2023年12月2日土曜日

山深くて険しいカラブリアのきのことチロー。

カラブリアのワインの話をしていますが、カラブリア料理って、ピンときませんよね。
有名なのはランドゥーヤとベルガモットあたり。

ディオールのお気に入り、カラブリアのベルガモット。

カラブリアは世界最大のベルガモットの産地。
沿岸部の特定の地域でのみ栽培されていて、その皮に含まれる精油が貴重。

カラブリアのワイン、チローには、どんなカラブリア料理が合うのでしょうか。今月の(CIR)の記事では、まず、“豚肉とポルチーニの煮込み”のリチェッタが登場します。カラブリアは山深くて険しい地方と言われ、ポルチーニなどきのこも料理によく使われます。


カラブリアのきのこがとれる山と言えば国立公園にもなっているシーラmonte della sila。

シーラ山のきのこ。特にフンギ・ロシーティfunghi rositiというのが有名で、スパゲッティのソースにします。
シーラ山のフンギ・ロシートのスパゲッティ。トマトソースにフンギロシーティを加えたソース。

豚肉とポルチーニの煮込みに合わせたのはチロー・リゼルバ・ア・ヴィータ。Riserva 'A Vita。ワイナリーの一番古い北向きの畑のぶどうから造っています。猪肉のオーブン焼きによく合うそうです。


セルジョ・アルクーリSergio Arguriはガッリオッポの注目の生産者。樹齢70年のぶどうの樹をアルべレッロ方式L'alberelloで栽培しています。厳格なタンニンのボディーのあるワイン。子ヤギの詰め物料理にピッタリ。
セルジョ・アルクーリ。

作りすぎを修正して誤った樽の使用方法を改良し、カラブリアのワインの評価を高めたのは彼のような生産者たちなのでしょう。

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2023年12月1日金曜日

今月のワイン、チロー。ワンコじゃなくてかカラブリアのワインです。


今日のお題は今月のワイン。
チローです。
なんだかワンコみたいな可愛い名前ですが、カラブリアの古い集落の名前で、歴史の古いワインです。

チロー・ワイン。

歴史が古い、という表現は、このワインを評価する時に必ず登場するフレーズですが、何も古いことだけが特徴という訳ではありません。
まあ、どちらかと言うと、長い歴史の中には何度もの浮き沈みがあり、それを何とか乗り越えてきた歴史が積み重なって生まれたワインです。
歴史がある、ということの次に気が付くのはギリシャへの言及です。ちなみに、その名もギリシャという意味のグレコという白ぶどう品種もあります。このぶどうからはチローの白が造られています。
ギリシャ人はぶどうや、暑くて乾燥したカラブリアの地に適した栽培方法を伝えました。アルべレッロalberelloという地中海ならではの仕立て方です。


ぶどうの品種はこの地方の主要品種、ガッリオッポGaglioppo。

カラブリアのガリオッポの収穫。

ガッリオッポの特徴は輝き、上品な香り、タンニン。
(CIR9月号)の記事には“カラブリアのワインは経済的に成功したわけではない、ということがずばっと書いてありましたが、ぶどうの生産量が増えてぶどうとモストが普及したことは、チローに壊滅的な影響をもたらしました。
利益が上がることが知れ渡ると生産量が増え、その結果質が落ちるのは、過去に何度も繰り返された現象。そもそもガッリオッポは糖度が高く、1haあたり、100キンタルも生産されました。
チローは標高300mの海からそびえたつような高原。カラブリアの中では植物の密度が最も高く、ぶどう、オリーブ、サボテンが栽培されている地方で、オークや栗の深い森があり、南イタリアでも最も魅力的な山岳地。
長いその歴史の中で、消費者はワインの品質の低下を見逃しませんでした。そして一時見捨てられかけます。でも、カラブリアで一番大事な品種の名声を回復させたのは、もちろん地元の生産者でした。

カンティーナ・リブランディのカラブリアのぶどう畑。

生産者が語るチローの特徴、歴史。

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2023年11月30日木曜日

ジャンクフードから決別した街、ブラ。

今月のグルメ旅はスローフードの発祥地、ブラです。
ファーストフードやジャンクフードとは決別したブラの食文化からは、未来の食の姿も見えてきます。

スローフードとブラを紹介するスペイン語の動画。
世界中から注目されている街です。動画でも紹介されているとおり、サルシッチャはこの町の名物です。


ピエモンテのファッソーネ牛と豚肉のミックスのブラのサルシッチャ。子牛肉のサルシッチャとも呼ばれています。
googleはブラをブラジャーと訳すので、日本語に翻訳すると変態的になる。可哀そうに・・・。


ブラのサルシッチャのピッツァ。ブラの人気店で隣の工房で毎日サルシッチャを造っているマチェッレリア・ダ・マシーノ。

ブラのサルシッチャとポロネギのタヤリン。ブラのサルシッチャのラグーのタヤリンの日本語のリチェタは、(CIR9月号P.37)。タヤリンはピエモンテの卵黄がたっぷり入るタリエリーニ。

ブラはチーズフェスティバルでも有名。南イタリアのシンボル、ポドリコ牛のミルクのカチョカバッロなんかもありますね。ただ珍しいチーズというだけでなく、チーズ作りの文化を途絶えさせないように努力している世界中の作り手たちが集合しています。羊飼いが羊を移牧させながら作るチーズは、今や多様性と住民の自然保護への取り組みの象徴です。


スローフードの理念を学べるポッレンツォ食科学大学(スローフード大学)。


特別販売のご案内。
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なお、この特別価格は2023年末までのご案内で、売り切れ次第終了となります。ぜひこの機会にどしどしご利用ください。

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2023年11月29日水曜日

赤ずきんやゴブリンに出会えそうな場所、ロエーロ。

今月のグルメ旅は、ピエモンテのブラです(P.36~)。
ブラbra。

スローフード発祥の地として、グルメにはよく知られた町です。
この地方は赤ずきんちゃんが住んでいそうな、おとぎ話の世界
のようだと感じていたのですが、今月の『サーレ・エ・ペペ』の記事によると、魔女とゴブリンも住んでいそうな場所だそうですよ。
ちなみに、イタリアは魔女の国として知られています。

赤ずきんとゴブリンに出会いそうな地方の名は、ロエーロRoelo。


ピエモンテの郊外は美食に満ちている。



スローフードの理念は、ファーストフードに対抗するもの、という単純なことだけではない。スローフード運動とは、生産者、歴史、環境を尊重した味が食物の価値だとする運動で、ピエモンテの森にいると、そのことを強く感じる。バローロの産地でもあるこの地方の豊かな食文化と人々の暮しから生まれたもので、この地方を知ることで、スローフードとは何かという答えが分かるかもしれない。

この地方は、エノトゥーリズモと呼ばれる国際的なワインと美食の観光の中心地。


ピエモンテのワインや特産物には、イタリアの地の地方とは明確に違う背景があります。


B級グルメではなく、もっと根本にあるものを評価する人々が暮らす地方です。



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2023年11月28日火曜日

セナトーレ・カッぺリのパン。

イタリアが誇る硬質小麦、セナトーレ・カッぺリの話が続いていますが、今日は、
ローマピッツァの巨匠、ガブリエレ・ボンチのイタリア各地のパンの本、『ピッツァ・ヒーロー

から、セナトーレ・カッぺリのパンのリチェッタを訳してみます。
彼はセナトーレ・カッペッリについて、シチリアの章にこう書いています。
「私のかまどには、セナトーレ・カッぺリのパンを欠かしたことがない。
シチリアはセナトーリ・カッペリの最大の産地だ。
この小麦には独特の風味がある」

セナトーレ・カッぺリは有機栽培されて石臼で挽いて粉にする。

「20世紀初めに、遺伝子学者で農民の二コラ・ストランペッリが生み出し、彼の研究に畑を提供したイタリア議会の上院議員(セナトーレ)、ラファエレ・カッペッリに捧げた硬質小麦だ」
 パーネ・ディ・セナトーレ・カッペリPane di Senatore Cappelli
材料/
セナトーレ・カッペリの小麦粉・・1㎏
水・・700ml
天然酵母・・200g
塩・・10g

・作り方は一般のパンと同様。
・材料をこねて冷蔵庫で24時間発酵させる。
・成形したら最高温で10分焼き、
・160℃に下げて1時間焼く。

ボンチの硬質小麦のパン。

ボンチの天然酵母。


セナトーレ・カッぺリの全粒粉パン。


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2023年11月27日月曜日

パスタにパン小麦は欠かせない生活をしてるけど、小麦畑ってあまり見たことないかも。

2021年3月号に続き、2021年9月号でも取り上げられた、イタリアが誇るメイド・イン・イタリーの食材、硬質小麦、セナトーレ・カッペッリ。この2回の記事をまとめると、この小麦は生物多様性の象徴で、多くの小麦の父親となった古代小麦であることが浮かび上がってきます。個性的で香りが持続し、パスタやパンになった時の味の評価がとても高くヘルシーな硬質小麦です。イタリア全国で、特に中部と南部、バジリカータを中心に約7000haで最新の方法で栽培されています。
種まきの時期は11月初めと遅い品種。穂の高さは170㎝程度に成長します。

背が高い古代小麦の穂は風などで倒れやすいため、背が低い品種が創り出されるようになります。現代の農業に合わせて品種改良された小麦が出回ると、次に起きたのが素朴で丈夫でヘルシーな小麦、古代小麦への回顧です。


背が低い品種が主流になると、小麦畑の姿も変わりました。たわわに小麦が実った小麦畑の
姿は、イタリアのイメージそのものです。


昔からのDNAが混じらないように細心の注意で有機栽培される小麦、セナトーレ・カッペッリ。

『グラディエーター』の聖地、トスカーナの小麦畑。

金色の小麦畑。


イタリアのパスタ用小麦粉は主にウクライナやロシアから輸入されていましたが、最近の国際情勢により、大手パスタメーカーが国産小麦粉に切り替えて、国産小麦粉の需要が増えています。


セナトーレ・カッペッリのパスタ。

パスタメーカーにとってセナトーレ・カッペッリのパスタはプライドの塊、パスタの最高峰。ブロンズのダイスを通して成形され、たんぱく質が多いので、時間をかけてゆっくり乾燥させます。


ムリーノ・ヴァル・ドルチャMulino Val d'Orciaの有機栽培のセナトーレ・カッペッリのピチ。


リミニのパスタメーカー、Ghigiのセナトーレ・カペッリのパスタシリーズ、“スタジョー二”


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2023年11月25日土曜日

イタリアが誇る硬質小麦、セナトーレ・カッペッリ。

今日のお題はイタリアが誇る硬質小麦、セナトーレ・カッペリです。
実は、この小麦については(CIR3月号)でも取り上げていて、イタリアでも注目度の高い、愛された誇り高い小麦であることがよくわかります。(CIR9月号)の記事の日本語訳はP.34~。

セナレート・カッぺリの歴史は、多分教科書に載るレベルで国中に広まり、みんな知っています。



セナトーレ・カッぺリは生産性が高いことから、イタリアで最も多く栽培されている古代小麦の硬質小麦。
1915年にナザレノ・ストラペッリと言う農民が小麦を選別して作りだした小麦。
普通、新しい品種には作った本人の名前を付けるのが通例ですが、セナトーレ・カッペッリという名前に、彼の痕跡はありません。セナトーレとは上院議員のこと。カッぺリ上院議員は何をした人かというと、プーリアに所有する土地を研究のために提供した人物でした。
70年代までは、イタリア国内で最も多く栽培されている硬質小麦でしたが、例によって、近代的な大規模栽培に適した品種が主流になって、栽培量が減少します。
この危機を脱するきっかけとなったのが、専門機関が確認した遺伝子検査。古代の遺伝子が100%受け継がれていたのです。他品種と交配することなく、純粋な品種として多くの他の硬質小麦の父親となったのです。
他の品種とは十分離して栽培され、 脱穀も別に行い、畑を人工衛星によって5日ごとにモニターし、最大限のトレーサビリティーと品質管理を行いながら栽培されています。肥料や殺虫剤も使わなしいので、環境への影響は最低限で持続可能。有機栽培をするには素朴な環境の維持も必要です。
しかも素朴な品種のセナトーレ・カッぺリは、高温、乾燥、大雨などの環境のストレスにあまり敏感でないので、環境に左右されにくいのです。異常気候が続く昨今では、まさに奇跡のような小麦です。
遺伝子以外にも、科学的な根拠で明らかになったのが、高度に精製していないので、微量栄養素や食物繊維を含みながら、全ての人に消化しやすい、グルテンに敏感なセリアック病の人でも典型的な症状なしで受け入れることができる、ということ。
まさに奇跡の小麦でした。

次回はセナトーレ・カッペッリの栽培について。


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山深くて険しいカラブリアのきのことチロー。

カラブリアのワインの話をしていますが、カラブリア料理って、ピンときませんよね。 有名なのはランドゥーヤとベルガモットあたり。 ディオールのお気に入り、カラブリアのベルガモット。 カラブリアは世界最大のベルガモットの産地。 沿岸部の特定の地域でのみ栽培されていて、その皮に含まれる精...