2024年7月26日金曜日

イタリア料理史上に燦然と輝く名作、アン二バーレ・カラッチのあの絵の料理は、豆のズッパじゃなくて豆のトルタのボローニャ風だとまで特定されていた。

今日のお題は下の動画で解説しているイタリア料理界の超有名な絵、一度見たら忘れられないこの絵は、アンニバーレ・カラッチというイタリアの芸術界でも有名な16世紀の画家が描いた油絵。
普通は、下の動画みたいに絵画の技巧などに目が行くのですが、イタリア料理界隈の人にとっては、この人物が何を食べているのかが最大の関心事。そうそう、この絵のタイトル“il mangiatore fi fagioliマンジャトーレ・ディ・ファジョーリ(豆を食べる人)”も、別名mangiafagioliマンジャファジョーリと呼ばれるほどメジャー。

タベルナで、帽子をかぶったまま左手でパンをつかんで慌ただしそうに料理をかきこんでいる彼は、多分農民。スプーンや前のボールにたっぷり入っているのは、豆。テーブルの上には、他にねぎ、パン、ラディッキオ、ワインが載っています。
作者のアンニバル・カラッチはボローニャの人。だから多分この絵で描かれているのはボローニャあたりの農民の姿。後に彼はローマに移って活躍します。なので現在この絵は、ローマのコロンナ絵画館にあります。
上の動画では、この料理はズッパ・ディ・ファジョーリだと説明していますが、
『クチーナ・イタリアーナ2022年3月号』の記事では、“torte d'erbe”と言っています。
torte d'erbe(葉野菜のケーキ)は主にリグーリア、トスカーナ、エミリア地方に広まった料理ですが、イタリア各地にある、地元の食材を使った質素な農民料理で、持ち運びができました。
カラバッチがボローニャ出身だったことを考えると、この料理はtorta d'erbe alla bologneseだということまで特定されています。

ルニジャーナ風トルタ・デルべ。

有名な絵でも絵画の専門家と料理の専門家では、目の付け所がここまで違うのですね。
さらにここからは、料理の専門家じゃなくてボローニャ料理の専門家の出番。
ボローニャはモルタデッラとトルテッリーニだけじゃないんですよ、という最もなお言葉と、ボローニャには中世やルネサンスのこの料理のリチェッタが多数残されていて、農民料理だけではなく、貴族の料理にもあったそうです。ただし、貴族が食べるにはあまりにも質素なこの料理。ゴージャスにするために、砂糖やスパイスという超高価なものを散らしていたそうです。油は農民はラードを使いましたが、貴族はバター。正確にはバターとシナモンです。仕上げには砂糖を散らしました。味は想像とかかなり違っていたかも・・・。ただ、ドルチェ・サラートな味は、ルネサンスの流行でした。


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