2018年1月29日月曜日

ヴィアローネ・ナノの産地イゾラ・デッラ・スカラ

IGPのヴィアローネ・ナノ・ヴェロネーゼの産地は、イゾラ・デッラ・スカラの周辺だけ。
ということが前回のブログのまとめ。

イゾラ・デッラ・スカラ、階段島なんて印象的な名前の地名、初めて聞きました。
ヴェローナ県なのは名前から想像つくのですが、どんな町なのでしょうか。

産地はこんなところ。どうやら島ではないのですね。
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ヴィアローネ・ナノ・ヴェロネーゼの精米過程
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最新の技術を使ってモダンな工場で精米して、お洒落なデザインのケースに入って販売されています。
でも、イゾラ・デッラ・スカラには、「総合解説」でも紹介している通り、イタリアで一番古くて現役の脱穀機があります。



17世紀に作られたそうですよ。
イタリアの職人魂の一端を見るような、壮大な機械ですね。
巨大な時計のような仕組みだそうです。
動力源は川の水。

西と東で、目的は同じでも、考え出すシステムは全く違ったのですね。
上の動画でコック服を着て、古い脱穀機のシステムを熱く語る彼は、お米のメーカー。
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彼は社長さんだったのか。
自称、イタリア米を世界に伝えるアンバサダーだそうですよ。
レストランも経営していて、ヴィアローネ・ナノ・ウェロネーゼを売る体制は万全。
ジャポニカ米の本場、日本にも輸出してます。
というのが自慢のセールストークのよう。
米はこれだけ熱い作り手がいれば品質には問題なさそうですが、問題は料理です。
ヴィアローネ・ナノ・ヴェロネーゼの美味しさを最大限引き出せるのは、リゾット。
実は、イゾラ・デッラ・スカラ風リゾットというのがあるのですが、私はこの記事を読むまで見たことも聞いたこともないと思っていました。
でも、この料理ができたいきさつを読んで、思い当ることが・・・。
次回はリチェッタの話です。


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"ヴィアローネ・ナノ"の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2015年9月号に載っています。
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2018年1月26日金曜日

ヴィアローネ・ナノ米

いやービックリしました。
近所のスーパーで、ヴィアローネ米を売っていたのです。
ごく普通の小さなスーパーですが、時々とんでもなくニッチなイタリア食材を売りだす変わったスーパーです。

そんな時、『サーレ・エ・ぺぺ』にタイムリーにヴィアローネ・ナノの記事が。
詳細は日本語訳を「総合解説」に載せましたが、訳していて特に印象に残ったのが、

ヴィアローネ・ナノはソースを吸い込みやすい米なので、北イタリアの伝統的手法で作るリゾット、つまり米を炒めてブロードで煮て、柔らかく、クリーミーな"アッロンダall'onda"になるまで木べらでマンテカーレするリゾットには最適

という解説。

ヴィアローネ・ナノIGP管理組合によると、多孔質でソースを吸いやすく、粘りが少ないので粒がくっつきにくく、荷崩れしにくい、という3つの特徴があるそうです。
言い換えれば、リゾットに特化した米なんですね(美味しいスープができるという人もいます)。

ヴィアローネ・ナノは、ヴェローナの貴族の所有地やマントヴァの農家、ヴェルチェッリの中世の修道院の農園などで栽培されてきた米です。
でも、IGP認定されているのはヴェローナ南部のイゾラ・デッラ・スカラの周辺で作られたものだけ。
この周辺では有機栽培が盛んで、水田にはコイやアオサギなどがいるそうです。

ヴィアローネ・ナノIGPの産地
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有機栽培の水田
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水源。米は"泉の真珠"と呼ばれています。
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この地方では、一時はヴィアローネ・ナノの栽培量が減少しましたが、現在は現代的な栽培方法と国際的な販売戦略を取り入れて復活しているようです。

次回はヴィアローネ・ナノの本拠地、イゾラ・デッラ・スカラの話。




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"ヴィアローネ・ナノ"の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2015年9月号に載っています。
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2018年1月22日月曜日

パスタ・エ・ファジョーリのバリエーション


今日は暖まりそうな料理、パスタ・エ・ファジョーリの話。
イタリアの典型的な家庭料理で、見栄えは地味。

Pasta e fagioli

この料理はどの地方の料理と決めつけることができないくらい、イタリア中に広まっています。
おらくそれは、この料理が特殊な食材や技術を使わない、純粋な家庭料理だったからでしょう。

私の初パスタ・エ・ファジョーリはローマのトラステヴェレ地区のリストランテでした。
おじいちゃんカメリエレの接客術が素晴らしい店で、トラステヴェレの下町的な雰囲気の中で食べるのに、これほどぴったりな料理はありません。
なので私の中では、パスタ・エ・ファジョーリと言えばラツィオ料理というイメージが出来上がりましたが、もちろん、初めてこの料理を習った場所がポー河沿いの地方だったら、おそらく違う意見になるでしょう。

パスタ・エ・ファジョーリの基本的なリチェタ。
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基本の材料は香味野菜、トマトペースト、豆、パスタ。
さらに今月の「総合解説」では、この料理のバリエーションの例をいくつか提案しています。
アイデア次第で、いくらでもバリエーションが広がる料理です。
まず、豆は、その時手に入るもので、一番美味しいものを使うのが基本です。
なので、生の豆が出回る時期には生のいんげん豆を使います。
パスタはショートパスタや短く折ったロングパスタが一般的ですが、手打ちパスタでもOK。
「総合解説」では
・生のボルロッティ豆と小麦粉とセモリナ粉の手打ちパスタ、
・乾燥黒目豆とガルガネッリ、ペスト・ジェノヴェーゼ入り
・乾燥白いんげんとグラニャーノ、イカ入りのマリナーラ
を紹介しています。
イカ入りマリナーラは豆も白いんげんを使って白い料理に仕上げます。

生のいんげん豆でパスタ・エ・ファジョーリ
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”パスタ・エ・ファジョーリのバリエーション”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2015年9月号に載っています。
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2018年1月19日金曜日

ポルチーニ

今月の「総合解説」の”きのこ”の記事は、こんな文章から始まっています。

イタリアの1/3は森だ。
きのこの収穫は国民的関心事、なんだそうですよ。
どこかの国に似てますねー。
きのこ狩りが大人気なのは、多分、ポルチーニがあるからではないでしょうか。
こんなきのこが裏山に生えていたら、テンション上がりますよね。
テンション上がった人々
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マンマ・ミーア!
ポルチーニがあるとキスしたくなるんですね。
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記事はこう続きます。
誰もがバスケットをきのこで一杯にして家に帰る姿を思い描くが、天然物で謎の多いきのこの収穫に保証はない。
はあ、現実を見なさいってことか~。

porcino rosso

Dark Cep - Boletus aereus

写真のきのこは、上がポルチーノ・ロッソ、下がポルチーノ・ネロ。
どちらも、ポルチーニの一種です。
一番上の動画のポルチーニもポルチーノ・ロッソ。

ポルチーニの特徴は、乾燥させても歩留まりが良いこと。
長時間の過熱にも耐え、手の込んだ料理に最適です。
フレッシュのものは日本ではトリュフよりレアかも。

イタリア料理人なら、フレッシュのポルチーニを食べるためにイタリアに行った人も少なくないはず。
きのこが地方料理の重要な食材の地方は、トレンティーノ、ピエモンテ、リグーリア、エミリア、トスカーナなど。
きのこ狩りは最高の体験ですが、自治体にお金を払って許可を得た人、毒キノコとの区別がつく人と一緒にね。

きのこ狩りの季節は春遅くから秋。
もう終ってますね。

肉より頻繁にきのこを料理すると言うジェノヴァの、ジェノヴァ風ポルチーニのソース
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ポルチーニとポレンタは黄金の組み合わせ。
ポレンタのフリットとポルチーニのトリフォラートの前菜。
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”きのこ”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2015年9月号に載っています。
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2018年1月17日水曜日

手打ちファルファッレ

今日は、「総合解説」の今月のリチェッタのビジュアル解説。
まずは手打ちのファルファッレ。
手打ちのファルファッレは、簡単にできてなかなか素敵です。

この動画は初心者向きのちょっとぎこちない作り方。
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こちらはちょっと大雑把すぎ。
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「総合解説」では、この中間の片手で作る熟練者向きのテクニックを紹介しています。
簡単そうでも、ただつまむだけではなく、きれいに作るにはそれなりの技があるんです。

手打ちのファルファッレは乾麺とは歯ごたえが全く違いそう。
解説ではホロホロ鳥のラグーであえています。
家庭料理とは思えないご馳走になっています。

次はチュッピン。
リグーリアのズッパ・ディ・ぺッシェですが、今ではサンフランシスコ料理のチョッピーノとして有名になりました(諸説あり)。
解説では1人前サイズのシンプルでとても上品な1品に仕上げています。



チュッピンよりチッョピーノという名前のほうが可愛い?
名前で損してる料理だなあ。

最後はポルチーニのコトレッタ。
解説ではIMPANATI/パン粉揚げとしましたが、コンレッテのほうが名前としては美味しそう。




それにしてもこの大きさで肉厚の天然物のきのこ、すごいですねー。

そうそう、ポルチーニにはいろいろな種類があります。
私も初めて知りましたが、今月の総合解説で紹介しています。
この話は次回に。


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このページの料理のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2015年9月号に載っています。
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2018年1月15日月曜日

9月の食材

「総合解説」9月号はもうすぐ発売。
今日は”今月の食材”のビジュアル解説です。

まずはリクイリツィアliquirizia。
日本語だと甘草/カンゾウ。
英語だとリコリス。

木の小枝にしか見えないこの物体と、それが原料という真っ黒い飴。

Liquirizia Amarelli 1

イタリアの料理書には度々登場するのでその存在は知っていました。
でも、はっきり言って、これのどこがいいのか全く謎。
好奇心から一度は口にするのですが、すぐに激しく後悔。
カラブリアではDOP食材らしい・・・。



枝かと思ってましたが、使うのは根。
9月に収穫して黒い汁を集め、飴やハーブティー、リキュールなど様々なものに加工します。



9月に収穫するものをもう1品。
イラクサ/orticheオルティケ。

Ortiche

おとぎ話に出てくるなんだか痛そうな棘がある草ですよね。
どんな話だったかは忘れちゃいましたが、とても食べられるようなものではないという印象が、子供心にくっきりと刻まれています。

なんとデンマークで実写化されていました。
超メルヘン。
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大人になって、イタリアの料理書にイラクサがかなり頻繁に登場するのに慣れると、イラクサは食べ物という認識になりました。

イラクサをおとぎ話の草だと思っていた頃は食べてみてもいいいかも、とか思っていましたが、棘はあるしアクはあるしで、料理する人は大変かも。

代表的イラクサ料理、リゾット
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下ごしらえは手袋をしてやるんですね。
これを素手でやるとおとぎ話の苦行みたいなことになるのかなあ。

最後は淡水魚のtinca/ティンカ(テンチ)
コイ科の魚。
沼から川に移る9月頃は釣りやすい。
ミラノの運河でティンカ釣り
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ティンカのオーブン焼き
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9月号は明日発売の予定です。


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2018年1月12日金曜日

マガモのラビオリ、レンズ豆と黒トリュフ風味


『カッチャジョーネ』からジビエのパスタのリチェッタ翻訳

ウンブリア、オルヴィエートのリストランテ・イ・セッテ・コンソリ(webページはこちら)のシェフ、アンナ・リタ・シモンチーニさんのリチェッタ。

"マガモのラビオリ、レンズ豆のパッサータと黒トリュフ風味"
Ravioli di germano reale, passata di lenticchie e tartufo nero

材料/4人分
パッサータ;
レンズ豆・・150g
タイム
ラビオリ;
小麦粉・・250g
卵・・4個
塩・・一つまみ
小角切りにしたマガモの肉・・200g
にんじん・・1/2本
葉玉ねぎ・・1/2本
白ワイン・・1/2カップ
セージ、ローズマリー
EVオリーブオイル、バター
黒トリュフ・・50g

トッピング;
グラナ・パダーノ、EVオリーブオイル

・パッサータを作る。タイムで香りをつけた水でレンズ豆をゆでてミキサーで攪拌する。
・ラビオリを作る。にんじん、葉玉ねぎ、セージ、ローズマリーのみじん切りをオイル大さじ4でソッフリットにし、マガモの肉を加える。塩とワインも加えて5分煮る。
・これをミキサーにかけて締まった詰め物にする。
・小麦粉、卵、塩をこねて麺棒で薄く伸ばし、直径12㎝の円形20枚に抜く。詰め物をのせてラビオリ形に閉じる。
・塩を加えたたっぷりの湯で3分ゆで、バターとトリュフのジュリエンヌを熱したフライパンでなじませる。
・皿にレンズ豆のパッサータを敷き、その上にラビオリとトリュフを盛り付ける。
削ったグラナ・パダーノで覆い、オーブンで1分グラティナ―レする。
・仕上げにEVオリーブオイルをまわしかけてサーブする。


レンズ豆と黒トリュフはどちらもウンブリアの貴重な名物。
ジビエとの相性もバッチリ。
イタリアでは様々なトリュフが採れますが、代表的なのは2種類。
 1つは10月から12月にかけて育ち、ピエモンテ(ランゲ、モンフェッラート)、ロンバルディア(オルトレポー・パヴェーゼ)、エミリア・ロマーニャ(パルマとロマーニャ地方にまたがるアペニン山脈)、トスカーナ、マルケ、ウンブリア、アブルッツォ、モリーゼの各地で採れる白トリュフ(代表的産地はピエモンテのアルバとアックアラーニャ)。
 もう1つは11月から3月にかけて育ち、ウンブリアとマルケにまたがるアペニン山脈、ピエモンテ、ヴェネト、リグーリアで採れる黒トリュフ。
 白トリュフは薄くスライスしながらシンプルな料理にかけて生で食べ、黒はさっと加熱してアロマを立たせる。

アンナ・リタ・シモンチーニシェフのオルヴィエト風バッカラのウミド



参考までに、この動画の最初のほうでマガモを切り分けています。
切り落としや小骨はブロードに使います。
肉は香草とワインで2日間マリネ。
マガモのパスタ





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2018年1月10日水曜日

野鳥のブロードのタリオリーニ・イン・ブロード

さて、ジビエです。

『カッチャジョーネ』を読んで、ジビエ料理の基本は、さばき方と適切な熟成具合を知ることと学びましたが、これはおそらく狩人の領分。
なんとこまででまだ冒頭の10ページ。

料理人としての初歩は、ブロードを取ること。
イグレス・コレッリシェフの、料理と同じ動物のものからとること、塩は水分が減って濃度が濃くなるので少量だけ加えること、蓋はしないで煮ること、野生の哺乳類は脂肪が少ないのでアクを取る必要がない、解体して骨を取ったらすぐに冷凍し、ブロードも作ったら少量ずつ冷凍して保存する、などの細かいアドバイスもあります。

それでは、野鳥のブロードのリチェッタを訳してみます。

Il brodo di selvaggina da piuma
材料/2ℓ分
内臓を取って下処理した丸ごとの野鳥・・約1㎏
野鳥のガラと切り落とし・・1~数羽分
にんじん・・2本
玉ねぎ・・1個
セロリ・・1本
ローリエ・・1枚
葉なしのイタリアンパセリの茎・・2~3本
粒黒こしょう・・小さじ1
クローブ・・1個

水・・5ℓ

・玉ねぎは皮をむいてクローブを刺す。
・全部の野菜を下処理して他の材料と一緒に水に入れる。
・沸騰させ、弱火で、アクを取りながら約1時間30分ゆでる。
・野菜を取り出してさらに1時間ゆでる。
・ブロードを漉して冷ます。氷水に宛てて冷ましてもよい。
・肉はパスタの詰め物やポルペッティーネに使ってもよい。

本ではさらに哺乳動物のブロード、フォンドと続いていきます。

フォンドについてはいまさら説明することもないと思いますが、サルサのベースとなるもので、ブロードより手間暇がかかります。
なので、次は、どの料理もとても美味しそうなこの本から、野鳥のブロードを使った1品の紹介です。

フォアグラのラグーとグラナ・パダーノのタリオリーニ・イン・ブロード
Tagliolini in brodo con ragù di fegato d'oca e Grana Padano
 ヴェローナのIl Descoのエリア・リッツォ・オーナーシェフのリチェッタ

材料/4人分
タリオリーニ;
小麦粉・・200g
卵・・2個
塩・・一つまみ
ブロード・・1/2ℓ
トッピング;
フォアグラ・・200g
グラナ・パダーノ・・50g


・タリオリーニを作る・小麦粉、卵、塩をまぜてこね、弾力のあるなめらかな生地にする。
・麺棒で薄めに伸ばす。
・打ち粉をして巻き、幅3~4㎜にカットする。
・ブロードを沸騰させてタリオリーニをゆでる。
・フォアグラを小角切りにして調味料は加えずに2分炒める。
・パスタとブロードを皿に盛り付けてフォアグラとおろしたグラナ・パダーノ大さじ数杯を加える。熱々をサーブする。

この料理はぜひ写真を見ていただきたかった。
ひたひたのブロードで覆われた姿は超美味しそうですが、実はラーメンそっくりです。
イメージ画像
断面が丸い麺だとラーメンそのものですが、平麺はもう少しパスタ感アップ。

これはヴェローナのレバーのタヤリン。
そういえば、ヴェネトはレバー料理の本場でした。
この写真の料理のレバーとブロードは鶏。

野生のガチョウ



ミートボールのタリエリーニ・イン・ブロード



冬にぴったりの熱々のパスタです。

次回はもう少し身近な野鳥、マガモのパスタです。



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2018年1月8日月曜日

ベファーナ

クリスマスモードがようやく終わりを迎える1月6日。
イタリアではエピファニア(公現祭)とかベファーナと呼ばれますが、この日は魔女がやってきて、よい子にはお菓子を、悪い子には炭を置いていくと言われています。
私の住む町では、PM10の影響でここ数年中止されていた、イタリア版どんど焼きともいえるベファーナ祭りが開催されました。

befana

befana

東方の三博士を筆頭に魔女行列が町を練り歩き、最後に魔女人形が燃やされちゃうという流れです。
 日が暮れるまでは、昔から伝わるダンスや職人さん達の実演もあり、大人から子供まで伝統文化を楽しめる、郷土愛の溢れるお祭りでした。

danza tradizionale

artigianale

環境に配慮して、燃やすのはワラや小枝のみ。
点火の前にはこの地方らしく、ワインとポレンタの豊作を祈っていたのが印象的でした。

befana

黒い煙だとダメな1年、白い煙だと良い1年になるとかで、みごと白い煙がもくもくと立ち昇りました。
2018年はきっといい年になる、と思います!

さて、ヴェネチア近辺ではこの日に食べる昔ながらのお菓子があり、近所のパスティッチェリアが2日間だけ販売していると聞いて、早速食べに行って来ました。

pinza

pinza

このいかにもずっしりした素朴なお菓子、PINZAと言うそうです。
そういえば、お祭りの屋台でも、ホットワインと共にピンツァが販売されていました。
クリスマスの余った材料を使って作るお菓子なので、レシピは各家庭によって違いがあるそうですが、元々は貧しい農民達のご馳走ドルチェで、基本的に卵は不使用。
固くなったパンやポレンタ、つなぎに小麦粉を少量加え、リンゴやイチジク、ブドウなどの干し果物にナッツ類、香りづけにフェンネルを入れて焼いたものだと、パスティッチェリアのお姉さんが熱弁してくれました。
興味深々で話を聞いていたら、カーニバルのお菓子フリッテッレをおまけしてくれて嬉しい~。

frittelle

こちらは卵を使ったドーナツ風のドルチェなのですが、ここのは手に油が付かなくて、パクパクいけちゃうからキケンです。
クリスマスが終わると、もう次はカーニバルがやってきます。
ダイエットのタイミングを教えてください。


Grazie Segnalibroさん!
エプロン姿、中央ヨーロッパの香りがします。
ベファーナ祭りってイタリア版どんど焼きかあ。
盛大でいいですねえ。
ピンツァにはそんな由来があったんですね。
次はカーニバルかあ。
楽しみに待ってま~す。



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2018年1月4日木曜日

ジビエのイタリア料理

あけましておめでとうございます。
なんでも巷ではジビエがブームなんだそうですね。
そこで今年のブログは『カッチャジョーネ』という本から。



ちらっと読んでみたら、こんな一文が目に入りました。

「この本のリチェッタを作ってみる時に、猟師である必要も、猟師の友達がいる必要もない。
イタリアで売られているジビエの多くは、専門の業者が飼育したものか、野生動物が多く繁殖している国から輸入されたものだ。
野生動物を飼育し、その肉を保存する技術の発達によって、様々なジビエが、一年中手に入るようになった。
猪、鹿、かもしか、野ウサギ、ウズラなどは特に手に入れやすく、さらに、ジビエの多くは家禽類でも代用できる。」

なんだかハードルが一気に下がったような気がしました。

鴨の飼育
 ↓


現代人の舌は、より甘くて弱い味を好み、アゴも弱くなったのか、柔らかいものを小さなスプーンを使って食べるように変化しています。
これは日本の話かと勘違いしそうですがではなく、これはイタリアの話です。

それでは、味が強くて硬いジビエを、なぜ人は食べるのでしょうか。
野生動物の肉は、それ自身が食べた物から出来上がっています。
野草や果物、木の実、森の下ばえ、沼の生物などです。
これ以上ないほど自然で本物です。
この点が、美味珍味が溢れる昨今、多くの美食家を惹きつけているのではないでしょうか。

イタリア語では、ジビエの中でも野鳥はカッチャジョーネcacciagione、哺乳類はセルヴァッジーナselvagginaと呼び分けています。
ただし、どちらの言葉も意味するものは同じです。
鳥類をセルヴァッジーナ・ダ・ピューマselvaggina da piumaと呼ぶこともあります。
ピューマは羽、羽毛、翼という意味。
哺乳類はセルヴァッジーナ・ダ・ペーロselvaggina da peloと呼びます。
ペーロは毛、毛皮という意味。

ジビエ料理は、下処理、熟成が必要で、適切な熟成期間を知るには、その動物が若いのか成獣なのかを見極めることも必要です。
現実を見ると、イタリア料理のジビエ入門は、多分、ブロードとフォンドを取ることあたりから始めるのが無難じゃないでしょうか。
という訳で、次回は『カッチャジョーネ』のリチェッタを訳してみます。




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生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...