現在発売中の「総合解説」(2012年10月号)で、訳すのにすごーく大変だった記事がありました。
それは「グルテン過敏症とセリアック病」という記事です。
最初は、グルテンフリーの食材の話だと思って、ダイエットのヒントでもあるかなあなんていう軽い気持ちで訳し出したのですが、冒頭から、いきなり超本気の病気の話。
アレルギーだの免疫疾患だのの話を訳すのは、もう大変。
でも、必死で訳したので、この病気にちょっとでも興味のある方は、ぜひ読んでください。
そもそも、イタリアの料理書には、かなり頻繁にセリアック病という言葉が出てきます。
ネットで調べれば、基本的なことは分ると思いますが、この病気は、グルテンに対する自己免疫疾患なんだそうです。
腸を覆っている組織が破壊されてビタミンや鉄の吸収が阻害される病気で、下痢、体重減少、疲労感、骨粗鬆症、貧血、腫瘍などの症状が出るそうですが、グルテンを排除すると治まります。
遺伝的な要因で発症するそうで、日本人の罹患率は欧米人より少なめです。
パンにパスタと、主食を小麦に依存する食生活のイタリアで、セリアック病の罹患率は100人に一人の割合だそうです。
現在、122000人の患者がいるそうです。
グルテンは、小麦だけでなく、ファッロ、大麦、オーツ麦、ライ麦、カムット小麦などにも含まれます。
イタリア人の場合、グルテン過敏症は腹腔の血液中の特殊な抗体が不足する病気で、突然症状(腹痛、片頭痛、口内炎、下痢、腹部膨満感)などが現れて、最初は多くのケースでストレスのせいだと診断されるそうです。
深刻ではないのですが、複雑に重なったり長期間続くと疲労感から思考、仕事、生活にも影響が出る場合が。
でも、小麦アレルギーだと分ったら、グルテンを含まない食事をすればいいのです。
ちなみにお米にはグルテンは含まれていません。
良かった~。
イタリアでは、セリアック病の認定患者にはグルテンフリーの食品を購入するための給付金が出るそうです。
州によって違いますが、女性は約100ユーロ、男性は約150ユーロ。
イタリアの医療制度は手厚いですねー。
グルテンフリーをダイエット食なんてとらえることは、セリアック病やグルテン過敏症で苦しんでいる人たちに失礼ですね。
記事にはダイエットという言葉は一度も登場しませんでした。
とは言え、ダイエットのためにグルテンフリーの食材を利用する人の多さは数字が証明しています。
アメリカでは1700万人が食生活に取り入れているそうです。
ヨーロッパのグルテンフリーメーカーのリーダーは、アルト・アディジェのドクター・シェアーDr. Schä(webページはこちら)だそうですが、2006年には7800万ユーロだった売り上げを、2011年には17500万ユーロにまで伸ばしています。
ドクター・シェアーUSAの、グルテン・フリー・ライフの始め方。
↓
なんと醤油にもグルテンが含まれるんですねー。
徹底的にグルテンを排除しようとすると、食べられるものがない!
そこで登場するのがグルテンフリーの食品。
グルテンを含む穀物の粉を米やとうもろこしの粉で代用したのがグルテンフリー食品。
アメリカのスーパーのグルテンフリー食品売り場の充実ぶりは驚き。
↓
セリアック病かもと疑っている人は、診断には血液検査によって遺伝因子を調べる必要があるので、さらに自己診断は他の病気を見逃すことになりかねないので、専門の病院で診断してもらいましょう。
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“グルテン過敏症とセリアック病”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年10月号に載っています。
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