2012年12月27日木曜日

バーリ県の港町

今日はプーリアの漁師町。
まず、バーリ県のモルフェッタMolfetta。

Porto Molfetta


Molfetta (BA), 1979.


モルフェッタ
 ↓


 
名物料理は貝類(ウニ、ムール貝、牡蠣、ホタテ貝など)、生魚、ズッパ・ディ・ペッシェのチャンボッ
ciambotta。
チャンボッタは野菜版が有名ですが、プーリアには魚版もあります。


次は同じくバーリ県のポリニャーノ・ア・マーレPolignano a Mare。
洞窟が有名。
「手作りジェラートと新鮮な魚のアックア・パッツァやフリットが好きな人には外せない町、魚料理の本場」(by 『クチーナ・エ・ヴィーニ』)

Polignano a Mare


ポリニャーノ・ア・マーレ
 ↓



洞窟のホテル・レストラン・グロッタ・パラッツェーゼ。
 ↓


webページはこちら


次はモノーポリMonopoli。

Monopoli


Fresh fish in the market Monopoli 14th sept 2005


ARC Monopoli Market

モノーポリ
 ↓


この町の有名レストランはコッカーロ・ビーチ・クラブ。
webページはこちら


 
 

こちらは同クラブのスシバー。 地中海のネタはダイナミック(汗)。




いいなあ。
プーリアに遊びに行きたいなあ。


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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月20日木曜日

プーリアの地理

プーリアの話です。

プーリアの地理をざっとチェック。

自然のままの森と断崖絶壁のガルガーノ
 ↓
 
Gargano Coast from Torre Gatterella


このガルガーノ半島の付け根には、南イタリアで最も広い平野、タヴォリエーレが広がってます。
ここは別名、イタリアの穀倉地帯。
平野の大部分が広大な小麦畑です。
プーリアの農業の特徴が、大規模農業であることを思い出します。
 ↓
distesa di grano

reporting strong wind


ガルガーノもタヴォリエーレもフォッジャ県です。
タヴォリエーレが海に浸れば、こんな風景になるかも。
これはガルガーノ半島の海岸
 ↓
Mar Adriatico from Gargano Coast


ガルガーノ半島が干上がると、こんな風景になるかも。
次は、プーリア中部、タヴォリエーレ平野の南に広がる石灰岩の高原地帯、ムルジャ。
アルベロベッロやマテーラで知られる地方ですね。
 ↓
Murgia


ムルジャ地方でも、アドリア海に面した海沿いは、豊かな漁場。
こちらは、南イタリアでも最大クラスの漁獲高を誇る、町、モルフェッタ。
ムルジャと海の間には、オリーブの産地としても知られるテッラ・ディ・バーリと呼ばれる地方がはさまっています。
 ↓
MOLFETTA - Italie



さらに南に下ると、両側がイオニア海とアドリア海という、海の真ん中の半島、サレント。

salento. dolce e salato


海、石灰岩、小麦、オリーブ・・・。
魅力の尽きない州です。
次はこの中から、魚料理で有名な町をピックアップ、の予定。


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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月17日月曜日

ガルガーノ地方の料理

プーリアのガルガーノ半島の話をしていますが、偶然、次回配本の「総合解説」に、この地方の記事がありました。
それによると、この地方(=フォッジャ県)は、プーリアで一番多くの観光客が訪れる地方。
国立公園でもあります。

そしてガルガーノ料理の基本の食材は、パンなんだそうです。
そういえば、プーリアには美味しいパンがありましたよねえ。
さらに、空豆と柑橘果実。

ガルガーノの名物パンの一つ、パポッシャ。
 ↓


 こちらのページによると、このパンも、ローマのパン屋のピッツァ・ビアンカと同じで、元々は竈の温度を調べるために、台にくっついて残った生地を集めてこね直し、大型のパンを焼く前に焼いていたものなんだそうです。
大型のパンは、1個で一家族の1~2週間分なので、とても大切。
失敗は許されなかったんですね。

中を空洞にして薄いパンを焼く製法は、サルデーニャのカルタ・ダ・ムジカことパーネ・カラザウと同じですね。
パーネ・カラザウよりは厚めのようです。
見るからに芳ばしそうなパンですねえ。
生ハムやオリーブオイルとの相性もよさそう。


次は、ガルガーノ地方のヴィエステの料理を紹介する動画です。
 
 ↓


メニューは、

・アンチョビのフリットのマリネ
・ブルスケッタ・ビアンカ
・ムール貝の卵とチーズ風味
・アンチョビとかぶ
・お米とじゃがいものアッラカナーテ(ティエッラ)
・カリフラワーのオレッキエッテ
・コウイカのトゥルッコリ
・野菜のソッフリットとパンのクロストーニ
・コウイカの田舎風
・サバのフィノッキエット・セルヴァティコ風味
・なすのリピエーネ
・肉とじゃがいものアッラカナーテ
・パプリカとトマトのロースト
・玉ねぎのオーブン焼き
・トマトときゅうりのサラダ


見事な地中海料理のオンパレード。

イタリア料理は、都市の周辺の農村や漁村などで地産の旬の食材を活かした料理が作られ、それが都会に伝わって洗練された一品に徐々に姿を変えていく、というパターンが多いですよね。
特に、ローマのように、町が大都会になればなるほど、変化が大きくなります。
一方で、プーリアの料理は、ほとんど変化がなさそうですねえ。
お百姓さんの家庭料理が、今でも町中に見事なまでに普及しています。

特別でも高級でもなんでもない日常の食材を、いかに美味しく食べるか。
プーリアの人には、そういうことを工夫する才能がありそう。

まだまだ美味しそうな話はたくさんありますが、詳しくは、次号が発売してからのお楽しみと言うことで、今日はここまで。





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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月13日木曜日

ペスキチのトラブッコ

プーリア(Foggia)のトラブッコの写真いただきました。
Grazie italiamamaさん!
 
「現在は使われてはおらず、よこの漁師小屋がレストランになっていてお昼はそこで。新鮮なお魚おいしかったです。
Trabuccoの真ん中に、木で作った釣り竿の糸を巻き取る器具があってとても原始的な装置です。 こういう昔ながらの人類の知恵を大事にしてかなければいけませんね。」
by italiamamaさん。 
 




いいなあ。
さすがに、この小屋の上で食事をするのはちょっと勇気がいるかもですが、海の上で食事をしてみたいとは、誰もが思うこと。
そこで、トラブッコで食事をしているような気分になれるレストランが登場です。


プーリアで、トラブッコが残っているのは、ガルガーノ半島。
イタリアの、いわゆるくるぶしの部分ですね。
その中でも、ヴィエステからペスキチの間と、ごくごく限られた一部です。

このあたり。
美しい自然に恵まれています。
空から見るトラブッコも、絶壁の上のペスキチの姿も圧巻。
 ↓

アブルッツォに近い西の端であるペスキチには、トラブッコの有名レストランが何軒かあるようです。
その一つが、italiamamaさんも訪れた(多分くるりさんも?)、アル・トラブッコ・ダ・ミミ。
店のwebページはこちら



ちょっとショックなニュースですが、このレストランの経営者で、1920年代にアブルツッォからプーリアにトラブッコを伝えた一家の一人が、今年の5月に、トラブッコの網に絡まって溺死するという事故があったようです。

ペスキチのトラブッコは、今や町の代表的な観光スポットですが、こちらのページによると、それをアブルッツォから伝えてプーリアに建てるという画期的なアイデアを実現させたのは、オッタヴィァーノ家とファザネッラ家という2つの家族(レストランのwebページによるとバッティスタ家も関わっています)。
元は船大工の家系だった一族が、のちにレストラン業で成功した訳ですが、その陰には実業家としての個性的なアイデアがあったんですねえ。
しかも、伝える時に、トラボッコじゃなくてトラブッコと伝えたみたい。

どうやら、生きるための伝統的な食文化とはちょっと違う経緯で発展してきたようですね。
でも、イベント性抜群で、なぜか観光客を惹きつけてやまないのこの建物、三浦半島とか、ディズニーシーとかにあったら、大繁盛しそう。

この小屋のおかげで、人工4500人ほどのペスキチは、世界中から大勢の人を集めているんですねえ。
トラブッコ漁で網にかかるのは、雑魚だけじゃない。
私も釣られそうです。

とは言え、ペスキチには陸にだってレストランはあります。
次回はその話。



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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月10日月曜日

トラボッコ

今日はプーリアの話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

アブルツォのアドリア海沿いの名物と言えば、ブロデットとトラブッコ。
前にも取り上げたことがありますが、ほんとに個性的ですよね。
アブルッツォの南側の海岸線は、トラボッキ海岸costa dei Trabocchiと呼ばれます。
トラボッキ海岸のトラボッコ。
 ↓
 
 
海に突き出た掘立小屋。
先端に突き出た棒に網をかけて漁をします。
岩の上に立ってます。
石の国のイタリアでは珍しい木造の建築物です。
アレッポマツという松材でできています。
丈夫で軽い木材なんだそうです。
ちょっと高い波が来たら、一瞬で海の藻屑になりそうですよねえ。
きっと、いつも穏やかな海なんだろうなあと思いきや、なんと、この小屋は、海が荒れても漁ができるように作られたそうじゃあないですか。
嵐で揺さぶられても柔軟に耐えられるように、そして壊れても、修理が簡単なように、がっちり固定はされていません。
壊れること前提?

こちらのwebページによると、最初のトラブッコは、漁師ではなく、建築知識のある農民が作ったのだろうとのこと。
そう考えると、奇跡とまで呼ばれるテクニックを駆使した建物の割には、岸の近くに網を張って雑多な魚を獲るという、かなりコストパフォーマンスが悪そうな方法も納得。
陸が不作の時に、海からちょっとした収入やタンパク源が欲しいけど、舟持ってないから漁には行けないし・・・、的な?

トラボッコの漁はこんな感じ。
 ↓


昔はこんなに大がかりでした。

あれ、プーリアの話のはずが、アブルッツォの話になっちゃった?
いえいえ、プーリアにもトラブッコはあるんです。
次こそはプーリアの話。


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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月6日木曜日

リグーリアのチュッピン、ブリッダ

ブロデットのリチェッタを見てみたら、どうやら、この料理は、スープなのに水系を加えないのが特徴、ということが分かってきました。
でも、ほかの州のブロデットを見てみると、これが見事に水やフメット・ディ・ペッシェ、ワイン、ビネガーを加えるんですね。
どうやら、水を加えないというのは、アブルツォのこの地方のブロデット限定の特徴のようです。
水を加えない、野菜も必要最低限しか加えない、かき混ぜない。

例えば、このマルセーユのブイヤベースは、水を加えるというか、スープに魚を入れて煮ています。



ヴァストとジュリアノーヴァのブロデットが、これだけ有名なのには、やはり他とは違うという理由があるんですねー。

リグーリアにも個性的なズッパ・ディ・ペッシェがあります。
チュッピンciuppin。

煮汁を裏漉しする点や、材料のゴージャスさに、陸続きのフランスの影響が感じられますねえ。
海岸伝いに西に行くとマルセイユがあります。
 ↓


ブリッダburiddaはジェノヴァのズッパ・ディ・ペッシェ。
ストッカフィッソ(塩漬けしていない干ダラ)のブッリダが代表的ですが、魚のごった煮版もあります。

ブイヤベースとブロデットの中間のような一品。

アブルッツォの沿岸というと、トラブッコtrabuccoが有名ですが、この伝統はプーリアまで続いています。

Trabucco


と言うわけで、次回のお題は、プーリアの魚料理です。




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2012年12月3日月曜日

ブロデットのリチェッタ

それでは、ブロデットのリチェッタです。
ジュリアノーヴァ風もヴァスト風も、“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズ『ペッシェ』に載っています。
ちなみにこの本には、ほかにもグラード風(ゴリツィァ)、ペスカーラ風、テルモリ風(カンポバッソ)、セニガッリア風(アンコーナ)、サン・ベネデット・デル・トロント風(アスコリ・ピチェーノ)、キオッジャ風のブロデットのリチェッタが載ってます。

ジュリアノーヴァ風ブロデットは、ブロデットの本場マルケ州でも、特に有名なブロデット。
その特徴は、とにかく様々なアドリア海の魚を入れること。
この動画の解説には、3人前で7㎏の魚を使用、とあります。
 ↓



ジュリアノーヴァ風ブロデットBrodetto alla giuliese
ジュリアノーヴァのリストランテ・ベッカチェイのリチェッタです。
店のwebへージはこちら
ブロデットの写真はこちら


材料/4人分:
マトウダイ・・800gのもの1尾
アンコウ・・300gが2尾
ホシザメの切り身・・4枚
スカンピ・・4尾
ヒメジ・・4尾
エイの切り身・・4枚
シイラの頭・・500gが2個
コウイカ・・200gが2杯
シャコ・・8尾
エイの切り身・・4枚
小ガニ・・8匹
トマトソース・・500g
ピーマン・・1/4個
ににんく・・2かけ
イタリアンパセリ・・1房
赤唐辛子・・1片
EVオリーブオイル、塩
・魚はわたを取り除いて洗い、水気をふき取る。
・トマトは湯むきして粗く刻む。にんにくはみじん切りにする。ビーマンと唐辛子は細切りにする。イカは輪切りにする。これらを全部大きな浅鍋に入れ、油を回しかけて塩をする。かき混ぜて弱火で15分煮る。
・鍋に魚を重ならないように加える(この形のままサーブするので)。まずスカンピとアンコウを入れ、数分後に他の魚を加える。ヒメジは最後に加える。
・塩味を調えて5~6分煮る。仕上げにイタリアンパセリのみじん切りを散らす。


材料を揃えるのは大変そうだけど、漁師町だったら問題なさそう。
大体どんなブロデットも作り方は同じなので、~風というのは、言ったもん勝ちということのようですなあ。

それでは、次はヴァスト風。



ヴァスト風ブロデットBrodetto alla vastese
ヴァスト(キエーティ)のオスタリーア・デル・パヴォーネのリチェッタです。
店のwebページはこちら
材料/4人分:
魚各種(サラ、ヒメジ、シタビラメ、シイラ、エイ、ヤリイカ、シャコ)・・700g
ムール貝とアサリ・・300g
皮むきトマト・・750g
赤パプリカ・・1個
赤唐辛子・・1片
にんにく・・3かけ
イタリアンパセリ・・1房
バジリコ・・1房
EVオリーブオイル・・1カップ
・魚は掃除して洗い、水けをふき取る。
・トマトは粗く切って幅広のテラコッタの浅鍋に入れる。油、細く切ったパプリカと唐辛子、にんにくと香草も加え、魚を硬いものから順に入れる。
・塩味を調えて蓋をし、かき混ぜずに弱火で20分煮る。トースとしたパーネ・カゼレッチョを添える。


どうやら、かき混ぜないのもブロデットのポイントのようですね。
でも、ジュリアノーウァ風とヴァスト風の違いというと、貝が入るか入らないかぐらいしかない。
ヴァスト風のほうがトマトが多くて水分が多いかなあ。

ちなみに、アックアパッツァと比べてみるのも面白いかも。
なんと、作り方はほぼ同じ。
違いは、魚の量とトマトの水気ぐらいかも。
存在感のある高級魚はアックア・パッツァ、庶民的な大衆魚(雑魚?)はズッパ・ディ・ペッシェかも。
スズキのアックア・パッツァ。
 ↓




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関連記事“港のズッパ”は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年11月29日木曜日

イタリア各地の名物ズッパ・ディ・ペッシェ

魚のごった煮、ズッパ・ディ・ペッシェは、漁師が売れ残った魚を使って作る料理。
だから多分、各漁港ごとにこういう料理があるはず。
その中でも、美味しくて作りやすいものは陸の家庭にも広まり、独特の名前が付けられて、町全体の名物料理になりました。
さらに有名なものは、ブイヤベースやサルスエラのように、その国のズッパ・ディ・ペッシェの代名詞にまでなりました。

スローフード出版のリチェッテ・ディ・オステリーエ・ディタリアシリーズ『イル・ペッシェ』によると、
ズッパ・ディ・ペッシェは、アドリア海側北部ではブロデットと呼ばれていますが、プーリアなど南部と反対のティレニア海側では、グアッゼットguazzetto、またはズッパと呼ばれ、質素な魚の他に、カニやクルマエビなど、甲殻類が入るのが特徴。
一般に、グアッゼットはズッパより軽くて上品。

ホウボウのグアッゼット
 ↓
guazzetto


トスカーナの名物ズッパ・ディ・ペッシェはカッチュッコcacciucco。
リヴォルノ風とヴィァレッジョ風が知られています。
だから、カッチュッコと呼ぶだけでなく、リヴォルノ風かヴィアレッジョ風かをつけて、地元愛を強調します。
ヴィァレッジョ風カッチュッコ。
 ↓
Cacciucco alla Viareggina



リグーリアはブリッダburiddaやチュッピンciuppin。

イタリア各地の主なズッパ・ディ・ペッシェはざっとこんなところかなあ。

地中海各地のズッパ・ディ・ペッシェは、とてもよく似ています。
基本は香味野菜のソッフリットに魚と水分を加えて、煮たもの。
これに唐辛子やキノコ、トマトが入ったり、といったバリエーション。

とにかくリチェッタは、家庭ごとに違うので数が多すぎて、どこから手を付けたらいいのか。


テラスで優雅にアブルツォ風ブロデットを作るおじさま。
 ↓

フライパンがテラスに作りつけなんですねー。
バーベキューもいいけど、庭でズッパ・ディ・ペッシェもいいですねえ。
それをテラコッタの器に盛り付けて食べる。
これぞ地中海!

そういえば、ズッパ・ディ・ペッシェは、鍋ではなく、幅の広い浅鍋やフライパンで作るんですねえ。
水分はトマトぐらいしか加えないので、深い鍋は必要ない。
魚の旨みが少ない水分に凝縮されて、美味しーいブロードになります。

こちらのヴァスト風ブロデットはテラコッタの鍋で煮てますねえ。
 ↓


ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの『アブルッツォ・エ・モリーゼ』によると、アドリア海沿岸は各街に独自のブロデットがあって、中でも有名なのは、とにかく魚の種類が豊富なジュリアノーヴァ風Giulianova(アブルッツォの北の端)と、トマトと唐辛子入りのヴァストVasto風(南の端)なんだそうです。

ヴァストのスローフード主催で行われたヴァストとジュリアノーヴァのブロデットの食べ比べ。
真っ平らなお皿に盛りつけるんですねえ。





両者のリチェッタは次回に。



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関連記事“港のズッパ”は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年11月26日月曜日

ズッパ・ディ・ペッシェ


問題です。
“プサロスープ”って、なんでしょう。
ヒント、
ギリシャ語です(ピレロ)。

ヒント、
スペイン語だと“サルスエラ”(バルセロナ)。

大ヒント、
フランス語だと“ブイヤベース”(マルセーユ)。

イタリア語では、“ズッパ・ディ・ペッシェ”とか“ブロデット”とか、“ブリッダ”とか場所によって様々。



Psarosoupa

プサロスープpsarosoupa



Zarzuela

サルスエラzarzuela


Lobster Bouillabaisse Top View2

ブイヤベースbouillabaisse


Zuppa di Pesce

ズッパ・ディ・ペッシェzuppa di pesce


Brodetto

ブロデットbrodetto


ズッパ・ディ・ペッシェとブロデットはどう違うかって?
ごもっとも。
ブロデットは主にヴェネトなどアドリア海沿岸のズッパ・ディ・ペッシェの呼び方ですが、広い意味では、具だくさんで汁(ブロード)が少なめのスープのことを意味します。

魚のスープは、作る場所が重要。
港と深く結びついています。


お鍋の美味しい季節になりましたねー。



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各料理のリチェッタを含む関連記事、“港のズッパ”は、「総合解説」2011年6月号に載っています。
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2012年11月23日金曜日

ピアディーナ、クレッショーネ、ティジェッレ

テラコッタのテスト(テーリア)を手に入れて、準備が整ったら、次はピアディーナの生地作りです。

普通は小麦粉とラードですが、前回紹介したブログの主さんは(ブログはこちらのページ)、1枚分で、カムット小麦粉とスペルト小麦粉100gにEVオリーブオイル大さじ1、ぬるま湯約35㎖、塩3つまみという凝った配合。
薄いリミニタイプの場合、一般的な配合は、0タイプの軟質小麦粉400g、ラード80g、ぬるま湯150~180㎖、塩15g(5枚分)。
重層や牛乳を少量加える場合もあります。

ぬるま湯は少しずつ加えながらこねてしまった生地にし、ラップで包んで冷蔵庫で2時間休ませます。
冷蔵庫から出して30分置きます。
テストをコンロの火にかけます。
焼くときは強火でさっと焼きます。
生地を麺棒で直径20~25㎝、厚さ2~3㎜に伸ばします。
生地をテーリアにのせて数秒焼き、手かフォークで回しながら気泡をフォークで潰します。
焼き色がついたら裏返します。

作り方の詳細はこちらのページに、写真つきであります。
動画もあって、至れり尽くせり。

こちらは鉄板で焼くピアディーナ。
 ↓

 
 
同じ生地で、詰め物をのせて半分に折ってから焼くのは、クレッショーネ
クレッショーネcrescioneとはクレソンのこと。
かつてはたっぷり自生していたので詰め物の定番でしたが、今ではほとんどないので、ホウレン草やビエトラで代用します。

エルベ、トマト、モッツァレッラのクレッショーネ
 ↓


ロマーニャ版カルツォーネですね。
外見は似てても、ナポリのものとは大分違う。

最後はイースト入りのモデナのティジェッレtigelle。
 ↓



ピアディーナもティジェッレも、具を詰めると別物に変身しますねえ。


おまけの動画は、他にもたくさんある、ロマーニャ地方のストリートフード。
ラヴェンナのロ・スプンティーノという店のPVです。
こちら

生ハムをおいいしく食べるには、ハンバーガーではなく、ピアディーナのこの形と味が必要だったんですねえ。


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関連記事;リチェッタを含む“ピアディーネとクリッショーニ”の記事は「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年11月19日月曜日

モンテティッフィのテーリア

ピアディーナから激しく横道にそれましたが、今日のお題はテラコッタ。
イタリア料理では、適度に田舎風にする、ことが好まれます。
イタリア料理の場合、田舎風の反対は、都会風というより、洗練されたraffinata。
つまり、極端に洗練されたものは、食べ物の場合、冷たいとか、機械的とか感じられるんですね。
そこで、たとえばパスタだったら、全粒粉をちょっと加えて素朴さを出したり、形を崩して手作り感を出したりします。

作り手のぬくもりが伝わるという意味では、テラコッタで焼いたピアディーナは、アルミのフライパンで焼いたものより一段上。
例えば、こちらのサイトでは、テラコッタで焼いたピアディーナは味やアロマも違うと、絶賛してます。

今月は、たまたま、『ヴィエ・デル・グスト』にもテラコッタの記事がありました。
その記事によると、テラコッタの鍋は古代の最初の鍋。
その後に、青銅や鉄の鍋が登場します。
そんなに原始的な素材でも、いまだに現役なんですね。

テラコッタは像や鉢などが有名ですが、大昔から、調理にも多様されてきまた。

テラコッタの調理器具の特徴は、熱を均一にゆっくり伝えるということ。

テラコッタのガーリックロースター


欠点は、熱伝導率が高いので、強火にはかけることができない。
暖炉で使うのには最適ですが、ガスコンロの場合は急激な温度上昇に注意が必要です。
さらに、平らなものにのせると熱吸収ができない。
使う前に12時間程度水に浸け、網にのせて火にかけます。
水と洗剤では洗わず、汚れたはブラシで落とします。
しまう時は立ててやや傾けて。

割れやすいし重いしで、イタリアから持って帰る人はそういないでしょうが、一応、モンテティッフィのテラコッタでピアディーナを焼いた人がいたので、そのブログをご紹介。
こちらのページです。

この人によると、ピアディーナには、ロマーニャ風とリミニ風の2種類あるんだそうです。
ロマーニャ風のほうがリミニ風よりやや厚くて小型。

こちらのものと同じですね。
直径30センチで30ユーロ(約3000円)。
お掃除用のブラシとふすま付きです。
モンテティッフィのテラコッタは、2種類の粘土と方解石が原料。

これは多分、下の動画の人の作品です。
ろくろは使ってるけど、四角いし~。
成形の方法も素朴。
まず平らな土台を作ってから縁を作ります。
 ↓

形ができたら、2か月間毎日裏返しながら天日干し。
チーズみたいですねえ。
これを700~800度の薪の窯で8~9時間焼いて、仕上げに2日間休ませます。

テーリアは、料理に使う前に、まずふすまを入れて熱します。
茶色くなったら取り除き、そのまま冷まします。
ふすまかすは水で洗わずに、ブラシで取り除きます。

ふう、大変だあ。
まだピアディーナ作りは全然始まっていないのに、もうかなり疲れた気分です。
次こそはピアディーナを作ります。


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“ピアディーネとクレッショーニ”、“テラコッタ”の記事の解説は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年11月15日木曜日

ピアディーナ

生ハムに合いそうなパンということで、今日は、ピアディーナの話。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。

ロマーニャ地方の名物ですが、サン・ダニエーレ管理組合では、ピアディーナではなく、フェッラレーゼを選んでいますねえ。
発酵させない生地なので、パンの分類に入れなかったのかも。

My piadina sounds good.....


ピアディーナは、元々は、テーリアtegliaやテストtestoと呼ばれるテラコッタの平らな皿で焼きました。

イタリアでは、テラコッタの鍋を使う煮込み料理はたくさんありますが、テラコッタでパンを焼くって、どういうことなんでしょう。

こういうことでした。
 ↓



趣がありますねえ。
こんなのでピアディーナを焼いたら、中世のイタリアの農民にでもなった気分ですよー。
現在では、もっと扱いやすい鋳鉄のフライパンで焼きます。
 ↓




テーリアで栗も焼けます


モンテティッフィのテラコッタ
 ↓




テラコッタは、日本の暮らしになじみがありそうでないですね。
やはり地中海のもの。

うーん、ピアディーナのことを調べたかったんですが、テラコッタが気になりだしました。
予定変更です。
次回は、テラコッタについて。



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“ピアディーネとクレッショーニ”の記事は、総合解説2011年6月号に載っています。

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2012年11月12日月曜日

ピッツァリウム

前回のいちじくと生ハムのピッツァ・ビアンカ・ロマーナが美味しそう過ぎて頭から離れません。

あのピッツァを作ったのは、ガブリエーレ・ボンチという人。
TVの料理番組でかなり有名なピッツァ職人さんのようですね。
彼のピッツェリーアはローマにあります。
pizzarium(ピッツァリウム,via della Memoria,43)という店です。
地理的にはヴァチカンの奥のほうで、ヴァチカンからは歩いて行ける距離だそうです。

彼のpizza al taglio。
 ↓

揚げ物もあって、こちらのブログによると、いちじくと生ハム入りアランチーノなんかもあるそうです。

口コミはインターナショナルに広がっているようです。
 ↓
 
 


食べに行くなら、観光名所になっちゃう前に行くほうがよさそうですね。




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2012年11月8日木曜日

ピッツァ・ビアンカ・ロマーナ

サン・ダニエーレの生ハム管理組合が選んだ各州の生ハムに合うパン。
ラツィオのパンの中から選ばれたのは、ピッツァ・ビアンカ・ロマーナPizza bianca romana。

写真と記事はこちら

記事の内容は、
「ピッツェリーアで売っている普通のピッツァ・ビアンカとは違って、パン屋で焼かれるものです。
生地は小麦粉、水、塩、モルト、イースト、オリーブオイルで、とても柔らかくて弾力があり、一般に楕円形に成形します。
ピッツァ・ビアンカは、古いパン屋で、薪を使うかまどの温度を一定に保つために考え出されました。
型を使わない直焼きのもので、すぐに焼けて正確で経済的なシンプルなパンが必要だったのです。
戦後の高度成長期は、ローマも景気が良くなってオフィスがたくさんできました。
するとピッツァ・ビアンカは、手軽に食べれるストリートフードやスナックとして広まっていきました。
ピッツァ・ビアンカのリチェッタはパン屋ごとに違いましたが、甘口のハムやサラミの具が人気で、
中でも生ハムといちじくは大流行し、やがてローマの定番料理にまでなったのです」

へー、なあるほど。
かまどの温度を調節するためのパンだったのかあ。
それじゃあ、定番のレシピなんてないですね。

ピッツァ・ビアンカ(白いピッツァ)とは、トマトソースを塗る赤いピッツァ・ロッサに対して、トマトソースを塗らないからこう呼ばれるのだろうということは想像つきますよね。
でも、塗らないのではなく、塗る必要がないパンだったんですね。
しかも、プレーンな味で薄いから、具を挟んで食べるほうに進化したんですね。
ローマの人には相変わらずの人気のようです。

生ハムといちじくのピッツァ・ビアンカ
そうか、完熟いちじくをパンに“塗る”んですね!
しかも最初から重ねて焼くのかあ。
超美味しそう。
 ↓





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2012年11月5日月曜日

ミッコーネ・パヴェーゼ

サン・ダニエーレ管理組合が選んだイタリア各州の生ハムに合うパンのリストを見ながら(こちらのページ)、ライ麦パンからグリッシーニまで、ほんとにイタリアには色んなパンがあるなあ、食文化がバラティーに富んでるなあと関心してました。
ライ麦パン、グリッシーニ、サンドイッチ用食パン、カイザーロール、フォカッチャ、コッピア・フェッラレーゼ、トスカーナのパーネ・シャーポ、ローマのピッツァ・ビアンカ、パーネ・カゼレッチョ、バゲット、パーネ・ディ・マテーラ、サルデーニャのパーネ・スピアナータ・・・
けど、ふと気が付きました。

これってつまり、生ハムはどんなパンにも合うってことじゃん?


Prosciutto San Daniele

PROSCIUTTO

I'm a pomodoro

Dave's Fresh Pasta Panini


すでに取り上げたことのあるパンも多いのですが、今日は、多分まだだと思う、ロンバルディアのミッコーネ・パヴェーゼmiccone pavese。
パヴィアで作られている軟質小麦粉、天然酵母、水、塩のパンですが、変わった形に成形します。


このパンは、以前紹介したフェッラレーゼと同じ“パスタ・ドゥーラ”の一種です。
つまり、水分の少ないパンなので、地元、オルトレポー・パヴェーゼ地方のような湿度の高い地域でも、日持ちがします。
なーるほど、ポー河流域でパスタ・ドゥーラのような乾燥したパンが作られているのには、湿度の高い独特の気候も関係していたんですねえ。
この地域はパルマの生ハムの産地でもあるし。
このパンは、甘口のサルーミと相性が良いそうです。

ミッコーネの成形過程12345


パスタ・ドゥーラのパン
 ↓



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2012年11月3日土曜日

サン・ダニエーレの生ハムとパン

最近では、イタリア産の生ハムを日本で食べる機会も増えました。
パルマの生ハムはメジャーだと思うんですが、サン・ダニエーレの生ハムは、どうでょう。
知名度は今一つかな。

今日は、サン・ダニエーレの生ハムにまつわる話。

2011年は、イタリア統一150周年で、サン・ダニエーレの生ハム管理組合誕生50周年でした。
そこで、管理組合は、ある企画を立てました。
イタリアは各地の個性的な食文化の集合体だ。
そこて、サン・ダニエーレの生ハムに一番合う、地方のパンはどれか、考えてみようじゃないか。

そして各州のパンで、もっともサン・ダニエーレの生ハムとあうパンを1個ずつピックアップしたのです。
その結果はこちらのページでどうぞ。

consorzio prosciutto di san daniel

ピエモンテはトリノのグリッシーニ、ロンバルディアはミコーネ、リグーリアはジェノヴァのフォカッチャなど、有名どころが並ぶ中で、マルケのパーネ・デル・ドゥーカ、シチリアのパーネ・ネロ・ディ・カステルヴェトラーノ、カラブリアのパーネ・ディ・チェルキアーラ・ディ・カラブリアなど、耳慣れないパンもあって、なかなか面白いラインナップです。

サン・ダニエーレと同じ、フリウリ・ヴェネチア・ジューリアのパンは、
ロゼッタ・トリエスティーナ
カイザーロールだそうですよ。
これなら日本でも手に入りますねえ。
あっ、パンはあってもサン・ダニエーレの生ハムがないか。
まあ、もし生ハムが手に入ったら、せっかくだから、カイザーロールも添えてみてください。
管理組合のこちらのページによると、
なんでも、トリエステには昔から、パンを作って路上で売る女性たちがいて、そのパンがおいしいと評判になって、ウイーンの宮廷に招かれて、宮廷のパン職人に作り方を教えたりするほどだったそうです。
その一つが、トリエステのオーストリア・ハンガリー帝国時代の遺産、ロゼッタ・トリエスティーナ。
ロゼッタというのはカイザーの別名で、5つのセクションに分かれたバラの花のような形をしていることろからこう呼ばれます。
皇帝という意味の“カイザー”という名前は、かては白いパンは貴族だけが口にできる食べ物だったことにちなんでいるそうです。

サン・ダニエーレの生ハム
 ↓

そういえば、生ハムは順調に海外への輸出量を増やしているようですが、特徴的なのが、スライス済みのものが売れているいうこと。
これは、実は、イタリアの伝統的な生ハムの売り方ではないんですねえ。
イタリアでは、プロが注文の量だけカットして売るので、メーカーは、ブロックで売買します。
こんな形で生ハムを売る店が主流になったら、生ハムか本当に日本にも根付いた証拠ですね。

パルマの生ハムは、販売方法も伝授しています。
切り方だけでなく、パルマの気候風土からしっかりPR。
 ↓






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2012年10月29日月曜日

オーブン焼きパスタ

ボローニャ風ラザーニャとナポリ風ラザーニャを比べてみると、ボローニャ風は、ベシャメル、ラグー、手打ちパスタという、ボローニャならではの名物を組み合わせた1品でした。
でも、考えてみれば、ナポリにはトマトソースとモッツァレッラと乾麺があるから、ボローニャに負けてないですよ。
で、『maccheroni』で調べてみたら、カンパーニアにはオーブン焼きのパスタがいろいろありました。
この本によると、オーブン焼きのパスタは大きな祝日のパスタで、1年で一番楽しみに、1年前から待っているご馳走なんだそうです。

オーブン焼きパスタには、いくつかのタイプがあります。

ラザーニャのように、板状のパスタとソースを交互に重ねて焼く。 (写真は本のものではありません)
Lasagna

カンネッローニ、パッケリ、コンキリオーニのような空洞のあるパタスにソースを詰めて焼く。 Conchiglioni Di Mare


↓このコンキリオーニ・リピエーニはベシャメルを使っています。
これを牛乳で伸ばしておろしたチーズを加えたリコッタにすれば、カンバーニア風。



具をパイ生地やタルト生地で包んで焼く。
PASTICCIO DI MACCHERONI IN PASTA DOLCE DOLCE DELICATA

グラタンなど、パスタをオーブン皿に詰めて焼く。
Crunchy Noodle Gratin

具をなすなどの野菜で包んで焼く。
Anelletti al forno (AWB test)

個人的に一番美味しそうだったのが、パスタのグラタン。
しかも、マカロニなどショートパスタではなく、タリオリーニをおろしチーズ、卵、牛乳、バターで和えてカップに詰めて焼く、一人前サイズのもの。
見た目も可愛くておいそう。
アレンジも色々できそう。

パスタのグラタンを探していたら、スパゲッティのピッツァなるものの写真をたくさん見つけました。

TVの料理番組でおなじみのジャーダ・デ・ラウレンティスのpizza di spaghetti

パスタのグラタンは、スパゲッツティで作るとお好み焼きになるので要注意ですね。
タリオリーニがお勧めです。


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2012年10月25日木曜日

ナポリ風ラザーニャ

イタリア人にとって、オーブンで焼くパスタは、それだけですごいご馳走。
もし、遊びに行ったお宅で、お食事に、型に入れて焼いた大きな料理が出てきたら、例え見栄えは大雑把でも、そこには、あなたへの精一杯のおもてなしの気持ちが込められています。

なすとスパゲッティのティンバッロ 。


Timballo di Melanzane e Spaghetti


ショートパスタで作る
ガットパルド(山猫)のティンバッロ。

P1050622


ナポリのサルトゥはお米。
これはすごい。

Sartu_Kif_1825



ラザーニャは、比較的こじんまりしていて、一人でもなんとか作れる。

Lasagne bolognese


スロー・フードのリチェッテ・ディ・オステリエ・ディタリアの『パスタ』には、フリウリからシチリアまで、ラザーニャだけでも18のリチェッタが載っています。
イタリアで最古のパスタの形と言われるだけありますね。
まあ四角く伸ばして長方形に切っただけですけど。
パスタに使う小麦粉も、セモリナ粉、00タイプの軟質小麦粉、0タイプの軟質小麦粉、と様々。
具も様々なんですが、意外なことに野菜が圧倒的に多い。
肉の具(ラグー)は、ボロニェーゼとナポレターナが目立ってますねえ。

ラザーニェ・ナポレターナ
 ↓
http://www.flickr.com/photos/imercola/3416331998/


ナポリとボローニャって、北と南のパスタの両雄ですね。
ラザーニャ・ボロニェーゼは、よく知られているけれど、ナポリ風ラザーニャって、どうなんでしょう。

ちなみに、ボローニャのラザーニャは、結婚式や祝日の料理ですが、ナポリのラザーニャはカーニバルの料理。
大きな違いは、ボローニャ風は、パスタをほうれん草で緑に着色。
ナポリ風は、ラグーは豚肉が主役。
さらに、ナポリ風はベシャメルが入りません。
そういえば、マルケのヴィンチスグラッシも、ベシャメルが入らないラザーニャの一種でした。

ヴィンチスグラッシ
 ↓
http://flic.kr/p/bC7H8w

ナポリ風はベシャメルの代わりに、リコッタと牛乳のモッツァレッラをはさみます。

ボローニャはラグー、パスタ、ラグー、ベシャメル、パルミジャーノと重ね、ナポリはパスタ、ラグー、リコッタと牛乳のモッツァレッラ、ポルペッティーネと重ねます。

やっぱり、地中海料理にはベシャメルより羊のチーズと糸を引くチーズですねえ。
でも、どっちもボリュームはすごそう。
ボローニャ風とナポリ風、どちらを選びますか?

ナポリ風ラザーニャ
  ↓





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2012年10月22日月曜日

エミリア=ロマーニャ料理

ウンブリウ、トスカーナときたので、次はもうすごし北に上がって、エミリア=ロマーニャ。
秋が深まるこの時期は、なんとなく、エミリア=ロマーニャ料理にぴったりの季節。

エミリア=ロマーニャの料理と言えば、リッチで陽気で肉食系、というイメージがすっかり定着しています。
グランデ・クチーナ・レジョナーレシリーズ”の『エミリア=ロマーニャ』によると、いわば、「田舎のお祭りの料理」。

20年前に初版が出版された本『スペチャリタ・ディタリア』にさえ、
「最近では、エミリア・ロマーニャ料理につきものの“グラッサ(こってりした)”という形容詞は、現代人の食生活にはそぐわなしものとして敬遠されつつある」
なんて書かれて、今ではすっかり斜陽の食文化扱い。

『地中海式ダイエット』という概念が広まると、その範疇に収まらないエミリア=ロマーニャ料理は、「地中海料理の天敵」に。

エミリア=ロマーニャ料理と言えば、その州都の名前を冠した“ラグー・アッラ・ボロニェーゼ”。

ミートソースことスパゲッティ・ボロニェーゼ。
 ↓
Spaghetti Bolognese - Michaelangelo, Aspendale Gardens



でも、伝統にこだわるエミリア=ロマーニャ料理の本には、この料理は載ってない。
伝統的には、スパゲッティじゃなく、ラザーニャかタリアッレ、しかもラザーニャなら、ほうれん草入りのラザーニェ・ヴェルデのボロニェーゼが正解。

pasticcio romagnolo

さらにこだわるなら、麺はスフォリーナの手打ち麺を使って作る!
スフォリーナはエミリア=ロマーニャ地方独特の職業で、パスタの麺打ち専門の女性職人のこと。
このブログでも何度も取り上げてますが、エミリア=ロマーニャのパスタの特徴は、ひたすらうすーく平らに伸ばすこと。

下の動画はお気に入りの一つ。
自信に満ちて若者を指導するスフォリーナが超カッコイ~!
ただ平らに伸ばすだけなのに、難しそうですね。
 ↓



どんなにインターナショナルな料理でも、その生まれ故郷でなければできないディープなリチェッタが必ずあるもんですねえ。
ラザーニャだけでなく、タリアテッレ、トルテッリーニ、カッペッレッティやガルガネッリも、全部この平らなパタから生まれます。

スフォリーナは年々減っているそうですが、ラザーニャ・ヴェルデも近頃では、それこそ、田舎のお祭りにでも行かないと、お目にかかれないかも。
ラザーニャ・ヴェルデ自体がそういう祝日やお祭りの特別な料理でもあるのですが。
実際にこの料理を作るとなると、いやーめんどくさい。

でも頑張って次回はリチェッタを訳します。




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2012年10月18日木曜日

トスカーナの休日

ウンブリアのカステッルッチョなど、モンティ・シビッリーニ国立公園のアグリトゥーリズモを紹介するPVは、手つかずの自然の美しさと、農家の素朴な暮らしをアピールするものが主流でした。
一方、トスカーナのアグリトゥーリズモは、かなり雰囲気が違います。
まず、歴史とアート、そしてノーブルな雰囲気。
農家といっても、ゴージャスでスタイリッシュな暮らしを演出。
でも、世界中の人々が、トスカーナの田舎暮らしに抱く憧れを、少しでも現実に体験してもらおうという意気込みが感じられます。
アグリトゥーリズモ間の競争も激しいんでしょうねえ。

トスカーナの田舎暮らしを一躍有名にした小説で、映画化もされた
『トスカーナの休日』

Under the Tuscan sun


これは、離婚して慰謝料を手にした傷心の女性作家が、約10日間の予定で訪れたトスカーナで伯爵家が所有する家を買って、イケメンにも出会ってなんたらかんたらというお話。
お金も名声も美貌もある女性が、歴史と伝統の国で地域に溶け込み、男からも女からも愛されるという超勝ち組の話。
そりゃまあ夢物語ですよー。
でも、ベストセラーですもんね。
これがアメリカのマダムが夢見るイタリア暮らしかあ。
家と友人と美味しい料理があれば、どんな傷心からでも立ち直れるよねー。

英語版トレイラー
 ↓
 
 
そして見せ場の1つ、ホームパーティー
 ↓


これをやりたい人は多いだろうなあ。

貴族の館を負うお金がない人は、アグリトゥーリズモに泊まりましょう。


 あなたのトスカーナのカントリーハウス。
 ↓
 
 
 
ウンブリアもトスカーナも、それぞれ魅力的。






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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“トスカーナの味AからZ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月15日月曜日

フィレンツェのホテル

今日は気分だけリッチに。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』で紹介されている3件のホテルの動画です。

まずは、フィレンツェの高級ホテルの素敵なPVで、優雅に癒されてください。
14世紀の水車小屋を改装したムリーノ・ディ・フィレンツェ。
アルノ河の畔に、こんな4つ星ホテルが隠れていたんですね。
河の畔のレストランのテラス席、超ロマンティック。





次は駅から5分のB&B、アッローロ。




最後は町の中心からはちょっと外れる3つ星のホテル・リド。
動画はこちら。
 ↓
http://www.youtube.com/watch?v=MbbxOW1DR5A



さあ、あとはお金と時間があれば、いつでも行けるぞー。


おまけの動画は、一応、トスカーナの伝統料理。
フィレンツェから離れて、マレンマ地方の農民料理、アックアコッタAcquacottaです。
キャッチーな名前の、トマトと卵入りの質素な野菜スープ。
冷蔵庫に残ってるもの全部入れたみたいな料理ですが、ビステッカを食べた胃袋を休ませるのによさそう。
野菜の切り方、イタリアと日本ではこんなに違うんですねえ。

 





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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“フィレンツェ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月10日水曜日

フィレンツェのトラットリーア、2

フィレンツェでお食事できる人がうらやましいなあ、いいなあ、と思いながら、今日もせっせとレストランガイドをのせてる自分。
私の分も食べてきてねー。

『ラ・クチーナ・イリアーナ・ヴィァッジ』で、フィレンツェの空気と伝統を伝える店、と紹介されている店から、動画のある店をいくつか。

まずはサント・スピリト地区のトラットリーア『ラ・カザリンガLa Casalinga』。
店のwebページはこちら。
 ↓
http://www.trattorialacasalinga.it/

うさぎ肉のオーブン焼きのソースのペンネが名物。



本物の素晴らしいビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを出す店として知られる『アンティコ・リストーロ・ディ・カンビall'Antico Ristoro di'Cambi』。

店のwebページはこちら。
 ↓
http://www.anticoristorodicambi.it/


肉!


店の61年に渡る歴史。
色んなドラマの舞台になったんだろうなあ。




おまけ。
ファーシーズンズホテルのブランチのランプレドット




ストリートフードのランプレドット


 






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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“フィレンツェ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月4日木曜日

フィレンツェのトラットリーア

今日はフィレンツェの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』から唐突に出版されたグルメ旅のガイド季刊誌『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィァッジ』の記事、“フィレンツェの空気と伝統を伝えるトラットリーア”として紹介されている店の中から、ビジュアルがあるものをご紹介。

まずはサン・ロレンツォの市場の老舗の有名屋台、ネルボーネNerbone。
さすがに一種の観光名所だけあって、動画は山ほどupされてます。
フィレンツェのメルカートの雰囲気に浸りながら、フィレンツェの純粋なストリートフードを食べたい人におすすめの店。
ランプレドット、トリッパ、ストラコット、リボッリータ、ペッリッチャなどが名物。

ネルボーネ
 ↓
Mercato Centrale - Nerbone



ストラコット
 ↓



次は、同じくフィレンツェの有名店チブレオのファバオ・ピッキ氏の一風変わった店、イル・テアトロ・デル・サーレIl teatro del sale。
アーティストのステージ付き。
フィレンツェの最新のトレンドを体験したければ、
 ↓
 


美味しいワインとパニーノなら、フィレンツェ最古のヴィナイノ、イ・フラテッリーニI Fratellini。
 ↓



グルメなお惣菜なら、イーノIno。
 ↓




行列のできる繁盛店なら、イル・ラティーニIl Latini。
 ↓


ああ、丈夫な胃袋が欲しい。
まだまだあるけど、今日はここまで。



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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ・ヴィアッジ』、“フィレンツェ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年10月1日月曜日

ノルチャの黒トリュフ

ノルチャの名物で無視できないのは、トリュフ。
今までにも散々取り上げてきましたが、この黒いダイヤモンドは、ほんと奥が深い。
黒トリュフにもいろんな種類がありますが、いわゆるノルチャの黒トリュフは、10月末から3月半ばに熟す“ネロ・プレジャート”tartufo nero pregiato di Norcia。
他に、タルトゥーフォ・ネロ・インヴェルナーレ・ディ・ノルチャというとてもまぎらわしいのや、スコルゾーネScorzoneなどがあります。
詳しくは、地元の協同組合のページで。
 ↓
http://www.tartufonerodinorcia.it/


ノルチャの美味しいもの
 ↓


トリュフを採る人のことは“タルトゥファィオtartufaio”と呼びます。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』では、「トリュフ採りは優れた料理人でなければならない」と言い切って、ノルチャのホテル・レストラン・ベニートのタルトゥファィオ、マウロ・コッチャシェフのモットーを紹介しています。
トリュフをおろす時は、「一息で、きっぱりと、たっぷりと!」
これ、激しく同意です。
トリュフをすりおろす瞬間は、その料理の山場ですもんね。
この心意気で削られたトリュフは、見た目も美しいし、食べる方は、見てるだけでアドレナリンが出まくる!
この店は、ウンブリアの山の中にありながら魚料理が名物。
でも、ノルチャの生ハムやトリュフもあります。
見事にトリュフがかかった“黒トリュフのタリオリーニ”など、料理の写真はこちら。

http://norcia.hotelbenito.it/ristorante/


カーリのリストランテ・オステリーア・ラ・ジョコンダの“サマー・トリュフのカルボナーラ”。
チンタ・セネーゼの自家製パンチェッタ使用。
きっとかなり芳ばしい一品です。
  ↓



黒トリュフのスパゲッティ。
オリーブオイルにアンチョビを溶いてトリュフを加えます。
黒はスパゲッティと相性がよさそう。






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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年9月28日金曜日

モンティ・シビッリーニ、ノルチャ

イタリアで一番上等のレンズ豆の産地と言われるカステッルッチョは、プーリア州のノルチャ県にあります。 (あちゃー、失礼しました、ウンブリア州でした。Graie 太谷さん)
ノルチャは、豚肉の加工品とトリュフで有名ですよね。
モンティ・シビッリーニ国立公園の一角なので、豊かな自然にも恵まれた地方です。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で紹介しているアグリトゥーリズモ、La VAlle del Sambucoは、利用者の評判も上々で、また行きたいという声がたくさん上がっています。
例えばこちら
 ↓
http://www.agriturismodinorcia.it/agriturismo_a_norcia/agriturismo_di_norcia.php

特に、朝食のビュッフェの自家製ジャムのクロスタータが美味しいと人気。
サンブーコのジャムも好評ですねえ。
記事によると、ここでは、豚を飼育して、レンズ豆を栽培し、2匹のトリュフ犬と一緒にトリュフ採りをするとかで、この地方の美味しいものがいっぺんに味わえそうじゃないですか。
犬の訓練に同行できるってのも楽しそうですねえ。


別のアグリトゥーリズモの紹介動画ですが、ノルチャのアグリトゥーリズモの雰囲気が伝われば・・・。
 ↓

ノルチャ。
 ↓


カステッルッチョ
 ↓



イタリアにもある、静かで穏やかな地方。

モンティ・シビッリーニ国立公園
 ↓


モンティ・シビッリーニは、“リトル・チベット”と呼ばれていますが、そう名付けたのは、フォスコ・マライーニという有名な登山家で、民族学者、東洋学者、作家、写真家、詩人という多才な人物。
実はこの人、第二次大戦の頃、北海道大学でアイヌ民族の研究をしていたことがあるらい。
彼の話は、こちらのページに詳しいです。
 ↓
 http://aach.ees.hokudai.ac.jp/xc/modules/Center/Review/trance2/Maraini.html


フォスコ・マライーニ
 ↓


こんなに日本を愛したイタリア人の山男が、いたんですね。
知らなかった。



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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、カステッルッチョのレンズマメを含む“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年9月24日月曜日

レンズ豆のリチェッタ

レンズ豆の話、続けます。

インドとイタリアの融合
レンズ豆カレーとスパイシーフォカッチャ
 ↓
ispirazione indiana


レンズ豆は、見た目も味も地味なので、いきおい、この豆を評価するには、その栄養価を讃える、というのが手っ取り早い方法。
肉に匹敵するタンパク質とビタミンの供給源として大昔から多くの国で栽培されていたし、植物繊維やミネラルも豊富で脂肪は少ない。
加熱しないと食べることはできませんが、長期間保存ができます。

あれ、栄養価も意外と地味だなあ。

となると、あとは奥の手、レンズ豆を新年に食べれば、小金がたまる!
このブログでも何度も取り上げてます。 レンズ豆とコテキーノ。
  ↓
Cotechino e lenticchie


年末年始のイタリア料理に、縁起物のレンズ豆は欠かせませんから、コテキーノは無理でも、レンズ豆は一年に一度くらいは食べてますよね?

それでは、カステッルッチョのレンズ豆IGPのサイトで紹介されている地元の典型的なリチェッタを訳してみます。
原文はこちら。
 ↓
http://www.lenticchiaigpcastelluccio.it/la_lenticchia/

材料/4人分: カステッルッチョ・ディ・ノルチャのレンズ豆ー・・400g
水・・1リットル
セロリ・・1本
にんにく・・1かけ
塩、こしょう
・豆を鍋(できれば陶器の鍋)に入れ、水、セロリ、にんにくを加えて40分煮る。
・仕上げに塩とパンのクロスティーニ(トーストしてにんにくをこすりつけて油をかける)を加える。


あら、超簡単。
ちなみにここで登場するセロリですが、私も偶然最近知ったのですが(Grazie ミホコセンセ)、ウンブリアの伝統料理でセロリという場合は、“セダノ・ネロsedano nero”(黒セロリ)を意味する場合があります。

こんなセロリ

http://www.flickr.com/photos/treviturismo/3749064460/

特に黒くもないごく普通のセロリようですが、『Spedialita d'Italia』によると、このセロリは18世紀半ばから、主にトレーヴィで栽培されていました。
第二次大戦までは、週末の市場にはどこでも見られたそうですが、戦後、アメリカ品種のセロリが大量に輸入されるようになって、姿を消してしまったそうです。
でも、トレーヴィでは今でも昔ながらの方法でこのセロリを栽培しているそうす。
セダノ・ネロの特徴は、香りが強く、硬い筋がなく、葉や軸が長く、その色がやや濃いこと。
このセロリを使った料理と普通のセロリを使った料理では、出来上がりが違うそうですよ。


この基本のリチッタに、さらに玉ねぎ、にんじん、じゃがいもなどの野菜を加えて裏漉しすれば、レンズ豆のクリームスープになります。
もっとボリュームのある一品、レンズ豆とサルシッチャLenticchie con salsicceなら、
グアンチャーレをバターで炒めたところに玉ねぎとセロリを加えてソッフリットにし、豆、トマトのパッサータ、ブロード・ディ・カルネを加えて煮込み、塩、こしょうで調味したら焼いたサルシッチャを加えます。
サルシッチャの代わりにショートパスタを加えれば、パスタ・エ・レンティッキエpasta e lenticchie。
スプーンで食べるミネストラ。
パスタ・エ・ファジョーリのバリエーションですね。
見た目は絶望的に田舎風。
でも、運が良ければスープがびっくりするほど美味しかったりする。
 ↓








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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、カステッルッチョのレンズマメを含む“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年9月20日木曜日

カステッルッチョのレンズ豆

今日はカステッルッチョの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。

カステッルッチョはウンブリアのノルチャというコムーネの、標高1400mの山の上の小さな集落。
wiki によると、2001年の人口はわずか150人だとか。

ウンブリアとマルケの州境にあって、ウンブリアの屋根と呼ばれる小さな町ですが、ここは、料理の世界ではイタリアで一番上質の緑のレンズ豆の産地として広く知られています。
なぜかイタリアでは大絶賛されているんですよね。
もちろん、ウンブリアを代表する特産品です。

モンティ・シビッリーニ国立公園にも含まれていて、高原に様々な色の花が咲き乱れる季節には、富良野を思い起こさせるような美しさ。

これはカステッルッチョのwebcam。
背後に見える山は2476mのモンテ・ヴェットレ。
 ↓
http://www.umbriameteo.com/webcam/castelluccio/



これは7月の風景
  ↓
 
 
 
この中に、レンズ豆の花もあるんでしょうか。
そもそも、レンズ豆の花って何色?いつ咲くの?

カステッルッチョは山の上だけあって、3月まで雪が残っているそうです。
雪が溶けたらすぐに畑を耕して種をまき、5月頃、高原は最初の開花期を迎えます。
そしてレンズ豆の花が咲くのは6月。
さらに1か月もたつと上の動画のような一面のお花畑になるんですねえ。
レンズ豆はもう収穫期です。

そしてこれがレンズ豆の畑。
 ↓
tappeti naturali


まばゆい黄金色ですね。
花畑の色は、季節によって刻々と変化します。
その景色に魅せられて、一年中高原の写真を撮っている人もいます。
花畑の一年
 ↓
http://www.castellucciodinorcia.eu/foto.php?cdalbum=Fioritura 2012
美しいですねえ・・・。
ちなみに赤いのはポピー、紫はビオラなど。

レンズ豆は収穫後乾燥させて8月に脱穀。
そして9月に共同組合から出荷されます。
カステッルッチョのレンズ豆はIGP製品。

カステッルッチョのレンズ豆は小粒でデリケートな味が特徴。
皮が薄いので戻す必要がありません。
これだけ標高が高いと虫もつかないので薬品を使う必要がなく、安全。

豆になると、地味な色彩に・・・。
  ↓
...coltivava un gusto particolare per i piccoli piaceri...




残念ながら生産量は決して多くないので、手に入りにくいレンズ豆ですが、次回は料理の話などを。




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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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