新年に入って、最初のブログのお題はカゼルタです。
カンパニアのコムーネですが、ピッツァ好きには注目の街。
カンパニア州の州都はナポリ。サレルノやトッレ・デル・グレコなどの街も美食の街として知られています。
カゼルタはナポリの北東約30kmにあります。ナポリの隣、というか上の県。
カセルタにはナポリ・ピッツァのカリスマ・ピッツァイオーロがいます。
その一人は、フランコ・ペペ。
彼の店は、ナポリではなく、カゼルタのCaiazzoにあります。
ナポリの北40kmで、カゼルタからは10km離れた町。
この町で彼のおじいちゃんが小さな食事も出すパン屋を始めたのは1931年のこと。
その後店は、父、フランコと受け継がれてきました。フランコはこのピッツェリアで50年働きました。
カイアッツォで育った彼は、ルーツはナポリではなくカイアッツォだと言い続けていました。ナポリ以外のピッツェリアがピッツァ・ナポレターナを名乗っている、というのが、昔から世間が彼をいじる時の決まり文句。
ここでピッツァ・ナポレターノの歴史を少し。
そもそもピッツァ・ナポレターナは、生まれた当初は地方の隙間産業でした。
ベーラ・ピッツァ・ナポレターナ協会は、現在創立40周年。
わずか40年ほどで、ベスビオ山とナポリ湾の間の町のシンボルの料理から、世界の大きな一角のシンボルにまで成長しました。
会員のレストランは世界に500軒以上、協会の計算によると、毎日1件の店でピッツァが100枚売れていることになるそうです。
1984年に、本物のナポリ・ピッツァを広めることを目的として、ナポリ・ピッツァの伝統を受け継ぐ17の家族が集まって会のマークを登録し、製品の規定を定めました。最初は会員は66軒でした。会はナポリ・ピッツァの材料、というものを定めています。
00タイプの硬質小麦粉、生イーストか天然酵母、サル・マルツァーノ・デル・アグロ・サルネーゼ・ノチェリーノdopの生トマトなどです。
その一方で、日本人が寿司ピッツァを作ろうとしたら、許されるのだろうか、という例を示して、考え方を表明しています。
協会では、ナポリ・ピッツァは地中海の伝統と結びついた食べ物でなくてはならない、と説明しています。トッピングは自由だが、常に地中海の伝統に根付いたものとされているそうです。シーフードのピッツァはよいが、神戸ビーフのピッツァはノーだそうです。ただ、1軒の店でナポリピッツァだけでなく、オリジナルな、様々な土地と結びついたピッツァを、ピッツァ・デル・ジョルノとして出すことはできるそうです。
考えましたねー。
下の動画で彼は、自分をステップアップさせるために修行に出ても、カイアッツォから離れる気はさらさらなかったと語っています。
そしてローマやミラノの有名店で修業し、グランシェフの料理に触れるにしたがってピッツァに対する情熱を再認識します。故郷に戻った彼は、古い建物で食材を活かす自分の理想のピッツァを造る店を始めました。
フランコ・ペペのピッツェリア、ペペ・イン・グラ二pepe in grani。
ピッツァイオーロにしてはとても冷静な印象の彼は、頭脳派のようです。
彼の店には遠方から客が押し寄せました。
彼のシンプルなピッツァは地元の上質の食材を活かしたものでした。食材はすべて、彼の店のすぐ近くの、友人たちが作ったものを使いました。
彼のピッツァは父親と同じリチェッタで、手作業でドウを作り、ブナの樹のマディアmadia(生地容器)で12時間かけて発酵させるスローなピッツァです。
竈は父親の設計で、高くて口が狭く、温度をコントロールしやすい木のチップで熱します。
フランコ・ペペのピッツァ
ナポリピッツァはシンプルで純粋な食材を使うことに慣れていて、品質を上げることに情熱を燃やす日本のような国では受け入れられていますが、脂肪分が多い料理が好まれるブラジルやドイツのような国では苦戦しているそうです。意外なことに、これらの国ではコピー製品が横行していて、オリジナリティーを感じるのは難しいのだそうです。
ピッツァ・ナポレターナ。
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