2026年5月21日木曜日

ベネト料理。

(CIR10月号)の料理、“コンテンポラリーな地方料理”。イタリア各州の代表的な料理を現代人向きにアレンジする、というテーマで紹介しています。
今日からはベネト州の料理です。


ベネトの地理。山、平野、湖、川、潟、海と、何でもある地形。山はきのこ、チーズなど、野生の世界のベース。平野にはイタリア最大の湖ガルダ湖があり、ラディッキオ・ロッソなど上質の野菜が栽培されています。温暖な気候で、米、インゲン豆、オリーブも作られています。豚や牛の飼育も盛ん。沿岸の200㎞に渡るベネチアの潟とポー河デルタ地方は産物も食文化も独特。


ベネトの料理。どれも有名な料理ばかりですが、上の動画で紹介している料理の中に、ベネトの代表的料理として選ばれた1品も入っていました。


ベネトの産物。

ベネトにはヴァネチアがあるので、訪れる人も多いのでは。私は、イタリア料理のこと何も知らずに、この物語に満ちた夢の島に行き、米文化の地でイカ墨のスパゲッティという見当違いの料理を名物料理と思い込んで食べていたお上りさんでした。少なくとも、ベネトでは乾麺のパスタ、つまりスパゲッティよりはリゾット、ということぐらいは知っておきたかった。ただ、パスタにも名物があります。ベネトの名物料理として選ばれたのはパスタでした。
ベネトの代表的伝統的料理の1つ、パスタ・エ・ファジョーリ。

ベネチアの独特な食文化の代表は、親から子へと受け継がれてきたオステリア。

ベネトで一番古いオステリア。


何度も行けるわけじゃないから、基本的なことは知ってから行きたかった、ベネチア。
ベネチアの一番の目的、観光にまだ全然触れてないのに、もう楽しい。


記事の内容は以前の(CIR)や販売している書籍から引用しています。

動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.6。

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2026年5月20日水曜日

アルプスの料理を現代人の好みに合わせる時、ラルドは省かれがちでもフォンティーナとライ麦パンは必須。

イタリア各地の伝統料理は外国人にはとても魅力的ですが、現代人にとっては、そうも言ってられません。料理は時代と共に変化していきます。
アルプスの山の上の厳しい生活に適した料理、ズッパ・ヴァルペッリネーゼは、キャベツがベースながらこってりしたエネルギーに満ちた料理ですが、それをコンテンポラリーな1品にしたのが(CIR10月号)のリチェッタです。ボリュームのある野菜料理を軽くしたのが最大のポイント。キャベツをラルドでソッフリットせず、パンにローストの肉汁をかけず、生ハムを加えない、といった涙ぐましい努力をしています。日本語のリチェッタはP.6。
これを省くのだけは許されなかったの食材は、フォンティーナとライ麦パン。
そもそも、フォンティーナ、ライ麦パン、キャベツを重ねてブロードをかけ、オーブンで焼くという料理なので、フォンティーナとライ麦パンがなければ、ただのズッパになっちゃいます。

縮緬キャベツ。



フォンティーナ

ライ麦パン

ブロード・ディ・マンゾ

フォンティーナとライ麦パンはアルプスならではの産物。


記事の内容は以前の(CIR)や販売している書籍から引用しています。

動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.6。

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2026年5月19日火曜日

アルプスの冬の典型的な伝統的ズッパ。

ヴァッレ・4ダオスタで一陣有名な冬の伝統のスープ、ズッパ・ヴァルぺッリ―ネの話をずっとしていたので、アルプス料理にかなり詳しくなったのではないでしょうか。ライ麦パン、フォンティーナ、キャベツが主役の料理。伝統の地方料理をコンテンポラリーな、現代人向けの料理にする、というのが今月の(CIR)のテーマなので、まずはこの料理の伝統的なリチェッタをスローフードの地方料理の本、『イタリア・イン・クチーナ

のリチェッタを訳してみます。
材料
サボイキャベツ・・1個
玉ねぎ・・1/2個
堅くなったパーネ・ネロ
ブロード・ディ・カルネ・・1ℓ
スライスしたフォンティーナ・・3枚
バター、塩

・サボイキャベツを細く切り、フライパンでバターと薄切りの玉ねぎでしんなり炒める。
・レードル1杯のブロードを加えて10分煮る。
・ベーキングトレイにバターを塗り、底を厚さ2㎝に切ったパンで覆う。
・パンにブロードをかけて覆い、キャベツとフォンティーナ、バターの小片をのせる。
・190℃のオーブンで20分焼く。

ズッパ・ディ・ヴァルペッリ―ネ。

伝統的にはキャベツをラルドで煮ます。ヴァッレ・ダオスタはアルナのラルドの産地。

アルナのラルド。ラルドを初めて食べる時は、脂身だと思うと敬遠しがち。でも、北イタリアの料理のベースだと思うと一度は食べておきたくなる。
アルナのラルド


さて、このアルプスの名物をたっぷり使うボリュームのある冬のズッパを、どうすればモダンな料理になるのでしょう。


記事の内容は以前の(CIR)や販売している書籍から引用しています。

動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.4。

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2026年5月18日月曜日

アルプスの料理、ズッパ・ヴァルぺリネーゼを地中海沿いの平地に暮らす都会人向きの料理に。

コンテンポラリーな地方料理と言うテーマで各州の代表的でコテコテな料理を紹介している最中にゴールデンウィークに突入して、ヴァッレ・ダオスタの“ズッパ・ヴァルぺリネーゼ”の話が途中になっていました。イタリアで一番小さな州なのに、お馴染みのイタリア料理とはまるで違う食文化で、しかも個性的でおもしろいので、時間をかけて説明してきました。もう一度アルプスの世界に戻ってみます。地中海とは全く違うのに、まぎれもなくイタリア。地中海の次に注目したい地、アルプス。

それではアルプスの世界へどうぞ。

ズッパ・ヴァルぺリネーゼが生まれた地、ヴァルペリーヌは標高960mのコムーネ。

次はお馴染みの地中海の世界。サルデーニャ島の小さな島。MCのスタンリー・トゥッチは『プラダを着た悪魔』にも出てる俳優で、最近ではイタリア系アメリカ人俳優として各種のテレビ番組でイタリアの食文化を紹介しています。

彼の出世作は監督と脚本を担当した1996年の『リストランテの夜』
同作のトレ―ラー。プリモとセコンドという名のイタリア人移民兄弟の物語。

そう言えば、昔、フィレンツェのイタリア語学校に通っていた時、クラスメイトにローマという名前のアメリカ人女性がいました。両親の祖国への深い思いが感じられて感動たものです。

長い休みが明けたら夏のようになっていましたが
今日からボチボチ通常営業に戻ります。
それではまた。



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この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.4。

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2026年5月1日金曜日

ズッパ・ディ・ヴァルペッリ―ネは、厳しい気候、痩せた土地、物量が困難な高山地方のご馳走。ズッパの語源はドイツ語の濡らしたパン。

コンテンポラリーな地方料理というテーマで、イタリア各州の名物料理を紹介しています。
このところ、ヴァッレ・ダオスタの料理を取り上げていますが、このイタリアで一番小さな州の料理の話をするなら、まずフォンティーナのことを理解するのが大前提、という訳で、イタリアを代表するチーズの話をしていました。
次は、ヴァッレ・ダオスタの名物料理、ズッパ・ヴァルぺリネーゼの話です。
この料理は、アオスタの北にある小さな村、ヴァルペッリ―ネが発祥地。

ヴァルペッリ―ネ。

ズッパ・ヴァルぺリネーゼ

ズッパに入れるサボイキャベツは霜が降りた後のものを使います。霜が被ったキャベツは柔らかく、すぐに火が通って味もよい、とイタリアの人は硬く信じています。
材料はフォンティーナ、鍋で煮込んだサボイキャベツ、パンチェッタ、ラルド、軽くトーストした黒パンを組み合わせ、コクのあるブロード・ディ・カルネで覆ってオーブンでゆっくり煮詰める料理。
煮汁がほぼなくなって費用面に薄い焼き色がつくまで熱します。そのためにはこまめにオーブンをチェックすることが必要。パンが乾きすぎるようなら熱いブロードを少量足します。オーブンから出したらチーズが固まらないうちに皿に盛り付けます。
ピエモンテやヴァッレ・ダオスタではズッパに入れるパンにはローストの焼き汁をかけます。これは料理にコクを加える大切なポイント。本格的に作るなら、肉をローストした時に焼き汁を取っておく(濃すぎる時はブロード大さじ数杯で薄める)。ローストの焼き汁がない時は溶かしたバターで代用します。
濃厚で様々な素材の味が重なった料理です。

ズッパ・ディ・ヴァルペッリ―ネ。

そもそもズッパはドイツ語のスライスして濡らしたパンという意味のsuppaが語源。これがロンバルド語のsupfaとなり、さらにトスカーナではzuppa、フリウリではzufとなり、フランス語ではsopeとなった。そのため、ズッパにはミネストラと違ってぬらしたパンというい意味がある。
ミネストラはミネストラ―レminestrare という言葉が語源。食事を運ぶなど様々な意味がある言葉だが、その中の一つにスープを注ぐという意味がある。
ズッパは、イタリア料理には珍しく、ドイツ語由来の言葉ですが、その中に登場するパンは、山の上では、他の地方の普通のパンとは大きく違います。

ライ麦パン。

山のパンはいわゆる黒パン。年に数回しか作らない、質素なイメージでも祭りの食べ物だった。主に高地で一番普及している穀物、ライ麦で作った。年に数回しか作らず、最初の数日はフレスコで食べた。その後は1年かけて納屋で乾かし、パンコットなどにして食べた。

トスカーナのパンコット。

厳しい気候と痩せた土地、物流が困難な地域、山の食事のベースは、牛乳とポレンタ、そして野菜のミネストラ。
わずかな材料で作る本質的で個性的な、人間と自然の結びつきを象徴する料理。
これをコンテンポラリーにする、というのが今月のリチェッタのテーマ。現代人には、山の料理はかなり理解が難しい料理ですが、このボリュームのある野菜料理をもっと軽くする、というのが最大のテーマ。
詳しくは次回。


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2026年4月29日水曜日

フォンティーナのフォンドゥータ。スイスのフォンデューにはフォンティーナは使わない。

ヴァッレダオスタの料理の主役は、イタリアの3大チーズの一つ、フォンティーナ。


フォンティーナ・ダルペッジョ。

フォンティーナの代表的料理はフォンドゥータ。


カルロ・クラッコシェフは、イタリアの地方料理に対する思いと体験をつづった本、『クアルク―ノ・ピア―チェ・クラッコ
    
ヴァッレ・ダオスタ州の食文化を語る章で、フォンドゥータのことをこんな風に書いています。
フォンドゥータはヴァッレ・ダオスタで一番有名なチーズ、フォンティーナがベースの料理。フォンティーナはミルクを出す牛が食べた飼料の違いのために季節によって味が違うチーズ。私にとって理想的なフォンティーナは、牧草が新鮮な寒い間の春と秋のミルクを使ったもの。暑くなると香りや特徴的な味が弱くなる。と書いています。かなりこのチーズには詳しいよう。
一方、ガンベロ・ロッソの創始者が書いたイタリア地方料理の本、『ティピコ・イタリアーノ
では、北西イタリアの料理の代表の1品として、フォンドゥータを紹介し、フォンティーナについてはこう書いています。
アルプスの放牧地は、風景の素晴らしさだけでなく、ヴァッレ・ダオスタの豊かさが詰まっている。夏はこの放牧地の草を食べた地元の品種の牛、ペッツァ―タ・ロッサやペッツァ―タ・ネラが出すミルクが地元の有名なチーズ造りには欠かせない。伝統的に放牧地は6月15日のサン・べルナルドの祝日から9月29日のサン・ミケーレの祝日まで解放される。牛たちはこの期間に渓谷を登り、牛たちの祭りも開催される。

放牧される牛たちの祭り。

ガンベロ・ロッソの創始者は、アルプスの牛飼いだった?

フォンドゥータについては、ヴァッレ・ダオスタ名物のこの料理は、ピエモンテ、サヴォイア、スイスでも有名だが、ヴァッレ・ダオスタの料理はフォンティーナを使うのが他とは違う。
スイスのフォンデュー。他かにフォンティーナは使ってない。

ヴァッレ・ダオスタのフォンドゥータ。


スイスのフォンデューはフォンティーナを使っていない時点でヴァッレダオスタのフォンドゥータとは別物でした。


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2026年4月28日火曜日

フォンティーナになるミルクを出す牛は、夏の放牧地のリーダーになる、喧嘩早くて巨大な、兄貴タイプの品種の牛の一種。

今日はイタリアを代表する3大チーズの一つ、フォンティーナの話。

フォンティーナ。

フォンティーナはモンブランと共にヴァッレ・ダオスタのシンボル。
フォンティーナになるミルクは、ペッッァータ・ロッサというヴァッレ・ダオスタの品種の牛。
ヴァッレ・ダオスタには闘牛の伝統がある。その名も“battagliae delle regine(女王の戦い)”。
優勝した雄牛は、移牧のリーダーになるそうです。戦いに参加する牛は巨大でがっちりしたヴァルドスターナ・ペッツァーラ・ネラという品種。放っておいても夏の放牧地のヒエラルキーのトップに立つために喧嘩するそうです。

バッターリエ・デッレ・レジーナ。

そう言えば、カンパーニアでモッツァレラ用の水牛の牧場を見学した時も、水牛は喧嘩する記満々で迫力あったなあ。カンパーニアの水牛。

ヴァッレダオスタのペッツァ―タ・ロッサはペッツァ―タ・ネラよりもっとおとなしい品種だそうです。毛の色が黒から赤になっただけで性格まで変わるか。

ちなみにヴァッレダオスタの夏の放牧地はヨーロッパでもっとも標高(1500~2500m)が高いそうです。
ヴァッレダオスタの放牧地。

アルプスの移牧から戻ってきた牛たち。おっとりとした白い牛たちの先頭に黒や赤の巨大な牛がいると安心するなあ。


牛たちの餌は高原のフレッシュな草。冬は谷底の酪農場で干し草を食べる。
チーズ造りの最盛期は8月。夏のチーズはフォンティーナ・ダルぺッジョfontina d'Alpeggioと呼び、花の香りと新鮮な草の風味が特徴。色は濃い麦わら色。
このミルクを枠型に入れて固め、重石をのせて積み重ねて12時間置く。筒形のチーズは平らになる。熟成庫に移して塩をまぶして拭きながら最低3ヵ月熟成させる。
搾乳から2時間以内に作られるチーズの香りにはミルクのかすかな甘さが感じられる。これが数か月たつと次第に辛口になってくる。法律によると、フォンティーナの最低熟成期間はわずか3か月だが、夏のフォンティーナは質が良いものなら1年位以上熟成させることができる。若いうちは白ワインが合い、熟成させるにつれて赤ワインか合うようになる。ワインと組み合わせるだけでなく、様々な料理に使うこともできる。夏以外の時期の干し草を食べた牛のミルクから作ったフォンティーナは風味がやや弱い。そこでこれらを料理に使う。フォンドゥータやズッパ・ヴァルぺリネンツェといった料理にはフォンティーナのクリーミーさが活かされてる。

洗練された料理を出すアオスタでも評判の高い店、ヴェッキオ・リストロ・ダ・アルフィオ・エ・カティア。


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2026年4月27日月曜日

ヴァッレ・ダオスタ。アオスタ料理の主役はフォンティーナ。

(CIR)のコンテンポラリーな地方料理の記事の話をしています。ロンバルディアの詰め物入りパスタ、“カソンセイ”の話をしましたが、詰め物入りパスタの話をするとなると、イタリアの代表的詰め物パスタ、ボローニャのトルテッリを無視はできません。というわけで、イタリア料理の心臓部、エミリア・ロマーニャのボローニャの詰め物パスタの話が続きました。イタリア料理は地方色が豊かでそのバリエーションが豊富なのが特徴。記事の次の料理は、ヴァッレ・ダオスタの料理です。ポー河添いの肥沃なエミリア・ロマーニャから、イタリアの北の端の山の上のイタリア最小の州、ヴァッレ・ダオスタに移ります。

ヴァッレ・ダオスタの地理。

この州のシンボルは、アルプスの山、モンブラン。
海と太陽に愛された地中海とは別世界だけど、山と海からなるイタリア料理を構成する大切な半分、山の世界。

モンブラン。

ヴァッレ・ダオスタの味。


ヴァッレ・ダオスタの象徴は、ラベルにアルプスの山並みが描かれたフォンティーナチーズ。

ヴァッレ・ダオスタの料理の話をするなら、フォンティーナの話が中心になります。
そして(CIR)のコンテンポラリーな地方料理の記事で次に取り上げるプリーモ・ピアットは、“ズッパ・ヴァルぺリネーゼ”。料理自体もヴァッレ・ダオスタで一番有名な名物料理。フォンティーナが主役の料理。
フォンティ―ナが出てくると、セットのように思い出してしまうのが、このチーズはイタリアの3チーズの一つだと言うこと。さて、その3つとは?
答えは、パルミジャーノ、モッツァレラ、そしてフォンティーナ。
パルミジャーノ・レッジャーノ。
モッツァレラ。

そしてズッパの話は次回に続きます。


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2026年4月24日金曜日

ボローニャのトルテッリーニの去勢鶏のブロードの香り。クリスマスのトルテッリーニには欠かせない鶏だけど、その味、知ってる人いるかな~。

詰め物入りパスタを構成しているのは、麺、詰め物、そしてブロード。イタリアの伝統的詰め物入りパスタは、ボローニャのトルテッリーニ。
ボローニャはボロニェーゼの地ですが、ラグー・ボロニェーゼは英語で言うとミートソース。日本でもかなり普通に食べることができるソースです。私がボローニャで一番食べてみたかったのはトルテッリーニでした。トルテッリーニの麺は、軟質小麦粉の卵入り麺。乾麺のスパゲティとは根本的に違う麺。伝統的なラグー・ボロニェーゼはタリアテッレにかけます。詰め物は、パルミジャーノ、豚ロース、生ハム、モルタデッラなど、ボローニャの特産品ばかり。さらにポイントとなるのは、ブロードです。具のたんぱく質が溶け出たブロードは、ただのゆで汁ではなく、肉の具の詰め物入りパスタの大切な一部。ブロードのリチェッタを訳していると、必ず登場するのが去勢鶏(カッポーネ)。これは日本人の私にはまったく見当のつかないものでした。食べてみた~い。
 トルテッリーニの記事を訳していると「クリスマスのテーブルに美味しいブロードの香りが漂い始めたら、それはトルテッリーニが運ばれてくる合図だ。」なんてありました。ブロードの香り、それを知りたい!と強烈に思ったのです。
去勢鶏の産地として有名なのはピエモンテ州クーネオ県のモロッツォ。

去勢鶏のブロード。


去勢鶏のブロードのトルテッリーニ。


トルテッリーニではなくトルテッリーニ・イン・ブロードがこの料理の正式な名前。トルテッリーニを去勢鶏のブロードでゆでます。

鶏のブロードの中でも去勢鶏とひね鶏のブロードは上級品。
ポッロ、ガッリ―ナ、カッポ―ネのブロード。

ボローニャで美味しいトルテッリーニ・イン・ブロードを出す店。スフォーリア・リナのwebページはこちら


モデナのサルメリーアのトルテッリーニ。


ボローニャで去勢鶏のブロードのトルテッリーニ、食べたくなった。クリスマスまではまだだけど。

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価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

現在、2023年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
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週末はクレアパッソのお薦め本の紹介。
スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』
《new》イタリア料理アカデミーの本、『スーゴとサルサ
《new》ブランカ―トのシチリア料理のミニシリーズ、『ルスティケリーア』『伝統料理』、『パスティッチェリーア』、『魚料理』

【地方料理、シリーズ】
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2026年4月23日木曜日

詰め物入りパスタの詰め物には、各地の食の歴史が詰まっている。

詰め物入りパスタの話、麺の次は詰め物です。
詰め物入りパスタの味は、様々な伝統や食文化の上に成り立つ詰め物によって決まります。

ロンバルディアのトルテッリ・クレマスキTortelli cremschiは、ビスコッティ、スパイス、ココアの詰め物。砂糖と塩気のある食材を混ぜるルネサンス時代にドルチェとして生まれました。

トルテッリ・クレマスキ。

パスタは軟質小麦粉と卵の生地。
モスタッチ―ノというココア入りの黒いアマレッティ入り。
ゆでて溶かしバターとパルミジャーノをかける。

トリュフの産地として知られるウンブリアには、トリュフの詰め物入りのラビオリ、タルトゥフォリがある。トリュフtartufoとラヴィオリravioliを組み合わせた名前。

詰め物は、リコッタと粗い目でおろした黒トリュフ、またはサマートリュフ。
ゆでたら溶かしバター、イタリアンパセリ、ペコリーノで和え、仕上げにスライすしたトリュフを散らす。

詰め物入りパスタの王様は、ボローニャのトルテッリーニ。
ビーナスの完璧なおへそを再現したと言うその形は、小さくて丸いのが特徴。直径は小指の先より小さい。1個2gに満たず、それも大部分が詰め物の重さ。生地は詰め物を包んでも破れないぎりぎりまで薄く伸ばす。その技は中世後期からまったく変わることなく受け継がれて来た。

トルテッリーニには、残り物を有効利用するという目的もある。麺棒でパスタを伸ばす伝統があり、畜産業が盛んでパルミジャーノのようなチーズや去勢鶏のブロードのような濃厚なブロードを作り出すことができたエミリア地方ならではのパスタ。

カッペッレッティはロマーニャ地方のパスタ。詰め物は去勢鶏とフレッシュチーズがベースで、レモンの皮の香りを加える。トルテッリーニより軽くてマイルド。


詰め物入りパスタ巡りの旅は、北イタリアの食文化を知る旅。
まだまだ色々あります。次回に続く。

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2026年4月22日水曜日

詰め物パスタの生地。キーワードは麺、詰め物、ソース、ブロード。その地域の必然が生み出した詰め物パスタ。

(CIR)のリチェッタから、詰め物入りパスタでパスタの基礎知識を見ています。
詰め物入りパスタは、ラビオリ、トルテッリ、アニョロッティなど。
生地と詰め物、ソース、そしてブロードがこのパスタの構成要素。

パスタの生地は、その材料が軟質小麦か硬質小麦かによって特徴が大きく違う、ということを知りました。パスタ・フレスカの場合、その地域で栽培されているのが軟質小麦か硬質小麦かによって、出来上がるパスタは大きく違います。
その前に、そもそもパスタにはフレスカとセッカがありました。

軟質小麦のパスタ・フレスカ。

硬質小麦のパスタ・フレスカ。

伝統的なパスタメーカーの乾麺のパスタ。


卵入りパスタ・フレスカ。


軟質小麦は粘り気がありすぎて、小麦粉と水を混ぜた乾麺には向きません。硬質小麦は軟質小麦粉と比べると澱粉の量が多く、グルテンを始めとするタンパク質、ミネラル、ビタミン、脂肪が少ないのです。北イタリアの人々が考え出した解決法は、動物性たんぱく質を加える、という方法。つまり卵白を加えたのです。
栄養価が高く、ゆでても煮崩れない生地ができたことによって、具を麺で包むようになります。北イタリアには硬質小麦は育たないけど、チーズや肉の名物はたくさんありました。具にはさまざまな食材が使われましたが、肉が入っているかいないか、あるいは肉の量が多いか少ないかによって“グラッソ”と“マーグロ”に分かれます。ローマ時代に農業と羊飼いの文化が広まった地域では、リコッタなどのフレッシュチーズや野菜を具にしますが、その後、ロンバルド族に支配された地方では、牛と豚の飼育が義務付けられたため、パスタの詰め物にも牛肉や豚肉を使うようになりました。
生地も形も様々なラビオリの美味しさの秘密は、リッチな詰め物にあります。ラビオリの詰め物は様々な伝統や食文化の上に成り立っています。例えば、ピスコッティ、スパイス、ココアの詰め物のクレマスコのトルテッリは、砂糖と塩気のある食材を混ぜるルネサンス時代にドルチェとして生まれました。
詰め物にはその地方の特産物も使われます。トリュフで知られるラクイラにはトリュフの詰め物入りのラビオリがあります。
麺、詰め物、そしてブロード、この3つが詰め物パスタのキーワードです。具のたんぱく質が溶け出たブロードは、ただのゆで汁ではなく、肉の具の詰め物入りパスタの大切な一部でもあります。
さらに、パスタの構成要素にはソースもあります。ただ、風味豊かなパスタには、複雑な味のソースは必要ありません。シンプルな溶かしバターか詰め物に似たソースが向いています。
カラブリアの古い伝統によると、女の子は15種類の違ったパスタが作れるようになればお嫁に行く準備ができたとみなされました。ひえ~。ハードル高すぎ~。

カラブリアの手打ちパスタ。

記事の内容は以前の(CIR)や販売している書籍から引用しています。

動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.4。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
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2026年4月21日火曜日

ブレッシャ風カソンセイ。軟質小麦と硬質小麦。そして古代小麦。

(CIR)の記事、“コンテンポラリーな地方料理”を読み解きながら、詰め物入りパスタを通してパスタの歴史を見ていきます。
パスタの歴史を知ることができるその料理は、ロンバルディアのプレッシャ風カソンセイです。
ロンバルディア。州都はミラノ。国際空港がある訪れやすい街で、イタリアの経済の中心地でもあるので、仕事で訪れる人も多く、トレンドにやたら敏感な街。

ロンバルディア料理。


ブレッシャ。ロンバルディアの街。




ブレッシャの産物。


ブレッシャのカソンセイ。


詰め物入りパスタは、食べたことある人は少ないのでは、と思いますが、イタリア、特に北イタリアでは、祝日には欠かせないパスタです。
ポー河沿岸の平野には、有史以前から軟質小麦が生えていました。イタリア南部など地中海全域では主に硬質小麦が栽培されていますが、イタリア北部の気候は硬質小麦には適しません。

小麦に関しては、イタリア人の知識にはかないません。収穫量の多い新しい品種の小麦を開発すると、ノーベル賞候補になります。イタリアの硬質小麦のルーツを開発した人の功績は、現代にまで受け継がれて尊敬されています。
硬質小麦と軟質小麦という概念は、イタリアのパスタの基本中の基本。さらに古代小麦の知識も世界中に広まっています。

セナトーレ・カッペッリ小麦。

軟質小麦と硬質小麦。


軟質小麦はパンにするとおいしいですが、粘り気がありすぎて、小麦粉と水を混ぜた乾麺には向きません。軟質小麦は硬質小麦と比べるとデンプンの量が多く、グルテンを始めとするたんぱく質、ミネラル、ビタミン、脂肪が少ないからです。そこで北イタリアの人々は、動物性タンパクを加えることによって腰のある生地を作り出しました。軟質小麦にない性質を補う動物性タンパク質、それは卵白でした。
こうして作り出された卵入り麺は、硬質小麦粉の麺より栄養価が高く、ゆでても煮崩れずにアルデンテになり、チーズや肉のような動物性の食材とも合いました。やがてそれらの具を麺で包むようになったのも自然の流れでした。
北部にはチーズや肉の名物がたくさんありますが、中世以来パスタの詰め物の基本となったのはチーズでした。おろして使うパルミジャーノやペコリーノが主流ですが、リコッタやモッツァレラのようなフレッシュチーズも使います。

軟質小麦粉のパスタ・フレスカ。


やっぱりパスタの基本は小麦粉。

ラビオリ誕生の地と考えられているリグーリアは、ラビオリにはこだわりがある。リグーリアのラビオリの生地は卵の割合が少ない。これは倹約のためというより詰め物の味を活かすための方法。詰め物は地域によって違う。

リグーリアのラビオリ。

詰め物入りパスタは、パスタの配合にも様々な背景の食文化があります。知れば知るほど面白い。

動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

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ベネト料理。

(CIR10月号)の料理、“コンテンポラリーな地方料理”。イタリア各州の代表的な料理を現代人向きにアレンジする、というテーマで紹介しています。 今日からはベネト州の料理です。 ベネトの地理。山、平野、湖、川、潟、海と、何でもある地形。山はきのこ、チーズなど、野生の世界のベース。平...