2020年12月20日日曜日

自然の中で家畜たちと共に過ごし、手を粉と卵まみれにする暮らしは計り知れない喜びだった。ブルーノ・バルビエリシェフの子供時代

マルタリアーティがどの地方のパスタかなんて、考えたことなかったけど、タリアテッレの切り落としがルーツなら、やっぱりエミリア・ロマーニャ地方、という訳で、
エミリア・ロマーニャ地方の料理の本を探していたら、紹介するのを忘れて埋もれていた本を見つけました。
ボローニャ出身でマスターシェフで有名になった星付きシェフ、ブルーノ・バルビエリシェフの『ブルーノ・バルビエリ/ビア・エミリア』という本です。


ブルーノ・バルビエリシェフの“クルマエビとインゲン豆のブロードのマルタリアーティ。


・鍋に油と粗く切った玉ねぎ1片、インゲン豆、小さく切ったグアンチャーレを入れてソッフリットにし、缶詰のダッテリーノ(ミニトマト)、ローズマリー少々、フメット・ディ・ペッシェ少々を加えて約10分煮る。

・エビは頭を別にして背わたを取り。小さく切る。
・フライパンでエビの頭を油とにんにく少々でソッフリットにし、頭を取り出す。エビとマルタリアーティを加えて火を止め、予熱でなじませる。
・皿に盛り付けて油少々をかけ、マジョラムとオレガノで飾る。

さて、パスタの話です。彼の本には、“卵”という章があってこんなことが書いてあります。


エミリア地方の家庭では、どの家でも、週に最低2、3回は麺棒で生地を伸ばしてパスタを打つ。
スパゲッティのような乾麺のパスタは食べない。
常に卵入りのパスタ・フレスカだ。
どの家にも庭には家禽がいて卵は常に手に入った。
パスタは常に打ち立てというわけではなく、前日の残りということもあったが、出来合いを買うことはない。80歳の私の母は今でもパスタを打つ。
エミリア地方の女性にとっては儀式のようなものだ。
田舎では一週間でい一番大切な日と考えられている日曜日には、一日かけてトルテッリーニを作る。
ボッリートも作り、ブロードはトルテッリーニに使う。
朝になると麺棒を出して頭に布巾をまきつけて、頭の後ろできりりと縛る姿は、とてもカッコよかった。

麺棒で伸ばすのは、乾麺で言えば、ブロンズのダイスを通すようなもの。パスタマシンで伸ばしたパスタはテフロンのダイスを通したパスタ。

ボローニャで極められたのは、生地を麺棒で薄く伸ばす技。
透き通るほど薄いのに、表面はざらざら。
軟質小麦粉と卵の2次元のパスタの集大成。

私の母の場合、台と麺棒は母から娘へと受け継がれる贈り物だった。
ノンナ・ミーナの麺棒は100年ものだった。今は私の母が使っている。
パスタを伸ばす台は神聖なものだった。仕舞う時は布や革で包んだ。水をつけるとそってしまうので、水では決して洗わなず、ナイフの背でこずっていた。
パスタを伸ばす以外には使わず、味が染み込むのでドルチェを作る時や肉や野菜を切る時には使わなかった。

“卵”の前の章は“ノンナ”でした。
どうやらブルーノシェフはおばあちゃん子だったようです。
ノンナは孫の料理人としての才能は早くから見抜いていたようです。
一方ノンノは、農業と家畜の飼育をしていました。
シェフは搾乳、パン作り、チーズ作り、収穫、家畜の屠殺といった季節の移り変わりと結びついた仕事を学びます。
出来合い品は一切買わなかったというノンノは、パン、牛乳、チーズ、パスタ、豚肉の
加工品、トマトの瓶詰め、トリュフの手に入れ方を教えた。
きつい仕事だったが、自然と共に家畜たちと一緒に過ごし、手を粉と卵まみれにする暮らしは、計り知れない喜びだった。

ボローニャの暮らしがこんなにワイルドだなんて、想像もしていなかった。
エミリア地方に親戚はいないけど、親戚から農家の暮らしを聞かされているような本でした。

エミリア・ロマーニャ



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ブルーノ・バルビエリ/ビア・エミリア
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