2021年2月28日日曜日

カラブリアのレストランの最高峰、アリア。

カラブリアは質素で素朴な点ばかりが目立ちますが、今日はレストランガイドではのきなみ、カラブリアの最高峰、と評価されている店を紹介します。
洗練された雰囲気で、クリエイティブでありながら家族と地元の伝統に基づいた料理を味わうことができる店です。
料理のベースにあるのはシェフの母親ルチアの、地産地消の食材を使った季節を感じる料理。



コゼンツァ県のポッリーノ地方↓のカストロビラリいう村にあります。

店はリストランテ・ロカンダ・ディ・アリア。
店のwebページはこちら

ホームページにディチェコのマークがあったので、ディチェコの乾麺のパスタの地方料理の本、パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア

を見てみたら、カラブリアの料理はロカンダ・ディ・アリアのパスタでした。
リチェッタを訳してみる。スピリンガのンドゥーヤとペコリーノのラグーのカンデーレ・スペッツァーティCandele spezzate on ragu di nduja di Spilinga e pecorino
材料/4人分
カンデーレ・・400g
アグロ・サルネーゼ・ノチェリーノのサン・マルツァーノトマト・・600g
EVオリーブオイル・・大さじ4
にんにく・・1かけ
バジリコ、イタリアンパセリ
緑のピーマン・・小2個
クロトーネのペコリーノ・・40g
ンドゥーヤ・・80g、塩

・ソテーパンに油、皮をむいて角切りにしたトマト、にんにく、小片に切ったピーマン、バジリコ、塩少々を入れて15分熱し、ンドゥーヤを加えて3分熱する。
・パスタをゆでてソテーパンに加え、なじませる。
・皿に盛り付けて薄く削ったペコリーノとイタリアンパセリを散らしてサーブする。
スピリンガのンドゥーヤ↓

ランドゥーヤはドゥージャと呼ぶ人もいます。豚肉と脂身のクリームタイプの腸詰めで、唐辛子風味。唐辛子は最高30%で、激辛にはしません。ランドゥイヤのパスタは人生で少なくとも2回は食べるべきだと言ってます。腸詰め後約2ヶ月熟成させます。

ペコリーノ・クロトネーゼ↓


ディチェコのマークの横にはレ・ソステのマークもありました。
レ・ソステはマルケージシェフが中心になって結成したイタリア料理の価値を世界的に広めることを目的にした団体。
メンバーはその目的にふさわしい一流シェフばかりです。

アリアのガエタノ・アリアシェフもソステのメンバー。




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グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ
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2021年2月27日土曜日

カラブリアの不思議な柑橘類、チェードロ。聖書にあるために、ラビは毎年カラブリアのチェードロを1個1個探して一番美しい果実を探す。チェードロの一番の得意客はユダヤ教徒だって。

きのうは偶然出会ったカラブリア料理を紹介しましたが、カラブリア料理は今月の「総合解説」(P.16)でも取り上げていました。
地方料理書の傑作、


によると、きのうのカラブリア料理の“ストロンカトゥーラstroncaura”は、貧しさの中で美味しい料理を作り出すことに成功した例だそうで、製粉作業のときに出たカスから作ったリングイーネに似たパスタで、手で折って使うので、砕くという意味があるスロンカトゥーラという名前になったそうです。ジョイア平野より北ではあまり見かけない料理だそうですが、パスタはリングイーネで代用できます。
ジョイア平野↓


この本で、イワシのストロンカトゥーラを披露しているのは、リストランテ・デ・グスティブスRistorante De Gustibusのマウリツィオ・シャローネシェフ。
店のwebページはこちら
シェフは20軒ほどのレストランのグループを作り、カラブリアの伝統や食材にこだわった料理を出しています。失われかけたストロンカトゥーラの復活にも積極的に取り組みました。

今月の「総合解説」のカラブリア料理は、地味で素朴すぎて、紹介するかどうか迷いました。
まずはチェードロの皮のアル・ジェーロ。

チェードロはカラブリアが誇る食材だけど、なぜかマイナー。イタリアの食材辞典、

には、シチリアとカラブリアの限られた地域でのみ栽培されているミカン科の植物、とあります。果汁はアクがあって酸っぱく、食用ではなく、チェドラータ↓などに加工します。


最も重要なのは厚くて柔らかくて甘い皮で、ジャムやカンディートにします。
皮から取れる精油はリキュールや香料にします。
世界的に上質と認められているのはリッシャ・ディ・ディアマンテという品種で、リビエラ・デイ・チェードリという地域の沿岸部で栽培されています。

チェードロ・リッシャ・ディ・ディアマンテは、主にSukkothという出エジプトを祝うユダヤの祭りに使われます。
聖書に一番美しい枝を持って祝うように書かれているのです。そのためユダヤ教のラビは毎年カラブリアを訪れ、美しいチェードロを求めて探し歩くのです。



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1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ
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2021年2月26日金曜日

プーリアやカラブリアなど南伊各地の食文化も取り込んでいるシチリア料理。

なんとなく地味な気がして紹介していなかった本、ピアッティ・ディメンティカーティ』。

ちょっと読んでみたら、イタリアのじいちゃんばあちゃんたちの自慢の料理が、イタリアも日本も、親戚はおんなじだなあ、とほっこりするエピソードと共に語られていいて、なかなかいい本ではないですか。

パスタの続きをもう少し訳してみます。
きょうの料理は、まず、ニーナおばちゃんのパスタLa pasta di zia Ninaです。
ニーナおばちゃんはマリアおばちゃんの妹で、ニーナもマリアも可愛い孫のフランチェスコを実の息子のように、というか王子様のように溺愛していました。
なので、フランチェスコのためのご馳走は決して欠かしませんでした。
フランチェスコの好物の1つが、このオレッキエッテです。
ニーナおばちゃんぱ、このバーリ風オレッキエッテは本物の家族のリチェッタで、観光客向けのチーメ・ディ・ラパのオレッキエッテとは違う、と言っていました。
バーリ風、とは言ってますが、シチリア風のカリフラワーのパスタです。

材料
カリフラワー・・小1個
オレッキエッテ・・500g
パンチェッタ・・150g
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル
《仕上げ》
おろしたペコリーノ

・カリフラワーを小房に分けてゆで、8割火が通ったらオレッキエッテを加えてアルデンテにゆでる。
・パンチェッタを小さく切ってにんにくと一緒にたっぷりの油でソッフリットにする。
・ゆで汁少々を別にする。パスタとカリフラワーを取り出し、ソッフリットに加えてなじませる。ペコリーノを添えてサーブする。

オリジナルのプーリアのチーメ・ディ・ラパのオレッキエッテ↓を観光客向け、と言い切るシチリア人のプライドの高さ!


基本的にチーメ・デイ・ラパを使えばプーリア風で、カリフラワーだとシチリア風らしい。
白いカリフラワーとパスタで、色味が少ない料理なので、パンチェッタの存在感が大。

次は、ストロンカトゥーラpasta dei poveri別名貧しい人々のパスタ
カラブリアに詳しい医者のラファエレ・レウッッィ先生のリチェッタです。

17世紀半ばには、アマルフィ海岸からの小麦の商人はジョイア・タウロの港にやってきて、港で小麦を粉にして売っていたが、移動の際に小麦の粒がこぼれ落ちた。貧しい人たちは未精製のこの小麦を拾って食べていた。
この全粒粉から作ったパスタがストロンカトゥーラstroncaturaと呼ばれたパスタだ。
このパスタの一般的なソースは、古くなったパンを有効利用したパン粉と安くて手に入りやすいイワシだった。
ストロンカトゥーラは姿を変えながら現代まで伝わっている。

この種の話は南イタリアの各地にあるなあ。
カラブリアじゃアマルフィから伝わったパスタとして知られています。

カラブリアのジョイア・タウロは大きな港↓


材料/
オイル漬けイワシ・・5尾
EVオリーブオイル
固くなったパン粉
唐辛子
にんにく・・1かけ、塩

・小さなフライパンにたっぷりの油、ちぎったイワシ、にんにくと唐辛子のみじん切りを入れて熱する。
・別のフライパンで粗く刻んだパン約大さじ5を炒める。油は加えない。
・パスタをゆでてイワシでであえてパン粉をチーズのように散らす。
ストロンカトゥーラ


最後はスパゲッティ・スペッツァーティの魚のブロードがけGli spaghetti spezzati al brodo di pesce

マリアおばあちゃんは、フランコが帰ってくるといつも「フランコが帰ってきたからパスタを作らなくちゃ」と言っていそいそとフランコの大好物のこのパスタを作った。
パスタは必ずスパゲッティで、漁師の網に残った骨の多い小魚でブロードを取った。

材料
スパゲッティ・・300g
下ごしらえして鱗を取った小魚・・600g
玉ねぎ・・1個
EVオリーブオイル・・150g
トマト・・4~5個
水・・1L強
イタリアンパセリ、オレガノ
塩、こしょう

・玉ねぎを薄切りにして油で炒める。小さく切った小魚とトマトを加える。イタリアンパセリのみじん切りとオレガノ少々、塩を加えて水で覆い、コトコトじっくり煮る。
・濾してブロードを取る。
・ブロードに折ったスパゲッティを入れてゆでる。塩味を整えて粗挽きこしょうを散らす。

おばあゃんの愛情がたっぷり詰まったスープパスタです。
本のほぼすべての料理が親戚の思い出で彩られていて、素敵な一族がうらやましくなります。

シチリア料理はプーリアやカラブリアなど、南イタリアの近隣の料理もうまく取り込んでいる。



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ピアッティ・ディメンティカーティ
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2021年2月25日木曜日

カニのパスタは、盛り付け方で個性が出る。

新入荷の本で、ほとんど紹介していない本がありました。

流石に上級者向けすぎるかなと思って、お蔵入りにしていたのですが、この本に、ちょっと変わったバベッテのリチェッタがありました。

そもそもこの本は、イタリア人の間では忘れられた古い料理を紹介する、というもの。
作者の子供時代の思い出がベースになっています。

作者は、子供の頃、毎年シチリアの別荘で過ごしていたそうです。
そこは家族の港のような場所で、一族の子供や孫、友達、友達の友達、などがみんな集まってくる場所でした。子どもたちがプールで午後を過ごしたら、晩ごはんも一緒に食べるのが当たり前のような暮らしでした。食事の時間は決まっていないけど、いつも何か食べるものがあったそうです。しかもパンとトマトのような軽食ではなく、オーブン焼きパスタ、ティンバッロ、スープといった手のこんだ料理で、しかも台所はいつもきちんとしていました。
子供心にも、いつも不思議に思ったそうです。
その台所は、ノンナやノンノたちの王国でした。
この家の近くに、魔法のような場所がありました。
ティレニア海の入り江で、地上からはたどり着け無いような場所でほとんど誰にも知られず、そのおかげで手つかずの自然が保たれていました。
友人のマッシミノアーノの祖父は漁師で料理人でした。彼は子供たちに様々な料理を教えてくれました。
この料理もその一つです。
マルゲリータ・ディ・マーレのバベッテe bavette sulla margherita di mareですl。
マルゲリータ・ディ・マーレというのは小さなはさみと盾のような大きな胴体の巨大なクモガニです。砂地の岩場に棲み、海藻や微生物を餌にします。
身は少ないけれど美味しい出汁がでます。
マッシミリアーノと彼のおじいちゃんはこのカニを競って獲っていました。
そしてこの美味しいバベッテなど、様々な料理を作ってくれました。
カニを洗う時は塩を加えた真水じゃなくて海水で洗うのだというのがおじいちゃんの教えです。昔はみんなそうしていたのだそうです。

実はこの料理の一番の衝撃は、その盛り付け方です。

リングイーネはスパゲッティより幅がある麺なので、基本の巣(ニード)形の盛り付けがよく会います。ぐるぐる巻いてこんもり盛り付けたバベッテに、なんと、蟹の足をぐさぐさと突き刺すのです。
衝撃的な姿ですよ。でも、これぞ漁師メシという感じで、とても美味しそう。

クモガニ

それではリチェッタです。クモガニのバベッテle bavette sulla margherita did mare

材料/
バベッテ・・400g
マルゲリータ・ディ・マーレ(クモガニ)・・大1杯
イタリアンパセリ・・1房
にんにく・・1かけ
漉した海水・・1本
ミニトマト・・250g
白ワイン・・2カップ強
ペメンティーネ(トスカーナの唐辛子)・・1~2本
EVオリーブオイル、塩

・トマトは皮をむいて半分に切り、ザルに入れる。
・カニを海水でよく洗う。
・にんにくとイタリアンパセリをみじん切りにし、大きなフライパンで2分ソッフリットにする。
・汁を集めながらカニを4つに切る。まず縦に半分に切ってささらに横に切る。
・ソッツフリットにカニを入れて弱火で5分炒める。ワインをかけてアルコール分を飛ばし、トマトを加えて弱火で20分煮る。半ばでトマトを穴開きレードルで潰す。最後にペメンティーネを加えて塩味を整え、5分煮る。
・汁が煮詰まりすぎているようなら水を足す。
・カニを取り出す。
・バベッテを硬めのアルデンテニゆでる。ソースのフライパンに入れてなじませる。
・皿に盛り付けてカニで自由に飾る。

最後にカニは個性を出して好きなように盛り付ける、とあります。
あの豪快な盛り付け方は、マッシミリアーノのおじいちゃん独特のものだったのですね。

バベッテの前のページのウニのスバゲッティSpaghetti ai ricci di mareも訳してみます。

自分の好きな料理だったので取り上げたそうですが、シンプルな料理でも、獲りたての新鮮なウニが必要なので、簡単には作れないそうです。
塩水漬けのウニは、海藻の味が消えています。基本ですが、ウニは牡蠣やトリュフと一緒で加熱してはいけません。新鮮なウニが手に入ったときだけ作る料理です。

材料
スパゲッティ・・一人100g
ウニ・・一人40~50個
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル
イタリアンパセリ

・ウニを開いて身を取り出す。使うときまで冷蔵庫に入れておく。
・大きなフライパンに少なめの油とにんにくを焦がさないように熱し、色がついたらすぐに取り出す。
・スパゲッティを8割ほどゆでる。
・仕上げはフライパンで火を通す。ゆで汁少々を加える。
・仕上げ直前にウニを加えてよくなじませ、イタリアンパセリのみじん切り少々を散らしてすぐにサーブする。

ウニのスパゲッティ


dimenticati(忘れ去られた)というのは現代人の世界つリズムに合わない料理かと思ったけど、失われた自然の豊かさを自覚する料理でした。
まだまだ面白い料理があるので次回に続きます。



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2021年2月24日水曜日

トレネッテやバベッテなどリグーリアの平らなパスタに合うソースはさやいんげんとじゃがいも入りペースト

パスタとソースの話、穴開きロングパスタの次は、平らなロングパスタです。
リングイーネやバベッテなど、リグーリア生まれのパスタたちです。
スローフードのパスタの知識が詰まった本、パスタ・フォルメ・デル・グラノ

によると、バベッテbavetteは現代的な工場で作られるようになったパスタで、名前の由来などは不明。
おそらくフランス語が語源と考えられている。1863年にイタリアの辞書に初めて登場したバベリーネbaverineという細いタリアテッレに似たロングパスタがルーツではないかという説がある。
これはリグーリアのペーストが合うパスタで、トレネッテの一種、とされている。ということは、リングイーネの一種という考えが浮かぶのも自然な流れ。
この本では、トレネッテtrenetteはこう説明している。
トレネッテは乾麺の普及に伴って、ジェノベーゼのソースで食べるシンボル的パスタとして家庭料理に広まった。
ペーストの他に、じゃがいもとさやいんげんのソース、いんげん豆のラグーも定番になった。
トレネッテはタリアテッレに似ているがやや細く、もっと厚い。卵は加えない。
ポルチーニのソース、ペースト・ジェノベーゼなど、リグーリアの様々なソースが合う。


傑作地方料理書の“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズの『リグーリア』には、

じゃがいもとさやいんげんを加えたペーストのパスタソースは典型的ジェノバ料理、とある。
この本のペーストのトレネッテTrenette al pestoのリチェッタを訳してみます。
さやいんげん・・80g
じゃがいも・・2個、塩
にんにく・・2かけ
松の実・・30g
おろしたパルミジャーノ・・40g
EVオリーブオイル・・1カップ、粗塩

・《ペースト》
にんにく、粗塩数粒を大理石の乳鉢に入れてオリーブの木のすりこ木で潰す。にんにくが潰れたら松の実を加えてさらに潰し、バジリコを加えてすり潰さずに、すりこ木と乳鉢の側面を使って押し潰す。
・チーズを加え、油の半量を少しずつ加える。
・ペーストをボールに移し、木べらで混ぜながら残りの油を少しずつ加える。
・さやいんげんと皮をむいたじゃがいもを小さく切る。
・たっぷりの湯を沸かして塩を加える。さやいんげんとじゃがいもを入れてゆでる。ほぼゆで上がったらトレネッテを入れて一緒にゆでる。
・パスタと野菜を取り出してペーストであえる。必要ならゆで汁で溶く。

じゃがいもとさやいんげん入りペーストのトレネッテ


パスタはトレネッテの代わりにタリアテッレでも応用可。
パスタ・エ・スーゴ』には、ペースト・マリナーロというアンチョビ風味のペーストをリングイーネと組み合わせて紹介しています。
野菜に合うペーストです。


リングイーネ・インテグラーリ・アル・ペースト・マリナーロ/海のペーストの全粒粉のリングイーネLinguine integrali al pesto marinaro

・新鮮なアンチョビ300gと岩塩小さじ1をミキサーにかけてペースト状にする。
・赤と緑のパプリカ1/2個、にんにく2かけを油でソッフリットにしてにんにくを取り除く。
・アンチョビのペーストと唐辛子1片、トレッビアーノ・ダブルッツォ1カップを加えて5分煮る。
・火を止め、フレッシュのオレガノとイタリアンパセリのみじん切りを加える。
・ゆでて水気をざっと切ったリングイーネ、再びオレガノとイタリアンパセリのみじん切り、おろしたペコリーノを加えてなじませる。


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グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ
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2021年2月23日火曜日

リグーリアのパスタメーカーの代表アネージは、リグーリアの海運力を生かして世界中の上質な小麦粉を集めた。


スローフードの“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの『パスタ・エ・スーゴ』は、乾麺のパスタとソースの相性について研究した本。
この中に、カリフラワーのソースがありました。
シチリア料理のブロッコリ・アッリミナーティbroccoli arriminatiというソースです。


このソースに組み合わせるパスタは、ブカティーニ。
乾麺のベースのスパゲッティは、ロング・パスタpasta lungaで、細いスパゲッティーニspaghettiniと太いスパゲットーニspaghettoniがあります。
太いか細いかの次は、穴が空いているかいないかです。
穴あきのロングパスタはpasta lunga forataパスタ・ルンガ・フォラータ。
細い穴あきロングパスタは直径2.3~2.5mm程度。
ブカティーニは2.6~2.9mmと太い麺です。
麺の穴は、味覚に大きな影響を与えます。
さらに口に入れて吸い込もうとすると音も出ます。
麺をすする食べ方に慣れている日本人には、かなり食べるのが難しい麺かもしれません。
そんな麺ですが、シチリアではブロッコリーのソースと組み合わせて普及しています。
ブカティーニは、一般的には太いロングパスタのソースが合います。
穴あきパスタは穴の中にもソースが入るようなジューシーなソースが適しています。

ブカティーニ・コン・ブロッコリ・アッリミナーティbucatini con broccoli arriminati
かなりローカルなパスタのようなので、シチリア人の説明を聞いてみましょう。
下の動画によると、

まず、ブロッコリーはシチリアではカーヴォルフィオーレ(カリフラワー)と呼びます。
アッリミナーティは「混ぜる」という意味のシチリアの方言。
カリフラワーに地元シチリアの食材を加えたソースのパスタです。
リチェッタは、シチリア料理のお薦めの本、グイド・トンマージのクチーナ・レジョナーレシリーズの『クチーナ・シチリアーナ』からどうぞ。

Pasta con i vrocculi arriminati/パスタ・コン・イ・ヴロックリ・アッリミナーティ
材料4人分/
ブカティーニ・・400g
カリフラワー・・(緑や紫の品種)1個
玉ねぎ・・1個
にんにく・・2かけ
塩漬けアンチョビ・・3枚
松の実・・50g
レーズン・・50g
粉サフラン・・1袋(またはホール3、4本)
EVオリーブオイル
塩、パン粉

・カリフラワーを小房に切り分けて数分塩ゆでする。
・アルデンテになったら取り出す。ゆで汁は取っておく。
・玉ねぎをみじん切りにしてにんにく、塩抜きしたアンチョビと一緒に油で炒める。戻したレーズン、松の実、サフラン、小さく切ったカリフラワー、カリフラワーのゆで汁1/2カップを加え、蓋をして弱火で煮る。
・その間に残りの湯で汁でパスタをアルデンにゆでる。
・パスタをソースのフライパンに加えてよく混ぜる(アッリミナーティ)。パン粉を散らしててサーブする。

イタリア料理の初心者にお母さんみたいなアドバイスをしてくれる本、『マンマ・ミーア』によると、
唐辛子風味のトマトとバジリコのブカティーニは初心者向きのパスタだけど、ここから一歩先に進むには、ケッパー、松の実、オーブン焼きの種抜き黒オリーブ、リコッタ・サラータなとどの食材を一握り加えることを試してみて、だそうです。

パスタとソースの話に戻ります。
穴あきロング・パスタの次は、平らなロング・パスタpasta lunga piattaです。
リングイーネ、バベッテなどです。
これらはリグーリアが発祥地の麺。ソースもリグーリアのものを組み合わせます。
一般的なリングイーネやバベッテ(幅2.3~3.3mm)より太いものや細いものもありますが、次第に南イタリアにも普及して、軽いソースや魚のソース、野菜やハーブとも組み合わせるようになりました。南イタリア、特にナポリで愛されている穴開きパスタは、ジーティzitiです。
ジィーティと言えば、ソースはジェノヴェーゼgenovese。
ジェノヴァという名前でも、ジェノヴァにはなんの関係もないカンパーニアの玉ねぎのソースです。別名はラグー・ナポレターニ.ragù napoletani。

リグーリアはパスタ作りの歴史が古い州で、様々な形のパスタが発明されました。その製品は大きな港から世界中に広まります。

リグーリアの歴史的パスタメーカーの代表はアネージ。
リグーリアのパスタメーカーの強みは、世界各地から巨大な港に集められる上質の小麦。
かつて世界一と言われたウクライナのタガンログ小麦などの評価を広めました。

リグーリア料理


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2021年2月22日月曜日

アブラナ科の野菜のリチェッタを探すとイタリア野菜のリチェッタがどんどん見つかる。

季節の変わり目になるといつも読みたくなる本、

春どころか夏になりそうなくらい急激に暖かくなったこの時期に、たまたま見つけたのがロマネスコのオレッキエッテのリチェッタ。
さらには冬野菜、キャベツへの賞賛の言葉。
この時初めて、ブロッコリーとキャベツが繋がりました。
ブロッコリーはキャベツを改良したものだったのですね。
そう言えば、白いブロッコリーのようなカリフラワーは、カーヴォルフィオーレ/キャベツの花という名前。
カリフラワーやブロッコリーがイタリアで改良されて生まれた野菜というのは知らなかった。そう言えば、先日入荷したミラノ料理の本、
クチーナ・ミラネーゼ』は、
    第1章のテーマが野菜で、最初に取り上げているのはサボイキャベツだった。
ミラノのサボイキャベツの料理といえば、カッスーラ。

そしてサボイキャベツはミラノ料理にとって最も重要な野菜、と続く。
さらに、一番身近な野菜はカリフラワーともある。
詳しい歴史はわかっていないようだが、このアブラナ科の植物は地中海や近東が原産のものが多いらしい。ケールもその一種なんだとか。
アブラナ科の植物とイタリア野菜の歴史は、調べてみると、面白いかも。

ジョルジョーネの本には、ロマネスコ、チーメ・ディ・ラバ、カーヴォロ・ネロ、カリフラワー、サボイキャベツ、キャベツ、紫キャベツと、次から次へと畑で栽培しているキャベツたちの名前が出てくる。

これも最近入荷した本、


スローフードのパスタとソースの本、『パスタ・エ・スーゴ

のブロッコリ・アッリミナーティは、ブカティーニと組み合わせています。
ブカティーニは太い穴あきロングパスタ。
なので、太いロングパスタに合うソースが適しています。
中央の空洞にはソースが入り込みやすいので、ジューシーなことも必要条件です。
そんなソースの代表として選ばれたのはシチリア料理のブロッコリ・アッリミナーティ。ブロッコリーという名前ですがカリフラワーのソースです。ナポリ料理にも同様のパスタがあります。


リチェタは次回。


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2021年2月21日日曜日

プーリア名物のチーメ・ディ・ラパのオレッキエッテは同じアブラナ科のローマの野菜、ロマネスコで代用できる。

きのう、ゴージャスなホテルを見すぎた反動で、今日はウンブリアで畑を耕して家畜を飼いながらオステリアを営み、TVの人気者になったシェフ、ジョルジョーネの本から、

久しぶりに彼の素朴な料理のリチェッタを訳してみます。
この本は、四季ごとに畑の旬の野菜を使ったリチェッタが載っています。
この本はテレビ番組になっているのでリチェッタを詳細に動画で見ることができます。

冬の畑の作物は、キャベツ、フィノッキオ、冬の王様ことアーティチョークなどがありますが、まずはブロッコリーです。
料理はロマネスコのオレッキエッテ。Orechiette con broccolo romanesco
彼の番組「オルト・エ・クチーナ」↓

カリフラワーやブロッコリーやロマネスコはキャベツの仲間なんですね。

材料/
オレッキエッテ・・400g
ロマネスコ・・1個
赤にんにく・・1かけ
オイル漬けアンチョビ・・2枚
刻み唐辛子
白ワイン
オリーブオイル、塩

・ロマネスコの茎の柔らかい部分と房だけにし、たぷりの油と潰したにんにく、唐辛子一つまみ、アンチョビでソッフリットにする。火をやや強めてワインをかけ、アルコール分を飛ばす。ロマネスコの小房と塩少々(アンチョビの塩分があるので控えめにする)を加えて炒め、水少々をかけて蓋をして10分蒸し煮にする。
・パスタ用の湯を沸かし、オレッキエッテをゆでる。
・ざっと水気を切ってロマネスコの鍋に加え、なじませる。
・皿に盛り付けて上質オイルをまわしかけ、好みで唐辛子を散らす。

・付け合せはじゃがいもとカリフラワーのサラダ。
じゃがいも2個は皮をむいて角切りにし、塩ゆでにする。
・カリフラワーはざく切りにし、外側の柔らかい葉も取っておく。
・ソテーパンでカンナーラの赤玉ねぎ(甘くてマイルド)の薄切りを油でソッフリットにし、カリフラワーの葉と唐辛子少々、セージ1枚、ビネガー少々を加える。カリフフラワーを加えて塩味を整え、水気を切ったゆでたじゃがいも、こしょうを加えてマンテカーレする。じゃがいものゆで汁を加えて火を弱め、蓋をして15分煮る。室温にしてサーブする。

番組は、森にきのこを採りに行く場面へとづきますが。今回はここまで。

さて、ロマネスコのオレキエッテですが、このリチェッタは、プーリアの名物バスタ、チーメ・ディ・ラパのオレッキエッテの応用ですね。
チーメ・ディ・ラハは菜花のこと(正確には違うようですが)。
菜花もロマネスコもアブラナ科の野菜です。


アブラナ科、ということは、このリチェッタのルーツはキャベツのパスタかも。
キャベツも地中海の野菜で、地中海野菜はたいていアブラナ科ということも初めて知りました。


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ジョルジョーネ/オルト・エ・クチーナ
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2021年2月20日土曜日

世界中の人が憧れるセレブのリゾート地のルレ・エ・シャトーのホテル

高級レストランの次は高級な避暑地の高級ホテル。
ルレ・エ・シャトーグループのホテルです。
詳細は今月の「総合解説」P.51をご覧ください。
それでは夢の世界へどうぞ。

まずはアナカプリのシーザー・アウグストゥス。
カプリは軽い気持ちで足を踏み入れると、本場の高級リゾートのあふれるセレブ感に、田舎者はころっとやられます。
特に高級ホテルは前を通るたびにいつかはこんなところに泊まってみたい、と思うのだけれど、もちろんそう簡単には実現しない。

この港の上の絶壁の縁という素晴らしいロケーションの館は、もとはロシアの王族が所有しいたもの。
そういえば、ローマのイギリス大使館の土地もロシアの王族が所有していたものでした。
ロシアの王族が所有していた土地なら、その素晴らしさはお墨付き。


次もロシアの貴族が所有しいていた館のホテル。ソレントのベルビュー・シレーネ。


次はホテルではなくレストラン。
サンタガタ・スイ・ドゥエ・ゴルフィのドン・アルフォンソ1890は、これらのホテルと同レベルのゴージャスさ。

最後はアマルフィ海岸、ポジタノのイル・サンピエトロ。
海から到着するのがセレブの醍醐味。



アマルフィ海岸。

アマルフィ海岸のドルチェと言えば、サルヴァトーレ・デ・リーゾ。
ドルチ・デル・ソーレ』には故郷アマルフィの暮らしがたっぷり収録されている。


パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド』はドン・アルフォンソを始めとする南イタリアの有名店のパスタ料理の本。
シェフが愛してやまない農園の暮らしも紹介されている。


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パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド
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2021年2月19日金曜日

若手からベテランまで、アルタ・クチーナのシェフたち

今月のシェフは、ルーカ・マルキーニさん。
JREイタリア支部長だそうです。
記事の日本語訳は「総合解説」2019年5/6月号のP.49を御覧ください。

モデナのレルバ・デル・レのシェフです。
店のwebページはこちら

JREは、フランスの組織で、若手レストラン経営者協会と、勝手に訳しているのですが、要は、若手のオーナーシェフのプレステージの高い団体のイタリアのトップ。
料理学校も経営しています。
フランス系の店の中でも期待されている若手です。
彼の料理はイタリアの地方料理の食材を駆使して、忘れ去られたリチェッタも研究して再現したアルタ・クチーナ。
今回披露したのはトルテッリ・ブジャルディという料理。
ブジャルディは嘘という意味だそうで、つまり偽物のトルテッリということ。
トルテッリはエミリア地方の名物料理。シェフの地元を象徴する料理です。
エミリア・ロマーニャのトルテッリ↓

このトルテッリの何が嘘かと言うと、詰め物に肉がないのをごまかしている料理、イタリア料理お得意の、貧しさの中から生まれた工夫に満ちた料理です。
リチェッタを見ると、かなり手が込んでいます。
ベースとなった料理はムール貝のカンパーニア風
ムール貝のインペパータです。

これにビスクのエマルションとサワークリームを加えます。
正統派アルタ・クチーナですね。

アカデミア・バリラの料理
イタリアの伝統から洗練されたスマートでインターナショナルな料理を生み出す人。


北の料理にナポリ料理を組み合わせると、思いがけない効果が生まれるようです。

ディチェコがイタリア各地の有名シェフの乾麺のパスタ料理を集めた本、

パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア』は、アルタ・クチーナの一流シェフのパスタ料理集。
エミリア・ロマーニャのシェフは、ヴァレンティーノ・マルカティリイ。
イモラのサン・ドメニコのシェフ。
店のwebページはこちら
最近は南出身のアルタ・クチーナのシェフの活躍が目立ってきました。



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2021年2月18日木曜日

アブルッツォ料理の象徴アッロスティチーニ。その発祥の地、と主張する村があった。

アブルッツォのレストランもシェフも、個性的で面白いですねー。
詳細は今月の「総合解説」P.48をどうぞ。

アブルッツォ料理と言えば、何度も取り上げているけど避けて通れないのがアッロスティチーニ。


ダヴィデ・オルダーニシェフの新しいイタリア地方料理の本、『メイド・イン・イタリー

のアッロスティチーニのリチェッタを訳してみます。


Arrosticini/アッロスティチーニ
材料/
子羊肉・・700g
EVオリーブオイル、塩

・肉を1cm角程度に切って木串に刺する。
・炭火か熱した鉄板で裏返しなから約10分焼く。肉が乾きすぎないように全体を均一に焼く。
・仕上げにたっぷり塩をし、炙ったパンなど好みの付け合わせを添えてEVオリーブオイルをまわしかけ、熱々をサーブする。
※シンプルだが美味しいアブルッツォの食文化やもてなしの精神を象徴する料理で、各地の祭りは、にんにく風味のブルスケッタを添えて必ず登場する。
この料理はアブルッツォの羊飼いが、移牧で山の中で過ごす時に持ち運びや調理が簡単な料理として考え出した。パン、オイル、サラミ、フリッザンテの赤ワインを添える。ヴィッラ・チェリエーラVilla Celieraという村が発祥地と言われているが、ペスカーラの内陸部にも伝わった。この地方では肉をオイルを塗って唐辛子を散らしたシートで包んで香りをつける。

アブルッツォ料理の真髄、アッロスティチーニが生まれた村と主張するのはペスカーラのヴィッラ・チェリエーラ。
こんなとろこ↓


とりあえず、アブルッッォで抑えておきたい場所と料理は、カンザーノの七面鳥、テーラモのヴィルトゥ、ペスカーラのヴィッラ・チェリエーラのアッロスティチーニあたりでしょうか。

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メイド・イン・イタリー
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2021年2月17日水曜日

畑の野菜もパントリーの豆も、ありとあらゆる種類を別々に調理する気の長いスープ、ヴィルトゥ。仕入先との関係が物を言う。

アブルッツォのレストラン。
今日紹介するのは、テーラモ中心部の店、ラ・カンティーナ・ディ・ポルタ・ロマーナ。
詳細は今月の「総合解説」P.48を御覧ください。
店のwebページはこちら

オーナーはテーラモ料理への造形が深い人物。
5月はヴィルトゥーを出しているそうです。
ヴィルトゥー作りは肉屋や八百屋巡りから始まります。
つまり食材の信頼できる入手先があることがこの、多様な旬の食材を使う料理の秘訣。

ちょっと長いけど、あらゆる食材を紹介しています。
彼のヴィルトゥーの材料は、
豆は冬が終わった時点で貯蔵庫に残っているもの。
具体的には、
いんげん豆(ボルロッティ)
小粒の白インゲン(カンネッリーニ)
大粒の白インゲン(コローナ・ディ・スパーナ)
いんげん豆(トンディーニ)
大粒のレンズ豆
小粒のレンズ豆
チェーチ

・豆は別々に水で12時間戻す。

生ハムの端の部分
生ハムの骨
豚足
豚の耳

豆のスープには欠かせない生ハムの骨のとり方↓


・これらを小さく切る。
・鍋に水、塩、ローリエ、クローブを入れて沸騰させ、豚皮、豚足、耳を入れ蓋をしてゆでる。

セイボリー
タイム
マジョラム
セージ
にんにく
葉玉ねぎ
セロリんで
にんじん
ローリエ
ディル
ボリジ
アッケシソウ
ビエトラ
メントゥッチャ
ほうれん草
エンダイブかスカローラ
チコーリア
ロメインレタス
アーティチョーク
グリーンピース
ソラマメ
さやえんどう
さやいんげん
にんにく
玉ねぎ
ナツメグ
クローブ
アスパラガス

ふう、長いリストでした。
そもそも、数世代に渡る大家族のための料理で、そんな家庭はたがやす畑も広いのだそうです。

テーラモではハーブはどの家庭でも自家菜園で栽培していたので、家にあるものを使う。
野菜もたっぷり使うので豆の消化を助ける。

乾燥豆を煮る。
・セロリ、にんにく、にんじん、玉ねぎをみじん切りにする。
・豚皮、足、耳は小さく切る。
・戻したレンズ豆を油、ローリエ、にんにくと一緒に水に入れて煮る。
・他の豆は香味野菜のみじん切りと一緒に油で炒めて鍋に入れる。
・豚の足や皮、塩を加える。

チェーチ
・鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ、薄く切ったトマトを入れてさっとソッフリットにする。チェーチと水を加えて煮る。
グリーンピース
・鍋にオリーブオイルと玉ねぎを入れてソッフリットにし、グリーンピースと水を加えて煮る。
さやえんどう
・さやえんどうを小さく切る。
・油、にんにく、玉ねぎをソッフフリットにしてメントゥッチャとさやえんどうを加える。
・アスパラガスをゆでる。さやいんげんを加える。ボリジ、アッケシソウを加える。

すんごい種類の野菜を使うとは知っていたけど、こんなに手の混んだ作り方をするとは・・・。
しかもまだ下ごしらえ。
この後、手打ちパスタまで作ります。

・玉ねぎを炒めてソラマメと水を加える。
・エンダイブとチコーリアをゆでる。
・ロメインレタスをゆでる・・・。

正直言うと、普通の料理を訳す程度の考えで始めたら、永遠に終わりそうにないリチェッタで、もう今さら引くに引けず、ただ意地だけでここまで訳しましたが、限界です。
詳細は「総合解説」P.47に訳しました。
私が知る限り、一番多くの食材を使う料理です。
5月1日にしか作らないのも納得。

戦後、景気が良くなったら肉などリッチな食材を加えるようになって、この料理はすっかり変わってしまったとシェフは言っていますが、私には、すごいゴージャスな料理に思えました。

ダビデ・オルターニシェフの新世代のイタリア地方料理の本、

メイド・イン・イタリー


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メイド・イン・イタリー
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2021年2月16日火曜日

月に降り立った最初の人類、アームスロングのための宇宙食に選ばれたイタリア料理、七面鳥のカンツァーノ風。

ヴィルトゥが美味しいアブルッツォのお勧めの店のバーチャルガイドです。

『サーレ・エ・ペペ』誌の情報です。
訳は今月の「総合解説」P.48にあります。

まずはテーラモのカンツァーノにある店、ラ・タッキネッラ    la Tacchinella
店のwebページはこちら
カンツァーノ名物の七面鳥料理で有名な家族経営の老舗で、地元の伝統料理を出しています。
店名のタッキネッラは雌七面鳥のこと。
雌の七面鳥は雄より肉が柔らかくて風味が良いので雌しか使わないのだそうです。

タッキネッラのカンツァーノ風七面鳥 il taccchino alla canzneseは、七面鳥のブロードを使うクリスマス料理。
これは七面鳥の煮こごりですね。
七面鳥とグレービーソースはアメリカの感謝祭の料理の番中の定番。
ナサが何百という料理の中から、栄養価などを検討して宇宙食に採用した料理だそゔてすよ。
1969年、アームスロングが初めて月に降り立った時代の話です。

上の動画で料理を紹介するのはフィアット・パンダを乗り回す84歳、タッキネッラのシェフ。

タッキネッラのhpのリチェッタ
・七面鳥は骨を取り、骨を折ってオーブン皿に入れます。骨の上に肉をのせ、肉を覆わない程度の水、にんにく、ローリエ、粒こしょう、塩を加えて高温の薪のオーブンで熱してブロードで6~7時間、肉を裏返しながらローストします。
・肉とブロードを室温に冷まし、さらに冷蔵庫で冷やしてブロードをゼラチン状にします。
元々は骨付き肉で作ったので食べるのが大変な料理でした。
・食べる直前に切り分けてサーブする。
・コントルノは酢水でゆでてイル漬けにしたにんじんとズッキーニや、季節ならざくろの
粒。

雌七面鳥料理はカンツァーノ以外ではなかなかお目にかかれないそうですよ。
アブルッツォで食べたい料理がまた増えました。






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総合解説
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2021年2月15日月曜日

7人の美女とご近所みんなにふるまうために5月1日だけに作る料理、ヴィルトゥ。

ヴィルトゥVirtuなんて料理、聞いたことなかったけど、若手のカリスマシェフ、ダヴィデ・オルターニのイタリア地方料理の本、『メイド・イン・イタリー』に載っていて、ちょっと意外でした。

オルターニシェフはバリラのアカデミア・バリラの活動にも協力している↓


本にはヴィルトゥについてこんなことが書いてありました。
「アブルツォのテーラモの人は、“ヴィルトゥ”という、5月1日に作って食べるリッチな料理を考え出した。この料理には、7人の徳の高い美少女のために作られた、という言い伝えがある。なので鍋には何かしらの7種類の豆や野菜やハーブ、パスタを加える。具体的には春の終わりに貯蔵庫に残った食料を使い切って来たるべき春の新鮮な食物に備えるための料理だ。」
確かに、7種類の美徳より、7人の美女と言われるとすっと納得できるなあ。
それでは本のリチェッタをどうぞ。
今月の「総合解説」の翻訳はP.46です。

VIRTÙ/ヴィルトゥ
材料

《野菜と豆》
さやむきソラマメ・・250g
フレッシュグリーンピース・・250g
乾燥インゲン豆・・100g
ひよこ豆・・50g
レンズ豆・・50g
エンダイブ・・1/2個
ビエトラ・・1把
セロリ・・1本
にんじん・・1本
ほうれん草・・1把
メントゥッチャ、塩

・インゲン豆、ひよこ豆、レンズ豆を水で一晩戻す。水気を切り、軽く塩を加えた水でゆでて半分火を通す。
・にんじん、グリーンピース、ソラマメ、ほうれん草、ビエトラ、エンダイブ、セロリを別の鍋で塩ゆでする。
《肉》
豚皮・・200g
生ハム・・100g
豚足・・1本
豚の耳・・1枚
マジョラム
メントゥッチャ
こしょう

・別の鍋で皮、生ハム、足、耳を塩ゆでしてこしょうを散らす。
・肉を取り出して骨から外し、小さく切って鍋に戻す。
いんげん豆、ひよこ豆、レンズ豆、メントゥッチャ数枚、マジョラム少々を加える。

《バットゥート》
玉ねぎ・・1個
にんにく・・1かけ
トマト・・2個
イリアンパセリ
ラルド

・ラルドとイタリアンパセリを刻み、玉ねぎとにんにくのみじん切り、トマトの輪切りと一緒にソッフリットにする。

《仕上げ》
ダッテリーニ・リガーティ・・200g

・ブロードをソっフリットにかけてゆでた他の野菜を加えて一緒にゆでる。
・塩をしてパスタをゆでる。
・厚いうちにサーブする。

「総合解説」の伝統に忠実なリチェッタでは、食材ごとに調理するので下ごしらえに3日かかるそうですが、新世代のリチェッタは、もっと現実的。
でも、最初から大勢にふるまうことを考えてたっぷり作る楽しい料理です。
アブルッツォの料理人は地元の農民の季節の伝統に詳しい。
様々な食材を使うので、時間ははかかるけど見ていても楽しい料理。


確かに毎日は作れない。5月1日にしか作らないのは納得。

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メイド・イン・イタリー
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2021年2月14日日曜日

冬が終わって春が始まる日、カレンディマッジョ(5月1日)に食べる料理はヴィルトゥ。“徳”という意味だが、この言葉には7という意味もある。

きょうの料理は“ヴィルトゥ・テラマーネVirtù teramane”です。
多分、ほとんどの人は初めて聞く名前。
どんな料理なのか、名前からはちょっと想像しにくい料理ですが、キリスト教徒なら、なんとなくわかる料理なんです。
アブルッツォのテーラモの料理。


5月1日のカレンディマッジョCalendimaggioの祭りで食べます。
アッシジのカレンディマッジョ↓
カレンディマッジョはイタリア中~南部の古代から続く祭りで、暖かい季節になって畑に恵の季節が戻ったことを祝う、つまり冬が終わって春が始まる日、5月1日に行われる、
中世にタイムスリップしたような祭り。


料理名のヴィルトゥvirtuというのは美徳というような意味です。
キリスト教徒なら、多分、どんな料理なのかはピンときます。
キリスト教の教義には、7元徳というものがあります。
“7つの大罪”という言葉は聞いたことあるのでは。
大雑把に言うと、徳は罪の逆のものです。
キリスト教では美徳や大罪には7種類ある、と考えられています。
この7、という数が、イタリア人にはDNAに染み込んでいるのですね。
罪といば7、徳も7種類。
言い換えれば、徳(ヴィルトゥ)と言えば7種類の食材が入った料理、という意味になるのです。

この料理のリチェッタは今月の「総合解説」P.46にあります。

質素なミネストローネという印象ですが、実は、春の初物と冬の蓄えの残りものを組み合わせたリッチで工夫が詰まった料理です。

7種類の乾燥豆、7種類の生の豆、7種類の初物野菜、7種類のロングパスタ、7種類のショートパスタ入りの料理、ヴィルトゥ。
テーラモ名物の小粒のミートボール、パロッティーネも入ります。

日本にも7草粥なんてあったなあ。7種類も入ると壮観です。
究極のごった煮。それにしてもアブルッツォ料理は面白いものが多い。

ヴィルトゥの話、明日に続きます。


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総合解説
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2021年2月13日土曜日

リグーリアのスクックツーはのルーツはチュニジアのクスクス。シチリアのクスクスは親戚。

最近取り上げる機会が増えているように感じるサルデーニャ料理、フレーグラです。

今月の「総合解説」P.43では、いきなり、「本土では殆ど知られていない料理」とぶっちゃけられています。


フレーグラ作りは、最近取り上げたある料理にそっくり。
シチリアのクスクス↓です。
上の動画ではサルデーニャのクスクスと呼んでいます。
ご馳走版バリエーションの卵黄とサフラン入りも紹介しています。

クスクスはシチリアでは家庭で手作りする料理でした。
道具も材料も同じ。
サルデーニャではお嫁さんの必須技術。
フレーグラ作りの腕は嫁入り前の女性には持参金と同等の価値がありました。

サルデーニャとの結びつきも見つかるジェノヴァの料理、“スクックツーscuccuzzu”もフレーグラに似ているそうです。
初めて聞いた料理ですが、
動画を探してみたら、こんなのがありました↓
アサリの具なのはフレーグラと同じですね。
でも、いったい何なのか、よくわからない・・・。
パスタのメーカーのwebページ(こちら)によると、セモリナ粉の直径約4mmの筒状のスープ用のパスタで、主にミネストローネに入れます。

スクックツー入りジェノバ風ミネストローネ↓

リグーリアの貴重なアルティジャナーレのパスタメーカー、アルタ・ヴァッレ・スクリービアがイタリア産小麦、ブロンズのダイス、低温乾燥で作っているそうです。面白そうなパスタです。

パスタメーカーのhp(こちら)によると、このパスタは、リグーリアで唯一のミネストローネ用のパスタ。
13世紀から続く北アフリカとリグーリアのつながりを証明する歴史の古いパスタで、そのルーツはチュニジアのクスクス。
クスクスになることによってセモリナ粉は輸送しやすい食料になり、リグーリアの食文化はサルデーニャを始めとする各地に普及していきます。

クスクス、フレーグラ、スクックツーは北アフリカら続く兄弟パスタだったんですね。

リグーリア料理のお薦め本、


リグーリアの発酵生地


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リグーリアの発酵生地

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2021年2月12日金曜日

南の白トリュフと呼ばれるイタリアで最も歴史の古いヤギのミルクのチーズ、コンチャート・ロマーノは美しいアンフォラで熟成させます。

ピエトロ・パリージシェフの本、

故郷の農業と農作物を溺愛する一方で、シェフは、最近の子どもたちは、バーガーやケチャップが、どうやって作られているのか知らない。自動でああなると思っている。
刺し身は知っていいても魚の姿は知らない。
あるいは、おばあちゃんのスープも、どうやってできるのか知らない。
と現代の暮らしに警鐘を鳴らしています。
何でも手軽に好きなだけ食べることができる時代では、子供の肥満も問題。
ヘルシーな食生活を送るライフスタイルが重要。
彼の語ることはいちいちもっとも。

そんな彼がカンパーニアの農業を象徴する野菜と称賛し、大好きだと語るのは、フリアリエッリ。

ブロッコレッティ・セルヴァティコ(野生のブロッコリー)で、下の動画のように下ごしらえが必要で、葉を食べるためには、太い茎を取り除く必要がある。

食べれない部分が大量に出るが、残り物やクズ野菜を無駄にしないのがカンパーニアの料理。
この本でシェフが紹介しているフリアリエッリのリチェッタ、1品目は
フリアリエッリの茎のスパゲッティSpaghetti ai gambi di friarielli

・にんにくと唐辛子をEVオリーブオイルでソッフリットにし、にんにくに色がついたらアンチョビ、ケッパー、ローリエ、フリアリエッリの茎を加えて5分炒める。
・その間にパスタを8分ゆで、ソースのフライパンに入れてゆで汁を加えてマンテカーレし、好みの硬さまで熱する。

フリアリエッリの茎のバリエーション
ペースト↓


・ゆでた茎を氷水にさらして色止めし、皮むきアーモンド、にんにく、パルミジャーノ、唐辛子、オリーブオイルと一緒にミキサーにかける。フリアリエッりの茎も加える。

このペーストはパスタに合うようで、フリアリエッリの茎のペーストのパスタの動画はたくさん見つかります。

2品めは、固くなったパンとフリアリエッリのズッパZuppa di pane faffermo con friarielli
・フリアリエッリの黄色い葉を全部取り、茎は小角切りにする。
・にんにく、唐辛子、フリアリエッリの茎を油で20分ソッフリットにし、フリアリエッリの葉、固くなったパン、レードル2杯の野菜のブロードを加えて5分煮る。
・火を止めてコンチャート・ロマーノを散らす。蓋をして10分休ませてサーブする。

突然出てきましたが、コンチャート・ロマーノは、イタリアで最も歴史の古い山羊のチーズです。
ロマーノという名前ですがカンパーニアで作っています。
アンフォラで熟成させるチーズ。使いこなしている料理人としてフランコ・ペペの名を挙げています。

アンフォラの中身が気になって他の動画を探してみました。
こちらの動画では南の白トリュフと形容しています。
今まで見たことも聞いたこともなかったということは、数がかなり少ない、ということですよね。
あともちろん、癖が強そうな味で、好き嫌いが分かれるんだろうなあ。
作り方の説明は、ちらっと聞いただけでも難しすぎてパス。


フランコ・ペペのコンチャート・ロマーノのピッツァ↓

幻のチーズ入りのフリアリエッリのスープ、気になるなあ。
コンチャート・ロマーノの作り手のアグリトゥーリズモ。
webページはこちら



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ピエトロ・パリージ/クオーコ・コンタディーノ
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2021年2月11日木曜日

ピエトロ・パリージシェフは、農民へのリスペクトが半端ない。故郷のナポリに戻って、地元の農家の食材と食文化を紹介する店、“エーラ・オーラ”を開いた。

紹介する機会がなくて、今までお蔵入りしていた本を紹介します。
ピエトロ・パリージシェフの、かなり個性的な本です。

ピエトロ・パリージ
/クオーコ・コンタディーノ


先日、ブログでフリアリエッリの話を書いた時、このナポリの農民料理人を自称する天才の本を、かなり久しぶりに手に取りました。
本をパラパラめくってみると、フリウリエッリの写真がすぐに目に止まりました。
鮮やかな緑色で肉厚の艶々した葉っぱが1ページいっぱいにアップになっていました。
そして、隣のページを見て、なぜあまり手に取る機会がなかったのかを思い出しました。
隣のページは、ナポリの農家の元気一杯そうなおばあちゃんの顔のアップなのです。

さすがは、自らをcuoco contadinoと呼ぶだけあって、イタリアの新世代を担う新人シェフとして華々しく注目を浴びたわりには、地に足をつけて着実な暮らしをしているようです。
この本のテーマは彼の故郷とベスビオ山の麓の農民たち。
料理のリチェッタはごくわずかで、彼が愛してやまない農民たちの作物を重点的に取り上げています。

世界を舞台に活躍していたシェフは、2005年、故郷のナポリに戻って、地元の農家の産物を使う店リストランテ・ピッツェリア“エーラ・オーラ”をオープンした。



グランシェフと地元の人たちに愛されているシェフと店。
店のwebページはこちら

彼の料理のベースになった曾祖父母の思い出のラグーのパスタ↓

本のフリアリエッリを紹介するページには、こんなことが書いてありました。
“フリアリエッリはカンパーニアの農業を象徴する野菜です。カセルタとナポリの間では、野生のブロッコリーのことで、サルシッチャに付け合わせる野菜として知られています。
それがサレルノ方面ではトマトと一緒に煮る青唐辛子を意味します。
私のいる場所はブロッコリーが優勢な地方です。
野生のブロッコリーは刺激のある、強くて家庭的な味で、この野菜を作っている農家、アッスンタ(写真のおばあちゃん)にどこか似ています。
私にとって、畑はすべてで、どんなに辛い時でも畑があれば耐えられた、と語るアッスンタは、3人の夫に先立たれました。彼女の小さくて黒い畑からは、最高のフリアリエッリができる、とシェフ。

私の料理は残り物の捨てられてしまうような部位の料理です。
でも料理にする時は、それをご馳走に替えます。

一見、不可能なような、何も無駄にしないというこの技は、農民文化から学んだ。
残り物には豊かな風味がある。それを引き出すのに、手間はあまりかからない。
皮や茎、葉を使う料理は、私に取っては特別なことではない。
例えば、フリアリエッリの茎は大好きな食材で、
スパゲットに使う。味付けは、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ+パン粉とアンチョビ、そして野生の野菜の切り落とし。
何も家にないときに作る真夜中のスパゲッタータにはぴったりのご馳走だ。

フリアリエッリと固くなったパンが少々と野菜のブロードがあれば、奇跡も起こせる。この料理には、フリアリエッリの切り落としとパン・コットのズッパと言う名前をつけた。
シェフの地元愛と地元民のシェフへの愛情が伝わってくるような料理です。
普通、レストランの口こみのサイトは、店や料理へのコメントが一版的ですが、この店の口コミには、ナポリの人からシェフへの熱い応援メッセージがたくさんあります。

リチェッタは次回。


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ピエトロ・パリージ

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2021年2月10日水曜日

BBQのデザートは、パーネ・エ・フルッタ。そう言えば、クロスティーニ、ブルスケッタ、フリゼッレと、イタリア料理はパンの前菜の宝庫でした。

何でも焼いちゃうバーベキューキングのディナーのデザートは、もちろん焼きます。
リチェッタは今月の「総合解説」P.37~。
デザートのベースはフルーツとパン。
焼くフルーツは、いちご、チェリー、桃。
BBQでいちご焼いてたら、びっくりするねー。
さすがにそのまま焼くのではなく、半分に切ってカルトッチョにして焼きます。
パンは桃のジュースのシロップを吸い込ませてからいちごと一緒に焼きます。
2品めはチェリー。
これもパンと一緒に焼いてクロストーニにします。
チェリーの汁が炭に落ちて、パンに軽いスモーク香が加わるんだそうですよ。
パンは小さなサイズのチャバッタ。
焼いたらギリシャヨーグルトを塗ってマラスキーノを散らしてからチェリーを載せて粉糖を振りかけます。
思ったより本格的なデザート。
最後は桃のグリル。
夏のディナーの締めくくりには比較的おなじみ。
下の動画はベーシックなグリルですが、「総合解説」のリチェッタは1つ星シェフのもの。
桃にモスカートを散らして焼きます。桃に詰めるホイップクリームはサンブーコの精油入り。

リチェッタを提供したのはジャガーのCMにもフィーチャーされるようなスターシェフ。クリスチャン・トメイシェフ。


でも、パンが出てきたあたりで気が付きましたよ。これはクロスティーニじゃないですか。
しかも、クロスティーニと言えば、トスカーナ。
トスカーナといえばBBQ大好き地方。

クロスティーニは農民の料理。
炙ったパンをスープやワインや、残り物で作った料理に浸して、パンくず一つ残さないように食べました。

ブルスケッタやフリゼッレもクロスティーニの仲間。手で食べるパンの前菜。
イタリア料理にはこのタイプの料理多いですよね。

パンとフルーツのブルスケッタ


トスカーナ料理のお薦め本、『クチーナ・トスカーナ

ルフィーノのトスカーナ



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総合解説
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2021年2月9日火曜日

地中海の植物は、葉っぱも枝も使える。リモンチェッロはレモンの葉っぱでもできる。

バーベキュー・キングなんて二つ名がついたシェフは、きっと朝から晩まで焼くことを考えているんだろうなあ。
だから、パスタも焼くし、デザートも焼きます。
イカは、ローリエの枝に刺して焼き、スズキはレモンの葉に包んで焼きます。
リチェッタは今月の「総合解説」P.34をご覧ください。

ローリエもレモンも、地中海を象徴するハーブと柑橘フルーツ。
庭で育てておけば、枝や葉っぱのこんな使い方もあるんですね。

ローリエの葉に含まれる油にはストレス軽減とリラックス効果が↓

ローリエの栽培

伸びた枝を選定したら、葉を取って枝を串がわりに。
これを開いたイカに刺して焼けば、イカのローリエ焼き。

リモンチェッロはレモンの葉からもできる↓
味はレモンで食ったものと同じ。
それだけ葉には精油がたっぷり含まれている。
ただしさすがにあの黄色は出ない。
この葉でスズキなどの切り身を挟んで身を保護しながら焼く。

レモンの葉のリモンチェッロlimoncello fatto con foglie di limone


材料/500ml分
無農薬のレモンの葉・・15枚
90度のアルコール・・250ml
水・・250ml
砂糖・・200g

・葉を摘み取り、流水で洗って乾かす。
・密閉容器にアルコールと葉を入れ、葉が常にアルコールに浸るように重石をのせる。
・蓋をして冷蔵庫で48時間漬ける。
・水と砂糖を中火で5分にて煮て冷まし、シロップにする。
・ガラスの密閉容器に葉を漬けたアルコールとシロップを入れ、ボトルに移し、冷蔵庫で30日寝かせる。

レモンの葉15枚で作るリモンチェッロ。
もったいなくてレモンの葉っぱはもう捨てられない。
ベランダで鉢で育てるレモン。


育てるのは大変かもしれないけど、育てたら使いみちはたくさんある地中海の植物。
イタリアの園芸店、超楽しそう。

畑を耕しながらレストランを経営するシェフは多い。

自らを農民料理人と名付けたシェフの本

ピエトロ・パリージ
/クオーコ・コンタディーノ


テレビで人気者になったこのシェフは畑を耕して家畜を育てた。

彼の本は、畑の作物のリチェッタを季節ごとにまとめている。
ジョルジョーネ/オルト・エ・クチーナ

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2021年2月8日月曜日

灰ににんにくを入れてパプリカを焼き、炭にバジリコを入れてトマトを焼く。トスカーナの星付きシェフのアイデア。スパゲッティ・ブリュレって?

今時のイタリア風バーベキューは、野菜を焼くときも、よく知ってる野菜のグリルとはちょっと違う。
リチェッタは今月の「総合解説」P.33にあります。
まずはレタス。
トマトピューレとマスタードを葉の間に塗って塗ってキムチみたいに2時間乳酸発酵させてから焼く。
トマトで乳酸発酵させると旨味が増す、と気がついたようです。
次はパプリカ。
網にのせて蓋をして柔らかくなるまで焼いたら紙袋に入れて蒸らし、皮をむく。
パプリカのロースト↓

基本中の基本だけど、トメイシェフのリチェッタにはちょっと違うことが1つありました。
それは、灰のあまり熱くない場所に皮付きにんにくを埋める、というもの。
どういう結果になるのか、ぜひお試しを。
次はパスタです。
パスタのグリルって、想像もつかないけど、英語でグリルじゃなくてフランス語でブリュレって言うと、なんとなく想像できたりして。
パスタ・ブリュレpasta brûlé。
パスタはマカロニタイプのショートパスタです。
これをゆでて、チェリートマトと一緒に網にのせて約10分焼いて焼き色を付けます。
網の上でトマトとマカロニを混ぜ、こちらは炭にバジリコを入れて香りをつけます。

動画は見つからないので、おそらくトメイシェフのオリジナル。
焼きミニトマトのソースのブカティーニ↓

ミニトマトは開いてオーブンで30~40分焼いてから、小さく切って水気を切る。
にんにく、オレガノ、砂糖と塩少々、唐辛子、バジリコを加えて煮て、トマトソースにします。生トマトのソースとは違う味になるそうですよ。
ブカティーニの食べ方が、お見事でした。

マカロニ・ブリュレを探していたら、スパゲッティ・ブリュレという料理がたくさん見つかりました。
ミートソースであえたスパゲッテイにホワイトソースをかけてモッツァレッラをのせ、オーブンでこんがり焼くらしい。



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総合解説
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2021年2月7日日曜日

トマトをレタスの中で発酵させるとキムチみたい。それをグリルすると、バーベキューのイタリアンなサラダに。

今日のお題はバーベキュー。
今月の「総合解説」P.33~の記事の解説です。
リチェッタを提供したのは、バーベキューの王様と呼ばれている、クリスティアーノ・トメイシェフです。レッコの星付きレストラン、リンブートのシェフです。
司会者に店の料理を短く紹介して、と言われて、語る語る(www)。
イタリア人のシェフに短く、なんて言って盛大にフラグ立ててるよ。
彼がどんだけバーベキューに情熱かけているのか、知らなかったようですね。
『クーチナ・イタリアーナ』のシェフの紹介欄には、「人類の文明は火を発見することによって大幅に前進した、と語り、グリルが大好き」と紹介されているくらい、火の信者のようで、薪も炭も使いこなすんだそうですよ。

そんな彼が今回披露したリチェッタは、レタスのサラダからパスタ、デザートまで、全部バーベキュー料理です。

トスカーナでバーベキューと言えば、ビステッカ・フィオレンティーナ。
下の動画はルッカの自宅でビステッカを焼くシェフ。テンション高めの人でした。

1品目のレタスは、レタスをトマトペーストとマスタードでマリネすることによって発酵させ、これをレタスに詰めて2時間以上マリネしてレタスを柔らかくしながら風味を強くする、という調理方法。
発酵トマトpomodori fermentati/ポモドーリ・フェルメンターティ

・殺菌消毒した密閉容器にミニトマトとバジリコを入れる。
・ホエイ30ml(あれば)に塩小さじ1を溶いて水少々を加える。
・これをビンのトマトにかけて水で覆う。
・蓋をして密閉し、3日発酵させて冷蔵庫に入れる。

トマトペーストのフェルメンタートconcentrato di pomodoro fermentato

材料/
ミニトマト・・3kg
粗塩

・縦に半分に切って大きなボールに並べる。
・粗塩を散らしながら重ねる。
・重い重石(動画では約12kg)を入れたボールをトマトにのせる。
・約3時間漬けて水分がたっぷり出たら水気を切る。
・皿と重石を載せて表面に均一に重みをかけ、5時間漬ける。
トマトを覆うくらい水分が出たらトマトに塩が行き渡り、発酵が始まる合図。
水気を切り、皿をかぶせて押して皿の下の空気をしっかり抜く。皿は毎回洗う。
・再び重しを載せる。水分は翌日も増えるので、常にトマトが浸かる量は残して多すぎる汁は取り除く。
・虫が入らないように布巾で覆って2日寝かせる。汁が減ったら重石を調整する。
・カビが生えないように軽く動かす。
・重石と汁少々を取りながら7日間漬ける。4、5日すると表面に白いカビが現れるので冷蔵庫に入れる。27、8℃以下を保つ。
・7日漬けたら布巾を敷いて裏漉しする。
・布巾の角を縛って漉し、汁を全部集める。
冷凍して保存する。ミネストラに入れてもよい。

発酵トマトペーストを作るのはかなり大変な作業ですが、今回のレタスのマリネは、これをレタスの中で行う、というなかなか高度なもの。
レタスも発酵トマト水によって発酵し、柔らかく、風味豊かになる。
トマトの赤さでレタスがキムチに漬けた白菜のようにも見える1品。
ひょっとしてシェフはキムチをヒントにこの料理を考えだしたのかも。


バーベキュー料理の本、アッロスト&コーあります。




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アッロスト&コー
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2021年2月6日土曜日

イギリスからの客には故郷を思い出すルバーブを庭園で育ててデザートに。大使館のシェフは、故郷の懐かしい味でのおもてなしも得意。

イタリアのイギリス大使館のVIPのためのディナーメニュー、最後はデザートです。
リチェッタは今月の「総合解説」P.31です。
ゲストは初めてイタリアを訪れたイギリスのキャメロン首相。
デザートはルバーブのコンポートを添えたピスタチオ風味のムラング。
実は、ルバーブというのはとてもイギリス的な食材なんだそうです。

ルバーブのコンポート

イタリアというのはイギリス人から見ると遠い国で、初めてイタリアを訪れたキャメロン首相がルバーブ料理と出会ったら、驚くに違いない、と期待して作ったそうですよ。
イタリア料理ではルバーブはマイナーな食材で、料理に使ったルバーブは公邸の庭で育てていたそうです。
温かい歓迎の意味が込められていたんですね。
イタリアではあまり出回っていないので、食べたい人は育てるしかない。


キャメロン首相の土曜の朝。子供のサッカーを応援して、料理長とサラダを作り、地元の肉屋でソーセージを買う、情熱的で知的魅力的な人物。
人気高そう。

ルバーブを使ったドルチェ以外のイタリア料理のリチェッタの動画を探してみましたが、唯一見つかったのが、鹿ヒレ肉のステーキのルバーブのコンフィとポレンタ・タラーニャ、ルバーブとラズベリーのジャム添え。

山の料理だけど、ルバーブが入るとちょとおしゃれなでインターナショナルな雰囲気に・・・。



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総合解説
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2021年2月5日金曜日

上海のケンタッキーはペキンダックと同じ海鮮醤風味なんだって。中華のソースを使ったローストビーフはイギリス人にも大人気で大使の料理人の自慢の料理。

イタリアのイギリス大使公邸のディナー。
今日は、ビル・ゲイツさんに出したメニューです。
リチェッタは今月の「総合解説」P.30
イギリスの伝統の肉料理と言えば、やっぱりローストビーフ↓

これをスライスしながらサーブするのがこの料理のスタイル。
スライスするのはシェフの役目。

今回のディナーのレシピを、シェフは中華風にアレンジしました。
五香粉風味です。
牛ヒレ肉を五香粉、しょうゆ。シェリー酒、しょうが、スパイスで一晩マリネします。
マリネ液にはサルサ・ホイシン(海鮮醤)入りです。
海鮮醤は、しょうゆ、オイスターソースに次ぐ中華料理の第3のソース。
海鮮という名でもシーフードは入ってません。
北京ダックの調味料として知られるソースです。
これはおいしくない訳がない。
下の動画によると、上海のケンタッキー・フライド・チキンにも添えられているんだって↓

海鮮醤を使った料理↓


イギリスと、世界中のゲストの故郷の味をアレンジさせる才能に溢れた大使館のシェフ。
イギリスと中華のミックス、五香粉風味のローストビーフは、ビル・ゲイツも気に入ったに違いない、シェフの鉄板メニューだったんですね。
次はデザート。
公邸で一番人気のメニューだそうです。


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総合解説
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生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...