2013年12月30日月曜日

レンズ豆とザクロ

クリスマス前に紹介した動画、缶詰の豆を使った白いんげんの小鳥風、作ってみたら超簡単にトスカーナの味になっちゃっいましたよー。
こちらのページ

リチェッタを調べてみると、にんにくとセージ風味がトスカーナの白いんげん料理の基本のよう。

年末年始のイタリアの豆といえば、食べると小金が貯まるというレンズ豆。
栗きんとんとレンズ豆をダブルで食べれば、小金、貯まっちゃうかなあ。

レンズ豆って意外ときれいですねえ。




これこれ、イタリアンの新年は、レンズ豆に埋もれたコテキーノ見ないとなあ。




お馴染み、ジャッロ・ザッフェラーノのコテキーノとレンズ豆。




イタリアのレンズ豆と言えばカステルッチョ産。
これは昔ながらの伝統的な脱穀風景。
お疲れ様です。




こちらは馬を使った脱穀。
楽しそう?




豊穣をもたらすザクロも、毎年恒例の縁起物。




取り合えず、私のブログは毎年、レンズ豆とザクロ(の写真)で、新年はみなさまに小金がたんと貯まりますようにとお祈りさせていただきます。
今年も一年、ありがとうございました。
それでは、よいお年を!


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2013年12月26日木曜日

『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』


今日は新入荷の本のご紹介。

“イルストラーティ”シリーズの本、『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』です。


このシリーズは、料理研究家2人とカメラマンの3人組の料理書で、特に写真の空気感が独特で、とても美しい本です。
今回はローマ料理の本ですが、料理研究家の一人とカメラマンがローマ在住なので、満を持してという感じで、これまでにも増して写真が素晴らしいです。

例えば、どんな写真かと言うと、この本のアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノの写真を見てください。
こちらの左半分の4枚。
なぜか4コマ漫画のようなストーリー仕立て。
で、実際にアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノを作っ食べてみると、あなたもまさにこの女性と同じ4コマを体験するんですよー。
それに気が付くと、超楽しい。

1.まずは、どれどれ、どんな味かなー。
2.お手並み拝見ですね。
3.パク、もぐもぐ。んー、なかなか美味しいんじゃない。
4.アッ、きた~、カラッ!

ハハハ、絶対同じ顔するから。
まったく、こんな料理書見たことない。
さらに、右隣の写真は、アッラッビアータの写真。
二人の子供が、フォークでペンネの取り合いをしているというほほえましいもの。
演技じゃなく、ほんとにみんなこのパスタが大好きだってことが、ストレートに伝わってきます。

この本の料理の写真には、それを食べる人や作る人がたくさん人が登場します。
パスタを前にして、おじさん、おばさんから子供まで、これだけリラックスした姿をカメラマンにみせるとは、地元の人同士ならでは。

この本の序文は、こんな風に始まります。

「ローマ料理とラツィオ料理は、隣り合い、混ざり合っている。
違うけれど同じなのだ。
すべての道はローマに続く。
人も、物も、伝統も、ローマへと運ばれる。
ローマの外には大地があり、ローマの中には民衆の料理がある」

そして、この本で取り上げている料理は、この文章を証明するかのような、ラツィオの大地が生み出したローマの民衆の料理です。

最初の料理は、ピッツァ・エ・フィーキ。
生ハムといちじくをはさんだピッツァ・ビアンカです。

「“ピッツァ・エ・フィーキ”は、もはや単なる料理ではなく、いわばローマのアイコンだ。
ローマの歴史と伝説に強く結びつき、もっとも愛されている。
とてもシンプルな、まさに天才の発明だ」

いちじくと生ハムのピッツァをこよなく愛する身としては、これだけの賛辞も、すんなり受け入れられます。
とにかく、こんな調子で、正真正銘ローマっ子の大好きな料理を集めた楽しい本です。


生ハムとイチジクのピッツァならガブリエレ・ボンチ。







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2013年12月23日月曜日

冬至カボチャのトルテッリ

昨日、スーパーで野菜売り場の前を通りのかかったら、冬至にカボチャを食べると風邪ひかないから食べましょう、というPR。
ん?冬至?
12月22日だったかあ。
冬至といえば、クリスマスは元々は異教の冬至のお祭りだったんだっけなあ。
世間は大分クリスマスで盛り上がってきたみたいだから、カボチャでも食べとくかあ。
というわけでカボチャ買って、グリルチキンの付け合せにしようと、マッシュカボチャにしたんです。
こんなイメージで。
 ↓


が、それをみて思ったのが、これをパスタで包めば、マントヴァ地方のクリスマス料理、カボチャのトルテッリになっちゃうなあ。



というか、カボチャのトルテッリの詰め物を、マッシュカボチャにしたら美味しそう。

と言うわけで、カボチャのトルテリの詰め物って、どうやって作るんでしょうか。




うーん、たっぷりのアマレッティとりんごのモスタルダがポイントのようだけど、残念ながら入手は不可能。

こういう地方料理でも、全国の家庭に普及している料理は、地方ならではの食材がなくても、手軽に経済的にできるようにイタリアのお母さんたちは工夫しています。
そんなリチェッタがたくさん載っている本が、『マンマミーア』。
とても役に立ちます。


それでは、マンマミーアのカボチャのトルテッリのリチェッタをどうぞ。


カボチャのトルテッリ Tortelli di zucca
材料:4人分
 00タイプの小麦粉 ・・200g
 卵・・1個
 卵黄・・2個
 EVオリーブオイル・・大さじ1
 種を取ったカボチャ・・250g
 玉ねぎ・・1/2個
 アマレッティ・・2個
 バター・・80g
 おろしたパルミジャーノ・・大さじ2
 野菜のブロード・・200ml
 ナツメグ
 ベーコン・・2枚
 セージ
 
 塩、こしょう

・パスタを作り、ラップで包んで冷蔵庫で20分休ませる。
・玉ねぎをみじん切りにしてバター30gで炒める。小角切りにしたカボチャを加え、沸騰したブロードをかけながらゆっくり煮る。
・カボチャが柔らかくなったらアマレッティと一緒にミキサーにかける。パルミジャーノ、ナツメグ、塩、こしょうを加える。
・生地を薄く伸ばし、詰め物を2cm間隔に並べる。別の生地をかぶせて縁を押して閉じ、カッターで切り分ける。
・ベーコンを拍子木切りにして残りのバターとセージで脂を溶かすように炒める。
・トルテッリをゆでてゆで汁少々と一緒にパンチェッタのフライパンに入れ、なじませる。


さーて、これを日本の主婦は、身近で手に入る材料でどう作るか。
とりあえず、きのうのマッシュカボチャにパルミジャーノを足してみようっと。



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2013年12月19日木曜日

マンマのトリッパ

今日はイタリア便りです。
segnalibroさん、grazie。
お元気ですか?
それではお願いしま~す!


クリスマスが近づいてきました。




今年のミラノDUOMO前のクリスマスツリーが、黄色いデコレーションな訳は・・・
 




スポンサーが、国際輸送のDHLさんだから。ツリー横に臨時オフィスも設けています。

あっ、今まで見過ごしていましたが、最近はやりのオモシロ交通標識、ミラノにもありました。




写真ダメダメですね。フィレンツェに拠点を置く、フランス人アーティストCLETさんの仕業です。

CLETさんのFaceBookよりお借りした写真がこちら。





この人のグッズ、フィレンツェまで買いに行きたいなぁ。

 

さて、お料理上手な友人宅へ行ったら、ちょうど夕食の準備中でした。

今夜はトリッパの煮込みだとか。








ちょっぴり味見させてもらいました。

こしょうをふって、





たっぷりのパルミジャーノをかけて、クロスティーニを添えて、いただきまーす。





トリッパって美味しいんですね。知らなかった。

以前、どこかで食べたトリッパは、臭みのあって歯ごたえがゴムみたいだったので、それ以来、美味しくないものだと誤解していました。

これは、ぜひともまた食べたい。

実は私、イタリアに来るまで、パスタをゆでたことなかったんです。

美味しく作れないのに材料費はかかるし、イタリア料理は外食するものだと信じていました。

そんな私に、イタリアマンマの味を教えてくれた彼女は、とても有難い母のような存在です。

しかーし、教えてもらった通りに作っても、彼女の味とは程遠い仕上がりになってしまう・・・。

なぜだー?

年季が入ったマンマの味は、そう簡単にはマネ出来ません。

なので、最近は、食べたいものがあれば食材を持って家に押しかけ、教えてもらう・・・いや、正確に言うと、作ってもらうことにしています(笑)。

彼女が作るお料理は、豪快で美味しいんです。

今回、購入したトリッパは約2キロ。ちなみに、旦那さんと息子さんとの3人家族です。

そういえば彼女、前日まで胃炎で寝込んでいましたが、トリッパは牛の胃・・・これはある意味、胃に対する復讐か?





ゆでたトリッパをお土産に頂きました。塩&レモンで食べるように、とのこと。

それ以外にも、いろんな調理済み食材を袋いっぱいにもらって、家路につきました。

数日はお料理しなくても、おいしいおかずにありつけます!やったね!!



今回もありがとう。

さーて、突っ込ませていただきますよー。
今回もつっこみ所色々あるなあ。

まず、さらっと書いてあるけどCLETさんて誰?
と思ったのは私だけではないはず。

こちらに詳しく書いてありました。
話題のアーティストなんですね。
知らなかったー。

ご友人のキッチン、ピッカピカですねー。
お鍋の隣はエスプレッソメーカー?
すごく素敵。

次は、トリッパって美味しいんですね。知らなかったって、あーた、トリッパって美味しいんですよ。
よかったですねえ、美味しいのに出会えて。
私も味見したーい。

あと、きょう一番の衝撃のカミングアウト。

イタリアにくるまでパスタをゆでたことないっ!?
ひょっとして、赤ちゃんのうちにイタリアに行ったんですかあ?
普通の日本人で、こういう人がいるなんて、考えてもみなかったよー。
まあ私も、パスタと言えば、バイト先の喫茶店のマスターが作るナポリタンが世界で一番美味しいと思いながら青春時代を過ごしてきたけど。
歳バレた?

今時の若者は、いったいいつ、初めてパスタを自分で作るんだろうか。
そしてそれは、どんなパスタかなあ。
やっぱりペペロンチーノかカルボナーラっすか?

それにしても、大先輩のイタリア在住スタッフ、ポモドーロさんによれば、クリスマスから新年にかけて、イタリアの主婦は料理を作り続けるんだそうで、大変ですねー。
日本もイタリアもおんなじですねー。
みなさん、お体に気を付けて、頑張ってくださいねー。




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2013年12月16日月曜日

カンネッリーニ

うー、サブくなってきましたねー。
こんな日は、あったか~い豆のスープでも食べたいなあ。
豆といえば、最近、うちの近所のスーパーで、カンネッリーニの缶詰売るようになったんですよー。
いつもスープなので、そろそろバリエーション増やしたいなあ。


生のカンネッリーニ、小粒できれいな白い豆。

harvest 2009: heirloom cannellini beans


カンネッリーニとレモンの白いディップもきれいだなあ。

lemon-dill cannellini dip


ラムチョップとカンネツリーニ。
タンパク質もばっちりだし、美味しそう。


Barnsley chop with cannellini bean and caper salad, Dartmouth Arms, Forest Hill, London SE23


個人的にカンネッリーニのパスタは、プーリアのカヴァテッリとムール貝が最高。
カヴァテッリは豆と同じ大きさの小粒に仕上げて、一見豆だかパスタだかわからないぐらいが楽しい。

この動画はカンネッリーニとムール貝だけど、パスタがアブルッツォのもの。



パタスもいいなあ。
ムール貝の代わりにアサリでもいいよね。

カンネッリーニとムール貝のスープ




パスタは折ったスパゲッティでもいいですね。

あ、そうだ、カンネッリーニといえば、トスカーナに有名な料理があった。
ちなみにトスカーナではカンネッリーニのことをトスカネッリと呼びます。


白いんげんの小鳥風。
 ↓



な、なんと、缶詰使うと超簡単!
これでいいの?
こりゃあいかにもな家庭料理ですねえ。

こちらのwikiのページによると、小鳥風という名前は、豆が小鳥に似ているからじゃなくて、セージの香りが昔の高級料理の小鳥料理に似ていたからだって。
だから、セージを入れないと小鳥風にならないんですねー。



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2013年12月12日木曜日

イタリアの家庭料理風ローストチキンとフライドチキン

チキンの話、まだ引っ張りますよー。
だって、鶏肉の話なんて、今しなかったらいつやるの?

という訳で、もっと簡単にできるリチェッタはないかなあ、という時に、とても頼りになる本、『マンマミーア』を探してみたら、ありました。
詰め物がチョー経済的なカッポーネのリピエーノ。
イタリアのおふくろの味は、どんなチキンかなあ。


カッポーネ・リピエーノ  Cappone ripieno
材料:6人分
 去勢鶏 ・・1羽
 バター・・120g
 アンチョビ・・8枚
 レモン・・1/2個
 マルサラ・・リキュールグラス1
 ナツメグ
 塩、こしょう

・鶏を掃除して胸の骨を外す。
・バター100g、掃除して刻んだアンチョビ、レモン汁、ナツメグ、塩、こしょうを混ぜて濃いクリームにし、鶏に詰めてタコ糸で縫って閉じる。
・表面に残りのバターを塗ってオーブンに入れる。
・低めの温度で3時間焼く。
・この間、鶏から出た脂とマルサラを混ぜて時々鶏に塗る。
・輪切りにしてサーブする。


ローストチキンもアンチョビとレモンとマルサラで、イタリアンですねー。
簡単ついでに、フライドチキンのリチッタもあったので、どうぞ。
フライドチキンは、どうすればイタリアンになるのでしょう。


鶏もものフリット、バルサミコ酢のソース Cosce di pollo impanate e ristretto balsamico
材料:4人分
 鶏もも ・・8本
 パン粉・200g
 卵・・1個
 ローズマリー
 00タイプの小麦粉・・大さじ1
 バルサミコ酢・・大さじ8
 砂糖・・10g
 
 トマト・・2個
 EVオリーブオイル・・大さじ2
 揚げ油
 
 塩、こしょう

・ももの皮を取り、縦に包丁を入れて肉を骨からはがし、下に下げる。
・骨の先端を切り落とす。反対側の肉を手で押さえてまとめる。
・タイムとローズマリーをみじん切りにしてパン粉に加える。
・肉に小麦粉、卵、パン粉をつけ、再び卵とパン粉をつける。
・たっぷりの高温の油で揚げる。
・仕上げに180度のオーブンで5分焼く。
・バルサミコ酢に砂糖を加えて2/3に煮詰め、冷ます。
・トマトは種を取って刻み、塩、油、こしょうで調味する。
・トマトの上にももを盛り付け、バルサミコ酢のリストレットをかける。


なるほど、香草、トマト、バルサミコ酢かあ。


そうそう、ケイスケ・ホンダがミランに移籍ですか。
オメデトウ。
しっかり実績残せますように。



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2013年12月9日月曜日

カッポーネ、カピトーネ

クリスマスが近づくと、がぜん注目を浴びる食材、去勢鶏。
イタリア語ではカッポーネcappone。

この日のためにコロコロに太らされて、

Cappone


ご馳走になるのです。
ゴージャスな丸焼きローストとか、

Cappone semidisossato ripieno


美味しいスープになったり。

brodino di cappone


ちょうど今頃の季節、毎年ピエモンテで開かれているカッポーネ品評会。




クリスマスの去勢鶏料理の定番は詰め物入りロースト。
超めんどくさいこの料理を7分で紹介。




七面鳥もイタリアのクリスマスの定番料理。

Tacchino dibbestia


ロンバルディアのクリスマス料理、カホヂャのトルテッリ。
下の写真はダル・ペスカトーレの一品。

Tortelli di Zucca (Zucca, Amaretti, Mostarda e Parmigiano Reggiano) (un classico del Pescatore)


ナポリはカピトーネ(大ウナギ)料理。

capitone


下の動画もナポリ料理、ウナギのマリネだって。



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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』、“クリスマス料理”の記事の解説は「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年12月5日木曜日

地中海料理と世界遺産

和食が無形世界遺産登録ですか。
これはおめでとうございますということなのか、いまいちよくわからなーい。
これを機に輸出が増えれば、という話を聞くたびに、違うんじゃないかなあ、と思います。

ちなみに、地中海料理は、正確には地中海式ダイエットは、2010年11月に登録されてます。
そのときの話はこのブログのこちらのページに。
数か国が共同で提案した話だったし、イタリアがリーダーじゃなかったせいか、イタリアを初め地中海諸国で、そんなに盛り上がった印象ないなあ。

そもそも、地中海式ダイエットって何?
いい機会だから、ちょっと思い出してみましょうか。




アメリカ人のアンセル・キーズ博士が提唱した、地中海地域の食事は、心臓疾患を減らす効果がある、という長年にわたる研究結果が元になっています。
コレステロールを減らす、という発想が初めて広まった研究でした。
このブログでも、アンセル・キーズ博士のことは取り上げています。
こちらのページ

イメージが先行する“和食”と比べると、かなり科学的、実際的なもの。


スペイン目線の世界遺産としての地中海式ダイエット。
一緒に世界遺産に立候補したギリシャやモロッコのこともフォローしてます。
 ↓






これ↑は、ちょっと感動的な地中海料理のPVに仕上がってますねー。
世界遺産に登録されたことによって、地中海の人たちの自国への愛と誇りはかなり高まったようですよ。
世界遺産に登録されたからブームに乗って金儲け、なんて考えとは無縁で、おいしいものを食べて楽しく生きて、故郷と家族をとことん愛して、地中海の人たちは、幸せそうだなあ。








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2013年12月2日月曜日

バーニャ・カウダのバリエーション

今日(12月2日)は、google.itのトップのロゴ絵がマリア・カラスでした。
何かなあ、と思ったら、彼女の誕生日だったんですね。
生誕90周年だそうです。
イタリア人に愛されてるなあ。

今日のお題は、新ワインのお祭りだけでなく、クリスマスシーズンにもぴったりのパーティー料理、バーニャ・カウダの続きです。

Bagna cauda: the fixin's

このテラコッタの鍋は、fojòt(フォィヨッ)。
この人は5ユーロで買ったそうです。
フォンドゥータにも使えます。

Bagna cauda: the fojòt


エッグスタンドに入れてもこんなにかわいい。
プチ・バーニャ・カウダ。

Bagna Cauda


壮観のバーニャ・カウダ祭りが始まる前。


Verdure miste

村中総出か?

Tavolatone


アーダ・ボーニの『la cucina regionale』によると、
バーニャ・カウダのリチェッタは
・鍋にバター200g、オリーブオイル、にんにく4かけのみじん切り、洗って骨を取って小さく切った塩漬けアンチョビ6尾を入れてとろ火にかけ、かき混ぜながらアンチョビを溶かす。
・塩で調味して削った白トリュフを加える。
・熱々を卓上鍋に入れてサーブし、生のカルドン、セロリ、パプリカなどを浸して食べる。

となっていますが、これは一昔前のリチェッタで、今では数多くのバージョンがあります。
例えば、ジャッロ・ザッフェラーノでは、(こちらのページ)

・スペイン産アンチョビ100gを赤ワイン1カップでさっと洗って骨をとる。
・にんにく7かけをみじん切りにし、牛乳1/2カップに1時間浸してマイルドにする。
・小鍋ににんにくと牛乳を入れて弱火にかける。
・テラコッタの浅鍋にオリーブオイル1/2カップとバター50gを入れて沸騰しない程度に熱し、にんにくと牛乳を加える。
・良く混ぜてにんにくが完全に溶けたらアンチョビを加え、かき混ぜながら最低20分煮て溶かす。アンョビが溶けたら出来上がり。

こちらは生クリーム入りバーニャ・カウダ。




なんとバーニャ・カウダを練り込んだ麺。

Pasta Bagna Cauda


イカのフリットとバーニャ・カウダ

CALAMARI FRITTI CON BAGNA CAUDA


アイデア次第で楽しいパーティーになりそうですね。


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2013年11月28日木曜日

バーニャ・カウダと新ワイン

カルド・ゴッボの記事を訳していたら、カルド・ゴッボが欠かせないバーニャ・カウダはそもそも、新ワインのお祭りの時に食べるものだった、という話を発見。
あー、ちょっと遅かったなあ。
来年のヌーヴォーに添える料理は、バーニャ・カウダに決定。
もちろん、新ワインと言っても。、マチェラツィオーネ・カルボニカで人工的に作った新ワインじゃなくて、純粋にその年で一番最初のワインだろうけど。
日本のワイナリーでは、新ワイン祭りなんてやらないんでしょうか。

そういえば、バーニャ・カウダは大勢でワイワイやるのにぴったりの料理でした。

Bagna cauda


Cuisine #twitterveiling


バーニャ・カウダとカルド・ゴッボ祭り




カルド・ゴッボの産地として知られるニッツァ・モンフェッラートの収穫際の主役はトリュフ、カルド・ゴッボ、バルベーラなんだそうです。
11月初旬ですが、人々はすっかり冬の服装。
バーニャ・カウダに添える野菜も冬野菜です。




今年の日本みたいに秋が短くてすぐ冬になると、新ワインや新オイルでお祭りしたくなる気持ちがよーくわかります。
これで冬が寒くて長かったりすると、復活祭、したくなるかも。

次の動画は食材店のオープンを知らせるものですが、冒頭にカルド・ゴッボの栽培風景が出てきます。
カルド・ゴッボは、猫背のカルドンという意味で、カルドンをぐいと曲げて一部を土で覆って軟白栽培します。
外見はセロリみたいですが、味はアーテイチョークに似てるんだそうです。
生で食べることができるただ一つのカルドン、というのがキャッチフレーズ。




秋が短いピエモンテにも、こんなに美しい紅葉の景色がありました。

Untitled


こちらはバルベーラの畑。

Strada Cocconato

来年の秋まで待てない。
今晩、バルベーラ・ダスティ飲みたくなってきた。

Feierabend





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2013年11月25日月曜日

幸せな日なので

突然ですが、大切な知人に赤ちゃんが誕生したんです。
もう大感激。
おめでとう。
君は、銀の匙くわえて生まれてきたよー。


アウグーリ!




すべての新ママに捧げます。
 ↓



君が生まれてきたおかげで、おばちゃんは、今日は朝からとっても幸せです。

そうだ、今日は仕事しない日にしよっと。


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2013年11月21日木曜日

ノヴェッロの季節

今年もボジョレー・ヌーヴォーの解禁日がやってきましたなあ。
で、毎年思うんですが、イタリアのノヴェッロはどうなってんの?
今年も露ほども話題に上がりませんねー。
そもそも、ノヴェッロって、いつ解禁だっけ?
11月6日?
え、今年から10月30日になってたんですか?
なんだか早すぎて、先物感がいまいちだなあ。

イタリアの料理雑誌では、ヌーヴォーの話題を取り上げるたびに、vino novello とvino nuovoは違って、novelloは単なる新しいワインじゃないですよ、特別の製法をしてるんですよ、という解説が必ず入ります。
なので、いまだに全然普及してないんだなあと感じます。
もっとも、その年初めてのワインと言う意味の新ワインは、各地でお祭り騒ぎで歓迎されています。

こちらのwebページによると、ノヴェッロの生産量は2002年がピークで、それ以来減少しているんだそうです。
ただでさえ少ない生産者がますます減っては、魅力的なノヴェッロが生まれる可能性も減るばかり。
ノヴェッロはもはやトレンドではない、と言い切ってますよ。
盛り下がってますねー。
業界が儲けるために作った商品なのに、業界も売る気なくしちゃうなんて、ある意味イタリアらしいなあ。

こちらのwebページによると、イタリアのノヴェッロの中心地は北部~中部。
生産量が多いのはヴェネト、次いでトスカーナ、トレンティーノ=アルト・アディジェの順。
南部の中心地はプーリア。
ブドウ品種は1/5がメルロー、次いでサンジョヴェーゼ、カベルネ。

新ワインと言えば、焼き栗ですよね。
毎年大盛況のプーリアの新ワインと焼き栗のお祭り。
 ↓



カルダッロステの作り方。
 ↓


ピッツァ用の薪のかまどでもできますよ。
 ↓




焼き栗だけでなく、栗を使った料理全般がノヴェッロと合うみたい。
栗のピッツァを作った店もあります。
リフージョ・グリエルミーナのマロングラッセとラルド。
栗の粉のマレンマ風トルテッリ

美味しそうだなあ。
私は今年も、焼き栗をつまみにボジョレーヌーヴォーを飲むのです。



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2013年11月18日月曜日

トルテッリーニ・イン・ブロード

トルテッリーニの本場はボローニャとモデナの間で争われています。こちらのwikiによると、ボローニャの商農工会議所にはトルテッリーノ信者会とイタリア料理アカデミー監修のリチッタが記録されているそうです。

トルテッリーニの生地は、他の同じような詰め物入りパスタより薄く伸ばして小さく成形するのが特徴。
これはビーナスのおへその形を模したもの、というのは有名な話。
元々は、貴族の料理の残り物を再利用した質素な料理だったのですが、ビーナスのおへそと言われると、なんだか素敵なもののよう。

ボローニャ流のトルテッリーニの作り方。
かなり伝統に忠実です。



詰め物はモルタデッラ・ディ・ボローニャ、豚ロース、生ハム、パルミジャーノ、ナツメグ、塩。
生地は小麦1㎏につき卵12個。
生地は3~4㎝角の正方形にカット。
中央に詰め物をのせて三角形に閉じ、底辺を人差し指に巻きつけて角を合わせて閉じる。

ジャッロ・ザッフェラーノの丁寧で詳細なリチェッタ。




整形するときの手つきが、最初の動画のベテラン職人さんとはやっぱり違いますね。
ブロードはブロード・ディ・カルネか去勢鶏のブロード。

家庭料理の本、『マンマミーア』にもリチェッタがありました。





トルテッリーニ・イン・ブロード Tortellini in brodo
材料:4人分
 00タイプの小麦粉 ・・400g
 卵・・5個
 モルタデッラ・ディ・ボローニャ・・100g
 生ハム・・100g
 豚ロース・・100g
 パルミジャーノ・・120g
 ナツメグ
 ひね鶏と去勢鳥のブロード・・2リットル
 塩



・豚ロース、モルタデッラ、生ハムを細かく挽いて均質の生地にする。おろしたパルミジャーノ、卵1個、塩少々、ナツメグを加える。
・小麦粉と卵4個でパスタの生地を作り、丸くまとめて30分休ませる。 薄く伸ばしてカッターでリボン状にカットし、3センチ間隔に詰め物をのせる。
・詰め物の間を切り離して正方形にし、半分に折って三角形にする。底辺を人差し指の周りに巻きつけてしっかり留め、乾かす。
・沸騰したたっぷりのブロードでゆでる。ほぼ火が通ったら火を詰めて2分休ませる。
・スープチューリンに注ぎ、好みでパルミジャーノを散らす。



カルロ・クラッコのクールにしたいならエシャロットを使う』にもありました。
一番上級のレベル3の料理です。

この本で彼は、
「イタリアの伝統では、トルテッリーニはクリスマスのシンボルで、ラビオリのように他の国の食文化にも見出せるパスタと違って、もっともイタリア的なイタリアならではのパスタだと思う。
ビーナスのへそに似せて作ったといわれるからには、へそより大きく作ってはいけない」
と書いています。

バリエーションはたくさんあるけれど、彼が選んだのは、
生地は卵たっぷりで、詰め物には雌の雉肉を使ってデリケートで軽めにしたトルテッリーニ。
そしてなんと、ブロードは干し栗とポルチーニ。
ほのかに甘い栗のブロードとパスタの味の組み合わせがポイントなんだそうです。
ロゼのシャンパンが合う一品だそうですよ。

トルテッリーニはとても小さくて細かい作業。
指に巻くのではなく、指の先端に巻きつけてます。
やっぱりグランシェフは手先が器用なんですね。
小さければ小さいほどいいんだそうです。




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2013年11月14日木曜日

トルテッリーニを巡る家族の姿

今日はクリスマスのプリーモ・ピアットの話。

イタリアでは、クリスマスのパスタは詰め物入りパスタが伝統的ですよね。

クリスマスは、すべての人が愛を与え、そして受けるべきことを感じることができる祭り。
そのためにご馳走を作ってツリーを飾り、プレゼントを交換するんでした。

だから、クリスマスのプリーモ・ピアットも、地方によって様々なものがありますが、根底に流れているのは、愛を感じるということ。
その点、詰め物入りパスタのように、面倒で手が込んでいる料理は、ふだん料理しない人から見ると、作る人の愛情がいーっぱい詰まった奇跡のような料理です。
クリスマスに食べないで、いつ食べるの!?

と言うわけで、今日は軽く、詰め物入りパスタの中でも代表的なトルテッリーニとラビオリの話でも。

初めて作ったトルテッリーニでどや顔。
 ↓
Tortellini


下の写真は、上のおじさんのおかあさんが作ったクリスマスディナーのトルテッリーニ・イン・ブロード。
トルテッリーニの数にお母さんの愛情を感じるし、どーんとアップの写真に息子の愛情を感じました。
いいクリスマスだなあ。

Il servizio buono


次の写真はエミリア・ロマーニャのクリスマスのテーブル。
やっぱりトルテッリーニ・イン・ブロード。
チーズ入れがパルミジャーノのホールの形でカワイイなと思ったら、パルミジャーノ・ポットの名称で日本でも売っていた~。
パルミジャーノ・レッジャーノ管理組合が作ったチーズの販促製品なんですねえ。
こちらのページ
この管理組合の宣伝活動は、いつも斬新ですよ。
不思議なものが多いけど、今回は当たったようで。
よく見ると奥のパンは、パスタ・ドゥーラという生地を使ったエミリア・ロマーニャ地方独特のパンのよう。

Reggio Emilia 07 Tortellini e parmiggiano


パ、パ、パ、パパルミジシャノ、レ、レ、レ、レ、レ、レ、レジャノ、パ、パ、パ・・・
誰か止めて。
 ↓




点がーつ足りない(笑)。




お口直し動画。
トルテッリーニ・イン・ブロードを食べる父と娘たち(多分)。
 ↓



誰に見せるためにアップしたのかなあ。
お母さんかなあ。
妄想が広がっちゃうなあ。


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』、トルテッリーニのリチェタを含む“エミリア地方のクリスマスの詰め物パスタ”の解説は、「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年11月11日月曜日

公共サービス

どうしてるかなあと思ってたら、イタリア便りが届きました。
Grazie! Segnalibroさん。



すっかり冬の気配が漂う北イタリアです。

strada

近所のスーパーまでは徒歩10分。
こんなまっすぐな道が続いています。
とても見通しが良いからか、『あなた、この前歩いてたの見たわよ』と、知らないイタリア人にスーパーで話しかけられたりします。
キョトンとしていると、『去年と同じジャケット着てたから、間違いないわ。あれはあなたよ』 私の数少ないワードローブ、把握されているみたいです(苦笑)。

さて、スーパーに行く途中で見かけるこの植物に、実がなっていました。 これはいったい何だろうって気になっていたんです。

zucchini spinosi


ここは、市が管理する貸農園。リタイアしたシルバー世代を対象に、1区画(15~20㎡位)を年間50ユーロで貸し出しています。

orto


現在、畑には、キャベツやブロッコリー、フィノッキオなどの冬野菜が満載です。

verza


finocchio



日本のように、畝を作っている人をみたことがありません。
そういえば、鍬を使っているのも見たことがなく、みなさん、シャベル(関西で言うところの、大きなスコップ)で土を掘り返していました。
で、気になっていた野菜の正体は、ハヤトウリのようです。


zucchini spinosi


イタリア語で zucchini spinosi (とげのあるズッキーニ) と言うのだと、育てているステファノさんが教えてくれました。 彼は、シチリアのアグリジェント出身。
16歳の時に彼女を連れ、仕事を求めてミラノへ出てきたそうです。
奥さんはもちろんその時の彼女。
『Nonni buoni Paese suoi(仲のいい老夫婦は、同郷のカップル)』だと、笑いながら話してくれました。
ハヤトウリは皮をむき、ソテーにしたりミネストローネに入れたりするそうですが、一番のお勧めは、薄く切ってハムやチーズを挟んでオーブンで焼く、というもの。
セコンドとしていただくそうです。

ところで、私は先月から、市の主催する外国人の為のイタリア語講座に通い始めました。
授業は、数年前まで使っていた小学校の旧校舎で行われます。

scuola


10月~来年の5月までの毎週3時間、授業料は20ユーロ。
ちなみに、去年までは15ユーロでした。
終了すると、履歴書にも書けるという、修了証がもらえるそうです。
クラス分けテストの日、集まった半数は筆記用具を持ってきていませんでした。
テスト用紙が配られると、アルファベットは読めません、とカミングアウトする人がいたり、生徒が問題用紙を広げる机に腰掛けながら、テストについて説明するイタリア人の先生は、市からの資料をすべて忘れてきたため、私の資料を貸してあげたりと、予想通り、波乱万丈な滑り出しでした。
つっこみどころは満載なものの、私のクラスはいいかんじにまとまっていて、そのうち仲良くなったら、モロッコ人のカディーシャに、おいしいクスクスの作り方を教えてもらいたいと、密かに夢見ています。




イタリアでも、黄色だけじゃなくて赤い紅葉が楽しめるんですねー。
きれいですねー。
それに、突っ込みどころは他にもありますよー。

「気になっていた野菜の正体は、ハヤトウリのようです」
と、見たこともない超ディープな野菜の名前をさらっと言うsegnalibroさん、あなた何者?
ハヤトウリって、日本のどこかの地方では一般的な野菜なんでょうか。
“シャベル”に関西限定の謎の解説つけてるところから見て、多分、関西系でっしゃろ。
外国暮らしが長い人は、時々、フォローの仕様もない謎の日本語を使いますねー。ぷぷ。
え私?
おら、東北系だど。
横浜暮らしが長いけど。

イタリア語学校の話は、今後期待できますねー。
日本にも、『日本人の知らない日本語』という、日本語学校を舞台にした面白いマンガがありまっせえ。
ドラマ化もされてます。




ゴメン、話が変なほうにそれちゃった。
次回も期待してまーす。



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2013年11月7日木曜日

リストランテ・レアーレ、ニコ・ロミート

11月に入ってイタリアは、一斉にクリスマス商戦仕様になったみたいですねー。
この時期恒例のミシュラン・イタリアの星も5日に発表されました。

でも、ある高級レストランの記事を訳していたら、なんだか不景気な話が。
アルト・アデシジェの高級店のオーナーシェフが、
「うちはスイスやドイツやオーストリアに近いのでラッキーでしたよ。
イタリア人のお客が減ってもやっていけましたからねー」
なんて言ってるんです。

イタリアの飲食業界の不振は、根が深そう。
でも、景気のいい話もありました。
ミシュラン2014年版で、新たに3つ星店が一つ、増えたんだそうです。
しかも、アブルッツォの店。
アブルッツォでは初の快挙です。
店は、レアーレ、シェフはニコ・ロミート氏。
これでイタリアの三ツ星店は8つになりました。

2つ星店はプラス3、1星店はプラス29と、星の数だけ見ると景気がよくなってきているみたいな・・・。

ロミート氏は、イタリアの勲章にあたるカヴァリエーレにもノミネートされたされたそうで、重ね重ねおめでとうございます。
ちなみにこの勲章、wikiによると、イタリアの6つある勲章の階級のうち6番目のもので、落合務氏や中田ヒデ氏も受賞してます。





若手料理人や一般の人のための学校も運営しています。
将来や業界全体を見据えた人なんでんなー。
イタリア料理業界が長い間渇望していた新世代のリーダーになれる人かも。




スカンピのタリアテッレと、スパゲットーネ・マンテカート!




この動画で作っているのは、まずは、スカンピを練り込んだ生地にスカンピのソースと、スカンピ尽くしの芳ばしそうなタリアテッレ。
アメリカ製の遠心分離機を使ってスカンピの身とエキスを抽出するなど、新しい道具への知識や使いこなし方も若手ならでは。
そして、バッカラ・マンテカートをスパゲッティのソースにするという、誰かがやりそうなのに、まだ誰もやっていなかった一品。
麺に対するこだわりもかなりのもの。


レストランを紹介する4年前の動画。
若い!





オープンした当初は大変だったと語っていますが、現在の自信に満ちた顔つきとは全く違いますねー。
いったい、この4年で何があったのか。

店のwebページはこちら

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2013年11月4日月曜日

クリスタッリ・ディ・ズッケロ

ガンベロ・ロッソのパスティッチェーリとパスティッチェリーアのガイド本の2012年版で
90/100点以上を獲ったパスティッチェーレは8人。
地方のお店がお多い中、ローマの店が1軒ありました。
行ける機会がある人が多いかもと思って、紹介してみます。
店名はクリスタッリ・ディ・ズッケロ

こちらのブログには、ローマで一番のハイクオリティーケーキの店、と紹介されています。

店内はこんな様子。




パスティッチェーレはマルコ・リネッラ氏。



1号店は2003年オープンで、現在はローマに3店舗あります。
どうやら急成長した人気店のようですね。

2012年版のガイドに載っている店の住所は、
loc. Casalpalocco p.le Filippo Il Macedone, 47/48
via di Val TEllin, 114
via San TEodoro, 88
です。


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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』“パスティッチェーリ&パスティッチェリーエ2012”の記事の解説は「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年10月31日木曜日

ハロウィン

今日はハロウィンか。
ハロウィンについては、今年はすでに6月に取り上げています(こちら)。
日本のスーパーでは、ハロウィンはカボチャのファンシーなお菓子を売りまくる日として定着しそうな予感。
第二のバレンタインデーを狙ってるんでしょうか。
カボチャ業界は張り切るだろうなあ。

ハロウィン後進国のイタリアでも、ハロウィン向けのカボチャのお菓子、たくさん考え出されていますよー。
中には、日本のお菓子業界はからはきれいさっぱり抜け落ちている観点、怖がらせる、というテーマが強ずぎて、グロイのも多いのですが、とりあえず、可愛いのをご紹介。

ジャッロ・ザッフェラーノのお菓子はいつもとってもカワイイ♪
オレンジ色に着色した小さなビニェにハムとクリームチーズのムースを詰めたズッカ・ミステリオーザ。





お次はちっょとグロイカップケーキ。
なんと、ラングドシャに十字架を描いてチョコレートカップケーキに刺しただけで、バンパイアのお墓みたいになります。




今やイタリアのハロウィンの定番お菓子となりつつある、魔女の指。
やけにリアルできもい、けど面白い。




Dolcetto scherzetto?

こんなカワイイ子供たちに、魔女の指を出したら、大喜びされそう。






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2013年10月28日月曜日

マエストロ・マッサーリ

今日は、ガンベロ・ロッソの『パスティッチェーリ&パスティッチェリーア2012』で高得点を獲得したパスティッチェーレたちの話。

まずは、最高点、93/100点。
ブレッシャのパスティッチェリーア・ヴェネトのイジニオ・マッサーリ氏。

マエストロ・マッサーリ。
ピッコラ・アレーナという新作ドルチェを説明しています。
 ↓



一目見たら忘れないような、強い印象に残る面持ちの人ですねー。
若手の育成にも力を注いでいて、イタリアパスティッチェーリ界の重鎮といったところ。
アカデミア・マエストリ・パステイッチェーリ・イタリアーニの創設者です。
ガンベロ・ロッソだけでなく、多くの人が、イタリア最高のパスティッチェーレだと認めています。

マエストロ・マッサーリの作品の数々

彼のティラミスのリチッタを載せいてるブログ(こちら)があったので、訳してみます。

ティラミスの写真はこちら


イジニオ・マッサーリのティラミス  Tiramisú di Iginio Massari
材料:
サヴォイアルディ;
 卵黄 ・・100g
 砂糖・・45g
 バニラビーンズ・・1/2本
 卵白・・145g
 砂糖・・40g
 00タイプの小麦粉 ・・70g
 片栗粉・・23g
 バニラビーンズ・・1/2本

・卵黄、砂糖45g、バニラの種をホイップする。
・別に卵白と砂糖40gを堅く泡立てる。
・小麦粉と片栗粉を一緒に振るう。
・泡立てた卵白の1/3を泡立てた卵黄に加えてさっくり混ぜる。ここに粉の半量を加える。
・さらに泡立てた卵白の、残りの粉、残りの泡立てた卵白の順で加えて艶のあるソフトで軽い生地にする。
・直径10mmの丸口金を付けた絞り袋に入れ、オーブンシートを敷いた天板に長さ8~10cmの棒状に絞り出す。
・グラニュー糖を振りかけ、その上から粉糖を振りかけて覆う。
・生地を隣につけて絞り出して1枚の生地のように焼き、あとで切って使ってもよい。
・220度のオーブンに入れ、扉を開けて蒸気を逃しながら10分焼く。私はティースプーンをドアストッパーにしている。
・焼き色がついたらオーブンから出して冷ます。
材料:
クレーマ・ティラミス
 クレーマ・パスティッチェーラ ・・375g
 板ゼラチン・・3g
 マスカルポーネ・・500g
 7分立ての生クリーム・・500g
 
クレーマ・パステイッチェーラ
 牛乳 ・・500g
 砂糖・・150g
 00タイプの小麦粉・・50g
 卵黄・・100g(約5個)
 バニラビーンズ・・1/2本
 ノーワックスレモンの皮のすりおろし・・適量


・クレーマ・パスティッチェーラを作る。
・牛乳を鍋に入れて火にかける。
・卵黄、砂糖45g、バニラの種、レモンの皮を白くなるまでホイップする。
・ふるった小麦粉を加えてさらにホイツプする。
・牛乳が沸騰したらホイップした卵黄を加えて煮詰める。
・煮詰まったらガラスの容器に移す。
・冷めて45度程度になったら水でふやかして絞ったゼラチンを加えてホイッパーで混ぜる。
・マスカルポーネをホイッパーで混ぜて柔らかくする。
・生クリームを泡立てて艶のあるホイップクリームにし、マスカルポーネに加える。
・クケーマ・パスティッチェーラが35度になったらマスカルポーネクリームを加えてさっくり混ぜ、冷蔵庫で30分冷やして安定させる。
シロップ
 コーヒー ・・150g
 砂糖・・110g
 コーヒーリキュール・・50g
 

・コーヒーをいれて熱いうちに砂糖を加えて溶かす。
・冷めたらリキュールを加える。
・直径22cm戦のセルクルの内側をアセテートで覆い、オーブンシートを敷いた天板にのせる。
・直径20cmのセルクルにサヴォイアルディを詰めて22cmのセルクルの中央に置き、シロップを塗る。 ・クリームを2つのセルクルの間に絞り出し、さらに表面も絞り出して1cm程度覆う。
・その上にサヴォイアルディをもう1段のせてシロップを塗り、クリームで覆って表面を平らにする。
・表面はサントノーレ口金を付けた絞り袋でクリームを絞り出して飾った。
・これを冷凍し、凍ったらビターコアパウダーを振り掛けてセルクルを抜く。
・長さ15mm程度に切ったサヴォイアルディにクリームをつけて側面の底部に張り付ける。
・冷蔵庫で最低5~6時間解凍する。


オリジナルのマスカルポーネクリームがポイントですね。


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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』“パスティッチェーリ&パスティッチェリーエ2012”の記事の解説は「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年10月24日木曜日

カステルヴェトラーノのオリーブ

今日はオリーブオイルの話。

カステルヴェトラーノのオリーブオイルの記事を訳していたら、効能の話題になったとたんに、コレステロールや動脈閉塞、血圧、血糖値を減らし、動脈硬化や心筋梗塞の予防に効果がある、と夢のような単語が続出で、ちょっと誇大広告じゃないのと、言葉を控えたくなりました。
でも、褒める時は徹底してべた褒めするのがイタリア人ですよねえ。

少なくとも日本人よりはたくさんオリーブオイルを摂取しているように思えるイタリア人ですが、
こちらの統計によると、イタリア人の死因で最も多いのは循環器疾患で、そのほとんどが、虚血性心疾患(心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳卒中など)によるものなんだそうです。
これは世界的な傾向と何も変わりません。
あれあれ?

まあ、そんなもんでしょうねえ。
いくら動脈硬化に効くといっても、薬じゃないんだし、そもそも、そんな薬、存在しないし。

それでも、一筋の希望にすがって、今日もオリーブオイルをたっぷり使って料理をするわけです。
もこみちくんガンバレー♪

という訳で、オリーブ応援動画です。

今回はシチリアのカステルヴェトラーノ。
オリーブはノチェッラーラ・デル・ベリチェ種です。
オイルにもなるし、食用にもなります。

オイル用
 ↓



食用
 ↓



こんなコロコロオリーブが入ったマティーニが飲みたくなりました。





いくらオリーブが入ってても、飲み過ぎれば、そりゃ、動脈硬化にもなるわなー。



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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』、“カステルヴェトラーノのオリーブ”の記事の解説は、「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年10月21日月曜日

ボンチのンドゥイヤのピッツァ

前回紹介したンドゥイヤのピッツァ。
考案したのはガブリエーレ・ボンチ氏。
彼のピッツァはどれも美味しそうだしアイデアが詰まってます。

ローマのボンチの店、ピッツァリウムのピッツァ。
 ↓
Chiudiamo da Bonci


この写真のコメントは、「ボンチが花のピッツァと言う時は、ありきたりなズッキーニの花のことじゃない」

Quando Bonci dice che fa la pizza con i fiori, non intende quelli di zucca!


彼の本、『IL GIOCO DELLA PIZZA』にンドゥィアのピッツァのリチェッタがあったので、訳してみます。

秋のピッツァの一つです。



リコッタ、柿、ンドゥイヤのピッツァ  Pizza ricotta, cachi e 'Nduja
材料:
基本の小麦の白い生地;
 0タイプの小麦粉 ・・1kg
 水・・700ml
 EVオリーブオイル・・40g
 塩・・20g
 ドライイースト・・7g
トッピング;
 羊のペコリーノ・・500g
 ンドゥィヤ・・500g
 熟した柿・・4個
 刻んだアルバ産ヘーゼルナッツ・・150g
 EVオリーブオイル
 塩

・油をたっぷり塗った天板に生地を広げ、220度のオーブンで25分焼く。
・焼きたてのピッツァの上に新鮮なリコッタをあまり潰しすぎないでのせる。
・ンドゥイヤをクルミ大に切ってピッツァにのせる。
・リコッタとンドゥイヤの間に薄く切った柿をのせる。
・塩をして軽く炒ったヘーゼルナッツを散らす。



おまけの動画。

ボンチの秋のピッツァと言えば、きのこのピッツァ。
ほお~、タタン仕立てですかー。
これも美味しそう。






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2013年10月17日木曜日

ンドゥイヤ

今日はンドゥイヤ(ランドゥイヤ)の話。

カラブリアの名物サラミですよね。
名物どころか、カラブリアのシンボルとか、伝説の食材とか、地元では大絶賛です。

Tropea - Nduja



塗るサラミとして有名。




腸詰なので腸に詰めてあるのですが、なんだかいわゆる腸詰とは、ちょっと形が違うみたい。

そうなんです。
腸は腸でも、盲腸なんです。
豚の盲腸って、大きいんですねー。

この、カラブリアで一番有名なサラミは、挽いた豚肉、岩塩、乾燥赤唐辛子を混ぜて盲腸に詰め、そしてスモークしてから乾燥、熟成させたもの。

ナポリの貧民に無償で配給されていたという過去も持つサラミなので、元来は、豚の内臓だけで作られていましたが、さすがに今は、背脂、頬肉、バラ肉も入っています。
熟成は60~90日間。

ところが、同じものを他で作っても同じ味にはならないそうで、やはり産地の特殊な気候がポイントなんですねー。

産地はスピリンガという人口1500人の村。

この村、海も山もないのに、近くのティレニア海からの涼しい海風が吹き打あげて、丘よりちょっと高い程度の山からの優しい冷気がそっと吹き下ろされるという、絶妙の環境にあるんだそうです。
スピリンガの語源は、ギリシャ語で天然洞窟と言う意味のspelungaなんだそうですよ。

だから、ンドゥイヤ、だけじゃなく、スピリンガのンドゥイヤという商品名が重要。

ンドゥイアのピッツァ

Pizza Libretto


ローマの代繁盛ピッツァ店の店主、ボンチ氏のンドゥィヤのピッツァ。



ピッツァ生地にリコッタをのせて焼き、その上にンドゥイヤをのせて潰した柿の果汁と果肉をかけます。
この人が作るものに外れはないです。
一度お試しを。



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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』、“ンドゥィヤ”の記事の解説は、「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年10月14日月曜日

ロールケーキ

ブッシュ・ド・ノエルは、イタリア語で言う、トロンケット・ディ・ナターレ。
Tronchetto di Natale。
由来を知って、薪に似ている形が正統派なんだなあと、改めて納得。

Tronchetto di Natale


表面を覆って樹皮に仕立てるクリームはガナッシュ、中はビスキュイ。
ビスキュイは、イタリア語ではパン・ビスコットpan biscotto。

こちらの動画では、中に詰めるクリームは、ホイップクリーム、マスカルポーネ、ヌテッラ。




ブッシュ・ド・ノエルはロールケーキの一種ですが、ロールケーキって、イタリア語では、なんて言うんでしょう。

ロートロrotoloかな。

Rotolo di pan di spagna a basso IG


ヌテッラは、イタリアのロールケーキの詰め物の定番なんですねー。
ロートロ・アッラ・ヌテッラ。
 ↓




お母さんの手作りおやつ感がいいなあ。


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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』、“ロールケーキ”の記事とリチェッタは、「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年10月11日金曜日

ブッシュ・ド・ノエル

今日はブッシュ・ド・ノエルの話。
この、フランスの薪の形をしたクリスマスケーキの由来については諸説あるようですが、今回は『サーレ・エ・ペペ』の説をちょっとご紹介。


Bûche de NoëlBûche de Noël / bgreenlee



記事によると、このケーキのそもそものルーツは、13世紀以降にヨーロッパに広まった古い伝統で、異教の冬至の儀式がルーツなんだそうです。
この異教の冬至の祭りこそがクリスマスのルーツ、とも言われています。

冬至は、一年で最も昼が短くて夜が長い日ですよねー。
クリスマスの祝日の間、古い切り株を家の暖炉で燃やすことで、キリスト生誕で世界に光がもたらされたことを象徴しているんだそうです。

一年で一番夜が長い日、ということは一番暗い時間が長い日。
というわけで、長い夜の間ずっと燃え続けている長い薪が必要です。
この薪に火を灯すのは、家の中で一番偉い人、つまりお父さんが行う大切な儀式だったんですねー。
ところが、このファンタジーな習慣を、無残にも踏みにじる事件が。
電気の発明です。

19世紀末には電気が普及して、この薪の儀式は、意味がぐーんと薄れました。

結局、冬至の夜を照らした光は、こんな形で生き残りました。
センターピースです。

Christmas Centerpiece at WR
Christmas Centerpiece at WR / vastateparksstaff


テーブルの中央に置いてある飾り。
その中のローソクには、意味があったんですねー。
さらに、これがヒントになって生まれたケーキがブシュ・ド・ノエルなんだとか。

クリスマスのテーブルセッティング
 ↓ 



キリスト教徒じゃないけど、冬至の儀式だと思えば、ケーキやチキン食べてもいいか。
ちなみに今年2013年の冬至は12月22日。
カボチャ食べる人いるかなー。






これはいわゆるキャンドルサービス?
超かわいい~♪




まだ10月だけど、毎日暑いし。
クリスマスまでに寒くなるのかなあ。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2011年12月号、ブッシュ・ド・ノエルの解説がある“ロールケーキ”の記事は、まもなく発売の「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年10月8日火曜日

クリスマスのディナー

唐突ですが、今日はクリスマスの話。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。

クリスマスパーティーの意味って、考えたことありますか?
なぜ、ツリーを飾ってご馳走を食べるのか?


まあ、キリストのお誕生会?ぐらいのことは想像しますよねー。
盛大なお祝いだから、キリスト教徒じゃないけど、ついでにちょっと便乗しちゃいましょー、とか。
でも、そんないい加減な考えが恥ずかしくなるような深い意味が、クリスマスのご馳走の裏にはあったんです。

だから、私、キリスト教徒じゃないから、別にいいや?

いやいや、クリスマスを祝う習慣は、元々は、キリスト教徒の習慣じゃなかったんですよ。

古代ローマ時代の異教の祭りが元なんだそうです。
太陽の祭り、だって。

それは、すべての人が愛を与え、そして受けるべきことを感じることができる思いやりにあふれた大切な祭りだったんだそうです。
そのために家を飾り、贈り物を交換し、料理を作ったんだそうです。
これらには、私はここにいて、あなたのためにこうするのです、と告げる意味があったんだって。

キリスト教徒、なとん心が広いんじゃー。
仏教徒だからと言うのを理由に、かたくなにクリスマスのお祭り騒ぎを拒否していた私、人間ちっさー。

伝統料理を一緒に味わうというのは、特別な瞬間なんですねー。
だからテーブルセッティングも特別なものにするんです。

ヴァルテッリーナのある家族のクリスマスディナー。
 ↓
01_012 101
01_012 101 / jhonnyilbello



1999年のクリスマスの季節が舞台のフランス映画の予告編。邦題は『ブッシュ・ド・ノエル』、イタリア語の題は『プランゾ・ディ・ナターレ』。
 ↓





そういえば、なぜブッシュ・ド・ノエルがクリスマスのケーキなのか、その理由も深いんです。
その話は次回に。



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関連誌;“クリスマス料理”の記事は、近日発売予定の「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年10月3日木曜日

カピトーネ

今日はウナギの話です。

Eel (Anguilla)

ウナギは以前にもブログで取り上げたことがあります。
こちら

その時も書きましたが、日本では夏の暑い時期に食べるイメージのウナギですが、イタリアでは地方料理のクリスマス料理の食材として知られています。

イタリアンなウナギ料理。
ウナギとポレンタ。
 ↓
Anguila con Polenta



イタリア語では、うなぎはanguilla(アングイッラ)ですが、capitone(カピトーネ)とも言います。
クリスマスに食べるのは、主にcapitone(カピトーネ)。

アングイッラとカピトーネは、どう違うのか。

辞書で調べると、多分たいていは、anguillaはウナギで、capitoneはメスの大うなぎ、と出ています。
でも、正確には、どちらも学名はanguilla anguillaという生物、つまり、どちらもヨーロッパウナギのことなんですねえ。

はあ、ウナギって、本当にミステリアスな魚だなあ。

ウナギは回遊魚だってことは、知ってますよね。
成長の過程で、外見が変わり、それに伴ってイタリアでは、名前が変わるんです。
それでだけでなく、ウナギは性別まで変わるんだそうです。
性別が変わるのは、年齢によるのではなく、大きさによるのだそうです。
そしてウナギの大きさは、年齢よりも環境に作用されるそうです。

だから、カピトーネがメスの大きなウナギだというのは、逆に言えば、オスの大きなウナギはいないから、当然と言えば当然なんですねえ。

イタリアの人のこだわりはすごい。
活きてるウナギを買って、自分で捌きます。
 ↓







日本のウナギは、一匹200~250gだそうですが、カピトーネは400~500gだそうです。

ヨーロッパウナギの産卵場所として唯一発見されているのは、サルガッソ海。
地球上にそんな名前の海が存在することさえ知りませんでしたが、ここは多くの船が沈没する舟の墓場、なんだそうです。
ひえ~。


サルガッソ海でウナギの放流。
 ↓



実は、ニホンウナギだけでなく、ヨーロッパウナギも、今や絶滅の危機に瀕しています。
絶滅危惧種です。
レッドデータにも載っています。
稚魚が見つからないんだって。
将来、ウナギのクリスマス料理が姿を消さないように、イタリアでもウナギの養殖が行われていますが、まだ完全養殖には成功していないそうです。
今も減少の一途。

ナポリの露店のクリスマスのウナギ屋さんの姿も、昔話になってしまうかも。
 ↓






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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2011年12月号、“ヨーロッパウナギ”の記事の解説は、間もなく発売予定の「総合解説」2011年12月号に載っています。

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2013年9月30日月曜日

トレンティングラナ

今日はチーズの話。

翻訳中に、“trentingrana”という材料名を見かけました。
トレンティングラナ。

リチェッタの中に、この名前が登場したのは初めてです。
チーズの名前です。
管理組合のhpはこちら

こんなチーズ
 ↓





外見は、パルミジャーノ・レッジャーノやグラナ・パダーノとそっくりですねー。
19世紀末頃から共同組合による生産が始まって、1973年に管理組合設立。
その名の通り、トレント県で生産されているチーズです。
DOP製品ですが、日本での知名度は、全然高くないですよね。

世間では、グラナ・パダーノのトレント版といった認識のようです。

グラナ・パダーノとトレンティングラナの一番の違いは、前者が平野で、後者が山地で作られているということ。

これは、パルマの生ハムとサン・ダニエーレの生ハムの関係にも似ていますねー。
両者はちょっと見はよく似ているのですが、味は違います。

山の保存食は、平野より甘いんです。
生ハムだけでなく、このチーズも甘いんだそうです。

パルミジャーノとグラナ・パダーノを使い分ける人は多いと思いますが、そこにさらに、トレンティングラナという選択肢も加わったわけです。

確か、このチーズが使われていたリチェッタはブッシュ・ド・ノエルの一種だったかなあ。

製造過程
 ↓




外見だけでなく、作り方も品質管理の方法もグラナ・パダーノそっくりです。

実はレトレンティーノとフリウリは、密かにマイブーム中なんですが、これで、山に行きたい理由がまた一つ増えたなあ。



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2013年9月24日火曜日

イセエビと罪悪感

今日はイセエビの話。

先日、『サーレ・エ・ぺぺ』の“イセエビのベッラヴィスタ”という料理を翻訳しました。

丸ごとのイセエビの真っ赤な殻の上に、輪切りにしたイセエビの身が並び、さらにその上にトリュフのスライスがのったゴージャスな一品です。
でも、豪華な見た目の割に、作るのは簡単で、イセエビよりも付け合せのほうが手間がかかる料理です。

でイセエビはどう料理するかと言うと、クールブイヨンでゆでて殻から出し、輪切りにする。
たったそれだけなんです。本でも、この料理は簡単ですと言ってます。

ただし、un piccolo problemaがあるんだそうです。
ちょっとした問題?

どんな問題かというと、
イセエビは活きているのを買って、自らの手で、生贄にしなくてはならないのです。

生贄って、ちょっと大げさじゃない、と思いそうですが、原文は、sacrificata con le nostre maniですから、原文直訳です。

さらに、
これは動物愛護家なら抗議行動を起こす忌まわしい残虐ざだが、食通にとっては大したことではない。
なんて、めんどくさい説明が、本気で続きます。

オマールをゆでる時も、だいたいこんな往生際の悪い説明が付け加えられます。
スペースがもったいないので、翻訳文では、ばっさりカットしました。
甲殻類をゆでるのに、どんだけ罪悪感持ってるんでしょうねえ。
西洋の人は、活イセエビをゆでる時は、なるべく残酷にならないように、一瞬で天国に召されるように、とても気を使っているようです。

こちらのページによると、よせばいいのに、イセエビはゆでられるときに苦しむのか、という研究をした人がいて、しかもヤドカリや蟹などの甲殻類も哺乳類と同じように苦しむ、なんて言ってます。

こちらには、オマールは熱湯に入れると叫ぶという人がいる、なんて書いてあります。

記事によると、昔の料理人はこんな疑問は持たなかったので、貴族の晩餐会には、イセエビが頻繁に登場したんだそうです。


案外かわいい?

 
Aragosta


イセエビのバヴェッテ

Bavette e aragosta


イセエビ三昧

Pranzo a base di Aragosta! - 2

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関連誌;“イセエビのベッラヴィスタ”の記事とリチェッタは、総合解説2011年12月号に載っています。

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2013年9月19日木曜日

イタリアでハラミ

イタリア便り第2弾。
肉の話です。
絶好調だなあ。
それではどうぞー。

こんにちは。
肉食系のSegnalibroです。
BBQもいいけれど、この夏、私は日本式の焼肉が食べたくなりました。
一番好きな部位はハラミです。
安上がりな舌の持ち主でよかった。
イタリアのお肉屋さんには、見慣れない部位がたくさん並んでいて、かなり戸惑います。
また、お肉も牛、仔牛、豚、鶏(オス、メス)、七面鳥、羊、ウサギなどなど、かなりバラエティ豊かです。

macelleria (2)


この写真大丈夫でしょうか?
ウサギさん、大好きです。
有難く命頂いてます。
おいしいです。

macelleria


この肉屋さんのグリル、めちゃうまなんです。いつもお客さんが絶えません。

macelleria (4)



macelleria (5)


さて、お肉屋さんにハラミ、あったかな?
いや、日本の焼肉屋さんで出てくる最終形のハラミしか知らないから、売り場に並んでいても、気がついていないのかも・・・。
で、イタリア語でハラミって何て言うの?
紆余曲折を経て、ようやく念願のハラミ、入手できました!!

harami

売り場に並ばない部位を熱烈に欲しがる私に、肉屋のおっちゃんは、 『ワシの息子は小さい頃、腎臓が悪かったもんで、馬のハラミを食べさせたんじゃよ・・・』 と、感慨深げ。
食べ方を聞くとai ferri、日本語で言うと鉄板焼き?
フライパンにオリーブオイルをひいて、焼きながら少々塩を振って出来上がりだそうです。
シンプルでおいしそう。
私が分けてもらったのは仔牛のハラミです。
イタリア語で単刀直入に『横隔膜diaframma』で通じましたー。


harami (2)


解体日にお願いすれば、お取り置きしてもらえるとのこと。
こんなにおいしいのに、めちゃくちゃ安い。
キロ1ユーロ弱。
一人前で約30円です。
やったね!!
いいもの見つけちゃいました。

が、あまりにも申し訳なさ過ぎて、単品では頼めません。

何か抱き合わせ商品考えなきゃ。
日本の焼肉屋さんでは、サンカクとかミスジとかクラシタノハネ(関西限定の言い方?)とかエラそうに注文していたけれど、その部分がどこかなんて、ちゃんと説明できません。
そもそも日本とイタリアでは、肉の部位の分け方は同じなのかな、いや違ってそうだな。

数年前のクリスマス、サルディーニャの義両親宅に行ったのですが、ガレージに牛が半頭吊るされているのを見て腰を抜かしそうになりました。
飼っている牛を毎年冬につぶして、翌1年分のお肉にするのだそうです。
ざっくり切り取られたお肉をひたすらミンチにする作業のお手伝いをしましたが、半分解体された牛君に近付く勇気はありませんでした。

さて、どうしよう。
もう少し涼しくなったら、ブロードにすると美味しいcappello del prete(牛の前肩辺り?の筋肉が多い部分)と一緒に、ハラミをお願いしようかな。
何かいいアイデアがあれば教えてくださーい。


Grazie Segnalibroさん。

とは言え、何この肉、肉テロ。
子牛のハラミがキロ1ユーロ ?
今日のレートで133円?
子牛のハラミなんて、生まれてから一度も見たことないわさ。
何あのグリル。
家の近所にあったら毎日通うレベルだよ。
ったくもー、肉に関しては、日本の状況はあまりにも悲惨。
私なんか、今日の晩御飯は焼き鳥2本(ももと手羽つくね)で約350円ですよー。
くやしくて、涙がにじんできた。
いいもん、明日はお刺身食べるもん。

では、次のイタリア便りを楽しみに待ってます。
じゃあな~。


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マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...