2020年2月28日金曜日

アドリア海のズッパ

そろそろ次号の「総合解説」の発売が近づいてきました。
「総合解説」は、『クチーナ・イタリアーナ』
と『サーレ・エ・ペペ』
というイタリアの料理月刊誌を日本語に翻訳して小冊子にまとめたものです。

今月の“『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタ”は魚料理が多く、どれもなかなか美味しそうです。

■まずは、魚と貝のグアッゼット
いわゆるズッパ・ディ・ペッシェですが、カサゴの存在感がすごい1品。

グアッゼット、ズッパ、ブロデットと、色々名前がありますが、どれもアドリア海沿岸の名物料理。
売り物にならない小魚を使った漁師料理です。
北のマルケあたりまではブロデットと呼ぶのが主流ですが、プーリアあたりから南になるとグアッゼットやズッパと呼ばれるようになるそうです。

キーワードはアドリア海。
ブーツの形のイタリアの右側、北のトリエステからベネチアやマルケのアンコーナ、アブルッツォのペスカーラを経由して、プーリアのバリやブリンディジへと続き、イオニア海となる豊かな海です。

アドリア海のズッパは、食べないと後悔する1品で、私はペスカーラ近郊の村までわざわざズッパ・ディ・ペッシェを食べに行ったことがあります。
苦労して山を超えて海辺のオフシーズンのリゾート地まで行って、このあたりでは4時過ぎると交通手段がない(!)ということを知った時、生まれて始めてオワタと思いましたよ・・・。

ところが、ズッパを食べた店の隣のテーブルで一緒に盛り上がっていたイケメンが、窮状を知って、車で送ってくれたのでした。
旅していた仲間はもちろん、このイケメンに運命を感じちゃいました。
という訳で、アドリア海のズッパは、忘れられない料理になりました。

この山を超えました。

ヴァストのブロデット

カサゴはズッパには欠かせない魚。
この鮮やかな赤い色をズッパに活かすのは難しそうですが、「総合解説」の1品は、皿の中央にドーンと盛り付けられたカサゴの切り身の存在感がすごい。
ムール貝は完全に引き立て役です。

カサゴの下ごしらえ


カサゴのグアッゼット

アブルッツォは、羊肉もパスタも美味しいけれど、魚のズッパもあった。
そう言えば、1963年までは、アブルッツォとモリーゼは1つの州でした。
知れば知るほど、美味しいものがたくさんあるのに、あまり知られていない場所、と感じます。

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「総合解説」
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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...