硬質小麦粉と軟質小麦粉の話をする前に、粉の強さについて、ちょっと解説。
以前にも同じ説明をしているので、詳しくはこちらをどうぞ。
粉の強さとは、たんぱく質の含有量の違いによって生まれる。
この力はWがシンボルで、ショパンのアルベオグラフ値で計ることができる(作曲家のショパンとは関係ない)。
値が高いと発酵に耐える力が強くなり、粘りが強く、グルテン強度も高い粉。
強さは粉が生み出すことのできるグルテンの量で、水を吸い込める量で左右される。
小麦のたんぱく質の豊かさと関連していて、グルテンが多ければ多いほど生地も膨らむ。
Wの値によって小麦粉は薄力、中力、強力に分けられ、それぞれに適した生地がある。
グルテンとか膨らむとかいう言葉が頻繁に出てきますね。
パスティッチェリーアの場合は、ビスコッティ、グリッシーニ、パスティッチ―ニ、クレープ、クロスタータなど軽い生地に向く薄力粉、つまりW90~70の、水分が少なくて発酵が短いものが適しています。
それではこのあたりで今回のお題のドルチェ、トルタ・サッビオーザに戻ります。
パスタ・フロッラがベースのマントバのドルチェでした。
マントバには、もう一つ、トルタ・ズブリゾラーナというとても興味深いケーキがあります。
トルタ・サッビオーザ。リチェッタはCIR2月号P.14。
そしてトルタ・ズブリゾローナ。
マントバ派のドルチェで、ロンバルディアからベネトまで、ポー河流域に広まって、ベースは軟質小麦粉、とうもろこしの粉、刻みアーモンド、卵のパスタ・フラッロのドルチェですが、バターでなくラード、卵やアーモンドが入らず白ワインを加える、などのバリエーションがあります。
ロンバルディアの街、マントバは、ルネサンスの宝石と呼ばれるゴンザーガ家の街。
さらにスイスから移り住んだパティシエが店を出して大成功し、ヒット製品も生み出してヨーロッパ中に知られるスイーツの街となった。
マントバのスイス人パティシエの店とその人気ドルチェ、トルタ・エルヴェツィアTorta elvezia。エルベツィアとはスイスのという意味。
マントバのアグリトゥーリズモ。
スイス人パティシエというと、ナポリに移り住んだ人たちが有名ですが、彼らはチョコレートがスペチャリタでした。マントバ派の職人たちは、ズブリゾローナを始めとする各種のトルタの傑作を生み出しました。
マントバのスイス系パスティッチェリーア・ラ・トゥール・ダル・スカ―。
マントバにはイタリアを代表する三ツ星の有名リストランテがあります。ダル・ペスカトーレです。
リストランテ・ダル・ペスカトーレ。
店の経営者のサンティーニ家の息子マウリツィオはパスティッチェリーアの道に進みました。
マントバ系ドルチェのことを何も知らない時に、彼の本を仕入れて、『我が家のドルチェ』というタイトルの家庭料理のリチェッタなのに、とても洗練されていて完成度が高かったことに驚きました。
でも、マントバのドルチェの歴史を知った今は、それも納得です。
次回はこの本の紹介です。
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