンサント。
レーズンから作る甘口ワインで、聖ワインという意味のヴィンサントという名前は、1439年に開催されたフィレンツェ公会議の間に考え出されたから、とも言われています。
公会議とは東と西に分裂した教会の問題を解決するために開かれる重要で有名な会議。
そんな場で出された甘くて美味しいワインを飲んだ偉い聖職者が、思わず「'e di Xantos」「こ、これはサントスのワインだ!」と叫んだというのです。
サントスとはギリシャ語で黄色のこと、またはギリシャのサントリーニ島のこと。
別説では、santa messaの間に使うワインだから、というのもあります。
santa messa ??
復活祭かクリスマスがらみかな・・・。

サントリーニ島
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サントリーニ島のワイン、という意味だとしたら、この聖職者、いつ飲んだんでしょう。
一生に一度は行って島で飲んでみたいなあ。
さて、ほとんどのグルメはカントゥッチーニをヴィンサントに浸して食べますが、香ばしいビスコッティが溶けてヴィンサントの中に落ちるのを嫌がる人は、浸さないで食べます。
本ではこの問題を解決して、マスカルポーネにヴィンサント、削ったビターチョコレート、カントゥッチーニを加えた21世紀版を提案しています。
ヴィンサントの濃い黄色でマスカルポーネがクリーム色になって、チョコレートとカントゥッチーニが一段と映えます。
きれいなグラスに入れるとさらにゴージャス。

それではリチェッタです。
“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ』
より

ビスコッティ・ディ・プラートBISCOTTI DI PRATOをどうぞ。
バリエーションは無数にあります。
今回は、フォルネッロクラブ・プラート支部の公式リチェッタです。

材料/8人分
小麦粉・・500g
皮つきアーモンド・・500g
砂糖・・470g
卵・・4個+卵黄2個
ヴィンサント・・大さじ2
蜂蜜・・大さじ1
ベーキングパウダー・・1/2袋
塩・・1つまみ

・熱したオーブンでアーモンドを数分トーストして冷ます。
・小麦粉とベーキングパウダーをふるってフォンタナに盛り、砂糖、蜂蜜、ヴィンサント、塩、卵3個、卵黄2個を入れてよく溶く。
・小麦粉を少しずつ加えて均質の生地にする。
・アーモンドを加えてよく混ぜる。
・生地を分けて幅約5cm、厚さ1.5cmの棒状にし、間を空けてオーブンシートに並べる。
・残りの卵を溶いて生地に塗り、180℃のオーブンで約20~25分焼く。
・オーブンから出して斜めの輪切りにし、再びオーブンに入れて二度焼き(ビスコッターレbiscottare)する。

ビスコッティ・ディ・プラート
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失敗しなくて簡単にできます。
トスカーナ料理の話、今回はここまで。

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総合解説
“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ』
『ルフィーノのトスカーナ』
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2020年2月8日土曜日

トスカーナの自家製ドルチェの定番はチャンベッローネ。

トスカーナの人気オステリアのメニュー、肉料理まできました。
次は最後のドルチェです。

ルフィーノのトスカーナ』にはこんな話が・・・。


オステリアのドルチェは、自家製fatti in casaなのが重要。
つまり、家庭にある質素な材料(砂糖、チョコレート、蜂蜜、ジャムなど)を使って、主婦の手で作ったドルチェ。
日曜日になると家中に広がるケーキの香りは、すべてのトスカーナ人の子供の頃に共通の思い出。
トスカーナ人にとって、家庭の手作りドルチェの定番中の定番が、日曜日になるとおばあちゃんが家族ややってくる友人のために作る、小麦粉、牛乳、バター、卵、砂糖の“チャンベッローネciambellone”。

ノンナのチャンベッローネCiambellone della nonna

・レーズン75gをオレンジジュースで戻す。
・00番の小麦粉500gとベーキングパウダー15gをふるっておく。
・ボールの下に湿らせた布巾を敷く。
・室温のバターの小角切り250gを入れる。
・オレンジ1個とレモン1個の皮のすりおろし、バニラ1本の種を加える。
・ホイッパーで混ぜながら砂糖300gを少しずつ加える。
・5分混ぜたら卵275gを1個ずつ加える。
・粉の材料を大さじ1ずつ加える。
・牛乳250gを少しずつ加える。
・レーズンの水気を切り、小麦粉をまぶす。
・オレンジピール50gの小角切りと混ぜる。レーズンやオレンジピールの替わりにチョコレートでもよい。
・バターを塗って小麦粉をまぶしたエンゼル型に生地を入れて表面を平らにし、その上に
・混ぜた材料を散らす。これを繰り返す。
・180℃のオーブンで約1時間焼く。
・冷めたら型から出して粉糖を振りかける。

ふわふわで経済的で簡単につくれるケーキです。
リチェッタは家庭ごとに違い、牛乳やコーヒーに浸して朝食代わりに食べたりします。
本では近所の松の木に実った松の実を表面に散らしてアイシングで覆っています。
これだけでかなりゴージャス。

一番プレーンなバージョンだと牛乳に浸して食べますが、やや豪華だとココア。おばあちゃんやお客さんはヴィン・サント。
お客用の“カントゥッチーニcantuccini”は常に欠かさないように買っておきます。

カントゥッチとヴィンサント

そいてトスカーナのドルチェには欠かせないのがヴィンサントVinsanto。

秋には栗の粉で作るカスタニャッチョcastagnaccioやフリッテッリーネfrittelline。
2月はカーニバルの揚げ菓子のチェンチcenci。
冬のフィレンツェの家庭のもう1つのドルチェはスキアッチャータschiacciata

家にあるもので作る経済的で簡単なドルチェ。
トスカーナ人の倹約精神徹底してます。
次回はカントゥッチ。

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総合解説

ルフィーノのトスカーナ

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2020年2月7日金曜日

キアンティの焼き物職人のもったいない精神のシチュー、ペポーゾ


トスカーナのオステリアの料理から代表的なトスカーナ料理を見てきましたが、今回は肉料理です。
肉食系のトスカーナには、肉料理がたくさんありますが、今回、パーネ・ディ・トスカーノのリチェッタを探して様々な料理書を読み、一番印象に残ったのは、キアンティ地区の伝統料理、ペポーゾpeposoでした。

トスカーナに行った時、この料理のことを知っていたら・・・、
と軽く後悔しています。
そもそも、あの頃はビステッカのことしか知らなかったなあ。

ペポーゾ

主役の肉は牛のすね肉。
普通はボッリートに使う経済的な部位。
これを赤ワインとこしょうで煮る、シンプルで経済的なトスカーナ気質たっぷりの料理です。
この料理を考えだしたのは、キアンティの焼き物職人たち。
テラコッタの壺や瓦を作っていた人たちです。
有名な焼き物の村、インプルネータ・イン・キアンティの職人は、持ち前のトスカーナ人の節約気質で、テラコッタが焼き上がった後も十分に熱い窯の火を有効利用出来ないかと考えたのです。
そこでテラコッタの鍋に牛の安い部位のすね肉と地元キアンティの赤ワインと黒こしょうを入れて、窯の入り口に置いたのです。
あとは、放っておけば、ゆっくりじっくり煮上がります。
ゆっくりであればあるほど肉はジューシーで柔らかくなりました。

トスカーナ人のもったいない精神、侮れない。
さらに、焼き物作りは重労働だったので、こってりした、脂が溶け込んだ料理が人気でした。
インプルネータのテラコッタ工房

それでは、

オステリエ・ディ・イタリア新版』から、

マンジャンド・マンジャンドのリチェッタで、
ペポーゾ・アッラ・フォルナチーナPeposo alla fornacinaをどうぞ。
材料/6人分
牛すね肉・・1kg
にんにく・・2玉
キアンティ・クラッシコ・・3L
粒こしょう・・100g、塩

・この料理の唯一のポイントは肉の質。
肉を小さく切って鍋に入れ、ワインで覆う。
・丸ごとのにんにくとこしょうを加える。
・火をつけて肉が十分柔らかくなるまで煮る。
・火を止めて30分休ませてサーブする。

すごいほったらかし料理だった。
鍋は陶器の鍋が理想的。底に牛脂を入れておいて煮ている間に溶かす。
ちなみにフォルナチーナfornacinaとは焼き物職人のこと。


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総合解説

オステリエ・ディ・イタリア新版

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2020年2月6日木曜日

イタリアのパン、サワードウのパーネ・トスカーノ

パーネ・トスカーノのリチェッタを訳そうと気軽に考えていましたが、リチェッタが全然見つからなくてびっくり。
唯一見つけたのが、スローフードの本、

パーネ・ピッツェ・フォカッチェのリチェッタ


パーネ・トスカーノはDOP製品。
管理組合のwebページはこちら
作るより買ってね、ということかな。



それでは本のリチェッタを訳してみます。
pane toscanoパーネ・トスカーノ
preimpasto
0番でw220の軟質小麦粉・・500g
生イースト・・5g
水・・300ml

impasto
0番でw220~240の軟質小麦粉・・1kg
水・・300ml

・12~15時間前に室温で発酵させたpreimpastoを用意しておく。
イーストを水で溶いて小麦粉に加え、10分こねる。
・preimpastoに水と小麦粉を加えてこね、なめらかな生地にする。
・暖かい場所で湿らせた布巾で覆って約1時間休ませる。
・台にあけて約600gに切り分け、10分休ませる。
・細長く伸ばして布巾で覆い、約1.5時間発酵させる。
・220℃のオーブンで湿気は加えずに30分焼く。



この動画のパンは、だいたい本のリチェッタと同じ作り方です。
ただ気になるのが、リチェッタのpreimpastoとか動画のビーガbigaなどの言葉。
パンの話をするには、どうしても専門的な話になりますが、ド素人なので

パーネ・ピッツェ・フォカッチェで勉強しながら訳していこうと思います


まず、発酵方法には、
diretta(ストレート) indiretta(中種法) madre(天然酵母)の3種があり、
indirettaにはpoolish(ポーリッシュ)とbiga(ビーガ)があります。
preimpastoとbiga,poolischは同じもの。
ビーガとポーリッシュは似ていますが、ビーガの特徴は必要とする水分が少ない、ということ。必要な粉をすべて加えて作り、その後で塩など他の材料を加えます。イーストも最小限の量です。
堅い生地で手でこねるには力が必要ですがタンパク質に空気がたくさん含まれます。
ただし発酵には時間がかかります。

パーネ・トスカーノの天然酵母のDNAを解析



文字通りトスカーナの酵母から造られているパンなんですね。
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パーネ・ピッツェ・フォカッチェ

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2020年2月5日水曜日

フィレンツェを追放されたダンテに故郷を思い出させた塩気のないパン

トスカーナ料理を見ていると、パンの役割の大きさに驚きます。
パンは多くの古代文明にとって、もっとも基本的な食べ物。
さらにキリスト教にとって、パンはキリストの体のシンボル。
パンはキリストの愛と奇跡。
聖体拝領の儀式は、難解なキリスト教の儀式の代表格。

キリスト教にとっては大事な儀式だということは分かる。


ルフィーノのトスカーナ』によると、古代ローマのポンペイは、町がまるごとパンの町だったそうで、約50軒のパン屋があったそうです。
さらに、オスティアの港はローマ帝国の小麦の交易港として有名でした。
小麦を粉にする水車小屋は無数にあり、パン屋では様々なパンを毎日焼いていました。

ポンペイの遺跡のパン屋

オスティア・アンティカ

ただし、現代のトスカーナのパンは、古代のパンとルーツは一緒でもはかなり違うもの。
塩が入らないパン、パーネ・ショッコはフィレンツェのパンとしても知られています。
塩も、保存や調味の基礎となる大切な食材でした。
輸送に使われた街道は塩の道via salariaと呼ばれました。

中世に、フィレンツェのライバルのピサが、塩の港を長期間封鎖するという出来事がありました。
ところが、なにもないところから美味しい物を作り出すことには慣れていたフィレンツェの農民は、その天才的な才能から塩の入らないパンを作り出したのです。
高価な塩は主に豚肉の保存のために使われました。

なんと、前回登場した質素なパン粉のパスタ、ブリーチョレのピチが、ここで見事につながりました。
何もなければパスタにパン粉をかけるほどたくましいフィレンツェ人は、パンは捨てるところなどない、と言って、古くなった残り物のパンも全部有効利用しました。
ニュートラルな味が風味の強いトスカーナ料理にはよく合ったのです。
というか、味の強いトスカーナ料理に合わせるためにパーネ・ショッコを作ったという説もあります。

暖かい季節はパッパ・アル・ポモドーロ、冬はリボッリータ、夏はパンツァネッラ。
本当に万能な組み合わせが可能なパンです。


ダンテはフィレンツェ生まれの偉大な詩人ですが、権力争いに敗れてフィレンツェを追放されます。
彼の祖父は『神曲』で、将来、孫が塩気のあるパンを食べるとこになる、と予言しました。
つまりフィレンツェを出ていく、ということを、こんなに粋に表現したのです。
実際にはもっと文学的な表現ですが、私は読んだことがないので詳しいことはわかりません。wikiにちらっとありましたが・・・。
とにかく、フィレンツェ人にとって、パーネ・ショッコは中世にはすでに故郷の味になっていたのでした。

ダンテの時代から現代のフィレンツェにタイムスリップ?なんとダンテの家博物館のPV


パーネ・トスカーノはサワードウ、水、胚芽入りの軟質小麦の0番の粉からトスカーナの伝統的な製法で作るパンです。
塩気がなくて軽い酸味があるパンで、この味のことをショッコscioccoと呼びました。

パーネ・ショッコの誕生を実写で説明する動画。

パンに塩を入れないというのはトスカーナだけの習慣。
そもそも、先住民のエトルリア人の時代から、パンに塩を入れる習慣がなかった、という説もあります。
トスカーナの中世の話は需要があるようで、実写がたくさんあって横道にそれまくりました。
リチェッタは次回です。

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総合解説
ルフィーノのトスカーナ
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マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...