2026年3月4日水曜日

車エビにパルミジャーノを組み合わせるなら、どうする?ちなみにヴォンゴレにチーズをかける行為は外国人観光客丸出し。

甲殻類とチ―ズの組み合わせは、イタリアではタブーとされていますが、美味しいものの追求のためにはとことんやるイタリアでは、甲殻類とチーズを組み合わせた料理に、素人からグランシェフまで、多くの人が取り組んでいるのを見ると、タブーというより、正統派ではない、という認識かも。
しかも、今月の(CIR)で発表されたその解決策、“車エビの薄焼きパルミジャーノ包み、桃のソース添え”は、ビジュ的にもなかなかの傑作に仕上がっています。とても美しい出来だったので、『クチーナ・イタリアーナ』誌の表紙を飾っている1品です。

パルミジャーノの薄焼きは、パルミジャーノの人気の調理方法の一つ。
イタリア語ではチャルダcialdaやテーゴラtegolaと言いますが、フランス語ではtuile
チュイユ

ペコリーノやパルミジャーノのチュイユ。フランス語だけどシェフはこう呼ぶ人も多い。英語だとチップス。

イタリア料理の世界でパルミジャーノのアンバサダーとして知られているのは、同郷のマッシモ・ボットゥーラシェフ。パルミジャーノがテーマの本も書いてます。
本には魚とパルミジャーノの組み合わせの料理も登場します。ウナギのブロードにストラベッキオのパルミジャーノを加えてソースにしたり、ヤリイカにパルミジャーノや帆立貝、パン粉を詰めてブロードのソースを敷いた皿に立て並べるという、見た目にも芸術的なパエザッジョ・マリーノなど、さすがとうなる料理ばかり。

パルミジャーノを語らせると熱いボットゥーラシェフ。

(CIR)の料理は、車エビをパルミジャーノのチャルダで巻いたもの。鮮やかな赤色のエビの尾が、黄色いチャルダからはみ出していて、甘いエビと塩気があるチーズの組み合わせも美味しそう、と思わせる芸術的な料理。

最後のタブーは“スパゲッティのパニーノ”
どこがタブーかと言うと、パンとパスタを一緒に食べているところ。
焼きそばパンの発想はないんですねー。

オー・ディ―オだって。マンマ・ミアより反応してる。

このタブーも(CIR)のパニーノはなかなか美味しそう。カッチャトリーノタイプのサラミとスカモルツァもはさんでます。
イタリアンのタブー、大分おもしろくなってきたけど、そろそろ次の記事です。


この話は、(CIR2023年9月号)の記事、“イタリア料理のタブーに挑戦”の解説です。記事の日本語訳と料理の写真はP.8。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

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週末はクレアパッソのお薦め本の紹介。
スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』
《new》イタリア料理アカデミーの本、『スーゴとサルサ
《new》ブランカ―トのシチリア料理のミニシリーズ、『ルスティケリーア』『伝統料理』、『パスティッチェリーア』、『魚料理』

【地方料理、シリーズ】
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2026年3月3日火曜日

イタリア料理のタブー、甲殻類とチーズの組み合わせに挑戦。今どきの人はみんなタブーから解放されてるようです。

(CIR)の記事、《イタリア料理のタブーに挑戦》から、イタリア料理でタブーとされていることをあれこれ知り、かつそのタブーを華麗に解決するイタリア料理の柔軟性や豊富な発想力を改めて知りました。
今回のタブーは、“甲殻類とチーズ”です。エビにチーズはかけない、という話は知っていましたが、その理由は、深く考えたことなかったなあ。
甲殻類にチーズをかけてる料理あるかなと思って動画を探したのですが、見つからなかった・・・。ほんとにこれはタブーなんですね。
例えば、アサリのスパゲッティを注文した外国人客がパルミジャーノを要求し、客がチーズをアサリのスパゲッティに振りかけるのを見た隣の客はびっくりして涙を流す、なんて話が定番。

なぜ甲殻類にチーズはダメなのか。その理由は甲殻類の甘味とチーズの塩気は合わない、甲殻類のデリケートな風味をチーズの強い風味が打ち消す、という理論。さらに山の産物のチーズと海の産物の甲殻類は混ざり合わないという偏見。でも、歴史的には、ルネサンス時代の料理書や、アルトゥージの本にもバターとパルミジャーノを貝料理に使うリチェッタが見つかっています。
昔、知人がエビにパルミジャーノをかけるのを見て、思わず勇気があるなあとつぶやいてしまいしたが、当の友人は、全然ピンと来てなかったみたい。

ハインツ・ベックの“白エビのカーチョ・エ・ペペ”は、グランシェフが作るエビとチーズの組み合わせの代表作。

今はシーフード入りカーチョ・エ・ペペ、“カーチョ・エ・ペペ・ディ・マーレ”が流行る時代。すごい、ペコリーノとシーフードの組み合わせ。

赤エビとブッラータ。

イカのチーズ詰め。

あれ、出てくる出てくる。やっぱり、ヴォンゴレにパルミジャーノという特例以外は、今時の人は気にしないでチャレンジしてるんですね。
さて、次回はCIRのリチェッタについて。


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2026年3月1日日曜日

イタリア料理のベース、パンチェッタ。自動翻訳ではベーコンと訳されて台無し~。

シチリアのメカジキ料理をたっぷり見てきましたが、今回の料理は魚とサルーミの組み合わせ。魚はメカジキというわけで、その切り身にサルーミとセージをのせてサルティンボッカにします。そこで選んだのはパンチェッタ・ドルチェ・アッロトラータです。
豚の腹(パンチャ)の肉から作るパンチェッタには、巻いた“アッロトラータarrotolata”と巻かない“テーザtesa”、スモークタイプaffumicata、中央の肉(豚の肩肉coppa)の周りに豚肉を巻いたコッパ―タcoppadaなどがあります。
豚を飼育している地方ならどこでも作っていますが、羊や牛肉、子牛肉でも作ります。
最も一般的なパンチェッタはテーザ。広げた肉を塩漬けして約20日間熟成させたもの。熟成したら生ハムのようにスライスして使います。特別なパンチェッタが名物になっている地方もあります。バラ肉の肉が多い分粉を使うトスカーナのパンチェッタ、脂肪分の多いラツィオのグアンチャーレなど、各地の好みによって様々な味のパンチ換えればスモークしたパンチェッタ。イタリア料理にベーコンが使われるようになったのは比較的後で、伝統的なパンチェッタやラルドに取って代わる存在になりました。
豚肉の保存方法に塩を使うのはイタリアを含む地中海沿岸諸国の方法。スモークするのは北ヨーロッパの方法。

パンチェッタはイタリア料理のベースで、パスタソースやミネストラや煮込みの調味などには欠かせません。北欧、イギリス、ドイツでは、焼いたパンチェッタとじゃがいも、クラウトなどとの組み合わせは料理の基本です。

パンチェッタ・テーザvsアッロトラータ。

プーリアのパンチェッタ。

パンチェッタ・トスカーナ。

パンチェッタ・コッパ―タをカットする動画(www、作る動画は長いのでカットするところでもどうぞ)。

上質のパンチェッタと言えば、パンチェッタ・ピアチェンティーナ。ピアチェンツァ全域で作られているが規定では熟成は約2ヵ月、標高900m以上となっている。塩水ではなく、塩を手作業でまぶす。
甘みのある味でスパイスの香り、スライスを食べると口の中で溶ける。脂身のバランスがよい証拠。

ピアチェンツァはイタリア最高のサルーミ造りの街。パンチェッタ、コッパ、サラミはピアチェンツァの3大サルーミ。
ピアチェンツァのサルーミの造り手。

ピアチェンツァ。

彼はパンチェッタ・アッロトラータを強烈に愛してるけど、自動翻訳はパンチェッタをベーコンと訳すので台無し。

生ハムじゃなく、パンチェッタ・アッロトラータを使うと、とても美しいサルティンボッカになる。


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2026年2月28日土曜日

シチリアのメカジキ料理

子牛料理を魚で作る“メカジキのサルティンボッカ”。
子牛肉の代わりに選んだのはメカジキ。
メカジキはシチリアのメッシーナ海峡に棲む魚。
シチリアの有名なメカジキ料理というと、“メカジキのインヴォルティーニinvoltini di pesce spada”や“メカジキのアッギオッタpesce spada agghiotta”など。
シチリア人はメカジキ料理のエキスパート。背側ではなく、脂がのって柔らかい腹の身が人気。旬は春だが初夏でも美味しい。筒切りにするリチェッタや、ローストやグリルなど、大型の魚のリチェッタは何でも合う。

メカジキのインヴォルティーニは薄~く切ったメカジキの切り身にパン粉やカチョカヴァッロなどをのせて巻いたもの。バリエーションが豊富なメカジキの人気料理。

メカジキのアッギオッタ。ギオッタソースは玉ねぎの薄切り、種抜きオリーブ、セロリ、ケッパー、トマトソースをとろ火で煮たもの。メカジキのアッギオッタは、メッシーナ名物のストッカフィッソ(干ダラ)料理にも使うので、別名メッシーナ風。

生でも食べる。メカジキのカルパッチョ。背側の身を使う。

メカジキのイン・パデッラ。厚さ2㎝程度の切り身をオイル、レモン汁などでマリネしてフライパンで焼く。

メカジキのサルモリーリオは、メカジキによく合うシチリアのソース、サルモリ―リオがけ。

肉・魚・野菜に合うソース、サルモリ―リオ。
さて、子牛肉の代わりにメカジキを使い、生ハムの代わりにはパンチェッタ・ドルチェ・アッロトラータを使います。パンチェッタの話は次回。

シチリアの魚料理のお薦め本は、シチリア料理のミニシリーズの1冊、ブランカ―トの“ペッシェ・アッラ・シチリアーナ”

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2026年2月27日金曜日

北の子牛料理を海に囲まれた南では青魚、メカジキで代用した。

さて、子牛肉とサルーミという組み合わせのローマ料理、“サルティンボッカ・アッラ・ロマーナ“。
この北イタリアの子牛料理を、あえてイタリア料理のタブーに挑戦するために考え出したアレンジは、子牛肉の代わりに魚を使うということ。子牛肉の代わりに選ばれた魚は、メカジキpesce spadaです。子牛肉の代用と言えば多分豚肉あたりが一般的。でも、南イタリアでは、やっぱり魚を使います。しかも今回選んだのは青魚。と言っても、イワシやサバじゃなくて大型で上等な魚、メカジキ。

イタリアでメカジキpesce spadaと言えば、メッシーナmissina。
メカジキは、シチリアとカラブリアの間のメッシーナ海峡を住みかとする魚。古代の習慣が残された最も伝統的な漁は長い舳先て物見やぐらの高い木のある船からトラフィッレラ、またはフィオチーナと呼ばれる銛を打ち込む、というもの。

メッシーナ海峡。南イタリアですね~。周りは全部海。この海峡はギリシャ神話にも登場する神話の舞台。しかもそこに棲む魚、メカジキは青魚。

海のハンター、メカジキ。


海の巨人と呼ばれるメカジキは、大型で上等な魚。大きなものは400㎏にもなるが、丈夫な半月形の尾ひれがあるおかげで泳ぐ速度はとても速く、時速約70㎞になる。つがいで泳ぐが、つがいの絆が強く、雄は雌が捕まると一緒に死のうとするロマンチックな習性があり、つがいでいる時は漁師は雌を銛でつくという。最近では獲りすぎて漁獲量が70%も減っているんだって。2001年以降、網を使ったメカジキ漁は禁止されている。地中海地域ではメカジキの売買が禁止される時期もある。

頭についたこの剣は店先にあると絵になる。解体ショーの主役にもなる。


メカジキのピンク色の身は脂肪が少なく、味はデリケート。様々な方法で調理することができる。

メカジキのメッシーナ風。

次回はシチリアのメッシーナ料理の話。


シチリア料理のお薦めの本は、グイド・トンマージの地方料理シリーズの『クチーナ・ミラネーゼ



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2026年2月26日木曜日

ミラノ名物の子牛肉料理は肉屋への厚い信頼から生まれる。

ローマの名物料理のサルティンボッカは、子牛肉と生ハムの組み合わせ。
で、子牛肉が主役と言えばミラノ料理です。
工業都市になる前のミラノは、農業と牛の飼育が主な産業でした。

ミラノ料理を象徴する子牛料理、ヴィテッロ・トンナートvitello tonnato。
北の子牛肉料理は魚とは無縁かと思いきや、この料理はその名の通り、ツナとアンチョビのトンナートソースと子牛肉の組み合わせ。

そしてミラノ風コトレッタ。

コトレッタ・ミラネーゼの、“ゾウの耳orecchia di elefante”と呼ばれるバリエーション。子牛肉を叩いて薄く大きく広げて、ゾウの耳のようにする1品。アルタクチーナのシェフからは、上等の子牛肉の扱いがひどいと言われてしまうかなり庶民的なアレンジ。
そもそもミルクだけで育った乳のみの子牛肉は、ミラノでも当然、贅沢品。骨も脂身も大事に使った。
でも、現在はその大部分がオランダ産だけど、オランダ産は品質が良いと言われてます。

ゾウの耳

最高の子牛肉はブリアンツァ産のものというのが定説。

ブリアンツァの子牛。

ブリアンツァ地方の中心地、モンツァ。ミラノの北部が分割されてできたのがブリアンツァ・モンツァ県。

肉屋ミラネーゼ対フィオレンティーナ。

子牛肉。

ミラノの老舗肉屋。

さすがは肉食の国。肉屋が有名になる。

さて、北イタリアの子牛肉料理を、南イタリアならではのアイデアで応用したのがメカジキのサルティンボッカ。詳しくは次回に。

シチリア料理のお薦めの本は、グイド・トンマージの地方料理シリーズの『シチリア
など多数。

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2026年2月25日水曜日

イタリア料理のタブーの一つ、魚とサルーミの組み合わせ。ローマ料理のサルティンボッカは子牛肉と生ハムの組み合わせ。

イタリア料理のタブーに挑戦する今月の(CIR)のリチェッタ。今日のタブーは“サルーミと魚の組み合わせ”です。
“サルーミsalumi”とは、動物の肉を塩漬けして熟成させたもので、2つのタイプがあります。1つは、丸ごとの部位を使うハムprosciutti、コッパcoppa、スパッラspalle、パンチェッタpancette、クラテッロculatelloなどの主に豚肉製品。例外は猪、鹿、ヤギのプロシュットや、牛肉で作るブレザーオラbresaola。
 もう一つは挽肉を使う腸詰タイプ。生や加熱して食べます。コテキーノcotechini、ザンポーネzampone、モルタデッラmortadella、サルシッチャsalsicciaなど。豚肉だけでなく、牛肉の製品も多い。

サルシッチャ。

サルーミ。

サルーミ専門店、サルメリーアはイタリアの美食の殿堂。

バリエーション豊かなイタリアのサルーミ。

生ハムに代用される肉の加工、保存品、サルーミは、イタリア料理には欠かせない食材。でも、サルーミを魚と組み合わせるというのは、イタリアではタブーとされる組み合わせ。今月(CIR)の、タブーに挑戦するというテーマとして取り上げたのが、この組み合わせです。魚と生ハム、たしかにあまり見かけない組み合わせかも・・・。
肉とサルーミの組み合わせの代表的なイタリアの地方料理として選びだしたのが、“サルティンボッカ・アッラ・ロマーナ”。子牛肉に組み合わせるサルーミは生ハム。

サルティンボッカ・アッラ・ロマーナ。

生ハムは、豚肉の塩漬けなど保存加工品。特に有名なのはパルマの生ハム。エミリア・ロマーニャの製品ですが、イタリア各地で作られています。

パルマの生ハム。

乳のみ子牛のももの薄切り肉と生ハムの組み合わせというとてもシンプルな料理がサルティンボッカ。ガンベロ・ロッソチャンネルのシェフでローマ出身のマックス・マリオラが作るサルティンボッカ。


さて、この肉の国で、魚とサルーミを組み合わせると、どんな料理になるのでしょうか。
続きは次回。


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週末はクレアパッソのお薦め本の紹介。
スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』
《new》イタリア料理アカデミーの本、『スーゴとサルサ

【地方料理、シリーズ】
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価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

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車エビにパルミジャーノを組み合わせるなら、どうする?ちなみにヴォンゴレにチーズをかける行為は外国人観光客丸出し。

甲殻類とチ―ズの組み合わせは、イタリアではタブーとされていますが、美味しいものの追求のためにはとことんやるイタリアでは、甲殻類とチーズを組み合わせた料理に、素人からグランシェフまで、多くの人が取り組んでいるのを見ると、タブーというより、正統派ではない、という認識かも。 しかも、今...