2015年3月23日月曜日

フィレンツェ風トリッパ

今日は、観光客にもなじみの深いイタリアのトリッパ料理、というわけで、フィレンツェ風トリッパの話。

トスカーナ料理の権威と言われる人、パオロ・ペトローニの料理書、『リチェッテ・デッラ・クチーナ・トスカーナ』のリチェッタを訳してみます。


トリッパ・アッラ・フィオレンティーナTrippa alla fiorentina
材料/4人分
 ゆでたトリッパ(クローチェかクッフィア)・・800g
 玉ねぎ・・1個
 ホールトマト・・400g
 オリーブオイル
 塩、こしょう
 おろしたパルミジャーノ
・十分柔らかくゆでたトリッパを幅1㎝の細切りにする。
・鍋に玉ねぎのみじん切りを入れて油大さじ6で炒める。しんなりしたらトリッパを加える。
・5分炒めてトマトを加える。塩、こしょうをして蓋をし、水気が出なくなってトリッパがクリーム状になるまで約30分煮る。
・火を止めてパルミジャーノ大さじ2を散らし、なじませて5分休ませる。
・皿に盛り付けてパルミジャーノとこしょうを散らす。
※時間がたつと美味しくなるので数時間前に作っておき、温めなおしてサーブする。


ネット上には様々なフィレンツェ風トリッパのリチェッタがあふれていますが、これは、一番シンプルなタイプ。
クローチェは第一胃、クッフィアは第二胃の別名です。

ちなみに、「総合解説」で紹介しているモンタルチーノ風トリッパは、基本はフィレンツェ風と同じで、使うトリッパの部位も同じですが、サフランを加えるので黄色いトリッパになります。さらに、生ハム、ヴィン・サント、バター入り。

ナポリ風はレモンの皮とレモン汁入り。
ローマ風は、もちろんペコリーノ・ロマーノ入り。
ミラノ風のブゼッカは第三胃を使い、野菜たっぷりで白いんげん入りの濃厚なスープ。
他の地方のトリッパ料理とは、ちょっと趣が違います。

ミラノのトリッパは飲み物だった?
 ↓



趣が違うといえば、バニーノが有名なフィレンツェのランプレドット。

そもそもランプレドットとは、牛の第四胃の一部のこと。
これは、写真が秀逸な“Gli Illustri”シリーズの本、『ラ・クチーナ・トスカーナ』のリチェッタを訳してみます。
アルノ川沿いのサン・ニッコロ地区で息子と一緒に惣菜店を営むジュゼッピーナのリチェッタです。
大手スーパーが進出してきて、生き残るために、小さな商店からズッパとボッリートを出す店に変えたんだそうです。


ジュゼッピーナのランプレドット・ボッリートLampredotto bollito di Giuseppina
材料/4~5人分
 ランプレドット(第四胃の黒ずんだ部分)・・1.5㎏
 にんじん・・1本
 玉ねぎ・・1個
 セロリ・・2本
 トマト・・2~3個
 塩
 付け合わせのサルサ・ヴェルデ
 
・ランプレドットを水ですすいで香味野菜と一緒に深さのある鍋に入れて水で2~3㎝上まで覆う。
・塩を加えて、生のランプレドットの場合は弱火で約3時間ゆでる。下ゆでしたものの場合は約1時間。
・ランプレドットを切り分けてサルサ・ヴェルデを添える。サルサ・ヴェルデはイタリアンパセリ、セロリ(葉ごと)、にんにく少々、EVオリーブオイル、塩、こしょうで作った軽くてやや甘口のもの。


ランプレドットの屋台はフィレンツェ名物。
 ↓
2013.10.27-IMG_6471





上の動画、屋台で注文を受ける時、ランプレドット・イン・ジミーノin ziminoかノルマーレかと聞いていますね。
パオロ・ペトローニ氏によると、ノルマーレ(イン・ビアンコ)は白ワイン煮、イン・ジミーノは、ワインの代わりにトマトとビエトラを加えて煮ます。

ランプレドット・イン・ジミーノのリチェッタは、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレイタリアーナ”シリーズの『トスカーナ』にも載っています。







さて、次は、トリツパとワインの話。

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“トリッパ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年10月号に載っています。

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