ようやく、タリオリーニ・イン・ブロードの話です。
ポー河流域の名物パスタ。
この地域はタリアテッレに代表される軟質小麦粉の手打ちパスタの本場。タリアテッレは幅8㎜程度の平麺ですが、太さや名前(フェットゥッチーネ、パッパルデッレなど)は地方によって変わります。
ボローニャのスフォリーネ協会長のパスタ。
ソースはローストの肉汁やラグーが一般的。
このパスタを使ったトルテッリーニなどの詰め物入りパスタは、“イン・ブロード”スタイルで、ブロードでゆでてブロードをかけて食べます。
タリオリーニ・イン・ブロード。
タリオリーニはタリアテッレの細麺。地方によってはタリエリーニtaglieriniとかタヤリンtajarinと呼びます。
ブロードは肉、野菜、魚のゆで汁のことで魚のゆで汁、ブロード・ディ・ペッシェbrodo di pesceは別名クールブイヨンcourt-bouillonやフメットfumettoと呼びます。肉の場合はシンプルにブロードbrodoです。
ブロード・ディ・カルネは牛肉から取ります。
ブロード・ディ・カルネ。
ブロード・ディ・ポッロはひね鶏から。
タリオリーニ・イン・ブロード・ディ・ポッロ。
もつと甘くしたい時は去勢鶏capponeを加えます。
ブロード・ディ・カッポーネ。
エミリア地方では各種の肉を使うブロード・ディ・カル二・ミスティbrodo di carni misti(牛、ひね鶏、去勢鶏)。乾燥豆からブロードを取る野菜のブロードもあります。
ブロード・ディ・カル二・ミスティ。
野鳥は、狩るのがそもそも大問題ですが、肉を柔らかくして料理するために寝かせる、下処理する、などの作業が必要になります。若い鳥や小型の鳥なら寝かせる必要はありませんが、成鳥の場合は羽はつけたまま足を上にして吊るして血を頭に集め、下に置いたたらいで血を受けて3日間冷蔵庫で寝かせます。肉は血に浸らないように網にのせます。
野鳥の料理はこのやっかいな下処理が必要ですが、これができる人は少ないので、まさに料理人の腕の見せ所。美味しいブロードは料理の秘訣とも言えます。固形ブイヨンとはまったく違う味になると、シェフは皆言います。動画も見つかりませんでしたが、基本は鶏と一緒です。野鳥は脂肪が少ないので、脂を取る作業は必要ありません。
さらにこの料理の場合はグラナ・パダーノからもブロードを取ります。
グラナ・パダーノの皮のブロード。
水に皮を入れて1時間ほどゆでる。・・・これだけ。
こちらはパルミジャーノの皮4枚をにんじん4本。玉ねぎ2個、セロリ4本、粒こしょう、イタリアンパセリと一緒に水2ℓで40分ゆでる。
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野鳥のブロードとグラナ・パダーノのブロード計1/2ℓを熱します。
タリオリーニをブロードでゆでてスープ皿に盛り付けます。
フォアグラを小さく切ってさっと焼き、タリオリーニにのせておろしたパルミジャーノを散らします。
写真を見るとラーメンにそっくりだけど、ポー河の恵みで造ったこれだけ手の込んだ料理だとは想像してなかった。
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