2025年7月15日火曜日

野生が強い羊に最適だったサルデーニャの環境、古代ローマからペコリーノを愛してきたローマ。

ペコリーノのお題、続けます。ペコリーノ・ロマーノの大部分は、サルデーニャで作られている、というお話は有名な話で、サルデーニャで作られたペコリーノは、ペコリーノ・サルドpecorino sardoと呼ばれます。

ペコリーノ・サルド

そもそもペコリーノは、ペーコラpecoraのミルクから作るチーズ。羊のミルクは牛乳と比べると脂肪分が少なく、たんぱく質は倍近く含まれている。イタリア各地で作られているペコリーノは人と自然の関わりを強く感じさせるチ―ズ。
羊はかなり野生が残った家畜で、羊の授乳期間は、放牧されている羊の群れが栄養価の高い餌を探せる春から夏の間に凝縮されている。
夏の終わりになると、羊は妊娠の準備のためにミルクを出さなくなる。そこで人はミルクを保存して中~長期間熟成させるチーズを作りだした。
ペコリーノは人と自然の関わりを感じさせるチーズなので、自然の影響を大きく受ける。ここ数年雨が多く、野生の状態で飼育されている羊の活動利用が減り、ミルクの生産量が20%減少した。
サルデーニャの羊の放牧。

サルデーニャは羊の飼育に適した土地で、広大な牧草地があり、サルデーニャの人は羊飼いの経験も素養もあった。

おいで、朝ごはんだよ~。

ペコリーノ・ロマーノは輸出量の多いイタリアのチーズトップ5にかなり前から入っている。羊のミルクの中では1位だ。

現在、ペコリーノ・ロマーノの管理組合は、サルデーニャにある。ヨーロッパで最初にDOPが認められた羊のチーズで、外国の市場で偽物が最も出回っているチーズでもある。
昔ながらのペコリーノ・ロマーノは、白~麦わら色で硬質の生地サルデーニャやラツィオの放牧地のハーブの香りがする。テーブルチ―ズ用の若いペコリーノ・ロマーノは、熟成は5ヵ月。やや辛口で洋梨のコンポート、蜂蜜、ドライフルーツ、田舎風パンとサラミ、フルーツと野菜などと相性が良い。定番の組み合わせはソラマメとパンチェッタ。
最低8ヵ月熟成させたペコリーノ・スタジョナートはおろして使う用。生地は若いタイプより締まっていてやや粒状。辛さがもっとはっきりしていので、プリ―ミ・ピアッティの味気には完璧。特にローマの定番プリーモのカーチョ・エ・ペペ、カルボナーラ、アマトリチャーナには欠かせない。それだけでなく、じゃがいもやセモリーノのニョッキ、ラビオリ、リゾット、ズッパにも合う。

カーチョ・エ・ペペ

カルボナーラ

セコンドならカルパッチョやシンプルな切り身肉などの肉料理、卵料理、メカジキやシタビラメなどの魚料理、野菜のやコントルノやスフォルマ―ト、ペースト・ジェノヴェーゼを始めとする様々なソースにも使える。

サルデーニャの地に適応した羊だが、ペコリーノはソラマメ、カステッリの赤ワインと共にマジェットmaggettoという愛称で呼ばれるローマのイベント、5月1日の郊外へのピクニックには欠かせない食材だ。これには古代ローマから続く伝統があり、古代ローマの人はペコリーノが大好きだった。レギオン軍団の兵士にも羊のチ―ズが食料として支給されていた。そして2000年後の現在まで、変わらずに受け継がれてきた。

5月1日のソラマメとペコリーノを買うジョルジョーネ

イタリア各地で作られているペコリーノ。
シチリアのペコリーノ。


次回は各地のペコリーノの話。

===================================================
(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。イタリアの地方料理の本としては最高の雑誌です。
(CIR)は2冊の雑誌を毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

現在、2023年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売中の定期購読は2023年版。
1冊のみの注文もできます。
古い雑誌や本は在庫を探しますのでご相談ください。
本以外のお問い合わせもお気軽にどうぞ。
雑誌と(CIR)併せて定期購読の場合は割引の特別価格になります。

ご注文の場合は、こちらのフォームからお願いします。
本や(CIR)の購入方法

お問い合わせはお気軽に、こちらからどうぞ。

(下記のリンクがクリックできない時は左クリックして表示されたurlをクリックしてください)

===================================================
クレアパッソのブログは下記の3種類あります。
[creapasso.comへ戻る(hpはシステムのトラブルで長期間更新していません、あしからず)最新情報はすべてブログでお知らせします]

===================================

[creapasso.comへ戻る]
お問い合わせ

===================================


0 件のコメント:

野生が強い羊に最適だったサルデーニャの環境、古代ローマからペコリーノを愛してきたローマ。

ペコリーノのお題、続けます。ペコリーノ・ロマーノの大部分は、サルデーニャで作られている、というお話は有名な話で、サルデーニャで作られたペコリーノは、ペコリーノ・サルドpecorino sardoと呼ばれます。 ペコリーノ・サルド そもそもペコリーノは、ペーコラpecoraのミルク...