2020年4月15日水曜日

喉の乾きを癒す飲み物は革命を起こせる

ストリートフードの締めは、スップリのナポリ版。
この本『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』の
表紙を飾っている料理です。
これは“モッァレラ・イン・カロッツァMOZZARELLA IN CARRROZZA”。
1868年に出版された料理書には、
この料理には食パンpan carrèを使う。高級パン屋で売っているパンだ。
と書いてあります。
リチェッタを紹介している店、ナポリのティンパニ・エ・テンプラでは、固くなった田舎パンの“パーネ・カフォーネpane cafone”を使うそうです。

ナポリのティンパニ・エ・テンプラ

主役はモッツァレラ。
例によって残り物を有効利用する家庭料理なので、モッツァレラも残ったものを使います。
カンパーニアでは、できたてのモッツァレラを買ったらその日のうちか2日以内に食べきりますが、
残ったモッツァレラは毎日水を替えながら保存して、ソレント風ニョッキやモッツァレラ・イン・カロッァなどに使います。
少し水気が飛んだぐらいの状態が、揚げ物にはぴったりです。
モッツァレラの質が悪いと出来上がりも悪くなります。

モッツァレラ・イン・カロッツァ

この動画のリチェッタは、
材料/4人分
パン・・8枚
卵・・2個
牛乳・・約50ml
モッツァレラ・・1個、250g
塩、こしょう
リマチナートのセモリナ粉・・70g
00番の小麦粉・・70g
揚げ油

・モッツァレラは水気をしっかり切って薄すぎない輪切りにする。
・卵を溶きながら牛乳を少しずつ加え、塩、こしょうする。
・2種類の小麦粉を衣用に混ぜる。
・パン2枚でモッツァレラ1枚をはさみ、小麦粉、溶き卵、パン粉をつける。一口大を数切れ作ってもよい。
・油で揚げ、シートに取って油を切る。


次にティンパニ・エ・テンプラのモッツァレラ・イン・カロッツァMOZZARELLA IN CARROZZAのリチェッタ

材料/6人分
パーネ・パラテッラか天然酵母で薪で焼いた田舎パン・・1kg
モッツァレラ・フィオルディラッテ・・280g
卵・・3個
ペコリーノ・カルマッシャーノ・・40g
牛乳・・500ml
00番の小麦粉・・500g
EVオリーブオイル(揚げ油)・・2~2.5L

・パンは1~2日経って固くなったものを厚さ1cmに12枚スライスして使う。
・モッツアレラはパントと同じ厚さかやや薄い6枚の輪切りにし、水切りで最低1時間ホエイを切る。
・パンを牛乳にさっと浸し、編にのせて余分な水気を切る。
・全部のパンに薄く小麦粉をまぶし、6枚にモッツァレラをのせて残りのパンではさみ、手のひらで軽く押さえる。
・卵にペコリーノを加えて溶く。
・パンに溶き卵をつける。側面にもつける。
・160℃のたっぷりの油で1個ずつ5~10分トングで裏返しながら揚げる。
・2枚重ねたシートに取って油を切り、すぐにサーブする。

最後にナポリの人気のフリッジトリアfriggirroia。


もう一つのナポリの重要なストリートフードの店、アックアフレスカイオacquafrescaio。


ローマでは、最初のストリートフードの屋台は水とワインを売る店でした。

街角の水道で知られるローマですが、あの時代、水道に関してはローマは恵まれていました。でも、設備があっても安全とは言い難い時代でした。
そんな時代に、暑い夏の喉の乾きを癒やすために登場したのが果実を絞ったジュースを売る店、アックアフレスカイオです。
その周囲に軽食を売る店ができて、大きな街道沿いに人が集まるようになり、オステリアができます。

絞った果汁を売るアックアフレスカイオは、ナポリ最古の仕事の一つです。
頭に水の入ったテラコッタの壺を乗せて水を売るのは女性の仕事でした。

水の次に世界中に広まったのは冷たい紅茶でした。
お茶を飲む習慣は、中国からヨーロッパに伝わり、イギリスの宮廷からイタリアの宮廷へと伝わりました。
上流階級の間に広まったお茶を庶民のものに民主化したのはトーマス・トワイニング。

さすがにイタリアの庶民の間にお茶の文化は広まらなかったけれど、1970年代に革命が起きました。
アイスティーの登場です。
1904年に、セントルイスで、夏の間もお茶を売る方法として考え出されて、大ヒットしたのでした。
1870年代にはアメリカの家庭に普及していました。
1972年にはストローをさしたカップで販売されて、歩きながら飲めるようになったのです。
ヌテッラで有名なフェレーロのストロー付きの新製品、エスターテ。

こうして飲み物のイメージそのものが変わりました。

以前、小麦の新しい品種を開発してノーベル賞とった人がいましたが、アイスティーも、それに匹敵する発明なのでは・・・。

エスターテ






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「総合解説」
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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