2022年4月30日土曜日

ババはポーランド王がフランスで作り出したクグロフとブリオッシュを足して割ったようなナポリの名物ドルチェ。

今日のお題はナポリのドルチェで、イタリアを代表するドルチェになるほど広まったもの、ババbabàです(リチェッタはCIR7月号P.11)。
ナポリ料理研究の第一人者、ルチアーノ・ピニャタロ氏の本、『リチェッテ・ディ・ナポリ

によると、この料理は、ナポリではbabbàと発音し、フランスではbabàと発音するのだそうです。
ナポリ人かフランス人でなきゃこの違いは分からない。
でも、アリババのババbabàというのは、外国人にも発音しやすい言葉だったのは確かなようで、マッシュルームの形をしたこのドルチェは世界中で愛されました。
でも考え出したのはナポリ人でもフランス人でもなく、よりによって、ポーランドのグルメな王様、スタ二スラフ・レシチニスキでした。ルイ15世の舅です。作り出された場所はベスビオ山の麓ではなく、北イタリアに分類されるフランスとドイツの国境付近の街、リュネビルでした。
つまり、ナポリから世界中に広まったけど、ピッツァやパスタとは歴史が違う食べ物。
そのルーツはマデラ酒に浸したオーストリアのクグロフ、言い換えればパネットーネとブリオッシュを足して割ったようなもの。

クグロフ↓



フランスやらスラブやら、アリババやら、入り乱れてますが、ナポリの要素は、・・・ない。
正確には、ブルボン家が支配したシチリア王国の首都だったナポリは、フランスの貴族料理が伝わり、貴族のお抱え料理人が作る食文化が花開いた街だったので、フランス貴族社会の影響はあったようです。
この時代のフランスの貴族料理は、偉大な料理人によって世界中に広められました。ベシャメル、グラタン、シューなどはその一部です。
ババはナポリのパスティッチェリーアに伝わりました。フランス的なものは当時はステイタスシンボルで、ナポリのパティシエたちは、洗練されたババのアレンジを次々考え出していきました。カプリではリモンチェッロ風味のババやレモンクリームのババがうまれたそうです。
甘味と柑橘フルーツの酸味は相性が良い組み合わせでリモンチェッロのババはヒットしました。ちなみに、リモンチェッロのババはリモンチェッロに添えるドルチェとしてもばっちりです。

ナポリのババ。bが二つのbabbàの発音を堪能ください↓


ナポリを代表するパスティッチェリア・スカトゥルキオのババ。

リモンチェッロ風味のババのフランス風。




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2022年4月29日金曜日

アンチョビのパルミジャーナとアンチョビのピッツァ。

パルミジャーナ、イワシと見てきて、今日の料理は、アンチョビのパルミジャーナです。
正確にはなすのパルミジャーナにアンチョビを加えたアレンジです。
イワシもなすもシチリアの象徴的な食材で、パルミジャーナは世界的に広まったシチリア料理。当然アンチョビのパルミジャーナがあってもなんの不思議もないです。なすの代わりにアンチョビをはさんだ料理で、リチェッタを見ると、アンチョビをなすのように調理していることがよくわかります。

アンチョビのパルミジャーナ。

きのうの動画でも言ってましたが、アンチョビはなかなか高価な食材。でも、アンチョビの質がポイントなので、上質なものを使います。

ちなみにリチェッタは(CIR7月号P.10)。

上の動画では、アルミのカップを使って1人前サイズのパルミジャーナにしています。縮小系にしてパルミジャニーナparmigianinaと呼んでますね。
Parmigiana di alici/アンチョビのパルミジャーナ
材料/8人分
生のアンチョビ・・500g
なす・・1本
バジリコ・・1房
スカモルツァ・アッフミカータ・・200g
おろしたパルミジャーノ・・50g
ミニトマト・・400g
にんにく・・2かけ
唐辛子、塩、こしょう
ピーナッツ油、上質のEVオリーブオイル

・なすを輪切りにしてざるに入れ、重石をのせてアクを出す。
・油大さじ3~4でにんにくを軽くソッフリットにし、小角切りにしたミニトマト、塩、砂糖少々を加えて15~20分煮てトマトの水分を全部飛ばす。
・なすの水気をふき取り、ピーナッツ油で少量ずつ両面をきつね色に揚げて油を切る。
・トマトソースに唐辛子を加える。
・トマトソースを裏漉しして種と皮を取り除く。
・スカモルツァをスライスする。
・アルミのカップに油を塗り、アンチョビで覆う。トマトソース少々をかけ、なすとスカモルツァ、なす、バジリコ、なすを重ねてはみ出したアンチョビで覆う。トマトソース少々とパルミジャーノをかける。180℃のコンベクションオーブンで長くて10分焼いて表面に焼き色を付ける。
・カップの周囲を切り離して皿にあけ、トマトソース少々をかけてパルミジャーノを散らし、バジリコで飾る。

これがナポリだと、アンチョビバターのピッツァになります。
下の動画はべスト・ピッツァイオーリに選ばれたチーロ・オリーヴァのリチェッタ。

バターはノルマンディーバター、アンチョビはスモークして自家製の塩漬け。


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2022年4月28日木曜日

イワシのベッカフィーコはシチリアの外で一番有名なシチリア料理、イワシのキアッパは、よく似てるけど小さな漁師町の名物料理。

今日の料理はシチリアのイワシ料理。
きのうの“サルデ・ア・ベッカフィーコsarde a beccafico”は、シチリアの外でもっともよく知られたシチリア料理なのに対して、今日の“サルデ・ア・キアッパsarde a chiappa”は、あまり知られていないのでは・・・(リチェッタの日本語訳はP.10)。
どうやらアグリジェント県のシャッカSciaccaという街の伝統料理で、シチリア西部全域に広まっている料理のようなのですが、分かったのはせいぜいこの程度で、なぜこういう名前になったのかまったくわからず、謎ばかりが残りました。

シャッカ。
新鮮なイワシがたくさん水揚げされる漁師町。陶器も名物。


シャッカの港では、アンチョビなど漁師が近海で捕った新鮮な魚が水揚げされます。
サルデ・ア・ベッカフィーコを始めとする地元の料理は各種の魚で応用されます。
以前、チッチョ・スルタノシェフが、ヒメジで作ったキアッパを見たことがあります。

シャッカの魚料理の店、トラットリア・ベッキア・コンカ。


サルデ・ア・キアッパ↓
材料はベッカフィーコにそっくりですが、インボルティーニ型に巻くのではなく、切り身2枚ではさんで揚げる料理。

アンチョビ料理の基本はアンチョビ・バターのクロストーニcrostoni con burro e acciughe

・さやいんげんをアルデンテにゆでる。
・室温のバター(ノルマンディーバターやブール・ディ・バラットなど上質のもの)にシブレットの細かいみじん切りとバニラの種を加える。
・くるみ入りパンをスライスして軽く温める。
・パンにバターを塗り、アンチョビと半分に切ったさやいんげんをのせる。バターを塗ってパンをかぶせる。

シチリア料理のシリーズ本、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『ペッシェ』の一番最初の料理はアンチョビのクロストーニ。
オーソドックスなトマトとバジリコの基本の1品です。
これがアンチョビのピッツァまで展開されていくのがシチリアの魚料理。

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2022年4月27日水曜日

西のパレルモと東のカターニアは同じシチリアでも全然違う美食都市。

今日の料理はシチリアのイワシ料理2品。
まずはサルデ・ア・ベッカフィーコsarde a beccafico(CIR2020年7月号P.9)。
開いたイワシに炒めたパン粉と柑橘果汁の詰め物をのせて巻き、オーブンで焼くインボルティーニです。
イワシを巻いた姿が貴族の狩りの獲物の小型の野鳥、ベッカフィーコの料理に似ているところからこう呼ばれています。貴族料理を庶民がアレンジしてこうなりました。
詰め物は地元の食材を使うので、場所によってバリエーションがあります。
パレルモ版がよく知られていますが、詰め物がやや違うカターニア版もあります。
セコンドピアットですが、重要な食事では前菜としてもサーブします。
パレルモのトラットリアのリチェッタ↓



洗練されている印象が強いプラネタのリチェッタ
sarde a beccafico/サルデ・ア・ベッカフィーコ
材料/4人分
イワシ・・400g
パン粉・・200g
サルタナレーズン・・20g
松の実・・20g
砂糖・・大さじ1
レモン汁、オレンジの汁、ローリエ
イタリアンパセリ・・1房
ビネガー、EVオリーブオイル、塩、こしょう

・イワシは頭と骨を取って開き、ビネガーと水で1時間マリネする。
・パン粉をフライパンで焦がさないように炒め、焼き色がついたら油を回しかけてよく混ぜる。
・レーズンと松の実、砂糖、塩、こしょう、イタリアンパセリのみじん切り、オレンジとレモンの汁をよく混ぜる。
・イワシに少量の詰め物をのせてインボルティーニ型に巻き、油を塗ったオーブン皿にローリエと交互に並べる。油をまわしかけてレモン汁とオレンジの汁少々をかけ、パン粉を散らす。高温のオーブンで約5分焼く。
プラネタのリチェッタでは、インボルティーニの間の緑のローリエ、紫玉ねぎ、レモンとオレンジの薄切りを交互にはさんでいるので、色合いがイワシ料理とは思えないほど華やかです。

カターニア風サルデ・ア・ベッカフィーコ。
パン粉に卵を加えたり、イワシで詰め物をはさんだり、パン粉をまぶして揚げたりと、微妙に違います。

西のシチリア最大の街パレルモと、東のシチリア第2の街カターニアはどちらもシチリアを代表するグルメ都市。
カターニア↓

パレルモ↓


シチリアのイワシの名物料理、次回はサルデ・ア・キアッパ。

おまけにラグーザ・イブラのリストランテ・ドゥオモのチッチョ・スルタノシェフの動画をどうぞ。


材料/
レモン、玉ねぎ、イタリアンパセリ
唐辛子
レーズン
松の実
アンチョビ
ブロンの牡蠣
パレルモ風パン粉
オリーブオイル
豆乳

いきなりパンを作り出しましたよ。しかも、カステルペトラーノの黒パンというシチリア産の2種類の小麦粉の天然酵母の名物パン。これをスライスしてクロスティーニにします。

さらに豆乳とオイルを乳化させてクリームにします。これもパン粉に加えます。

イワシはオリーブオイルを加えて真空調理。

パン粉は絞り袋に入れて、イワシに絞り出すのかとおもったら、牡蠣に詰めてます。
焼いたクロストーニにも詰め物を絞り出し、田舎の朝食のレモンのサラダをちゃちゃっと作り、皿に盛り付けるのかと思ったら、マリネ液を急須に入れてます。

パン粉をまぶした牡蠣をフライパンで焼き、その上にクロストーニをのせてさらに真空調理してオーブンで焼いたイワシをのせます。レモンの皮のジュリエンヌで飾り、レモンのサラダの汁をかけて出来上がりです。
どんな料理になるのか、まったく想像できませんでした。
さすがはシチリアを代表する有名シェフ。

ラグーザ・イブラのリストランテ・ドゥオモ

シェフの店があるラグーザや隣のモディカもシチリアの美食都市。


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2022年4月26日火曜日

シンプルなだけに何を詰めるかが大切なトマトのグラティナーティ。チェターラのアンチョビとブロンテのピスタチオを詰めるとちょっとしたご馳走に。

今日の料理は“トマトのグラティナーティ”。別名、トマトのリピエーノとも呼ばれる入門編のイタリア料理です。

Pomodori gratinati al forno/トマトのグラティナーティ


・イタリアンパセリの葉を茎から外してみじん切りにする。
・トマト(動画では軽い酸味が欲しいので完熟でないトマトを選んでいる)のへたを取って半分に切り、格子状の切り込みを入れる。
・オーブンシート(トマトから水分がたくさん出るので油は引かない)を敷いた天板にトマトを並べる。
・イタリアンパセリと赤にんにく1かけをみじん切りにする。唐辛子1本のみじん切り、パン粉、ドライエストラゴン小さじ1を加えてよく混ぜる。
・各トマトに油少々をかけて塩をし、その上に香草パン粉をのせる。再び油と塩をかけ、150~160℃で約1時間焼く。
・皿に盛り付けて油をまわしかける。

トマトとパン粉のシンプルな料理なので、今回も食材の選び方がポイント。今月の(CIR)のリチェッタは(P.7)、パン粉がピスタチオ入りなのでシチリア風かと思いきや、コラトゥーラで知られるチェターラのアンチョビのオイル漬け入りで、カンパーニアの名物食材も入っています。
上の動画ではパン粉は田舎パンから造っているようです。
チェターラはティレニア海のアンチョビの故郷と呼ばれている場所で、別名青い真珠とも呼ばれています。アドリア海のアンチョビより脂が少なく、水揚げ後すぐにすべて手作業で加工されるアルティジャナーレな製品。アマルフィ海岸のアンチョビです。
リチェッタでは、アンチョビはオイルで溶かし、ピスタチオはオイル少々と一緒にすり潰してクリームにしてからパン粉に加えます。

チェターラのアンチョビ漁

次回はシチリアのイワシ料理です。

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2022年4月25日月曜日

南イタリアからの移民によって、イギリスの植民地に広まった料理、パルミジャーナ

ナポリの人気料理、パスタのフリッタータの次の今月の(CIR)のリチェッタは、シチリアとの間で容赦のない本家争いが起きている料理、なすのパルミジャーノです。

由緒正しいナポリの名物食材となすを使った夏の料理として、世界中(特にアメリカ、オーストラリア、カナダ、ほお、これは見事にイギリスの植民地ですねえ)に広まった料理、パルミジャーナ。
もちろん世界中の人は、これがナポリ料理かシチリア料理かなんて、どっちでもいいいでしょうが、おそらく南イタリアからの移民が広めたイタリア料理の名品、ということに異議はないでしょう。
さらに言えば、カラブリアにもパルミジャーナという伝統料理はあります。

シチリア派の根拠は、料理書に初めて登場したのが、ナポリで出版された歴史的料理書、ブオンビチーノ公ことIppolito Cavalcanti著、『Cucina teorico-pratica』(1837)だとされているのです。彼は今でも当時のナポリ料理の基礎を本にまとめた人物として尊敬され、彼の名前を冠したホテル学校や博物館もあります。

ベースのなすのパルミジャーノを、他の野菜(今回はパプリカ)で応用するので、ベースのナポリ風パルミジャーナのリチェッタを見てみます。

なすのパルミジャーナ/Parmigiana di melanzane

材料/
なす・・2㎏
トマトソース・・700g
モッツァレラ・・300g
おろしたパルミジャーノ・・100g
小麦粉・・大さじ4
バジリコ、塩、こしょう
EVオリーブオイル

・なすの皮をピーラーでストライプにむき、厚さ7~8㎜にスライスしてざるに入れる
・塩をして重石の皿と水を張ったボールをのせ、30分置いてアクをだす。
・モッツァレラを小角切りにして水気を切る。
・なすの水気を抜き取って小麦粉を薄くまぶし、190℃のたっぷりの油で両面を揚げる。
・シートに取って油を切る。
・オーブン皿にトマトソースを敷き、なす、トマトソース、モッツァレラ、ちぎったバジリコ少々、パルミジャーノ少々の順で3~4段重ねる。
・最後の段はトマトソースで覆ってパルミジャーノを散らす。
・180℃のオーブンで25分焼く。

ちなみに、なすはアラブから中世後期にヨーロッパに伝わりましたが、例の料理書に登場したのは19世紀とかなり後になってからです。
なすの苦さが敬遠されていたのでした。
そのため、パルミジャーノに使ったのはズッキーニやパースニップが一般的でしたし。
なので、ズッキーニのパルミジャーノというのもおいしいはず。

パプリカのパルミジャーナ/PARMIGIANA con PEPERONI 


材料/
パプリカ
EVオリーブオイル
ハム、モッツァレラ
パン粉、ターメリック、パプリカパウダー、塩、砂糖

・パプリカをオーブンでローストしてむらし、皮をむく。
・オーブン皿に油を引き、パプリカを並べて塩をする。
・モルタデッラ、モッツァレラの小角切り、油を重ねる。これを繰り返し、パン粉を散らす。
・180℃のオーブンのグリルで焼く。

ズッキーニのパルミジャーナ





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2022年4月24日日曜日

ナポリでパスタ産業が発展して、都市と田舎の食文化は大きく変わった。都市の食べ物の代表がストリートフード。

今日の料理はフリッジテッリのスパゲッティのフリッタータです。リチェッタは(CIR7月号P.6)
フリッジテッリはきのう紹介したように、ししとうのことです。
紛らわしいけど、チーマ・ディ・ラパことフリアリエッリfriarielliとは違うナポリ野菜です。

フリッタータはナポリの人が大好きな料理。
ピッツァにそっくりな形状がナポリ人にささるのか、フリッジテッリ、サルシッチャ、パスタなど、様々なタイプのフリッタータがあります。
ナポリ料理の研究家として知られるルチアーノ・ピニャタロ氏の本、『リチェッテ・ディ・ナポリ

には、フリッタータはナポリ人が大好きなストリートフードの系列の食べ物だとあります。

ストリートフードの歴史を語る時に欠かせないのが、ナポリの庶民の生活を描いた19世紀頃の絵画。スパゲッティを手づかみで食べている絵が大量に出回りました。
当時ナポリの人は、北イタリアの人からマンジャマッケローニと呼ばれてからかわれていました。まだフォークが普及する前の時代です。スパゲッティを高々と持ち上げて口の中に落とす様は、少なからず衝撃的ですが、こんな風景が広まるのも、ナポリでパスタ産業が大発展して都会と農村の食文化がはっきり分かれた結果でした。

ナポリのストリートフード


パスタを手で食べる方法としては、フリッタータはかなりの傑作。
ちなみにナポリ人は、マンジャマッケローニと呼ばれる前はマンジャフォーリアと呼ばれるほど野菜好きでした。野菜のフリッタータはかなり人気だったはず。
しかもフリッタータは残り物を再利用して作れます。

パスタのフリッタータFrittata di pasta

材料
トマトソースのスパゲッティ・・200g
卵・・3個
おろしたグラナ・パダーノかパルミジャーノ・・20g
モッツァレラの小角切り・・70g
イタリアンパセリかバジリコのみじん切り・・大さじ1
塩、こしょう
EVオリーブオイル・・大さじ3~4

・卵、塩、こしょう、ハーブ、おろしチーズを混ぜてスパゲッティを加える。
・モッツァレラを加える。
・フライパンにオイルを熱し、混ぜたスパゲッティを入れて卵を行きわたらせ、弱火で5~6分焼く。3~4分焼いたら蓋を使って裏返す。必要なら油を足し、3~4分焼いて焼き色を付ける。皿に滑らせて盛り付ける。サラミの小角切りを加えてもよい。

玉ねぎのフリッタータFrittata di cipolla

かなり庶民的なパンのフリッタータ。

ゴージャス版パスタのフリッタティーネ。





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2022年4月23日土曜日

ナポリでは、民間信仰で広まった唐辛子型のお守りも、プラスチックの量産型じゃなく、アルティジャナーレでないと効き目がない、と言われている。

今日の(cir7月号)のリチェッタは、“フリッジテッリのスパゲッティのフリッタータ”です。
自らを農民料理人と呼び、ベズビオ山の麓で地元の人たちと一緒に畑を耕しながら料理を作るPietro Parisiシェフの本、『ピエトロ・パリージ』/クオーコ・コンタディーノ


』に出会って以来、身近になったナポリ野菜の1つです。
1年前までは名前も聞いたことがなかったのに、最近では、料理雑誌でもよく見るようになりました。
それではフリッジテッリをどうぞ。
フリッジテッリのソテー↓。

・フリッジテッリはへたと種を取り、にんにく1かけと唐辛子の辛みを加えたオリーブオイル、塩少々で丸ごと炒める。蓋をして弱火で10分熱する。焦げそうなときは水少々を加える。

こ、これはシシトウ・・・。どっから見てもシシトウ。
シシトウは辛くない唐辛子。こちらのページによると、日本で一番生産量が多いのは高知県だそうです。

そしてフリッジテッリはカンパーニアの野菜のカンパーニアでの名前。

特別でもなんでもない野菜なのに、なぜか今まで全然知られていなかった野菜です。
そしてなぜか今、ブームを迎えています。

グイド・トンマージの地方料理シリーズの『クチーナ・ディ・ナポリ

では、フリッジテッリではなく、ペペロンチーニ・ベルディ・ドルチと呼んでいました。甘い緑の小さなピーマンという意味です。これを一言でいうとフリッジテッリなのですが、マイナーすぎる名前なので、わざわざ言い換えたのでしょう。
ところが、解説を見ると、「ナポリでは唐辛子はとても人気がある・・・」とあります。
小さくて辛い唐辛子は幸運の角としてお守りになり、悪意や悪運を追い払う、と信じられています。
唐辛子の赤い色は、血や力の象徴で、動物の角も昔から力の象徴でした。中世以降、この考えがナポリ市民の間で流行しますが、プラスチックの量産品ではなく、手作りのアルティジャナーレなもので、人からプレゼントされたものでなければ効き目はない、というめんどくさい条件も付いています。

アルティジャナーレのコルノ。
でも今どき、店頭に並ぶ大量のコルノを見ると、中国産のプラスティック製品じゃないものをこんなに大量に売れるかなあという疑問はすぐに浮かぶ。
どう考えても〇〇製。

これぞアルティジャナーレ。

もちろん料理にも使う。
シンプルにゆでてにんにく風味のオイルで炒めて、細切りトマトを添えるなど。
(CIR)のリチェッタは、ナポリ市民に人気のパスタのフリッタータ版アレンジ。
詳細は次回です。

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2022年4月22日金曜日

アルティジャナーレなパスタ、キタッラはシェフの想像力が生きるロングパスタ。

昨日のメカジキのパスタに続き、今日は、メカジキのブリーモ。(CIR/7月号から)プリーモ4品め、“キタッラとメカジキ”です(リチェッタはp.5)。
この料理はなんといっても見た目が美しい魚料理とプリーモ・ピアットの盛り合わせです。
魚はメカジキの切り身。
フェンネルシード、ミント、といったシチリアのスパイスやハーブ、ライムの果汁でマリネして鉄板で焼きます。
パスタはアブルッツォ生まれで硬質小麦粉と卵の、断面が四角いパスタ、キタッラ。
キタッラは低温長時間乾燥の影響がでやすい太い麺で、スパゲットーニなどの量産型パスタとは違うアルティジャナーレのパスタ。
リチェッタを提供したシェフは、パスタは国産小麦を使ったパスタで、小麦の産地から近い所で加工した麺が良い、と語っています。

でも、プレーンのパスタとメカジキでは、どちらも白くて料理の印象がかなり薄め。
プレーンなパスタを華やかにするための工夫は、ズッキーニ、にんじん、パプリカ、葉玉ねぎのカラフルなジュリエンヌを炒めてゆでたパスタと混ぜる、というもの。そしてトングとレードルを使って巻いて横長に、メカジキの切り身と同じ長さに盛り付ける。
キタッラがカラフルになり、インパクトが一気に強くなります。
昨日のシチリア料理のメカジキのパスタのように、魚を小角切りにしてソースに入れるのは、よくあるリチェッタですが、鉄板焼きにしてパスタの横に添えるというのに欠かせないのは巻いたパスタを横向きに盛り付けるという技。

レードル、トング、セルクルを使ってスパゲッティを盛り付ける。
盛り付けにはセンスが出ますねえ。かなり楽しんでます。


革新的なシェフのパスタを集めた本、パスタ・レボリューション
には、オリジナルな盛り付けのパスタがたくさん載っています。
中でも巻くパスタが圧巻なのは、先日取り上げた、シチリアのピーノ・クッタイアシェフ。

クッタイアシェフのイワシのパスタ。



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2022年4月21日木曜日

メッシーナ名物、メカジキ、なす、ミントのパスタ。

今月の(CIR)のパスタ、2品目は、ミントとパン粉のペーストのパスタ(P.4)です。
お手軽価格の“ピッコロ・ス分ティーニ・シリーズ”のペーストの本、『ファッチャーモロ・ペスト

は、ミキサーでちゃちゃっと作る今時のペーストの本。
ペーストにできないものはなく、ペーストにすれば料理に使うのがとても簡単になる、ということを教えてくれる本。
ミントのペーストは、バジリコのペーストにミントとパン粉を加えてたもの。

簡単に応用できます。
ペーストなのでリグーリア料理を軽く調べましたが、ミント入りのリグーリア料理というのは見つからず。代わりにミント入りの料理がたくさん見つかったのは、シチリア料理でした。
どうやらシチリアの気候はミントによくあったようで、シチリアを代表するハーブの一つになっています。
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ

や、“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ

のシチリア料理を見てみると、すぐ気が付くのが、メカジキのミント風味。

メカジキとなすとミントのパスタ。pasta con pesce spada emelanzane e menta

材料/4人分
・メカジキ500gを小角切りにする。
・にんにく1かけ、イタリアンパセリのみじん切り、ミント少々一緒に油で炒めて塩、こしょうする。
・にんにくを取り除き、ブランデー44gでフランベして取り出す。
・トロペアの赤玉ねぎ1/2個を薄く切る。
・ダッテリーニ(楕円のミニトマト)300gを4つに切る。
・メカジキを炒めたフライパンに油を足し、赤玉ねぎ、塩、こしょうを加えてソッフリットにする。ミニトマト、刻んだバジリコとミントを加えて20分煮る。
・白ワイン135gをかけてアルコール分を飛ばし、さらに20分煮る。
・パン粉150gをフライパンで炒り、焼き色がついたら火から下して油少々をたらす。
・丸なす1/2個を小角切りにしてたっぷりの油で揚げる。シートに取って油を切る。
・メカジキをトマトのソッフリットに加える。
・パスタ(パッケリ)320gをゆでる。
・なすとパスタのレードル1杯のゆで汁、パスタをトマトソースに加えてなじませる。
・皿に盛り付けてパン粉を散らす。

メカジキはメッシーナの名物。メッシーナ海峡のメカジキ漁はシチリア名物。頑なに人力の昔ながらの漁。
当然、この料理もメッシーナ料理。ミントはほとんど飾りのような使われ方。言い換えれば、メカジキとなすのパスタ。
でも、シチリア感は強まる。
メカジキのパスタにも仕上げにパン粉が欠かせないのがシチリアのパスタ。
(CIR)のミントとパン粉のパスタ、ペーストにパン粉を加えることはさらっと流したけど、ミントとパン粉の組み合わせは、シチリア料理のアイデンティティーだったかも。

メッシーナ海峡のメカジキ漁。



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2022年4月20日水曜日

パルミジャーノのスプーマは、“パダナ平野の霧”になっておばあちゃんの地方料理をアルタ・クチーナに変身させる。

きのうのティンバッロは、こてこてのシチリアの地方料理のアルタ・クチーナのシェフによるアレンジでした。
イタリアのアルタ・クチーナは、一昔前から、地方料理を軽く、モダンにすることに全力で取り組んでいるようです。
今日の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の料理は、トスカーナ料理、パッパ・アル・ポモドーロのモダンなアレンジです(リチェッタの日本語訳は7月号P.3)。
下の動画はトスカーナのオステリアのシェフが、おばあちゃんのリチェッタで作る1品。かなり素朴で田舎風の質素な農民料理ですよね。これが、どうすれば軽いモダンな料理になるのでしょう。


リチェッタは、(CIR)も動画も、まずトマトソースを作ります。
そして固くなったパーネ・トスカーノを加えてトマトソースを吸い込ませます。
これを煮崩してバジリコとオリーブオイルを加えてマンテカーレします。

なるほど、かなり素朴で、見た目は離乳食のよう。
この料理を、オリジナルにほとんど手を加えることなく、今どきな1品にしたのが今月の(CIR)の料理です。
解決策は、パルミジャーノの皮の真っ白いスプーマで料理を覆う、というもの。
真っ赤なズッパに真っ白のスプーマが載っているというのは、見た目のインパクトが強烈です。
ボットゥーラシェフの歯ごたえの違うパルミジャーノの使い方↓

パルミジャーノのスプーマは、ボットゥーラシェフの得意の使い方。
でも、ズッキーニの花から温泉卵、ジェラートまで、さまざまな料理の仕上げにスプーマをのせています。
パッパにのせたスプーマは、パルミジャーノの皮を浸した牛乳から取ったブロードをサイフォンで泡にします。
パンをトーストする時にオイルとレモンの皮のすりおろし少々を散らすというのも美味しそうなアレンジ。
生ハムの骨から取ったブロードをスプーマにする、というテクニックもあります。
生ハムはよく熟成させたものを使うそうです。

パルミジャーノの皮でブロードを取るリチェッタは、おばあちゃんが教えてくれたそうです。彼はこの泡を“パダナ平野の霧”と呼んで、故郷の象徴として使っています。
2015年のミラノ万博ではパルミジャーノの皮がテーマの発表をしたボットゥーラシェフ。
金儲け以外にも地域社会と積極的に関わっていこうとする姿勢が尊敬できるシェフ。



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2022年4月19日火曜日

ピーノ・クッタイアシェフのノルマ風パスタ。

(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)7月号の記事から、パスタ・ンカッシャータのお題が続いていますが、このパスタは、言い換えればなすのパスタでもあります。
シチリアでなすのパスタと言えば、ノルマ風。
パスタ・ンカッシャータがお勧めの店は、偶然か、どこもノルマ風パスタもお勧めです。
今日は、シチリアのアルタ・クチーナのシェフの一人、ラ・マディア(店のwebページ)のピーノ・クッタイアシェフの作るノルマ風をどうぞ。

Pasta alla Norma di Pino Cittaia/ノルマ風パスタ

材料/4人分
パスタ(リガトーニ)・・500g
なす・・600g
玉ねぎ・・100g
バジリコ・・20g
羊のリコッタ・サラータ・・100g
EVオリーブオイル・・80g
揚げ油用EVオリーブオイル・・400g
ダッテリーノ(楕円形のミニトマト)トマトのパッサータ・・750g

・玉ねぎを水分が出ないように粗いみじん切りにして鍋に入れ、風味づけのバジリコを加えてソッフリットにする。
・なすはピーラーで皮をむき、厚さ1㎝にスライスする。
・玉ねぎのソッフリットにパッサータを加える。
・その間に揚げ油を熱し、なすを揚げる。
・仕上げにオーブンで焼くのでパスタを硬めのアルデンテにゆでる。ゆで汁に塩は加えない。
・なすの香りで揚げ具合を判断し、茶色くなりすぎないうちにシートに取って油を切る。
・パスタを取り出し、おろした羊のリコッタをまぶす。
・型を揚げたなすで覆い、中にパスタを1本ずつ立てて詰める。パスタの中にも入るようにトマトソースをかけ、型を台にたたきつけて空気を抜く。表面をなすで覆い、キッチンペーパーをかぶせて抑え、蓋をする。
・160℃のオーブンで10分焼く。
・型から出してバジリコで飾る。

これはなすのティンバロのバリエーションですね。
シチリアのオーブン焼きパスタにありがちな巨大でボリューミーな料理ではなく、貴族の料理がルーツのティンバロの洗練さや、シェフのファンタジーも感じるような1品です。

クッタイアシェフのレストラン・マディア↓はミシュラン星付きながら、かなりリラックスした雰囲気。
そういえば、かつてシェフが注目された料理の一つに、“イカの卵”というのがありました。見たことなかったので、どんなものだろうとあれこれ探しまくったことがあります。結局謎のままで、それ以来、イカの卵と聞くと、クッタイアシェフを思い出します。

なすのティンバッロ。


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牛乳を1滴たりとも捨ててはならぬ、というベネディクト会の教えからグラナ・パダーノは生まれた。

今日は、9月号を訳していて、一番記憶に残った文章を紹介します。 その記事は、『クチーナ・イタリアーナ』のチーズについてのものでした。 まず、最初の一文がかっこよかった。 「イタリアには500種類のチーズがある。そしてそのトップはパルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノという...