2026年10月20日火曜日

100年前の家庭料理、問題は名前。今ならコンプラ的に絶対アウト。昭和の頑固おやじみたいな男尊女卑な名前を堂々と使ってます。

『クチーナ・イタリアーナ』誌創刊95周年のパーティーの料理の記事の解説してますが、100年前の料理と言えど全く時代遅れになってない、と自画自賛していました。
最初の料理1品だけでも、高尚すぎて、着いていくのがやっとでしたが、実は、料理の名前があまりにも昭和で(100年前のイタリア料理が昭和の概念で説明できちゃう)、びっくりしました。
 例えば、“Intingolo di lesso alla buona moglie”なんて名前の料理があるんです。buona moglie、グッド・ワイフですよ。コンプラ的に、昭和のパパでさえ言わないよ、というか、言えないよ。グッド・ワイフを日本語にすると良妻かなあ・・・。つまり良妻の煮込み肉ってなんだよ。

良妻ガイド。常に身ぎれいにして夫に尽くすんだって。


日本人にも理解できる。これは昭和のおやじの妻ですよ。コメディア・デッラルテの、各地を象徴するキャラクターといい、良妻の概念といい、イタリアと日本は共通点多いなあ。ちなみに、buona moglieというカルロ・ゴルドーニが書いたヴェネチアの喜劇があるんだって。すんごいおどろおどろしい愛憎劇。傲慢で無一文で腐敗している貴族階級の弱さと大衆出身の活動的な女性の夫婦の話。大成功をおさめた作品だそうです。世間知らずのお坊ちゃんな息子をまっとうにしようとして失敗する父親像もあって、多分ヒットするだろうなあ100年後でも受け入れられる人間関係の面白さ。

そして良妻の時代の次は好景気を支えた孤独な老人たち。もう忘れ去られた料理たち。


パスタの歴史。パスタの歴史と言いながら、イタリアの家庭の変化を伝えている動画。


イタリアも好景気の時代があり、時代を支えてがむしゃらに働いたお父さんたちがいて、豊かな暮らししか知らなくて不満が募る子供たちがいて、力を得て自由になった女性たちがいたんですね。

このブログは(CIR)2024年1月号の記事、“100年前のイタリア料理”、“良妻の煮込み肉”の解説です。リチェッタの日本語訳と写真はP.34
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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
『クチーナ・イタリアーナ』誌ですが、昨今の為替レートや送料の高騰、雑誌出版社の販売方針の変更などの諸条件が重なり、価格の維持が不可能となり、残念ながら、2024年以降の取り扱いを終了することにいたしました。(CIR)の定期購読は1月号から12月号までの12冊の解説ですが、取り扱いが不可能になった場合は『サーレ・エ・ぺぺ』など他の雑誌に換える場合もあります。その場合でも(CIR)の作成は続けます。
(CIR)は、イタリア人発のイタリア料理のリチェッタとイタリアの食文化を日本語でお届けすることが目的です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

現在、2023年の号を販売しています。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
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■ブログ『イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)』昔の「総合解説」はシステムの変更のため販売を終了しました。現在は(CIR)に名前を変更しました。

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2026年10月19日月曜日

コメディア・デッラルテの仮面キャラたちは、実写版ゆるキャラ。くまモンみたいに愛されてます。

100年前の『クチーナ・イタリアーナ』誌の料理は、“ドクター・バランゾーネのパッサテッリ”でスタート。いや~、いきなりドクター・バランゾーネだって。知ってる?
これはコメディア・デルラルテという仮面を使うイタリアの伝統的な即興演劇のイタリア各地を象徴する、いうなればゆるキャラのようなもの。くまモンやチーバくん。一番有名なのは、多分ナポリのプルチネッラ。ピッツァを焼く人なら日本人でも知ってます。

そんなイタリアの愛されキャラの一人がイル・ドットーレことドクター・バランゾーネ。
初老の男で博識、饒舌な人物だけど、その発言はほとんど意味をなさない。発言はセクハラばかり。なんか身近にいそう。そんな彼はボローニャのキャラ。

ドットーレ。





で、ここまでがこの料理の基本知識。
次に必要なのがボローニャ料理の知識。

ボローニャ料理を改革するトラットリア


ボローニャで必ず食べたいもの。


さすがは美食の中心地。追い求めているものが、はっきりわかる。地中海地域やアルプスとは全然違う。

パッサテッリ・イン・ブロード。


ボローニャ料理として選ばれたパッサテッリは、パン粉、おろしたパルミジャーノ、卵の麺に野菜のブロードをかけたもの。
そして欠かせないのが、穴の開いた型。ない時はポテトマッシャーで代用できます。


ロマニョーラ地方の腕っぷしの強い(?)主婦から創り出される名物ミネストラ。これは多分ドットーレの発言。

このブログは(CIR)2024年1月号の記事、“100年前のイタリア料理”、“ドクター・バランゾーネのパッサテッリ”の解説です。リチェッタの日本語訳と写真はP.32
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2026年10月16日金曜日

ナポリ・ピッツァのマークはコメディア・デッラルテの道化、プルチネッラ。ゆるキャラがいない国ではこんな高尚なキャラがシンボル。

今日の(CIR)の料理は、1929年創刊の『La Cucina Italiana』の創刊95周年の祝いのパーティーで出された料理。
100年前の料理でも、全く時代遅れになっていないと自画自賛してますが、その料理は、“ドクター・パラゾーネのパッサテッリ”など。
まずドクター・パラゾーネって誰?とは、誰もが抱く疑問。はっきり言って初めて聞いたのですが、なんと、コメディア・デルアルテ界隈ではよく知られた人物でした。別名ドット―レ・バラン。100年前のイタリア人には、知られていたんですねー。ちなみにボローニャ生まれで退廃的な博識者だそうです。

コメディア・デルアルテでは定番のキャラ。ドットーレとパンタローネは互いのコミカルな対比が特徴。パンタローネは堕落した裕福な商人。

ドットーレとパンタローネ。


コメディア・デッラルテはイタリアの演劇がルーツで、ヨーロッパ全土で人気を博した演劇の形態。すべての演目に共通の標準的仮面キャラがいます。有名なのはアルレッキーノ(道化)。イタリア料理を知る上でも欠かせないイタリアの文化。プルチネッラはナポリには欠かせないキャラ。

コメディア・デルアルテ


アルレッキーノ


プルチネッラを語ることはナポリを語ること。


ナポリ・ピッツァ教会のマークもプルチネッラ。日本ならゆるキャラになりそうなことも、イタリアでは格式高~くコメディア・デッラテの仮面キャラです。


次回は料理の話です。

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2026年10月15日木曜日

年末年始のご馳走の後のデトックス料理。

昨日紹介したミラノのラッテリアのシェフは、トラットリアのシェフでもはっきりした料理哲学を持っている人でした。イタリア人のシェフからよく聞く言葉に、消化にいい料理、digeribilita、というものがあります。胃にもたれない程度のことかな、と思っていたのですが、それにしてもこの言葉、よく聞きます。特に近年は、和食の普及を見ても、魚を生で食べる習慣が広まって、イタリア中で軽い、消化に良い料理が求められていることを強く感じます。

alta digeribilitaて言葉があるんですね。
アルタ・ディジェリビリタなピッツァ。ピッツァの場合は高水分含有量のピッツァのことのようですが、消化吸収率が高い、という意味で乳糖不使用製品に使うようです。きのうのシェフは、消化できないものは毒か脂肪になる、と明言してました。単純で分かりやすい言葉で言われると、長年の疑問もすっきり解決。


今日のお題は、(CIR)1月号の記事、“年末と新年のご馳走の後の料理”です。年末年始のイタリアは、一年で一番のご馳走を食べる時期。消化に悪い食べ物を満腹に食べるという、なんだかお馴染みの状態のようです。と言う訳で、昨今の傾向とは正反対。そこで必要となるのがデトックス料理です。

肝臓のデトックスに効果的な食材。


レモンとしょうがか(メモ、メモ)。





さて、ご馳走の後のデトックス料理、この発想は、mangiare benesと言います。
マンジャーレ・べネとは、体によいものを食べるという概念。このテーマで議論すると、肉食の人たちは、魚を食べてる人とは考え方がちょっと違うと感じます。


(CIR)の料理、まずは、“ひよこ豆とアーティチョークのソースのファッロの全粒粉のスパゲッティ”

ファッロの全粒粉のスパゲッティは、ヘルシーというテーマの時は必ず登場するパスタ。

ムール貝のソースのファッロの全粒粉のスパゲッティ。
デトックスでも手を抜かないなあ。


スーパーで買える上質パスタ。


ファッロの全粒粉スパゲッティは、好奇心から食べて見たことがあるけど、それ以来、手が伸びない。美味しくいただくのは難しいパスタだけど、デトックスとかマンジャーレ・べネとか、食べて健康になるとか、考えたことなかった。

このブログは(CIR)2024年1月号の記事、“年末と新年のご馳走の後の食事”の解説です。記事の日本語訳と写真はP.30
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2026年10月14日水曜日

アルゼンチン、ジェノヴァ、ナポリの伝統料理のハイブリッド、フガセタはピッツァとフォカッチャのミックス。

今日の料理は(CIR)の記事、移民の料理から、“フガセタfugazzeta”です。
ブエノス・アイレスとジェノヴァとナポリの伝統料理のハイブリッドだって。

ブエノス・アイレスは、アルゼンチンの首都。アルゼンチンはイタリアから遠いけど、イタリア人は親近感を感じるような国だそうです。19~20世紀から多くのイタリア人が移民した国です。


フガセタ
フガセタは新世界理のピッツァだって。
ナポリ人とジェノヴァ人がアルゼンチンに移民してきたという奇跡から生まれた食べ物。なんと海から見るとジェノヴァとブエノスアイレスは一直線上。


ピッツァとフォカッチャとエンパナーダのフュージョンがフガッサ。

エンパナーダは、具入りのぺイストリー。パンで覆うまたは包むという意味のスペイン語およびポルトガル語の動詞「empanar」から派生しました。


フガッサを始めて作ったのはジェノヴァからの移民の息子でパン屋だった人物が経営するピッツェリア。
イタリア系アルゼンチン料理によく見られるように、北と南イタリアの味と食材のフュージョン。もっと詳しく言うなら、北イタリア料理とアルゼンチンに伝わった南イタリア料理のミックス。北イタリアから南米に移民したイタリア人の食文化が溶け合った国際的な料理なのでした。
ポルトガルの人気サンドイッチと主張する人もいます。


エンパナーダは国際的な料理なのでした。アルゼンチンのエンパナーダ。


フガセタは超美味しいエンパナーダ。





イタリアがサッカーでヨーロッパチャンピオンだった頃に対アルゼンチンの試合があると・・・。イタリアが弱くなった現在では、アルゼンチン応援してるのかも。
そう言えば、メッシもマラドーナもルーツはイタリア系移民。メッシは北でマラドーナはナポリでした。ひょっとしてフガセタはイタリア料理界のメッシか!?


アルゼンチンの伝統料理は、ピッツァやパスタだって。


このブログは(CIR)2024年1月号の記事、“フガセタ”の解説です。記事の日本語訳と写真はP.28
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2026年10月13日火曜日

ミラノのラッテリア。シェフのアルトゥーロの信念は、消化できないものは毒か脂肪になる、というもの。だから料理は消化の良さが大切。

今日の(CIR)のお題は、“ミラノの老舗トラットリア”。ミラノの人気トラットリア、La Latteriaの話です。

ミラノの大人気店、ラッテリア。


ラッテリアのシェフのアルトゥーロ・マッジ。
健康な食とはどんなものか、深い考えを持っている人なんですね。こんな人が作った料理を食べたい。食品の化学反応も、食材本来の純粋な味も、軽さと消化の良さも大事、というのが彼の信念。消化できないものは毒になるか脂肪になる、だって。深い・・・。





トレンド命のミラノで、こんなに気取らない店があるなんて、もうそれだけで素晴らしすぎ。70年代にコリエレ・デッラ・セーラの旧本社前にできた店です。土日以外は地元の食材だけを使ったプランゾとチェーナを、この地区にしては格安の値段で出す、25席の小さな店。厨房担当のアルトゥーロとホール担当のマリア夫妻の店で、店は繁盛を続け、息子たちも手伝うようになりましたが、2023年末に引退しました。残念。今はもうないけど、ファンは未だにいるみたい。

このブログは(CIR)2024年1月号の記事、“ミラノの老舗トラットリアの料理”の解説です。記事の日本語訳と写真はP.25
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2026年10月9日金曜日

ニューヨークとイタリアのハイブリッド、ティラミスチーズケーキ

ティラミスの話が出たところで、(CIR)1月号の表紙の料理ですが、これは“ティラミス味のチーズケーキ”でした。


ティラミスからチーズケーキまでは、ほんの一歩。
チーズケーキと言えばニューヨークの名物。


ニューヨークの最高のチーズケーキ店。


ニューヨークチーズケーキファクトリーの内側。
ニューヨークではチーズケーキも工場で大量生産。


ティラミスとチーズケーキ、つまりイタリアとニューヨークのハイブリッドが、この表紙のチーズケーキ。

ティラミス

ニューヨークスタイルのチーズケーキに使われるチーズは、フィラデルフィア。



やっぱりというか、フィラデルフィア生まれではなかった。ニューヨークで生まれて大量生産の技術が開発され、クリーチーズが安価なものになり、人々の間に広まりました。

フィラデルフィアの工場見学


ティラミスに使われているチーズは、マスカルポーネ。工場での大量生産と相性良さそう。

ティラミスが世界を征服するまで。その歴史は70年にも満たないのでした。チーズは、ロンバルディアの酪農家がクエン酸や酒石酸で凝固させた濃厚なチーズ。
(CIR)の表紙のチーズケーキには、リコッタとマスカルポーネをミックスしたクリームが詰まっています。


リコッタができるまで。


フィラデルフィア、マスカルポーネ、リコッタを混ぜたクリームのケーキこそが、この表紙のティラミス味のチーズケーキ。

ティラミス・チーズケーキは、アメリカではもうかなり一般的。そのうち、アメリカのチーズケーキに取り込まれちゃう日も近いかも。

ティラミスチーズケーキ


このブログは(CIR)2024年1月号の料理、“ティラミス味のチーズケーキ”の解説です。日本語のリェッタと写真はP.23
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