ガルガネッリの話の続きです。
ガルガネッリを作る時はペッティネと棒が必要。
ガルガネッリ用のペッティネと棒
でも、今ではロマーニャ地方でもこの道具は手に入りにくいようです。
ペッティネが手に入らない時は、ニョッキ用の板で代用できます。
それに、必要は発明の母。
初めてガルガネッリを作った枢機卿の料理人のように、代用できる筋付きの板はないか、あたりを見渡してみるのも一興。
何かひらめいて、まったく新しいパスタが生まれるかも。
ニョッキ用の型
ガルガネッリは、形たけでなく名前も印象に残りますよね。
その語源は、鶏の気管のロマーニャ地方での呼び方、ガルガネルgarganel。
鶏の気管の写真が見つからなかったので、豚の気管でご勘弁。
ドックフード用の干した豚の気管。
確かにガルガネッリに似ています。
ちなみに、日本では鶏の気管は焼鳥に使われたりするんですねえ。
ガルガネッリはさまざまなバリエーションがあるパスタですが、伝統的には、「総合解説」で紹介しているように、軟質小麦粉に卵、パルミジャーノ・レッジャーノ、ナツメグを加えます。
パルミジャーノやナツメグを加えなかったり、硬質小麦粉を加える人もいます。
ソースはサルシッチャのラグーが代表的。
ブロードでゆでてスープパスタにもします。
グリーンピースとハムのソースも定番。
ロマーニャ地方には、モーラ・ロマニョーラという品種の黒豚がいます。
チンタ・セネーゼなど、イタリア原産の5品種の1つです。
地産にこだわるレストランなら、ガルガネッリのラグーにも、このモーラ・ロマニョーラのサルシッチャを使っています。
甘みのある脂身が特徴なんだそうです。
↓今日のおまけの動画は、ロマーニャ地方の宴会で盛り上がった時に歌われる歌、「ロマーニャ・エ・サンジョヴェーゼ」。
オステリーアでワインを飲みながらカードに興じて、夜になると恋をしたくなっちゃう~、ロマーニャ万歳、サンジョヴェーゼ万歳、みたいな歌。
かつて長友が在籍していたチェゼーナの応援歌もこの歌。
エッヴィーヴァ・ラ~・ロマーニャ~♪
エッヴィーヴァ・イル・サンジョヴェーゼ~♪
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“ガルガネッリ・アッラ・ロマニョーラ”の解説は、「総合解説」2011年3月号に載っています。
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2012年2月27日月曜日
2012年2月23日木曜日
ガルガネッリ、1
今日はパスタの話。
『サーレ・エ・ペペ』の解説です。
今回取り上げるパスタは、ガルガネッリgarganelli。
ガルガネッリ(これはカボチャを練りこんだバージョン)
ガルガネッリは、エミリア・ロマーニャ州の伝統的なパスタの1つ。
詳しく言うなら、ロマーニャ地方がルーツとされています。
ロマーニャ地方とは、エミリア・ロマーニャ州の右側、ボローニャの東の一部と、ラヴェンナ、フォルリ、リミニの一帯。
この地方のパスタですから、やはり麺は卵入りの生パスタ。
筋付きペンネによく似た形をしていますが、ペンネとは筋の向きが違います。
乾麺のペンネ・リガーテ
ガルガネッリの最大の特徴は、やはり筋。
横向きについたこの細かい筋は、“ペッティネpettine”と呼ばれる道具でつけます。
上のほうにあるのがペッティネ
ペッティネと専用の細い棒で筋をつけます
ペッティネとは、布を織る織機の部品の名前です。
日本では“筬(おさ)”とか“リード”と言うようです。
しくみはこういうもの。
↓織機のペッティネの使い方。
この画面で縦糸が通っている黒い部分。
横糸を通した後に手前に寄せる時に使います。
考えてみれば、昔は布を人の手で織っていたわけで、織機が家庭に普通にあったとしても、何の不思議もないですよねえ。
そのうち誰かが、ペッティネに麺をのせて筋でもつけてみようか、と考えたとしても、何の不思議も・・・。
???
いやいや、それはかなり不思議。
『サーレ・エ・ぺぺ』でも紹介していますが、このペッティネで最初にパスタに筋をつけた人については、ある伝説があります。
それは1725年のこと。
当時のイタリアは、トスカーナ大公国やヴェネチア共和国、オーストリアに支配された地域など、相変わらずこまごまと別れていました。
ロマーニャ地方はどこに属していたかと言うと、教皇領です。
ガルガネッリの伝説の舞台は、その教皇領のトップだった枢機卿の、イーモラの館。
ある日のこと、館では大事な客人を招いて豪華な晩餐会が開かれていました。
ところが厨房では、料理番の女性が頭を抱えていました。
特上のカッペッレッティ・イン・ブロード用の詰め物を、猫が食べてしまったようなのです。
詰め物なしのパスタでご馳走を作らなければ。
途方に暮れながらも、何とかしなければと頭をフル回転させた彼女。
あたりを見回すと・・・。
ん、これは織機のペッティネ?
糸を巻きつける棒もある。
そうだこれで!
なんで厨房にペッティネがあったのか、なんてKYな質問はしませんよ。
その都合のよさが都市伝説ってもの。
とにかく、カッペッレッティ用の四角い生地をペッティネにのせて、糸用の棒で押しながら巻いてみたら、なんとも素敵なパスタができあがったじゃありませんか。
これを去勢鶏のブロードでゆでたら、見事な一品の出来上がり~。
晩餐会は大成功でした。
ガルガネッリ誕生の伝説は他にもありますが、それにも教皇に関わる人が登場するので、どうやらかなりのご馳走として食べられていたようです。
ガルガネッリの話、次回に続きます。
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“ガルガネッリ・アッラ・ロマニョーラ”の解説は、「総合解説」2011年3月号に載っています。
解説では“ペッティーネ”となっていますが、正しくは“ペッティネ”です。
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『サーレ・エ・ペペ』の解説です。
今回取り上げるパスタは、ガルガネッリgarganelli。
ガルガネッリ(これはカボチャを練りこんだバージョン)
ガルガネッリは、エミリア・ロマーニャ州の伝統的なパスタの1つ。
詳しく言うなら、ロマーニャ地方がルーツとされています。
ロマーニャ地方とは、エミリア・ロマーニャ州の右側、ボローニャの東の一部と、ラヴェンナ、フォルリ、リミニの一帯。
この地方のパスタですから、やはり麺は卵入りの生パスタ。
筋付きペンネによく似た形をしていますが、ペンネとは筋の向きが違います。
乾麺のペンネ・リガーテ
ガルガネッリの最大の特徴は、やはり筋。
横向きについたこの細かい筋は、“ペッティネpettine”と呼ばれる道具でつけます。
上のほうにあるのがペッティネ
ペッティネと専用の細い棒で筋をつけます
ペッティネとは、布を織る織機の部品の名前です。
日本では“筬(おさ)”とか“リード”と言うようです。
しくみはこういうもの。
↓織機のペッティネの使い方。
この画面で縦糸が通っている黒い部分。
横糸を通した後に手前に寄せる時に使います。
考えてみれば、昔は布を人の手で織っていたわけで、織機が家庭に普通にあったとしても、何の不思議もないですよねえ。
そのうち誰かが、ペッティネに麺をのせて筋でもつけてみようか、と考えたとしても、何の不思議も・・・。
???
いやいや、それはかなり不思議。
『サーレ・エ・ぺぺ』でも紹介していますが、このペッティネで最初にパスタに筋をつけた人については、ある伝説があります。
それは1725年のこと。
当時のイタリアは、トスカーナ大公国やヴェネチア共和国、オーストリアに支配された地域など、相変わらずこまごまと別れていました。
ロマーニャ地方はどこに属していたかと言うと、教皇領です。
ガルガネッリの伝説の舞台は、その教皇領のトップだった枢機卿の、イーモラの館。
ある日のこと、館では大事な客人を招いて豪華な晩餐会が開かれていました。
ところが厨房では、料理番の女性が頭を抱えていました。
特上のカッペッレッティ・イン・ブロード用の詰め物を、猫が食べてしまったようなのです。
詰め物なしのパスタでご馳走を作らなければ。
途方に暮れながらも、何とかしなければと頭をフル回転させた彼女。
あたりを見回すと・・・。
ん、これは織機のペッティネ?
糸を巻きつける棒もある。
そうだこれで!
なんで厨房にペッティネがあったのか、なんてKYな質問はしませんよ。
その都合のよさが都市伝説ってもの。
とにかく、カッペッレッティ用の四角い生地をペッティネにのせて、糸用の棒で押しながら巻いてみたら、なんとも素敵なパスタができあがったじゃありませんか。
これを去勢鶏のブロードでゆでたら、見事な一品の出来上がり~。
晩餐会は大成功でした。
ガルガネッリ誕生の伝説は他にもありますが、それにも教皇に関わる人が登場するので、どうやらかなりのご馳走として食べられていたようです。
ガルガネッリの話、次回に続きます。
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“ガルガネッリ・アッラ・ロマニョーラ”の解説は、「総合解説」2011年3月号に載っています。
解説では“ペッティーネ”となっていますが、正しくは“ペッティネ”です。
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2012年2月20日月曜日
ズッキーニのトルタ
リグーリア料理の話が続きます。
今日はズッキーニの料理。
『サーレ・エ・ペペ』の解説です。
↓全部ズッキーニ
ズッキーニはイタリア料理には欠かせない野菜ですが、元をたどれば中央アメリカ生まれ。
コロンブスがヨーロッパに持ち帰った様々なカボチャの1つでした。
セイヨウカボチャとは別の、ペポカポチャが先祖です。
そのペポカボチャが時間をかけて品種改良されて、ズッキーニになった訳です。
言うならば、アメリカ生まれ、イタリア育ち。
でも、いつ、どこで、誰がズッキーニを作り出したのか、といった話は不明。
それほど昔のことではないということは分かっています。
“ズッキーニ”は英語の呼び方ですが、イタリア語では“ズッキーナzucchina/ズッキーネzucchine”。
由来だけでなく、この名前もあいまいで、19世紀末になっても、ズッキーノかズッキーナか決まらずに、当時の辞書には両方の名前が載っています。
アメリカの市場にズッキーニが出回るようになったのは、30年ほど前のことだとか。
英語の場合、アメリカではイタリア語系でズッキーニと呼びますが、イギリスではフランス語系でコージェットと呼びます。
どちらも小さなカボチャという意味は変わりません。
歴史が短いせいか、イタリアの地方料理の中でズッキーニが主役を張っている有名な料理は、それほど多くはありません。
そんな中で、ズッキーニの地方料理として比較的知られているものの1つが、リグーリアのズッキーニのトルタ、“トルタ・ディ・ズッキーネ”です。
このトルタは、小麦粉とオリーブオイルの生地に、ズッキーニ、玉ねぎのソッフリット、米、パルミジャーノ、卵を混ぜた詰め物を詰めてオーブンで焼いたもの。
『サーレ・エ・ペペ』では、“トロンベッタtrombetta”という品種のズッキーニを使う、と書いてあります。
トロンベッタはこんなズッキーニ。
リグーリアの特産品です。
中でも、西海岸のアルベンガはトロンベッタの代表的な産地。
アルペンガのイベントでも紹介されています。
長さが40cmになったら収穫する長ーいズッキーニ。
味は普通のズッキーニよりマイルドで軽い甘みがあり、実はもっと締まっています。
カボチャとズッキーニの中間のような味と言う人も。
リグーリアに行ったら、ファリナータやパニッサだけでなく、このズッキーニも要チェックですね。
-------------------------------------------------------
関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
ズッキーニのトルタを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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今日はズッキーニの料理。
『サーレ・エ・ペペ』の解説です。
↓全部ズッキーニ
ズッキーニはイタリア料理には欠かせない野菜ですが、元をたどれば中央アメリカ生まれ。
コロンブスがヨーロッパに持ち帰った様々なカボチャの1つでした。
セイヨウカボチャとは別の、ペポカポチャが先祖です。
そのペポカボチャが時間をかけて品種改良されて、ズッキーニになった訳です。
言うならば、アメリカ生まれ、イタリア育ち。
でも、いつ、どこで、誰がズッキーニを作り出したのか、といった話は不明。
それほど昔のことではないということは分かっています。
“ズッキーニ”は英語の呼び方ですが、イタリア語では“ズッキーナzucchina/ズッキーネzucchine”。
由来だけでなく、この名前もあいまいで、19世紀末になっても、ズッキーノかズッキーナか決まらずに、当時の辞書には両方の名前が載っています。
アメリカの市場にズッキーニが出回るようになったのは、30年ほど前のことだとか。
英語の場合、アメリカではイタリア語系でズッキーニと呼びますが、イギリスではフランス語系でコージェットと呼びます。
どちらも小さなカボチャという意味は変わりません。
歴史が短いせいか、イタリアの地方料理の中でズッキーニが主役を張っている有名な料理は、それほど多くはありません。
そんな中で、ズッキーニの地方料理として比較的知られているものの1つが、リグーリアのズッキーニのトルタ、“トルタ・ディ・ズッキーネ”です。
このトルタは、小麦粉とオリーブオイルの生地に、ズッキーニ、玉ねぎのソッフリット、米、パルミジャーノ、卵を混ぜた詰め物を詰めてオーブンで焼いたもの。
『サーレ・エ・ペペ』では、“トロンベッタtrombetta”という品種のズッキーニを使う、と書いてあります。
トロンベッタはこんなズッキーニ。
リグーリアの特産品です。
中でも、西海岸のアルベンガはトロンベッタの代表的な産地。
アルペンガのイベントでも紹介されています。
長さが40cmになったら収穫する長ーいズッキーニ。
味は普通のズッキーニよりマイルドで軽い甘みがあり、実はもっと締まっています。
カボチャとズッキーニの中間のような味と言う人も。
リグーリアに行ったら、ファリナータやパニッサだけでなく、このズッキーニも要チェックですね。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
ズッキーニのトルタを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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2012年2月16日木曜日
パニッサ
ひよこ豆の粉の料理、続けます。
前回のファリナータに続いて、今日はもう一つの代表的な料理、パニッサ。
パニッサpanissaは、ひよこ豆の粉で作るポレンタ。
固めたものをカットしてコントルノやサラダとして食べる場合と、揚げてスナックにする場合があります。
揚げたものはパレルモにもあって、パネッレと呼ばれています。
ちなみにパネッレは以前取り上げました。
こちら
↓リグーリア観光のPV。
フライドポテトのようなものがパニッサ。
パニッサという名前は、パニーコpanico=キビ(黍)が語源。
つまり、元々はキビで作られていた食べ物だったということですね。
時代と共にキビより美味しいひよこ豆で作るようになったわけです。
↓パニッサ
水1リットルでひよこ豆の粉300gを溶き、塩を加えて最低2時間休ませます。
これを湯煎にかけてクリーム状に煮詰め、油を塗った皿に入れて冷ましながら固めます。
固まったらカットして油で揚げます。
ここでは湯煎にかけていますが、ポレンタ用の鍋に入れたぬるま湯で粉を溶き、火にかけてかき混ぜながら煮るリチェッタもあります。
↓パニッサ生地専門店のデモンストレーション(音声なし)。
素朴なストリートフードのパニッサも、アレンジすれば洗練された一品に。
ニューヨークのレストランのタコのグリルとパニッサ
リグーリアに行ったら、揚げたてのパニッサを味わいたいですねえ。
ちなみに、前回、アンティーカ・シャマッダという店のファリナータを紹介しましたが、“シャマッダ”とは、揚げ物屋とかファリナータ屋という意味。
アンティーカ・シャマッダ
店内
アンティーカ・シャマッダのパニッサ(手前)とククッリ。
ククッリcuculliもひよこ豆の粉で作るリグーリアの揚げ物です。
じゃがいもで作るバージョンもあります。
↓ククッリ
パニッサの生地にさらに粉を足して衣状にしたものを揚げます。
リグーリアの人はどれだけひよこ豆の粉が好きなんでしょうねえ。
-------------------------------------------------------
関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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前回のファリナータに続いて、今日はもう一つの代表的な料理、パニッサ。
パニッサpanissaは、ひよこ豆の粉で作るポレンタ。
固めたものをカットしてコントルノやサラダとして食べる場合と、揚げてスナックにする場合があります。
揚げたものはパレルモにもあって、パネッレと呼ばれています。
ちなみにパネッレは以前取り上げました。
こちら
↓リグーリア観光のPV。
フライドポテトのようなものがパニッサ。
パニッサという名前は、パニーコpanico=キビ(黍)が語源。
つまり、元々はキビで作られていた食べ物だったということですね。
時代と共にキビより美味しいひよこ豆で作るようになったわけです。
↓パニッサ
水1リットルでひよこ豆の粉300gを溶き、塩を加えて最低2時間休ませます。
これを湯煎にかけてクリーム状に煮詰め、油を塗った皿に入れて冷ましながら固めます。
固まったらカットして油で揚げます。
ここでは湯煎にかけていますが、ポレンタ用の鍋に入れたぬるま湯で粉を溶き、火にかけてかき混ぜながら煮るリチェッタもあります。
↓パニッサ生地専門店のデモンストレーション(音声なし)。
素朴なストリートフードのパニッサも、アレンジすれば洗練された一品に。
ニューヨークのレストランのタコのグリルとパニッサ
リグーリアに行ったら、揚げたてのパニッサを味わいたいですねえ。
ちなみに、前回、アンティーカ・シャマッダという店のファリナータを紹介しましたが、“シャマッダ”とは、揚げ物屋とかファリナータ屋という意味。
アンティーカ・シャマッダ
店内
アンティーカ・シャマッダのパニッサ(手前)とククッリ。
ククッリcuculliもひよこ豆の粉で作るリグーリアの揚げ物です。
じゃがいもで作るバージョンもあります。
↓ククッリ
パニッサの生地にさらに粉を足して衣状にしたものを揚げます。
リグーリアの人はどれだけひよこ豆の粉が好きなんでしょうねえ。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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2012年2月13日月曜日
ファリナータ
ひよこ豆の話、続けます。
前回は生パスタのリチェッタを紹介したので、乾麺のパスタのリチェッタも1つ。
ナポリ市が全面的にバックアップしたカンパーニアのパスタの集大成、“『マッケローニ』から。
ポルチーニとひよこ豆のエリケ
Eliche con funghi e ceci
さて次は、ひよこ豆の粉の料理の話です。
ひよこ豆の粉の料理には、2つのタイプがあります。
1つは、リグーリアのファリナータやトスカーナのチェチーナなど、粉と水を生地にしてオーブンで焼くもの。
もう1つは、リグーリアのパニッサやパレルモのパネッレのように、粉と水を煮てポレンタ状にして揚げたもの。
パンでもなければパスタでもないと言うか、パンでもありパスタでもあり、と言うか・・・。
前菜なのか、プリーモ・ピアットなのか・・・。
料理のタイプで分類するなら、トルタ・サラータの一種ですかね。
いずれも、地元で人気のストリートフードです。
ひよこ豆は、豆の状態だと戻すのもゆでるのも時間がかかりますが、粉だともう少し簡単に食べ物にすることができます。
ひよこ豆の粉の料理は、リグーリアやトスカーナを中心に、主にイタリアのティレニア海側で広まりました。
豆と同様にファリナータも、肉を断つ金曜日に干ダラと一緒に食べる料理でした。
“ファリナータ”という名前には、粉(ファリーナ)という意味はあっても、ひよこ豆(チェーチ)という意味はありません。
元々ファリナータとは、広い意味で穀物の粉から作った発酵させない料理を意味しました。
だから、小麦粉で作ったファリナータもあります。
ひよこ豆のファリナータも、各地にさまざまなバージョンがあります。
昔は、パンのようにかまどで焼く料理は、家庭で作るのではなく、町で共有の大きなかまどで職人に焼いてもらうものでした。
それがパン屋へと進化していくわけです。
ファリナータもそうした料理でした。
↓ジェノヴァの人気店、アンティーカ・シャマッダのファリナータ。
この店はファリナータのリチェッタも公開しています。
4人分の材料は、
ひよこ豆の粉・・400g
オリーブオイル・・大さじ4
水・・1.5リットル
塩、こしょう
・ボールに粉を盛り、中央に水を少しずつかけながらじっくり混ぜてダマのない均質の生地にします。
・塩を加えて一晩寝かせます。
・翌朝、表面に浮いた泡をすくい取ります。
・浅い型(“テスト”と言います)に油を引きます。ここに生地を流し入れ、よく混ぜて油を混ぜ込みます。
・熱したオーブンで30分焼き、こしょうを散らしてカットします。
店で買う時、通はふちの部分を選びます。
端のほうがこんがり焼けていて美味しいんだそうですよ。
↓家庭で焼く場合、生地が型に焦げ付かない方法を細かく説明している動画。
テストを洗剤とスポンジで洗うのは最初だけ。
何度か使うと焦げ付かなくなります。
次回はパニッサの話です。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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前回は生パスタのリチェッタを紹介したので、乾麺のパスタのリチェッタも1つ。
ナポリ市が全面的にバックアップしたカンパーニアのパスタの集大成、“『マッケローニ』から。
ポルチーニとひよこ豆のエリケ
Eliche con funghi e ceci
材料:4人分 エリケ(エーリケ)・・320g ひよこ豆・・250g ポルチーニ・・30g リコッタ・サラータ・・30g 玉ねぎ・・1個 にんにく・・2かけ ローズマリー セージ イタリアンパセリ 赤唐辛子 EVオリーブオイル・・100ml 塩、こしょう |
・豆は最低12時間水に漬けて戻す。 ・豆を洗い、にんにく1かけ、赤唐辛子、セージとローズマリー数本を加えた水でゆでる。 ・ポルチーニを薄く切り、にんにく1かけとイタリアンパセリの茎数本を加えた油でさっと炒める。火を弱めてさらに10分炒める。 ・豆の水気を切り、香草類を全部取り除く。ポルチーニに加えてなじませ、塩、こしょうで調味する。火から下ろして粗熱をとる。 ・パスタをアルデンテにゆでてボールに入れる。ポルチーニとひよこ豆、おろしたリコッタ・サラータ、セージ数枚を加えてあえる。 |
さて次は、ひよこ豆の粉の料理の話です。
ひよこ豆の粉の料理には、2つのタイプがあります。
1つは、リグーリアのファリナータやトスカーナのチェチーナなど、粉と水を生地にしてオーブンで焼くもの。
もう1つは、リグーリアのパニッサやパレルモのパネッレのように、粉と水を煮てポレンタ状にして揚げたもの。
パンでもなければパスタでもないと言うか、パンでもありパスタでもあり、と言うか・・・。
前菜なのか、プリーモ・ピアットなのか・・・。
料理のタイプで分類するなら、トルタ・サラータの一種ですかね。
いずれも、地元で人気のストリートフードです。
ひよこ豆は、豆の状態だと戻すのもゆでるのも時間がかかりますが、粉だともう少し簡単に食べ物にすることができます。
ひよこ豆の粉の料理は、リグーリアやトスカーナを中心に、主にイタリアのティレニア海側で広まりました。
豆と同様にファリナータも、肉を断つ金曜日に干ダラと一緒に食べる料理でした。
“ファリナータ”という名前には、粉(ファリーナ)という意味はあっても、ひよこ豆(チェーチ)という意味はありません。
元々ファリナータとは、広い意味で穀物の粉から作った発酵させない料理を意味しました。
だから、小麦粉で作ったファリナータもあります。
ひよこ豆のファリナータも、各地にさまざまなバージョンがあります。
昔は、パンのようにかまどで焼く料理は、家庭で作るのではなく、町で共有の大きなかまどで職人に焼いてもらうものでした。
それがパン屋へと進化していくわけです。
ファリナータもそうした料理でした。
↓ジェノヴァの人気店、アンティーカ・シャマッダのファリナータ。
この店はファリナータのリチェッタも公開しています。
4人分の材料は、
ひよこ豆の粉・・400g
オリーブオイル・・大さじ4
水・・1.5リットル
塩、こしょう
・ボールに粉を盛り、中央に水を少しずつかけながらじっくり混ぜてダマのない均質の生地にします。
・塩を加えて一晩寝かせます。
・翌朝、表面に浮いた泡をすくい取ります。
・浅い型(“テスト”と言います)に油を引きます。ここに生地を流し入れ、よく混ぜて油を混ぜ込みます。
・熱したオーブンで30分焼き、こしょうを散らしてカットします。
店で買う時、通はふちの部分を選びます。
端のほうがこんがり焼けていて美味しいんだそうですよ。
↓家庭で焼く場合、生地が型に焦げ付かない方法を細かく説明している動画。
テストを洗剤とスポンジで洗うのは最初だけ。
何度か使うと焦げ付かなくなります。
次回はパニッサの話です。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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2012年2月9日木曜日
チーチェリ・エ・トリーア
ひよこ豆のパスタの話を続けます。
ひよこ豆のパスタと言えば、パスタと豆を一緒に煮るパスタ・エ・チェーチ。
前回は乾麺のショートパスタを使う一般的なパスタ・エ・チェーチを取り上げました。
今回は生パスタを使うプーリアのパスタ・エ・チェーチのリチェッタです。
プーリアには、生パスタを使ったパスタ・エ・チェーチが色々あります。
ひよこ豆と組み合わせるパスタは、トリーア、ラガーネ、トロッコリ、サーニェなど。
どれも以前、プーリアのパスタの時に紹介した、素朴なパスタです。
その中から、レッチェなどサレント地方の料理、“チーチェリ・エ・トリーアciceri e tria”のリチェッタをご紹介。
トリーエは、硬質小麦粉の太いタリアテッレのこと。
チーチェリ・エ・トリーアは、麺の半量は柔らかくゆでて、残り半量はカリッと揚げてその歯ごたえの違いを味わうという、麺料理としてはとても個性的な一品です。
皿うどんとちゃんぽんを混ぜたみたいな?
↓下の動画では、ピットゥレという揚げ物と一緒にチーチェリ・エ・トリアを紹介しています。
チーチェリ・エ・トリーアの部分は3:45~。
ちなみに、ピットゥレは発酵生地にドライトマト、ケッパー、アンチョビを加えた美味しい揚げ物。
今回も、“オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『クチーナ・レジョナーレ』から、チーチェリ・エ・トリーアのリチェッタをどうぞ。
San Donato(レッチェ)のRistorante Da Brunaのリチェッタです。
店のwebページはこちら。
チーチェリ・エ・トリーア
Ciceri e tria
上の動画では豆のゆで汁もたっぷり加えて、よりスープパスタらしく仕上げていますね。
豆をピューレにするリチェッタもあります。
チーチェリ・エ・トリーアはスプーンで食べます。
ひよこ豆のパスタは、スープパスタだけでなく、パスタシュッタもあります。
次回はカンバーニアのひよこ豆のパスタです。
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ひよこ豆のパスタと言えば、パスタと豆を一緒に煮るパスタ・エ・チェーチ。
前回は乾麺のショートパスタを使う一般的なパスタ・エ・チェーチを取り上げました。
今回は生パスタを使うプーリアのパスタ・エ・チェーチのリチェッタです。
プーリアには、生パスタを使ったパスタ・エ・チェーチが色々あります。
ひよこ豆と組み合わせるパスタは、トリーア、ラガーネ、トロッコリ、サーニェなど。
どれも以前、プーリアのパスタの時に紹介した、素朴なパスタです。
その中から、レッチェなどサレント地方の料理、“チーチェリ・エ・トリーアciceri e tria”のリチェッタをご紹介。
トリーエは、硬質小麦粉の太いタリアテッレのこと。
チーチェリ・エ・トリーアは、麺の半量は柔らかくゆでて、残り半量はカリッと揚げてその歯ごたえの違いを味わうという、麺料理としてはとても個性的な一品です。
皿うどんとちゃんぽんを混ぜたみたいな?
↓下の動画では、ピットゥレという揚げ物と一緒にチーチェリ・エ・トリアを紹介しています。
チーチェリ・エ・トリーアの部分は3:45~。
ちなみに、ピットゥレは発酵生地にドライトマト、ケッパー、アンチョビを加えた美味しい揚げ物。
今回も、“オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『クチーナ・レジョナーレ』から、チーチェリ・エ・トリーアのリチェッタをどうぞ。
San Donato(レッチェ)のRistorante Da Brunaのリチェッタです。
店のwebページはこちら。
チーチェリ・エ・トリーア
Ciceri e tria
材料:4人分 硬質小麦粉・・300g ひよこ豆・・200g セロリ・・2本 白玉ねぎ・・1個 ローリエ・・数枚 EVオリーブオイル・・大さじ3 塩 |
・小麦粉を台に盛って塩を加える。ぬるま湯を加えながらこねてなめらかな締まった生地にし、布巾で覆って10分ほど休ませる。 ・生地を薄く伸ばして幅7~8mmのタリアテッレに切り、乾いた布巾に広げる。 ・麺の半量はセロリと塩を加えた湯でゆでる。 ・残りの半量は油で揚げる。 ・ローリエを加えた水でひよこ豆をゆでる。 ・鍋で玉ねぎのみじん切りをしんなり炒めてソッフリットにする。ここに豆を加える。 ・揚げた麺にゆでた麺と豆をかけて混ぜる。 |
上の動画では豆のゆで汁もたっぷり加えて、よりスープパスタらしく仕上げていますね。
豆をピューレにするリチェッタもあります。
チーチェリ・エ・トリーアはスプーンで食べます。
ひよこ豆のパスタは、スープパスタだけでなく、パスタシュッタもあります。
次回はカンバーニアのひよこ豆のパスタです。
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2012年2月6日月曜日
パスタ・エ・チェーチ
ひよこ豆の話を続けます。
ひよこ豆はそれほど需要がないと言う割には、イタリアには、ひよこ豆の地方料理が北から南まで津々浦々にあります。
ひよこ豆の料理は、豆と粉の2種類に大別されますが、豆を使ったものなら、サラダ、パスタ、ミネストラ、煮込みなど。
イタリア各地にあるズッパ・ディ・チェーチ
パスタ・エ・チェーチもイタリア中にあります。
こちらはピストイア風。
プーリアのひよこ豆のパスタ、“サーニェ・エ・チェーチ”
こちらもプーリアの“チーチェリ・エ・トリアCiceri e tria”
以前、プーリアのパスタの話の時に紹介しました。
粉なら、ファリナータ、パニッサ、パネッレなど。
ジェノヴァのボッカダッセ地区のファリナータ
チンクエテッレのフォカッチェリーアのファリナータ
トッピングはペスト・ジェノヴェーゼ、玉ねぎ、アーティチョーク、シラス、ストラッキーノと、小魚からチーズまでさまざま。
トスカーナのファリナータは“チェチーナ”
リグーリアのパニッサ
こちらは揚げるタイプ。
揚げないタイプもあります。
パレルモのパネッレ
ひよこ豆を使ったパスタの代表的なものの一つが、“パスタ・エ・チェーチPasta e ceci”。
パスタとは言っても、パスタをソースで和えてフォークで食べるパスタシュッタではなく、スプーンで食べるミネストラです。
イタリアの素朴な地方料理の代表格、豆とパスタのスープの一種。
リチェッタは実にさまざまです。
↓トマト入りの“パスタ・エ・チェーチ”。
・材料は4人分で乾燥ひよこ豆200g、戻した豆なら400g、ローズマリー、ホールトマト、ショートパスタ200g、にんにく、ローリエ、赤唐辛子、オリーブオイル、塩、こしょう。
・乾燥豆を使う時はたっぷりの水で最低24時間戻します。
・これを洗って鍋に入れ、たっぷりの水で覆ってローリエを加えます。
・沸騰したら火を弱め、軽く沸騰させながら混ぜずに2時間半から3時間ゆでます。
・豆に塩を加え、5分ゆでて火を止めます。
・鍋に油大さじ3、潰したにんにく、ローズマリー、赤唐辛子少々を入れて弱火でソッフリットにし、トマトを加えて1分なじませます。
・ここに豆をゆで汁ごと加えます。大さじ3~4ほど残してハンドミキサーでピューレにし、これも加えます。ピューレを加える前にローズマリー、ローリエ、にんにくは取り除きます。
・濃度を見て、必要ならパスタ用の水を加えます。
・パスタを加えて煮ます。
・火を止めて塩、こしょうで調味し、オリーブオイルを回しかけて混ぜます。
・蓋をして4分休ませて出来上がり。
パスタは折ったロングパスタでもOK。
ソッフリットにアンチョビを加えて豆をピューレにしなければ、ローマ風の“パスタ・エ・チェーチ・アッラ・ロマーナ”になります。
かつてローマでは、パスタ・エ・チェーチは金曜日のメニューの定番でした。
キリスト教の習慣では、金曜は肉を食べない日。
肉の代わりに食べたのが、バッカラです。
そしてバッカラの付け合せの代表がひよこ豆でした。
そのせいか、ローマに限らず、バッカラとひよこ豆を組み合わせた地方料理は各地にあります。
“オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『クチーナ・レジョナーレ』から、パスタ・エ・チェーチのリチェッタをどうぞ。
マルケのOsteria dell'Arancioという店のリチェッタです。
肉が入らない料理で、マルケの農村部ではよく食べる一品だそうです。
パスタ・エ・チェーチ
Pasta e cici
パスタ・エ・チェーチは乾麺のショートパスタを使うのが一般的ですが、プーリアでは手打ちパスタを使うタイプが知られています。
次回はそのリチェッタを。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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ひよこ豆はそれほど需要がないと言う割には、イタリアには、ひよこ豆の地方料理が北から南まで津々浦々にあります。
ひよこ豆の料理は、豆と粉の2種類に大別されますが、豆を使ったものなら、サラダ、パスタ、ミネストラ、煮込みなど。
イタリア各地にあるズッパ・ディ・チェーチ
パスタ・エ・チェーチもイタリア中にあります。
こちらはピストイア風。
プーリアのひよこ豆のパスタ、“サーニェ・エ・チェーチ”
こちらもプーリアの“チーチェリ・エ・トリアCiceri e tria”
以前、プーリアのパスタの話の時に紹介しました。
粉なら、ファリナータ、パニッサ、パネッレなど。
ジェノヴァのボッカダッセ地区のファリナータ
チンクエテッレのフォカッチェリーアのファリナータ
トッピングはペスト・ジェノヴェーゼ、玉ねぎ、アーティチョーク、シラス、ストラッキーノと、小魚からチーズまでさまざま。
トスカーナのファリナータは“チェチーナ”
リグーリアのパニッサ
こちらは揚げるタイプ。
揚げないタイプもあります。
パレルモのパネッレ
ひよこ豆を使ったパスタの代表的なものの一つが、“パスタ・エ・チェーチPasta e ceci”。
パスタとは言っても、パスタをソースで和えてフォークで食べるパスタシュッタではなく、スプーンで食べるミネストラです。
イタリアの素朴な地方料理の代表格、豆とパスタのスープの一種。
リチェッタは実にさまざまです。
↓トマト入りの“パスタ・エ・チェーチ”。
・材料は4人分で乾燥ひよこ豆200g、戻した豆なら400g、ローズマリー、ホールトマト、ショートパスタ200g、にんにく、ローリエ、赤唐辛子、オリーブオイル、塩、こしょう。
・乾燥豆を使う時はたっぷりの水で最低24時間戻します。
・これを洗って鍋に入れ、たっぷりの水で覆ってローリエを加えます。
・沸騰したら火を弱め、軽く沸騰させながら混ぜずに2時間半から3時間ゆでます。
・豆に塩を加え、5分ゆでて火を止めます。
・鍋に油大さじ3、潰したにんにく、ローズマリー、赤唐辛子少々を入れて弱火でソッフリットにし、トマトを加えて1分なじませます。
・ここに豆をゆで汁ごと加えます。大さじ3~4ほど残してハンドミキサーでピューレにし、これも加えます。ピューレを加える前にローズマリー、ローリエ、にんにくは取り除きます。
・濃度を見て、必要ならパスタ用の水を加えます。
・パスタを加えて煮ます。
・火を止めて塩、こしょうで調味し、オリーブオイルを回しかけて混ぜます。
・蓋をして4分休ませて出来上がり。
パスタは折ったロングパスタでもOK。
ソッフリットにアンチョビを加えて豆をピューレにしなければ、ローマ風の“パスタ・エ・チェーチ・アッラ・ロマーナ”になります。
かつてローマでは、パスタ・エ・チェーチは金曜日のメニューの定番でした。
キリスト教の習慣では、金曜は肉を食べない日。
肉の代わりに食べたのが、バッカラです。
そしてバッカラの付け合せの代表がひよこ豆でした。
そのせいか、ローマに限らず、バッカラとひよこ豆を組み合わせた地方料理は各地にあります。
“オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『クチーナ・レジョナーレ』から、パスタ・エ・チェーチのリチェッタをどうぞ。
マルケのOsteria dell'Arancioという店のリチェッタです。
肉が入らない料理で、マルケの農村部ではよく食べる一品だそうです。
パスタ・エ・チェーチ
Pasta e cici
材料:4人分 ひよこ豆・・500g ディタリーニなどのショートパスタ・・400g セロリ・・2本 にんじん・・2本 玉ねぎ・・2個 にんにく・・4かけ ローズマリー・・2枝 EVオリーブオイル 粗粒塩、こしょう |
・豆を鍋に入れて水に漬け、一晩戻す。 ・翌日、豆に丸ごとの野菜、ローズマリー、にんにく、塩を加えて沸騰させ、45分ゆでる。 ・香味野菜を取り除き、豆の1/3をピューレにして鍋に戻す。 ・別の鍋でパスタをゆでて豆の鍋に加える。 ・仕上げに油大さじ1とこしょうを加える。 |
パスタ・エ・チェーチは乾麺のショートパスタを使うのが一般的ですが、プーリアでは手打ちパスタを使うタイプが知られています。
次回はそのリチェッタを。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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2012年2月3日金曜日
ひよこ豆、チェーチ
今日はひよこ豆の話。
『サーレ・エ・ペペ』の解説です。
缶詰のひよこ豆
ひよこ豆は、イタリア語ではチェーチceci。
チェーチは複数形ですよね。
では、ひよこ豆が1粒だったら、何と言うでしょう。
答えは、チェーコではなく、チェーチェcece。
まあ、どうでもいいと言えばどうでもいい話。
スペイン語ではガルバンソ、英語ではチックピー、フランス語ではポワ・シッシュ、日本語では別名エジプト豆。
ひよこ豆は、大豆、いんげん豆に次いで、世界で3番目に多く栽培されている豆なんだそうです。
主な栽培地はインドやパキスタン。
でも、イタリアではあまり栽培されていません。
さほど需要がなくて、元が取れないのだそうです。
イタリア国内の主な産地は中部と南部。
地中海地方では、エジプト豆は大昔から栽培されていました。
古代エジプトでは奴隷の食べ物。
古代ローマの政治家キケロの名前は、ラテン語でCiceroですが、これはひよこ豆の語源となったラテン語、cicerからつけられたというのは有名な話。
なんでも、ご先祖の鼻にひよこ豆のようないぼがついていたところから、キケロ家の名前がついたという説や、ひよこ豆の栽培にかけては腕利きの一族だったから、といった説があります。
古代ローマではオリーブオイルで揚げるのが人気だったもよう。
シチリアの畑のチェーチの芽
収穫したてのさやに入った生のひよこ豆
中には2,3粒のひよこ豆が
ひよこ豆は一度乾燥させてから食用にします。
収穫もある程度乾燥させてから。
普通は6月から10月に収穫して秋に食べ頃になり、翌年まで保存しながら使います。
収穫前のひよこ豆
戻す前の乾燥ひよこ豆
↓ひよこ豆の脱穀
チェーチの話、次回に続きます。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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『サーレ・エ・ペペ』の解説です。
缶詰のひよこ豆
ひよこ豆は、イタリア語ではチェーチceci。
チェーチは複数形ですよね。
では、ひよこ豆が1粒だったら、何と言うでしょう。
答えは、チェーコではなく、チェーチェcece。
まあ、どうでもいいと言えばどうでもいい話。
スペイン語ではガルバンソ、英語ではチックピー、フランス語ではポワ・シッシュ、日本語では別名エジプト豆。
ひよこ豆は、大豆、いんげん豆に次いで、世界で3番目に多く栽培されている豆なんだそうです。
主な栽培地はインドやパキスタン。
でも、イタリアではあまり栽培されていません。
さほど需要がなくて、元が取れないのだそうです。
イタリア国内の主な産地は中部と南部。
地中海地方では、エジプト豆は大昔から栽培されていました。
古代エジプトでは奴隷の食べ物。
古代ローマの政治家キケロの名前は、ラテン語でCiceroですが、これはひよこ豆の語源となったラテン語、cicerからつけられたというのは有名な話。
なんでも、ご先祖の鼻にひよこ豆のようないぼがついていたところから、キケロ家の名前がついたという説や、ひよこ豆の栽培にかけては腕利きの一族だったから、といった説があります。
古代ローマではオリーブオイルで揚げるのが人気だったもよう。
シチリアの畑のチェーチの芽
収穫したてのさやに入った生のひよこ豆
中には2,3粒のひよこ豆が
ひよこ豆は一度乾燥させてから食用にします。
収穫もある程度乾燥させてから。
普通は6月から10月に収穫して秋に食べ頃になり、翌年まで保存しながら使います。
収穫前のひよこ豆
戻す前の乾燥ひよこ豆
↓ひよこ豆の脱穀
チェーチの話、次回に続きます。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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