ポレンタ・コンチャ。
山のイタリア料理を代表する料理。
チーズとバター入りの熱々のポレンタは農民の伝統食。
(CIR11月号)のリチェッタによると、チーズはビット・ジョーバネとフォンティーナ入りでした。
ビットとは、“チーズのバローロ”と呼ばれるチーズ、ということを知りました。
つまり、バローロのように長期間熟成させる、ということです。
そもそもこのチーズ、ビットはビット・ストリコと呼ばれ、現在では“ストリコ・リベッレSTORICO RIBELLE”という名前になっています。
下の動画の主人公のビットの生産者は夏はずっと家にいるから海には行かないよ、とさらっと言っています。小さなチーズだけど世界的な製品で、生産者の犠牲の上に出来てるんだそうです。小さなことが蓄積されて偉大なチーズが生まれると語る、根っからの山の男です。
ストリコ・リベッレはロンバルディアはヴァルテッリ―ナ地方のチーズ。
ヴァルテッリ―ナValtellina。
ビットは保存期間が長い、マイルドな味のチーズで、テーブルチーズとしても、おろして料理に加えるチーズとしても使えます。
古代ローマ人に追われてヴァルテッリ―ナの山の上に逃げたケルト人が考え出したチーズと言われています。山の財産、ミルクを保存するために考え出されました。牛乳だけでなく、オロビカ種という消滅しかかった山羊のミルクも10~20%加えます。熟成期間が10年以上と長い世界的にも貴重なチーズです。ヴァルテッリ―ナの名物料理は“ピッォッケリpizzocchfi”、最適のワインはヴァルテッリ―ナDOC。
オロビカ種の山羊。
ピッツォッケリpizzocccheri。そば粉入りの太いタリアテッレ。
質素な貧しい料理であるピッツォッケリを特別な料理にするポイントは、ヴァルテッリ―ナ産の上質の食材、中でもバターとチーズです。ん?これはポレンタの時にも言ったような・・・。
(CIR11月号)の《山の食事》の記事によると、そばは十字軍によってヨーロッパに伝わった。
イタリアの山の食文化は、山脈でつながる他の地方や国の文化との交流もあった。
酪農業は近隣の国々から影響を受けた。現在アルプス地方で盛んに飼育されているブルーナ・アルピーナという品種はスイスのシュウィーツという州の品種、16世紀初めのベルガモの羊飼いはレンネットの使用方法をスイス西部の羊飼いから学んでアルプス地方全域に広め、フォンティーナが生まれた。
ブルーナ・アルピーナ。
さらにスイスのエンガディン地方のパティシエは、まずベネチアに移り住み、そこからイタリア各地に広まって、ジェラートなどを広めた。
ベネチアのパスティッチェリーア。
さらに、山の草を使ったアマーロなどの蒸留酒は、サボイア家の修道院のフランス人修道士たちが造り、エルミタージュやトリノに運ばれて、オーストリアやスイスへと伝わった。
アマーロ。
ヴァルテッリ―ナDOC、DOCGは、別名アルプスのネッビオーロ。
アルプスの食文化も、十字軍やロシアの貴族、スイス人パティシエなどとつながっていた。
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