2020年2月14日金曜日

シチリアのパスタのほぼ最終形態、アネッレッティのオーブン焼き

初めて聞いたシチリアの出版社の、小さな小さなシチリア料理書が、なかなかおもしろいんですよこれが。

ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ『ターヴォラ
小羊の腸の炭焼きなんて、羊飼いが近所にいないと作れない料理に始まって、専用の特殊な道具を使うクリスマスのドルチェで終わるあたりは、
シチリアの住民以外は完全に置いてけぼり。
でも、どの料理もやたら美味しそう。

今日はパスタです。
まず、シチリアのパスタの象徴と言えば、イワシのパスタですが、メカジキのスパゲッティやカヴァティエッディもあります。
さらに、ウニ、イカスミ、アンチョビとパン粉、ボッタルガ、ドライトマト、ソラマメとリコッタ、アネレッティのオーブン焼き、ティンバッロ、ズッキーニのフリット、トラパニ風クスクス、エビ入りペストと、ノルマ風しか思いつかなかった自分がなさけない。

私にとってシチリアのパスタと言えば、その派手な見栄えと『山猫』で有名な貴族の料理、ティンバッロなのですが、この本のティンバッロは庶民的で家庭的で、一番定番のマカロニのティンバッロ。

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア』には、アネッリーニのパレルモ風ティンバッロやお米のティンバッロも載っています。
マカロニのティンバッロもあるのですが、マカロニを包むタルト生地の飾りが豪華で、すごく貴族風です。

貴族で思い出しました。

プラネタも貴族の家系でした。その秘伝のリチェッタを集めた

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ

のティンバッロも、ゴージャスです。

ラグーのアネッレッティのティンバッロについては、こう書いてあります。

アネッレッティのティンバッロは、我が家に取っては復活祭の料理だった。アネッレッテイはシチリアの外ではめったにお目にかからない硬質小麦粉のパスタで、オーブン焼きにすると美味しい。
“ティンバッロTimballo”はアラビア語のTimallaが語源で、シチリアの平らな筒型の太鼓(ティンバレス)のこと。
表面はパン粉で覆うが、私たちは、厚いのは好きではなく、薄くして軽く仕上げた。

というわけで、シチリアのパスタ、まずはアネッレッティ。

復活祭の料理という時点で気づくべきでした。
復活祭はとびきりのごちそうを食べる日。
手が込みまくった、シチリアのパスタの最終形態ですよね、これ。
でも、表面がパン粉なので、まだラストの一歩手前。
ちなみにこれで6人分。

真の最終形態は、タルト生地で包んだこのタイプ。

それでは、『シチリア・イン・ターヴォラ』の
アネッレッティのオーブン焼きAnelletti al fornoを訳します。
材料/4人分
アネッレッティ・・600g
牛と豚の合い挽肉・・500g
玉ねぎ・・1個
にんじん・・1本
セロリ・・2本
イタリアンパセリ・・1房
クローブ・・2個
ローリエ・・2枚
トマトペースト・・250g
おろしたペコリーノ
フレッシュのグリーンピース・・250g
白ワイン・・1/2カップ
ベシャメル・・1/2L
パン粉
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・玉ねぎ、にんじん、セロリ、イタリアンパセリのみじん切りを油でソッフリットにする。
・挽肉を加えて強火で炒め、ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・ローリエ、クローブ、ぬるま湯少々で溶いたトマトペースト、塩、こしょうを加えて煮る。
・グリーンピースをゆでて煮上がったラグーに加える。
・ベシャメルも加える。
・アネッレッティをアルデンテにゆでて水気を切り、ラグー(仕上げ用に少量別にする)とおろしたペコリーノであえる。
・オーブン皿に油を塗ってパン粉をまぶす。アネッレッティを入れて取っておいたラグーで覆う。
・ペコリーノと小片にしたバターを散らし、180℃のオーブンで約30分焼く。
表面にしっかり焼き色がついたら焼き上がり。

これはなすを省略して動画よりもっとシンプルにしてあります。

ラグーでパスタをあえてオーブン焼きにすると、ボローニャ風ラザーニャですが、揚げたなすとパン粉で包むと、あっという間にシチリア風ですね。
次回はさらにタルト生地で包む貴族料理風リチェッタを訳してみます。

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総合解説
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ
シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『シチリア
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