2026年8月25日火曜日

アルタ・クチーナの次は天才ピッツァイオーロが牽引するあまりフォーマルでない料理の時代がやってきます。

グアルティエロマルケージに代表されるアルタ・クチーナのシェフとその料理が一世を風靡した時代の後、あまりフォーマルでない料理の時代になります。その代表は、フランコ・ペペのピッツァ。
フランコ・ペペはそのピッツァが国際的な賞を次々に取り、雑誌や配信動画などのマスコミに注目され、あれよあれよという間に大ブームが起きて、世界一のピッツァという評判が世界中に定着します。

フランコ・ペペのピッツァ

マルゲリータが彼の得意ピッツァ。マルゲリータ・ズバリアータ(間違ったマルゲリータ)というピッツァの概念も世に出し、ナポリピッツァの普及に大きな影響を与えました。





世間は熱病にとりつかれたみたいに大騒ぎでした。

ガブリエ―レ・ボンチはローマ・ピッツァの帝王。彼の影響もものすごかった。ネットフリックスですべてをさらすなど、フランコ・ペペと似たような道を歩んできました。

ガブリエリ・ボンチ。





フランコ・ペペもガブリエレ・ボンチも世界的な影響力を持ち、イタリアのピッツァに活気をもたらしました。すごい影響力でした。
ピッツァはアルタ・クチーナを凌駕しました。グランシェフの時代から、ピッツァイオーロの時代になったと感じさせる、すごい勢いでした。

次の時代の寵児は、シェフではありませんでした。その話は次回。

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この話は(CIR)2023年12月号のリチェッタ、シェフのリチェッタの“クリスマスのプランゾ”の解説です。

記事の内容は以前の(CIR)や販売している書籍から引用しています。

動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
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2026年8月24日月曜日

マルケージが牽引した30年。

ミラノのリストランテ界隈を引っ張ってる注目の若手シェフの料理を紹介してきましたが、その元祖はグアルティエーロ・マルケージGualtiero Marchesiで、彼のレストランはフランチャコルタFranciacortaの丘のアルべレートAlbereto、そして彼の代表的な料理は“金箔入りのリゾット・ジャッロrisotto giallo con la foglia d'oro”。マルケージシェフはイタリアのアルタクチーナのマエストロで、ルレ・エ・シャトーrelais & châteauxの最初のシェフとなりました。

ルレ・エ・シャトーで働く。


マルケージとフランチャコルタ。


マルケージの代表作、金箔のリゾット・ジャッロ。


マルケージの弟子、マルケージ・チルドレンたちは、イタリアのアルタクチーナに確固たる軌跡を刻み、一大勢力となりました。代表的なシェフは、カルロ・クラッコCarlo Cracco、アンドレア・ベルトンAndrea Berton、ダヴィデ・オルダーニDavide Oleani、パオロ・ロプリオーレPaolo Loprioneなど。

イタリア料理と、多くのグランシェフたちの父、マルケージ。


ダヴィデ・オルダーニシェフが語るマルケージ。


パオロ・ロプリオーレシェフが語るマルケージ。


おそらく、イタリアのアルタ・クチーナは彼らが長い間牽引してきました。次の世代のシェフの出現が強く待たれていると感じる今日この頃。
マルケージチルドレン以外にも、イタリア料理界隈で話題になった人たちは、もちろんいました。次回は彼らの話。

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2026年8月21日金曜日

キャロットケーキとマスカルポーネクリーム。

ミラノの注目シェフのクリスマスのプランゾのドルチェは、ド派手なインパクト強めの料理を考え出している人には珍しく、どちらかというと素朴なケーキ、“にんじんとくるみのドルチェ”。ベースはキャロットケーキで、ペカンナッツ入り。そこにミラノお得意のマスカルポーネソースをかけたドルチェ。

キャロットケーキはイタリア語ではトルタ・ディ・カロ―テtorta di carote。
シェフのキャロットケーキはペカンナッツ入りですが、下の動画のキャロットケーキはアーモンド入り。ちなみにキャロットケーキはにんじんとくるみの組み合わせの生地をクリームチーズのアイシングで覆うのが定番。ルーツはアメリカやイギリスの、アングロサクソン系のケーキ。
それをマスカルポーネクリームでイタリア風にしたドルチェという訳。
シェフのリチェッタでは、クリームは別に添えて食べる人がかけるというシステム。

キャロットケーキ。





アングロサクソンのドルチェにマスカルポーネクリームをかけると、かなりイタリアンに変身。
マスカルポーネクリーム。


純白のクリームで、ベースは練って柔らかくしたマスカルポーネにホイップクリームを加えたシンプルなもの。これにオレンジピールやグランマニエを加えるなど、アレンジは無限。
素朴な色合いのキャロットケーキにもよく合います。アングロサクソンとイタリアンの融合は、ズッパ・イングレーゼの昔から相性がよいのです。

ズッパ・イングレーゼ


マスカルポーネクリームとキャロットケーキは、考えてみると、かなり画期的な組み合わせかも。

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この話は(CIR)2023年12月号のリチェッタ、シェフのリチェッタの“クリスマスのプランゾ”の解説です。
“にんじんとクルミのドルチェ”の日本語のリチェッタと写真はP.46。

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2026年8月20日木曜日

見た目もご馳走風の詰め物入りロースト。

ミラノのシェフのクリスマスのプランツォの話、今日は肉料理です。
料理は、“プンタレッレのサラダの詰め物入り子牛のロースト”。
料理名で気になるのは2点。まずはプンタレッレ。ローマの名物野菜です。

プンタレッレ。
産地ローマの食べ方は複雑な下ごしらえを経て、サラダにします。
ローマ風プンタレッレのサラダ。プンタレッレはチコーリアの一種カタローニャ菜の芽。


ローマの観光名所の市場カンポ・デイ・フィオーリ広場では、下処理して細く切ったものを売っています。


アんチョビとにんにく風味がサラダの味付けの定番ですが、子牛肉に詰めるプンタレッレのサラダは、ざくろの粒も加えてクリスマス風に華やかになっています。

 ミラノの代表的肉、子牛肉のローストはクリスマス料理の定番。



今回のリッカルド・メルリシェフのリチェッタでは、肉屋で袋状にしてもらった子牛のバラ肉にプンタレッレのサラダを詰めます。

ゆで卵詰め子牛のロースト。フィレンツェのイタリア語学校に通っていた時は、食事付きの下宿に泊まっていました。そこのシニョーラの料理のご馳走と言えば、このゆで卵入りロースト。アジアから初めてイタリアにきた若い女の子が初めて見るド派手なロースト。なんて美しくて美味しい料理、と感動し、シニョーラに料理を作っているところを見学したいと言ってみました。すると、高齢だったシニョーラは、見学者がてきてすごく頑張り、普段の倍の時間をかけてこのご馳走を作ってくれたのでした。一緒に食べるはずのシニョーラの甥っ子は、待ちきれなくて、何度も様子を見に来て、いつできるのか確認していました。きっと彼もこの料理が大好きだったに違いありません。もうその日の昼食は、大感激していただきました。今思えば、これが私をイタリア料理の世界に引き込んだ1品でした。


ローストは塊肉の料理ですが、詰め物入りローストにすると、派手さが倍増。


詰め物入りローストは、少量の肉でもボリュームアップして立派なご馳走になり、作る人のアイデアと感性次第で見た目のインパクトもアップ。


今考えると、ゆで卵入りローストを作ってくれるおばあちゃんてすごい。

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この話は(CIR)2023年12月号のリチェッタ、シェフのリチェッタの“クリスマスのプランゾ”の解説です。
“プンタレッレのサラダの詰め物入り子牛のローストの日本語のチェッタと写真はP.45。

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2026年8月19日水曜日

キャベツのサルシッチャは、キャベツとソーセージを一緒に煮るのではなく、サボイキャベツに具を詰めるという力技。見た目のインパクトは強烈。

今日のクリスマスのプランゾは、“サボイキャベツのスパイラル”。素人にも分かる言葉にすると、キャベツのソーセージ。普通は腸に詰めるソーセージを、縮緬キャベツで包んで、スパイラル、つまり螺旋状に巻いた見た目のインパクトが強烈な1品。

アルティジャナーレなサルシッチャ。


ゆでて葉脈を取り、柔らかくしたキャベツを重ねてひも状にし、中に詰めるのはレモン汁、ミント、フィノッキエット風味の米とサボイキャベツの切り落とし。
キャベツとソーセージと言えば、一緒に煮込むのが普通ですが、腸詰めの腸をキャベツにするというのは画期的なアイデア。初めて見ました。


サボイキャベツとサルシッチャのパスタ。キャベツをゆでる香りは、イタリアでは戦後の貧しさのイメージと結びついている。質素でシンプルな食材のキャベツを、シェフの才能で豪華なクリスマスの料理に変身させた1品。よーく考えると、これは肉を一切使っていない野菜料理。さすが。


キャベツのパスタというと、アンチョビが定番だけど、下の動画のパスタはトマトとチーズのソースでアンチョビは入りません。
高級料理のイメージがないパスタとキャベツは、シェフの腕のふるいどころ。


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この話は(CIR)2023年12月号のリチェッタ、シェフのリチェッタの“クリスマスのプランゾ”の解説です。
“米の詰め物のサボイキャベツのスパイラル”の日本語のリチェッタと写真はP.44。

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2026年8月18日火曜日

ヤギのチーズのフォンドゥータ入りカボチャのパンは、ヤギのチーズとパンと言うキリスト教のキーワードをクリスマス風にアレンジしたパン。

注目のシェフの“クリスマスのプランゾ”、次の料理は“ヤギのチーズのフォンドゥータ入りカボチャのパン”です。
きのうは帆立貝がキリストの12使徒の一人、聖ヤコブのことで、彼はスペインの守護聖人で、彼の遺体が発見されたとするスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラはキリスト教の代表的な巡礼地。そしてその象徴が帆立貝。というキリスト教の基礎知識に基づいた料理でした。


高齢の知り合いで毎年巡礼に行く人がいて、巡礼地から毎年絵葉書を送ってくれました。日本人もいくさんいるよ、といつも言ってたっけ。


さて、今日の料理はカボチャのパンです。パンと言えばキリスト教ではキリストの象徴。
最後の晩餐で、キリストはパンを使徒たちに渡してこれは私の体です、と告げます。


キリスト教のミサでは、聖餐と呼ばれるパンを口にします。


聖体拝領。何も知らない頃は、どんな味のものなのか、とても気になってました。こんな複雑な作法があるなんて知らなかった。あのパンはイタリア語でいうとオスティアostiaで、ウエハースという意味もある。この名前だと味はないんだろうなあ、なんて思ってましたが、薄ーいオスティアの対極にあるのが、今回のパン、カボチャのパン。イタリア語でいうとzucca di pane。カボチャのパンじゃなくてパンのカボチャ。つまりパンをカボチャに見立てたということ。カボチャ入りパンだとpane alla zuccaとなります。

聖体拝領


カボチャ風味のパンは、クリスマスというよりハロウィンのパン。

    
単純にパンをカボチャの形にするだけでもかなりのインパクト。聖体のパンとは大違いだけど、シェフの創造力は感じられます。そしてこの中にヤギのチーズのフォンドゥータを詰めます。

チーズはヤギのトーマ。ヤギ乳のチーズと言われても想像もできないけど・・・。ヤギは神への捧げものとなる動物でした。古代の農業社会では利用価値が高く貴重な家畜。牛乳のチーズより、クリスマスのパンに詰めるのに適したチーズかも。


ヤギのミルクのチーズ。■■■


見た目の派手さだけでなく、キリスト教やイタリアの伝統の食文化を熟知していることをかなりアピールしてるパンなのです。

イタリアでカボチャと言えば、マントヴァ。

ズッカ・マントヴァ―ナ。この巨大なカボチャをパンで再現したのが、“山羊のチーズのフォンドゥータ入りカボチャのパン”


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“ヤギのチーズのフォンドゥータ入りカボチャのパン”の日本語のリチェッタと写真はP.43。

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2026年8月17日月曜日

海がないミラノには、ダ・ヴィンチの傑作、最後の晩餐がある。この絵に描かれているキリストの12人の使徒の一人がサン・ジャコモ。つまり帆立貝。クリスマス料理に帆立貝あっても不思議じゃない。

若手シェフのオリジナルクリスマス・ディナー。2品目は前菜、“帆立貝のマリネとジャルディニエーラのパイの貝包み”です。

海がない州、ミラノのシェフが作るシーフードの前菜。ベースは帆立貝のマリネ。パン・ブリオッシュにのせてクロスティーニにします。これをロマネスコと一緒に帆立て貝の殻に盛り付けます。帆立貝の殻を使ってパイ生地を抜き、ナイフで筋をつけ、膨らまないように網をかぶせて焼き、帆立貝のマリネにかぶせて帆立貝仕立てにします。

帆立貝はイタリア語ではカペサンテcapesanteですが、これはサン・ジャコモSan Giacomoという名前のベネト訛りです。サン・ジャコモはイエスの使徒の一人。使徒とは弟子という意味。
キリスト教徒の初歩の常識、ミラノには、ダ・ヴィンチの傑作、『最後の晩餐』がありますが、この絵には12人の使徒が描かれています。

サン=聖という名前の、クリスマスのご馳走にするのにピッタリの貝。サン・ジャコモは聖ヤコブのこと。帆立貝を食べる時に、キリストの使徒のことを思い出す人は、日本にはまずいないだろうなあ。そう言えば、聖人はサン・ナンチャラ、という名前ですが、例えばマトウダイのことはサン・ピエトロと呼びます。最初に覚えた使徒の名前がこれでした。

サン・ピエトロは使徒としては筆頭で、バチカンにはサン・ピエトロ寺院があります。私はマトウダイと聞くとバチカンを思い出します。
マトウダイの特徴はその側面にある黒い大きな斑点。
マトウダイと帆立貝の料理は、多分ありがたい料理なんだろうなあ。


帆立貝のスパゲッティ


マトウダイのミニトマト添え


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“帆立貝のマリネとジャルディニエーラのパイの貝包み”の日本語のリチェッタと写真はP.42。

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