2023年3月7日火曜日

オデュッセイアは欧米のインテリと世界中のオタクの必須教養。

ペコリーノの話、きのうはユリシーズに登場する一つ目巨人は羊飼いで、ペコリーノを造っていた、という話をしましたが、ユリシーズはホメロスの叙事詩、オデュッセイアの主人公の名前で、オデュッセイアをラテン語にしてそれをさらに英語にするとユリシーズになる。さらに『ユリシーズ』はアイルランドの作家、ジェイムス・ジョイスの小説。
このあたりから話はややこしくなりますが、ホメロスの叙事詩は欧米のインテリの必須教養の一つ。
しかも、なにやらオタクの世界観でもギリシャ神話はバイブルのような存在らしい、知らんけど。
そう言えばマーベルにも昨今ではギリシャ神話の登場人物が次々登場している。

今月のCIRのP.35にもある通り、オデュッセイアの旅の舞台はラツィオ州でした。
放牧地によって味が違うペコリーノ。
イタリアのペコリーノは、ペコリーノ・ロマーノ、ペコリーノ・トスカーノ、サルド、シチリアーノが代表的。

約2千年の歴史があるペコリーノ・ロマーノだが、19世紀末以降、製造の中心はサルデーニャに移った。現在、ペコリーノ・ロマーノのほとんどがサルデーニャ産。
現在、ペコリーノ・ロマーノは生産量が減少している。羊に青舌病が流行し、雨が多くて活動量が減り、ミルクの生産量も激減した。

ペコリーノ・ロマーノ。

ペコリーノ・ロマーノは古代ローマ時代にローマ郊外の農村で誕生したと言われている。
ペコリーノ・ロマーノは輸出量の多さでは羊のチーズナンバーワン。
生産量が増えて近代的な製造方法が用いられるようになると、消費者の好みに合う味のペコリーノを造ることが可能になり、産地の個性は薄れていく。
現在のペコリーノ・ロマーノは、主にサルデーニャの品種の羊のミルクから造る。サルデーニャの羊のミルクはラツィオ産より塩気が強いが、北イタリアの消費者は甘さやフレッシュさを好んだので、甘口で刺激の少ないペコリーノが造られるようになる。
これはグローバル化のデメリットそのもの。

ペコリーノ・サルド。

ペコリーノ・トスカーノ。

ペコリーノ・シチリアーノ。

チーズの個性は産地の消費者が創り出しているのですね。個性が強いということは、それだけ地元の消費者の生活に根付いているということ。
各地の個性豊かなペコリーノを代表するものの1つが、まずはエミリア・ロマーニャのペコリーノ・ディ・フォッサ。
下の動画では芸術品のようなペコリーノ・ディ・フォッサを造ると言われているレナート・ブランカレオー二がペコリーノ・ディ・フォッサのことを語ります。

個性的なペコリーノ、次回に続きます。

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