2020年4月30日木曜日

サルデーニャの天国みたいな海と農家の暮らしから生まれるパスタ

サルデーニャの職人技の美しいパスタは、まだあります。

今日のパスタは、まずロリギッタス。


細長く伸ばした麺を指の周りに2周巻きつけてねじって閉じた髪ゴムのようなパスタ。
ロリギッタスとは地元の言葉で小さな輪っかのこと。

発祥地のモルゴンジョーリ地方のロリギッタス祭り。

さらに極細に伸ばした麺を重ねた紙のように薄いパスタ、フィリンデウ。

クスクス風玉状パスタ、フレゴラ。

どれもセモリナ粉と水と熟練の技から生み出されるサルデーニャのパスタです。

トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ2』は
サルデーニャのパスタを豊富な写真で詳細に伝えている本。

本から、リストランテ・ダ・フランコのリチェッタをどうぞ。
店があるのは典型的なサルデーニャの海、マッダレーナ諸島の海辺。
マッダレーナ諸島

サルデーニャ料理はこの海と、伝統を守る農家の暮らしから生まれます。

貝とスカンピのロリギッタス、サフラン風味/Lorighitta con tarrufi di mare e scampi allo zafferano

材料/6人分
ロリギッタス・・300g
スカンピ・・18尾
タルトゥーフィ・ディ・マーレ・・48個
サフラン(ホール)・・約12本
EVオリーブオイル・・大さじ1
フィノッキエット・セルバティコ、またはディル・・数房


・貝を砂抜きしてソテーパンに入れ、弱火にかけて貝を開ける。
・たっぷりの水を沸騰させて塩を加え、ロリギッタスをアルデンテにゆでる。
・貝を殻から出す。汁は漉してフライパンに入れ、サフランと油大さじ1を加えて弱火で数分煮詰める。
・殻から出した貝を加えて火を止める。
・スカンピを蒸す。
・パスタを取り出してサフランと貝のフライパンに加え、1分なじませる。
・皿に盛り付け、各皿にスカンピ3尾とフィノッキエットを加える。

黄色いパスタと赤いスカンピが美しい1品です。

最後はアサリのフレーゴラ/FREGOLA CON ARSELLE


材料/4人分
フレーゴラ・・250g
アサリ・・1kg
小さく切ったホールトマト・・150g
白ワイン・・50g
にんにく・・2かけ
塩、こしょう
イタリアンパセリのみじん切り・・大さじ1
EVオリーブオイル

・アサリを砂抜きする。
・ソテーパンを熱し、油とにんにく、貝を入れてワインをかける。蓋をして高温で熱して貝を開ける。
・貝を漉して砂と割れた殻を取り除く。半量は殻から出す。
・ソテーパンに油とにんにくを熱し、にんにくを取り除く。刻んだトマトを加えてなじませ、フレーゴラを加える。
・リゾットの要領で貝の汁を少しずつかけながら煮て、塩、こしょうする。汁がなくなったら水をかける。
・フレーゴラが煮上がったらアサリを加えてなじませる。仕上げにイタリアンパセリのみじん切りを散らす。


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総合解説
トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ2
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2020年4月29日水曜日

とっつきにくいのに美しくて魅せられる大女優みたいなパスタ。

今月の「総合解説」から、地方料理2つめは、サルデーニャです。

一品目は“クルルジョネス”。P.13、P.17
パスタのように見えないその名前や外見からは、サルデーニャのパスタの真髄とも言える“???”が詰まったような、詰め物入りパスタです。
クルルジョネスは、1つ目のルはluで、2つめのルはフランス語のrのように発音する、日本人が苦手で発音できない発音で超難しい。
成形の方法を文章で説明するのも至難の業。
名前を呼ぶのも成形するのも、最初から避けられているようなとっつきにくさです。

ラビオリ・サルダことクルルジョネス。

この麦の穂のような形に成形できる機械はないので、今でもすべて手作業で作るパスタ。
詰め物はじゃがいもとペコリーノ。

イタリアで最も人口が少ない県、オリアストラが発祥地。

オリアストラ。

オリアストラのクルルジョネスは地元産のじゃがいもがポイント。
クルルジョネスはオリアストラのIGP製品。管理組合によると年間売上は500万ユーロ。
地元の女性の80%がクルルジョネス作りに携わっているそうです。


短い動画があったのでリチェッタを訳してみます。

culurgiones/クルルジュネス

詳しいリチェッタは「総合解説」をご覧ください。
・詰め物を作る。じゃがいもは皮をむいてゆで、マッシャーで潰してチーズと混ぜる。ミント、にんにく、油も加える。冷蔵庫で数時間休ませる。
・にんにくをみじん切りにする。ミントをみじん切りにする。
・ボールに小麦粉、油、水を入れてる。こね、なめらかな生地にする。
・麺棒で薄く伸ばし、コップの縁で丸く抜く。
・詰め物を少量ずつまとめてのせ、つまんで閉じる。
・トマトのパッサータに油、塩、バジリコを加えて熱する。
・塩を加えた湯でクルルジョネスをゆでる。浮かび上がったら取り出してトマトのパッサータを敷いた皿に盛り付ける。
・ソースをかけてチーズを散らし、バジリコで飾る。


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総合解説
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2020年4月28日火曜日

ティラミスに下剋上されたズッパ・イングレーゼ。最近見ない?

さて、ズッパ・イングレーゼ。
この名前のズッパの部分は、“浸す”という意味のイタリア語、inzuppare/インズッパーレから。

最近ではすっかり姿を消したズッパ・イングレーゼzuppa inglese

(約12人分)・卵黄8個、砂糖250~300g、ふるった小麦粉70g、熱した牛乳1Lでクレーマ・パスティッチェーラを作り、ホワイトチョコレート100gを加える。表面に膜ができないように粉糖を散らして、またはラップで覆って冷ます。
・同じ材料、要領でビターチョコレート400g入りクレーマ・パスティチェーラを作って冷ます。
・水1カップ、砂糖40gでアルケルメス1/2カップを沸騰させてシロップを作る。
・サボイアルディの両面にシロップをさっと浸してオーブン皿に並べる。
・その上をクレーマ・パスティチェーラで平らに覆う。
・その上をチョコレート入りクレーマで平らに覆う。
・ラップで覆って冷蔵庫で2時間休ませる。

マスカルポーネ以外はティラミスとほぼ同じ。
なぜ消えた。
アルケルメスという特殊なリキュールがネックかなあ。
ティラミスはコーヒーだもんね。

アルケルメスはアラブ生まれで、フィレンツェで洗練されたリキュール。
カテリーナ・デ・メディチがフランスの宮廷に広めた、とも言われています。

オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・フィレンツェ・エ・キアンティ


によると、このドルチェの名前については諸説あるが、不明なことも多く、唯一確かなことは、イギリスとは関係ない、ということ。

生まれたのはトスカーナだが、最近になって、ティラミスにすっかりその座を奪われた。
有力な説は、フィレンツェ近郊の丘でぶどうを栽培するイギリス人家族に雇われた農民が、残り物を有効利用しようとして考え出したというもの。
この場合の残り物とは、朝食やお茶のケーキ。
なるほど、だいぶありそうに思えてきました。

リチェッタが最初に登場するのはフェラーラのエステ家の宮廷料理。
エステ家の宮廷料理には、アングロサクソン系のトライフルという、発酵生地を甘口ワインにひたしてホイップクリームやアマレーナを重ねた1品が伝わっていた。 
この料理のスポンジ生地をサボイアルディに変えると、ズッパ・イングレーゼになります。

フルーツトライフル


ちょっと残り物感あるかも。
イギリスとイタリアの違いは、シロップに欠かせないアルケルメス。
アルケルメスはアラブで生まれてフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラの薬局で完成されたリキュール。


赤い色はとても美しいけど、手に入れにくいのが欠点。

サンタ・マリア・ノヴェッラの薬局


その欠点をカバーしたのが、今回の主役、ズッパ・ディ・アリオスト。
このドルチェはアルケルメスもサボイアルディも使うけど、一番の主役はチェリーのシロップ煮です。
チェリーと言えば、アリオストが総督を勤めた街、ガルファニャーナの名物でした。

そう、ここにつながるのでした。
このドルチェはズッパ。
つまり、チェリーのシロップにインズッパーレするドルチェです。
オリジナルのズッパに色々応用できそうですね。

チェリーのシロップ煮といえば、アマレーナ。

自家製チェリーのシロップ煮

材料/
種とヘタを取ったチェリー・・500g
水・・200ml
ブラウンシュガー・・200g
レモン汁・・大さじ3
コーンスターチ・・大さじ3

・チェリーの種とヘタを取る。
・鍋にチェリー、ブラウンシュガー、水を入れて火にかけ、かき混ぜて砂糖を溶かして煮る。
・小鍋にレモン汁大さじ3、コーンスターチ大さじ3を入れて溶かし、焦がさないようにかき混ぜながら2分煮詰めてチェリーに加え、10分煮詰める。
・ハンドミキサーで撹拌する。
・火を止めて数分休ませて漉し、室温で冷ます。
・スクイーザーに入れて冷蔵庫で保存する(約1ヶ月)。または密閉容器に入れて湯煎で20分煮沸殺菌する。
・ジェラートにかけたり、サボイアルディを浸してチェリーとホイップクリームを交互に重ねる。

これは高カロリーのマスカルポーネも手に入りにくいアルケルメスも使わない、新種のティラミスの一種、または新種のズッパ・イングレーゼではないですか。

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総合解説

オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・フィレンツェ・エ・キアンティ

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2020年4月27日月曜日

ルネサンスのベスセラーファンタジーの作者が総督を務めた街の名物ドルチェ

トスカーナ料理の最後はデザート。
ズッパ・デッラ・アリオスト。
初めて聞いた名前だなー。
多分、ほとんどの人が、どんなドルチェか想像もできないはず。
リチェッタと写真は「総合解説」2018年5/6月号P.16にあります。
これを手がかりに、どんな料理か調べてみます。

まず最大の手がかりは、記事に書かれた短い説明。“アリオストとは、詩人のルドヴィコ・アリオストのこと”。

16世紀のイタリアの詩人のこと、知ってるはずないので、wikiで調べました(こちら)。
代表作は『恋するオルランド』あれ、聞いたことある。wikiによると、
ルネサンス期のベストセラーであり、「美しき姫と勇者の騎士との恋と冒険の物語」
魔法の楯や指輪、天馬などが登場する幻想的な物語。
魔法使いや怪獣のたぐいも頻出し、月へ旅行したりもする、今日ではファンタジーでおなじみのヒッポグリフなどが初登場したのはこの物語である。
とあります。
男性から女性に不思議な変身を遂げたエリザベス朝の貴族オルランドの四百年にわたる時空を越えた旅の物語だって。
1992年に(そんなに昔の映画だったか)ティルダ・スウィントン主演でイギリスで映画化された時、そのアバンギャルドさが話題になったので、私でも知っていました。
バージニア・ウルフの『オルランドー』を原作にして、益々難解な映画に仕上がっていました。

映画『オルランドー』トレーラー


アリオストは、エステ家の枢機卿に仕え、ガルファニャーナの総督になった人です。

ガルファニャーナとはトスカーナ州、ルッカ県の街。
このあたりにトスカーナのドルチェとの結びつきがありそうです。

ガルファニャーナ

ルネサンスのベストセラー作家の詩人が収めた街、ガルファニャーナの名物は、チェリー。

ガルファニャーナのさくらんぼは白い筋があるのが特徴。

料理の写真とズッパという名前から推理すると、ズッパ・イングレーゼの一種のよう。

ズッパ・イングレーゼ


ズッパ・ディ・アリオストを調べていましたが、話しはズッパ・イングレーゼに移りそうなので、きょうはここまで。

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総合解説
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2020年4月26日日曜日

家庭料理の基本の1品、トマトのオーブン焼き

さて今日は、トマトのグラティナーティです。「総合解説」2018年5/6月号P.15

トマトのオーブン焼き

半分に切ったトマトをオーブンで焼いたりグリルするこの料理は、イタリアの基本の家庭料理の1品。

ユニークな家庭料理の本、『マンマミーア

には、詰め物をしない、基本中の基本のとてもシンプルなリチェッタがありました。

トマトのグリル、タイム風味オイルがけ/pomodori grigliati con olio profumato al timo

材料/4人分
熟した締まった赤いトマト・・8個
レモンタイム・・2枝
EVオリーブオイル・・大さじ4
にんにく・・2かけ
粗塩、こしょう

a.フライパンに油とにんにくを高温にならない程度に熱し、冷まして香りをつける。 レモンタイムを加える。
・トマトを2つに切って軽く粗塩を振り、水分を出す。
・切り口を下にして炭から5cm離して置いた網にのせ、6分焼いて裏返す。
・網を火の中心からやや遠ざけ、3~4分焼く。
・トマトをバットに入れてaの油をかけ、5分なじませてサーブする。

これは詰め物をしない、ベースのリチェッタ。
これに詰め物をするなら、バリエーションは無数にありますが、例えば、玉ねぎ、イタリアンパセリ、セロリのみじん切りをソッフリットにし、乾燥ポルチーニ、牛乳に浸したパン粉、塩、こしょう、パルミジャーノを加えます。
これをトマトに詰めてオーブンで焼きます。

トマト料理がなぜトスカーナ料理なのか、あれこれ考えてみましたが、1つ思いついたのが、これはクロスティーニやブルスケッタの逆バージョンなのかも、ということ。
パンにトマトをのせるブルスケッタは、トマトにパンをのせるとこうなるかも。

ブルスケッタ

質素な食材を、風味豊かでボリューミーな料理に替えるトスカーナ人の才能が活かされていそう。


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総合解説
マンマミーア
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2020年4月25日土曜日

アサリのズッパやトマトのグラティナーティがトスカーナ料理という謎。

ビステッカ・フィオレンティーナからの流れで、トスカーナ料理の話題に移ります。
総合解説」P.15にもある通り、トスカーナはパスタよりパンの地方で、おいしいズッパがたくさんあります。
で、トスカーナ料理として『クチーナ・イタリアーナ』が選んだ料理が、アサリのズッパとトマトのグラティナーティ。
うーん・・・。なんでやねん・・・。
アサリは無理やりズッパにしたな、と勝手に想像したのですが、トスカーナ料理がトマトのグラタンて、これにはちょっと悩みましたよ。
でも、リチェッタを見て納得しました。
パン粉です。めっちゃみっちりかかってます。
副題の伏線、無理やり回収しました。

では、アサリのズッパから。

なかなか美味しそうですが、「総合解説」のリチッェタはもっとシンプルです。

アサリはイタリアの沿岸部ならどこでも採れる貝です。
さらに、この料理は漁師が船の上で作る漁師料理。
なので、最低限の材料で簡単にできます。
手に入る僅かな材料を使って風味豊かな料理を生み出すのがトスカーナ料理の特徴なので、それを考えるとなるほどしっかりトスカーナ料理。
しかも、これはパンを浸すのにはピッタリの料理。
いやむしろ、パンを浸すための料理。
そう思って再びリチェッタを見ると、納得できますよ。
料理の写真は「総合解説」のページにあります。

グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ』には、

“アルゼッレのズッパ”のリチェッタがありました。
アルゼッレはアサリの仲間で、もっと小型で薄い二枚貝。
場所によってはテッリーネtellineとも呼ばれます。

アルゼッレのズッパZUPPE DI ARSELLE
材料/4人分
アルゼッレ(テッリーネ)・・1.5kg
にんにく・・2かけ
唐辛子・・1本
イタリアンパセリ・・少々
田舎パン・・4枚
白ワイン・・1カップ
EVオリーブオイル・・大さじ6、塩

・塩35gを溶いた水1Lで(海水の塩分濃度)貝を12時間砂抜きし、流水で洗う。
・にんにくのみじん切りと唐辛子を油でソッフリットにし、色がついたら貝を入れてワインをかける。火を強めてアルコール分を飛ばし、。揺すりながらさっと炒め、貝が開いたら火から下ろす。
・軽く塩をしてイタリアンパセリのみじん切りを散らす。
・皿にトーストしたパンを敷き、貝と汁で覆う。

テッリーネ漁





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総合解説
グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ
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2020年4月24日金曜日

フィレンツェでは、フィオレンティーナと言えば、ステーキかサッカーのチームか、美人のこと。


ビステッカ・フィオレンティーナのリチェッタは、焼き肉奉行の数だけありますが、

総合解説2018年5/6月号P.12」や“グイド・トンマージ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ『トスカーナ』によると、

生後2年以上のキアーナ牛の15~20日熟成させた肉を、骨にロースとサーロインがついた重さ1.5kg、幅4~5cm以下のTボーンに切って、フォークやナイフで穴を開けて、板ではなく、炭から10cm離した網でオークやオリーブの炭で、レアに焼きます。
外側はこんがり、中は柔らかくピンク色に焼き上げるには、片面5分焼きます。
塩は焼いている肉の上に散らします。こしょうは控えめで油やレモンはかけません。

キアンティ地方の各地で行わせるフィオレンティーナのイベント。
下の動画はヴァル・ディ・ペーザのステーキ祭りで優勝したマルコが焼くフィオレンティーナ。

彼の場合は冷蔵庫から4~5時間前に出して肉の内部を室温にしておく。
1.4~5kgの肉の場合、片面平均5分、裏返してさらに5分、骨を下にして側面を5分焼く。
網から肉をはずし、細粒塩と粗塩を散らす。
骨を切り取る。


キアニーナ誕生の地、ヴァル・ディ・キアーナ地方のフィオレンティーナ祭りでも知られるコルトーナの人気店、オステリア・デル・テアトロのTV用PV。




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総合解説
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2020年4月23日木曜日

ビステカ祭りの動画で、リモートで祭りに参加している気分。さっきから肉を焼く匂いが・・。

ブログのビステカ・フィオレンティーナの話は、「総合解説」2018年5/6月号の“『サーレ・エ・ぺぺ』編集長のエッセイ”の記事(P.11)の日本語訳が元になっています。

このステーキは、世界最大の牛、キアーナ牛のTボーンステーキを炭火で焼いたものだということは、よく知られていますよね。

フィレンツェの復活祭のパレードの練習を数ヶ月かけて行うキアーナ牛。


この料理はフィレンツェの肉屋と牛の飼育農家の美食文化の結晶で、料理の美味しさはすべて肉次第。
フィレンツェとトスカーナ州が、ユネスコの無形文化財に立候補したということは、これからも責任をもってこのステーキを守っていくという決意の現れでしょう。


キアニーナの故郷、ヴァル・ディ・キアーナ。

ちなみに、フィレンツェの中央市場、サン・ロレンツォには、フィレンツェ肉屋協会の副会長が店を出しているそうです。
ビステカ・フィオレンティーナの研究者としても知られる人なので、色々教えてくれるかも。
サン・ロレンツォの市場(サムネの人は違います)


サン・ロレンツォといえば、ビーフステーキがビステッカと呼ばれるようになった経緯には、こんな話が・・・。
諸説ありますが、代表的なのは、1565年のサン・ロレンツォ広場でのこと。
広場にはメディチ家の墓所、サン・ロレンツォの聖堂があります。
 ↓


11565年、この広場で祭りが開かれていて、牛肉の串焼きローストが振る舞われていました。
祭りを手伝っている人々の中に、イギリス人の騎兵の一団がいましたが、彼らは、このローストが欲しくて、「ビーフステーキ」と叫んだのだそうです。
また別の説によると、19世紀にイギリス人の間でトスカーナに移り住むのがブームになり、多くのイギリス人が肉屋でビーフステーキ用カットを注文するようになり、その部位をビステッカと呼ぶようになった、というもの。

トスカーナには、毎年夏にビステッカ祭りをする肉食系憧れの街もあります。
コルトーナです。
30人がかりで3000枚のステーキを焼きます。
コルトーナのサグラ・デッラ・ビステッカ。イタリア一でかい網で、炭火で焼きます。
画面から肉が焼ける匂いが・・・。
 ↓

動画見てるだけでセロトニンが出でくる~。
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2020年4月22日水曜日

世界一有名な肉屋の肉はみんなを幸せにする

前回からフィオレンティーナの話題に突入。

フィレンツェを訪れる外国人やイタリア人は、例外なくほぼ全員が、フィレンツェでビステッカ・フィオレンティーナを食べたい、と夢見ています。
でも、フィオレンティーナが何かは意外と知らない。
そこで、フィオレンティーナに一番詳しい人は誰か、探してみた。

何しろフィオレンティーナは肉の美味しさが8割で、イタリアで一番有名な肉屋、ダリオ・チェッキーニ氏も、肉はうまいかまずいかだ、と断言しています。
彼は250年続く肉屋の家系に生まれましたが、両親は早くに亡くなり、ほぼ独学で技術を身につけます。
彼が初めてビステッカを食べたのは18歳の誕生日でした。
現在は祖父のリチェッタの料理を出すリストランテも経営しています。
肉屋としての腕はもちろんのこと、そのユニークな個性や豊富な知識も愛され、尊敬されて、いまや世界一の肉屋と評価されています。

ダリオ・チェッキーニの一日

彼の全力パフォーマンスは素晴らしい。
セロトニンがドバーッと出そう。

フィオレンティーナに最適の肉を手に入れるなら、信頼できる肉屋を見つけるのが第一。

伝統的肉屋の学校

カッコよく真剣にカットしていたのはビステッカ・フィオレンティーナだったのが最後にわかる演出。


フィレンツェの肉屋の話、次回に続きます。

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2020年4月21日火曜日

シリアル・グリラーの憧れ、フィオレンティーナ

今日の「総合解説」のお題は、『サーレ・エ・ペペ』
の編集長のエッセイ。
テーマは、ビステッカ・フィオレンティーナ。
世の中には、“シリアル・グリラー”と呼ばれる人がいるそうです。
まあ、ダジャレを解説するほど野暮なことはないけど、これは、シリアル・キラー(連続殺人犯)のダジャレですな。
何でもバーベキューにしたがる人のことだそうですよ。
日本語にするなら、焼き肉奉行、あたりでしょうか。

人の焼き肉を指図してでも自分の思い通りに焼かせたいという、焼き肉に強いこだわりを持ち、かつ定期的に肉を焼きたくなる人は、イタリアにもいるんですねー。

そんなシリアルグリラーにとって憧れの食材はフィオレンティーナです。

ビステッカ・フィオレンティーナ

フィレンツェの肉屋は肉を語る語る・・・。

フィオレンティーナは15~24ヶ月齢の牛のロースを最低15~20日間熟成させたヒレとサーロインを含むTボーンステーキですが、
それだけでなく、フィレンツェの肉屋と牛の飼育農家の美食文化の結晶でもあります。

昔はフィオレンティーナになるのはキアニーナだけだけでしたが、今はマレンマ、マルキジャーナ、ピエモンテーゼなどと各種あり、フランスやスペインまで仕入れに行く肉屋も珍しくないとか。
何しろ、フィオレンティーナは肉が80%で残りの20%は技術とサービスだそうですよ。

フィオレンティーナを焼く時は、ただ肉を焼くのではなく、奉仕するという気持ちが必要なんだそうです。

炭火で焼くビステッカ・フィオレンティーナ

サムネでワインが飲める!
ただし、あまり重すぎない赤が会います。

肉は、厚さは指4本分というのが定説ですが、これだと厚すぎて中まで火が通らないので指3本分が適当。ちなみに薄すぎると肉が立たない。
これを最低2週間~4週間熟成させた、重さは最低1.5kgのTボーンステーキ。
塩は細粒塩と粗塩、またはマルドン塩などの薄片の塩。
炭は樹脂が少なくて硬いオークの炭を高温に熱し、灰で薄く覆われたもの。
網は10cm離して置き、熱します。
肉には1cmの切り込みを入れておきます。 両面と骨を下にした側面の3面を焼く。
約1.7kgの肉の場合、焼き時間は片面約4分。時間は肉の大きさだけでなく、熟成具合などにも左右されます。
塩はまず細粒塩を全体に散らして肉に均一に入り込ませ、次に粗塩を散らして表面に留まらせ、メイラード反応を助けます。

そうそう、フィレンツェとトスカーナはビステッカ・フィオレンティーナをユネスコの無形文化財に立候補するそうですけど、このご時世、どうなるかな。


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2020年4月20日月曜日

春野菜全部のせ、さやつき春野菜のパエリヤ

イタリア料理は、春イコール初物primizieの季節到来です。
具体的には、グリーンピース、ソラマメ、さやいんげん、さやえんどう
といったさやに入ったお豆たち。

Sweet peas
photo by Catherine Day

Broad beans in pod II
photo by Jane Cockman

Green Beans
photo by Mike Mozart

pea pods
photo by liz west

これらを全部のせて、さらにゆでた白インゲンやボルロッティ、ひよこ豆まで加えた、全部で7種類の豆入りの1品が、「総合解説」P.5の“さやつき春野菜のパエリヤ”です。写真はこちらのぺージ
サフランライスと緑色のさやが鮮やかな1品。肉は入っていないけど、ゴージャス。

ベネチアのリジ・エ・ビジを始めとしてイタリアにはグリーンピースのさやを使う料理も。

下の動画は自分で育てたグリーンピースの収穫からコントルノにするまで。

・柔らかい場合はさやを切り取って筋を取る。固い場合はさやから豆を取り出す。
・フライパンににんにく1かけ、オリーブオイル、塩、こしょう少々、水1/2カップを入れてグリーンピースを加えて蓋をし、中火で5~10分ゆでる。蓋を取って水気を飛ばす。

パエリアはイタリアでも人気の料理。
海に囲まれてシーフードが豊富で、お米を栽培して、スペインに支配された歴史もあるイタリアで、パエリアが美味しくないわけがない。



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総合解説
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2020年4月19日日曜日

クリームイエローの春の料理、子羊のフリカッセ、応用編パロッテ・カーチョ・エ・オーヴァ

5/6月号の料理から、春の彩りの料理を紹介しています。
まずは、「総合解説」P.8の料理。
クリーム色とさやいんげんの緑がきれいな“七面鳥のフリカッセ、さやいんげん添え”です。
料理の写真は「総合解説」のページをご覧ください。

フリカッセは家庭料理のクリーム煮込み料理。
いわばシチュー。
煮汁をつなぐために、卵を加えますが、そうすると、こんな黄色い料理になります。

Ali di pollo in fricassea

↑鶏手羽のフリカッセ。
これに、さやいんげんを添えると、緑と黄色の美しい料理になります。
ちなみに「総合解説」の料理は七面鳥の胸肉をワインとブロードで煮て、煮汁を卵黄、レモン汁、塩、こしょうを混ぜた液でつなぎます。

卵とチーズでつなぐとカーチョ・エ・オーヴァcacio e ovaになります。
下の動画はアブルッツォの子羊肉のミートボール料理として知られる1品。


パロッテ・カーチョ・エ・オーヴァPallotte cacio e ova
材料/
生パン粉・・120g
おろしたパルミジャーノ・・75g
おろしたペコリーノ・・75g
卵・・6個(300g)
にんにく・・1かけ
イタリアンパセリのみじん切り・・大さじ1
塩、こしょう
トマトソース;
トマトのパッサータ・・1L
玉ねぎ・・50g
EVオリーブオイル・・大さじ4~5

衣;
小麦粉・・100g
ピーナッツ油(揚げ油)・・1L

aパン粉、パルミジャーノ、イタリアパセリ大さじ1、潰したにんにく1かけ、こしょう、卵を混ぜます。チーズに塩気があるので塩は加えません。
・冷蔵庫で30分休ませて卵を吸い込ませます。
・トマトソースを作ります。玉ねぎを油で10分ソッフリットにし、パッサータを加えて蓋をしてとろ火で沸騰させます。
・手に油をつけてaを約30gずつ丸め、小麦粉をまぶします。
175℃に熱した油で揚げ、シートに取って油を切ります。
・沸騰したトマトソースに入れ、かき混ぜずに10分おきに鍋を揺すりながらなじませて、蓋をずらしてのせてとろ火で最低30分煮ます。
・煮揚がる5分前にバジリコと塩を加えます。

子羊肉のフリカッセアAgnello in fricassea


Agnello in fricassea子羊肉のフリカッセ
材料/5、6人分
子羊肉・・500g
卵・・5個
葉玉ねぎ・・4~5本
レモン・・1個
バター
白ワイン
塩、こしょう
EVオリーブオイル
・肉を一口大に切り、葉玉ねぎをみじん切りにする。
・葉玉ねぎを油大さじ5~6とバターでソッフリットにする。
・肉を加えて全体を焼く。ワインを加えてアルコール分を飛ばし、15~30分煮る。
・卵とレモン汁を混ぜて塩、こしょうを加える。
・肉を火から下ろして卵液をかけ、かき混ぜながら予熱でつなぐ。
・イタリアンパセリを散らす。またはセージを添える。

これに緑のさやいんげんを添えると、色合いが一段と引き立ちます。

子羊肉や卵は復活祭の食材としても知られる春の食材。
キリスト教徒にとってはとても春を感じる料理なのでしょう。
子羊が鶏肉になれば、親子丼。
ご飯じゃなくてパスタならカルボナーラ。

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総合解説
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2020年4月18日土曜日

ルバーブ、チェリー、サフラン、鮮やかな色彩があふれる春の料理

さて、5/6月号の料理は、とにかく春めいています。
テーマは、色。
最初の料理の色は鮮やかなピンク。
薄ピンクの桜色よりずっと鮮やかな色。ネオピンクと呼ばれる色です。

春の料理を鮮やかなネオピンクに染め上げる食材は、ルバーブとチェリー。
Rhubarb
The cherry experiment

ルバーブはイタリア語ではラバルバロrabarbaro。
あまり聞かないけれど、昔から、春になると時々イタリア料理にも登場してパイやケーキに鮮やかな彩りを加えていた食材です。いわば、食通の食材。

カルロ・クラッコシェフの“リードヴォーのアグレッティとルバーブソース添え”。
ちなみにシェフは、著書の中で、リードヴォーはお気に入りの食材だと書いています。


リードヴォーのアグレッティとルバーブソース添えAnimella di vitello, agretti e salsa di rabarbaro

材料/
リードヴォー
アグレット(おかひじき)・・120g
ケッパー・・10g
ルバーブ・・4本
アカシアの蜂蜜
にんにく

・リードヴォーを水にさらして下ごしらえする。
・鍋に湯を沸かしてリードヴォーを下ゆでして薄皮をむき、水気をふき取る。
・ルバーブ数本をざっくり切ってジューサーにかけ、汁を集める。
・リードヴォーをカリッと焼いて焼き色をつける。余分な油を捨ててバター(リードヴォーにはバター)と潰した皮付きにんにくを加える。フライパンのバターをリードヴォーにかけながら焼く(この作業はスプメッジャーレspmeggiareと呼ぶ。こうするとバターが焦げない)。
・アグレットは硬い部分を取り除いて柔らかい先端だけ使う。
・焼き汁のバターに蜂蜜大さじ1を加えてよく混ぜる。ルバーブの汁も加える。塩と油、水少々を加える。
・ここにアグレッティを入れて塩をする。
・リードヴォーをオーブン皿に入れて200℃のオーブンで3分焼く。
・皿にアグレッティとリードヴォーを盛り付けてマルドン塩を散らす。
・ソースをリードヴォーの上にかけ、一部を脇にかける。


『クチーナ・イタリアーナ』では、こんな料理にしました。
“ルバーブとチェリーのトルティーヤ”です。

卵、生クリーム、グラナの生地を型に入れ、ルバーブとチェリーを並べてオーブンで焼いただけ。
さらに、スカンピとチェリーのリゾットは、白ワイン、米、スカンピ、野菜のブロード、パルミジャーノと、徹底的に白い素材を使ったリゾットをチェリーで大胆に色付け。

次は黄金色。
白い食材に色をつける時、イタリアで定番なのはサフラン。
Zafferano

今月の黄金色の料理は、“ホウボウのサフラン揚げ”。

白身魚を色鮮やかなサフラン入り衣で揚げた1品。
さらに爽やかな若草色のソラマメのピューレを添えています。

もうすでに色が溢れていますが、まだ、本番はこれからです。
春はすなわち初物primizia。
現実世界では色々大変で今年は楽しめなかったけど、また来年、やってきてくれるよね。

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総合解説
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2020年4月17日金曜日

生ハムのアペリティーヴォ

総合解説」5/6月号発売しました。


春爛漫の号です。
今年の春は、何だかあたふたと過ぎてしまいました。
桜もひっそりと終わり、春の命が萌えるあの感覚が、今年はまだきていない気分ですが、イタリアの料理雑誌上では、春の輝きに満ちた、カラフルで美しい料理が花盛りです。
                                     『ラ・クチーナ・イタリアーナ』

最初に訳した記事は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の5月号と6月号のリチェッタ。
1品めはアペリティーヴォの定番、生ハムですが、春は気分を変えたくなるので、いつものパルマやサン・ダニエーレの他に、ネブロディの黒豚の生ハムも加えます。
アペリティーヴォは突然の来客にもさっと出せるような軽食。

パルマの生ハムの販売店向けマニュアル

実は私、仕事で生ハムをスライスしながら売ったことがあるのです。
今思えば、スライスしたてを味見しながら買えるなんて、価値がわかる人にはおもしろい売り方だったなあ。
有楽町という土地柄か、よく売れました。
売ってる方も、食通なお客さんばかりでおしゃべりが最高でした。
料理を作れない素人でもイタリア料理に携わってる気分に浸れました。

ネブロディの黒豚の生ハム

ドルチェと何度も言っていますが、この生ハムの特徴は、甘さ。

生ハムのスライスに添えるのは、ソフトなパニーニ・アッラ・オーリオ。

生ハムの本場、パルマでは添えるのはニョッコ・フリット。ストリートフードでもある。

いつもの

ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
からリチェッタをどうぞ。
ニョツコ・フリットGNOCCO FRITTO
材料/8~10人分
00番の小麦粉・・750g
牛乳・・75ml
水・・270ml
ラード・・40g
塩・・20g
生イースト・・2g
ラード(揚げ油)・・約1kg

a水と牛乳を混ぜてイーストを加える。暖かい場所で数分置いて溶かす。
・小麦粉をフォンタナに盛り、柔らかくしたラードと塩を加え、aを少量加えながらこねる。
・なめらかな生地になったらまとめて布巾で覆い、1時間発酵させる。
・打粉をした麺棒で厚さ3mmに伸ばし、カッターで5✕5cmのひし形に切る。
・210~220℃に熱したたっぷりのラードでさっと揚げる。膨らんで狐色になたらシートに取って油を切り、パルマの生ハムやフェリーニサラミ、ジベッロのクラテッロに添えてすぐにサーブする。

クラテッロとニョッコ・フリット。


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ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
総合解説
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2020年4月16日木曜日

ストリートフードの最新ヒット作、エスタテはダジャレだったんか~い!

きのう、アイスコーヒーの話で、フェレッロ社の新製品、エスタテというアイスティーが、ストローを付けて売り出したらバズった、という話をしました。

このストローの付け方、時代を感じるなあ。
EstaThé

その時は、ふーん、エスタテかあ。夏向きの冷たいお茶、ていう意味かあ、ぐらいにボ~と思っていたのですが、
上の写真を見て、ようやく気が付きました。
estate じゃなくて estathè。とな
thè はテ、つまりお茶のこと。
ダシャレだったんかーい!
ストローを付けたことで、貴族の飲み物だったお茶が、庶民のストリートフードに生まれ変わり、ヨーロッパを席巻したのは1972年のこと。

あのヌテラのフェレッロがそんな紅茶を出していたなんて、初めて知りました。
2017年のCM

最初は熱いお茶を冷やしていたアイスティーですが、初めて工場製品として出荷されたのが、このエスタテ!です。
最初にレモン味が、次にピーチ味が作られました。
何だか日本にも似たようなのが・・・。

ストリートフードの話はこのへんで。
お後がよろしいようで。
次回からは、明日発売の「総合解説」最新号の話です。

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総合解説
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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2020年4月15日水曜日

喉の乾きを癒す飲み物は革命を起こせる

ストリートフードの締めは、スップリのナポリ版。
この本『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』の
表紙を飾っている料理です。
これは“モッァレラ・イン・カロッツァMOZZARELLA IN CARRROZZA”。
1868年に出版された料理書には、
この料理には食パンpan carrèを使う。高級パン屋で売っているパンだ。
と書いてあります。
リチェッタを紹介している店、ナポリのティンパニ・エ・テンプラでは、固くなった田舎パンの“パーネ・カフォーネpane cafone”を使うそうです。

ナポリのティンパニ・エ・テンプラ

主役はモッツァレラ。
例によって残り物を有効利用する家庭料理なので、モッツァレラも残ったものを使います。
カンパーニアでは、できたてのモッツァレラを買ったらその日のうちか2日以内に食べきりますが、
残ったモッツァレラは毎日水を替えながら保存して、ソレント風ニョッキやモッツァレラ・イン・カロッァなどに使います。
少し水気が飛んだぐらいの状態が、揚げ物にはぴったりです。
モッツァレラの質が悪いと出来上がりも悪くなります。

モッツァレラ・イン・カロッツァ

この動画のリチェッタは、
材料/4人分
パン・・8枚
卵・・2個
牛乳・・約50ml
モッツァレラ・・1個、250g
塩、こしょう
リマチナートのセモリナ粉・・70g
00番の小麦粉・・70g
揚げ油

・モッツァレラは水気をしっかり切って薄すぎない輪切りにする。
・卵を溶きながら牛乳を少しずつ加え、塩、こしょうする。
・2種類の小麦粉を衣用に混ぜる。
・パン2枚でモッツァレラ1枚をはさみ、小麦粉、溶き卵、パン粉をつける。一口大を数切れ作ってもよい。
・油で揚げ、シートに取って油を切る。


次にティンパニ・エ・テンプラのモッツァレラ・イン・カロッツァMOZZARELLA IN CARROZZAのリチェッタ

材料/6人分
パーネ・パラテッラか天然酵母で薪で焼いた田舎パン・・1kg
モッツァレラ・フィオルディラッテ・・280g
卵・・3個
ペコリーノ・カルマッシャーノ・・40g
牛乳・・500ml
00番の小麦粉・・500g
EVオリーブオイル(揚げ油)・・2~2.5L

・パンは1~2日経って固くなったものを厚さ1cmに12枚スライスして使う。
・モッツアレラはパントと同じ厚さかやや薄い6枚の輪切りにし、水切りで最低1時間ホエイを切る。
・パンを牛乳にさっと浸し、編にのせて余分な水気を切る。
・全部のパンに薄く小麦粉をまぶし、6枚にモッツァレラをのせて残りのパンではさみ、手のひらで軽く押さえる。
・卵にペコリーノを加えて溶く。
・パンに溶き卵をつける。側面にもつける。
・160℃のたっぷりの油で1個ずつ5~10分トングで裏返しながら揚げる。
・2枚重ねたシートに取って油を切り、すぐにサーブする。

最後にナポリの人気のフリッジトリアfriggirroia。


もう一つのナポリの重要なストリートフードの店、アックアフレスカイオacquafrescaio。


ローマでは、最初のストリートフードの屋台は水とワインを売る店でした。

街角の水道で知られるローマですが、あの時代、水道に関してはローマは恵まれていました。でも、設備があっても安全とは言い難い時代でした。
そんな時代に、暑い夏の喉の乾きを癒やすために登場したのが果実を絞ったジュースを売る店、アックアフレスカイオです。
その周囲に軽食を売る店ができて、大きな街道沿いに人が集まるようになり、オステリアができます。

絞った果汁を売るアックアフレスカイオは、ナポリ最古の仕事の一つです。
頭に水の入ったテラコッタの壺を乗せて水を売るのは女性の仕事でした。

水の次に世界中に広まったのは冷たい紅茶でした。
お茶を飲む習慣は、中国からヨーロッパに伝わり、イギリスの宮廷からイタリアの宮廷へと伝わりました。
上流階級の間に広まったお茶を庶民のものに民主化したのはトーマス・トワイニング。

さすがにイタリアの庶民の間にお茶の文化は広まらなかったけれど、1970年代に革命が起きました。
アイスティーの登場です。
1904年に、セントルイスで、夏の間もお茶を売る方法として考え出されて、大ヒットしたのでした。
1870年代にはアメリカの家庭に普及していました。
1972年にはストローをさしたカップで販売されて、歩きながら飲めるようになったのです。
ヌテッラで有名なフェレーロのストロー付きの新製品、エスターテ。

こうして飲み物のイメージそのものが変わりました。

以前、小麦の新しい品種を開発してノーベル賞とった人がいましたが、アイスティーも、それに匹敵する発明なのでは・・・。

エスターテ






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「総合解説」
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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2020年4月14日火曜日

人気店の砂肝入りスップリ

ストリートフードの話題の時、大いに参考にしている本
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』は、
イタリア各地の伝統的なストリートフードを詳しく取材しているだけでなく、有名店の動画まで撮って、youtubeにupしています。
本と動画、二本立てで楽しくスラスラ読めます。写真も豊富でお勧めです。
スップリの動画はこちら。
 ↓

本で紹介しているリチェッタは、ローマのイータリーのフリッジトリアのシェフ、パスクアーレ・トッレンテが作るスップリ。リゾットは鶏の砂肝のラグーであえている。
スップリの語源はフランス語でビックリという意味のsurprise/シュプリーズ。
モッツァレラが長~く糸を引いてびっくり。
それがまるで電話線のようだったので、スップリ・アル・テレフォノという名前で人気に。
携帯が登場した頃から、この先どうなるのか気になってたけど、アル・テレフォノというニックネームは相変わらず健在。

では、リチェッタを訳してみます。
ちなみに横にいるのはシェフの息子。

スップリSUPPLÌ
材料/約25個分
カルナローリ米・・500g
挽いたサルシッチャ・・150g
鶏の砂肝・・100g
おろしたパルミジャーノ
フィオルディラッテ(牛乳のモッツァレラ)・・200g
ホールトマト・・400g
玉ねぎの薄切り・・30g
にんじん・・1本
セロリ・・1本
野菜のブロード・・3L
EVオリーブオイル
塩、こしょう
バジリコ・・数枚
衣;
卵・・3個
パン粉・・150g
EVオリーブオイル(揚げ油)・・3L

・フライパンで米を中火で炒める。
・香味野菜をブリュノワーズに切り、油でソッフリットにして刻んだ砂肝を加える。
・大さじ数杯のブロードをかけて5~8分なじませる。
・サルシッチャを加えて炒め、色が変わったらトマトとバジリコを加える。数分煮て米を加える。
・ブロードをかけてアルデンテになるまで15~18分煮る。
・仕上げにパルミジャーノでマンテカーレする。
・リゾットをオーブン皿に広げて完全に冷ます。
・手のひらに水をつけてリゾットを大さじ2ずつ広げ、中央に細く切ったフィオルディラッテを1片のせて俵型にしっかり閉じる。
・パン粉、溶き卵、再びパン粉をつけて160~170℃のたっぷりの油で揚げる。
・シートに取って油を切り、すぐにサーブする。

ローマのイータリー

ライバル店、ローマのパニフィーチョ・ボンチのスップリ

ボンチはローマ風ピッツァのカリスマ


久しぶりに天才シェフのローマ風ピッツァを見たら、食べたくなりました。
ジョーコ・デッラ・ピッツァ

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ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
ジョーコ・デッラ・ピッツァ
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2020年4月13日月曜日

ローマのアランチーニ、スップリ

昨日のブログは、カルロ・クラッコシェフのアランチーニのリチェッタをのせる予定でしたが、途中で急遽大幅に路線変更する事態となってしまいました。
リゾットについて語るという強い誘惑に、ロンバルディア出身のグランシェフが逆らえるはずもないということを、今更のように思い知りました。
本の中で、シェフはアランチーニを語ることをきれいさっぱり忘れて、リゾットの深ーい話に突入していきました。
話がライスコロッケからどんどん遠ざかるのに気づいた時は、もう手遅れ。
とにかく、このことで改めて知ったのは、リゾットは、イタリア料理の大事なベースの一つ、ということ。
ついでなので、アランチーニを作る前に知っておきたい米料理の基本を少し。

イタリア料理の基本を集めた名著、『クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ』によると、

・リゾットに最適な米の品種は下記の3種類

アルボリオarborio:大粒で丸い米、粘りのもととなるアミロペクチンが豊富、これが煮汁に溶け出るとクリーミーな煮汁になるのでリゾットに適している。

ヴィアローネ・ナノvialone nano:小粒で締まった米。アミロースが豊富。煮てもアルデンテになるが、アミロペクチンも含むので、クリーミーで歯ごたえのあるリゾットにもなる。

カルナローリcarnaroli:1945年にミラノの農家で栽培が始まった新しい品種。
ヴィアローネとうるち米の中間の特徴があり、2種類のデンプンを豊富に含む。
高価で上質。

リゾットに適したアルボリオ米とピラフやチャーハンに適した長粒米


ポイントは
アミロペクチンアミロース
穀物の性質上、キーワードとなるでんぷんです。

日本の米は、粘りが大切。一方、イタリアの米はアルデンテも大切。
この両者の特徴を持って、さらにリゾットに適するように改良されたのがイタリアの米です。


リゾットの濃さは地域によって違う
北イタリアの代表的リゾットには、ミラノとベネチアという2つの地域があります。
ミラノのリゾットはベネチアのリゾットより濃く、ベネチアのリゾットには、アッラ・オンダall 'ondaという状態(サーブの直前にブロードを少量加えたような濃度)が求められます。

リゾット・ミラネーゼ

リベネチアの代表的リゾット、リジ・エ・ビジ




リゾットに適した鍋
リゾットには均一に熱が当たるように底が広く鍋や深さのあるフライパンが適しています。
煮ている間に米は約2~3倍に膨らむので、十分な大きさも必要です。

リゾットrisotto
・幅広で深さのあるフライパンか浅くてそこが厚い鍋(熱が均一に広がる)を用意する。
・ゆで汁用のブロードか湯を用意して弱火で沸騰させる。
・米をバターで炒めて米のデンプンが出ないように米の周囲に膜を作る。
・レードル1杯のゆで汁をかけ、米に均一に火が通るように混ぜながら煮る。
・ゆっくりすぎたり急ぎすぎないように常に強い沸騰を保ちながら煮る。
・米がブロードを吸い出したら塩を少量加える。
・さらにレードル2杯のブロードを足した時点で味を見て塩味を整える。
・米がゆで汁に沈まないように少量ずつ加える。均一に煮上がるように表面を均一に覆う程度。
・ブロードの適量を事前に出すことはできないので、全部かけたら煮すぎていないかみる。表面がクリーミーで粥状の濃さになっていればよい。

ここまでがリゾットの基礎。イタリアのマンマの教訓を付け足すなら、木べらは鍋から出さないで、常にかき混ぜ続けること。

リゾットをマスターしたら、いよいよ次はアランチーニとスップリに進みます。

さりげなくスップリが登場しましたが、
スップリはローマのライスコロッケ。
正式名称は、携帯の時代になって今や消滅の危機、スップリ・アル・テレフォノ。

という訳で、今日のお題はスップリです。

ローマ人のアランチーニ、スップリ

・玉ねぎのみじん切りを油でソッフリットにする。
・牛豚の挽肉を加えて炒め、ワインをかけてアルコール分を飛ばしたらトマトのパッサータ、塩、こしょう、水少々を加え、蓋をして弱火で約40分煮る。
・水かブロードで濃度を整え、アルボリオ米を加えてかき混ぜながら米が煮汁をほぼ全部吸うまで煮る。米が鍋肌につくようになったらブロードを少しずつ足しながら煮る。
・米が煮汁を吸ってアルデンテになったらバターとパルミジャーノでマンテカーレする。
・バットに広げて冷ます。
・モッツァレラを長さ5cmの拍子木に切り、ザルに入れて水気を切る。
・手に水をつけてリゾットを俵形にし、モッツァレラを1本詰める。
・小麦粉、卵、パン粉をつけて揚げる。

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総合解説
クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ
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2020年4月12日日曜日

最近流行りのハムとチーズのアランチーニ

アランチーニの話、前日に作ったリゾットの残りで作る、というわけで、残ったリゾットで作るもう1品の代表的料理、リゾット・アル・サルトまで訳しました。
リゾットを直径14cmの型に入れて薄く押し広げ、焼いて冷まします。
リゾットはサフラン入りの黄色か、プレーンの白。ここにコラトゥーラ数滴を加えてグラティナーレします。
またはモッツァレラとハーブを加えて軽くグラティナーレし、ヴィネグレットを回しかけます。
またはトマト、好みのスパイスなどをのせてグラティナーレします。
ポイントは、柔らかさとこんがり具合のコントラスト。

話が前後しますが、突然話はアランチーニに戻ります。
アランチーニには、サフランのリゾットの残りを使います。
クラッコシェフはここで、基本はしっかり教えておかないと、と考えたようです。
アランチーニがますます遠くなりますが、
“リゾットはベースなので一度覚えれば自分ならではの独自のものを考えだすのも可能だ。
一番の定番は、アッラ・パルミジャーナalla parmigianaだが、これに肉、スパイス、野菜、魚、きのこなどを加えてもよい・・・。
と本格的な解説モードになったので、
ここでグランシェフの熱血教室は、急遽変更。

オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・シチリア』から


アランチーニArancini al sugo
材料/6人分
リゾット用米・・1kg
豚肉(塊)・・400g
ストラットゥ(シチリアの濃いトマトペース)・・200g
玉ねぎ・・小1個
卵・・5個
パン粉・・250g
サフラン・・2袋
赤ワイン・・大さじ4
カチョカヴァッロ(ラグザーノ)フレスコ・・350g
おろしたカチョカヴァッロ・スタジョナート・・100g
EVオリーブオイル、塩

・大きな浅鍋(できればテラコッタ製)で玉ねぎの薄切りを油大さじ2で軽く炒める。
・豚肉と塩を加えて火を強め、しっかり焼く。
・ワインをかけて強火でアルコール分を飛ばし、肉を取り出す。ストラットゥを加えてぬるま湯で溶く。
・肉を戻し、水を足して肉を覆う。蓋をしてとろ火で約3時間煮て煮汁を煮詰める。必要なら仕上げに蓋を取って時々かき混ぜながら水気を飛ばす。
・その間に塩を加えた多すぎない水で、米が水を全部吸うまでゆでる。
・米がアルデンテになって水気がなくなったら、サフランとおろしたチーズを加えて混ぜる。
・台に広げて冷ます。
・豚肉を取り出して細く切り、カチョカヴァッロを小さく切る。
・卵に塩を加えて溶く。
・パン粉を台に散らす。
・米を手のひらで作ったくぼみに少量取って押し広げる。その中にスーゴを大さじ1強と肉少々、チーズ少々を入れ、少量の米で閉じてボール状やピラミッド型(アランチーノ)にする。
・溶き卵とパン粉をつけて底を軽く平らにする。残りの米も同様にする。
・網に立てて入れて高温のオリーブオイルで揚げる。
・シートに取って油を切り、熱いうちにサーブする。

※シチリアの家庭で代々口伝で伝わっているプレーンのアランチーニは、
・豚肉の代わりにゆでた鶏肉を使い、米は鶏のブロードでゆでる。
・具にゆでたグリーンピースを加えることも多い。
・ロスティッチェリアでは簡単で手早くできる牛肉のラグーを詰めるのが定番。
・サフランを加えないことも多い。
・さらに数年前から、ハムとチーズ(アランチーニ・アル・ブッロarancini al burro)、ほうれん草とチーズspinaci e formagio、なすmelananeやアーティチョークcarciofi、フンギfunghiなど、各店のオリジナルの具が流行っている。
・ピラミッド型は油を大量に使うので作るのが難しくコストもかかるので、最近では球形が多い。

アランチーニ

シチリアのトマトペーストstrattu

アランチーニ・アル・ブッロ

・サフランのリゾットを作って冷ます。
・濃いベシャメルを作る。
・火を止めてハムとグラナを加える。
・水と00番の小麦粉で衣を作る。
・リゾットに詰め物を詰めて衣とパン粉をつけて揚げる。

次回はシチリア以外のライスコロッケ。



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「総合解説」

オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・シチリア

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2020年4月11日土曜日

クラッコシェフの熱血アランチーニ教室

アランチーニですが、あのグランシェフが、自分の料理の知識を惜しみなく披露したイタリア料理の教科書のような本、「クールにしたいならエシャロットを使う。
にもリチェッタがあったので、早速訳してみます。
3段階あるレベルの一番上、レベルIIIの料理です。
グランシェフの頭の中は、複雑でこだわりに満ちて時に厄介ですが、頑張って教えを受けてみましょう。

アランチーニは、典型的なシチリア料理で、見た目が美しいばかりか、残り物や切れ端から美味しい料理を作り出してきた伝統料理の新しいアイデアに満ちている。
と、好き嫌いがはっきりしたシェフにしてはかなりな高評価。


クラッコ・シェフのサフランのリゾット



アランチーニ/ARANCINI
材料/6人分

サフランのリゾット・・300g
生か冷凍のグリーンピース・・50g
油分や水分が少ないラグー・ボロニェーゼ・・100g
モッツァレラ・・80g
卵・・2個
パン粉・・300g
EVオリーブオイル、塩

※小さいアランチーニにするならシンプルなラグーとグリーンピースの、モッツァレラ抜きの詰め物でないとはみ出してしまう。
・まず、家庭用のサフランのリゾットを作り、その残りをアランチーニに使う。
または切れ端でリゾットを作ればさらによい。
残り物のリゾットのリチェッタは※レッスン46。
・ グリーンピースは加える必要はない。サフランは粉でもよい。
・マンテカーレはグラナで行い、バターは加えない。
または最低ごく少量のオリーブオイルを加えてもよい。
・3分以上マンテカーレしてアルデンテal denteやストラコットstracottoではなくしっかり火を通す。
仕上げに大きなオーブン皿に広げて冷蔵庫か室温で冷ます。
・グリーンピースと、水気と油が少ない乾いた肉のラグー※レッスン31(定番のラグー・ボロニェーゼ)を加えて混ぜ(ラグーは肉だけを加える。アランチーニが白くてもかまわない、乾いていることが重要)、小さく丸める(手を汚さないように手袋をして作業すると出来上がりもきれいになる)
各アランチーニにモッツァレラの小角切りを2個ずつ詰めてしっかり閉じる。
溶き卵、パン粉の順でつける。
・私はパン粉は1回だけつけるが、もっとカリカリにしたければ2回つける。
・ラップで覆って冷蔵庫で一晩冷ます。または冷凍庫で2時間冷やす(推奨)。
・よく冷えたら油で揚げる。シートに取って油を切り、表面に塩をしてサーブする。

レッスン46
残り物のリゾットCucinare con gli avanzi; il riso
普通リゾットを作ると残り物が出るが、絶対に捨ててはいけない。
残ったリゾットには、主に2つの使いみちがある。
一つはアランチーニaranciniで、もう一つはリーゾ・アル・サルトriso al saltoだ。
アランチーニは独特の形のおかげで具のバリエーションが広い(グリーンピース、モッツァレラ、ラグー)が、グリーンピースとモッツァレラだけでもよい。
またはトマトとリコリスなど。個人的にはリコリスが大好きだ。
おろしたリコリスを丸めたアランチーニに少量散らして小麦粉をつけて揚げる。
ドルチェのようだがサラートにも合う。
リーゾ・アル・サルトは、バターや油脂をたっぷり使うので簡単な料理ではないが、素晴らしい料理だ。
私は残ったリゾットの料理としてではなく、アル・サルトを作るために作った料理は食べたことがない。
普段はアランチーニ用の、バターを使っていない、グラナでマンテーレした、やや長く火を通したリゾットで作る。
これを直径14cmの丸い型を使って料理のサイズに広げて押し固め、冷ます。
幅広のフライパンに油少々とバター少々を熱し、リゾットを入れて焼く。薄いとカリッと焼き上がり、やや厚みがあれば中は柔らかく焼き上げる。
個人的にはあまりカリカリなのは好きではない・・・。
リゾットは白でも黄色でも、肉のラグーや野菜のラグー入りでもよい。
モッツァレラの薄切りをのせたり、パン粉、コラトゥーラ数滴(この場合のリゾットは白)、ハーブを散らしてグラティナーレしてもよい。

ちょっと力尽きてきたので、きょうはここまで。
明日も頑張って訳します!!

リーゾ・アル・サルト

念の為アランチーニの動画も

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総合解説
クールにしたいならエシャロットを使う。
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2020年4月10日金曜日

シチリア移民の惣菜店から世界中に広まったライスコロッケ

定番ストリートフード編、今日はアランチーニなんてどうでしょう。

パレルモのアランチーナ

詰め物入りのライスコロッケ。
パレルモでは女性名詞でアランチーナと呼びますが、パレルモ以外では男性名詞になってアランチーノ(そもそもシチリアでは果実はだいたい男性名詞)。
形も島のカターニアなど西側では先端が尖った円錐形、パレルモなど東側は球形。
エトナ山のふもとのカターニア地方では、円錐形はエトナ山を表している、というのが定説。
例によってこのめんどくさいシチリアルールは、シチリア人じゃないとちょっと分からないからただ受け入れるのみ。
ルーツについては諸説ありますが、これといって有力なものはなく、苦労して調べてもむなしくなるパターン。
諸説ある中の1つが、畑で働く人用の持ち運びできる食事として作られたというもの。
シチリア移民が経営する惣菜屋から世界中に広まりました。

カターニアにはアランチーニ祭りをする村もあります。

アランチーニの具は様々。
そもそも残り物を有効利用するのが家庭料理ですから、自由な発想でアレンジできます。
残り物で作ったラグーなどが代表的。

アランチーニには様々なリチェッタがありますが、今日は、シチリアを代表するワイナリー、プラネタのリチェッタをどうぞ。

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ


この本のリチェッタは、アランチーニから始まって、いちごのジェラートを挟んだブリオッシュで終わるという、さほど敷居が高くない、庶民のための純粋なシチリア料理を、インターナショナルなトップワイナリーらしく、世界中の人向けに美しい料理として再現したもの。
とにかくどの料理も洗練されています。
肉の具のアランチーニは本の紹介のページ(こちら)に訳をのせていますので、今回は
チーズの具のアランチーニARANCINI DI RISOS RIPIENE DI FORMAGIOを訳します。
材料/約25個分
米;
カルナローリ米・・500g
水・・1L
バター・・125g
グラナ・パダーノ・・50g
玉ねぎ・・35g
セロリ・・1本
にんじん・・1本
粉サフラン・・0.5g、塩
詰め物;
エメンタール・・225g
オランダチーズ・・125g
フォンティーナ・・100g
グリーンピース・・100g
グラナ・パダーノ・・50g
牛乳・・500ml
00番の小麦粉・・50g
バター・・25g
塩、こしょう
衣;
00番の小麦粉
溶いた卵・・2個
パン粉・・200g

・ブロードを作る。大鍋に水、塩、玉ねぎ、セロリ、にんじんをれて沸騰させ、火を弱めて弱火で最低30分煮る。
・野菜の軽いブロードが取れたら漉してサフランを加え、色付きのブロードにする。
これを米にかけて中~強火で米が完全にブロードを吸うまで煮る。米はアルデンテに煮上げる。
・広いオーブン皿に広げてバターとおろしたグラナ・パダーノを加え、混ぜて素早く冷ます。
・チーズの詰め物を作る。
・小麦粉をバターで炒めて温めた牛乳を少しずつ加え、濃いベシャメルにする。
・冷めたら小角切りにしたチーズとゆでたグリーンピースを加え、塩、こしょうで調味する。
・軽くぬらした手のひらに米を薄く広げ、中央に詰め物を少量のせて丸く包む。詰め物がアランチーニの重さの2/3、米が1/3になるようにする。
・アランチーニの表面を水でぬらし、小麦粉、溶き卵、パン粉をつけて熱した油で揚げる。



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総合解説

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ

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2020年4月9日木曜日

1960年代に失業した主婦が作り始めたストリートフード、ピアディーナ

ニョッキ編が一段落したので、今日からは、テイクアウトできるイタリアンのストリートフード編なんてどうでしょう。
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ

最近ではアスコリのオリーヴやナポリのピッツァ・フリッタなどを取り上げてきました。
今日は、王道中の王道、ピアディーナです。
下は本と連動した動画
ピアディーナはエミリア・ロマーニャ地方のチェゼーナに、1960年代に登場したストリートフード。
(ピアディーナ自体はそれ以前からありましたが)。

下の動画のマリアさんはキャリア20年。
チェゼーナのファッブリ広場に店を出しています。
子供の頃、生地を麺棒で丸く伸ばす方法を教えてくれたのはおばあちゃんでした。


1963年、チェゼーナで最初にピアディーナを売り始めたのはロザンナさん。
それ以来、50年作り続けています。
53ページの左上の写真のスカーフをかぶった女性が70年代の、ストリートフードを売り始めた頃のロザンナさんです。

彼女は、勤めていた工場が休業になったのがきっかけで、軽トラに木炭とテラコッタの円盤と生地と麺棒を積んで、ストリートフードを売りはじめました。
他には誰もやっていないことだったので、最初は奇妙に見られましたが、やがて警官も場所のアドバイスをくれたりして協力してくれました。
90年代になるとガスの鉄板を使うようになります。
お客さんは美味しいの?と懐疑的でしたが、結局大切なのは生地でした。
生地が美味しければ、美味しいんです。

チェゼーナ

ピアディーナという名前は、焼く時に使うモンテティッフィ特産のテラコッタの円盤から。
鋳鉄のフライパンで代用できます。

それではピアディーナPIADINA ROMAGNOLAのリチェッタをどうぞ。
材料/5枚分
小麦粉・・500g
ぬるま湯・・180~200ml
ベーキングパウダー・・15g
ラード・・40g
塩・・10g

・小麦粉をフォンタナに盛り、ラード、ベーキングパウダー、塩を入れ、ぬるま湯適量も加えながら少しずつ混ぜ、最低15分こねてなめらかな締まった生地にする。まとめて打ち粉をしたボールに入れ、綿布で覆う。
・30分発酵させて再び数分こね、5つに分ける。
・打粉をした台でピアディーナ用にらざらした短い麺棒で直径約20cmの厚さ3~4mmの円形に伸ばす。
・鋳鉄のフライパンを中火で6~8分熱し、ピアディーナをのせる。気泡ができないようにフォークでピケしながら裏返しながら6~8分、焼き色がつくまで焼く。
・好みの具(スクアックエローネ、生ハム、クラテッロ、アンチョビ、サラダ、トマト、いちじくのカラメッラートなどをのせる)。

市販品のピアディーナ

ロマーニャのクリームチーズ、スクアックエローネ



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2020年4月8日水曜日

フランス料理風ローマ料理、ニョッキ・アッラ・ロマーナ

ニョッキの話の仕上げは、ローマ風ニョッキGNOCCHI ALLA ROMANA。
ローマの家庭料理としてラツィオの人々に愛されている料理ですが、一般的なじゃがいものニョッキとはあまりにも違い、よく言われるのが、セモリナ粉やバター、パルミジャーノ入りで、まるでピエモンテ料理みたいだ。
ということはつまりフランス料理みたいだ。
これは何気に、おしゃれで洗練された料理だと認めている?
そもそも肉を禁じられて魚を食べる金曜日に備えて、お腹を一杯にするために食べる木曜日のニョッキとしては、かなりお上品な感じ。
とにかく、ニョッキ・アッラ・ロマーナのルーツは謎です。
アルトゥージなど有名な家庭料理の本にリチェッタがあったりするので、昔からある料理なのは確か。
分かっているのはその程度。


残ったセモリナ粉を有効利用するために考え出された家庭料理で、肉類は入りません。デリケートな味の料理なので、強い味の食材を加えるのはNG

今回は、『オステリエ・ディ・イタリア』より、
ローマのオステリアのリチェッタを訳してみます。
Osteria del Veldromo Vecchioのリチェッタです。
ニョッキ・アッラ・ロマーナGNOCCHI ALLA ROMANA
材料/4人分
セモリナ粉・・400g
卵黄・・2個(好みで)
牛乳・・1L
パルミジャーノ
バター・・150g
塩、ナツメグ

・鍋に牛乳を入れて沸騰させる。ダマにならないようかき混ぜながらセモリナ粉を振り入れ、火を弱めて塩少々とナツメグを加える。かき混ぜながら30分煮る。
・火から下ろしておろしたパルミジャーノを大さじ1と溶いた卵黄を加える。
・大理石の台をぬらして生地をあける。
・厚さ約1cmに広げて平らにし、冷ます。
・型かグラスで余る生地があまりできないように丸く抜く。
・オーブン皿にバターを塗り、ニョッキを重ならないように並べ、余った生地も底に加える。
・各段にパルミジャーノと溶かしバターを散らす。
・オーブンで約10分グラティナーレしてきれいな焼き色をつける。軽く休ませてサーブする。

ローマのオステリア

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総合解説
オステリエ・ディ・イタリア
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2020年4月7日火曜日

ナポリでは、ラグーじゃなくてソレント風がニョッキのルーツ

今日の『ジョヴェディ・ニョッキ』のリチェッタは、ひときわ真っ赤な、トマトソースが目を引く、ソレント風ニョッキ。



じゃがいものニョッキを一人前サイズのオーブン皿に盛り付けて、モッツァレラ入りのトマトソースをかけてオーブンで焼いてトロトロにするナポリ料理。
ということはイタリアを代表する一品として世界中に広まっている料理です。

“木曜はニョッキ”という言い回しとともに、ローマ料理として広まったニョッキですが、その本場は、実はカンパーニアのソレントだと、ナポリの人たちは信じています。
ニョッキとは、北の定番のラグーのニョッキではなく、ソレントのタベルナの主人が考え出したこの料理のことなのだと。

ソレントはアマルフィへの入り口でもある美しい街。

ソレント風ニョッキGNOCCHI ALLA SORRENTINA
材料/4人分
じゃがいも・・1kg
卵・・小1個
小麦粉・・約250g
ゆで汁用塩・・小さじ1
生地用塩・・小さじ1/2

ソース;
トマトのパッサータ・・600ml
フィオルディラッテ(牛乳のモッツァレラ)・・250g
パルミジャーノ・・80g
EVオリーブオイル・・ソース用大さじ4+ニョッキ用少々
にんにく・・1かけ
バジリコ、塩

・じゃがいもを洗って鍋に入れ、水で覆う。塩少々を加えて火にかけ、40~45分ゆでる。
・柔らかくなったら火を止めて取り出し、すぐに皮をむく。半分に切ってすぐにマッシャーで潰して直接台に落とし、フォンタナに盛って冷ます。
・卵を割り入れて小麦粉を少しずつ加える。塩も加えてこねて均質の生地にし、少量ずつ軽く打粉をした台で転がしてソーセージ状にまとめる。
・小さすぎない大きさに切ってフォークの背で1個ずつ筋をつける。
・バットに軽く打ち粉をした布巾をかぶせてニョッキを広げる。
・塩を加えた熱湯に少量ずつ入れてゆで、浮かび上がたらすくい取る。
・ソースを作る。
・軽く潰したにんにくをソッフリットにし、トマトのパッサータを加えて弱火で10分煮る。
・にんにくを取り除いて塩味を整える。
・ニョッキを一人前ずつオーブン皿に入れて油少々をまぶし、トマトソースとおろしたパルミジャーノを加える。小片にしたフィオルディラッテとバジリコをのせて高温のオーブンで5分焼く。すぐにサーブする。

モッツァレラとバジリコとトマトのソースの料理が美味しくないわけがない。

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総合解説
ジョヴェディ・ニョッキ
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2020年4月6日月曜日

トスカーナのニョッキ、ニューディはほうれん草嫌い向け。

ニョッキの話、今日はトスカーナのニョッキ、ニューディGNUDI。
リコッタのニョッキです。

皮のないラビオリ、とも言います。
ニューディはヌードという意味。
イタリアで子供に野菜を食べさせる方法の一つです。
とても柔らかくてデリケートな味が特徴で、トスカーナ中に広まっていて、乾麺のパスタの代表的な料理が少ないトスカーナを代表するプリーモ・ピアットになっています。

ニューディ

今日はトスカーナのオステリア料理の本、

スローフードの『オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・フィレンツェ・エ・キアンティ

より、フィレンツェ風ラビオリ・ニューティのリチェッタRavioli gnudi alla fiorentinaをどうぞ。
フィレンツェのパーネ・エ・ヴィーノPane e Vinoのリチェッタです。
材料/8人分
ほうれん草・・6把、約1kg
リコッタ・・1kg
卵・・5個
00番の小麦粉・・100g
セージ・・10枚
おろしたパルミジャーノ・・200g
バター・・100g
塩、黒こしょう、ナツメグ

・ほうれん草をさっと塩ゆでし、流水に取って冷ます。絞って粗く刻み、裏漉しする。
・大きなボールでほうれん草、卵、リコッタ(ホエイをよく切る)、小麦粉、パルミジャーノの半量、ナツメグを混ぜて塩、こしょうする。
・少量ずつ長さ2✕3cmの長いポルペッテ型にして塩を加えた沸騰寸前の熱湯に入れる。
・浮かび上がったらすくい取る。
・熱したセージバターに入れてなじませ、皿に盛り付けて残りのパルミジャーノを散らす。

※リストランテでは柔らかさを保つために片栗粉を加えることが多いが、粘りも出るのであまり前もっては作れない。そこで、ゆでずに薄く油をまぶしておく。
ソースは軽いフレッシュトマトソースなどが合う。


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総合解説

オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・フィレンツェ・エ・キアンティ

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2020年4月5日日曜日

トレントのパンのニョッキ、ストランゴラプレーティ

ジョヴェディ・ニョッキ』に話を戻します。

ニョッキを作る時、じゃがいもの質がポイントということはわかりましたが、ニョッキはじゃがいものニョッキだけじゃないんです。
本では、パンやリコッタのニョッキも紹介しています。
まずはストランゴラプレーティstrangolapreti。

トレント地方のパン(2~3日たったパンのパン粉)のニョッキです。
ビールといただきます。
単純に作り方だけを見るとニョッキより簡単に作れそう。
キリスト教の重要な会議、トレント公会議(1545~1563)が開かれた間、各地からトレントに集まったグルメで大食漢のえらい聖職者たちに気に入られた料理。

ほうれん草のストランゴラプレーティSTRANGOLAPRETI AGLI SINACI
材料/4人分
生か冷凍のほうれん草・・500g
固くなったパン(スパッカティーナ/小型の白パン)のクラム・・130g
卵・・2個
小麦粉・・大さじ2~3
牛乳・・1カップ、塩
溶かしバター
おろしたグラナ・パダーノ

・塩を少量加えた熱湯でほうれん草をさっとゆでよく絞る。約200g
・パンから皮を取り除き、同じ大きさの小片に切って大きなボールに入れる。温めた牛乳をかけて吸い込ませる。
・パン、卵、ほうれん草、塩少々を混ぜ、小麦粉を大さじ2ずつ加える。
・手に水をつけて少量ずつ大きめに丸め、軽く平らにして小麦粉を薄くまぶす。
・塩少々を加えた熱湯に入れてゆで、浮かび上がったら穴開きレードルで取り出してさらに盛り付ける。
・溶かしバターをかけておろしたチーズをたっぷりかける。

ストランゴラプレーティ

トレント地方の名物料理、カネデルリもよく似ています。

ストランゴラプレーティもカネデルリも、典型的な貧しくて質素な山の農民料理。
昔は残り物で作る空腹を満たす料理でしたが、今はリストランテの上品で洗練された伝統料理に生まれ変わっています。

考えてみると、イタリアの地方料理は、どこも手に入るギリギリのありあわせのもので作る質素な倹約料理ですが、北の山岳地のトレンティーノ・アルト・アディジェの料理は、中でも最たるもの。

南イタリアでは、豚肉を保存する時は塩漬けにしましたが、この地方は塩も高価で手に入らないので、スモークして保存しました。
その結果がスペックです。

パン(ライ麦パン)は毎日とか毎週焼くものではなく、年に2、3回しか焼きませんでした(なんですと!?)
そこで天井から吊るしておき、必要な分だけカットして食べました。
この地方の料理のキーワードは貧しさ(涙)。
でも、中央ヨーロッパの大国、ドイツやハプスブルクの影響を受けた文化が豊かな大自然の中で花開いた地方で、美味しいワインの産地。
トレント

今日のおまけ
紫いものニョッキ

本では緑色が美しい抹茶のニョッキも紹介されています。

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「総合解説」
ジョヴェディ・ニョッキ
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2020年4月4日土曜日

カリスマがぶちゃけた巨匠の苦手料理、ニョッキ

フリウリ地方の名物ニョッキを作るという大役をまかされながら、小麦粉を加えすぎて思い切り失敗して、フリウリ出身で、やたら注目浴びてる新人スーシェフに、いいとこ全部持ってかれたカルロくんは、後にイタリアを代表する料理人として大活躍し、若手の育成にもバリバリ取り組み、後輩にイタリア料理を教える本をたくさん書きました。
そのうちの一冊が、
クールにしたいならエシャロットを使う』です。

本の中でシェフは、過去の苦い思い出と、その後で猛勉強したと思われるニョッキのリチェッタを披露しています。

それでは、リチェッタをどうぞ。
ニョッキ・リピエーニGNOCCHI RIPIENI
材料/4人分
ニョッキ;
小麦粉・・110g
おろしたグラナ・パダーノ・・80g
卵黄・・大2個(小さいものなら3個)
塩、白こしょう
詰め物;
リコッタ・・500g
ターメリックパウダー・・3g、塩

・ニョッキに最適のじゃがいもは山で栽培された、とても乾いた、デンプンが少ないものだが、手に入れるのが難しい。
一般に売られているものはフレッシュでデンプンをたっぷり含んでいる。
小型のパターテ・マッテは見栄えがよくて美味しいが、値段が倍はする。
レストランではよく使うフランスの品種で、皮ごと食べる。
いわば、じゃがいものロールス・ロイスだ。

どうやら彼は、じゃがいものことを徹底的に調べたようです。

山間部のじゃがいもの栽培

リチェッタに戻ります。
・ボールにリコッタとターメリックを入れて塩味を整える。
・ニョッキの生地を作る(昨日のブログで訳したレッスン27参照)。
・小さく切って麺棒で薄い長方形に伸ばし、型で丸く抜く。
・リコッタの詰め物を絞り袋に入れて丸く抜いた生地の中央に絞り出す。
・半分に折り、小指で縁を軽く押さえて閉じる。
・塩を加えたたっぷりの湯で2分、または浮かび上がるまでゆでる。
・フライパンにバターを溶かし、ほうれん草を加える。炒った松の実、レーズン、塩を加える。
・火を止めてニョッキを加え、必要ならゆで汁少々を加えてなじませる。
・または皿にほうれん草と松の実を盛り付けてから、ニョッキを並べる。

さすがは巨匠のリチェッタだけあって作った人は大勢いるようです。
写真はあちこちにあります。
たとえばこちら

さらに、本にはニョッキのリチェッタをもう1品載せていて、こんなエピソードを添えています。

ニョッキはリスランテの料理より家庭の料理とみなされている。
私の母は月に1度は作ったので手際もよかった。
じゃがいもをゆでて熱いうちに皮をむく作業は、小麦粉を吸いすぎないように手早く
ちゃちゃっとやっていた。
私はニョッキがさほど好きではなかったが、作るのを見るのは好きだった。トマトソースのニョッキは酸味が強すぎてラグーのニョッキのほうが好きだった。

そんな私だが、フランスのモンテカルロにいた時、私のニョッキをデュカスシェフはいたく気に入ってくれた。
この店は私にとって初めての外国での仕事だった。
シェフはよくパスタとリゾットを見間違えた。
ニョッキも苦手だった。
フランス人にとって、ニョッキはとてもイタリア的な料理で、あまり作ることもなく、価値を高めるために、彼のレストランでは、少々途方に暮れていたらしく、だいぶ風変わりなものを出していた。
クラッコシェフは万事がこんな調子で、とても率直な人のようです。

リチェッタは次回。

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総合解説
クールにしたいならエシャロットを使う
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生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...