2019年3月22日金曜日

冬のプリモ、チチェリ・エ・トリアと春のプリモ、クレープ

カルロ・カンビ著の『ミリオーリ・リチェッテ・デッラ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ』は、

庶民的な地方料理の四季のリチェッタを集めた本。

冬のパスタの1つとして「総合解説」P.48にリチェッタの訳を載せたのは、“チチェリ・エ・トリアciceri e tria”。
プーリア料理です。


チェーチのタンパク質とセモリナ粉のトリアの炭水化物の組み合わせ。
チチェリ(チェーチ)をチチリと呼ぶ人も多いようです。
本のリチェッタによると、チェーチを香味野菜を入れた湯でゆでて、パスタを打つ時にこのゆで汁を加えてチェーチの香りを加えるなどのバリエーションもあります。

この他の冬のプリーモは、ナポリ風ラグーとは一味違うチレント風ラグーのフジッリ、粉質でないじゃがいもで作るソレント半島のアサリのニョッキ、定番中の定番、ラザーニャ・ボロニェーゼ、ロマーニャ地方の冬の定番料理、パッサテッリ、粉サフランではなくホールのサフランで作るリゾット・ミラネーゼ、太陽が登る海、アドリア海の海の幸を使ったスパゲッティ・アッラ・マリナーラ、お上品な印象のピエモンテの素朴なパスタ、ポロねぎのタヤリンなどなど、面白い解説とともに、数々のプリーモ・ピアットが載っています。

この本の春のプリーモは、例えば、ほうれん草とリコッタのクレープ。
この料理は農民の結婚式の披露宴の前菜の定番だったのだそうです。
今ではシンプルな美味しいプリーモとして定着しています。


リコッタは羊のリコッタがお薦めですが、厳禁なのはホエイを入れること。
味が薄まって重くなるのだそうです。
ナツメグなどのスパイスは、質素な料理を華やかにするポイント。

ほうれん草のクレープCrescpelle agli spinaci
クレープ;
  卵・・2個
 小麦粉・・50g
 牛乳・・1カップ
 バター、砂糖、オリーブオイル、塩
 
リピエーノ;
 リコッタ・・500g
 ゆでたほうれん草・・200g
 パルミジャーノ・・50g
 生クリーム・・10ml
 イタリアンパセリのみじん切り

ソース;
 ベシャメル
 ハム
 パルミジャーノ

・衣を作る。卵、小麦粉、塩、砂糖一つまみ、溶かしたバターを混ぜる。
・ホイッパーで混ぜながら牛乳を少しずつ加えて濃すぎない生地にし、2時間休ませる。
・薄く油を引いたフライパンに生地を少量ずつ広げて両面を弱火で焼く。
・リコッタ、搾って細かく刻んだほうれん草、塩、こしょう、ナツメグ、生クリーム、パルミジャーノ、卵、イタリアンパセリをフォークで潰して混ぜる。
・鉄板にオーブンシートを敷く。クレープにクリームをのせて巻き、シートに並べる。
・ベシャメルをかけて小さく切ったハム、たっぷりのパルミジャーノを散らし、250℃のオーブンで15分焼く。
・パルミジャーノの代わりによく熟成させたヴィッソ(マチェラータ)のペコリーノを散らすともっと辛口になる。

リコッタとほうれん草は定番なので、今回は、アスパラガスのクレープのリチェッタをどうぞ。

スローフードの“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『パスタ』からです。


アスパラガスのクレープCrespelle di asparagi 
チルコロ・ラ・トッレ/グラニャーノ・トレッビエンセ(ピアチェンツァ)のリチェッタ

材料/4人分
衣;
 00番の小麦粉・・大さじ4
 卵・・2個
 牛乳・・2カップ
 バター、塩
リピエーノと仕上げ; 
 アスパラガス・・2束
 ポロねぎ・・1本
 野菜のブロード
 ロビオーラ・・150g
 グラナ・パダーノ・・40g
 バター、EVオリーブオイル
 塩、こしょう

・卵と牛乳を混ぜ、低温で溶かしたバターを加えて小麦粉を振り入れる。塩味を整えて冷蔵庫で休ませる。
・アスパラガスは硬い部分を取り除いて短く切る。ポロねぎも輪切りにする。
・これらを油少々で炒めて塩、こしょうし、レードル1杯のブロードをかけて30分煮る。
・小さく切ったロビオーラとおろしたグラナパダーノを混ぜ、冷めたアスパラガスのスーゴをかけてよく混ぜる。
・フライパンで生地を焼いてクレープにする。
・リピエーノを塗って巻き、オーブン皿に並べてバターの小片をのせる。
・180℃のオーブンで膨らみ出すまで焼く(15~20分)。
・軽く休ませてサーブする。


 


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カルロ・カンビの“チチェリ・エ・トリア”のリチェッタは「総合解説」2016年11/12月号に載っています。
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2019年3月20日水曜日

トリノ人が生み出した世界的トリノ名物の数々

今月はグルメ旅がもう1つ。
2つ目の街はトリノです。
トリノはカフェ文化が花開いた街です。
まずは、トラメッツィーノ(サンドイッチ)が考案されたと信じられている小さなカフェ・ムラッサーノ。

ムラッサーノは1907年にできて以来、経営者の移り変わりに伴って店もスタイルを変えてカフェになり、1926年にオーナーになったアメリカ帰りの一家によって、アメリカ製の新型のトースターが導入されて、そのトースターで焼いたサンドイッチが人気になったと言われています。
ということは、ホットサンドだったんでしょうか。
でも、下の動画ではホットじゃないサンドイッチを紹介しています。


まあ、老舗なのは間違いないようです。

次はベルモット。
カクテルに入ってるお酒という程度の認識しかないですが、トリノでは現代版のヴェルモットがイタリアで最初に造られて以来、独自の進化を遂げていたのですね。
ベルモットの原型はドイツで造られた薬効のある草、ニガヨモギの酒。
ニガヨモギが豊富に自生していたイタリアでは、サヴォイア家の宮廷で、同じ名前のよく似た酒が造られるようになり、やがてイタリア産のベルモットは世界中に知られるようになって、トリノはベルモットの街になったのでした。
ちなみに、トリノのベルモットの考案者はアントニオ・ベネデット・カルパノ。


次のトリノの発明品は、ピングイーノです。
説明は下の動画をどうぞ。


チョコレートでコーティングされて、スティックがさしてあって歩きながら片手で持って食べることができるジェラートです。
トリノはジェラートにも革命を起こしていたのでした。
ピングイーノを考案したのはジェラテリーア・ペピーノ。
最新作はベルモットメーカーとコラボしたベルモット風味のノンアルコールのピングイーノ。
トリノに行かないと食べれないのでしょうか。
 ↓

トリノの商人は、やり手ですねー。
ピエモンテのドルチェは世界的に知られた、イタリアのドルチェの3本柱の1本。
お勧めの本は、お手頃価格で知られるニュートン・クチーナ・レジョナーレ・ドルチェシリーズの『ピエモンテ・ドルチェ』。




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“グルメ旅~トリノ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年11/12月号に載っています。
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2019年3月18日月曜日

パスタ作りの伝統が生むモデナの粉物

今月のグルメガイド1つめは、「難しく考えないで生きる」がモットーのモデナ。
そしてモデナ料理として紹介したのが“ボルレンギBorlenghi”、1枚だとボルレンゴです。


モデナの庶民の古い伝統料理だそうで、友人同士で作りながら食べるクレープのような料理。
粉物を鉄板を囲んで焼きながら食べる食文化があるなんて、モデナの高感度がぐんと上がりました。


総合解説」にはボルレンゴの日本語のリチェッタを載せています。

モデナの食文化って、素晴らしいですねー。
ランブルスコ飲みたくなりました。
 ↓

モデナのストリートフードの傑作、ニョッコ・フリット。
生ハムのおとも。
モデナは粉物天国でした。


モデナで生ハムと言えばサルメリア・ジュスティ。


モデナを代表する料理人、マッシモ・ボットゥーラシェフのビストロ、
フランチェスケッタ58


その他まだまだあるグルメ情報は「総合解説」を御覧ください。


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“グルメ旅~モデナ”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年11/12月号を御覧ください。
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2019年3月15日金曜日

「難しく考えないで生きていく」理系の街、モデナ

今日はモデナの話。
小さいけれど、歴史と文化がギュッと詰まった、豊かな街です。


フェラーリとバルサミコ酢とエステ家の街。
大聖堂、グランデ広場、ギルランディーナの塔は世界遺産。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のモデナのグルメガイドの記事は、
モデナの紋章には、“Avia pervia”というラテン語が記されている、という話から始まります。
観光でちょっと立ち寄ったことがあるだけの私には、初耳でした。
これがモデナの紋章です。

確かに書かれていますねー。
どういう意味なんでしょう。
街のモットーだけあって、様々なスポーツチームの名前などに使われていますが、記事でも詳しく解説しているように、イタリア人でも意味を理解するのは少々難しい言葉のようです。
記事の説明を短くまとめると、「難しく考えないで生きていく」あたりがしっくりするかな。
これはラテン系の人々のモットーと言ってもいいのでは。
いい言葉だなあ・・・。

ところで、モデナの名産品を見ていて気がついたのですが、ぶどうの果汁を酢酸菌で酢酸発酵して作るのがバルサミコ酢で、牛乳を乳酸発酵させて作るのがパルミジャーノ、酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに分解して生まれるのがランブルスコだそうで、モデナの人は理系に違いないですね。

下の動画はモデナを代表する有名シェフ、マッシモ・ボットウーラシェフの店、『ラ・フランチェスカーナ』。



この黄色い料理の名前は、“おっと、レモンのクロスタータを落とした!”だそうで。
ドイツの現代アートの巨匠、ヨーゼフ・ボイスの影響を受けているのだとか。
この動画を見てふと感じたのが、マルケージのミラノの店に似ている、ということ。
料理を現代アートに例えたのは、マルケージの代表作の一つ、ドリッピング・ディ・ペッシェが20世紀を代表する抽象画家のジャクソン・ポロックの“ドリッピング”技法にインスパイアされてのこと、というのが有名。
ボットゥーラシェフはマルケージチルドレンではないそうですが、彼の料理は、マルケージがやってきたことによく似ているような・・・と感じてしまいます。

ドリッピング・ディ・ペッシェ
 ↓

今日のブログのタイトルは、「難しく考えないで生きていく」理系の街、モデナですが、重要なことを忘れていました。
「難しく考えないで生きていく」、レズドーラに育てられた理系の街、でした。
レズドーラはパスタの麺打ちが得意で家事をバリバリこなすスーパー主婦で、地元の食文化の継承者のことです。

レズドーラとマッシモ・ボットゥーラシェフが作るモデナのトルテッリーニ
 ↓

ホントの親子みたい。
ボットゥーラシェフの実際のお母さんはどんな人だったのか、興味ありますねー。
親から子へと伝わる家庭料理では、その一家ならではの技術や配合が受け継がれますが、ボットゥーラシェフが作るようなアルタクチーナは、感性の表現の仕方が師匠から弟子へと受け継がれます。

モデナの感性を高めたのはエステ家。
モデナを含むエミリア・ロマーニャ地方の感性が生み出したランブルスコ。



エミリア・ロマーニャ地方の料理のお勧め料理本は、“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの『エミリア・ロマーニャ』


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“グルメ旅~モデナ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年11/12月号に載っています。
クレアパッソで販売している書籍
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2019年3月13日水曜日

シチリアのパン粉のパスタ

前回はシチリアのカンティーナ、プラネタの料理本を紹介しましたが、
クレアパッソでは、お勧めのシチリア料理本が、もう1冊あります。
グイド・トンマージの地方料理シリーズの『シチリア』です。

このシリーズも写真が秀逸で、シチリアでオステリアを営んでいる家庭にホームステイでもしているような気分になって、読み返すと、あの時は楽しかったなあ、なんて、かつてのシチリア旅行の思い出が蘇ってくるような本です。

一方、プラネタの本は世界中から観光客が押し寄せる豪華なホテルレストランで世界各国から集まった若者たちと一緒にスタージュでもしてるかのような、素敵なワクワク感に満ちています。

どちらの本にも載っている1品が、この本の違いもよく表しているようなので、ちょっと紹介してみます。

それは、シチリア名物、パン粉のパスタです。

シチリアに行くまで、チーズの代わりにパン粉を散らす、というパスタの存在は、うっすら聞いたことはあるけど、実際に食べたことはありませんでした。
でも、パレルモのオステリアはそれが普通のようで、すぐに慣れました。
チーズの代わりどころか、パン粉がソースのメインの食材という、パン粉のパスタの存在を知ったのは、ずっと後のこと。


それではグイド・トンマージの『シチリア』の
パン粉のパスタ/PASTA CON LA MOLLICAをどうぞ。

材料/4人分
 スパゲッティかブカティーニ・・400g
 にんにく(できればヌビアの赤にんにく)・・4かけ
  塩漬けアンチョビ・・4枚
 (セモリナ粉のパンの)パン粉・・200g
 EVオリーブオイル・・大さじ5
 塩

・大きなフライパンでにんにくを油でソッフリットにする。きれいにしたアンチョビを加えて潰してほぐし、火から下ろす。
・別の大きなフライパンでパン粉を木べらで強火で炒める。すぐに焦げるので絶えずかき混ぜる。きれいな栗色になったら取り出す。
・スパゲッティをアルデンテにゆでる。
・アンチョビのフライパンにスパゲッティを加えてなじませ、パン粉をたっぷり散らしてサーブする。
※パン粉を炒める時に油大さじ1を加えても良い。しっとりしたパン粉になる。

外見上は、ソースはパン粉だけの、ザ・漢の料理みたいなパスタです(P.27)。
盛り付けも、皿のリムの内側いっぱいにどどっと広がっています。
パスタとパン粉がほぼ同じ色なので、小麦粉オン小麦粉感が半端ない。

これを、貴族料理がルーツの世界的に成功したパスタメーカーのリゾートホテルでは、どんな料理にするのでしょうか。
それでは『シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ』のパン粉のパスタをどうぞ。


アンチョビとパン粉のパスタ/PASTA CON ACCIUGHE E MOLLICA

材料/4人分
 スパゲッティ・・400g
 パン粉・・200g
 アンチョビ・・6枚
 白ワイン・・1カップ
 塩抜きしたケッパー・・20g
 唐辛子・・1本
 EVオリーブオイル・・大さじ3

・パスタをゆでる。その間にパン粉を少量の油で炒める。
・別のフライパンでアンチョビ4枚を、唐辛子のみじん切り、ケッパーのみじん切りと一緒に油で溶く。
・ワインをかけてアルコール分を飛ばし、5分煮る。
・アルデンテにゆでたパスタと残りのアンチョビを加えてマンテカーレし、パン粉をたっぷり散らしてサーブする。

見た目は、こちらはアンチョビと赤い唐辛子の小片がアクセントになっています。
それをこんもりと高く、小さめに盛り付けるので、とても繊細に見えます(P.55)。
ケッパーも入っているので、かなり食べやすそう。

アンチョビとパン粉は基本の材料。
これに唐辛子やケッパーが加わると、劇的に漢臭さがマイルドになるんですね。
これはぜひ写真を見比べてほしい料理です。





グイド・トンマージの『シチリア』も、男前な料理だけじゃないです。
例えば、“マッコ”は、一度食べるとやみつきになるとても美味しい乾燥ソラマメのピューレですが、生のソラマメで作ると、乾燥ソラマメを使ったものより色が美しくなるのだそうで、本ではとても美しいソラマメ色のピューレを紹介しています(P.52)。


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2019年3月11日月曜日

プラネタ家の料理本、『シチリア』

お勧めの再入荷本、

シチリア/クチーナ・ディ・カーサ・プラネタ


のご案内です。

この本は、シチリア料理の本の中でも、シチリアを代表するカンティーナで貴族の家系でリゾートホテルレストランも経営するプラネタの料理を紹介するという、異色の大型本。
写真はとても美しく、ページをめくっていると、舌がシチリアになって、プラネタのワインを用意したくなる、魅力あふれる本です。


ちょとシチリア行ってくるわ、みたいな気分になりますねー。

最初のメンフィとサンブーカ・ディ・シチリアの章に載っている料理は、
肉のアランチーネとチーズのアランチーネ、
カポナータ、
パーネ・クンツァート、
ナスのコトレッタ、
パネッレ、
パニーニ・クレッシュート、
パンツェロッティ、
ティンバッレッティ・フリティ、
ペスト・トラパネーゼのブジアーティ、
テネルーミのミネストラ、
ズッキーニとミントのパスタ、
パスタ・アッレ・ヴォンゴレ、
アンチョビとパン粉のパスタ、
パプリカのリピエーニ、
リコッタとサルシッチャのラビオリ、
ラグーのアネッレッティのティンバッロ、
アッグラッサート、
牛フィレットの赤ワインソース、
オレンジのサラダ、
タラのミルク煮、
ポルペットーネ、
サルデ・ア・ベッカフィーコ、
サルデ・ア・キアッパ、
トリッパ・フィンタ、
ビアンコマンジャーレ、
カンノーリ、
カッサータ、
コーヒーのジェーロのホイップクリーム詰め、
レモンのグラニータ、
モンテ・ビアンコ・・・
といった品揃え。

貴族の料理はどれだけお高くとまってるまのかと思えば、想像以上に庶民的。
殆どが、一度は聞いたことがあるシチリア料理の代表選手。
しかも、適度にディープなシチリア料理も混じっていて、一度は食べてみたい、と思っていた料理がいっぱい。
さすがは世界中からファンがやってくるプラネタ社とそのリゾートホテル。

マルケージシェフが、ミラノの店の次に挑戦したのが、大手ワイナリーと手を組んだ高級ホテルレストランだったことを考えると、象徴的です。
世界中にファンがいるカンティーナは、食文化の伝道師でもありました。
その昔、メディチ家のような巨大勢力が、フィレンツェの文化を発展させたように、イタリア料理はイタリアワインの造り手によって、世界中に広まっていくのだなあ、と感じます。

ワイナリーに高級リゾートホテルレストランを作って、トップシェフを呼んで、ワインをサーブしながら世界中の顧客に暖かい地元流のもてなしを体験してもらうのは、今やカンティーナが成功した証。


その料理は、確かに家庭料理なのですが、わざわざ飛行機に乗って、ブランド店も有名観光地もないぶどうの産地までやってくるグルメな顧客たちを満足させる、本物で、洗練された料理です。



シチリア料理のパトロンとしての活動も、相変わらず絶好調のようです。


舌がシチリア料理になって、喉がプラネタになりました。

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2019年3月8日金曜日

マルケージシェフの残したもの

今日はグアルティエーロ・マルケージシェフの話。
このブログでも度々取り上げ、2017年12月に亡くなった時は、世界中で報じられたイタリアを代表するグランシェフ。
今月の「総合解説」では、ガンベロ・ロッソが創刊30周年に際して彼を取り上げた記事を訳しました。
おそらく世界で一番有名なイタリア料理人ですが、知らない人のために記事の冒頭をここで紹介。

「マルケージ・シェフは1970年~80年台にかけて、イタリア料理を変えた人物だ。
ガンベロ・ロッソの最初の格付け本では、彼のミラノの店はダントツの1位だった。
彼によって現代イタリア料理の扉は開いた。
マルケージはイタリア料理のブランドを作り、イタリアンスタイルの豊かなライフスタイルと美食を世界に広めた」

私に取っての彼のイメージは、バブリーの最先端なシェフ、でした。
せっかくミラノの店で食事したものの、卓上のアーティスティックなオブジェや店のゴージャスな雰囲気にのまれて、料理のことは見事に何も覚えていないのでした。

でも、今になって思うのです。
もし、当時一世を風靡していたマルケージシェフが、バブルの申し子でもう少しえげつない人だったら、イタリア料理は今とは違ったものになっていたかもしれない。
マルケージチルドレンを筆頭に、今のイタリア料理には、彼のナイーブでハイセンスな感性が受け継がれています。

彼の代表作、リーゾ・オーロ・エ・ザッフェラーノ。
初めて世に出たのは1981年。


彼はヌーベルキュイジーヌと一緒に語られることとが多い人ですが、記事には、彼自身はヌーベルキュイジーヌの限界をすぐに感じていた、という話もあります。
シンプルな料理の美しさと美味しさの関係に魅せられていたマルケージシェフは、食材自身が持つ美しさを、料理を遊びすぎてゆがめてはいけない、と語っています。
確かに、彼の代表作は、シンプルなのに強烈なインパクトをもつものばかり。
「総合解説」には代表作4品の写真も載せました(P.36)。
Raviolo Apertoも、Dripping di pesceも、料理を見れば誰もが彼の料理と知っているもの。
こんな人、世界中探してもそういません。

彼の功績を理解するには、ヌーベルキュイジーヌというキーワードを消し去る必要があるかもしれません。
イタリア人の代名詞だったラテン系の情熱に満ちたおふくろの味より、彼の知性や芸術性が溢れた料理に、世界中が魅せられたのでした。

これはそれまで、イタリア人の誰にもなしとげられなかったことでした。
母から娘へと受け継がれてきたとても曖昧で広大なイタリア料理の姿を、彼は自らの判断できっちりと整理して、アイデンティティーを確立させたのです。
でも、無名の母親ではなく、天才料理人の料理を弟子が受け継ぐというスタイルは、フランス料理の典型。
このあたりにヌーベルキュイジーヌをイメージさせる要素があるのかも。

イタリア料理にマンマ以上の影響を与えた唯一のシェフです。

マグロのグーラシュ(2011)



彼の目指した料理の思想を受け継ぐシェフたちの団体、レ・ソステの本、『グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ





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“グアルティエーロ・マルケージ”シェフの記事の日本語訳は「総合解説」2016年11/12月号に載っています。
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冬のプリモ、チチェリ・エ・トリアと春のプリモ、クレープ

カルロ・カンビ著の『 ミリオーリ・リチェッテ・デッラ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ 』は、 庶民的な地方料理の四季のリチェッタを集めた本。 冬のパスタの1つとして「総合解説」P.48にリチェッタの訳を載せたのは、“チチェリ・エ・トリアciceri e tria...