フェラーラの名物食材を何点か紹介しましたが、その中でも謎なのが、サラマ・ダ・スーゴsalama da sugoです。クラテッロにそっくりのその形からして、豚の膀胱に詰めた腸詰だということはわかりますが、どうやって食べるのか、どんな味なのか、という疑問は、たぶん、フェラーラに行くまで解決されないだろうなあ。
ちなみに、豚の膀胱というのは豚1頭につき1個しか取れないので膀胱に詰める腸詰は、それだけでかなりの高級品の証。
そもそもサラミは豚肉を保存するために考え出されたもの。
サラマ・ダ・スーゴはエステ家の宮廷料理人、クリストフォロ・ダ・メッシスブーゴが考え出したルネサンスのサラミ。
サラミ造りのポイントは気温、湿度、風。つまり産地の気候条件によって、出来上がるものが違う。そしてこのサラマ・ダ・スーゴには、どんな要因が働いて創り出されているのか。
とりあえず注文して、出されたその膨大な量に絶望するということを何度も経験してきた身としては、なんだかこのサラミ、レストランで一人で注文しちゃいけないような気がします。
ポー河周辺の農家では大抵豚を飼っていて、毎年冬になるとしめてサラミにしました。
プロの職人だけでなく家族総出の2~3日かかるお祭りのような作業でした。
冬が寒くて霧が出る地方では塩分が少なくて甘いサラミができました。南下して気温が上がるほど使われる塩とスパイスは増えました。生ハム、パンチェッタ、チッチョリ用などの部位を別にした残りの肉、レバー、舌などを挽いて調味して膀胱に詰めたら芸術的姿に縛り、吊るして最低1年熟成させます。そもそも豚肉のもっとも重宝された部位は肉ではなく脂身でした。当時の定番の脂はラードだったのです。
熟成させたサラミは一晩水で戻して6時間ゆでてから食べられるようになります。ゆでて食べるサラミというのはイタリアではこれだけだそうです。
ゆでたら上部を切り取って、中身をスプーンで皿に取り出して食べます。
サラマ・ダ・スーゴの産地として知られるマドンナ・ボスキのサラミ造り。
何も知らずにサラマ・ダ・スーゴ・アル・クッキアイオ(リチェッタはCIR2月号P.43)を地元の名物料理だと思って注文すると、スプーンが刺さった一つ数㎏のサラマ・ダ・スーゴがどーんと出てくることになり、絶望で真っ青になります。ちなみに定番の付け合わせはゆでたじゃがいも。
2年熟成させたサラミーナもあるそうで、味が凝縮されていて爆弾みたいだそうです。コッピア・フェラーレーゼを添えます。
まあフェラーラの名物を食べる時には欠かせないのでしょうが、サラミと一番相性が良いのはパンで、どんなパンを組み合わせるのかは大問題です。生ハムやクラテッロにはクラムが白くて甘いパンが合う、というのが通説ですが、正反対のクラムが締まっていて硬いコッピア・フェッラレーゼを敢えて組み合わせるフェラーラの人、胃袋頑丈。
これはつまり6時間ゆでて溶け出たサラミの脂を硬いパンに吸わせて味わう、ということですね。
おまけはサラマ・ダ・スーゴの料理を出しているフェラーラのお薦めレストラン。カ・ドフラーラCa d'frara(webページはこちら)。
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