2020年4月13日月曜日

ローマのアランチーニ、スップリ

昨日のブログは、カルロ・クラッコシェフのアランチーニのリチェッタをのせる予定でしたが、途中で急遽大幅に路線変更する事態となってしまいました。
リゾットについて語るという強い誘惑に、ロンバルディア出身のグランシェフが逆らえるはずもないということを、今更のように思い知りました。
本の中で、シェフはアランチーニを語ることをきれいさっぱり忘れて、リゾットの深ーい話に突入していきました。
話がライスコロッケからどんどん遠ざかるのに気づいた時は、もう手遅れ。
とにかく、このことで改めて知ったのは、リゾットは、イタリア料理の大事なベースの一つ、ということ。
ついでなので、アランチーニを作る前に知っておきたい米料理の基本を少し。

イタリア料理の基本を集めた名著、『クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ』によると、

・リゾットに最適な米の品種は下記の3種類

アルボリオarborio:大粒で丸い米、粘りのもととなるアミロペクチンが豊富、これが煮汁に溶け出るとクリーミーな煮汁になるのでリゾットに適している。

ヴィアローネ・ナノvialone nano:小粒で締まった米。アミロースが豊富。煮てもアルデンテになるが、アミロペクチンも含むので、クリーミーで歯ごたえのあるリゾットにもなる。

カルナローリcarnaroli:1945年にミラノの農家で栽培が始まった新しい品種。
ヴィアローネとうるち米の中間の特徴があり、2種類のデンプンを豊富に含む。
高価で上質。

リゾットに適したアルボリオ米とピラフやチャーハンに適した長粒米


ポイントは
アミロペクチンアミロース
穀物の性質上、キーワードとなるでんぷんです。

日本の米は、粘りが大切。一方、イタリアの米はアルデンテも大切。
この両者の特徴を持って、さらにリゾットに適するように改良されたのがイタリアの米です。


リゾットの濃さは地域によって違う
北イタリアの代表的リゾットには、ミラノとベネチアという2つの地域があります。
ミラノのリゾットはベネチアのリゾットより濃く、ベネチアのリゾットには、アッラ・オンダall 'ondaという状態(サーブの直前にブロードを少量加えたような濃度)が求められます。

リゾット・ミラネーゼ

リベネチアの代表的リゾット、リジ・エ・ビジ




リゾットに適した鍋
リゾットには均一に熱が当たるように底が広く鍋や深さのあるフライパンが適しています。
煮ている間に米は約2~3倍に膨らむので、十分な大きさも必要です。

リゾットrisotto
・幅広で深さのあるフライパンか浅くてそこが厚い鍋(熱が均一に広がる)を用意する。
・ゆで汁用のブロードか湯を用意して弱火で沸騰させる。
・米をバターで炒めて米のデンプンが出ないように米の周囲に膜を作る。
・レードル1杯のゆで汁をかけ、米に均一に火が通るように混ぜながら煮る。
・ゆっくりすぎたり急ぎすぎないように常に強い沸騰を保ちながら煮る。
・米がブロードを吸い出したら塩を少量加える。
・さらにレードル2杯のブロードを足した時点で味を見て塩味を整える。
・米がゆで汁に沈まないように少量ずつ加える。均一に煮上がるように表面を均一に覆う程度。
・ブロードの適量を事前に出すことはできないので、全部かけたら煮すぎていないかみる。表面がクリーミーで粥状の濃さになっていればよい。

ここまでがリゾットの基礎。イタリアのマンマの教訓を付け足すなら、木べらは鍋から出さないで、常にかき混ぜ続けること。

リゾットをマスターしたら、いよいよ次はアランチーニとスップリに進みます。

さりげなくスップリが登場しましたが、
スップリはローマのライスコロッケ。
正式名称は、携帯の時代になって今や消滅の危機、スップリ・アル・テレフォノ。

という訳で、今日のお題はスップリです。

ローマ人のアランチーニ、スップリ

・玉ねぎのみじん切りを油でソッフリットにする。
・牛豚の挽肉を加えて炒め、ワインをかけてアルコール分を飛ばしたらトマトのパッサータ、塩、こしょう、水少々を加え、蓋をして弱火で約40分煮る。
・水かブロードで濃度を整え、アルボリオ米を加えてかき混ぜながら米が煮汁をほぼ全部吸うまで煮る。米が鍋肌につくようになったらブロードを少しずつ足しながら煮る。
・米が煮汁を吸ってアルデンテになったらバターとパルミジャーノでマンテカーレする。
・バットに広げて冷ます。
・モッツァレラを長さ5cmの拍子木に切り、ザルに入れて水気を切る。
・手に水をつけてリゾットを俵形にし、モッツァレラを1本詰める。
・小麦粉、卵、パン粉をつけて揚げる。

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総合解説
クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ
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