2018年11月7日水曜日

米の粉のパスタ

今週紹介しているのは、筋金入りのベジタリアンが、母親の発病をきっかけにセリアック病の人のために小麦粉以外の、グルテンを含まない、あるいは含有量がわずかな粉の料理の研究に取り組み、その結果をまとめた美しい本。
ディ・ファリーナ・イン・ファリーナ』です。

今日はリチェッタを何点か訳してみます。
使っている粉は、アマラント、オートミール、ファッロ、そば粉、カムート、とうもろこし、キビ、大麦、キヌア、米。

まず米の粉はどうでしょう。

「米の起源は古すぎて不明だが、人間の歴史の中で米ほど世界中で代々受け継がれてきた穀物はない。
 現在、イタリアでは北部の一部の地域で大量に栽培されている。
米は長い栽培、精米の過程を経て流通する米になる。
穀物の中でも完璧なものの一つで、消化しやすく、デンプンが豊富だがタンパク質は少なく、グルテンを含まないのでセリアック病の人でも食べることができる。
 米を挽いた粉は、大抵の料理に使うことができる。
本のリチェッタ、“パン・ブリオッシュのコルネッティ”ではファッロの粉をミックスして、ふんわりした軽い生地にした。
“マルタリアーティ”は軽くてマイルドなプリーモになった」

マルタリアーティ/Maltagliati
ショートパスタはあまり好きではないが、米粉だけで作ったマルタリアーティは実はとてもお気に入りのパスタだ。
マルタリアーティは不揃いの小さなひし形のパスタで、エミリア地方の代表的なショートパスタ。
エミリア地方ということは、このパスタはしっかり打ち粉をした麺棒で伸ばすとても柔らかいパスタということ。
グルテンを含まないパスタだが、慎重に作る必要がある。
このリチェッタでタリアテッレやラビオリの生地を作るのは無理。
お勧めはトマトとチェーチやいんげん豆などの豆のソース。

材料/2人分
パスタ;
 米粉・・100g
 片栗粉・・60g
 卵・・1個
 ぬるま湯・・30ml
 EVオリーブオイル・・大さじ1
 塩
ソース;
 いんげん豆(ボルロッティ)・・300g
 皮むきカットトマト・・300g
 玉ねぎ・・1個
 セロリ・・1本
 野菜のブロード・・500ml
 おろしたパルミジャーノ・・50g
 EVオリーブオイル
 塩
サーブ用パルミジャーノ

・ボールに米粉と片栗粉を混ぜて中央をくぼませ、塩一つまみ、油、卵を加える。
・フォークで溶いて粉を端から混ぜ込み、ぬるま湯を少しずつ加える。
・台にあけてなめらかな生地になるまでこねる。
・台に打ち粉をして綿棒で厚さ2mmに伸ばし、カッターで不揃いの小さなひし形に切る。粉を軽く散らす。
・ソースを作る。豆をたっぷりの塩を加えない水で柔らかくなるまでゆでる。
・火を止めて塩を加える。
・鍋に油大さじ2を熱し、玉ねぎとセロリのみじん切りを3~4分しんなり炒める。
・薄く焼き色がついたらトマトを加えて数分煮る。
・豆を加えて濃いソースになるまで煮る。
・野菜のブロードを加えて沸騰させる。
・マルタリアーティを弱火でゆでる。
・パスタがゆで上がったらソースであえてパルミジャーノを加え、味を見て塩味を整える。
・深さのある皿に盛り付け、パルミジャーノを散らしてすぐにサーブする。


著者が初めて作った小麦粉以外の粉の料理、キヌア粉のチェリーパイ

チェリーのクロスタータ/Crotata di ciliegie
大好きなキヌアの粉で作った大好きなチェリーパイ。
とても独特で強い香り。
キヌアの粒をミキサーで粉にして、底の厚い口の広いフライパンで弱火で炒って作りました。
キヌアの粉が売られていたら良かったのですが。
クロスタータは一番手早く出る生地ですが、あまり特別な生地ではありません。
このパイを特別なものにしたのは炒る作業です。
これによって香りがぐんと引き立ちました。

材料/6人分
パスタ・フロッラ;
 キヌア(粒)・・100g
 ファッロの粉・・100g
 室温のバター・・50g
 グラニュー糖・・80g
 卵・・1個
 ノーワックスレモン・・1個
 ベーキングパウダー・・小さじ1
 塩
詰め物;
 チェリー・・500g
 グラニュー糖・・150g
 シナモンスティック・・1本
 アガー・・小さじ1

・パスタ・フロッラ(タルト生地)を作る。キヌアをミキサーで粉にし、口の広いフライパンでとろ火で炒る。焼き色がついたら火から下ろし、陶器のボールに入れて冷ます。
・冷めたらファッロの粉、塩一つまみ、ベーキングパウダーを加えて混ぜ、台にあける。
・中央をくぼませて砂糖とバターの小角切りを入れ、クリーム状になるまで練る。
・卵とレモンの皮のすりおろしを加える。最初はフォークで粉を縁から混ぜ込む。次に手早くこねてまとめ、ラップで包んで冷蔵庫で一晩休ませる。
・オーブンを180℃に予熱する。
・直径25cmの底取れ型にバターを塗って粉をまぶす。
・パスタ・フロッラを2枚の軽く打ち粉をしたオーブンシートではさみ、伸ばす。
・これを型に敷き込み、縁を押して型にぴったりつける。底をフォークでピケする。
・アルミ箔を敷いて乾燥豆を重石にし、オーブンで20分焼く。縁に焼き色がついたら豆とアルミ箔を取り除き、さらに5分焼いて均一に焼き色をつける。オーブンから出して冷ます。
・詰め物を作る。チェリーの形をできるだけ崩さないように種を抜き、鍋に入れる。砂糖とシナモンスティックを加え、弱火で10分煮る。
・チェリーが適度に柔らかくなって煮汁がシロップ状になったらチェリーをすくい取る。
・アガーを少量の水で溶き、シロップに加える。ホイッパーで混ぜながら5分煮て冷ます。
・チェリーを半分に切って切り口を下にしてクロスタータに入れ、シロップを均一にかける。完全に冷めたらカットする。

この人、面白いのはコメント。
作り込んでいる自らの経験が伝わってきます。


-------------------------------------------------------
総合解説
書籍リスト
 [creapasso.comへ戻る]
 =====================================

0 件のコメント:

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...