2021年4月13日火曜日

昔は、パスタ・エ・ファジョーリのパスタの代わりにパルミジャーノの皮を加えた、というのがマッシモ・ボットゥーラシェフの説。

パルミジャーノの皮、今日は、パルミジャーノを愛してやまないシェフの話です。
そのシェフは、地元品種のバッケ・ビアンコ・モデネーゼのミルク100%のパルミジャーノ
の最初の顧客になった人。
地元の食文化を愛してやまず、モデナのトルテッリーニの保護普及活動にも取り組んでいます。
パルミジャーノ・レッジャーノマッシモ・ボットゥーラ・パルミジャーノ

やアチェート・バルサミコというモデナの特産品の本も書いています。
世界で一番評価されているイタリア料理店のシェフで、イタリアの財産の一流のアルティジャナーレの製品を見極める目を持ち、オリジナルでクリエイティブな料理を作るミシュラン3つ星の無敵のシェフ。モデナのオステリア・フランチェスカーナのマッシモ・ボトゥーラシェフです。
発信力は絶大で、彼がミラノ万博でパルミジャーノの皮の料理の発表会をすると、これだけの人が集まります。


彼の何がこんなに評価されているのでしょうか。
例えば、彼のパスタ・エ・ファジョーリには、膨大な量の情報が詰め込まれています。
料理を作ることは作曲と同じだと言ってますね。土地の個性と個人の経験が料理を作る、とも言っています。彼のパスタ・エ・ファジョーリのベースにあるのはベネトのパスタ・エ・ファジョーリに、ロブション、つまりフランス料理のクレーム・ロイヤル(フォアグラ、豚皮、いんげん豆を95℃のオーブンで約1時間加熱して漉したクリーム)に、
赤ワイン風味のラディッキオのブリュノワーズの苦味と酸味、
モデナならではのアレンジ、パンチェッタ(小角切りのソッフリットから余分な脂を取り、火から下ろしてパルサミコ酢を加える)の甘みを加え、そこにパルミジャーノの皮をのせます。
そしていんげん豆のクリームをのせます。
ボットゥーラシェフによると、このパルミジャーノの皮(いんげん豆と一緒にゆでて薄くスライスしてマルタリアーティ風にする)は、彼のノンナのよると、パスタ・エ・ファジョーリのパスタの代わりになるものなんだそうです。
この説は初めて聞きましたねー。
斬新だけど説得力あるなあ。ある意味、彼の料理は、こういう発想で組み立てられているのかも・・・。
仕上げにのせるのは、フェラン・アドリアのローズマリーのアリア。


ロブションとアドリアでおばあちゃんを挟んで誰も作ったことがない料理を作ったと得意げに語る天才。

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マッシモ・ボットゥーラ・パルミジャーノ
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2021年4月12日月曜日

パルミジャーノの皮を捨てるなと有名なシェフが説教してます。

パルミジャーノの皮を使った料理の動画を探してみたら、色々ありました。
まずパスタ・エ・ファジョーリ。
これはパルミジャーノの皮がかなり存在感のあるおばあちゃんのパスタ・エ・ファジョーリ。

パルミジャーノの皮は冷凍して取っておきます。豆はクリーム状に煮崩れる品種。アメリカの豆だとそうならない場合も

これは焼きパルミジャーノの皮。
高温に熱したフライパンかグリルパンで焼きます。

次はパルミジャーノの皮のブロード。

材料/24ヶ月熟成のパルミジャーノの皮4片(ナイフで汚れを削り落とす)
にんじん3本
セロリ4本
玉ねぎ2個
粒こしょう
イタリアンパセリ
トマト3個
水2L
を全部鍋に入れて40分煮る。

次はフィレンツェのチブレオのシェフが、パルミジャーノの皮は捨てるなと怒ってます。

すごい迫力。聞き入ってしまった・・・。
フィレンツェの名物レストラン、チブレオ。

実は、彼以上にパルミジャーノ押しの有名シェフがいます。
詳しくは明日。

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総合解説
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2021年4月11日日曜日

国産牛のミルクを守るための試行錯誤の末に生まれたパルミジャーノは奇跡と呼ばれ、イタリアのナンバーワンシェフに愛されて価値が高められていった。 

パスタ・エ・ファジョーリのベース(これは言い換えればイタリアの農民料理のベースとも言えるのでは)は、香味野菜のソッフリット。
これにコクを与えるのは豚肉やその脂身、豚皮、生ハムの骨、そして今月のリチェッタ(今月の「総合解説」P.2)にもある通り、パルミジャーノの皮などです。
パルミジャーノの皮は、ゆで汁に入れるのかな、ぐらいに思っていたのですが、ゆでてから角切りにして仕上げに加えてズッパの具の一つにするのでした。しかもゆで汁は豆の煮汁に使います。
パルミジャーノの皮からはパルミジャーノの出汁がとれるんですね。
そこで今日のお題はパルミジャーノ。

「総合解説」は『ラ・クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2種類のイタリアの代表的料理月刊誌を中心に訳しているのですが、訳したい記事が多すぎると訳しきれず、もったいないなーと思いながらカットすることもしばしばです。

今月カットした記事の中に、パルミジャーノ・レッジャーノの職人を紹介する記事がありました。
40年間、1年365日、毎朝5時に起きてパルミジャーノを作っている58歳の職人の話でした。
モデナのカゼイフィーチョ・ロゾーラ・ディ・ゾッカというメーカーのパルミジャーノです。6軒ある協同組合の会員で、最高のパルミジャーノと評価されているパルミジャーノを作っています。
彼の仕事を紹介する動画がありました。↓

このパルミジャーノになるミルクは、ヴァッカ・ビアンカ・モデネーゼ↓と呼ばれる牛のミルク。


この動画で話をしているのはヴァッカ・ビアンカを飼育しているこの地域の代表的アグリトゥーリズモ、webページは(こちら)。
土着品種の牛ですが、近年、乳量の多い外国の品種に押されて消滅の危機にあり、現在では数百頭しか飼育されていないのだそうです。でも、地元が中心になってヴァッカ・ビアンカのミルク100%のパルミジャーノを作ってその価値を高めて、危機を乗り切ったそうです。手塩にかけて育てたビオのミルクから、一度の搾乳量を減らすなど、1日1万個作っていたパルミジャーノを1日1、2個にまで減らして各種の試行錯誤の末にそのパルミジャーノを作ったのがこの職人のいる製作所でした。
イタリアの奇跡と呼ばれているそうです。
そのミルクは“ヴァッカ・ビアンカの黄金”と呼ばれています。
こんなに子犬みたいに跳ね回っている乳牛初めて見ました。
この牛のミルクは甘いのが特徴で、タンパク質が多くて脂肪が少ないのだそうです。
ちなみに、この造り手の最初の得意客はマッシモ・ボットゥーラシェフでした。30ヶ月熟成のパルミジャーノを毎週1玉買っていたそうです。
世界一有名なイタリア料理人の彼は、モデナの食文化をバックアップしていることでも知られています。
この職人は、「パルミジャーノの本当の味わい方は、噛むのではなく、口の中で溶かす。そうすると、パルミジャーノのすべての香りが解き放たれる」と語っています。

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2021年4月10日土曜日

カンパーニアのパスタに直球で勝負しているマルケのパスタ・マンチーニ。

今月のリチェッタ2品目は、パスタ・エ・ファジョーリ(「総合解説」7/8月号p.2)。
一見、田舎風の素朴な料理ですが、実に奥の深い料理です。
まず、この料理の主役は、パスタか、いんげん豆か。
それによって、この料理がどの地方の料理なのかも変わってくるかも。
ただしこの料理は北から南までイタリア中で作られているイタリアの農民の生活を支える基本の料理なので、とりあえず出会ったら一度は食べておいたほうが、後で後悔しないかも。

まず、パスタが主役なら、パスタの本場、ナポリ風。
ナポリ風は白インゲンとパスタの切れ端のミックスで作るのが特徴。中部や南部では豆は小粒の白インゲン、カンネッリーニを使い、トマトで煮ます。
パスタは乾麺ならディタリーニなどの小型のもの、生麺ならラザニェッテやクアドルッチ。麺のでんぷんと豆のデンプンが溶け出て混ざり合い、クリーミーに仕上がるので生麺のパスタ・エ・ファジョーリは一味違います。
乾麺なら、パスタ・エ・ファジョーリ用のミックスパスタというのもカンパーニアでは売っています。
ナポリ風パスタ・エ・ファジョーリ↓

ちなみに、「総合解説」のリチェッタでおすすめしているパスタは、Manciniマンチーニのle Curve。
マンチーニは1938年に小麦の栽培から初めたマルケの家族経営のパスタメーカー。自社栽培の硬質小麦から、モダンなテクノロジーでアルティジャナーレのパスタを作るメーカーです。
パスタにはこの地域の自然と文化が詰まっている、と語る大力作。

le curveはhpによると(こちら)乾燥の過程で折れたロングパスタを集めたものだそうです。
高価なパスタですが、いわゆるアウトレット品ですね。
主役になれるパスタです。

次は豆が主役の場合。
「総合解説」では、トラジメノ、ゾルフィーノ、カンネッリーニの3種類の白いんげんをミックスしています。

ファジョリーネ・デル・トラジメノfagioline del Trasimeno。
黒目がある小粒の白いんげん。ウンブリアのトラジメノ湖周辺で栽培されている。

ファジョーリ・ゾルフィーノはトスカーナ特産の白インゲン。
皮がとても薄く、柔らかい豆なので戻す必要がない。

生のボルロッティ豆が出回る季節(夏)のベネチア人の大好物がパスタ・エ・ファジョーリ。
生ボルロッティのパスタ・エ・ファジョーリ↓

パスタ・エ・ファジョーリは香味野菜のソッフリットに豆と野菜や軽い鶏のブロードをかけて煮るのが基本。
これに豚の脂身でコクを加えますが、リチェッタではパルミジャーノの皮のゆで汁で煮ます。
パルミジャーノの皮の利用方法が初耳で面白そうなので、この話は次回に。


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総合解説
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2021年4月9日金曜日

ペースト・ジェノベーゼをレベルアップするには、若いバジリコと上質のリグーリア産オイルを用意すること。

総合解説」7/8月号を発売しました。
『クチーナ・イタリアーナ』から訳した最初の料理は、“ミントのペーストとパン粉のパスタ“。
定番のバジリコにミントと固くなったパンを加えたジェノベーゼのバリエーションです。
バジリコは品種によってミント風味の後味がある、というのは時々聞く話です。
それにヒントを得たリチェッタかも・・・。
そういえば、リグーリアの主婦は残り物やありあわせの材料の美味しさを最大限に引き出すことや美味しい食材にこだわるが、見栄えの良さは気にしない、なんて言われます。

ペースト・ジェノベーゼにもリグーリアの人のこだわりが詰まっています。
主役はバジリコ。
中でも、ジェノヴァのプラPraという地域で栽培された若くて小さなバジリコです。
もう一つ欠かせないのはリグーリア産オリーブオイル。
プラのバジリコにかける情熱は半端じゃありません。
ジェノヴァから近いので思い立ったらすぐに行けますが、バジリコしかない街。

バジリコは、ご近所が育ちすぎちゃったと言って持ってきてくれるものしか知らなかったけど、プラの段々畑のビニールハウスで大事に育てられているバジリコは、若芽と呼びたくなるほど新鮮で若い葉っぱでした。



チーズと同様、産地でできたてを食すと、味が知ってるジェノベーゼと全然違っていてびっくりします。
マイルドで、飛び出た風味がまったくなく、加えたオリーブオイルのデリケートな味を十分に引き立てます。

地方と強く結びついた伝統料理は、その地と同じ気候と土壌の元で栽培された食材が欠かせません。
加熱しないソース、ジェノベーゼは、食材の風味が直接出るので、食材の質が重要。
ペースト・ジェノベーゼに理想的なオリーブオイルは、リビエラ・リグレDOP。
オリーブを栽培することは、自分たちの土地、歴史、未来を守ることにつながると迷いのない目で語る生産者↓

最近では、乳鉢ですり潰すのではなくミキサーでさっと作るのが主流です。


オリジナルのリチェッタではチーズはラツィオ産のペコリーノ・フィオーレ・サルドと24ヶ月熟成のパルミジャーノ・レッジャーノ、松の実は地中海沿岸部産も用意します。
松ぼっくりから松の実の収穫↓
ひと粒ずつ殻を割って出すんですね。

ミキサーを使うときのポイントは、鮮やかな緑色を出すためにバジリコを加熱しないこと。道具は冷やしておきます。
乳鉢で作るペースト↓

ミキサーで作るペーストの本、ファッチャーモロ・ペスト



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ファッチャーモロ・ペスト
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2021年4月7日水曜日

パンケーキより初心者向け、リコッタケーキ。

そろそろリコッタのリチェッタの話に入ります。
まずはやっぱりカンノーリ、カッサータといったリコッタクリームを詰めたシチリアのドルチェ。
『ラ・クチーナ・シチリアーナ』にももちろん、カンノーリとカッサータがありますが、他に、クチアやミンネ・ディ・サンタガタというドルチェも紹介されています。
クチアcuccìaは小麦の粒入りリコッタクリーム。

ミンネ・ディ・サンタガタMinne di Sant'Agataは

はリコッタクリームをパスタ・フロッラで包んでアイシングで覆ったミニカッサータ。

イタリアの姑が嫁に料理を教えるような本、『マンマミーア』では、

稚すぎてクリームのケーキだと顔中ベトベトにする子供の誕生日ケーキに作るようにと教えていたリコッタケーキ。
リコッタのパンケーキが広まる前からリコッタはケーキに使っていました。
リコッタケーキtorta di ricotta

・卵4個約210gとブラウンシュガー200gをホイップする。
・オレンジ1個の皮のすりおろしで香りをつける。
・水気を切った山羊のリコッタ800g、コーンスターチ45g、チョコチップ200gを加える。
・型に流し入れて平らにし、170℃のオーブンで80分焼く。
歯ごたえはチーズケーキのようなケーキ。

クチアの説明には、まずサンタ・ルチアの説明が必要。
サンタ・ルチアといえばナポリの港街として有名ですが、聖ルチアはナポリの船乗りの守護聖人だけでなく、シラクーザの守護聖人や光や目の聖人としても知られています。
聖人は殉教した人がなるので、ルチアも喉を刺され、両目をえぐられるという悲惨な死に方をしています。以後、光や目の聖人として崇められてきました。
キリスト教では12月13日がサンタ・ルチアの日です。
1964年に起きた飢饉の時、小麦を満載した船がパレルモ(シラクーザという説も)に到着してパレルモ市民は飢えから開放されたのだそうです。
この奇跡を記念して、パレルモでは、この日はパンやパスタなど小麦製品を食べてはいけない日とされています。
そのため米でできたアランチーニと小麦入りのリコッタのクチアを食べるようになりました。
ベネチアに保管されているサンタ・ルチアの遺骸がシラクーサに里帰りした時は、この歓迎ぶり。

ドルチェのことを調べていたのですが、いつの間にか聖人の話になってしまいました。
明日に続きます。

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La cucina siciliana

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2021年4月6日火曜日

リコッタや生ハムの保存に南では海塩を使い、北では木でスモークする。ミルクと蜂蜜の地の恵。

リコッタの作り方を知ったら、次はリコッタを長期間保存する方法。
まずはリコッタ・サラータ。

リコッタに海塩をまぶしてホエイを抜き、短期熟成をして保存できるようにする方法です。
南イタリアのチーズで、南に一歩足を踏み入れるまでは、まったくお目にかかりませんが、一歩でも入れば、特に珍しくはないチーズです。
パスタのノルマ風など、シチリアの伝統料理やパスタに欠かせないチーズです。

リコッタ・サラータricotta salata
・リコッタを型に入れて24時間ホエイを出し、水分が抜けたら表面に塩を散らす。フォークやスプーンで塩を広げ、2日間水気を切る。
・オーブンシートに塩をまぶし、その上でリコッタをあけて側面に塩をまぶす。
・再び型に入れて24時間置く。
・板にあけて3週間乾かす。
・表面の塩を削り落とし、真空パックする。

次はリコッタ・アル・フォルノricotta al forno。
オーブンで焼いて乾かします。
表面には赤茶色の薄い層ができ、中は乳白色でクリーミーな生地です。
次はリコッタ・アッフミカータです。
スモークして保存します。

上の動画はフリウリのリコッタ・アッフミカータです。

そう言えば思い出すのが生ハム。
ハムを保存するために、塩が豊富な南伊では塩漬けにしました。
海はなくても山がある北では、スモークにしたのです。

・リコッタに塩を加え、型に詰めてホエイを出し、12日間プレスしてスモークします。

こういう大自然の中の暮らしを見ると、ミルクと蜂蜜、という言葉を思い出します。
ミルクと蜂蜜というのは自然の豊かさを表す言葉だそうです。
ミルクは牧草が生える大地の体系を崩さずに家畜を育てた結果の恵。蜂蜜は、蜜が採れる自然の生態系を保った結果の恵。
実は、ご近所が引っ越したりして緑が急激に減ったら、毎年楽しみにしていた花が実をつけなくなったことがありました。
その時一番思い当たったのは蜂蜜がいなくなった、ということ。
ミルクと蜂蜜は自然が与えてくれる恩恵の、もっともベーシックなものなのだと実感しました。
北伊のスモークして作る保存食の代表、アルト・アディジェのスペック。



自家製フレッシュチーズの本、

フォルマッジ・フレスキ・ファッティ・イン・カーザ





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フォルマッジ・フレスキ・ファッティ・イン・カーザ

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昔は、パスタ・エ・ファジョーリのパスタの代わりにパルミジャーノの皮を加えた、というのがマッシモ・ボットゥーラシェフの説。

パルミジャーノの皮、今日は、パルミジャーノを愛してやまないシェフの話です。 そのシェフは、地元品種のバッケ・ビアンコ・モデネーゼのミルク100%のパルミジャーノ の最初の顧客になった人。 地元の食文化を愛してやまず、モデナのトルテッリーニの保護普及活動にも取り組んでいます。 パル...