今日の料理はCIR2月号から、トルタ・サッビオーゾです(リチェッタはP.14)。
初めて聞く名前ですが、どうやらマントヴァ(ロンバルディア州)のポー河に近いチッツォロという村のドルチェのようです。
村の名前も聞いたことないけど、チッツォロを紹介するこんな動画がありました。
先日の洋梨のティンバッロの話の時、パスタ・フロッラの話をちょっとしました。
ドルチェの基礎の生地です。
まず、パスタ・フロッラは軟質小麦粉、バター、砂糖、塩、卵黄をこねた生地で、焼くと、柔らかくてもろい生地になる。
ビスコッティからクロスタータまで、パスティッチェリーアの多くのドルチェのベース。8世紀頃からあったが、最初はパスティッチョや肉のティンバッロなど、甘くない料理に使われていた。
生地をもっと締まった、堅い生地にしたい時は砂糖を、もろくしたい時はバターを多く加える。酵母は加えない。
生地を作るときは手の熱がバターに伝わって脂肪から水分が分離されないように短時間でこねるのがポイント。さらに熱は生地の弾力を減らして生地が伸ばしにくくなるので、伸ばす前にラップで包んで冷蔵庫で最低30分休ませることが必要。休む時間は長いほうが良いのでできれば前日に生地を作って冷蔵庫で2~3日休ませる。または冷凍する。
これまで、南イタリアの、硬質小麦粉のパスタの話ばかり見てきたので、軟質小麦粉のドルチェの話は新鮮です。
南と北のドルチェは、基本からだいぶ違います。
小麦粉は00番の150~180Wのグルテンが少ないタイプを使います。
まずパスタ・フロッラですが、クラシコclassico、サッビアートsabbiato、モンタートmontatoという3種類があります。卵とバターが入っている生地を時間をかけてこねすぎると、グルテンが形成されてゴム状の生地になります。この生地は焼くと堅くなります。リチェッタによっては栗の粉、トウモロコシの粉、ファッロの粉など、性質が違う粉を加えるリチェッタもあるので、粉の性質を知っておくことが大切。性質の違う粉を混ぜる時は、少量の溶いた卵白や水を加える。
それでは次は、小麦粉、砂糖、バター、卵という同じ4種類の材料から、3種類のパスタ・フロッラができる、という話です。
■まずはクラシコil classico。
まず、バターと砂糖をこねて卵を加え、最後に小麦粉を加えます。締まって扱いやすい生地です。材料は泡立てずに加えます。
イジニオ・マッサーリのパスタ・フロッラのレッスン。
まず小麦粉とバターをこねてそぼろ状にします。ここに砂糖と卵を加えてややつながった生地にします。
パスタ・フロッラ・サッビアータLA PASTA FROLLA SABBIATA。
バターの重要性が急にわかってきました。南イタリアはピッツァという絶対王者があるけど、北イタリアのドルチェも、ひょっとしたらすごいのかも・・・。
■最後はモンタートil montatoです。
まず電動ホイッバーでバターをホイップします。さらにホイップしながら粉糖、溶いた卵、最後に小麦粉を加えます。休ませる必要がない生地で絞り袋に入れて広げます。とてもさくさくのビスコッティになりますが、もっとサクサクにしたければゆで卵の黄身を振るって加えます。オヴィス・モッリスovis mollisというパスタ・フロッラです。
■おまけのオヴィス・モッリス。
パスタで硬質小麦粉をきわめた南伊ですが、バターがある北イタリアの軟質小麦粉も独自の美味しい発展を遂げました。
トルタ・サッビオーゾの話、次回に続きます。
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