2020年12月1日火曜日

硬質小麦のパスタは、プーリアのオレッキエッテ、モリーゼのカバテッリ、カンパーニアやシチリアのスパゲッティが本家だった。

今月の「総合解説」を訳していて、モリーゼは手打ちパスタが有名だったなんてこと初めて知りました。
記事で取り上げたパスタは、カバテッリcavatelli。
隣のプーリアのパスタだという認識でしたが、モリーゼは南イタリアの一地方、と考えれば、プーリアもアブルッツォもカンパーニアも、似たようなもんです。
中でもモリーゼは、本物の田舎風と言ったところ。
カバテッリが有名なモリーゼの町、カステルボタッチョcastelbotaccioのカバテッリ作り↓
カステルボタッチョは人口300人足らずの標高600mの小さな村。
アブルッツォの夏の放牧場とプーリアの冬の放牧場に挟まれた移牧の通り道の村。
村の名物パスタはカバテッリやフジッリ。
なにかイベントがあると、多分村中の人が集まってる。

カヴァテッリやフジッリは硬質小麦粉の南伊の基本の家庭のパスタ。

ディチェコの力作地方料理のパスタの本パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア』では、


モリーゼのパスタについてこんなことが書いてあった。
モリーゼ料理は隣のメジャーなアブルッツォの料理と混同されて個性が弱まりがちだが、農業や牧畜業の産物のチーズや腸詰めなどの個性的な食材が色々ある。
プリーモの大部分は生や乾燥の硬質小麦のパスタ。
ソースは子羊肉やパンチェッタ、バッカラのラグーなどが一般的だ。

モリーゼ風ムール貝とミニトマトのカバテッリ。
カバテッリはオレッキエッテに代表される引っ掻いて作るパスタ。
指1本で引っ掻くと、ミニトマトやムール貝のサイズにぴたりの小さなパスタになる↓


この本のモリーゼ料理の代表として選ばれたシェフは、モリーゼ料理の基本は肉と野菜だが、魚が食べたくなったら隣に行く、ときっぱり言い切ってます。海に囲まれたイタリアで、当然といえば当然の意見。
ちなみにそのシェフはカンポバッソのベッキア・トラットリア・ダ・トニーノVecchia Trattoria da Toninoのマリアシェフで、料理はバッカラ、くるみ、揚げパン粉のスパゲッティ。
それにしてもモリーゼ料理は知れば知るほどカンパーニアの料理にそっくり。
カンパーニア料理をもっと田舎風にするとこうなる。


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お薦めパスタの本

パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ

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