関わるものすべてを伝説にする男、ナポレオン。
映画『ナポレオン』トレーラー、監督リドリー・スコット。
日常的な食材、と言われている鶏でさえ、彼は高貴な料理に変えてしまった。
そもそも鶏は、屋外で飼育されて適度に運動している平飼いのものが一番美味しく、さらに証明書付きの自然な餌を与えたビオなものならなおよい、とされています。とうもろこしだけで育てるとデリケートな味の肉になるらしい。
そもそも野生の鶏は法律がなく、スーパーには出回らないので農家から仕入れるしかない。
美味しい鶏肉料理を出す料理人は、仕入れ先や素材の味を活かす調理方法を研究しています。
ちなみに、来月の(CIR)のサプライチェーンの記事で取り上げたのが、“鶏のカッチャトーラ”。イタリア人がカッチャトーラにどんな鶏肉を使うのか、勉強になりました。
さて、鶏のマレンゴ風が生まれたのは、1800年6月14日。
マレンゴでナポレオンがオーストリア軍に大逆転勝利して、北イタリアの大部分を奪回した日です。この勝利によって、彼は戦術の天才の称号を手に入れ、紀元前218年のハンニバル以来、アルプスを越えた将軍としてヨーロッパの歴史に燦然とその名を刻みました。
そもそもナポレオンは食事に全然興味を抱かず、時間もかけない人でした。
ナポレオンの食事。フランス語でもイタリア語でもなかったけど、気が付かなかった。世界中で研究されてる・・・。
いつも戦いの間は何も食べない。この日、一時はもうだめかとも思われたフランス軍は食料が尽きていました。やがて夕食の時間になります。朝から何も食べていないナポレオンは、さすがに食事を所望します。
そこで料理人、デュナンDunandは、地元の農場を急襲して鶏を徴収します。
そして雄鶏をさばいてサーベルでぶつ切りにし、フライパンで焼きました。さらに残っていたわずかなパンを油で揚げ、にんにく、トマト、何とか手に入ったザリガニを加えます。そして仕上げにコニャックと水を混ぜて振りかけた。こうしてできたのが鶏のマレンゴ風だ、という見てきたかのような都市伝説が伝わって、世界中に広まりました。
ナポレオンはこの料理がとても気に入り。それ以来、戦いが終わると必ずこの料理を作らせるようになります。
そこで当然ながら料理人はもっと美味しくしようと考えて、コニャックの代わりに白ワイン、ザリガニの代わりにきのこを加えてみました。
ところがナポレオンは激怒したのです。
彼はとても迷信深い人だったのです。何かを変えたら幸運が逃げると信じていたのです。
それ以来、鶏肉のマレンゴ風は絶望的な状況から重要な勝利を生むためのゲン担ぎとなりました。
この鶏肉料理にナポレオンのこんな必死の思いが込められていたなんて・・・。
鶏のマレンゴ風
ナポレオンがいない現代のシェフは、もっと自由にこの料理をアレンジしています。
例えば、アレッサンドリアで地元料理の鶏のマレンゴ風をメニューにのせているレストラン・ラ・ガッリ―ナでは、トマトの代わりにエビのみそを使い、仕上げにレモン汁入りマヨネーズ、軽いごま油を散らす。
ヴィ二ェ―ティ・マッサの双子の孫たち
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