2020年10月15日木曜日

いんげん豆入門。ラモーン豆のベネト風パスタ・エ・ファジョーリ。

いんげん豆(ファジョーリ)の話、その2です。
古代ローマ時代から知られていた豆、ファジョーリ・デル・オッキオfagioli dell'occhiof
は、メキシコからスペイン人が伝えたファジョーリに、取って代わられてヨーロッパ中に広まりました。
そしてヨーロッパ各地の気候や土壌に合うように品種改良が繰り返され、現在では約500種類の豆が作り出されています。
総合解説」2004年9月号より。

イタリアのいんげん豆は、大きく4つに分類することができます。
■ボルロッティborlotti
主に中~北部で栽培されている。さやは赤い色でクリーム色の斑が入っている。豆の色はクリーム色からサーモンピンクまで様々。赤や茶色の斑点がある。生も乾燥も美味しい。熟すのは夏から秋。


■ビアンキ・ディ・スパーニャbianchi di spagna
ピエモンテからシチリアまで各地で栽培されている。豆は大粒で生用は濃い緑色をしている。収穫は7月から晩秋。味はボルロッティよりマイルドでウミドやサラダに適している。

■ファジョーリ・デル・オッキオfagioli dell'occhio
ヨーロッパに最初に伝わった豆の子孫。トスカーナにはこの豆を使った料理が多く残っている。

■カンネッリーニcannellini
トスカーナを中心としたイタリア中部が改良品種の原産地で、現在は全国で栽培されている。特にナポリのものが有名。

イタリア中に広まったいんげん豆ですが、中でも人気が高く、イタリアで一番美味しいいんげん豆と言われているのが、先日紹介したベネトのベッルーナ地方で作られているラモーン豆↓です。1532年に教皇クレメント7世から贈られたのがきっかけに広まったという由緒正しいいんげん豆で、皮がとても薄くて甘いのが特徴。

いんげん豆の料理といえば、イタリアの国民的料理、パスタ・エ・ファジョーリ。
パスタ・エ・ファジョーリは、見た目がかなり素朴で、ちょっととっつきにくい料理。
初めて食べる時は、きっと面白い体験ができますよ。
味も見た目も雰囲気も、今まで知っていたイタリア料理とは全然違っていて、おばあちゃんのあったかさや優しさが感じられるような、どこかほっとする料理。

パスタ・エ・ファジョーリはイタリア中で作られている料理ですが、人気があるのがベネトのラモーン豆を使ったパスタ・エ・ファジョーリ。
パスタは、ベネトでは手打ちパスタのマルタリアーティやタリアテッレなどを組み合わせるのが伝統的。煮崩れた豆と麺から溶け出たでんぷんでクリーミーに仕上がる。
他にも北イタリアでは茶色いボルロッティに豚の脂身でコクを加え、グラナを散らす。中部や南部では小粒の白インゲンのカンネッリーニをトマトで煮て仕上げにパルミジャーノではなくオリーブオイルをかけたり、パスタはローマならフェットゥッチーネ、ナポリはムネッッァーリアと呼ばれるミックスパスタ、アブルッツォではトゥベッティーニなどと様々。

ラモーン豆のベネトのパスタ・エ・ファジョーリ↓。

・粗く切った玉ねぎ、にんじん、セロリの小角切り、にんにく、ローリエをEVオリーブオイルで炒める。水かブロードで覆い、戻した豆を加えて数分炒める。粗く切ったじゃがいもを加える。
・玉ねぎ、にんじん、セロリの小角切りを油でソッフリットにし、ローズマリーと唐辛子少々のみじん切りを加える。ソッフリットを取り出して別にする。
・豆の一部を取り出し、残りをハンディミキサーで撹拌する。
・濃すぎるときはブロードで伸ばす。
・パッパルデッレ(または他の卵入りパスタ・フレスカ)を加える。別にした豆とソッフリットの3/4を加える。
・皿に盛り付けて残りのソッフリット、ローズマリーのみじん切り、唐辛子を散らす。

基本は肉の代わりに豆を使った煮込み料理。
豆の味が料理のできを左右します。
それにしてもパスタ・エ・ファジョーリは各地に色々あります。リチェッタは次回。

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総合解説
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