2012年10月29日月曜日

オーブン焼きパスタ

ボローニャ風ラザーニャとナポリ風ラザーニャを比べてみると、ボローニャ風は、ベシャメル、ラグー、手打ちパスタという、ボローニャならではの名物を組み合わせた1品でした。
でも、考えてみれば、ナポリにはトマトソースとモッツァレッラと乾麺があるから、ボローニャに負けてないですよ。
で、『maccheroni』で調べてみたら、カンパーニアにはオーブン焼きのパスタがいろいろありました。
この本によると、オーブン焼きのパスタは大きな祝日のパスタで、1年で一番楽しみに、1年前から待っているご馳走なんだそうです。

オーブン焼きパスタには、いくつかのタイプがあります。

ラザーニャのように、板状のパスタとソースを交互に重ねて焼く。 (写真は本のものではありません)
Lasagna

カンネッローニ、パッケリ、コンキリオーニのような空洞のあるパタスにソースを詰めて焼く。 Conchiglioni Di Mare


↓このコンキリオーニ・リピエーニはベシャメルを使っています。
これを牛乳で伸ばしておろしたチーズを加えたリコッタにすれば、カンバーニア風。



具をパイ生地やタルト生地で包んで焼く。
PASTICCIO DI MACCHERONI IN PASTA DOLCE DOLCE DELICATA

グラタンなど、パスタをオーブン皿に詰めて焼く。
Crunchy Noodle Gratin

具をなすなどの野菜で包んで焼く。
Anelletti al forno (AWB test)

個人的に一番美味しそうだったのが、パスタのグラタン。
しかも、マカロニなどショートパスタではなく、タリオリーニをおろしチーズ、卵、牛乳、バターで和えてカップに詰めて焼く、一人前サイズのもの。
見た目も可愛くておいそう。
アレンジも色々できそう。

パスタのグラタンを探していたら、スパゲッティのピッツァなるものの写真をたくさん見つけました。

TVの料理番組でおなじみのジャーダ・デ・ラウレンティスのpizza di spaghetti

パスタのグラタンは、スパゲッツティで作るとお好み焼きになるので要注意ですね。
タリオリーニがお勧めです。


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2012年10月25日木曜日

ナポリ風ラザーニャ

イタリア人にとって、オーブンで焼くパスタは、それだけですごいご馳走。
もし、遊びに行ったお宅で、お食事に、型に入れて焼いた大きな料理が出てきたら、例え見栄えは大雑把でも、そこには、あなたへの精一杯のおもてなしの気持ちが込められています。

なすとスパゲッティのティンバッロ 。


Timballo di Melanzane e Spaghetti


ショートパスタで作る
ガットパルド(山猫)のティンバッロ。

P1050622


ナポリのサルトゥはお米。
これはすごい。

Sartu_Kif_1825



ラザーニャは、比較的こじんまりしていて、一人でもなんとか作れる。

Lasagne bolognese


スロー・フードのリチェッテ・ディ・オステリエ・ディタリアの『パスタ』には、フリウリからシチリアまで、ラザーニャだけでも18のリチェッタが載っています。
イタリアで最古のパスタの形と言われるだけありますね。
まあ四角く伸ばして長方形に切っただけですけど。
パスタに使う小麦粉も、セモリナ粉、00タイプの軟質小麦粉、0タイプの軟質小麦粉、と様々。
具も様々なんですが、意外なことに野菜が圧倒的に多い。
肉の具(ラグー)は、ボロニェーゼとナポレターナが目立ってますねえ。

ラザーニェ・ナポレターナ
 ↓
http://www.flickr.com/photos/imercola/3416331998/


ナポリとボローニャって、北と南のパスタの両雄ですね。
ラザーニャ・ボロニェーゼは、よく知られているけれど、ナポリ風ラザーニャって、どうなんでしょう。

ちなみに、ボローニャのラザーニャは、結婚式や祝日の料理ですが、ナポリのラザーニャはカーニバルの料理。
大きな違いは、ボローニャ風は、パスタをほうれん草で緑に着色。
ナポリ風は、ラグーは豚肉が主役。
さらに、ナポリ風はベシャメルが入りません。
そういえば、マルケのヴィンチスグラッシも、ベシャメルが入らないラザーニャの一種でした。

ヴィンチスグラッシ
 ↓
http://flic.kr/p/bC7H8w

ナポリ風はベシャメルの代わりに、リコッタと牛乳のモッツァレッラをはさみます。

ボローニャはラグー、パスタ、ラグー、ベシャメル、パルミジャーノと重ね、ナポリはパスタ、ラグー、リコッタと牛乳のモッツァレッラ、ポルペッティーネと重ねます。

やっぱり、地中海料理にはベシャメルより羊のチーズと糸を引くチーズですねえ。
でも、どっちもボリュームはすごそう。
ボローニャ風とナポリ風、どちらを選びますか?

ナポリ風ラザーニャ
  ↓





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2012年10月22日月曜日

エミリア=ロマーニャ料理

ウンブリウ、トスカーナときたので、次はもうすごし北に上がって、エミリア=ロマーニャ。
秋が深まるこの時期は、なんとなく、エミリア=ロマーニャ料理にぴったりの季節。

エミリア=ロマーニャの料理と言えば、リッチで陽気で肉食系、というイメージがすっかり定着しています。
グランデ・クチーナ・レジョナーレシリーズ”の『エミリア=ロマーニャ』によると、いわば、「田舎のお祭りの料理」。

20年前に初版が出版された本『スペチャリタ・ディタリア』にさえ、
「最近では、エミリア・ロマーニャ料理につきものの“グラッサ(こってりした)”という形容詞は、現代人の食生活にはそぐわなしものとして敬遠されつつある」
なんて書かれて、今ではすっかり斜陽の食文化扱い。

『地中海式ダイエット』という概念が広まると、その範疇に収まらないエミリア=ロマーニャ料理は、「地中海料理の天敵」に。

エミリア=ロマーニャ料理と言えば、その州都の名前を冠した“ラグー・アッラ・ボロニェーゼ”。

ミートソースことスパゲッティ・ボロニェーゼ。
 ↓
Spaghetti Bolognese - Michaelangelo, Aspendale Gardens



でも、伝統にこだわるエミリア=ロマーニャ料理の本には、この料理は載ってない。
伝統的には、スパゲッティじゃなく、ラザーニャかタリアッレ、しかもラザーニャなら、ほうれん草入りのラザーニェ・ヴェルデのボロニェーゼが正解。

pasticcio romagnolo

さらにこだわるなら、麺はスフォリーナの手打ち麺を使って作る!
スフォリーナはエミリア=ロマーニャ地方独特の職業で、パスタの麺打ち専門の女性職人のこと。
このブログでも何度も取り上げてますが、エミリア=ロマーニャのパスタの特徴は、ひたすらうすーく平らに伸ばすこと。

下の動画はお気に入りの一つ。
自信に満ちて若者を指導するスフォリーナが超カッコイ~!
ただ平らに伸ばすだけなのに、難しそうですね。
 ↓



どんなにインターナショナルな料理でも、その生まれ故郷でなければできないディープなリチェッタが必ずあるもんですねえ。
ラザーニャだけでなく、タリアテッレ、トルテッリーニ、カッペッレッティやガルガネッリも、全部この平らなパタから生まれます。

スフォリーナは年々減っているそうですが、ラザーニャ・ヴェルデも近頃では、それこそ、田舎のお祭りにでも行かないと、お目にかかれないかも。
ラザーニャ・ヴェルデ自体がそういう祝日やお祭りの特別な料理でもあるのですが。
実際にこの料理を作るとなると、いやーめんどくさい。

でも頑張って次回はリチェッタを訳します。




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2012年10月18日木曜日

トスカーナの休日

ウンブリアのカステッルッチョなど、モンティ・シビッリーニ国立公園のアグリトゥーリズモを紹介するPVは、手つかずの自然の美しさと、農家の素朴な暮らしをアピールするものが主流でした。
一方、トスカーナのアグリトゥーリズモは、かなり雰囲気が違います。
まず、歴史とアート、そしてノーブルな雰囲気。
農家といっても、ゴージャスでスタイリッシュな暮らしを演出。
でも、世界中の人々が、トスカーナの田舎暮らしに抱く憧れを、少しでも現実に体験してもらおうという意気込みが感じられます。
アグリトゥーリズモ間の競争も激しいんでしょうねえ。

トスカーナの田舎暮らしを一躍有名にした小説で、映画化もされた
『トスカーナの休日』

Under the Tuscan sun


これは、離婚して慰謝料を手にした傷心の女性作家が、約10日間の予定で訪れたトスカーナで伯爵家が所有する家を買って、イケメンにも出会ってなんたらかんたらというお話。
お金も名声も美貌もある女性が、歴史と伝統の国で地域に溶け込み、男からも女からも愛されるという超勝ち組の話。
そりゃまあ夢物語ですよー。
でも、ベストセラーですもんね。
これがアメリカのマダムが夢見るイタリア暮らしかあ。
家と友人と美味しい料理があれば、どんな傷心からでも立ち直れるよねー。

英語版トレイラー
 ↓
 
 
そして見せ場の1つ、ホームパーティー
 ↓


これをやりたい人は多いだろうなあ。

貴族の館を負うお金がない人は、アグリトゥーリズモに泊まりましょう。


 あなたのトスカーナのカントリーハウス。
 ↓
 
 
 
ウンブリアもトスカーナも、それぞれ魅力的。






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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“トスカーナの味AからZ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月15日月曜日

フィレンツェのホテル

今日は気分だけリッチに。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』で紹介されている3件のホテルの動画です。

まずは、フィレンツェの高級ホテルの素敵なPVで、優雅に癒されてください。
14世紀の水車小屋を改装したムリーノ・ディ・フィレンツェ。
アルノ河の畔に、こんな4つ星ホテルが隠れていたんですね。
河の畔のレストランのテラス席、超ロマンティック。





次は駅から5分のB&B、アッローロ。




最後は町の中心からはちょっと外れる3つ星のホテル・リド。
動画はこちら。
 ↓
http://www.youtube.com/watch?v=MbbxOW1DR5A



さあ、あとはお金と時間があれば、いつでも行けるぞー。


おまけの動画は、一応、トスカーナの伝統料理。
フィレンツェから離れて、マレンマ地方の農民料理、アックアコッタAcquacottaです。
キャッチーな名前の、トマトと卵入りの質素な野菜スープ。
冷蔵庫に残ってるもの全部入れたみたいな料理ですが、ビステッカを食べた胃袋を休ませるのによさそう。
野菜の切り方、イタリアと日本ではこんなに違うんですねえ。

 





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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“フィレンツェ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月10日水曜日

フィレンツェのトラットリーア、2

フィレンツェでお食事できる人がうらやましいなあ、いいなあ、と思いながら、今日もせっせとレストランガイドをのせてる自分。
私の分も食べてきてねー。

『ラ・クチーナ・イリアーナ・ヴィァッジ』で、フィレンツェの空気と伝統を伝える店、と紹介されている店から、動画のある店をいくつか。

まずはサント・スピリト地区のトラットリーア『ラ・カザリンガLa Casalinga』。
店のwebページはこちら。
 ↓
http://www.trattorialacasalinga.it/

うさぎ肉のオーブン焼きのソースのペンネが名物。



本物の素晴らしいビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを出す店として知られる『アンティコ・リストーロ・ディ・カンビall'Antico Ristoro di'Cambi』。

店のwebページはこちら。
 ↓
http://www.anticoristorodicambi.it/


肉!


店の61年に渡る歴史。
色んなドラマの舞台になったんだろうなあ。




おまけ。
ファーシーズンズホテルのブランチのランプレドット




ストリートフードのランプレドット


 






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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“フィレンツェ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月4日木曜日

フィレンツェのトラットリーア

今日はフィレンツェの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』から唐突に出版されたグルメ旅のガイド季刊誌『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィァッジ』の記事、“フィレンツェの空気と伝統を伝えるトラットリーア”として紹介されている店の中から、ビジュアルがあるものをご紹介。

まずはサン・ロレンツォの市場の老舗の有名屋台、ネルボーネNerbone。
さすがに一種の観光名所だけあって、動画は山ほどupされてます。
フィレンツェのメルカートの雰囲気に浸りながら、フィレンツェの純粋なストリートフードを食べたい人におすすめの店。
ランプレドット、トリッパ、ストラコット、リボッリータ、ペッリッチャなどが名物。

ネルボーネ
 ↓
Mercato Centrale - Nerbone



ストラコット
 ↓



次は、同じくフィレンツェの有名店チブレオのファバオ・ピッキ氏の一風変わった店、イル・テアトロ・デル・サーレIl teatro del sale。
アーティストのステージ付き。
フィレンツェの最新のトレンドを体験したければ、
 ↓
 


美味しいワインとパニーノなら、フィレンツェ最古のヴィナイノ、イ・フラテッリーニI Fratellini。
 ↓



グルメなお惣菜なら、イーノIno。
 ↓




行列のできる繁盛店なら、イル・ラティーニIl Latini。
 ↓


ああ、丈夫な胃袋が欲しい。
まだまだあるけど、今日はここまで。



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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“フィレンツェ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月1日月曜日

ノルチャの黒トリュフ

ノルチャの名物で無視できないのは、トリュフ。
今までにも散々取り上げてきましたが、この黒いダイヤモンドは、ほんと奥が深い。
黒トリュフにもいろんな種類がありますが、いわゆるノルチャの黒トリュフは、10月末から3月半ばに熟す“ネロ・プレジャート”tartufo nero pregiato di Norcia。
他に、タルトゥーフォ・ネロ・インヴェルナーレ・ディ・ノルチャというとてもまぎらわしいのや、スコルゾーネScorzoneなどがあります。
詳しくは、地元の協同組合のページで。
 ↓
http://www.tartufonerodinorcia.it/


ノルチャの美味しいもの
 ↓


トリュフを採る人のことは“タルトゥファィオtartufaio”と呼びます。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』では、「トリュフ採りは優れた料理人でなければならない」と言い切って、ノルチャのホテル・レストラン・ベニートのタルトゥファィオ、マウロ・コッチャシェフのモットーを紹介しています。
トリュフをおろす時は、「一息で、きっぱりと、たっぷりと!」
これ、激しく同意です。
トリュフをすりおろす瞬間は、その料理の山場ですもんね。
この心意気で削られたトリュフは、見た目も美しいし、食べる方は、見てるだけでアドレナリンが出まくる!
この店は、ウンブリアの山の中にありながら魚料理が名物。
でも、ノルチャの生ハムやトリュフもあります。
見事にトリュフがかかった“黒トリュフのタリオリーニ”など、料理の写真はこちら。

http://norcia.hotelbenito.it/ristorante/


カーリのリストランテ・オステリーア・ラ・ジョコンダの“サマー・トリュフのカルボナーラ”。
チンタ・セネーゼの自家製パンチェッタ使用。
きっとかなり芳ばしい一品です。
  ↓



黒トリュフのスパゲッティ。
オリーブオイルにアンチョビを溶いてトリュフを加えます。
黒はスパゲッティと相性がよさそう。






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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...